説明

粉末材を利用した溶接ヒュームの回収方法

【課題】溶接ヒュームの回収率が低下せず、効率的に溶接ヒュームを回収する方法を提供する。
【解決手段】塩化ビニルパイプ3から吸引することによって、溶接装置から発生した溶接ヒューム5をシリコンホース6を経由して、アクリル樹脂製容器内4に取り込み、所定量の溶接ヒューム吸着用粉末材2をポリエチレンロート1から溶接ヒューム5が充填しているアクリル樹脂製容器内4に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材2に溶接ヒューム5を吸着させ、溶接ヒュームの回収を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
溶接ヒュームは、溶接材料(溶接棒、溶接ワイヤ)に含まれている有機材料の燃焼物や、金属が蒸発、酸化した微細な粉塵で、煙状であるので、溶接作業者に有害であることが指摘されている。溶接ヒュームの回収技術は極めて重要な技術分野である。
【0002】
この発明は、溶接ヒュームの回収技術に係り、溶接ヒュームの回収方法としては、主にフィルタ式、電気集塵式、湿式があるが、溶接作業環境では、溶接ヒュームが一度に多量の溶接ヒュームを発生するため、効率的に溶接ヒュームを回収できない等の様々な問題がある。
【0003】
そこで、短時間で溶接ヒュームの回収率、作業効率が低下しない等の溶接ヒューム回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0004】
溶接ヒュームの回収方法は、主に電気集塵式、フィルタ式、湿式で溶接ヒュームの回収を行っている。
【特許文献1】特開2002−210561 溶接ヒューム回収装置
【特許文献2】特開2000−254428 溶接ヒューム回収装置
【特許文献3】特開2001−062589 溶接作業台装置
【特許文献4】特開2000−157821 溶接ヒューム捕集用湿式集塵機
【非特許文献5】「溶接ヒュームの手引」株式会社 進和商會
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶接ヒューム回収装置は、主にフィルタ式、電気集塵式、湿式があり、一度に多量の溶接ヒュームを回収するため、装置の大型化、据え置き型が多く、溶接ヒューム回収装置における移動性等に問題がある。
【0006】
フィルタ式のヒューム吸引装置は短時間でフィルタが目詰まりし、溶接ヒューム回収率の低下とともに、溶接作業を中断してフィルタの清掃や交換等を行うため、作業効率が悪く、コスト高である。
【0007】
電気集塵式は多量に発生した溶接ヒュームにより、電極が絶縁状態になり、回収率が低下するため、短時間周期で溶接作業中断電極清掃を繰り返すことになる。そのため、作業効率が悪く、コスト高である。
【0008】
湿式は、溶接ヒュームを溶液に回収するため、溶接ヒュームを回収した溶液において、多くの汚染物質を含有する排液処理、排理液の管理等の問題があるため、作業効率が悪く、コスト高である。
【0009】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、溶接ヒュームが発生する溶接作業において、短時間で溶接ヒュームの回収率、作業効率が低下せず、湿式を使用しない方法で、効率的に溶接ヒュームを回収方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するために、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項2の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、溶接ヒューム吸着用粉末材をノズル内部に接触させながら、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項3の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項4の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項5の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項6の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をガラスパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項7の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項8の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項9の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項10の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項11の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項12の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項13の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項14の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項15の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項16の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。

また、請求項17の発明は、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法よりなるものである。
【発明の効果】
【0011】
以上の記載より明らかなように、請求項1によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項2によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、溶接ヒューム吸着用粉末材をノズル内部に接触させながら、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項3によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項4によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項5によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項6によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をガラスパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項7によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項8によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項9によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項10によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項11によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項12によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項13によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項14によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項15によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項16によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。

以上の記載より明らかなように、請求項17によれば、溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法によって、効率的に溶接ヒュームを回収することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明をより具体的に説明する。
【0013】
ここで、図1は、溶接ヒューム吸着用粉末材を添加する溶接ヒューム回収方法の概略図である。
【0014】
図1において、掃除機に接続した塩化ビニルパイプ3から吸引することによって、溶接装置から発生した溶接ヒューム5をシリコンホース6を経由して、アクリル樹脂製容器内4に取り込み、所定量の溶接ヒューム吸着用粉末材2をポリエチレンロート1から溶接ヒューム5が充填しているアクリル樹脂製容器内4に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材2に溶接ヒューム5を吸着させ、遠心分離式の掃除機で回収分離後の排気中に残存する溶接ヒューム5を掃除機内のフィルタで捕捉し、その重量を測定してヒュームの回収率を調べた。
【0015】
評価について、×(不合格)は、溶接ヒューム回収率50%より小さい場合、○(合格)は、回収率が50%以上の場合である。
【0016】
ポリエチレンロート1は、口径120mm×足外径15mm×足長100mmのロートである。
【0017】
溶接ヒューム吸着用粉末材2は、ポリエチレンロート1を通して、溶接ヒューム5が吸引されているアクリル樹脂製容器4に添加される。
【0018】
塩化ビニルパイプ3は、外径41mmX内径37.5mmX長さ700mmで、遠心分離式の掃除機に接続し、溶接ヒューム5を吸引する。
【0019】
アクリル樹脂製容器4は、外径300mmX内径290mmX長さ1000mmの形状のアクリル樹脂製容器であり、溶接ヒューム5を取り込み、溶接ヒューム5を添加した溶接ヒューム吸着用粉末材2に吸着させる容器である。
【0020】
溶接ヒューム5は、溶接装置から発生させ、シリコンホース6からアクリル樹脂製容器4を通り、遠心分離式の掃除機に吸引される。
【0021】
シリコンホース6は、外径37mmX内径25.4mmX長さ10mで溶接装置に接続している。
【0022】
図2は、溶接ヒューム吸着用粉末材、ノズルの組み合わせによる溶接ヒューム回収方法の概略図である。
【0023】
図2において、掃除機に接続した塩化ビニルパイプ3から吸引することによって、溶接装置から発生した溶接ヒューム5をシリコンホース6を経由して、アクリル樹脂製容器内4に取り込み、所定量の溶接ヒューム吸着用粉末材2をノズル1の内部に接触させながら、溶接ヒューム吸着用粉末材2を溶接ヒューム5が充填しているアクリル樹脂製容器内4に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材2に溶接ヒューム5を吸着させ、遠心分離式の掃除機で回収分離後の排気中に残存する溶接ヒューム5を掃除機内のフィルタで捕捉し、その重量を測定してヒュームの回収率を調べた。
【0024】
評価について、溶接ヒューム回収率70%より小さい場合は不合格、回収率が70%以上の場合は合格とした。
【0025】
ノズル1は、ガラスパイプ(外径14mmX内径11.6mmX長さ1000mm)、塩化ビニルパイプ(外径13mmX内径9mmX長さ1000mm)、ナイロンパイプ(外径30mmX内径15mmX長さ350mm)、アクリル樹脂パイプ (外径26mmX内径20mmX長さ1000mm)である。
【0026】
溶接ヒューム吸着用粉末材2は、ノズル1を通して、溶接ヒューム5が吸引されているアクリル樹脂製容器4に添加される。
【0027】
塩化ビニルパイプ3は、外径41mmX内径37.5mmX長さ700mmで、遠心分離式の掃除機に接続し、溶接ヒューム5を吸引する。
【0028】
アクリル樹脂製容器4は、外径300mmX内径290mmX長さ1000mmの形状のアクリル樹脂製容器であり、溶接ヒューム5を取り込み、溶接ヒューム5を添加した溶接ヒューム吸着用粉末材2に吸着させる容器である。
【0029】
溶接ヒューム5は、溶接装置から発生した溶接ヒューム5をシリコンホース6からアクリル樹脂製容器4を通り、遠心分離式の掃除機に吸引される。
【0030】
シリコンホース6は、外径37mmX内径25.4mmX長さ10mで溶接装置に接続している。
【実施例】
【0031】
図1より、ポリエチレンロートに設置して、ポリエチレンロートから所定の溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填しているアクリル樹脂製容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用溶接ヒューム吸着用粉末材材に溶接ヒュームを吸着させ、遠心分離式の掃除機で溶接ヒュームを吸引し、掃除機で回収分離後の排気中に残存する溶接ヒュームが吸着した掃除機内のフィルタ(脱脂綿)を溶接実験前後の重量差を測定し、溶接ヒュームの吸着量を求めた。溶接時間は1分間である。溶接ヒューム吸着用粉末材を添加しない場合における掃除機内のフィルタの溶接ヒューム吸着量と溶接ヒューム吸着用粉末材を添加した場合における上記の溶接ヒューム吸着量を比較して、回収率を調べた。
【0032】
添加した溶接ヒューム吸着用粉末材は、発泡スチロール粉末(粒子径約2mm)、塩化ビニル粉末(粒子径約0.1mm)、フッ素樹脂粉(粒子径約2μm)、木粉(粒子径約0.5mm〜1mm)、デンプン粉末 (粒子径約 0.1mm)、寒天粉末(粒子径約0.1mm)、コーヒー粉末(粒子径約0.1mm)、ヒドロキシステアリン酸(植物油脂)粉末(粒子径約1mm〜2mm)、ヒドロキシエチルセルロース粉末(粒子径約0.1mm)、カルボキシメチルセルロース粉末(粒子径約0.1mm)、ナイロン粉末(粒子径約3mm〜5mm)ガラスビーズ粉末(粒子径約0.1mm)である。 試験の結果は、表1に示す。良好な(回収率が50%以上)結果を得た粉末材は、発泡スチロール粉末、塩化ビニル粉末、フッ素樹脂粉末、木粉、デンプン粉末、寒天粉末、コーヒー粉末、ヒドロキシステアリン酸(植物油脂)粉末、ヒドロキシエチルセルロース粉末、カルボキシメチルセルロース粉末、ナイロン粉末である。ガラスビーズ粉末は良好な結果を得ることができなかった。
【0033】
図2より、所定のノズルを設置して、所定のノズル内部に所定の溶接ヒューム吸着用粉末材を接触させながら、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填しているアクリル樹脂製容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、遠心分離式の掃除機で溶接ヒュームを吸引し、掃除機で回収分離後の排気中に残存する溶接ヒュームが吸着した掃除機内のフィルタ(脱脂綿)を溶接実験前後の重量差を測定し、溶接ヒュームの吸着量を求めた。溶接ヒューム吸着用粉末材はできるだけ、ノズルに接触させながら添加を行った。溶接時間は1分間である。溶接ヒューム吸着用粉末材を添加しない場合における掃除機内のフィルタの溶接ヒューム吸着量と溶接ヒューム吸着用粉末材を添加した場合における上記の溶接ヒューム吸着量を比較して、回収率を調べた。
【0034】
なお、添加した溶接ヒューム吸着用粉末材は、発泡スチロール粉末(粒子径約2mm)、ナイロン粉(粒子径約3mm〜5mm)、コーヒー粉(粒子径約0.1mm)、木粉(粒子径約0.5mm〜1mm)である。
【0035】
ノズルの材質は、ガラスパイプ(外径14mmX内径11.6mmX長さ1000mm)、塩化ビニルパイプ(外径13mmX内径9mmX長さ1000mm)、ナイロン(ナイロンモノマー)パイプ(外径30mmX内径15mmX長さ350mm)、アクリル樹脂パイプ (外径26mmX内径20mmX長さ1000mm)である。表2は、回収率が70%以上の合格した試験結果を示す。表中の○印は、回収率が70%以上の場合を示す。
【0036】
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものでなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明を実施するための最良の形態を示す溶接ヒューム吸着用粉末材を添加する溶接ヒューム回収装置の模式図である。
【図2】この発明を実施するための最良の形態を示す溶接ヒューム吸着用粉末材とノズルを組み合わせた溶接ヒューム回収装置の模式図である。
【図3】表1は、溶接ヒューム吸着用粉末材を添加による溶接ヒューム回収試験の結果である。
【図4】表2は、溶接ヒューム吸着用粉末材、ノズルの組み合わせによる溶接ヒューム回収試験の結果である。
【符号の説明】
【0038】
1 ポリエチレンロート(ノズル)
2 溶接ヒューム吸着用粉末材
3 塩化ビニルパイプ(掃除機に接続)
4 アクリル樹脂製容器
5 溶接ヒューム
6 シリコンホース(溶接装置に接続)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。

【請求項2】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、溶接ヒューム吸着用粉末材をノズル内部に接触させながら、溶接ヒューム吸着用粉末材を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、溶接ヒューム吸着用粉末材に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項3】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項4】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項5】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をガラスパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項6】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をガラスパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項7】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項8】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項9】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項10】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉を塩化ビニルパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項11】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項12】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項13】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をナイロンパイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項14】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、発砲スチロール粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、発砲スチロール粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、発砲スチロール粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項15】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、ナイロン粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、ナイロン粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、ナイロン粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項16】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、コーヒー粉末をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、コーヒー粉末を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、コーヒー粉末に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。
【請求項17】
溶接ヒューム回収方法において、溶接装置から発生した溶接ヒュームを吸引し、容器内に取り込み、木粉をアクリル樹脂パイプノズル内部に接触させながら、木粉を溶接ヒュームが充填している容器内に添加し、木粉に溶接ヒュームを吸着させ、溶接ヒュームを回収分離する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−302411(P2008−302411A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153740(P2007−153740)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000214191)長崎県 (106)
【出願人】(596039970)株式会社長崎鋼業所 (3)