簡易トイレ
【課題】山形に堆積された排泄物(固形物)を崩すことができる簡易トイレを提供する。
【解決手段】設置面より所定の高さで支持されかつ便器を設けた床の下部において便器下方に対応して配設された便容器5内に回転可能に垂設された回転軸体12、回転軸体の下端に軸端が対応されるとともに便容器の底部面に沿って水平状に配置され、外周軸方向に螺旋状に巻回した螺旋状羽根33が形成された誘導螺旋軸体30、回転軸体の回転を誘導螺旋軸体に伝達する回転伝達手段31、誘導螺旋軸体の軸方向に沿って配置されかつ誘導螺旋軸体の螺旋状羽根を下方から受ける樋状の誘導案内部材34を備え、回転軸体12の回転を誘導螺旋軸体30に伝達するとともに、この誘導螺旋軸体30の回転によりその軸先端側から回転軸体12の下端側に向う移送誘導経路を構成する。
【解決手段】設置面より所定の高さで支持されかつ便器を設けた床の下部において便器下方に対応して配設された便容器5内に回転可能に垂設された回転軸体12、回転軸体の下端に軸端が対応されるとともに便容器の底部面に沿って水平状に配置され、外周軸方向に螺旋状に巻回した螺旋状羽根33が形成された誘導螺旋軸体30、回転軸体の回転を誘導螺旋軸体に伝達する回転伝達手段31、誘導螺旋軸体の軸方向に沿って配置されかつ誘導螺旋軸体の螺旋状羽根を下方から受ける樋状の誘導案内部材34を備え、回転軸体12の回転を誘導螺旋軸体30に伝達するとともに、この誘導螺旋軸体30の回転によりその軸先端側から回転軸体12の下端側に向う移送誘導経路を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等に使用される組立て式の簡易トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の範囲トイレは、災害時等の際に、被災地等に搬送されてその場所において組み立てられて使用されるものであり、脚で支持された床に便器を設けるとともに、床の下部の便器下方に排泄物を収容する便容器を設け、その四側周面及び上面に対応して枠フレームを骨組み構成し、この枠フレーム間にシートを張設して該四側周面及び上面を遮蔽し、その一側周に出入り用の扉を設けるように構成されている。
そして、実際の使用にあって、前記便容器内に収容された排泄物は、固形物として便器下方に集中してほぼ山形に堆積され、使用者に多大の嫌悪感を抱かせるものであった。この状態を解消するものとして、便容器内にほぼ山形に堆積された固形物を崩すための手段が種々案出されている。例えば、便容器内において便器の下通路の下方にあって水平状に回動する掻き寄せ具を設け、トイレの床上に設けたハンドルを水平方向に回動することによって前記掻き寄せ具を水平状に回動させて便器の下通路の下方に山形に堆積された排泄物(固形物)を崩して掻きならすように構成された手段が案出されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平10−23990号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した手段にあっては、ハンドルの回動操作が掻き寄せ具の回動動作に直接伝達される構造であるため、掻き寄せ具による排泄物(固形物)を崩して掻きならす動作がハンドルを操作する使用者の手に直接伝達されてしまい、使用者にとって依然として排泄物(固形物)を崩して掻きならす行為の嫌悪感を抱かせるものであった。
そこで、本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、排泄物(固形物)を崩して掻きならす行為の嫌悪感を可及的になくして、ほぼ山形に堆積された排泄物(固形物)を崩すことができる簡易トイレを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した課題は、各請求項記載の発明によって解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、設置面より所定の高さで支持されかつ便器を設けた床と、この床の下部において便器下方に対応して配設された便容器と、前記床の上方側周及び上面を遮蔽して所望の区間部を形成する遮蔽部材とを備えた簡易トイレであって、
前記床面から便容器内に回転可能に垂設された回転軸体と、
前記回転軸体の下端に軸端が対応されるとともに前記便容器の底部面に沿って水平状に配置され、外周軸方向に螺旋状に巻回した螺旋状羽根が形成された誘導螺旋軸体と、
前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達する回転伝達手段と、
前記誘導螺旋軸体の軸方向に沿って配置されかつ該誘導螺旋軸体の螺旋状羽根を下方から受ける樋状の誘導案内部材と、
を備え、前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達するとともに、この誘導螺旋軸体の回転によりその軸先端側から該回転軸体の下端側に向う移送誘導経路を構成したこと
を要旨とする。
【0005】
この発明にあっては、回転軸体を回転操作し、回転伝達手段を介して樋状の誘導案内部材で受けられかつ便容器内においてほぼ山形に堆積された排泄物(固形物)内に位置された誘導螺旋軸体を回転駆動することによって、その軸先端側から該回転軸体の下端側に向う移送誘導経路が形成されるので、この回転する誘導螺旋軸体の螺旋状羽根によりこの山形に堆積された排泄物(固形物)を下方において前記回転軸体側に移送(移動)させ、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の簡易トイレであって、前記回転軸体は、固液分離手段の排出螺旋軸体から構成されるとともに、この固液分離手段が、前記床下面に垂下状に装設され、下部に流入孔が貫設されかつ中間の所定部位に前記液状し尿用の排出管がほぼ横方向に連通可能に連結された外筒体と、この外筒体内に回転可能に支承されかつ回転動作にしたがって上昇方向への移送可能な螺旋状羽根が形成された排出螺旋軸体と、この排出螺旋軸体と連結されて該排出螺旋軸体を前記床面上方側から回転操作する操作部材と、前記外筒体の流入孔の外側周囲に所定の間隔をおいて対向されかつ前記排出螺旋軸体とともに該流入孔の外側周囲に沿って回転される目詰り防止用の回転翼とから構成され、前記排出螺旋軸体と前記誘導螺旋軸体とを回転伝達可能に連結されていることを要旨とする。
【0007】
この発明にあっては、便容器内において、回転する誘導螺旋軸体の螺旋状羽根によりこの山形に堆積された排泄物(固形物)を下方において外筒体側に移送(移動)させ、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができるとともに、固形物と分離された液状し尿を、固液分離手段における外筒体内に流入孔から流入させ、操作部材の回転操作により排出螺旋軸体を上昇移送方向に回転することによって、該外筒体内の上方に積極的に導いて排出管から外部に排出するものである。そして、排出螺旋軸体とともに回転される回転翼により流入孔を閉塞しようとする固形物を排除することができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の簡易トイレであって、前記誘導螺旋軸体が、その軸先端側を前記便器の下方に延在するように配置されていることを要旨とする。
【0009】
この発明にあっては、誘導螺旋軸体がその軸先端側を前記便器の下方に延在するように配置されているため、とくに、排泄物(固形物)が山形に堆積される部位を下方から効果的に崩すことができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、回転軸体を回転操作するのみで、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができ、その操作に伴う嫌悪感を可及的になくすることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、固液分離手段の排出螺旋軸体を回転操作するのみで、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができ、その操作に伴う嫌悪感を可及的になくするとともに、この固形物と分離された液状し尿を外部に円滑に排出することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、とくに、排泄物(固形物)が山形に堆積される部位を下方から効果的に崩すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例にしたがって説明する。
【実施例】
【0014】
図1〜図11に示すように、本実施例の簡易トイレ1は、例えば、組立て式に構成されており、大別すると、脚片2〜2により設置面より所定の高さでほぼ水平状に支持された床3と、該床3のほぼ中央部に設けられた便器4と、前記床3の下部において該便器4下方に対応して配設された排泄物を収容する袋状の便容器5と、前記床3の上方の前後左右側周及び上面を遮蔽して所望の空間区間部を形成する組立て式の枠フレーム6に張設された遮蔽部材7とから構成されている。なお、前記脚片2〜2は折り畳み構成となし、後側の遮蔽部材7は出入り用として構成されている。また、床3上には便器4の両側に対向位置する手摺り8が設けられている。
【0015】
前記便容器5内には、該便容器5内に溜められた大便等の固形物と分離された液状し尿を後述する排出管9を介して外部に放出するための固液分離手段10が前記床3の下面から垂下状態で装設されている。
【0016】
この固液分離手段10は、所定の径の外筒体11と、該外筒体11内に回転可能に装設された排出螺旋軸体12と、該排出螺旋軸体12を前記床3の上面において回転操作するハンドル13と、前記外筒体11のほぼ中央部に横向きに連結された前記排出管9とを主体として構成されている。
【0017】
前記外筒体11は所定の長さの上下端が開口されたパイプ状に形成されていて、上端部が前記床3に下面に対し対の固定ブラケット14、14及び支軸15、15を介して垂下状態から該床3の下面に沿うほぼ水平状態への折り畳み(回動)可能に垂設され、その上端部の対向する2箇所には折り畳み時に前記排出螺旋軸体12(ハンドル13)の軸部が干渉しないように切欠き孔16が形成され、下端部には対向する2箇所に液状し尿を外筒体11内に流入する所定の径の流入孔17、17が貫設され、ほぼ中間部の前記排出管9との連結(連通)部位より上位位置にはオーバーフロー用流入孔18が貫設されている。なお、液状し尿分離手段10の外筒体11は垂設状態において、その下端が床3の下方に配設された便容器5の底面より若干上位に位置して対向されている。
【0018】
前記排出螺旋軸体12は、軸部19と該軸部19の外周軸方向に沿って形成された螺旋状羽根20とから構成されていて前記外筒体11内の軸方向に沿って配設され、その軸部19の下端が外筒体11の下端から若干突出されている。そして、軸部19の上端部には前記ハンドル13に軸部の下端と連結するためにL状の段差部19aが切欠き形成されている。なお、排出螺旋軸体12の螺旋状羽根20は一方向の回転動作にしたがって上昇方向への移送可能な状態にその螺旋方向が設定されている。
【0019】
前記ハンドル13は、軸部材をほぼクランク状に曲折形成されており、その下方側の軸部が前記床3を貫通して支持部材21により回転可能に支承され、該軸部の下端には前記排出螺旋軸体12の軸部19の段差部19aに対向する段差部13aが形成され、上方側の軸部上端には撮み部13bが設けられている。
【0020】
そして、排出螺旋軸体12の軸部19の段差部19aとハンドル13の段差部13aとの部位で連結ピン22を介して両者が回動可能に支承されている。これにより、排出螺旋軸体12はハンドル13との連結部位における連結ピン22を支点として前記外筒体11とともに床3の下面に沿うほぼ水平状態に折り畳み(回動)されるものである。
【0021】
また、排出螺旋軸体12とハンドル13との連結部位の外周にはハンドル13に対する排出螺旋軸体12の折り畳み回動を許容したり阻止したりする所定の長さの連結筒23が排出螺旋軸体12の軸部19上端部からハンドル13の下方側の軸部下端部にわたって嵌合され、この連結筒23は排出螺旋軸体12の軸部19に突設されたストッパピン24により下方への移動が阻止されている。
【0022】
しかして、連結筒23が排出螺旋軸体12の軸部19上端部からハンドル13の下方側の軸部下端部にわたって嵌合された状態では該排出螺旋軸体12の軸部19とハンドル13の下方側の軸部とが直線状に連結され、連結筒23が両者の結合部位からハンドル13側に移動して該結合部位を開放した状態では連結部位における連結ピン22を支点とする折り畳み(回動)が許容されるものである。
【0023】
前記外筒体11に形成された対の流入孔17、17、上位のオーバーフロー用流入孔18及び前記排出管9と外筒体11との連通箇所にはフィルター部材25a、25b、25c、25dが設けられている。また、該外筒体11の下端開口部付近には前記排出螺旋軸体12の軸部19を貫通して下部メッシュフィルター部材26が設けられている。
【0024】
前記外筒体11の下端から突出された排出螺旋軸体12の軸部19には、目詰り防止用の回転翼27が該軸部19とともに回転し得るように取付けられている。この目詰り防止用の回転翼27は、前記軸部19に固定された円板部と該円板部の外周の対向する部位から立ち上げられかつ前記外筒体11の外周面、すなわち、流入孔17、17部位の外側面に所定の間隔をおいて対向された一対の翼片とから構成されている。
【0025】
前記外筒体11に連結された排出管9はほぼ水平方向に位置されるとともに前記床3の外側に向けて延在されており、その先端部には液状し尿を排出管9から該床3の外側部位に排出する排出用のフレキシブルホース28が接続され、ほぼ中央部位には排出される液状し尿を滅菌するための滅菌剤を入れた滅菌剤カセット部材29が該排出管9内に至るように抜脱可能に装設されている。
【0026】
前記外筒体11の下端から突出された排出螺旋軸体12の軸部19の下端部には、前記便容器5の底面に沿って水平状に配設された誘導螺旋軸体30の軸端部が整合位置されており、この排出螺旋軸体12の軸部19の下端部と誘導螺旋軸体30の軸端部とが該ほぼL字状に曲折されたコイルバネからなる回転伝達手段31を介して連結されている。
【0027】
この誘導螺旋軸体30は、軸部32と該軸部32の外周軸方向に沿って形成された螺旋状羽根33とから構成されており、その軸部32の先端側を前記便器4のほぼ下方に延在するように配置されている。しかして、誘導螺旋軸体30は排出螺旋軸体12の回転駆動とともに回転伝達手段31を介してその配置状態にて回転されるものである。なお、誘導螺旋軸体30の螺旋状羽根33はその回転動作にしたがって前記排出螺旋軸体12の下端側方向への移送可能な状態にその螺旋方向が設定されている。
【0028】
そして、前記誘導螺旋軸体30の螺旋状羽根33を下方から受けるようにほぼ半円樋状の誘導案内部材34が該誘導螺旋軸体30の全長にわたって配設され、この誘導案内部材34はその下面が前記便容器5の底面2対し組立て時に両面テープ等の固止手段35により固止されている。しかして、この誘導案内部材34は、前記誘導螺旋軸体30の回転によりその軸先端側から排出螺旋軸体12の下端側に向う移送誘導経路を形成するように構成されている。
【0029】
上述のように構成された本例の簡易トイレ1にあっては、脚片2〜2により設置面より所定の高さの床3に対してその下方全体に便容器5を設置するとともに、該床3に便器4を取付け、さらに、床3に対し、上部にハンドル13を位置させかつ前記便容器5内に臨んだ固液分離手段10全体を位置して、前記床3に対し枠フレーム6を枠組みし、該枠フレーム6に遮蔽部材7を張設してトイレとしての所望の空間区画部を得るように組立てられる。
【0030】
この場合においては、固液分離手段10全体が便容器5内にあって便器4の下方側部位置されるとともに、その外筒体11の下端部が便容器5の底面より若干上位に位置されるものであり、また、固液分離手段10における排出管9が便容器5の側壁に向う横(水平)方向に延在されてその端部に連結されたフレキシブルホース28が該便容器5の外側に延出され、さらに、誘導螺旋軸体30及び誘導案内部材34が便容器5の底面において便器4のほぼ下方(排泄物(固形物)が山形に堆積される部位)に延在するように配置されるものである。
【0031】
上記した状態において、通常の簡易トイレ1としてその使用に供されるものであり、該使用に伴って排泄物が便容器5内に逐次堆積されるとともに、この便容器5内の堆積された排泄物は、下方より上方にわたって固形物が堆積される沈殿層と、し尿等の液体層と、種々の浮遊物が位置される浮上層とに分離された堆積状態となり、前記固液分離手段10の該外筒部はこの浮上層、液体層、沈殿層に埋没された状態となる。
【0032】
前記液体層にあるし尿等の液体は、外筒体11の下方の流入孔17から該外筒体11内に順次流入され、その水位が排出管9との連通部位に達すると、該排出管9及びフレキシブルホース28を経て便容器5の外部に排出される。
【0033】
このとき、便容器5内における液体層の水位が外筒体11のオーバーフロー用流入孔18より上位に達している状態では、該液体層のし尿等の液体は外筒体11におけるオーバーフロー用流入孔18から該外筒体11内に順次流入され、前述と同様に排出管9及びフレキシブルホース28を経て便容器5の外部に排出される。
【0034】
そして、簡易トイレ1の使用に際してその使用者が床3から膨出しているハンドル13を一方向(排出螺旋軸体12の螺旋状羽根20における上昇方向に移送する回転方向)に回転操作すると、該ハンドル13に連結された排出螺旋軸体12が一体的に回転され、この排出螺旋軸体12とともに螺旋状羽根20が上昇方向に移送する方向に回転されるので、外筒体11内の液体は、該螺旋状羽根20の回転によってその上昇方向への移送が案内されるとともに前記排出管9との連通部位に積極的に流出(排出)されるものである。
【0035】
この場合、排出螺旋軸体12とともに目詰り防止用の回転翼27が外筒体11の流入孔17の対向する外側周りに沿って回転されているため、該回転する回転翼27によって流入孔17に流入されようとする沈殿層における固形物の流入を阻止することができ、該流入孔17における目詰りを未然に防止し得るとともに、流入孔17からの液体の流入を円滑になし得る。これによって、便容器5内のし尿等の液体のみを確実に排出できるものである。
【0036】
また、外筒体11において液体が流入する流入孔17、17、上位のオーバーフロー用流入孔18及び前記排出管9と外筒体11との連通箇所にはフィルター部材25a、25b、25c、25dが設けられ、さらに、該外筒体11の下端開口部付近には下部メッシュフィルター部材26が設けられているため、外筒体11内に液体とともに流入される浮遊物や固形物の流入を阻止することにより、外筒体11内における液体の流れを円滑にするとともに、し尿等の液体のみを外部に排出することができる。
【0037】
さらに、排出管9から排出される液体を該排出管9に設けた滅菌剤を入れた滅菌剤カセット部材29を通過させることにより、排出管9及びフレキシブルホース28を経て便容器5の外部に排出される液体の衛生上の問題を解消することできる。
【0038】
そして、本実施例にあっては、前記排出螺旋軸体12の回転とともに、回転伝達手段31を介してその配置状態にて誘導案内部材34により受承されながら回転され、その螺旋状羽根33の回転動作及び誘導案内部材34によってしたがって前記排出螺旋軸体12の下端側方向への移送誘導経路を形成されることになり、これによって、便器4のほぼ下方において排泄物(固形物)が山形に堆積される部位を下方から崩して側方に寄せ均すことができる。
【0039】
すなわち、本実施例においては、ハンドル13の回転操作により便器4のほぼ下方において山形に堆積される排泄物(固形物)を崩してならす作業と、し尿等の液体のみの排出作業とを同時に簡易に行うことができ、その作業(操作)の嫌悪勘を可及的になくすることができる。
【0040】
そして、本実施例にあっては、排出螺旋軸体12の軸部19とハンドル13との連結部位を連結ピン22を介して回転伝達可能に連結及び折り畳み可能に構成することによって外筒体11とともに排出螺旋軸体12を床3の下面に沿うほぼ水平状態に折り畳み(回動)できるとともに、ハンドル13を床3の上面に沿うほぼ水平状態に折り畳み(回動)でき、組立て前における簡易トイレ1全体の梱包、運搬、保管等の取扱いを簡単かつ容易になし得るものである。
【0041】
なお、本実施例においては、簡易トイレとしての全体の形態は、図示のものに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例の形態を示す一部破断を含む斜視図である。
【図2】枠フレームの遮蔽部材を取り除いた平面図である。
【図3】固液分離手段の取付け状態の概要を示す説明図である。
【図4】同じく、固液分離手段の取付け状態の概要を示す説明図である。
【図5】固液分離手段を示す概略図である。
【図6】誘導螺旋軸体を示す説明図である
【図7】図5のA部を示す拡大断面図である。
【図8】図7のB部を示す拡大断面図である。
【図9】図5のC部を示す拡大断面図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 簡易トイレ
3 床
4 便器
5 便容器
9 排出管
10 固液分離手段
11 外筒体
12 排出螺旋軸体
17 流入孔
20 螺旋状羽根
30 誘導螺旋軸体
31 回転伝達手段
33 螺旋状羽根
34 誘導案内部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等に使用される組立て式の簡易トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の範囲トイレは、災害時等の際に、被災地等に搬送されてその場所において組み立てられて使用されるものであり、脚で支持された床に便器を設けるとともに、床の下部の便器下方に排泄物を収容する便容器を設け、その四側周面及び上面に対応して枠フレームを骨組み構成し、この枠フレーム間にシートを張設して該四側周面及び上面を遮蔽し、その一側周に出入り用の扉を設けるように構成されている。
そして、実際の使用にあって、前記便容器内に収容された排泄物は、固形物として便器下方に集中してほぼ山形に堆積され、使用者に多大の嫌悪感を抱かせるものであった。この状態を解消するものとして、便容器内にほぼ山形に堆積された固形物を崩すための手段が種々案出されている。例えば、便容器内において便器の下通路の下方にあって水平状に回動する掻き寄せ具を設け、トイレの床上に設けたハンドルを水平方向に回動することによって前記掻き寄せ具を水平状に回動させて便器の下通路の下方に山形に堆積された排泄物(固形物)を崩して掻きならすように構成された手段が案出されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平10−23990号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した手段にあっては、ハンドルの回動操作が掻き寄せ具の回動動作に直接伝達される構造であるため、掻き寄せ具による排泄物(固形物)を崩して掻きならす動作がハンドルを操作する使用者の手に直接伝達されてしまい、使用者にとって依然として排泄物(固形物)を崩して掻きならす行為の嫌悪感を抱かせるものであった。
そこで、本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、排泄物(固形物)を崩して掻きならす行為の嫌悪感を可及的になくして、ほぼ山形に堆積された排泄物(固形物)を崩すことができる簡易トイレを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した課題は、各請求項記載の発明によって解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、設置面より所定の高さで支持されかつ便器を設けた床と、この床の下部において便器下方に対応して配設された便容器と、前記床の上方側周及び上面を遮蔽して所望の区間部を形成する遮蔽部材とを備えた簡易トイレであって、
前記床面から便容器内に回転可能に垂設された回転軸体と、
前記回転軸体の下端に軸端が対応されるとともに前記便容器の底部面に沿って水平状に配置され、外周軸方向に螺旋状に巻回した螺旋状羽根が形成された誘導螺旋軸体と、
前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達する回転伝達手段と、
前記誘導螺旋軸体の軸方向に沿って配置されかつ該誘導螺旋軸体の螺旋状羽根を下方から受ける樋状の誘導案内部材と、
を備え、前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達するとともに、この誘導螺旋軸体の回転によりその軸先端側から該回転軸体の下端側に向う移送誘導経路を構成したこと
を要旨とする。
【0005】
この発明にあっては、回転軸体を回転操作し、回転伝達手段を介して樋状の誘導案内部材で受けられかつ便容器内においてほぼ山形に堆積された排泄物(固形物)内に位置された誘導螺旋軸体を回転駆動することによって、その軸先端側から該回転軸体の下端側に向う移送誘導経路が形成されるので、この回転する誘導螺旋軸体の螺旋状羽根によりこの山形に堆積された排泄物(固形物)を下方において前記回転軸体側に移送(移動)させ、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の簡易トイレであって、前記回転軸体は、固液分離手段の排出螺旋軸体から構成されるとともに、この固液分離手段が、前記床下面に垂下状に装設され、下部に流入孔が貫設されかつ中間の所定部位に前記液状し尿用の排出管がほぼ横方向に連通可能に連結された外筒体と、この外筒体内に回転可能に支承されかつ回転動作にしたがって上昇方向への移送可能な螺旋状羽根が形成された排出螺旋軸体と、この排出螺旋軸体と連結されて該排出螺旋軸体を前記床面上方側から回転操作する操作部材と、前記外筒体の流入孔の外側周囲に所定の間隔をおいて対向されかつ前記排出螺旋軸体とともに該流入孔の外側周囲に沿って回転される目詰り防止用の回転翼とから構成され、前記排出螺旋軸体と前記誘導螺旋軸体とを回転伝達可能に連結されていることを要旨とする。
【0007】
この発明にあっては、便容器内において、回転する誘導螺旋軸体の螺旋状羽根によりこの山形に堆積された排泄物(固形物)を下方において外筒体側に移送(移動)させ、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができるとともに、固形物と分離された液状し尿を、固液分離手段における外筒体内に流入孔から流入させ、操作部材の回転操作により排出螺旋軸体を上昇移送方向に回転することによって、該外筒体内の上方に積極的に導いて排出管から外部に排出するものである。そして、排出螺旋軸体とともに回転される回転翼により流入孔を閉塞しようとする固形物を排除することができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の簡易トイレであって、前記誘導螺旋軸体が、その軸先端側を前記便器の下方に延在するように配置されていることを要旨とする。
【0009】
この発明にあっては、誘導螺旋軸体がその軸先端側を前記便器の下方に延在するように配置されているため、とくに、排泄物(固形物)が山形に堆積される部位を下方から効果的に崩すことができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、回転軸体を回転操作するのみで、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができ、その操作に伴う嫌悪感を可及的になくすることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、固液分離手段の排出螺旋軸体を回転操作するのみで、山形に堆積された排泄物(固形物)を下方から崩すことができ、その操作に伴う嫌悪感を可及的になくするとともに、この固形物と分離された液状し尿を外部に円滑に排出することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、とくに、排泄物(固形物)が山形に堆積される部位を下方から効果的に崩すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例にしたがって説明する。
【実施例】
【0014】
図1〜図11に示すように、本実施例の簡易トイレ1は、例えば、組立て式に構成されており、大別すると、脚片2〜2により設置面より所定の高さでほぼ水平状に支持された床3と、該床3のほぼ中央部に設けられた便器4と、前記床3の下部において該便器4下方に対応して配設された排泄物を収容する袋状の便容器5と、前記床3の上方の前後左右側周及び上面を遮蔽して所望の空間区間部を形成する組立て式の枠フレーム6に張設された遮蔽部材7とから構成されている。なお、前記脚片2〜2は折り畳み構成となし、後側の遮蔽部材7は出入り用として構成されている。また、床3上には便器4の両側に対向位置する手摺り8が設けられている。
【0015】
前記便容器5内には、該便容器5内に溜められた大便等の固形物と分離された液状し尿を後述する排出管9を介して外部に放出するための固液分離手段10が前記床3の下面から垂下状態で装設されている。
【0016】
この固液分離手段10は、所定の径の外筒体11と、該外筒体11内に回転可能に装設された排出螺旋軸体12と、該排出螺旋軸体12を前記床3の上面において回転操作するハンドル13と、前記外筒体11のほぼ中央部に横向きに連結された前記排出管9とを主体として構成されている。
【0017】
前記外筒体11は所定の長さの上下端が開口されたパイプ状に形成されていて、上端部が前記床3に下面に対し対の固定ブラケット14、14及び支軸15、15を介して垂下状態から該床3の下面に沿うほぼ水平状態への折り畳み(回動)可能に垂設され、その上端部の対向する2箇所には折り畳み時に前記排出螺旋軸体12(ハンドル13)の軸部が干渉しないように切欠き孔16が形成され、下端部には対向する2箇所に液状し尿を外筒体11内に流入する所定の径の流入孔17、17が貫設され、ほぼ中間部の前記排出管9との連結(連通)部位より上位位置にはオーバーフロー用流入孔18が貫設されている。なお、液状し尿分離手段10の外筒体11は垂設状態において、その下端が床3の下方に配設された便容器5の底面より若干上位に位置して対向されている。
【0018】
前記排出螺旋軸体12は、軸部19と該軸部19の外周軸方向に沿って形成された螺旋状羽根20とから構成されていて前記外筒体11内の軸方向に沿って配設され、その軸部19の下端が外筒体11の下端から若干突出されている。そして、軸部19の上端部には前記ハンドル13に軸部の下端と連結するためにL状の段差部19aが切欠き形成されている。なお、排出螺旋軸体12の螺旋状羽根20は一方向の回転動作にしたがって上昇方向への移送可能な状態にその螺旋方向が設定されている。
【0019】
前記ハンドル13は、軸部材をほぼクランク状に曲折形成されており、その下方側の軸部が前記床3を貫通して支持部材21により回転可能に支承され、該軸部の下端には前記排出螺旋軸体12の軸部19の段差部19aに対向する段差部13aが形成され、上方側の軸部上端には撮み部13bが設けられている。
【0020】
そして、排出螺旋軸体12の軸部19の段差部19aとハンドル13の段差部13aとの部位で連結ピン22を介して両者が回動可能に支承されている。これにより、排出螺旋軸体12はハンドル13との連結部位における連結ピン22を支点として前記外筒体11とともに床3の下面に沿うほぼ水平状態に折り畳み(回動)されるものである。
【0021】
また、排出螺旋軸体12とハンドル13との連結部位の外周にはハンドル13に対する排出螺旋軸体12の折り畳み回動を許容したり阻止したりする所定の長さの連結筒23が排出螺旋軸体12の軸部19上端部からハンドル13の下方側の軸部下端部にわたって嵌合され、この連結筒23は排出螺旋軸体12の軸部19に突設されたストッパピン24により下方への移動が阻止されている。
【0022】
しかして、連結筒23が排出螺旋軸体12の軸部19上端部からハンドル13の下方側の軸部下端部にわたって嵌合された状態では該排出螺旋軸体12の軸部19とハンドル13の下方側の軸部とが直線状に連結され、連結筒23が両者の結合部位からハンドル13側に移動して該結合部位を開放した状態では連結部位における連結ピン22を支点とする折り畳み(回動)が許容されるものである。
【0023】
前記外筒体11に形成された対の流入孔17、17、上位のオーバーフロー用流入孔18及び前記排出管9と外筒体11との連通箇所にはフィルター部材25a、25b、25c、25dが設けられている。また、該外筒体11の下端開口部付近には前記排出螺旋軸体12の軸部19を貫通して下部メッシュフィルター部材26が設けられている。
【0024】
前記外筒体11の下端から突出された排出螺旋軸体12の軸部19には、目詰り防止用の回転翼27が該軸部19とともに回転し得るように取付けられている。この目詰り防止用の回転翼27は、前記軸部19に固定された円板部と該円板部の外周の対向する部位から立ち上げられかつ前記外筒体11の外周面、すなわち、流入孔17、17部位の外側面に所定の間隔をおいて対向された一対の翼片とから構成されている。
【0025】
前記外筒体11に連結された排出管9はほぼ水平方向に位置されるとともに前記床3の外側に向けて延在されており、その先端部には液状し尿を排出管9から該床3の外側部位に排出する排出用のフレキシブルホース28が接続され、ほぼ中央部位には排出される液状し尿を滅菌するための滅菌剤を入れた滅菌剤カセット部材29が該排出管9内に至るように抜脱可能に装設されている。
【0026】
前記外筒体11の下端から突出された排出螺旋軸体12の軸部19の下端部には、前記便容器5の底面に沿って水平状に配設された誘導螺旋軸体30の軸端部が整合位置されており、この排出螺旋軸体12の軸部19の下端部と誘導螺旋軸体30の軸端部とが該ほぼL字状に曲折されたコイルバネからなる回転伝達手段31を介して連結されている。
【0027】
この誘導螺旋軸体30は、軸部32と該軸部32の外周軸方向に沿って形成された螺旋状羽根33とから構成されており、その軸部32の先端側を前記便器4のほぼ下方に延在するように配置されている。しかして、誘導螺旋軸体30は排出螺旋軸体12の回転駆動とともに回転伝達手段31を介してその配置状態にて回転されるものである。なお、誘導螺旋軸体30の螺旋状羽根33はその回転動作にしたがって前記排出螺旋軸体12の下端側方向への移送可能な状態にその螺旋方向が設定されている。
【0028】
そして、前記誘導螺旋軸体30の螺旋状羽根33を下方から受けるようにほぼ半円樋状の誘導案内部材34が該誘導螺旋軸体30の全長にわたって配設され、この誘導案内部材34はその下面が前記便容器5の底面2対し組立て時に両面テープ等の固止手段35により固止されている。しかして、この誘導案内部材34は、前記誘導螺旋軸体30の回転によりその軸先端側から排出螺旋軸体12の下端側に向う移送誘導経路を形成するように構成されている。
【0029】
上述のように構成された本例の簡易トイレ1にあっては、脚片2〜2により設置面より所定の高さの床3に対してその下方全体に便容器5を設置するとともに、該床3に便器4を取付け、さらに、床3に対し、上部にハンドル13を位置させかつ前記便容器5内に臨んだ固液分離手段10全体を位置して、前記床3に対し枠フレーム6を枠組みし、該枠フレーム6に遮蔽部材7を張設してトイレとしての所望の空間区画部を得るように組立てられる。
【0030】
この場合においては、固液分離手段10全体が便容器5内にあって便器4の下方側部位置されるとともに、その外筒体11の下端部が便容器5の底面より若干上位に位置されるものであり、また、固液分離手段10における排出管9が便容器5の側壁に向う横(水平)方向に延在されてその端部に連結されたフレキシブルホース28が該便容器5の外側に延出され、さらに、誘導螺旋軸体30及び誘導案内部材34が便容器5の底面において便器4のほぼ下方(排泄物(固形物)が山形に堆積される部位)に延在するように配置されるものである。
【0031】
上記した状態において、通常の簡易トイレ1としてその使用に供されるものであり、該使用に伴って排泄物が便容器5内に逐次堆積されるとともに、この便容器5内の堆積された排泄物は、下方より上方にわたって固形物が堆積される沈殿層と、し尿等の液体層と、種々の浮遊物が位置される浮上層とに分離された堆積状態となり、前記固液分離手段10の該外筒部はこの浮上層、液体層、沈殿層に埋没された状態となる。
【0032】
前記液体層にあるし尿等の液体は、外筒体11の下方の流入孔17から該外筒体11内に順次流入され、その水位が排出管9との連通部位に達すると、該排出管9及びフレキシブルホース28を経て便容器5の外部に排出される。
【0033】
このとき、便容器5内における液体層の水位が外筒体11のオーバーフロー用流入孔18より上位に達している状態では、該液体層のし尿等の液体は外筒体11におけるオーバーフロー用流入孔18から該外筒体11内に順次流入され、前述と同様に排出管9及びフレキシブルホース28を経て便容器5の外部に排出される。
【0034】
そして、簡易トイレ1の使用に際してその使用者が床3から膨出しているハンドル13を一方向(排出螺旋軸体12の螺旋状羽根20における上昇方向に移送する回転方向)に回転操作すると、該ハンドル13に連結された排出螺旋軸体12が一体的に回転され、この排出螺旋軸体12とともに螺旋状羽根20が上昇方向に移送する方向に回転されるので、外筒体11内の液体は、該螺旋状羽根20の回転によってその上昇方向への移送が案内されるとともに前記排出管9との連通部位に積極的に流出(排出)されるものである。
【0035】
この場合、排出螺旋軸体12とともに目詰り防止用の回転翼27が外筒体11の流入孔17の対向する外側周りに沿って回転されているため、該回転する回転翼27によって流入孔17に流入されようとする沈殿層における固形物の流入を阻止することができ、該流入孔17における目詰りを未然に防止し得るとともに、流入孔17からの液体の流入を円滑になし得る。これによって、便容器5内のし尿等の液体のみを確実に排出できるものである。
【0036】
また、外筒体11において液体が流入する流入孔17、17、上位のオーバーフロー用流入孔18及び前記排出管9と外筒体11との連通箇所にはフィルター部材25a、25b、25c、25dが設けられ、さらに、該外筒体11の下端開口部付近には下部メッシュフィルター部材26が設けられているため、外筒体11内に液体とともに流入される浮遊物や固形物の流入を阻止することにより、外筒体11内における液体の流れを円滑にするとともに、し尿等の液体のみを外部に排出することができる。
【0037】
さらに、排出管9から排出される液体を該排出管9に設けた滅菌剤を入れた滅菌剤カセット部材29を通過させることにより、排出管9及びフレキシブルホース28を経て便容器5の外部に排出される液体の衛生上の問題を解消することできる。
【0038】
そして、本実施例にあっては、前記排出螺旋軸体12の回転とともに、回転伝達手段31を介してその配置状態にて誘導案内部材34により受承されながら回転され、その螺旋状羽根33の回転動作及び誘導案内部材34によってしたがって前記排出螺旋軸体12の下端側方向への移送誘導経路を形成されることになり、これによって、便器4のほぼ下方において排泄物(固形物)が山形に堆積される部位を下方から崩して側方に寄せ均すことができる。
【0039】
すなわち、本実施例においては、ハンドル13の回転操作により便器4のほぼ下方において山形に堆積される排泄物(固形物)を崩してならす作業と、し尿等の液体のみの排出作業とを同時に簡易に行うことができ、その作業(操作)の嫌悪勘を可及的になくすることができる。
【0040】
そして、本実施例にあっては、排出螺旋軸体12の軸部19とハンドル13との連結部位を連結ピン22を介して回転伝達可能に連結及び折り畳み可能に構成することによって外筒体11とともに排出螺旋軸体12を床3の下面に沿うほぼ水平状態に折り畳み(回動)できるとともに、ハンドル13を床3の上面に沿うほぼ水平状態に折り畳み(回動)でき、組立て前における簡易トイレ1全体の梱包、運搬、保管等の取扱いを簡単かつ容易になし得るものである。
【0041】
なお、本実施例においては、簡易トイレとしての全体の形態は、図示のものに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例の形態を示す一部破断を含む斜視図である。
【図2】枠フレームの遮蔽部材を取り除いた平面図である。
【図3】固液分離手段の取付け状態の概要を示す説明図である。
【図4】同じく、固液分離手段の取付け状態の概要を示す説明図である。
【図5】固液分離手段を示す概略図である。
【図6】誘導螺旋軸体を示す説明図である
【図7】図5のA部を示す拡大断面図である。
【図8】図7のB部を示す拡大断面図である。
【図9】図5のC部を示す拡大断面図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 簡易トイレ
3 床
4 便器
5 便容器
9 排出管
10 固液分離手段
11 外筒体
12 排出螺旋軸体
17 流入孔
20 螺旋状羽根
30 誘導螺旋軸体
31 回転伝達手段
33 螺旋状羽根
34 誘導案内部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面より所定の高さで支持されかつ便器を設けた床と、この床の下部において便器下方に対応して配設された便容器と、前記床の上方側周及び上面を遮蔽して所望の区間部を形成する遮蔽部材とを備えた簡易トイレであって、
前記床面から便容器内に回転可能に垂設された回転軸体と、
前記回転軸体の下端に軸端が対応されるとともに前記便容器の底部面に沿って水平状に配置され、外周軸方向に螺旋状に巻回した螺旋状羽根が形成された誘導螺旋軸体と、
前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達する回転伝達手段と、
前記誘導螺旋軸体の軸方向に沿って配置されかつ該誘導螺旋軸体の螺旋状羽根を下方から受ける樋状の誘導案内部材と、
を備え、前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達するとともに、この誘導螺旋軸体の回転によりその軸先端側から該回転軸体の下端側に向う移送誘導経路を構成したことを特徴とする簡易トイレ。
【請求項2】
請求項1記載の簡易トイレであって、前記回転軸体は、固液分離手段の排出螺旋軸体から構成されるとともに、この固液分離手段が、前記床下面に垂下状に装設され、下部に流入孔が貫設されかつ中間の所定部位に前記液状し尿用の排出管がほぼ横方向に連通可能に連結された外筒体と、この外筒体内に回転可能に支承されかつ回転動作にしたがって上昇方向への移送可能な螺旋状羽根が形成された排出螺旋軸体と、この排出螺旋軸体と連結されて該排出螺旋軸体を前記床面上方側から回転操作する操作部材と、前記外筒体の流入孔の外側周囲に所定の間隔をおいて対向されかつ前記排出螺旋軸体とともに該流入孔の外側周囲に沿って回転される目詰り防止用の回転翼とから構成され、前記排出螺旋軸体と前記誘導螺旋軸体とを回転伝達可能に連結されていることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の簡易トイレであって、前記誘導螺旋軸体が、その軸先端側を前記便器の下方に延在するように配置されていることを特徴とする官位トイレ。
【請求項1】
設置面より所定の高さで支持されかつ便器を設けた床と、この床の下部において便器下方に対応して配設された便容器と、前記床の上方側周及び上面を遮蔽して所望の区間部を形成する遮蔽部材とを備えた簡易トイレであって、
前記床面から便容器内に回転可能に垂設された回転軸体と、
前記回転軸体の下端に軸端が対応されるとともに前記便容器の底部面に沿って水平状に配置され、外周軸方向に螺旋状に巻回した螺旋状羽根が形成された誘導螺旋軸体と、
前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達する回転伝達手段と、
前記誘導螺旋軸体の軸方向に沿って配置されかつ該誘導螺旋軸体の螺旋状羽根を下方から受ける樋状の誘導案内部材と、
を備え、前記回転軸体の回転を前記誘導螺旋軸体に伝達するとともに、この誘導螺旋軸体の回転によりその軸先端側から該回転軸体の下端側に向う移送誘導経路を構成したことを特徴とする簡易トイレ。
【請求項2】
請求項1記載の簡易トイレであって、前記回転軸体は、固液分離手段の排出螺旋軸体から構成されるとともに、この固液分離手段が、前記床下面に垂下状に装設され、下部に流入孔が貫設されかつ中間の所定部位に前記液状し尿用の排出管がほぼ横方向に連通可能に連結された外筒体と、この外筒体内に回転可能に支承されかつ回転動作にしたがって上昇方向への移送可能な螺旋状羽根が形成された排出螺旋軸体と、この排出螺旋軸体と連結されて該排出螺旋軸体を前記床面上方側から回転操作する操作部材と、前記外筒体の流入孔の外側周囲に所定の間隔をおいて対向されかつ前記排出螺旋軸体とともに該流入孔の外側周囲に沿って回転される目詰り防止用の回転翼とから構成され、前記排出螺旋軸体と前記誘導螺旋軸体とを回転伝達可能に連結されていることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の簡易トイレであって、前記誘導螺旋軸体が、その軸先端側を前記便器の下方に延在するように配置されていることを特徴とする官位トイレ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−98017(P2007−98017A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295079(P2005−295079)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(505378563)まいにち株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(505378563)まいにち株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]