説明

粒子供給装置

【課題】人の鼻を経由して気体、におい、液体、粉末等の粒子を供給する場合、必要量以上の粒子を除去することができ、しかも、人の鼻から人体に入らなかった粒子が空気中に浮遊することが少ない粒子供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】人の鼻の位置に所定の粒子を供給する経路を形成する供給管と、上記人の鼻の近傍に光を導く光導路と、上記人の鼻の位置に存在している粒子を排出する排出管とを有することを特徴とする粒子供給装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬を患者に投与する場合、口から飲む方法、注射による方法の他に、鼻を経由して投与する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−323086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、鼻を経由して薬を投与する従来例では、気体で構成されている薬を一定量だけ患者に投与する場合、患者に投与されずに、鼻の周辺に漂っている薬を除去することが困難であるという問題がある。また、患者に投与されない薬が空気中に浮遊すると、患者の周りの医師等、医療機関従事者が吸ってしまう可能性が残るという問題がある。
【0005】
上記問題は、気体に限らず、におい、液体、粉末等、粒子一般についても同様に生じる問題である。
【0006】
つまり、上記従来例では、人の鼻を経由して気体、におい、液体、粉末等の粒子を供給する場合、必要量以上の粒子を除去することができないという問題があり、しかも、人の鼻から人体に入らなかった粒子が空気中に浮遊することが少なくないという問題がある。
【0007】
本発明は、人の鼻を経由して気体、におい、液体、粉末等の粒子を供給する場合、必要量以上の粒子を除去することができ、しかも、人の鼻から人体に入らなかった粒子が空気中に浮遊することが少ない粒子供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、人の鼻の位置に所定の粒子を供給する経路を形成する供給管と、上記人の鼻の近傍に光を導く光導路と、上記人の鼻の位置に存在している粒子を排出する排出管とを有することを特徴とする粒子供給装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人の鼻を経由して気体、におい、液体、粉末等の粒子を供給する場合、必要量以上の粒子を除去することができ、しかも、人の鼻から人体に入らなかった粒子が空気中に浮遊することが少ないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1であるにおい供給装置SP1を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線から見た断面図である。
【図3】本発明の実施例2であるにおい供給装置SP2を示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線から見た断面図である。
【図5】本発明の実施例3を示すにおい供給装置SP3を示す図である。
【図6】図5のVI−VI線から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明を実施するための形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1であるにおい供給装置SP1を示す断面図である。
【0013】
図2は、図1のII−II線から見た断面図である。
【0014】
におい供給装置SP1は、光ファイバ10と、凹レンズ11と、内管20と、外管30とを有する。光ファイバ10は、人の鼻Nの近傍に光を導く光導路である。図示しない光源が設けられ、この光源は、光ファイバ10に光を供給する光源である。なお、上記光は、いわゆる光触媒であり、紫外線が使用される。なお、紫外線の代わりに可視光を使用するようにしてもよい。
【0015】
内管20は、人の鼻Nの位置に所定のにおいを供給する経路を形成する供給管である。外管30は、人の鼻Nの位置に存在しているにおい、空気を排出する排出管である。
【0016】
また、鼻Nと外管30とが接着され、内管20内の気体、外管30内の気体が外に漏れない構造になっている。なお、鼻Nと外管30との接着手段は、鼻Nと外管30とが密着し、内管20内の気体、外管30内の気体が外に漏れない構造であれば、どのような手段であってもよい。
【0017】
次に、上記実施例の動作について説明する。
【0018】
においを人の鼻Nに供給する前に、次の準備を行う。つまり、光ファイバ10の端部(鼻Nと反対の端部)を、図示しない光源に接続する。内管20の端部(鼻Nと反対の端部)を、図示しないにおい発生源に接続し、内管20の一部に、空気導入用の開口を設ける。また、外管30の端部(鼻Nと反対の端部)を、図示しない吸引用ポンプに接続する。
【0019】
そして、においを人の鼻Nに供給する場合、上記準備が整った後に、吸引用ポンプで吸引を開始する。これによって、におい発生源から、所定のにおいが内管20を経由して、人の鼻Nに達し、その人がにおいを感じる。所定時間、においを供給した後に、におい発生源のドア(図示せず)を閉じ、空気のみが人の鼻Nに供給される。ここで、図示しない光源が紫外線を発生し、光ファイバ10を経由し、凹レンズ11に達する。この凹レンズ11で、紫外線が拡散され、鼻の穴N1、N2の周辺を照射し、鼻の穴N1、N2の近傍に存在しているにおいの素(においの分子)を分解し、においを消去する。紫外線が光触媒となって、においを消去し、つまり脱臭する。
【0020】
におい供給装置SP1は、人に特定の匂いを嗅がせる場合に使用する装置である。たとえば、人に特定のにおいを嗅がせ、その反応を調べる場合に使用する。反応を調べる場合、MRIを使用するようにしてもよい。この場合、内管20、外管30を非磁性とすれば、MRIに悪影響を与えない。
【0021】
また、においを鼻に供給するためだけに、におい供給装置SP1を使用するのではなく、薬を患者に投与する場合に使用することができる。たとえば、頭痛薬等の鎮痛剤、筋肉弛緩剤、睡眠薬等の薬(薬品)を投与することができる。この場合、気体以外に、液体、粉末等の粒子(薬品)であってもよい。
【0022】
実施例1において、光ファイバ10を複数本、設けるようにしてもよい。光ファイバ10が、内管20に接着されていてもよく、外管30に接着されていてもよい。
【0023】
実施例1において、凹レンズ11を削除するようにしてもよい。また、凹レンズ11を削除し、光ファイバ10の先端部分に、凹レンズ形状を形成するようにしてもよい。
【0024】
実施例1では、内管20から鼻Nににおい、吸気を供給し、外管30を経由してにおい、呼気を排出しているが、これとは逆に、外管30から鼻Nににおい、吸気を供給し、内管20を経由してにおい、呼気を排出するようにしてもよい。
【0025】
さらに、実施例1において、内管20、外管30の断面が略楕円形状であるが、楕円形状以外の形状にしてもよい。
【0026】
なお、上記においとして、ラベンダー等を使用すれば、患者がリラックスする。
【実施例2】
【0027】
図3は、本発明の実施例2であるにおい供給装置SP2を示す断面図である。
【0028】
図4は、図3のIV−IV線から見た断面図である。
【0029】
におい供給装置SP2は、におい供給装置SP1において、シート40と二酸化チタン(TiO2)50とが付加された装置である。
【0030】
透明シート40は、厚さがたとえば、10μm〜数mmであり、図3には省略してあるが、外管30の端部に固定されている。
【0031】
二酸化チタン50は、光触媒であり、人の鼻の近傍に設けられる。紫外線だけでも、においを消去する効果があるが、二酸化チタン50に光を照射すると、光触媒の効果が促進される。なお、二酸化チタン50は、透明シート40に塗布され、光ファイバ10、凹レンズ11、透明シート40を経由した光が照射される位置に設けられている。透明シート40の光ファイバ10側に二酸化チタン50を塗布すれば、透明シート40が透明である必要はない。
【0032】
実施例2の動作は、基本的には、実施例1の動作と同じであるが、消臭動作がやや異なる。つまり、実施例2において、二酸化チタン50に紫外線が当たると、二酸化チタン50の表面から電子が飛び出し、この電子が抜け出た穴は、正孔(ホール)と呼ばれ、プラスの電荷を帯びている。上記正孔は強い酸化力を持ち、水中に存在しているOH−(水酸化物イオン)等から電子を奪う。この電子が奪われたOH−は、非常に不安定な状態であるOHラジカルになる。このOHラジカルは、強力な酸化力を持つので、その近くに存在している有機物から電子を奪い、自分自身が安定になろうとする。そして、電子を奪われた有機物は、結合を分断され、最終的には二酸化炭素や水になる。
【0033】
有機物の1つに、においがあるので、においの分子がその結合が分断され、二酸化炭素や水になる。また、アセトアルデヒド、アンモニア、硫化水素等の悪臭も分解される。
【0034】
上記のように、実施例2では、二酸化チタン50が設けられているので、光触媒の効果が促進され、実施例1よりも短時間で消臭され、また実施例1よりも消臭量が多い。
【0035】
二酸化チタン50の代わりに、他の光触媒を設けるようにしてもよい。
【実施例3】
【0036】
図5は、本発明の実施例3を示すにおい供給装置SP3を示す図である。
【0037】
図6は、図5のVI−VI線から見た断面図である。
【0038】
におい供給装置SP3は、におい供給装置SP2において、透明シート40の代わりにシート41が設けられ、二酸化チタン50の代わりに二酸化チタン51が設けられている。
【0039】
シート41は、透明でなくてもよいが、多数の透孔41hを有し、セラミック等で構成されているシートである。二酸化チタン51にも多数の透孔51hが設けられている。なお、二酸化チタン51に透孔51Hを設けなくてもよい。
【0040】
実施例3において、セラミックには多数の透孔41hが設けられ、光ファイバ10から放出された光が、この透孔41hを介して、二酸化チタン51に到達し、光触媒の作用をおこし、においが消去される。
【0041】
また、上記実施例において、内管20または外管30は、気体、におい、液体、粉末等の所定の粒子をプラスイオン化またはマイナスイオン化した後に、人の鼻Nの位置に供給する供給管であってもよい。このように、気体、におい、液体、粉末等の所定の粒子を予めイオン化して、鼻Nに供給し、余分になった粒子に光を当てれば、イオン化された粒子の分解が促進され、また、二酸化チタン51等の光触媒を併用すれば、イオン化された粒子の分解がさらに促進される。
【0042】
なお、上記実施例において、光、光触媒を使用する代わりに、プラスイオンを帯びた空気、またはマイナスイオンを帯びた空気をにおいに当てるようにしてもよい。
【0043】
つまり、人の鼻の位置に所定の粒子を供給する経路を形成する供給管と、プラスイオンを帯びた空気またはマイナスイオンを帯びた空気を、上記人の鼻の近傍に供給するイオン供給手段と、上記人の鼻の位置に存在している粒子を排出する排出管とを有する粒子供給装置を想定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
SP1〜SP3…におい供給装置、
10…光ファイバ、
20…内管、
30…外管、
40…透明シート、
41…シート
50、51…二酸化チタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の鼻の位置に所定の粒子を供給する経路を形成する供給管と;
上記人の鼻の近傍に光を導く光導路と;
上記人の鼻の位置に存在している粒子を排出する排出管と;
を有することを特徴とする粒子供給装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記光導路に光を供給する光源を有することを特徴とする粒子供給装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記粒子は、気体、におい、液体、粉末のうちの少なくとも1つであることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記粒子は、薬品であることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項5】
請求項1において、
上記人の鼻の近傍に光触媒が設けられていることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記光触媒は、シートに塗布され、この塗布されている上記光触媒に上記光が照射されることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記シートは、透明のシートまたは透孔を有するシートであることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項8】
請求項6において、
上記供給管、上記排出管は、非磁性であることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項9】
請求項1において、
上記供給管は、上記所定の粒子をプラスイオン化またはマイナスイオン化した後に、上記人の鼻の位置に供給する管であることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項10】
人の鼻の位置に所定の粒子を供給する経路を形成する供給管と;
プラスイオンを帯びた空気、または、マイナスイオンを帯びた空気を、上記人の鼻の近傍に供給するイオン供給手段と;
上記人の鼻の位置に存在している粒子を排出する排出管と;
を有することを特徴とする粒子供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−24421(P2012−24421A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167582(P2010−167582)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(501193218)株式会社 清原光学 (16)