粉末状薬剤吸入デバイス
【課題】使用者が所定の吸入速度を超える速度で吸引した場合には、確実に吸入不能となるデバイスを提供すること。
【解決手段】粉末状薬剤を口から所定の吸入速度範囲で吸入させるためのデバイス1であって、吸入口2と、吸入口2からの吸入に伴ってデバイス1外部の空気がデバイス1内部へ流入する流入口3と、粉末状薬剤含有カプセルを装着可能な台座4を備えた薬剤収納部8と、流入口3と薬剤収納部8を連通する第1の流路5と、薬剤収納部8と吸入口2を連通する第2の流路6、および 呼吸作動式の制御手段7、を備え、制御手段7は、吸入速度が所定の範囲である場合にのみ、前記第1の流路5および第2の流路6を同時に開放し、吸入速度が所定の速度に達しない場合には前記第1の流路5を閉鎖し、また吸入速度が所定の速度の範囲を超えた場合には、前記第2の流路6を閉鎖する制御が可能である。
【解決手段】粉末状薬剤を口から所定の吸入速度範囲で吸入させるためのデバイス1であって、吸入口2と、吸入口2からの吸入に伴ってデバイス1外部の空気がデバイス1内部へ流入する流入口3と、粉末状薬剤含有カプセルを装着可能な台座4を備えた薬剤収納部8と、流入口3と薬剤収納部8を連通する第1の流路5と、薬剤収納部8と吸入口2を連通する第2の流路6、および 呼吸作動式の制御手段7、を備え、制御手段7は、吸入速度が所定の範囲である場合にのみ、前記第1の流路5および第2の流路6を同時に開放し、吸入速度が所定の速度に達しない場合には前記第1の流路5を閉鎖し、また吸入速度が所定の速度の範囲を超えた場合には、前記第2の流路6を閉鎖する制御が可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に、粉末状薬剤を口から所定の吸入速度で吸入させるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
肺への薬剤の投与は、局所的な治療および全身性の治療を目的とした様々な薬剤の投与に非常に有効である。そして、従来より、口からの吸気によって粉末状の薬剤を肺気道内へ送り込むためのデバイスが知られている。
【0003】
そして、このようなデバイスを使用して薬剤を効果的に作用させるためには、製剤の粒子径や分散性などに加え、薬剤の吸入速度の制御が重要である。一般に、ヒトの呼吸速度は、28.3L/minとされており、例えば、特許文献1の吸入器では、吸入速度を20〜60L/min、または40〜80L/minに調整している。その他にも、現在知られているデバイスの多くは、前記ヒトの呼吸速度を基準に設計されている。しかしながら、適切な吸引のためには患者の熟練が必要であり、実際にはうまく吸引できていないことも多い。特に、吸入速度が早すぎる場合には、薬剤は、使用者の口腔内や咽頭部に衝突し、肺深部にまで到達しないという問題がある。この場合、期待している効果が現れないだけではなく、口腔内や喉に残る薬剤が、口腔内感染や声がれのような副作用に繋がることも多い。
【0004】
このような事情から、吸入速度を所望の範囲に制御するための制御手段を備えたデバイスが提案されている。
【0005】
特許文献2では、ピストンおよびスプリングを備えた流れ調整器を有する粉末吸入器が提案されている。この粉末吸入器は、通常、ピストンが吸気ポートをカバーし、使用者が使用した場合に、吸入部分チャンバの内壁に固定されたスプリングによってピストンヘッドが一定速度で後方へ引かれることで、空気流の速度を制御できるとされている。また、ピストンロッドをテーパー加工することも提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2には、実際に吸入速度が具体的にどのような範囲に制御できるのかは示されておらず、さらには、結局のところ吸入速度の調節は、患者自身がデバイスから発生する音を聞いて判断しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2004−508903公報
【特許文献2】特開2008−62080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、使用者が所定の吸入速度を超える速度で吸引した場合には、確実に吸入不能となるデバイスを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、以下のことを特徴とするデバイスを提供する。
【0010】
第1の発明は、粉末状薬剤を口から所定の吸入速度範囲で吸入させるためのデバイスであって、吸入口と、吸入口からの吸入に伴ってデバイス外部の空気がデバイス内部へ流入する流入口と、粉末状薬剤含有カプセルを装着可能な台座を備えた薬剤収納部と、流入口と薬剤収納部を連通する第1の流路と、薬剤収納部と吸入口を連通する第2の流路、および呼吸作動式の制御手段、を備え、制御手段は、吸入速度が所定の範囲である場合にのみ、前記第1の流路および第2の流路を同時に開放し、吸入速度が所定の速度に達しない場合には前記第1の流路を閉鎖し、また吸入速度が所定の速度の範囲を超えた場合には、前記第2の流路を閉鎖する制御が可能である。
【0011】
第2の発明は、第1の流路と第2の流路は、台座が配設された薬剤収納部で折り返して略平行に設けられており、制御手段は、デバイス内部に固定された弾性体と、この弾性体と連結するとともに、第1の流路および第2の流路を閉鎖可能な略T字状の閉鎖片とを有する。
【0012】
第3の発明は、閉鎖片は、回動軸部と、回動軸部から延設される脚部と、脚部の先端に設けられる弁とを有し、弁は、薬剤収納部へと向かう第1の流路の出口を閉鎖可能な第1の弁と、薬剤収納部から第2の流路への入り口を閉鎖可能な第2の弁とが一体に形成されており、吸入速度が所定の範囲を超えた場合に、閉鎖片は、回動軸部を基点とした回動によって第2の流路側へ回動し、これによって、第1の弁が第1の流路側のデバイス内壁から離れるとともに、第2の弁が第2の流路側のデバイス内壁へ接近、当接することで、第2の流路が閉鎖される。
【0013】
第4の発明は、デバイスは、薬剤収納部に回動自在な羽根車を備え、この羽根車の上に台座が設けられている。
【0014】
第5の発明は、デバイスは、吸入口、流入口、薬剤収納部、第1の流路、第2の流路および制御手段を有する本体と、ガイド片を備えるスライドカバーとを有し、本体は、スライドカバーから引き出し自在であるとともに、ガイド片は、スライドカバー内側に突出しており、本体の引き出しに伴って、台座がガイド片によって所定の向きに誘導、固定されて露出する。
【0015】
第6の発明は、スライドカバーは、操作針を備え、操作針は、台座に装着された粉末状薬剤含有カプセルの外壁を貫通させて貫通孔を形成可能である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、使用者が所定の吸入速度範囲に到達しない速度、もしくはそれを超える速度で吸引した場合には、確実に吸入不能となる。
【0017】
第2の発明によれば、デバイスを小さく設計することが可能であり、さらに前記効果が効率的に発揮される。
【0018】
第3の発明によれば、デバイスを小さく設計することが可能であり、さらに確実に吸入速度の制御が可能である。
【0019】
第4の発明によれば、上記の効果に加え、吸引が可能な速度範囲においてのみ、効率的に薬剤を放出することができる。
【0020】
第5の発明によれば、デバイスを小さく設計することが可能であり、薬剤を収納部に容易に収納することができ、デバイスの使い勝手が良好になる。
【0021】
第6の発明によれば、台座に装着されたカプセルに確実に貫通孔を設けることができ、吸引時には、この貫通孔から薬剤を確実に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)(B)は、本発明のデバイスの一実施形態を例示した斜視図である。
【図2】本発明のデバイスの内部構造の一実施形態を例示した概要図である。
【図3】台座および羽根車の一実施形態を例示した斜視図である。
【図4】本発明のデバイスの制御手段による吸入制御方法の一実施形態を例示した概要図である。
【図5】本発明のデバイスの一実施形態を例示する分解斜視図である。
【図6】本発明のデバイス一実施形態として、スライド機構を有する形態を例示した内部透視図である。
【図7】図6に対応する内部斜視図である。
【図8】スライドカバーのコーナー部の内部を例示した透視図である。
【図9】本発明のデバイスの一実施形態を例示した内部概略図である。
【図10】図9に例示した実施形態に対応する内部斜視図である。
【図11】デバイスを使用しないで吸引した場合の吸入速度と時間を示す図である。
【図12】本発明のデバイスを使用して吸引した場合の吸入速度と時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のデバイスについて、図面を用いて説明する。
【0024】
図1(A)(B)は、本発明のデバイスの一実施形態を例示した斜視図である。本発明のデバイス1は、使用者に粉末状薬剤を経口吸入させるためのデバイスである。
【0025】
デバイス1は、長箱状に設計されており、先端にはマウスピース21を取り付けることができる。デバイス1の形状は適宜設計することができ、例えば、使用者が手で保持し易い形状に設計することが考慮される。デバイス1の大きさも適宜設計することができるが、ヒトの手より小さくすることが好ましい。
【0026】
図2は、本発明のデバイスの内部構造の一実施形態を例示した概要図である。デバイス1は、吸入口2と、デバイス1の内部に裏側から空気を供給する流入口3と、薬剤カプセルを搭載する台座4と、流入口3と台座4を連通する第1の流路5と、台座4と吸入口2とを連通する第2の流路6、および呼吸作動式の制御手段7を備えている。
【0027】
第1の流路5は、流入口3から薬剤収納部8へと通じ、薬剤収納部8は、第2の流路6へと通じている。第2の流路6は、吸入口2へと通じている。第1の流路5と第2の流路6は薬剤収納部8で折り返すヘアピン状であり、互いに略平行に配設されている。さらに、第1の流路5と第2の流路6の間には、隔壁9が設けられており、これによって、第1の流路5と第2の流路6が隔てられている。
【0028】
吸入口2は、デバイス1の長尺方向の端部に設けられている。吸入口2には、適宜、マウスピース(図2において図示していない)を取り付けることができ、使用者は、吸入口2から、直接またはマウスピースを介して、薬剤を吸入することができる。吸入口2の大きさ、形状等は特に限定されず、マウスピースを取り付ける場合には、マウスピースの形状、大きさなどに対応させて設計することができる。
【0029】
使用者が吸入口2から吸引を開始すると、デバイス1外部の空気が流入口3を介してデバイス1内部に流入する。本発明のデバイス1は、吸入口2および流入口3の他は外部と通じていないことが望ましい。流入口3から流入した空気は直ちに第1の流路へ流れる。流入口3の形状等は適宜設計することができる。
【0030】
図3は、羽根車を備えた台座の一実施形態を例示した斜視図である。
【0031】
薬剤収納部8には、回転自在な羽根車10が設けられている。羽根車10は複数の羽10aを有し、流入口3から流入した空気を受けて回転する。羽根車10の羽10aの数や形状は、設定した吸入速度、薬剤量、流入口3から流入する空気量、空気抵抗等を考慮して適宜設計することができる。
【0032】
この羽根車10の上には、粉末状薬剤含有カプセルを装着するための台座4が設けられている。台座4の形状は、カプセルの形状に対応させることができる。例えば、台座4の側面が、湾曲面4aと平行面4bとによって一体に形成された、断面略楕円形状とすることができる。台座4の大きさは、羽根車10の径よりも小さく設計されている。
【0033】
そして、台座4は、羽根車10の回転と連動して回転し、装着されたカプセル内部の粉末状薬剤を、遠心力によって台座4の外へ微細な粉末として拡散、放出する。この場合、粉末状薬剤含有カプセルには、薬剤を放出するための貫通孔を設ける。さらに、台座4の周囲には、薬剤を効率的に放出させるための切欠け状の開孔4cを1または2以上設けることができる。開孔4cの形状、大きさは適宜設計することができ、例えば円形に設計することもできる。開孔4cの配設位置も適宜設計することができるが、薬剤放出の効率性から、台座4の湾曲面4aに設けることが好ましい。そして、薬剤収納部8は、前記羽根車10および台座4が回転可能な空間として形成されている。
【0034】
以上のようにデバイス1を設計することで、吸入口2からの吸引によって流入口3から流入した空気は、図2の矢印に示すように、第1の流路5を通って薬剤収納部8へ到達し、薬剤収納部8に設けられた台座4の薬剤を放出させ、この薬剤を伴った空気が、第2の流路6を通って吸入口2から排出されて、使用者に吸引される。
【0035】
そして、デバイス1は、呼吸作動式の制御手段7によって、使用者の吸入速度を制御することができる。吸入速度が所定の速度以下である場合には、制御手段7によって前記第1の流路5が閉鎖状態となる。制御手段7は、吸入速度が適切な範囲内の場合にのみ、第1の流路5および第2の流路6を同時に開放し、吸入速度が所定速度以上になった場合には、第2の流路6を閉鎖する制御が可能である。
【0036】
ここで、流路の「閉鎖」とは、流路が完全に塞がれる状態のみならず、使用者が吸引を困難と感じる程度に流路が塞がれる状態も含む。また、デバイス1の吸入速度は、適宜設定することができる。好ましくは、20〜50L/minの範囲で決定することができる。
【0037】
図4は、本発明のデバイスの制御手段による吸入制御方法の一実施形態を例示した概要図である。
【0038】
制御手段7は、デバイス1内部に固定された弾性体71と、この弾性体71と連結し、第1の流路5および第2の流路6を閉鎖可能な略T字状の閉鎖片72とによって形成されている。閉鎖片72は、隔壁9と隣接している。また、弾性体71としては、各種バネ等を適宜使用することができる。
【0039】
より具体的には、閉鎖片72は、回動軸部721と、回動軸部721から延設される脚部722と、脚部722の先端に、デバイス内壁W1、W2方向へ突出する弁723を有しており、これらがひとつの閉鎖片72として一体化している。弾性体71の端部は、脚部722の側面に固定されている。
【0040】
弁723は、薬剤収納部8へと向かう第1の流路5の出口を閉鎖可能な第1の弁723aと、薬剤収納部8から第2の流路6への入り口を閉鎖可能な第2の弁723bとが一体に形成されている。第1の弁723aと、第2の弁723bの先端には、屈曲部724が設けられている。
【0041】
そして、制御手段7は、非吸入時においては、図4(A)に例示するように、弾性体71の力によって第1の弁723aの先端の屈曲部724が、デバイス内壁W1と当接し、第1の流路5が閉鎖された状態になっている。屈曲部724によって、確実な閉鎖が可能である。また、閉鎖片72の脚部722の側面の一部は、隔壁9と当接している。一方、第2の弁723bは、デバイス内壁W2と離間した状態になっている。
【0042】
使用者が吸入口2から吸入を始め流入口3から第1の流路5へ空気が流入すると、第1の弁723aは、空気抵抗を受けて弾性体71の力を抑え、回動軸部721を基点として第2の流路6側へ回動する。すなわち、第2の弁723bがデバイス内壁W2へ接近するにしたがって、第1の弁723aはデバイス内壁W1から離間していく。
【0043】
より厳密に言えば、使用者が吸入を開始するために吸入口2へ印加した負圧が第1の弁723aの吸入口2側にかかるために当該弁723aが開く。空気の流通の間、第1の弁723aの表裏面にかかる圧力差と弾性体71の反発力などによる反対向きの力が平衡した状態で第1の弁723の位置が定まる。もちろん第2の弁723bにもやはり流路を流れる空気の圧力がかかるので、より厳密にはこれら全体を含む弾性体−弁系の平衡状態を考慮して設計されている。
【0044】
したがって、適正速度で吸入している場合には、図4(B)に示すように、第1の弁723aがデバイス内壁W1から離間し、同時に、第2の弁723bもデバイス内壁W2から離間した状態となる。これによって、第1の流路5から通過した空気は、第1の弁723aが離間した隙間から薬剤収納部8へ流れ出て、薬剤収納部8で羽根車10を回転させて、台座4の薬剤を放出させる。そして、薬剤を伴った空気は、第2の弁723bとデバイス内壁W2との隙間から第2の流路6へ流れ、吸入口1から排出されて使用者に吸引される。
【0045】
吸入を停止した場合、または、吸入速度が適正速度以下になった場合には、再び、図4(A)に示す状態へと戻る。
【0046】
そして、吸入速度が適正速度以上になった場合には、適正速度時に比べて、流入口3から流入する空気の量が増加する。したがって、第1の弁723aは、さらに強い空気抵抗を受けるとともに、第2の弁723bも薬剤収納部8から流れる空気の空気抵抗を受け、閉鎖片72は、弾性体71の力を抑えて第2の流路6側へさらに回動する。このため、図4(C)に例示するように、第2の弁723bの先端の屈曲部724がデバイス内壁W2へ接近、当接し、第2の流路6は、薬剤収納部8からの入り口付近において閉鎖される。ここでも、屈曲部724によって、第2の流路6は確実に閉鎖されている。したがって、吸入口2からの吸入が不能になり、流入口3からの空気の流入も停止する。
【0047】
別の言い方をすれば、使用者が過剰な吸入圧(負圧)を印加した場合、2つの弁723a、723bの夫々で弁の表裏面の圧力差が更に増大し、弾性体−弁系の平衡状態位置が第2の流路6を狭くする側に移動する。これにより、吸入圧をある程度以上大きくすると流量が次第に低下し、最終的には、閉鎖片72が第2の流路6を完全に閉鎖するとき、流量がゼロになる。また、弾性体−弁系のこのような動作により、吸入圧をある程度以上大きくすると、流量が逆に急激に低下するため、使用者が受ける吸入抵抗、つまり抵抗感は急激に大きくなる。なお、吸入を開始するときも、吸入圧を大きくしていくと、第1の流路5が大きく開き出してある程度以上の流量となった時点で、使用者が受ける抵抗感が急に小さくなる。このようなフィードバックが使用者の呼吸器に直接提供されるとともに、「流量が適正範囲にある範囲≒使用者が受ける抵抗感が小さい範囲」という関係が成立するため、使用者は流路5、6が十分に開いている状態、つまり流量が適正である範囲に吸入圧を維持することが非常に容易になる。
【0048】
そして、吸引速度を弛め、適正範囲になると、再び、弾性体71の作用で閉鎖片72が第1の流路5側へ戻される。すなわち、図4(B)に示したように、第1の弁723aがデバイス内壁W1から離間し、同時に、第2の弁723bもデバイス内壁W2から離間した状態となる。したがって、再び、適正な吸入速度で薬剤の吸引が可能になる。
【0049】
このように、本発明のデバイス1は、適正な吸入速度でのみ吸入が可能であり、所定の吸入速度以上になった場合には、確実に吸引不能となる。したがって、吸引された薬剤が使用者の口腔内や咽頭部に衝突することを防止することができ、薬剤を確実に肺深部にまで到達させることができる。
【0050】
そして、本発明のデバイス1は、前記のとおり、使用者の吸引速度に応じて、吸入状態および吸入不能状態が連続的に変化し得る。このため、使用者は、吸入速度が適正な速度となるように、すなわち、吸引時には、デバイスが図4(B)の状態となるように、自らの吸入速度を調整するように努めることになる。したがって、本発明のデバイス1は、使用者が適切な呼吸速度を自然と身につけるという学習効果も発揮する。
【0051】
また、弾性体71は、設定した吸入速度、第1の弁723a、第2の弁723bの大きさ、空気抵抗などを考慮して、上記の通りの第1の流路5、第2の流路6の開放、閉鎖による制御が実現するように、材料、形状などが設計される。また弾性定数を調整することによって、薬剤吸入を可能とする吸引速度を任意に設定することができる。
【0052】
図5は、本発明のデバイスの一実施形態を例示する分解斜視図である。
【0053】
上記のような吸入速度制御機構を備えた本発明のデバイス1は、様々な形態であってよいが、好ましくは、スライド機構を有するものとして、前記吸入口2、台座4、制御手段7などを有する本体11と、スライドカバー12とを有するものとすることができる。図5では、スライドカバー12に、ガイド片15、操作針16が設けられている。
【0054】
この形態においては、例えば、本体11の外側面と、これに対応するスライドカバー12の内側面に凹凸溝等を設けて嵌合させ、本体11をこの溝に沿って引き出すことで、台座部4をデバイス外部に露出させることができる。露出した台座4には、容易に薬剤カプセルを装着することができる。このとき、スライド機構はその他の各種の機構であってよいが、特に、上記制御手段7が確実に機能するように、デバイス1内部の密閉性を確保し得る構造とする。
【0055】
図6は、本発明のデバイス一実施形態として、スライド機構を有する形態を例示した内部透視図である。図7は、図6に対応する内部斜視図である。図8は、スライドカバーのコーナー部の内部を例示した透視図である。図6、図7においては、図2、図4を用いて説明した点については、一部符号および説明を省略する。
【0056】
本体11は、吸入口2とは反対側の引き出し端部13を後方へ引き出すことで、スライドカバー12から内部が露出する。
【0057】
スライドカバー12には、引き出し端部13側のコーナー部14(図8に図示)に、内側に突出するガイド片15が設けられている。ガイド片15は、スライドカバー12の側面12a側から引き出し端部13側へ下る傾斜面15aと、スライドカバー12の側面12aと略平行な固定面15bを有している。また、図7に例示するように、ガイド片15(15a,15b)は、スライドカバー12上面から垂直方向に所定の長さで、台座4と同一平面上に形成されている。したがって、羽根車10の回転を妨げることがないように設計されている。
【0058】
本発明のデバイス1にスライド機構を設けて台座4を引き出す場合、台座4は、羽根車10によって回転するため、薬剤カプセルを装着する際の安定性を欠くことが考慮されるが、前記ガイド片15によって、台座4の安定性を確保することができる。
【0059】
具体的には、図6、図7に例示したように、(A)スライドカバー12から本体11を引き出すと、湾曲面4aと平行面4bを有する長筒状の台座4の湾曲面4aが、ガイド片15の傾斜面15aに当接する。この状態では、台座4は引き出し端部13に対して任意方向を向いている。(B)さらに本体11を引き出すと、ガイド片15の傾斜面15aに沿って、台座4の長軸方向がスライドカバー12の側面12aと略平行な方向に誘導される。そして、(C)本体11の引き出しが完了すると、台座4の平行面4bとガイド片15の固定面15bとが当接して、台座4の長軸方向が、スライドカバー12の側面12aと略平行な方向に固定される。前記固定面15bによって、台座4の向きが固定されているため、羽根車10は回転不能な状態となっている。したがって、台座4が安定しており、台座4に薬剤カプセルを簡便に装着することができる。
【0060】
なお、ガイド片15の大きさ、傾斜角などは、台座部の形状、大きさ、固定方向等に対応させることができる。例えば、傾斜角は、5〜45°の範囲で設計することが好ましい。傾斜角が小さい場合には、デバイス1が大型化し、また傾斜角が大きすぎる場合には、台座部4が傾斜面15aに沿って円滑に動かない場合があるからである。
【0061】
図9は、本発明のデバイスの一実施形態を例示した内部概略図である。
【0062】
本発明のデバイス1は、デバイス1内部の適宜位置に操作針16を設けることができる。操作針16は、操作部16aの押し戻し操作によって台座4に保持されたカプセル17への操作針16の刺込みと引き抜きを自在に操作することができる。
【0063】
例えば、図6、図7に例示したように、本発明のデバイス1がスライド機構を有する場合には、以下のように操作針16を操作することができる。
【0064】
まず、図9(A)に例示するように、デバイス1の本体11を引き出し、台座4の方向を調整する。図9(A)では、前記のとおり、ガイド片15の固定面15bによって、台座4の長軸方向がスライドカバー12の側面12aと略平行な方向に調整されている。この台座に薬剤カプセル17を装着する。
【0065】
次に、図9(B)に例示するように、本体11を前方に押し出してスライドカバー12に挿入し、台座4を所定の位置に配置する。このとき、台座4は、前記のように調整された向きが維持され、台座4の湾曲面4aに設けられた開口4cは、操作針16と対峙している。
【0066】
そして、図9(C)に例示するように、操作部16aの押し出しによって開口4cから薬剤カプセル17へ操作針16を差し込んで、カプセル17の外壁を貫通させて貫通孔を開ける。前記のように、台座4の向きが調整されていることで、確実にカプセル17の頂部17aを捉えることができる。したがって、再現性良く、カプセル17の同じ位置に貫通孔を開けることができる。その後、図9(D)に例示するように、操作針16をカプセル17から引き抜く。カプセル17に開けた貫通孔から、内包された薬剤を放出させることができる。
【0067】
図10は、図9に例示した形態に対応する内部斜視図である。図10にも示すように、台座4は、湾曲面4aの開口4cが操作針16と対峙するように配置され、開口4cから操作針16の差し込み、引き抜きが可能である。なお、図10では、薬剤カプセルの記載を省略している。
【0068】
なお、薬剤カプセルの貫通孔は、1または2以上設けることができ、放出する薬剤の量に応じて適宜決定することができる。また、カプセル17の外壁を1度に2箇所貫通させて形成することもできる。さらに、操作針16は、先端が鋭角に形成されたものを好ましく例示することができる。また、錐状、多面カット状の針も適宜使用することができる。
【0069】
なお、本発明は、以上の通りの実施形態に限定されることはなく、細部については様々な形態が可能である。
【実施例】
【0070】
本発明のデバイスの効果を確認するため、ヒトによる吸入実験を行った。比較例として、デバイスを使用せずに、薬剤吸入を想定して大きく息を吸い込んだ場合の吸入速度を測定した。
【0071】
結果は、図11に示すように、吸入速度は、40-50L/minに達し、吸引時間は、2秒も継続しなかった。
【0072】
一方、本発明のデバイスを使用した実施例では、吸入速度が35L/min以上になった場合には、制御手段によって、第2の流路が閉鎖されるように設計した。
【0073】
結果は、図12に示すように、吸入速度が速くなりすぎると瞬時に流路が遮断され、それ以降20-30L/minの適正な吸入速度で、4-5秒にわたってゆっくり吸引できることが確認された。
【符号の説明】
【0074】
1 デバイス
2 吸入口
3 流入口
4 台座
4a 湾曲面
4b 平行面
4c 開孔
5 第1の流路
6 第2の流路
7 制御手段
71 弾性体
72 閉鎖片
721 回動軸部
722 脚部
723 弁
723a 第1の弁
723b 第2の弁
724 屈曲部
8 薬剤収納部
9 隔壁
10 羽根車
10a 羽
11 本体
12 スライドカバー
13 引き出し端部
14 コーナー部
15 ガイド片
15a 傾斜面
15b 固定面
16 操作針
16a 操作部
17 薬剤カプセル
W1,W2 デバイス内壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に、粉末状薬剤を口から所定の吸入速度で吸入させるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
肺への薬剤の投与は、局所的な治療および全身性の治療を目的とした様々な薬剤の投与に非常に有効である。そして、従来より、口からの吸気によって粉末状の薬剤を肺気道内へ送り込むためのデバイスが知られている。
【0003】
そして、このようなデバイスを使用して薬剤を効果的に作用させるためには、製剤の粒子径や分散性などに加え、薬剤の吸入速度の制御が重要である。一般に、ヒトの呼吸速度は、28.3L/minとされており、例えば、特許文献1の吸入器では、吸入速度を20〜60L/min、または40〜80L/minに調整している。その他にも、現在知られているデバイスの多くは、前記ヒトの呼吸速度を基準に設計されている。しかしながら、適切な吸引のためには患者の熟練が必要であり、実際にはうまく吸引できていないことも多い。特に、吸入速度が早すぎる場合には、薬剤は、使用者の口腔内や咽頭部に衝突し、肺深部にまで到達しないという問題がある。この場合、期待している効果が現れないだけではなく、口腔内や喉に残る薬剤が、口腔内感染や声がれのような副作用に繋がることも多い。
【0004】
このような事情から、吸入速度を所望の範囲に制御するための制御手段を備えたデバイスが提案されている。
【0005】
特許文献2では、ピストンおよびスプリングを備えた流れ調整器を有する粉末吸入器が提案されている。この粉末吸入器は、通常、ピストンが吸気ポートをカバーし、使用者が使用した場合に、吸入部分チャンバの内壁に固定されたスプリングによってピストンヘッドが一定速度で後方へ引かれることで、空気流の速度を制御できるとされている。また、ピストンロッドをテーパー加工することも提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2には、実際に吸入速度が具体的にどのような範囲に制御できるのかは示されておらず、さらには、結局のところ吸入速度の調節は、患者自身がデバイスから発生する音を聞いて判断しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2004−508903公報
【特許文献2】特開2008−62080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、使用者が所定の吸入速度を超える速度で吸引した場合には、確実に吸入不能となるデバイスを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、以下のことを特徴とするデバイスを提供する。
【0010】
第1の発明は、粉末状薬剤を口から所定の吸入速度範囲で吸入させるためのデバイスであって、吸入口と、吸入口からの吸入に伴ってデバイス外部の空気がデバイス内部へ流入する流入口と、粉末状薬剤含有カプセルを装着可能な台座を備えた薬剤収納部と、流入口と薬剤収納部を連通する第1の流路と、薬剤収納部と吸入口を連通する第2の流路、および呼吸作動式の制御手段、を備え、制御手段は、吸入速度が所定の範囲である場合にのみ、前記第1の流路および第2の流路を同時に開放し、吸入速度が所定の速度に達しない場合には前記第1の流路を閉鎖し、また吸入速度が所定の速度の範囲を超えた場合には、前記第2の流路を閉鎖する制御が可能である。
【0011】
第2の発明は、第1の流路と第2の流路は、台座が配設された薬剤収納部で折り返して略平行に設けられており、制御手段は、デバイス内部に固定された弾性体と、この弾性体と連結するとともに、第1の流路および第2の流路を閉鎖可能な略T字状の閉鎖片とを有する。
【0012】
第3の発明は、閉鎖片は、回動軸部と、回動軸部から延設される脚部と、脚部の先端に設けられる弁とを有し、弁は、薬剤収納部へと向かう第1の流路の出口を閉鎖可能な第1の弁と、薬剤収納部から第2の流路への入り口を閉鎖可能な第2の弁とが一体に形成されており、吸入速度が所定の範囲を超えた場合に、閉鎖片は、回動軸部を基点とした回動によって第2の流路側へ回動し、これによって、第1の弁が第1の流路側のデバイス内壁から離れるとともに、第2の弁が第2の流路側のデバイス内壁へ接近、当接することで、第2の流路が閉鎖される。
【0013】
第4の発明は、デバイスは、薬剤収納部に回動自在な羽根車を備え、この羽根車の上に台座が設けられている。
【0014】
第5の発明は、デバイスは、吸入口、流入口、薬剤収納部、第1の流路、第2の流路および制御手段を有する本体と、ガイド片を備えるスライドカバーとを有し、本体は、スライドカバーから引き出し自在であるとともに、ガイド片は、スライドカバー内側に突出しており、本体の引き出しに伴って、台座がガイド片によって所定の向きに誘導、固定されて露出する。
【0015】
第6の発明は、スライドカバーは、操作針を備え、操作針は、台座に装着された粉末状薬剤含有カプセルの外壁を貫通させて貫通孔を形成可能である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、使用者が所定の吸入速度範囲に到達しない速度、もしくはそれを超える速度で吸引した場合には、確実に吸入不能となる。
【0017】
第2の発明によれば、デバイスを小さく設計することが可能であり、さらに前記効果が効率的に発揮される。
【0018】
第3の発明によれば、デバイスを小さく設計することが可能であり、さらに確実に吸入速度の制御が可能である。
【0019】
第4の発明によれば、上記の効果に加え、吸引が可能な速度範囲においてのみ、効率的に薬剤を放出することができる。
【0020】
第5の発明によれば、デバイスを小さく設計することが可能であり、薬剤を収納部に容易に収納することができ、デバイスの使い勝手が良好になる。
【0021】
第6の発明によれば、台座に装着されたカプセルに確実に貫通孔を設けることができ、吸引時には、この貫通孔から薬剤を確実に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)(B)は、本発明のデバイスの一実施形態を例示した斜視図である。
【図2】本発明のデバイスの内部構造の一実施形態を例示した概要図である。
【図3】台座および羽根車の一実施形態を例示した斜視図である。
【図4】本発明のデバイスの制御手段による吸入制御方法の一実施形態を例示した概要図である。
【図5】本発明のデバイスの一実施形態を例示する分解斜視図である。
【図6】本発明のデバイス一実施形態として、スライド機構を有する形態を例示した内部透視図である。
【図7】図6に対応する内部斜視図である。
【図8】スライドカバーのコーナー部の内部を例示した透視図である。
【図9】本発明のデバイスの一実施形態を例示した内部概略図である。
【図10】図9に例示した実施形態に対応する内部斜視図である。
【図11】デバイスを使用しないで吸引した場合の吸入速度と時間を示す図である。
【図12】本発明のデバイスを使用して吸引した場合の吸入速度と時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のデバイスについて、図面を用いて説明する。
【0024】
図1(A)(B)は、本発明のデバイスの一実施形態を例示した斜視図である。本発明のデバイス1は、使用者に粉末状薬剤を経口吸入させるためのデバイスである。
【0025】
デバイス1は、長箱状に設計されており、先端にはマウスピース21を取り付けることができる。デバイス1の形状は適宜設計することができ、例えば、使用者が手で保持し易い形状に設計することが考慮される。デバイス1の大きさも適宜設計することができるが、ヒトの手より小さくすることが好ましい。
【0026】
図2は、本発明のデバイスの内部構造の一実施形態を例示した概要図である。デバイス1は、吸入口2と、デバイス1の内部に裏側から空気を供給する流入口3と、薬剤カプセルを搭載する台座4と、流入口3と台座4を連通する第1の流路5と、台座4と吸入口2とを連通する第2の流路6、および呼吸作動式の制御手段7を備えている。
【0027】
第1の流路5は、流入口3から薬剤収納部8へと通じ、薬剤収納部8は、第2の流路6へと通じている。第2の流路6は、吸入口2へと通じている。第1の流路5と第2の流路6は薬剤収納部8で折り返すヘアピン状であり、互いに略平行に配設されている。さらに、第1の流路5と第2の流路6の間には、隔壁9が設けられており、これによって、第1の流路5と第2の流路6が隔てられている。
【0028】
吸入口2は、デバイス1の長尺方向の端部に設けられている。吸入口2には、適宜、マウスピース(図2において図示していない)を取り付けることができ、使用者は、吸入口2から、直接またはマウスピースを介して、薬剤を吸入することができる。吸入口2の大きさ、形状等は特に限定されず、マウスピースを取り付ける場合には、マウスピースの形状、大きさなどに対応させて設計することができる。
【0029】
使用者が吸入口2から吸引を開始すると、デバイス1外部の空気が流入口3を介してデバイス1内部に流入する。本発明のデバイス1は、吸入口2および流入口3の他は外部と通じていないことが望ましい。流入口3から流入した空気は直ちに第1の流路へ流れる。流入口3の形状等は適宜設計することができる。
【0030】
図3は、羽根車を備えた台座の一実施形態を例示した斜視図である。
【0031】
薬剤収納部8には、回転自在な羽根車10が設けられている。羽根車10は複数の羽10aを有し、流入口3から流入した空気を受けて回転する。羽根車10の羽10aの数や形状は、設定した吸入速度、薬剤量、流入口3から流入する空気量、空気抵抗等を考慮して適宜設計することができる。
【0032】
この羽根車10の上には、粉末状薬剤含有カプセルを装着するための台座4が設けられている。台座4の形状は、カプセルの形状に対応させることができる。例えば、台座4の側面が、湾曲面4aと平行面4bとによって一体に形成された、断面略楕円形状とすることができる。台座4の大きさは、羽根車10の径よりも小さく設計されている。
【0033】
そして、台座4は、羽根車10の回転と連動して回転し、装着されたカプセル内部の粉末状薬剤を、遠心力によって台座4の外へ微細な粉末として拡散、放出する。この場合、粉末状薬剤含有カプセルには、薬剤を放出するための貫通孔を設ける。さらに、台座4の周囲には、薬剤を効率的に放出させるための切欠け状の開孔4cを1または2以上設けることができる。開孔4cの形状、大きさは適宜設計することができ、例えば円形に設計することもできる。開孔4cの配設位置も適宜設計することができるが、薬剤放出の効率性から、台座4の湾曲面4aに設けることが好ましい。そして、薬剤収納部8は、前記羽根車10および台座4が回転可能な空間として形成されている。
【0034】
以上のようにデバイス1を設計することで、吸入口2からの吸引によって流入口3から流入した空気は、図2の矢印に示すように、第1の流路5を通って薬剤収納部8へ到達し、薬剤収納部8に設けられた台座4の薬剤を放出させ、この薬剤を伴った空気が、第2の流路6を通って吸入口2から排出されて、使用者に吸引される。
【0035】
そして、デバイス1は、呼吸作動式の制御手段7によって、使用者の吸入速度を制御することができる。吸入速度が所定の速度以下である場合には、制御手段7によって前記第1の流路5が閉鎖状態となる。制御手段7は、吸入速度が適切な範囲内の場合にのみ、第1の流路5および第2の流路6を同時に開放し、吸入速度が所定速度以上になった場合には、第2の流路6を閉鎖する制御が可能である。
【0036】
ここで、流路の「閉鎖」とは、流路が完全に塞がれる状態のみならず、使用者が吸引を困難と感じる程度に流路が塞がれる状態も含む。また、デバイス1の吸入速度は、適宜設定することができる。好ましくは、20〜50L/minの範囲で決定することができる。
【0037】
図4は、本発明のデバイスの制御手段による吸入制御方法の一実施形態を例示した概要図である。
【0038】
制御手段7は、デバイス1内部に固定された弾性体71と、この弾性体71と連結し、第1の流路5および第2の流路6を閉鎖可能な略T字状の閉鎖片72とによって形成されている。閉鎖片72は、隔壁9と隣接している。また、弾性体71としては、各種バネ等を適宜使用することができる。
【0039】
より具体的には、閉鎖片72は、回動軸部721と、回動軸部721から延設される脚部722と、脚部722の先端に、デバイス内壁W1、W2方向へ突出する弁723を有しており、これらがひとつの閉鎖片72として一体化している。弾性体71の端部は、脚部722の側面に固定されている。
【0040】
弁723は、薬剤収納部8へと向かう第1の流路5の出口を閉鎖可能な第1の弁723aと、薬剤収納部8から第2の流路6への入り口を閉鎖可能な第2の弁723bとが一体に形成されている。第1の弁723aと、第2の弁723bの先端には、屈曲部724が設けられている。
【0041】
そして、制御手段7は、非吸入時においては、図4(A)に例示するように、弾性体71の力によって第1の弁723aの先端の屈曲部724が、デバイス内壁W1と当接し、第1の流路5が閉鎖された状態になっている。屈曲部724によって、確実な閉鎖が可能である。また、閉鎖片72の脚部722の側面の一部は、隔壁9と当接している。一方、第2の弁723bは、デバイス内壁W2と離間した状態になっている。
【0042】
使用者が吸入口2から吸入を始め流入口3から第1の流路5へ空気が流入すると、第1の弁723aは、空気抵抗を受けて弾性体71の力を抑え、回動軸部721を基点として第2の流路6側へ回動する。すなわち、第2の弁723bがデバイス内壁W2へ接近するにしたがって、第1の弁723aはデバイス内壁W1から離間していく。
【0043】
より厳密に言えば、使用者が吸入を開始するために吸入口2へ印加した負圧が第1の弁723aの吸入口2側にかかるために当該弁723aが開く。空気の流通の間、第1の弁723aの表裏面にかかる圧力差と弾性体71の反発力などによる反対向きの力が平衡した状態で第1の弁723の位置が定まる。もちろん第2の弁723bにもやはり流路を流れる空気の圧力がかかるので、より厳密にはこれら全体を含む弾性体−弁系の平衡状態を考慮して設計されている。
【0044】
したがって、適正速度で吸入している場合には、図4(B)に示すように、第1の弁723aがデバイス内壁W1から離間し、同時に、第2の弁723bもデバイス内壁W2から離間した状態となる。これによって、第1の流路5から通過した空気は、第1の弁723aが離間した隙間から薬剤収納部8へ流れ出て、薬剤収納部8で羽根車10を回転させて、台座4の薬剤を放出させる。そして、薬剤を伴った空気は、第2の弁723bとデバイス内壁W2との隙間から第2の流路6へ流れ、吸入口1から排出されて使用者に吸引される。
【0045】
吸入を停止した場合、または、吸入速度が適正速度以下になった場合には、再び、図4(A)に示す状態へと戻る。
【0046】
そして、吸入速度が適正速度以上になった場合には、適正速度時に比べて、流入口3から流入する空気の量が増加する。したがって、第1の弁723aは、さらに強い空気抵抗を受けるとともに、第2の弁723bも薬剤収納部8から流れる空気の空気抵抗を受け、閉鎖片72は、弾性体71の力を抑えて第2の流路6側へさらに回動する。このため、図4(C)に例示するように、第2の弁723bの先端の屈曲部724がデバイス内壁W2へ接近、当接し、第2の流路6は、薬剤収納部8からの入り口付近において閉鎖される。ここでも、屈曲部724によって、第2の流路6は確実に閉鎖されている。したがって、吸入口2からの吸入が不能になり、流入口3からの空気の流入も停止する。
【0047】
別の言い方をすれば、使用者が過剰な吸入圧(負圧)を印加した場合、2つの弁723a、723bの夫々で弁の表裏面の圧力差が更に増大し、弾性体−弁系の平衡状態位置が第2の流路6を狭くする側に移動する。これにより、吸入圧をある程度以上大きくすると流量が次第に低下し、最終的には、閉鎖片72が第2の流路6を完全に閉鎖するとき、流量がゼロになる。また、弾性体−弁系のこのような動作により、吸入圧をある程度以上大きくすると、流量が逆に急激に低下するため、使用者が受ける吸入抵抗、つまり抵抗感は急激に大きくなる。なお、吸入を開始するときも、吸入圧を大きくしていくと、第1の流路5が大きく開き出してある程度以上の流量となった時点で、使用者が受ける抵抗感が急に小さくなる。このようなフィードバックが使用者の呼吸器に直接提供されるとともに、「流量が適正範囲にある範囲≒使用者が受ける抵抗感が小さい範囲」という関係が成立するため、使用者は流路5、6が十分に開いている状態、つまり流量が適正である範囲に吸入圧を維持することが非常に容易になる。
【0048】
そして、吸引速度を弛め、適正範囲になると、再び、弾性体71の作用で閉鎖片72が第1の流路5側へ戻される。すなわち、図4(B)に示したように、第1の弁723aがデバイス内壁W1から離間し、同時に、第2の弁723bもデバイス内壁W2から離間した状態となる。したがって、再び、適正な吸入速度で薬剤の吸引が可能になる。
【0049】
このように、本発明のデバイス1は、適正な吸入速度でのみ吸入が可能であり、所定の吸入速度以上になった場合には、確実に吸引不能となる。したがって、吸引された薬剤が使用者の口腔内や咽頭部に衝突することを防止することができ、薬剤を確実に肺深部にまで到達させることができる。
【0050】
そして、本発明のデバイス1は、前記のとおり、使用者の吸引速度に応じて、吸入状態および吸入不能状態が連続的に変化し得る。このため、使用者は、吸入速度が適正な速度となるように、すなわち、吸引時には、デバイスが図4(B)の状態となるように、自らの吸入速度を調整するように努めることになる。したがって、本発明のデバイス1は、使用者が適切な呼吸速度を自然と身につけるという学習効果も発揮する。
【0051】
また、弾性体71は、設定した吸入速度、第1の弁723a、第2の弁723bの大きさ、空気抵抗などを考慮して、上記の通りの第1の流路5、第2の流路6の開放、閉鎖による制御が実現するように、材料、形状などが設計される。また弾性定数を調整することによって、薬剤吸入を可能とする吸引速度を任意に設定することができる。
【0052】
図5は、本発明のデバイスの一実施形態を例示する分解斜視図である。
【0053】
上記のような吸入速度制御機構を備えた本発明のデバイス1は、様々な形態であってよいが、好ましくは、スライド機構を有するものとして、前記吸入口2、台座4、制御手段7などを有する本体11と、スライドカバー12とを有するものとすることができる。図5では、スライドカバー12に、ガイド片15、操作針16が設けられている。
【0054】
この形態においては、例えば、本体11の外側面と、これに対応するスライドカバー12の内側面に凹凸溝等を設けて嵌合させ、本体11をこの溝に沿って引き出すことで、台座部4をデバイス外部に露出させることができる。露出した台座4には、容易に薬剤カプセルを装着することができる。このとき、スライド機構はその他の各種の機構であってよいが、特に、上記制御手段7が確実に機能するように、デバイス1内部の密閉性を確保し得る構造とする。
【0055】
図6は、本発明のデバイス一実施形態として、スライド機構を有する形態を例示した内部透視図である。図7は、図6に対応する内部斜視図である。図8は、スライドカバーのコーナー部の内部を例示した透視図である。図6、図7においては、図2、図4を用いて説明した点については、一部符号および説明を省略する。
【0056】
本体11は、吸入口2とは反対側の引き出し端部13を後方へ引き出すことで、スライドカバー12から内部が露出する。
【0057】
スライドカバー12には、引き出し端部13側のコーナー部14(図8に図示)に、内側に突出するガイド片15が設けられている。ガイド片15は、スライドカバー12の側面12a側から引き出し端部13側へ下る傾斜面15aと、スライドカバー12の側面12aと略平行な固定面15bを有している。また、図7に例示するように、ガイド片15(15a,15b)は、スライドカバー12上面から垂直方向に所定の長さで、台座4と同一平面上に形成されている。したがって、羽根車10の回転を妨げることがないように設計されている。
【0058】
本発明のデバイス1にスライド機構を設けて台座4を引き出す場合、台座4は、羽根車10によって回転するため、薬剤カプセルを装着する際の安定性を欠くことが考慮されるが、前記ガイド片15によって、台座4の安定性を確保することができる。
【0059】
具体的には、図6、図7に例示したように、(A)スライドカバー12から本体11を引き出すと、湾曲面4aと平行面4bを有する長筒状の台座4の湾曲面4aが、ガイド片15の傾斜面15aに当接する。この状態では、台座4は引き出し端部13に対して任意方向を向いている。(B)さらに本体11を引き出すと、ガイド片15の傾斜面15aに沿って、台座4の長軸方向がスライドカバー12の側面12aと略平行な方向に誘導される。そして、(C)本体11の引き出しが完了すると、台座4の平行面4bとガイド片15の固定面15bとが当接して、台座4の長軸方向が、スライドカバー12の側面12aと略平行な方向に固定される。前記固定面15bによって、台座4の向きが固定されているため、羽根車10は回転不能な状態となっている。したがって、台座4が安定しており、台座4に薬剤カプセルを簡便に装着することができる。
【0060】
なお、ガイド片15の大きさ、傾斜角などは、台座部の形状、大きさ、固定方向等に対応させることができる。例えば、傾斜角は、5〜45°の範囲で設計することが好ましい。傾斜角が小さい場合には、デバイス1が大型化し、また傾斜角が大きすぎる場合には、台座部4が傾斜面15aに沿って円滑に動かない場合があるからである。
【0061】
図9は、本発明のデバイスの一実施形態を例示した内部概略図である。
【0062】
本発明のデバイス1は、デバイス1内部の適宜位置に操作針16を設けることができる。操作針16は、操作部16aの押し戻し操作によって台座4に保持されたカプセル17への操作針16の刺込みと引き抜きを自在に操作することができる。
【0063】
例えば、図6、図7に例示したように、本発明のデバイス1がスライド機構を有する場合には、以下のように操作針16を操作することができる。
【0064】
まず、図9(A)に例示するように、デバイス1の本体11を引き出し、台座4の方向を調整する。図9(A)では、前記のとおり、ガイド片15の固定面15bによって、台座4の長軸方向がスライドカバー12の側面12aと略平行な方向に調整されている。この台座に薬剤カプセル17を装着する。
【0065】
次に、図9(B)に例示するように、本体11を前方に押し出してスライドカバー12に挿入し、台座4を所定の位置に配置する。このとき、台座4は、前記のように調整された向きが維持され、台座4の湾曲面4aに設けられた開口4cは、操作針16と対峙している。
【0066】
そして、図9(C)に例示するように、操作部16aの押し出しによって開口4cから薬剤カプセル17へ操作針16を差し込んで、カプセル17の外壁を貫通させて貫通孔を開ける。前記のように、台座4の向きが調整されていることで、確実にカプセル17の頂部17aを捉えることができる。したがって、再現性良く、カプセル17の同じ位置に貫通孔を開けることができる。その後、図9(D)に例示するように、操作針16をカプセル17から引き抜く。カプセル17に開けた貫通孔から、内包された薬剤を放出させることができる。
【0067】
図10は、図9に例示した形態に対応する内部斜視図である。図10にも示すように、台座4は、湾曲面4aの開口4cが操作針16と対峙するように配置され、開口4cから操作針16の差し込み、引き抜きが可能である。なお、図10では、薬剤カプセルの記載を省略している。
【0068】
なお、薬剤カプセルの貫通孔は、1または2以上設けることができ、放出する薬剤の量に応じて適宜決定することができる。また、カプセル17の外壁を1度に2箇所貫通させて形成することもできる。さらに、操作針16は、先端が鋭角に形成されたものを好ましく例示することができる。また、錐状、多面カット状の針も適宜使用することができる。
【0069】
なお、本発明は、以上の通りの実施形態に限定されることはなく、細部については様々な形態が可能である。
【実施例】
【0070】
本発明のデバイスの効果を確認するため、ヒトによる吸入実験を行った。比較例として、デバイスを使用せずに、薬剤吸入を想定して大きく息を吸い込んだ場合の吸入速度を測定した。
【0071】
結果は、図11に示すように、吸入速度は、40-50L/minに達し、吸引時間は、2秒も継続しなかった。
【0072】
一方、本発明のデバイスを使用した実施例では、吸入速度が35L/min以上になった場合には、制御手段によって、第2の流路が閉鎖されるように設計した。
【0073】
結果は、図12に示すように、吸入速度が速くなりすぎると瞬時に流路が遮断され、それ以降20-30L/minの適正な吸入速度で、4-5秒にわたってゆっくり吸引できることが確認された。
【符号の説明】
【0074】
1 デバイス
2 吸入口
3 流入口
4 台座
4a 湾曲面
4b 平行面
4c 開孔
5 第1の流路
6 第2の流路
7 制御手段
71 弾性体
72 閉鎖片
721 回動軸部
722 脚部
723 弁
723a 第1の弁
723b 第2の弁
724 屈曲部
8 薬剤収納部
9 隔壁
10 羽根車
10a 羽
11 本体
12 スライドカバー
13 引き出し端部
14 コーナー部
15 ガイド片
15a 傾斜面
15b 固定面
16 操作針
16a 操作部
17 薬剤カプセル
W1,W2 デバイス内壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状薬剤を口から所定の吸入速度範囲で吸入させるためのデバイスであって、
吸入口と、
吸入口からの吸入に伴ってデバイス外部の空気がデバイス内部へ流入する流入口と、
粉末状薬剤含有カプセルを装着可能な台座を備えた薬剤収納部と、
流入口と薬剤収納部を連通する第1の流路と、
薬剤収納部と吸入口を連通する第2の流路、および
呼吸作動式の制御手段、
を備え、
制御手段は、吸入速度が所定の範囲である場合にのみ、前記第1の流路および第2の流路を同時に開放し、吸入速度が所定の速度に達しない場合には前記第1の流路を閉鎖し、また吸入速度が所定の速度の範囲を超えた場合には、前記第2の流路を閉鎖する制御が可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
第1の流路と第2の流路は、薬剤収納部で折り返して略平行に設けられており、
制御手段は、デバイス内部に固定された弾性体と、この弾性体と連結するとともに、第1の流路および第2の流路を閉鎖可能な略T字状の閉鎖片とを有することを特徴とする請求項1のデバイス。
【請求項3】
閉鎖片は、回動軸部と、回動軸部から延設される脚部と、脚部の先端に設けられる弁とを有し、
弁は、
薬剤収納部へと向かう第1の流路の出口を閉鎖可能な第1の弁と、
薬剤収納部から第2の流路への入り口を閉鎖可能な第2の弁とが
一体に形成されており、
吸入速度が所定の範囲を超えた場合に、閉鎖片は、回動軸部を基点とした回動によって第2の流路側へ回動し、これによって、第1の弁が第1の流路側のデバイス内壁から離れるとともに、第2の弁が第2の流路側のデバイス内壁へ接近、当接することで、第2の流路が閉鎖されることを特徴とする請求項2のデバイス。
【請求項4】
デバイスは、薬剤収納部に回動自在な羽根車を備え、この羽根車の上に台座が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかのデバイス。
【請求項5】
デバイスは、吸入口、流入口、薬剤収納部、第1の流路、第2の流路および制御手段を備える本体と、ガイド片を備えるスライドカバーとを有し、本体は、スライドカバーから引き出し自在であるとともに、ガイド片は、スライドカバーの内側に突出しており、本体の引き出しに伴って、台座がガイド片によって所定の向きに誘導、固定されて露出することを特徴とする請求項1のデバイス。
【請求項6】
スライドカバーは、操作針を備え、操作針は、台座に装着された粉末状薬剤含有カプセルの外壁を貫通させて貫通孔を形成可能であることを特徴とする請求項5のデバイス。
【請求項1】
粉末状薬剤を口から所定の吸入速度範囲で吸入させるためのデバイスであって、
吸入口と、
吸入口からの吸入に伴ってデバイス外部の空気がデバイス内部へ流入する流入口と、
粉末状薬剤含有カプセルを装着可能な台座を備えた薬剤収納部と、
流入口と薬剤収納部を連通する第1の流路と、
薬剤収納部と吸入口を連通する第2の流路、および
呼吸作動式の制御手段、
を備え、
制御手段は、吸入速度が所定の範囲である場合にのみ、前記第1の流路および第2の流路を同時に開放し、吸入速度が所定の速度に達しない場合には前記第1の流路を閉鎖し、また吸入速度が所定の速度の範囲を超えた場合には、前記第2の流路を閉鎖する制御が可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
第1の流路と第2の流路は、薬剤収納部で折り返して略平行に設けられており、
制御手段は、デバイス内部に固定された弾性体と、この弾性体と連結するとともに、第1の流路および第2の流路を閉鎖可能な略T字状の閉鎖片とを有することを特徴とする請求項1のデバイス。
【請求項3】
閉鎖片は、回動軸部と、回動軸部から延設される脚部と、脚部の先端に設けられる弁とを有し、
弁は、
薬剤収納部へと向かう第1の流路の出口を閉鎖可能な第1の弁と、
薬剤収納部から第2の流路への入り口を閉鎖可能な第2の弁とが
一体に形成されており、
吸入速度が所定の範囲を超えた場合に、閉鎖片は、回動軸部を基点とした回動によって第2の流路側へ回動し、これによって、第1の弁が第1の流路側のデバイス内壁から離れるとともに、第2の弁が第2の流路側のデバイス内壁へ接近、当接することで、第2の流路が閉鎖されることを特徴とする請求項2のデバイス。
【請求項4】
デバイスは、薬剤収納部に回動自在な羽根車を備え、この羽根車の上に台座が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかのデバイス。
【請求項5】
デバイスは、吸入口、流入口、薬剤収納部、第1の流路、第2の流路および制御手段を備える本体と、ガイド片を備えるスライドカバーとを有し、本体は、スライドカバーから引き出し自在であるとともに、ガイド片は、スライドカバーの内側に突出しており、本体の引き出しに伴って、台座がガイド片によって所定の向きに誘導、固定されて露出することを特徴とする請求項1のデバイス。
【請求項6】
スライドカバーは、操作針を備え、操作針は、台座に装着された粉末状薬剤含有カプセルの外壁を貫通させて貫通孔を形成可能であることを特徴とする請求項5のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−192(P2012−192A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136369(P2010−136369)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
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