説明

粉体クリーナおよびこれを備えた粉体搬送装置

【課題】 エアー等によるのではなく、付着粉体と機械的に接触してこれを確実に除去する。ハンマーリング等の衝撃を与えて機器や装置に損傷を与えない。騒音等の問題を引き起こさない。
【解決手段】 粉体クリーナは、一端壁12を有する筒状ハウジング11と、同端壁12に備えられかつハウジング軸線と同心状回転軸線を有している回転体14と、圧縮・伸張を可能とする螺旋線状部19を有しかつ回転体14とともに回転しうるように螺旋線状部19の一端部が回転体14に連結されている円筒コイルばね状クリーナ部材18と、螺旋線状部19を内外から摺接させうるようにハウジング11の開口縁部に半径方向内方突出状に設けられているストッパ21、22とを備えており、圧縮状態の螺旋線状部19がハウジング11内のストッパ21、22よりも軸方向内側に収納されうるとともに、伸張状態の螺旋線状部19がハウジング11外に突出しうるようになされているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体を搬送、供給する際に、ホッパやパイプ等の搬送要素の搬送面が粉体の付着等によってブリッジや、ラットホール現象等の詰まりを防止するために用いられる粉体クリーナおよびこれを備えた粉体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用途には、マグネット、電気、エアー等により、ハンマーリング(叩く)する装置、バイブレータ等が用いられている。また、エアーを粉体に直に作用させて粉体を吹き飛ばすことも行われている。
【0003】
ハンマーリング等の場合、大きな力を要する割に効果が少なく、あまり叩くと、搬送機器や配管の接合部が破損することがある。また、騒音も問題である。
【0004】
エアーで粉体を吹き飛ばす場合、エアーによって影響を与えられるエリヤが限定的で、エアーのための消費エネルギーが大きい。
【0005】
上記のいずれの場合においても、解決には不十分であり、機器を沢山取付けたりすることもあるが、結局、人手でハンマーで叩く等しているのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記課題を解決し、エアー等によるのではなく、付着粉体と機械的に接触してこれを確実に除去することができ、ハンマーリング等の衝撃を与えて機器や装置に損傷を与えることなく、騒音等の問題を引き起こすことのない粉体クリーナおよびこれを備えた粉体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による粉体クリーナは、一端壁を有する筒状ハウジングと、同端壁に備えられかつハウジング軸線と同心状回転軸線を有している回転体と、圧縮・伸張を可能とする螺旋線状部を有しかつ回転体とともに回転しうるように螺旋線状部の一端部が回転体に連結されている円筒コイルばね状クリーナ部材と、螺旋線状部を内外から摺接させうるようにハウジングの開口縁部に半径方向内方突出状に設けられているストッパとを備えており、圧縮状態の螺旋線状部がハウジング内のストッパよりも軸方向内側に収納されうるとともに、伸張状態の螺旋線状部がハウジング外に突出しうるようになされているものである。
【0008】
この発明による粉体クリーナでは、回転体とともにクリーナ部材を正方向に回転させると、螺旋線状部がストッパに内側から摺接させられながら、ストッパのところをハウジングの外に向かって通過していき、螺旋線状部の、ストッパのところを通過した部分は伸張状態となってハウジング外に突出されられるし、この状態から、逆に、クリーナ部材を逆方向に回転させると、螺旋線状部がストッパに外側から摺接させられながら、ストッパのところをハウジングの内に向かって通過していき、螺旋線状部の、ストッパのところを通過した部分は圧縮状態となってハウジング内に収容される。
【0009】
さらに、回転体に、螺旋線状部の内面および外面の少なくともいずれか一方にハウジング軸方向に摺接させられかつ螺旋線状部の圧縮・伸張を案内するガイド部材が設けられていると、螺旋線状部の圧縮・伸張をスムースに行うことができる。
【0010】
また、ガイド部材が、ハウジングと同心状に配置された内筒および外筒よりなり、内筒および外筒相互間のスペースに螺旋線状部が収容されていると、ガイド部材をシンプルな構造でもって構成することができる。しかも、螺旋線状部の圧縮・伸張を正確かつ確実に行うことができる。
【0011】
この発明による粉体搬送装置は、上記粉体クリーナの伸張状態の螺旋線状部を粉体搬送要素の搬送面に摺接させうるように上記粉体クリーナのハウジングが粉体搬送要素に装備されているものである。
【0012】
この発明による粉体搬送装置は、搬送面に付着した粉体に向かって、螺旋線状部を伸張・収縮させると、これにより、同粉体が除去される。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、エアー等によるのではなく、付着粉体と機械的に接触してこれを確実に除去することができ、ハンマーリング等の衝撃を与えて機器や装置に損傷を与えることなく、騒音等の問題を引き起こすことのない粉体クリーナおよびこれを備えた粉体搬送装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0015】
図1を参照すると、粉体クリーナは、水平円筒状ハウジング11を有している。ハウジング11は、左端壁12を有しかつ右端を開口している。右端開口縁部には取付フランジ13が設けられている。ハウジング11の内には回転体14が備えられている。回転体14は、左端壁12に貫通状に支持されかつハウジング11と同心状回転軸線を有する水平回転軸15と、回転軸15の右端部にこれと一体的に設けられている垂直回転板16とよりなる。回転軸15の左端部にはモータ17の出力軸が連結されている。回転板16の右側面外周縁部には、水平円筒コイルばね状クリーナ部材18の左端部が固着されている。クリーナ部材18は、圧縮・伸張を可能とする弾性を有するバネ鋼製螺旋線状部19よりなる。ハウジング11のフランジ13のすぐ左側には一対の垂直ピン状ストッパ21が貫通状に設けられている。両ストッパ21の先端部分は、ハウジング11内に突出させられかつ端面同し相対させられている。螺旋線状部19は、圧縮状態となって、ハウジング11内のストッパ21よりも奥側に収容されている。螺旋線状部19の右端部は、ストッパ21に内側から摺接させられている。この圧縮状態は、図1中、実線で示されている。この状態で、螺旋線状部19のピッチは、ほぼ零に等しくて、螺旋線状部19の隣り合う部分はほぼ接触させられている。
【0016】
図1に示す状態で、モータ17の作動により、螺旋線状部19を正方向に回転させると、螺旋線状部19右端部において、一方のストッパ21に摺接させられていた螺旋の先端部分が同ストッパ21のところを越えると、同ストッパ21による押えを失って、同先端部分がその弾性によってハウジング11の外に向かって飛び出す。そうすると、同先端部分と、これの後続の螺旋線状部19との間には間隙が生じ、引き続く回転の結果、その間隙がもう一方のストッパ21のところまで移動させられると、その間隙に、そのもう一方のストッパ21が入り込む。このようにして、螺旋線状部19がストッパ21をこれに摺接させられながら順次内から外に向かって通過させられていく。
【0017】
ストッパ21のところを通過してハウジング11から突出させられた螺旋線状部19は、図1中想像線で示すように、その弾性によって自由な伸張状態となる。
【0018】
この伸張状態から、螺旋線状部19を逆方向に回転させると、螺旋線状部19はストッパ21のところを、今度は、外から内に向かって通過させられていき、螺旋線状部19はハウジング11内に引き込まれていく。螺旋の先端部分がストッパ21のところを通過させられると、螺旋線状部19の回転を停止させる。これにより、圧縮状態の螺旋線状部19がハウジング11内のストッパ21よりも奥側に収納される。
【0019】
螺旋線状部19の線径dは、3〜5mm程度であることが好ましい。伸張状態の螺旋線状部19のピッチPは、螺旋線状部19の線径dの5〜10倍程度であることが好ましい。そうすると、圧縮状態の螺旋線状部19の長さと、伸張状態の螺旋線状部19の長さの比は、その倍数にほぼ等しくなる。例えば、同ピッチPが5倍であり、圧縮状態の螺旋線状部19の長さが200mmであると、伸張状態の螺旋線状部19の長さは、1000mmとなる。
【0020】
図2に、ストッパ21の変形例が示されている。この変形例によるストッパ22は、図1に示すストッパ21と同じ位置のところにあって、ハウジング11内を半径方向に横断している1つの丸棒状のものである。このストッパ22によっても、図1に示す2つのストッパ21と同じ機能を果たすことができる。
【0021】
図3および図4に、上記した粉体クリーナを備えた粉体搬送装置が示されている。粉体搬送装置は、搬送要素であるホッパ31を備えている。ホッパ31の頂壁中央部には、逆L字状供給パイプ32の出口が接続されている。
【0022】
供給パイプ32の屈曲部に差し掛かる手前には、左斜め下向きにのびた第1取付筒41が連通状に設けられ、これに、第1粉体クリーナ51が装備されている。第1粉体クリーナ51のクリーナ部材18は、伸張状態であり、供給パイプ32の屈曲部にそうように逆L字状に屈曲させられている。クリーナ部材18の圧縮・伸張は、上記したようにモータ17の作動によって行われ、これにより、例えば、供給パイプ32の屈曲部の内面に付着していた粉体Sが除去される。ホッパ31の胴壁高さの中程には第2取付筒42が連通状に設けられ、これに、第2粉体クリーナ52が装備されている。第2粉体クリーナ52の伸張状態のクリーナ部材18は、ホッパ31のテーパ状底壁内面にそうようにのびている。図3に加えて、図4を参照すると、ホッパ31のテーパ状底壁の接線方向にのびた第3取付筒43が示されている。但し、図4には、第2取付筒42等の図示は省略されている。第3取付筒43には、第3粉体クリーナ53が装備されている。第3粉体クリーナ53のクリーナ部材18は、ホッパ31底壁の周方向に伸張させられて、ほぼ円を描いている。
【0023】
回転するクリーナ部材18は、付着した粉体Sを攪拌し、粉体Sの流動性を促す。流動性が改善されれば、クリーナ部材18をハウジング11内に収納しておく。クリーナ部材18の圧縮・伸張は、必要に応じて行うか、定期的に繰り返し行うようにしてもよい。クリーナ部材18の回転は、モータ17によってもよいが、頻度が少ない場合は、手動によって行うようにしてもよい。
【0024】
図5は、図1に示す粉体クリーナの変形例を示すものである。図5において、図1に示す部分と対応する部分には同一の符号を付けて示す。
【0025】
この変形例による粉体クリーナは、比較的長い長さの螺旋線状部19を備えている場合に適している。このような螺旋線状部19に対しては、回転体14の回転トルクが螺旋線状部19の先端部までスムーズに伝達されない可能性がある。螺旋線状部19の弾性により、螺旋線状部19が変形してトルクを吸収するからである。また、螺旋線状部19が伸びる際は、螺旋線状部19の外径が膨らみ、ハウジング11の内面と接触し摩擦力が発生するし、縮む際は、ねじれが発生する。これを防止するために、回転体14を以下の通りに構成している。
【0026】
回転体14は、図1に示す回転軸15および回転板16に加えて、回転ガイド筒61を備えている。ガイド筒61は、二重管構造のものであって、ハウジング11とそれぞれ同心状に配置されている内筒71および外筒72よりなる。内筒71および外筒72相互間のスペースに、螺旋線状部19が伸縮自在に収容されている。内筒71および外筒72の左端部は、回転板16の右側面外周縁部に固着されている。内筒71の右端開口縁部には、ドライベアリング73が固定されている。ドライベアリング73は、支持部材74によって回転自在に支持されている。支持部材74は、ドライベアリング73にはめ入れられている小径軸部75と、小径軸部75の右端にこれと一体的に設けられかつ両ストッパ21によって挟み止められている大径軸部76とよりなる。
【0027】
回転体14をこのような構造にすることにより、螺旋線状部19はストッパ21の近くまで一緒に回転させられるガイド筒61によって案内される。これにより、上記した余計な摩擦力やねじりが防止され、螺旋線状部19が長くてもこれに回転トルクがスムーズに伝達される。
【0028】
上記の通り、クリーナ部材18は、短い収納スペースにもかかわらず、充分な長さまで伸張させることができる。クリーナ部材18をハウジング11に収納しておけば、粉体Sの流れに支障を来すことは無い。クリーナ部材18の伸張長さは自在に設定できるため、細長いパイプのようなものにも対応可能である。クリーナ部材18の伸張の際に、先が曲がっていたり、傷害物があっても、クリーナ部材18のバネの性質上、クリーナ部材18は問題なく回転する。
【0029】
上記のおいて、粉体クリーナの数およひその取付位置は、必要に応じて、変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明による粉体クリーナの縦断面図である。
【図2】同粉体クリーナのストッパの変形例を示す側面図である。
【図3】同粉体クリーナを備えた粉体搬送装置の垂直縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線そう水平断面図である。
【図5】この発明による変形例を示す粉体クリーナの縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
11 ハウジング
12 ハウジング端壁
14 回転体
18 クリーナ部材
19 螺旋線状部
21、22 ストッパ
31 ホッパ
32 パイプ
51〜53 粉体クリーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端壁12を有する筒状ハウジング11と、ハウジング11内に備えられかつハウジング軸線と同心状回転軸線を有している回転体14と、圧縮・伸張を可能とする螺旋線状部19を有しかつ回転体14とともに回転しうるように螺旋線状部19の一端部が回転体14に連結されている円筒コイルばね状クリーナ部材18と、螺旋線状部19を内外から摺接させうるようにハウジング11の開口縁部に半径方向内方突出状に設けられているストッパ21、22とを備えており、圧縮状態の螺旋線状部19がハウジング11内のストッパ21、22よりも軸方向内側に収納されうるとともに、伸張状態の螺旋線状部19がハウジング11外に突出しうるようになされている粉体クリーナ。
【請求項2】
回転体14に、螺旋線状部19の内面および外面の少なくともいずれか一方にハウジング軸方向に摺接させられかつ螺旋線状部19の圧縮・伸張を案内するガイド部材61が設けられている請求項1に記載の粉体クリーナ。
【請求項3】
ガイド部材61が、ハウジング11と同心状に配置された内筒71および外筒72よりなり、内筒71および外筒72相互間のスペースに螺旋線状部19が収容されている請求項2に記載の粉体クリーナ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の粉体クリーナ51〜53を備えた粉体搬送装置であって、伸張状態の螺旋線状部19を粉体搬送要素31、32の搬送面に摺接させうるようにハウジング11が粉体搬送要素31、32に装備されている粉体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−168894(P2006−168894A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362197(P2004−362197)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000241555)豊菱産業株式会社 (15)
【出願人】(396014212)
【Fターム(参考)】