説明

粉粒体の二分岐分配調節方法及び装置、該装置を用いた粉粒体の切出し搬送装置

【課題】粉流体を搬送路の途中で任意の量で定量的に分配することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る粉粒体の二分岐分配調節装置1は、上流側の搬送路に連結可能な上流側接続管3と、分岐された各分岐管4に連結可能な一対の分岐接続管5と、一対の分岐接続管5と上流側接続管3との間に設けられた分配量調節室7と、分配量調節室7に移動可能に設置された調節弁9と、調節弁9の位置を調節する調節機構11とを備え、分配量調節室の流路断面積が上流側接続管3の流路断面積よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を気送搬送する技術に関し、より詳しくは気送搬送される粉粒体を供給先に所望の量供給できるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、工業炉の操業に於いて石油燃料高騰の影響で固形燃料、例えば微粉炭、微粉オイルコ−クス或いは粉細粒プラスチック等の粉粒体を代替燃料として使用する、或いは使用したい旨の要求が多く見受けられる。
微粉炭の空気搬送に於いて、微粉炭は、例えばテ-ブルフィーダー型切出装置から定量切出しされ、搬送用配管を介して、例えば燃焼バ−ナまで気送され、炉内に吹き込まれる。
このような微粉炭の吹き込み方法は、1本の搬送用配管に対して1本のバ−ナが取り付けられるという1対1の関係になるのが一般的である。しかし、近年、石灰焼成炉等への燃料吹込み等では1本の搬送用配管を炉の手前で分岐して分配して搬送する方法も見受けられる。
このような分配搬送に関しては、例えば特許文献1に記載された「炉内への粉粒体の吹き込み方法および装置」や、特許文献2に記載された「粉粒体の気流搬送方法及び装置」が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のものは、搬送用配管の本数を半減する目的で、搬送用配管の途中にY型分岐管を設けて粉粒体を精度よく二分配する技術であり、分配精度を高めるべくスリット噴射を行って左右に均等分配するというものである。
また、特許文献2に記載のものは、搬送用配管の途中にY型分岐管を設け、Y型分岐管に外部から強制的に調節空気を付加し、搬送用空気の流れのバランスを崩して所望の配分を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-9095号公報
【特許文献2】特開2001-19161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、昨今工業炉の操業に於いて化石燃料高騰等の影響で固形燃料例えば微粉炭、微粉オイルコ−クス或いは粉細粒プラスチック等の粉粒体を代替燃料に使用したい旨の要望が多く見受けられる。
このような要望に応えるために解決しなければならない課題の一つに、粉粒体の供給量を供給先の事情に応じていかにして調節するかというものがある。
この粉粒体供給量の調節に関して、図19に示すように、テーブルフィーダから微粉炭を定量切出し、左右に2本の燃焼バーナを有する燃焼炉内に供給する場合について、投入熱量を100とした場合を例に挙げて説明する。
【0006】
燃焼炉内の被燃焼物の配置が均一であった場合には、図19に示すように、特許文献1で示されたようなY型分岐管を設置して、均等に分配するようにすればよい。
しかし、燃焼炉内の被燃焼物の配置が不均一のような場合には、投入熱量が一定であるため、炉内の熱バランスを均一にするためには左右の燃焼用バーナの燃焼に差異を設ける必要があり、そのためには燃料の供給配分を調節する必要がある。例えば、図中左の燃焼用バーナに対して40供給するときには、図中右側の燃焼用バーナには60供給する。
【0007】
この場合、特許文献1のものは均等分配しかできず配分調節機能を有しないため、熱バランスの調節ができない。また、特許文献2に記載のものは、前述したように、Y型分岐管に外部から強制的に調整空気を付加し、分配流れのバランスを崩して配分する方法であるが、この手法は微妙な調節が困難であること及び圧縮空気の圧力変動があること等の理由から精度の高い制御に対して不向きである。
このように、粉粒体を精度よく搬送経路の途中で任意にかつ状況に応じて定量的分配する技術は現在のところ存在しない。
そのため、バ−ナA及びBに対して所望の分配をするためには、図20に示すように、それぞれのバーナに対して1台ずつの切出装置(テーブルフィーダ)を設置するという方法をとらざるを得ないが、それではコスト面等で著しく合理性を欠くことになる。なお、図20では、左右の燃料配分を40〜60の範囲で調整する例を示しており、括弧外の数字、括弧内の数字がそれぞれ一組として対応している。
【0008】
以上のように、粉流体を搬送途中で任意かつ状況に応じて分配することができないことが、粉細粒プラスチック等の粉粒体を代替燃料に使用したい旨の要望があるにも拘わらず代替が進まない原因の一つである。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、粉流体を搬送路の途中で任意の量で定量的に分配することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は、上記の目的を解決するため、図21に示すように、テーブルフィーダから排出される粉粒体の搬送経路の途中に粉粒体を任意に分配できる二分岐分配調節装置を設けることを考えた。そして、粉粒体を搬送路の途中で任意の分配率で分配し、かつ分配箇所で粉粒体が搬送路で詰まらないようにするにはいかにすべきかを鋭意検討し、本発明を完成したものである。
【0011】
(1)本発明に係る粉粒体の二分岐分配調節方法は、粉粒体を気送搬送する搬送路を途中で二つの搬送路に分岐して各分岐路のそれぞれに粉粒体を流す方法において、前記各分岐路と分岐前の搬送路の間に前記各分岐路に流す粉粒体の分配量を調節する分配量調節室を設け、該分配量調節室の流路断面積が前記分岐前の搬送路の流路断面積よりも大きくなるように設定し、該分配量調節室に気流に対して交差方向に移動可能な調節弁を設け、該調節弁の位置を調節することによって前記各分岐路に流れる粉粒体の流量を調節するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
(2)本発明に係る粉粒体の二分岐分配調節装置は、上流側の搬送路に連結可能な上流側接続管と、分岐された各分岐管に連結可能な一対の分岐接続管と、該一対の分岐接続管と前記上流側接続管との間に設けられた分配量調節室と、該分配量調節室に気流の流れに対して交差方向に移動可能に設置された調節弁と、該調節弁の位置を調節する調節手段とを備え、前記分配量調節室の流路断面積が前記上流側接続管の流路断面積よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0013】
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、前記上流側接続管の流路断面積をA、前記分配量調節室の流路断面積をB、前記一対の分岐接続管の各流路断面積をCとしたときに、B>AかつB>2Cの関係に設定されていることを特徴とするものである。
【0014】
(4)本発明に係る粉粒体の切出し搬送装置は、粉粒体を定量切出しする粉粒体切出し装置と、該粉粒体切出し装置から切出された粉粒体を搬送する搬送路とを備え、該搬送路の途中に上記(2)又は(3)に記載の二分岐分配調節装置を備えてなることを特徴とするものである。
【0015】
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記粉粒体切出し装置は、複数の排出孔が設けられた底板と、該底板上を回転すると共に粉粒体が収容される枡部を有するロータと、該枡部の上方に設けられて前記枡部に収容される粉粒体を均す摺切板と、前記排出孔の少なくとも一つに対して設けられて該排出口の開口面積を調節する開度調節装置とを備えてなることを特徴とするものである。
【0016】
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、開度調節装置は、スライド可能に設けられた弁板を備えてなることを特徴とするものである。
【0017】
(7)また、上記(5)又は(6)に記載のものにおいて、開度調節装置は、前記排出孔の開口面積を100%〜50%の範囲で調節可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、粉粒体を気送搬送する搬送路を途中で二つの搬送路に分岐して各分岐路のそれぞれに粉粒体を流す方法において、前記各分岐路と分岐前の搬送路の間に前記各分岐路に流す粉粒体の分配量を調節する分配量調節室を設け、該分配量調節室の流路断面積が前記分岐前の搬送路の流路断面積よりも大きくなるように設定し、該分配量調節室に気流の流れに対して交差方向に移動可能な調節弁を設け、該調節弁の位置を調節することによって前記各分岐路に流れる粉粒体の流量を調節するようにしたので、搬送路の途中で詰まりを生ずることなく、粉流体を搬送路の途中で任意の量に分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る二分岐分配調節装置の説明図であり、一部を断面で示している。
【図2】図1に示した二分岐分配調節装置の流路を説明するための説明図であり、図1から調節弁を除いた図である。
【図3】図2に示した矢視X-X断面図、矢視Y1-Y1断面図、矢視Y2-Y2断面図、矢視Z1-Z1断面図、矢視Z2-Z2断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の切出し搬送装置の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の切出し搬送装置に設けた二分岐分配調節装置の動作説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の切出し搬送装置に設けた二分岐分配調節装置の動作説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の切出し搬送装置の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の切出し搬送装置に設けた二分岐分配調節装置の効果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態3に係る粉粒体の切出し搬送装置の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る粉粒体の切出し搬送装置に設けられた粉粒体切出し装置の説明図であり、一部を断面で示している。なお、断面の部分は90度見る方向を変えている。
【図11】図10の矢視A−A図である。
【図12】図10の破線で囲んだA部を拡大して示す拡大図である。
【図13】図12の矢視B−B図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る粉粒体切出し装置における開度調節装置の説明図であり、一部を断面で示している。
【図15】本発明の実施の形態3に係る粉粒体切出し装置を石灰焼成炉に適用した場合の説明図である。
【図16】従来型の粉粒体切出し装置を石灰焼成炉に適用した場合における各バーナへの熱量配分の説明図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係る粉粒体切出し装置を石灰焼成炉に適用した場合における各バーナへの熱量配分の説明図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る粉粒体切出し装置の効果を実証するための実験結果を示すグラフである。
【図19】本発明の課題を説明する説明図である。
【図20】本発明の課題を説明する説明図である。
【図21】本発明の課題を解決するための手段を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
[実施の形態1]
本発明に係る粉粒体の二分岐分配調節装置1について、図1〜図5に基づいて説明する。
本実施の形態に係る粉粒体の二分岐分配調節装置1は、上流側の搬送路を形成する上流側配管2に連結可能な上流側接続管3と、分岐された各分岐管4に連結可能な一対の分岐接続管5と、該一対の分岐接続管5と前記上流側接続管3との間に設けられた分配量調節室7と、該分配量調節室7に移動可能に設置されて流路幅を調節する調節弁9と、該調節弁9の位置を調節する調節機構11とを備え、前記分配量調節室7の流路断面積が前記上流側接続管3の流路断面積よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0021】
<上流側接続管>
上流側接続管3は、上流側の搬送路を形成する上流側配管2に連結されるものであり、その内径は上流側の搬送路と同一径に設定されている。この例では、上流側接続管3の流路断面積をAとする(図3参照)。
上流側接続管3における上流側配管2に連結される連結部にはフランジ15が設けられている。上流側接続管3の他端側は、分配量調節室7に連通するように分配量調節室7に接続されている。
【0022】
<分配量調節室>
分配量調節室7は、横方向に延びる円筒管からなり、円筒管の上側略中央部に上流側接続管3が接続され、円筒管の下面両端に分岐接続管5が接続されている。分配量調節室7には、上流側接続管3から粉粒体を含む気流が流入し、分配量調節室7を経由して分岐接続管5へと流れて行く。従って、分配量調節室7において、気流は調節弁9によって左右に振り分けられて、流れることになる。よって、分配量調節室7においては気流の流れに交差する断面は、分配量調節室7を形成する円筒管の軸線に直交する断面(図2のY1-Y1断面及びY2-Y2断面)となり、流路断面積としては、図3の断面積Bを表す。
そして、本実施の形態では、分配量調整室7の流路断面積Bが、上流側接続管3の断面積Aよりも大きく設定されている(図3参照)。より、具体的には、本実施の形態では、分配量調節室7の気流の流れに交差する方向の断面積Bは、上流側接続管3の断面積の約1.5倍に設定されている。
【0023】
なお、分配量調整室7の流路断面積の満たすべき条件としては、以下の通りである。
上流側接続管3の流路断面積をA、分配量調節室7の流路断面積をB、一対の分岐接続管5の各流路断面積をCとしたときに、B>AかつB>2Cの関係である。なお、A≒2Cとすることにより、流路抵抗を無視すれば分配量調整室の上流側と下流側で流速の変化が少なくなるので好ましい。A≒2Cとしたのは、配管は規格によってその径が決まっているので、正確にA=2Cとすることはできないからである。したがって、A≒2Cの意味するところは、配管の規格の中かA=2Cに最も近い径の配管を選択するということである。
なお、粉流体を気流搬送するには最低流速(例えば、20m/min)を確保する必要があり、上流側接続管3及び分岐接続管5の配管径はこれを確保するように設定する必要がある。
【0024】
<調節弁>
調節弁9は、分配量調節室7内に設置されて流路を仕切ることによって、上流側接続管3から流入する気流を分配して調節するものである。調節弁9は分配調節室内で図中左右に移動可能に設置されている。調節弁9は、ソロバン玉状の弁体17の両側に軸部19が設けられ、該軸部19が分配量調節室7の側壁21に挿入されて左右に移動可能になっている。
【0025】
<調節機構>
調節機構11は、軸部19の片側端部に設置されて軸部19の左右への移動を調節する。具体的には、伝動スクリュー軸23と、伝動スクリュー軸23を移動させる調節つまみ25と、伝動スクリュー軸23の位置を示すインジケータ27とを備えている。
調節機構11は、調節つまみ25を回転することによって伝動スクリュー軸23が分配量調節室7の軸方向に移動し、これによって、弁体17が左右方向に移動して、上流側接続に対する弁体17の相対位置が変化する。
調節機構11における調節つまみ25は手動式のものを示したが、調節つまみ25をモータ駆動とし、インジケータ27にその位置を電気信号に変換して示すポジショナーを取り付けることによって、遠隔操作も可能になる。
【0026】
<分岐接続管>
分岐接続管5は、上述したように、分配量調節室7の下面側両端部に一端側が接続され、他端側にはフランジ29が設けられ、該フランジ29を介して下流側の分岐管4に接続されている。
【0027】
上記のように構成された本実施の形態の二分岐分配調節装置1の動作を説明する。
上流側配管2から流れてくる粉粒体を含む気流は、上流側接続管3を介して分配量調節室7に入り、弁体17によって振り分けられて左右に分配される。分配された気流は、それぞれ分岐接続管5に流れ、分岐接続管5から下流側の分岐管4へと流れる。
左右の分配量を調節するときは、調節機構11の調整つまみ25を回すことで、弁体17が左右に移動する。例えば、図中右側に多量に流すのであれば、弁体17を左に寄せるように調整すればよい。
なお、粉粒体の配分率は、調節される弁体17の位置よって分配量調整室内への通過面積が変化し、その変化に応じて決定される。
【0028】
本実施の形態における分配量調節室7の流路断面積は、上述したように上流側接続管3の流路断面積(=上流側配管2の流路断面積)よりも大きくなっているので、分配量調節室7に流入した気流の速度が低下して流路抵抗が小さくなる。それ故に、この場所で分配を行っても流路抵抗が大きくならず、粉粒体が詰まることはない。振り分けられた気流は分岐接続管5で再び流速を増して分岐管4へと流れる。
【0029】
以上のように、本実施の形態によれば、極めて単純な構造でありながら、気流に搬送される粉粒体が詰まることなく気流を2つに分けることができる。これによって、粉粒体を流路途中で任意の分配率で分配することができ、例えば粉粒体を補助燃料として利用する場合には、炉内の熱バランスに合わせてその供給量を自在に調整できる。このため、従来は実用化が困難とされていた、粉粒体の補助燃料としての活用の幅が大きく広がることになる。
【0030】
[実施の形態2]
本実施の形態は粉粒体の切出し搬送装置30に関するものであり、実施の形態1の二分岐分配調節装置1を粉粒体の搬送路に設けたものである。
本実施の形態の粉粒体の切出し搬送装置30は、図4に示すように、テーブルフィーダ型切出装置31と、テーブルフィーダ型切出装置31の排出口に接続された搬送路と、該搬送路の途中に設置された二分岐分配調節装置1とを備えている。
【0031】
テーブルフィーダ型切出装置31は、上部にタンク33を配置し、タンク33内に貯留された粉粒体をタンク33下部に設けた切出し部35から定量切出しするものである。切出し部35は、図示していないが、予め計算された容積の枡(仕切ポケット)を有する円盤状のロ−タと、その直上にあって枡に定量充填を担う摺切板、そして複数の排出孔を有する底板及びロ−タを駆動させる駆動装置等で構成される。
【0032】
このようなテーブルフィーダ型切出装置31においては、タンク33に常に粉粒体が充填され、タンク33の底部に配置されたロ−タの各枡にも同時に粉粒体が常に充填される。粉粒体の排出は、ロ−タを回転させることにより底板に設けられた排出孔から落下放出することで行われる。その排出量は、枡が単位時間当たりに排出孔を通過する数で定まる。それ故に、枡に充填される粉粒体は全て排出孔から排出されることが前提になっている。
このようなテーブルフィーダ型切出装置31には排出孔の数によって単孔型や多孔型のものがあり、いずれの場合も利用可能である。
【0033】
もっとも、テーブルフィーダ型切出装置31は、定量切出しを目的としたものであり、その排出量は回転数を調節すればそれに比例して変動するが、各孔間の排出量に差は発生しない。
しかし、前述したように、例えば粉粒体を燃料として使用する場合、熱バランスの観点からあるバ−ナには多く、他のバ−ナには粉粒体を少なく供給することが求められる。
そこで、本実施の形態では、搬送路の途中に二分岐分配調節装置1を設けることでこの要請を満たすようにしたものである。
【0034】
上流側接続管3がテーブルフィーダの排出口に連通する搬送路に接続され、分岐接続管5には、それぞれ分岐管4が接続されている。
なお、分岐管4の端部には粉粒体を貯留する貯留槽が図示されているが、これはこの図が実験例を示すものであるからであり、実機においては、分岐管4の端部は炉に設置されるバーナに接続される。
【0035】
図5は、図4の破線の丸で囲んだ部分の拡大図であり、その構造は実施の形態1と同様である。図5では、弁体17を図中右方向に移動している。そのため、粉粒体は図中の左側へ多く流れ、図4に示すように、A槽に多量に粉粒体が貯留されることになる。
他方、弁体17を図中左側に移動させると(図6参照)、図7に示すように、B槽側に多量に流れ、B槽に多く貯留されることになる。
【0036】
図4に示す装置を用いて調節弁9の調節量と粉粒体の分配率の試験を行ったので、それについて以下説明する。
表1は実験結果をまとめた表であり、図8は表1をグラフで表示したものである。図8のグラフにおいて、横軸は調節量(mm)であり、縦軸は分配率(%)を示している。
【0037】
【表1】

【0038】
表1及び図8に示すように、実験結果は分配器の調節量0mmのとき、A側対B側の配分率が50:50で以後各調節量に応じた値が得られ、調節量を変化させることで調節量と配分率の相関が明確に得られた。
なお、本実験例では、調節弁9の調節量を5mmまでとしたが、これに限定されるものではない。
【0039】
本実施の形態によれば、テーブルフィーダ型切出装置31が固定量の切出しのみしかできない場合であっても、二分岐分配調節装置1を搬送路の途中に設けることにより、各分岐搬送路への流量を任意に調節できる。
【0040】
[実施の形態3]
本実施の形態を図9〜図18に基づいて説明する。
本実施の形態に係る粉粒体の切出し搬送装置50は、実施の形態2と同様に、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置と、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置の排出口に接続された搬送路と、該搬送路の途中に二分岐分配調節装置が設置されている。
実施の形態2と異なる点は、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置の構造にある。そこで、以下においては、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置の構造を中心にその背景と共に説明する。
【0041】
実施の形態2で説明したように、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置の搬出経路に実施の形態1で説明した二分岐分配調節装置を設けることで、分岐部で搬送量を調節することができる。
しかし、二分岐分配調節装置の調節量を大きくしようとした場合に無理が生ずる場合や、より微妙な調整をしたい場合がある。
そこで、本実施の形態では、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置の排出口からの切り出し量に調節機能を持たせると共に搬送路の途中に二分岐分配調節装置を設置し、2段階での分配率の調整を可能にしたものである。
【0042】
従来、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置は、枡部に入った粉粒体を全量排出するというのが基本であり、従来知られているものは全て全量排出を前提として、枡部の容量を変化させるものである。
これに対して、発明者は、枡部に入った粉粒体は全量排出されるべきであるというテーブルフィーダ型の切出し装置における固定観念を打ち破り、排出口の開口面積を調節し、かつ枡部に入った粉粒体を全量排出しなくても、定量切出しができるのではないかという発想のもとに本実施の形態に係るテーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置を考案した。
【0043】
図10〜図14に基づいて本実施の形態に係る粉粒体切出し装置51を説明する。
本実施の形態に係る粉粒体切出し装置51は、粉粒体を貯留するタンク53の下方に設けられ、2個の排出孔55が設けられた底板57と、底板57上を回転すると共に粉粒体が収容される枡部59を有するロータ61と、ロータ61の上方に設けられて枡部59に収容される粉粒体を均す摺切板63と、排出孔55に設けられて排出口の開口面積を調節する開度調節装置65とを備えている。
以下、各構成およびそれに付随する構成を詳細に説明する。
【0044】
<タンク>
タンク53は円筒状をしており、下端部がフランジ53aによって粉粒体切出し装置51に連結されている。タンク53の形状は特に限定されるものではない。
【0045】
<底板>
底板57は円板状をしており、180度の位置にそれぞれ排出孔55が設けられている。そして、排出孔55は底基板57aに同軸加工されたテ−パ孔(シュ−ト)67と密着接合される。そしてテ−パ孔67の直下に粉粒体を気送搬送する気送管81が遮断弁(図示なし)を介して接続され、気送管81は、粉粒体が供給される例えば石灰焼成炉79の燃焼バ−ナ77に接続される(図15参照)。
なお、この例では、排出孔55の数は2個であるが、本発明はこれに限られず、供給を受ける側において必要とされる数の排出孔55を設ければよい。
【0046】
<ロータ>
ロータ61は、底板57上を回転すると共に粉粒体が収容される複数の枡部59を有している。ロータ61は、中心に設けられた回転軸を駆動装置であるモータ69によって回転させることで回転する(図11参照)。
ロータ61に設けられる枡部59の寸法、特にその深さ(又は高さ)は、粉粒体の種類、要求される排出量、排出孔数およびロータ61の回転数によって所定の値に設定される。また、ロータ61の回転数はモータ69の周波数を設定することで適宜設定することができる。
【0047】
<摺切板>
摺切板63は、ロータ61の上方であって、排出孔55を平面視で覆うように設けられている。ロータ61の枡部59に収容された粉粒体が排出孔55を通過する前に均して所定量だけ枡部59に収容されるようにするためのものである。
【0048】
<開度調節装置>
開度調節装置65は、各排出孔55に対して設けられ、各排出口の開口面積を調節する。開度調節装置65は、図14に示すように、排出孔55側に排出孔55と同じ曲率の円弧からなる辺部71aを有する弁板71と、先端に弁板71が設置されてロータ径方向(図14の矢印参照)に移動する伝動スクリュー軸73と、伝動スクリュー軸73を移動させる調節つまみ74と、伝動スクリュー軸73の位置を示すインジケータ75とを備えている。弁板71は底板57における排出孔付近に形成した凹部には嵌めこまれており、弁板71の上面と底板57の上面は面一になっている。
【0049】
開度調節装置65は、調節つまみ74を回転することによって伝動スクリュー軸73がロータ径方向に移動し、これによって、弁板71が排出孔55側に延出したり退出したりして排出孔55の開口面積を変化させる。図14では、弁板71の移動範囲をSで示しており、弁板71をSの範囲で移動させることにより、開口面積は100%〜50%の範囲で調節できるようになっている。
なお、この例では、2個の排出孔55の両方に開度調節装置65を設けているが、いずれか一方に設けるようにしてもよい。また、排出孔55が3個以上の場合において、全ての排出孔55に開度調節装置65を設けてもよいし、選択されるいずれかの排出孔55に設けるようにしてもよい。
【0050】
以上のように構成された粉粒体切出し装置51においては、排出孔55のそれぞれから排出させたい粉粒体の量に応じて排出孔55の開口を調節つまみ74によって調節する。例えば、一方の排出孔55から100を排出し、他方の排出孔55から60の量を排出させたい場合には、一方の開口率を100%とし、他方の開口率を60%とする。そして、ロータ61の回転速度(回転数)を、開口率100%の排出孔55を枡部59が通過するときに枡部59に収容されていた粉粒体が全量排出される速度に設定する。このとき、開口率60%の排出孔55からは枡部59に収容された粉粒体の60%の量が排出される。
【0051】
次に、本実施の形態に係る粉粒体切出し装置51を、6本の燃焼バーナ77を有する石灰焼成炉79に対して燃料としての粉粒体を供給する供給装置として用いた場合について図15〜図17に基づいて説明する。
粉粒体切出し装置51には、6個の排出孔55が設けられ、各排出孔55には切り出された粉粒体を気流搬送する気送管81が接続され、気送管81の末端は石灰焼成炉の燃焼バーナ77に接続されている。なお、図15においては、燃焼バーナ77は3本のみ図示し、他の3本は図示を省略している。
【0052】
図16は各排出孔55からの排出量を調節できない従来のテーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置を用いた場合における投入熱量の説明図である。図16の例では、例えば全投入熱量を600とした場合、各バーナには均等に100が供給されることになる。しかしながら、石灰焼成炉79においては、炉中央部は熱が逃げにくいこと、そして炉端は熱が逃げやすいことから、炉全体に対する供給熱量は一定(600)に保ちながら、炉中央部には供給熱量を少なくしたいという要請がある。
【0053】
このような要請に対して、本実施の形態のテーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置51によれば、図17に示すように、各排出孔55からの粉粒体の排出量を調節することにより、全投入熱量を600としつつ各排出孔55から排出される粉粒体量に差を設けることができ、各バーナによる投入熱量に差を設けることができる。この例では、6本のバーナからの投入熱量を120、115、115、105、80、65に設定している。この場合、最も投入熱量の多い120に対応する排出孔55を全開とし、この排出孔55を通過する枡部59に収納されている粉粒体が全量排出されるような回転速度にロータ61の回転速度を設定する。そうすることにより、開度調節装置65によって排出孔55の開度を全開よりも小さくした排出孔55では、枡部59が通過するときに枡部59に収容された粉粒体は全量が排出されずに開口率に比例した量だけ排出されることになる。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置でありながら、各枡部59からの排出量調節範囲を広くとることができ、また特に流動性の高い粉粒体に対しても正確な定量排出ができる。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、開度調節装置65における調節つまみ74は手動式のものを示したが、調節つまみ74をモータ駆動とし、インジケータ75にその位置を電気信号に変換して示すポジショナーを取り付けることによって、遠隔操作も可能になる。
【実施例】
【0056】
発明者は、排出孔55の開度調節量と排出比の関係を実証するためオイルコ−クスで実験を行なった。実験では、排出孔φ70mm、ロータ61の枡深さ20mm、回転数2.5RPMとし、開度調節装置65における調節つまみ74の調節量(締込量)0mm(全開)のときの排出量が100%になるように設定し、5mmごとに調節量を増やして20mmまで調節した。そして、各調節量に対応する粉粒体の排出量(kg/min)、排出比率(%)、計算による排出孔55の開度(%)を3回計測し、その平均値を求めた。結果を表1及び図18に示す。図18は、横軸を調節量(mm)、縦軸(左)を排出比率(%)、縦軸(右)を計算開度(%)として、調節量に対する排出比率及び計算開度の関係をグラフで示してものである。
【0057】
【表2】

【0058】
表2及び図18のグラフに示されるように、排出比率と計算開度がほぼ一致している。よって、排出孔の開度を調節することによって、開度に比例した粉粒体の排出が可能であり、開度調節装置65の開度調節によって排出孔55から排出される粉粒体の量を所望の値に設定できることが実証された。
【0059】
以上のように、本実施の形態で示した粉粒体切出し装置51によれば、テーブルフィーダ型の粉粒体切出し装置でありながら、各枡部59からの排出量調節範囲を広くとることができ、また特に流動性の高い粉粒体に対しても正確な定量排出ができる。
そして、図9に示すように、粉粒体切出し装置51から排出される粉粒体の搬送路の途中に実施の形態1で示した二分岐分配調整装置1を設置することにより、2段階での分配調整が可能となり、より大きな、あるいはより微妙な分配調整が可能となる。これによって、粉粒体のバーナへの供給量の調整が、液体燃料と同等程度に可能となり、粉粒体の補助燃料としての活用の幅を広げることができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0061】
1 二分岐分配調整装置 2 上流側配管 3 上流側接続管
4 分岐管 5 分岐接続管 7 分配量調節室
9 調節弁 11 調節機構 15 フランジ
17 弁体 19 軸部 21 側壁
23 伝動スクリュー軸 25 調節つまみ 27 インジケータ
29 フランジ 30 粉粒体の切出し搬送装置
31 テーブルフィーダ型切出装置 33 タンク 35 切出し部
50 粉粒体の切出し搬送装置 51 粉粒体切出し装置
53 タンク 53a フランジ 55 排出孔
57 底板 57a 底基板 59 枡部
61 ロータ 63 摺切板 65 開度調節装置
67 シュート 69 モータ 71 弁板
71a 辺部 73 伝動スクリュー軸 74 調節つまみ
75 インジケータ 77 燃焼バーナ 79 石灰焼成炉
81 気送管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を気送搬送する搬送路を途中で二つの搬送路に分岐して各分岐路のそれぞれに粉粒体を流す方法において、前記各分岐路と分岐前の搬送路の間に前記各分岐路に流す粉粒体の分配量を調節する分配量調節室を設け、該分配量調節室の流路断面積が前記分岐前の搬送路の流路断面積よりも大きくなるように設定し、該分配量調節室に流路交差方向に移動可能な調節弁を設け、該調節弁の位置を径方向に調節することによって前記各分岐路に流れる粉粒体の流量を調節するようにしたことを特徴とする粉粒体の二分岐分配調節方法。
【請求項2】
上流側の搬送路に連結可能な上流側接続管と、分岐された各分岐管に連結可能な一対の分岐接続管と、該一対の分岐接続管と前記上流側接続管との間に設けられた分配量調節室と、該分配量調節室に流路交差方向に移動可能に設置された調節弁と、該調節弁の位置を調節する調節手段とを備え、前記分配量調節室の流路断面積が前記上流側接続管の流路断面積よりも大きく設定されていることを特徴とする粉粒体の二分岐分配調節装置。
【請求項3】
前記上流側接続管の流路断面積をA、前記分配量調節室の流路断面積をB、前記一対の分岐接続管の各流路断面積をCとしたときに、B>AかつB>2Cの関係に設定されていることを特徴とする請求項2記載の粉粒体の二分岐分配調節装置。
【請求項4】
粉粒体を定量切出しする粉粒体切出し装置と、該粉粒体切出し装置から切出された粉粒体を搬送する搬送路とを備え、該搬送路の途中に請求項2または請求項3に記載の二分岐分配調節装置を備えてなることを特徴とする粉粒体の切出し搬送装置。
【請求項5】
前記粉粒体切出し装置は、複数の排出孔が設けられた底板と、該底板上を回転すると共に粉粒体が収容される枡部を有するロータと、該枡部の上方に設けられて前記枡部に収容される粉粒体を均す摺切板と、前記排出孔の少なくとも一つに対して設けられて該排出口の開口面積を調節する開度調節装置とを備えてなることを特徴とする請求項4に記載の粉粒体切出し搬送装置。
【請求項6】
開度調節装置は、スライド可能に設けられた弁板を備えてなることを特徴とする請求項5記載の粉粒体切出し搬送装置。
【請求項7】
開度調節装置は、前記排出孔の開口面積を100%〜50%の範囲で調節可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の粉粒体切出し搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−116522(P2011−116522A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277100(P2009−277100)
【出願日】平成21年12月5日(2009.12.5)
【出願人】(501120122)スチールプランテック株式会社 (49)
【Fターム(参考)】