粒子材料の動的粘弾性測定方法
【課題】粒子材料を動的粘弾性測定する際に、動的粘弾性測定可能な試験片を簡便、短時間、低コストで作成できるようにすることにより、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できるようにする。
【解決手段】粒子材料の動的粘弾性測定方法は、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用する。動的粘弾性測定の測定条件としては、測定温度−150〜300℃の範囲内の所定温度範囲、昇温速度0.01〜100℃/分の範囲内の一定温度、測定周波数0.01〜100Hzの範囲内の一定周波数、及び正弦波制御の引張りモードが挙げられる。粒子材料を粘着層に付着させる際、予め解砕処理した粒子材料を粘着層の片面に散布した後、粒子材料の散布面を、スキージ及び/又はエアブローを行う。
【解決手段】粒子材料の動的粘弾性測定方法は、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用する。動的粘弾性測定の測定条件としては、測定温度−150〜300℃の範囲内の所定温度範囲、昇温速度0.01〜100℃/分の範囲内の一定温度、測定周波数0.01〜100Hzの範囲内の一定周波数、及び正弦波制御の引張りモードが挙げられる。粒子材料を粘着層に付着させる際、予め解砕処理した粒子材料を粘着層の片面に散布した後、粒子材料の散布面を、スキージ及び/又はエアブローを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子材料の動的粘弾性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)法により行われることが多いが、材料の種類によってはガラス転移に起因する信号を検出できない場合がある。そのような場合、測定対象となる材料を比較的多量に用意し、それをシート状試験片やファイバー状試験片に成形しなければならないという欠点があるものの、それらの試験片を引張りモードの動的粘弾性測定により損失正接tanδを求め、その極大ピーク時の温度を、測定した樹脂材料のガラス転移温度とすることが行われている。
【0003】
ところで、フィラーとして使用するような微細な樹脂粒子材料の場合、粉体の集合体の熱伝導率が低いため、DSC法ではガラス転移に起因する信号を検出できず、必然的に動的粘弾性測定を行わざるを得なかった。しかし、微細な粒子材料の形態のままでは、引張りモードでも剪断モードでも3点曲げモードでも動的粘弾性測定が困難であるという問題があった。
【0004】
そのため、微細な樹脂粒子材料を動的粘弾性測定するためには、動的粘弾性測定可能な形状のサンプルを作成することが必要となっており、例えば、熱硬化型エポキシ樹脂100質量部に、ポリマー樹脂粒子50〜150質量部を配合した組成物を短冊状金型に流し込み、硬化処理して短冊状試験片(特許文献1)を作成することが提案されている。また、ジイソノニルフタレート100質量部に、アクリル系重合体粒子100質量部を分散させて得た分散物をキャストし、加熱することによりシート状試験片を作成することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−231731号公報
【特許文献2】特開2005−232297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許分献1及び2の技術では、粒子材料の動的粘弾性測定用のシート状試験片を作成する際に、比較的多量の樹脂粒子材料が必要となるばかりか、粒子材料含有分散物の調製工程、キャスト工程や成形工程、加熱処理工程等の煩雑な工程が必要となる。このため、シート状試験片の作成時間も含めたその動的粘弾性測定時間は増加し、測定コストも増大するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、粒子材料を動的粘弾性測定する際に、動的粘弾性測定可能な試験片を簡便、短時間、低コストで作成できるようにすることにより、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させて得たシート片を、動的粘弾性測定したところ、耐熱シート基材と粘着層とに由来する損失正接tanδの極大ピーク以外の極大ピーク(即ち、粒子材料に由来する損失正接tanδの極大ピーク)が観察されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、粒子材料の動的粘弾性測定方法であって、
動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用することを特徴とする動的粘弾性測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、粒子材料の動的粘弾性測定方法では、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用する。このシート状試験片の作成は、散布などの手法で、非常に少量の粒子材料を用いて、簡便且つ短時間、低コストで行うことができ、しかも粘着層が耐熱シート基材に形成されたシート材料として、廉価な市販のマスキングテープを適用することができる。よって、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、シート状試験片の断面図である。
【図2】図2は、図1のシート状試験片の部分拡大図である。
【図3A】図3Aは、シート状試験片の作成に使用する粘着シートの断面図である。
【図3B】図3Bは、シート状試験片の作成時における粒子材料の散布説明図である。
【図3C】図3Cは、シート状試験片の作成時におけるスキージ説明図である。
【図3D】図3Dは、シート状試験片の作成時におけるスキージ後の粒子材料の状態説明図である。
【図3E】図3Eは、シート状試験片の作成時におけるエアブロー説明図である。
【図4A】図4Aは、過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤の動的粘弾性チャートである。
【図4B】図4Bは、付加硬化型のシリコーン粘着剤の動的粘弾性チャートである。
【図4C】図4Cは、2液型のアクリル粘着剤の動的粘弾性チャートである。
【図5】図5は、シート状試験片の作成の際に使用した耐熱マスキングテープの動的粘弾性チャートである。
【図6A】図6Aは、実施例1で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率2000倍)である。
【図6B】図6Bは、実施例1で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図7A】図7Aは、実施例1で使用したシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【図7B】図7Bは、実施例1で使用したシート状試験片のDSCチャートである。
【図8A】図8Aは、実施例2で使用したシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【図8B】図8Bは、実施例2で使用したシート状試験片のDSCチャートである。
【図9A】図9Aは、実施例3で使用した粒子材料Cの体積換算の粒度分布チャートである。
【図9B】図9Bは、実施例3で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率2000倍)である。
【図10A】図10Aは、実施例4で使用した粒子材料Dの体積換算の粒度分布チャートである。
【図10B】図10Bは、実施例4で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率2000倍)である。
【図11】図11は、実施例3及び4で使用したシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【図12A】図12Aは、参考例5で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図12B】図12Bは、CV値6.89%の単分散粒子を使用した参考例5のシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の粒子材料の動的粘弾性測定方法は、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の動的粘弾性測定方法により粒子材料の動的粘弾性が測定できる理由は、次のように考えられる。即ち、図1に示すように、耐熱シート基材1の粘着層2の片面に粒子材料3が付着したシート状試験片10に対し、例えば、正弦波的に引張り変形(図中、矢印)させると、図2に示すように、粘着層2も耐熱シート基材1の変形に追随して変形する。また、粒子材料3は変形する粘着層2の粘着力により保持されているから、粘着層2の変形に伴って個々の粒子材料3が変形する。よって、シート状試験片10を正弦波的に引張り変形させることにより、個々の粒子材料3を正弦波的に引張り変形させることができ、その結果、粒子材料の動的粘弾性の測定が可能になると考えられる。
【0014】
従って、粘着層2に付着させる粒子材料3の量は、変形に対して動的粘弾性特性が検出できる量であれば粘着層2の全面に付着していなくてもよいが、動的粘弾性特性を検出し易くするために、粘着層2の全面を覆うように付着していることが好ましい。また、粘着層により直接的に変形を受けないような粒子材料塊状物は、粘着層の変形により生じる塊状物の崩壊が、粒子材料の動的粘弾性特性に影響を与えることが懸念されるので、粒子材料3が単層状に粘着層2に付着していることが好ましい。
【0015】
本発明に適用される動的粘弾性測定の手法としては、公知の動的粘弾性測定手法(JIS K7244参照)を適宜採用することができ、測定装置も市販の動的粘弾性測定装置を使用することができる(例えば、DMS6100、セイコーインスツル(株))。また、本発明の動的粘弾性測定方法に適用できる正弦波あるいは合成波制御の測定変形モードとしては、それぞれ引張りモード、ずり剪断モード、ねじり剪断モード、フィルムずりモード、3点曲げモード等が挙げられる。中でもシート状試験片の測定精度の点から正弦波制御の引張りモードが好ましい。
【0016】
また、動的粘弾性測定のバリエーションとしては、周波数依存測定、線形粘弾性域測定、温度依存測定、時間依存測定が挙げられる。ここで、周波数依存測定は、一定応力(又は一定ひずみ)の下、周波数を増大させながら動的粘弾性特性を測定するものであり、材料の凝集性、絡み合い、レベリング性などを評価するために行うものである。線形粘弾性域測定は、一定周波数の下、ひずみ(又は応力)を増大させながら動的粘弾性特性を測定するものであり、材料の降伏挙動を評するために行うためのものである。温度依存測定は、一定ひずみ(又は一定応力)、一定周波数の下、温度を連続的に変化させながら動的粘弾性特性を測定するものであり、材料の硬化・ゲル化・溶融・固化などを評価するために行うものである。時間依存測定は、一定ひずみ(又は一定応力)の下、時間により変化する動的粘弾性を測定するものであり、硬化波長・強度などの硬化条件による材料硬化挙動の変化を定量的に評価するものである。
【0017】
本発明の動的粘弾性測定の測定項目としては、測定変形モード等に応じて、貯蔵弾性率E′、損失弾性率E’’、損失正接tanδ(=[E′/E′])、損失剛性率G’’などが挙げられる。ここで、損失正接tanδの極大ピークを示す温度が、測定対象の粒子材料のガラス転移温度に相当する。
【0018】
本発明の粒子材料の動的粘弾性測定の好ましい測定態様としては、動的粘弾性測定が、以下の測定条件で行われる温度依存測定を挙げることができる。
【0019】
測定温度−150〜300℃の範囲内の所定温度範囲(例えば40〜220℃)、
昇温速度0.01〜100℃/分の範囲内の一定温度(例えば5℃/分)、
測定周波数0.01〜100Hzの範囲内の一定周波数(例えば10Hz)
正弦波制御の引張りモード。
【0020】
粒子材料を耐熱シート基材上の粘着層に付着させる一連の操作の好ましい例は、粒子材料を粘着層に付着させる際、粒子材料を粘着層の片面に散布した後、粒子材料の散布面を、スキージおよび/またはエアブローを行うものであり、この例を図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
先ず、図3Aに示すように、耐熱シート基材1に粘着層2が形成された粘着シートを用意する。このような耐熱シート基材1や粘着層2としては、動的粘弾性測定の測定温度範囲において、それらの損失正接tanδの極大ピークトップが、測定対象である粒子材料の損失正接tanδの極大ピークトップと重ならない材料からそれぞれ形成されていることが好ましい。更に、動的粘弾性測定の測定温度範囲において、損失正接tanδの極大ピークが現れない材料から形成されていることがより好ましい。これにより、測定対象である粒子材料の損失正接tanδの特定が容易となる。
【0022】
このような粘着層2や耐熱シート基材1の具体例としては、動的粘弾性測定の測定温度範囲が−50〜250℃である場合に、粘着層2として過酸化物を硬化剤として使用したシリコーン粘着剤から形成されたものを使用し、耐熱シート基材1としてポリイミド樹脂から形成されたものを使用したものが挙げられる。
【0023】
従って、粘着層2を形成するための粘着剤を選択するに際しては、対象となる粘着剤の損失正接tanδチャートを取得しておくことが好ましい。図4A、図4B及び図4Cに粘着剤の損失正接tanδチャートの例を示す。図4Aは過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤に関するものであり、図4Bは付加硬化型のシリコーン粘着剤に関するものであり、図4Cは2液型のアクリル粘着剤に関するものである。これらの図からわかるように、図4Aの過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤は、測定温度範囲において損失正接tanδチャートに極大ピークが存在しないため、本発明の粒子材料の動的粘弾性測定方法に好ましく適用できることがわかる。それに対し、図4B及び図4Cの粘着剤は、動的粘弾性測定の測定温度範囲でそれらの損失正接tanδの極大ピークが、粒子材料の損失正接tanδの極大ピークと重なる可能性があるため、本発明の粒子材料の動的粘弾性測定方法に適用する場合には、測定可能な粒子材料の範囲が非常に狭まることが予想される。
【0024】
耐熱シート基材1の厚みは、動的粘弾性測定の変形モードとその素材の物性等に応じて決定されるが、通常5μm〜1mm、好ましくは10μm〜0.1mmである。
【0025】
粘着層2の厚みも、動的粘弾性測定の変形モードとその素材の物性と測定対象となる粒子材料の大きさ等に応じて決定されるが、通常1μm〜1mm、好ましくは1μm〜0.1mmである。
【0026】
次に、図3Bに示すように、粘着層2の上方から粒子材料3を散布する。この場合、篩4を使用することが好ましい。また、粒子材料3も、予め公知の手法(例えば、ジェットミル処理)で解砕処理しておくことが好ましい。
【0027】
次に、図3Cに示すように、粘着層2に直接保持されていない粒子材料3′を除去し、また粘着層2に粒子材料3を密に且つ深く押し込むように保持させるために、公知の印刷用のスキージ具5で粒子材料3をスキージする。これにより粒子材料3は、図3Dのような状態となる。スキージ具5としては、ゴムベラ、金属ブレード、ウエス等を使用することもできる。次に、図3Eに示すように、スキージ処理面に対し、エアノズル6からエアブローを行うことにより不要な粒子材料を吹き飛ばし、図1に示すような、粒子材料3が単層で粘着層2に付着した、粒子材料の動的粘弾性測定に適したシート状試験片10が得られる。なお、スキージとエアブローは、そのいずれかだけを行ってもよく、エアブローを行った後にスキージを行ってもよいが、図3A〜3Eに示すように、スキージの後にエアブローを行うことが好ましい。
【0028】
本発明の動的粘弾性測定方法に適用する粒子材料としては、粘着層の変形に追随するものであれば、種々の材料から構成された粒子を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子、硬化樹脂粒子、多糖類粒子、蛋白粒子、金属あるいはセラミック被覆樹脂粒子等を使用することができる。
【0029】
また、これらの粒子材料の形状は、粘着層2に付着している粒子材料3全体が同じように変形することが望ましいため、略真球状であることが好ましい。
【0030】
粒子材料の大きさは、小さすぎると凝集しやすくなる傾向があり、大きすぎると、粘着層の変形に追随し難くなるので、好ましくは平均粒径が0.5〜100μm、より好ましくは1〜30μmである。
【0031】
また、粒子材料として、その粒径分布の変動係数(CV値)は好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。これは、この範囲を外れると、粒子材料の損失正接tanδ曲線がブロードになり、明確なガラス転移温度を判別しにくくなるからである。その理由は、CV値が小さすぎても大きすぎても、粘着層2上の粒子材料3の占有面積割合が減少するためと考えられる。
【0032】
このような粒子材料の例として、多官能イソシアネートを界面重合させた多孔質樹脂にアルミニウムキレート剤が保持された粒子材料が挙げられる(特開2009−221465号公報の実施例1)。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0034】
参考例1
以下の実施例並びに比較例で使用したポリイミドフィルムに過酸化物硬化型シリコーン粘着層が形成された市販の粘着シート(耐熱マスキングテープ5413、住友3M(株))について、それ自体の動的粘弾性測定を以下の条件で行った。得られた結果を図5に示す。
【0035】
測定装置: DMS6100、セイコーインスツル(株)
測定温度: 40〜220℃
昇温速度: 5℃/分
測定周波数: 10Hz
変形モード: 正弦波引張りモード
【0036】
図5からわかるように、測定温度範囲には損失正接tanδの極大ピークが観察されないことから、このマスキングテープは、測定温度範囲40〜220℃に損失正接tanδの極大ピークが想定される粒子材料の動的粘弾性測定に適していることがわかる。
【0037】
参考例2
動的粘弾性測定対象の粒子材料Aとして、ポリウレア−ウレタン−ポリジビニルベンゼン多孔質粒子を、特開2009−221465号公報の実施例1に従って製造した。
【0038】
先ず、蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR、日油(株))0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合することにより水相を調製した。
【0039】
この水相に、更に、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学(株))70質量部と、ラジカル重合性化合物としてジビニルベンゼン(メルク(株))30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油(株))をラジカル重合性化合物の1質量%相当量(0.3質量部)とを、酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10000rpm/5分:T−50、IKAジャパン(株))で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合とを行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより球状の多孔質粒子(粒子材料A)を得た。
【0040】
参考例3
動的粘弾性測定対象の粒子材料Bとして、ポリウレア−ウレタン−ポリジビニルベンゼン多孔質型アルミキレート硬化触媒粒子を、特開2009−221465号公報の実施例1に従って製造した。この硬化触媒粒子は、参考例2の多孔質粒子(粒子材料A)の孔にアルミキレート剤を保持させたものである。
【0041】
先ず、参考例2と同様に水相を調製した。
【0042】
この水相に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))100質量部と、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学(株))70質量部と、ラジカル重合性化合物としてジビニルベンゼン(メルク(株))30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油(株))0.3質量部(ラジカル重合性化合物の1質量%相当量)とを、酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10000rpm/5分:T−50、IKAジャパン(株))で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合を行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより球状のアルミキレート硬化触媒粒子(粒子材料B)を得た。
【0043】
参考例4
動的粘弾性測定対象の粒子材料Cとして、ポリウレア−ウレタン多孔質型アルミキレート硬化触媒粒子を、特許4381255号明細書の実施例1に従って製造した。
【0044】
先ず、蒸留水800重量部と、界面活性剤(ニューレックスR、日油(株))0.05重量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ社)4重量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合した。この混合液に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))11重量部と、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学(株))11重量部とを、酢酸エチル30重量部に溶解した油相溶液を投入し、ホモジナイザー(11000rpm/10分)で乳化混合後、60℃で一晩界面重合させた。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、界面重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより粒径10μm程度の球状のアルミキレート硬化触媒粒子(粒子材料C)20重量部を得た。
【0045】
実施例1
平坦なテーブル上に、ポリイミドフィルム基材に過酸化物硬化型シリコーン粘着層が形成された総厚66μmの耐熱マスキングテープ(5413、住友3M(株))を粘着層が上向きとなるように載置し、露出した粘着層にスパチュラを用いて粒子材料Aを散布した。散布後、クリーンワイパー(FF−390C、クラレクラフレックス(株))を用いてスキージし、続いて表面をエアブローした。これにより、粒子材料Aの動的粘弾性測定用のシート状試験片を得た。このシート状試験片の走査型電子顕微鏡写真を図6A(倍率2000倍)と図6B(倍率5000倍)とに示す。これらの写真から、粒子材料Aの殆どが粘着層に単層で付着していることがわかる。
【0046】
得られたシート状試験片に対し、参考例1と同様に動的粘弾性試験を行い、得られた動的粘弾性チャートを図7Aに示す。図7Aからわかるように、粒子材料A由来の損失正接tanδの極大ピークが観察され、その極大ピークの温度は69.2℃(ガラス転移温度)であった。
【0047】
なお、得られたシート状試験片を、示差熱分析装置(DSC)(DSC6200,セイコーインスツル(株))を用いて、残留モノマーや残留溶媒の影響を払拭するために、一度熱分析(測定量5mmg;昇温速度10℃/分)を行った後、放冷し2回目の熱分析を行った。得られたDSCチャートを図7Bに示す。図7Bから、2回目のDSC曲線には変極点が観察されなかったことがわかる。従って、粒子材料Aのガラス転移温度は、DSC測定では測定することができないことがわかった。
【0048】
実施例2
粒子材料Aに代えて参考例3の粒子材料Bを使用すること以外、実施例1と同様にシート状試験片を作成し、動的粘弾性測定を行った。得られた結果を図8Aに示す。図8Aからわかるように、粒子材料B由来の損失正接tanδの極大ピークが観察され、その極大ピークの温度は63.5℃(ガラス転移温度)であった。この結果と実施例1の結果とを考慮すると、多孔質粒子にアルミキレート剤を保持させると、重合壁が可塑化されガラス転移温度が約5℃低下することがわかる。
【0049】
なお、得られたシート状試験片を、示差熱分析装置(DSC)(DSC6200,セイコーインスツル(株))を用いて、残留モノマーや残留溶媒の影響を払拭するために、一度熱分析(測定量5mmg;昇温速度10℃/分)を行った後、放冷し2回目の熱分析を行った。得られたDSCチャートを図8Bに示す。図8Bから、2回目のDSC曲線には変極点が観察されなかったことがわかる。従って、粒子材料Bのガラス転移温度は、DSC測定では測定することができないことがわかった。
【0050】
実施例3及び4
参考例4の粒子材料Cの半分を、ジェットミル(AO−JET MILL、セイシン企業(株))を用いて解砕処理して一次粒子化したものを粒子材料Dとした。粒子材料C及びDのそれぞれの粒度分布を粒度分布計(SD−2000、シスメックス(株))を用いて測定した。得られた結果(体積換算)を図9A(粒子材料C)と図10A(粒子材料D)に示す。図9A及び図10Aから、解砕処理していない粒子材料Cの粒度分布CV値(%)は72.1%であり、解砕処理した粒子材料Dの粒度分布CV値(%)は31.8%であった。
【0051】
粒子材料Aに代えて粒子材料C(実施例3)又は粒子材料D(実施例4)を使用すること以外、実施例1と同様にシート状試験片を作成し、動的粘弾性測定を行った。これらシート状試験片の走査型電子顕微鏡写真を図9B(実施例3、倍率2000倍)と図10B(実施例4、倍率2000倍)とに示す。また、得られた動的粘弾性測定結果を図11に示す。図11からわかるように、粒子材料C及びD由来の損失正接tanδの極大ピークが観察され、その極大ピークの温度は粒子材料Cの場合64.6℃であり、粒子材料Dの場合65.1℃であり、両者に大きな差がないが、大きな凝集物が比較的多く存在している粒子材料Cの損失正接tanδの極大ピークがブロードになる傾向があった。
【0052】
参考例5
粒子材料Aに代えて、粒度分布CV値(%)が6.89%の単分散アクリルポリマー粒子(アートパールJ−5P、根上工業(株))を用いること以外、実施例1と同様にシート状試験片を作成し、動的粘弾性測定を行った。このシート状試験片の走査型電子顕微鏡写真を図12A(倍率5000倍)に示す。また、得られた動的粘弾性測定結果を図12Bに示す。図12Bからわかるように、損失正接tanδの極大ピークが、CV値が30%以上の実施例3及び4の場合に比べて、非常にブロードとなることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の動的粘弾性測定方法は、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用する。このシート状試験片の作成は、散布などの手法で、非常に少量の粒子材料を用いて、簡便且つ短時間、低コストで行うことができ、しかも粘着層が耐熱シート基材に形成されたシート材料として、廉価な市販のマスキングテープを適用することができる。よって、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できるので、粒子材料の動的粘弾性測定に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 耐熱シート基材
2 粘着層
3、3′ 粒子材料
4 篩
5 スキージ具
6 エアノズル
10 シート状試験片
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子材料の動的粘弾性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)法により行われることが多いが、材料の種類によってはガラス転移に起因する信号を検出できない場合がある。そのような場合、測定対象となる材料を比較的多量に用意し、それをシート状試験片やファイバー状試験片に成形しなければならないという欠点があるものの、それらの試験片を引張りモードの動的粘弾性測定により損失正接tanδを求め、その極大ピーク時の温度を、測定した樹脂材料のガラス転移温度とすることが行われている。
【0003】
ところで、フィラーとして使用するような微細な樹脂粒子材料の場合、粉体の集合体の熱伝導率が低いため、DSC法ではガラス転移に起因する信号を検出できず、必然的に動的粘弾性測定を行わざるを得なかった。しかし、微細な粒子材料の形態のままでは、引張りモードでも剪断モードでも3点曲げモードでも動的粘弾性測定が困難であるという問題があった。
【0004】
そのため、微細な樹脂粒子材料を動的粘弾性測定するためには、動的粘弾性測定可能な形状のサンプルを作成することが必要となっており、例えば、熱硬化型エポキシ樹脂100質量部に、ポリマー樹脂粒子50〜150質量部を配合した組成物を短冊状金型に流し込み、硬化処理して短冊状試験片(特許文献1)を作成することが提案されている。また、ジイソノニルフタレート100質量部に、アクリル系重合体粒子100質量部を分散させて得た分散物をキャストし、加熱することによりシート状試験片を作成することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−231731号公報
【特許文献2】特開2005−232297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許分献1及び2の技術では、粒子材料の動的粘弾性測定用のシート状試験片を作成する際に、比較的多量の樹脂粒子材料が必要となるばかりか、粒子材料含有分散物の調製工程、キャスト工程や成形工程、加熱処理工程等の煩雑な工程が必要となる。このため、シート状試験片の作成時間も含めたその動的粘弾性測定時間は増加し、測定コストも増大するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、粒子材料を動的粘弾性測定する際に、動的粘弾性測定可能な試験片を簡便、短時間、低コストで作成できるようにすることにより、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させて得たシート片を、動的粘弾性測定したところ、耐熱シート基材と粘着層とに由来する損失正接tanδの極大ピーク以外の極大ピーク(即ち、粒子材料に由来する損失正接tanδの極大ピーク)が観察されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、粒子材料の動的粘弾性測定方法であって、
動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用することを特徴とする動的粘弾性測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、粒子材料の動的粘弾性測定方法では、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用する。このシート状試験片の作成は、散布などの手法で、非常に少量の粒子材料を用いて、簡便且つ短時間、低コストで行うことができ、しかも粘着層が耐熱シート基材に形成されたシート材料として、廉価な市販のマスキングテープを適用することができる。よって、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、シート状試験片の断面図である。
【図2】図2は、図1のシート状試験片の部分拡大図である。
【図3A】図3Aは、シート状試験片の作成に使用する粘着シートの断面図である。
【図3B】図3Bは、シート状試験片の作成時における粒子材料の散布説明図である。
【図3C】図3Cは、シート状試験片の作成時におけるスキージ説明図である。
【図3D】図3Dは、シート状試験片の作成時におけるスキージ後の粒子材料の状態説明図である。
【図3E】図3Eは、シート状試験片の作成時におけるエアブロー説明図である。
【図4A】図4Aは、過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤の動的粘弾性チャートである。
【図4B】図4Bは、付加硬化型のシリコーン粘着剤の動的粘弾性チャートである。
【図4C】図4Cは、2液型のアクリル粘着剤の動的粘弾性チャートである。
【図5】図5は、シート状試験片の作成の際に使用した耐熱マスキングテープの動的粘弾性チャートである。
【図6A】図6Aは、実施例1で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率2000倍)である。
【図6B】図6Bは、実施例1で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図7A】図7Aは、実施例1で使用したシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【図7B】図7Bは、実施例1で使用したシート状試験片のDSCチャートである。
【図8A】図8Aは、実施例2で使用したシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【図8B】図8Bは、実施例2で使用したシート状試験片のDSCチャートである。
【図9A】図9Aは、実施例3で使用した粒子材料Cの体積換算の粒度分布チャートである。
【図9B】図9Bは、実施例3で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率2000倍)である。
【図10A】図10Aは、実施例4で使用した粒子材料Dの体積換算の粒度分布チャートである。
【図10B】図10Bは、実施例4で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率2000倍)である。
【図11】図11は、実施例3及び4で使用したシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【図12A】図12Aは、参考例5で使用したシート状試験片の粒子材料付着面の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図12B】図12Bは、CV値6.89%の単分散粒子を使用した参考例5のシート状試験片の動的粘弾性チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の粒子材料の動的粘弾性測定方法は、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の動的粘弾性測定方法により粒子材料の動的粘弾性が測定できる理由は、次のように考えられる。即ち、図1に示すように、耐熱シート基材1の粘着層2の片面に粒子材料3が付着したシート状試験片10に対し、例えば、正弦波的に引張り変形(図中、矢印)させると、図2に示すように、粘着層2も耐熱シート基材1の変形に追随して変形する。また、粒子材料3は変形する粘着層2の粘着力により保持されているから、粘着層2の変形に伴って個々の粒子材料3が変形する。よって、シート状試験片10を正弦波的に引張り変形させることにより、個々の粒子材料3を正弦波的に引張り変形させることができ、その結果、粒子材料の動的粘弾性の測定が可能になると考えられる。
【0014】
従って、粘着層2に付着させる粒子材料3の量は、変形に対して動的粘弾性特性が検出できる量であれば粘着層2の全面に付着していなくてもよいが、動的粘弾性特性を検出し易くするために、粘着層2の全面を覆うように付着していることが好ましい。また、粘着層により直接的に変形を受けないような粒子材料塊状物は、粘着層の変形により生じる塊状物の崩壊が、粒子材料の動的粘弾性特性に影響を与えることが懸念されるので、粒子材料3が単層状に粘着層2に付着していることが好ましい。
【0015】
本発明に適用される動的粘弾性測定の手法としては、公知の動的粘弾性測定手法(JIS K7244参照)を適宜採用することができ、測定装置も市販の動的粘弾性測定装置を使用することができる(例えば、DMS6100、セイコーインスツル(株))。また、本発明の動的粘弾性測定方法に適用できる正弦波あるいは合成波制御の測定変形モードとしては、それぞれ引張りモード、ずり剪断モード、ねじり剪断モード、フィルムずりモード、3点曲げモード等が挙げられる。中でもシート状試験片の測定精度の点から正弦波制御の引張りモードが好ましい。
【0016】
また、動的粘弾性測定のバリエーションとしては、周波数依存測定、線形粘弾性域測定、温度依存測定、時間依存測定が挙げられる。ここで、周波数依存測定は、一定応力(又は一定ひずみ)の下、周波数を増大させながら動的粘弾性特性を測定するものであり、材料の凝集性、絡み合い、レベリング性などを評価するために行うものである。線形粘弾性域測定は、一定周波数の下、ひずみ(又は応力)を増大させながら動的粘弾性特性を測定するものであり、材料の降伏挙動を評するために行うためのものである。温度依存測定は、一定ひずみ(又は一定応力)、一定周波数の下、温度を連続的に変化させながら動的粘弾性特性を測定するものであり、材料の硬化・ゲル化・溶融・固化などを評価するために行うものである。時間依存測定は、一定ひずみ(又は一定応力)の下、時間により変化する動的粘弾性を測定するものであり、硬化波長・強度などの硬化条件による材料硬化挙動の変化を定量的に評価するものである。
【0017】
本発明の動的粘弾性測定の測定項目としては、測定変形モード等に応じて、貯蔵弾性率E′、損失弾性率E’’、損失正接tanδ(=[E′/E′])、損失剛性率G’’などが挙げられる。ここで、損失正接tanδの極大ピークを示す温度が、測定対象の粒子材料のガラス転移温度に相当する。
【0018】
本発明の粒子材料の動的粘弾性測定の好ましい測定態様としては、動的粘弾性測定が、以下の測定条件で行われる温度依存測定を挙げることができる。
【0019】
測定温度−150〜300℃の範囲内の所定温度範囲(例えば40〜220℃)、
昇温速度0.01〜100℃/分の範囲内の一定温度(例えば5℃/分)、
測定周波数0.01〜100Hzの範囲内の一定周波数(例えば10Hz)
正弦波制御の引張りモード。
【0020】
粒子材料を耐熱シート基材上の粘着層に付着させる一連の操作の好ましい例は、粒子材料を粘着層に付着させる際、粒子材料を粘着層の片面に散布した後、粒子材料の散布面を、スキージおよび/またはエアブローを行うものであり、この例を図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
先ず、図3Aに示すように、耐熱シート基材1に粘着層2が形成された粘着シートを用意する。このような耐熱シート基材1や粘着層2としては、動的粘弾性測定の測定温度範囲において、それらの損失正接tanδの極大ピークトップが、測定対象である粒子材料の損失正接tanδの極大ピークトップと重ならない材料からそれぞれ形成されていることが好ましい。更に、動的粘弾性測定の測定温度範囲において、損失正接tanδの極大ピークが現れない材料から形成されていることがより好ましい。これにより、測定対象である粒子材料の損失正接tanδの特定が容易となる。
【0022】
このような粘着層2や耐熱シート基材1の具体例としては、動的粘弾性測定の測定温度範囲が−50〜250℃である場合に、粘着層2として過酸化物を硬化剤として使用したシリコーン粘着剤から形成されたものを使用し、耐熱シート基材1としてポリイミド樹脂から形成されたものを使用したものが挙げられる。
【0023】
従って、粘着層2を形成するための粘着剤を選択するに際しては、対象となる粘着剤の損失正接tanδチャートを取得しておくことが好ましい。図4A、図4B及び図4Cに粘着剤の損失正接tanδチャートの例を示す。図4Aは過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤に関するものであり、図4Bは付加硬化型のシリコーン粘着剤に関するものであり、図4Cは2液型のアクリル粘着剤に関するものである。これらの図からわかるように、図4Aの過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤は、測定温度範囲において損失正接tanδチャートに極大ピークが存在しないため、本発明の粒子材料の動的粘弾性測定方法に好ましく適用できることがわかる。それに対し、図4B及び図4Cの粘着剤は、動的粘弾性測定の測定温度範囲でそれらの損失正接tanδの極大ピークが、粒子材料の損失正接tanδの極大ピークと重なる可能性があるため、本発明の粒子材料の動的粘弾性測定方法に適用する場合には、測定可能な粒子材料の範囲が非常に狭まることが予想される。
【0024】
耐熱シート基材1の厚みは、動的粘弾性測定の変形モードとその素材の物性等に応じて決定されるが、通常5μm〜1mm、好ましくは10μm〜0.1mmである。
【0025】
粘着層2の厚みも、動的粘弾性測定の変形モードとその素材の物性と測定対象となる粒子材料の大きさ等に応じて決定されるが、通常1μm〜1mm、好ましくは1μm〜0.1mmである。
【0026】
次に、図3Bに示すように、粘着層2の上方から粒子材料3を散布する。この場合、篩4を使用することが好ましい。また、粒子材料3も、予め公知の手法(例えば、ジェットミル処理)で解砕処理しておくことが好ましい。
【0027】
次に、図3Cに示すように、粘着層2に直接保持されていない粒子材料3′を除去し、また粘着層2に粒子材料3を密に且つ深く押し込むように保持させるために、公知の印刷用のスキージ具5で粒子材料3をスキージする。これにより粒子材料3は、図3Dのような状態となる。スキージ具5としては、ゴムベラ、金属ブレード、ウエス等を使用することもできる。次に、図3Eに示すように、スキージ処理面に対し、エアノズル6からエアブローを行うことにより不要な粒子材料を吹き飛ばし、図1に示すような、粒子材料3が単層で粘着層2に付着した、粒子材料の動的粘弾性測定に適したシート状試験片10が得られる。なお、スキージとエアブローは、そのいずれかだけを行ってもよく、エアブローを行った後にスキージを行ってもよいが、図3A〜3Eに示すように、スキージの後にエアブローを行うことが好ましい。
【0028】
本発明の動的粘弾性測定方法に適用する粒子材料としては、粘着層の変形に追随するものであれば、種々の材料から構成された粒子を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子、硬化樹脂粒子、多糖類粒子、蛋白粒子、金属あるいはセラミック被覆樹脂粒子等を使用することができる。
【0029】
また、これらの粒子材料の形状は、粘着層2に付着している粒子材料3全体が同じように変形することが望ましいため、略真球状であることが好ましい。
【0030】
粒子材料の大きさは、小さすぎると凝集しやすくなる傾向があり、大きすぎると、粘着層の変形に追随し難くなるので、好ましくは平均粒径が0.5〜100μm、より好ましくは1〜30μmである。
【0031】
また、粒子材料として、その粒径分布の変動係数(CV値)は好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。これは、この範囲を外れると、粒子材料の損失正接tanδ曲線がブロードになり、明確なガラス転移温度を判別しにくくなるからである。その理由は、CV値が小さすぎても大きすぎても、粘着層2上の粒子材料3の占有面積割合が減少するためと考えられる。
【0032】
このような粒子材料の例として、多官能イソシアネートを界面重合させた多孔質樹脂にアルミニウムキレート剤が保持された粒子材料が挙げられる(特開2009−221465号公報の実施例1)。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0034】
参考例1
以下の実施例並びに比較例で使用したポリイミドフィルムに過酸化物硬化型シリコーン粘着層が形成された市販の粘着シート(耐熱マスキングテープ5413、住友3M(株))について、それ自体の動的粘弾性測定を以下の条件で行った。得られた結果を図5に示す。
【0035】
測定装置: DMS6100、セイコーインスツル(株)
測定温度: 40〜220℃
昇温速度: 5℃/分
測定周波数: 10Hz
変形モード: 正弦波引張りモード
【0036】
図5からわかるように、測定温度範囲には損失正接tanδの極大ピークが観察されないことから、このマスキングテープは、測定温度範囲40〜220℃に損失正接tanδの極大ピークが想定される粒子材料の動的粘弾性測定に適していることがわかる。
【0037】
参考例2
動的粘弾性測定対象の粒子材料Aとして、ポリウレア−ウレタン−ポリジビニルベンゼン多孔質粒子を、特開2009−221465号公報の実施例1に従って製造した。
【0038】
先ず、蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR、日油(株))0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合することにより水相を調製した。
【0039】
この水相に、更に、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学(株))70質量部と、ラジカル重合性化合物としてジビニルベンゼン(メルク(株))30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油(株))をラジカル重合性化合物の1質量%相当量(0.3質量部)とを、酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10000rpm/5分:T−50、IKAジャパン(株))で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合とを行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより球状の多孔質粒子(粒子材料A)を得た。
【0040】
参考例3
動的粘弾性測定対象の粒子材料Bとして、ポリウレア−ウレタン−ポリジビニルベンゼン多孔質型アルミキレート硬化触媒粒子を、特開2009−221465号公報の実施例1に従って製造した。この硬化触媒粒子は、参考例2の多孔質粒子(粒子材料A)の孔にアルミキレート剤を保持させたものである。
【0041】
先ず、参考例2と同様に水相を調製した。
【0042】
この水相に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))100質量部と、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学(株))70質量部と、ラジカル重合性化合物としてジビニルベンゼン(メルク(株))30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油(株))0.3質量部(ラジカル重合性化合物の1質量%相当量)とを、酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10000rpm/5分:T−50、IKAジャパン(株))で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合を行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより球状のアルミキレート硬化触媒粒子(粒子材料B)を得た。
【0043】
参考例4
動的粘弾性測定対象の粒子材料Cとして、ポリウレア−ウレタン多孔質型アルミキレート硬化触媒粒子を、特許4381255号明細書の実施例1に従って製造した。
【0044】
先ず、蒸留水800重量部と、界面活性剤(ニューレックスR、日油(株))0.05重量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ社)4重量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合した。この混合液に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))11重量部と、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学(株))11重量部とを、酢酸エチル30重量部に溶解した油相溶液を投入し、ホモジナイザー(11000rpm/10分)で乳化混合後、60℃で一晩界面重合させた。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、界面重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより粒径10μm程度の球状のアルミキレート硬化触媒粒子(粒子材料C)20重量部を得た。
【0045】
実施例1
平坦なテーブル上に、ポリイミドフィルム基材に過酸化物硬化型シリコーン粘着層が形成された総厚66μmの耐熱マスキングテープ(5413、住友3M(株))を粘着層が上向きとなるように載置し、露出した粘着層にスパチュラを用いて粒子材料Aを散布した。散布後、クリーンワイパー(FF−390C、クラレクラフレックス(株))を用いてスキージし、続いて表面をエアブローした。これにより、粒子材料Aの動的粘弾性測定用のシート状試験片を得た。このシート状試験片の走査型電子顕微鏡写真を図6A(倍率2000倍)と図6B(倍率5000倍)とに示す。これらの写真から、粒子材料Aの殆どが粘着層に単層で付着していることがわかる。
【0046】
得られたシート状試験片に対し、参考例1と同様に動的粘弾性試験を行い、得られた動的粘弾性チャートを図7Aに示す。図7Aからわかるように、粒子材料A由来の損失正接tanδの極大ピークが観察され、その極大ピークの温度は69.2℃(ガラス転移温度)であった。
【0047】
なお、得られたシート状試験片を、示差熱分析装置(DSC)(DSC6200,セイコーインスツル(株))を用いて、残留モノマーや残留溶媒の影響を払拭するために、一度熱分析(測定量5mmg;昇温速度10℃/分)を行った後、放冷し2回目の熱分析を行った。得られたDSCチャートを図7Bに示す。図7Bから、2回目のDSC曲線には変極点が観察されなかったことがわかる。従って、粒子材料Aのガラス転移温度は、DSC測定では測定することができないことがわかった。
【0048】
実施例2
粒子材料Aに代えて参考例3の粒子材料Bを使用すること以外、実施例1と同様にシート状試験片を作成し、動的粘弾性測定を行った。得られた結果を図8Aに示す。図8Aからわかるように、粒子材料B由来の損失正接tanδの極大ピークが観察され、その極大ピークの温度は63.5℃(ガラス転移温度)であった。この結果と実施例1の結果とを考慮すると、多孔質粒子にアルミキレート剤を保持させると、重合壁が可塑化されガラス転移温度が約5℃低下することがわかる。
【0049】
なお、得られたシート状試験片を、示差熱分析装置(DSC)(DSC6200,セイコーインスツル(株))を用いて、残留モノマーや残留溶媒の影響を払拭するために、一度熱分析(測定量5mmg;昇温速度10℃/分)を行った後、放冷し2回目の熱分析を行った。得られたDSCチャートを図8Bに示す。図8Bから、2回目のDSC曲線には変極点が観察されなかったことがわかる。従って、粒子材料Bのガラス転移温度は、DSC測定では測定することができないことがわかった。
【0050】
実施例3及び4
参考例4の粒子材料Cの半分を、ジェットミル(AO−JET MILL、セイシン企業(株))を用いて解砕処理して一次粒子化したものを粒子材料Dとした。粒子材料C及びDのそれぞれの粒度分布を粒度分布計(SD−2000、シスメックス(株))を用いて測定した。得られた結果(体積換算)を図9A(粒子材料C)と図10A(粒子材料D)に示す。図9A及び図10Aから、解砕処理していない粒子材料Cの粒度分布CV値(%)は72.1%であり、解砕処理した粒子材料Dの粒度分布CV値(%)は31.8%であった。
【0051】
粒子材料Aに代えて粒子材料C(実施例3)又は粒子材料D(実施例4)を使用すること以外、実施例1と同様にシート状試験片を作成し、動的粘弾性測定を行った。これらシート状試験片の走査型電子顕微鏡写真を図9B(実施例3、倍率2000倍)と図10B(実施例4、倍率2000倍)とに示す。また、得られた動的粘弾性測定結果を図11に示す。図11からわかるように、粒子材料C及びD由来の損失正接tanδの極大ピークが観察され、その極大ピークの温度は粒子材料Cの場合64.6℃であり、粒子材料Dの場合65.1℃であり、両者に大きな差がないが、大きな凝集物が比較的多く存在している粒子材料Cの損失正接tanδの極大ピークがブロードになる傾向があった。
【0052】
参考例5
粒子材料Aに代えて、粒度分布CV値(%)が6.89%の単分散アクリルポリマー粒子(アートパールJ−5P、根上工業(株))を用いること以外、実施例1と同様にシート状試験片を作成し、動的粘弾性測定を行った。このシート状試験片の走査型電子顕微鏡写真を図12A(倍率5000倍)に示す。また、得られた動的粘弾性測定結果を図12Bに示す。図12Bからわかるように、損失正接tanδの極大ピークが、CV値が30%以上の実施例3及び4の場合に比べて、非常にブロードとなることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の動的粘弾性測定方法は、動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用する。このシート状試験片の作成は、散布などの手法で、非常に少量の粒子材料を用いて、簡便且つ短時間、低コストで行うことができ、しかも粘着層が耐熱シート基材に形成されたシート材料として、廉価な市販のマスキングテープを適用することができる。よって、シート状試験片の作成時間も含めた動的粘弾性測定時間を短縮し、測定コストも低減できるので、粒子材料の動的粘弾性測定に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 耐熱シート基材
2 粘着層
3、3′ 粒子材料
4 篩
5 スキージ具
6 エアノズル
10 シート状試験片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子材料の動的粘弾性測定方法であって、
動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用することを特徴とする動的粘弾性測定方法。
【請求項2】
動的粘弾性測定が、以下の測定条件
測定温度−150〜300℃の範囲内の所定温度範囲、
昇温速度0.01〜100℃/分の範囲内の一定温度、
測定周波数0.01〜100Hzの範囲内の一定周波数、及び
正弦波制御の引張りモード
で行われる温度依存測定である請求項1記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項3】
予め解砕処理しておいた粒子材料を粘着層に付着させる請求項1記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項4】
粒子材料を粘着層に付着させる際、粒子材料を粘着層の片面に散布した後、粒子材料の散布面を、スキージ及び/又はエアブローを行う請求項1〜3のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項5】
動的粘弾性測定として、損失正接tanδを測定する請求項1〜4のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項6】
粘着層及び耐熱シート基材として、動的粘弾性測定の測定温度範囲において、それらの損失正接tanδの極大ピークトップが、測定対象である粒子材料の損失正接tanδの極大ピークトップと重ならない材料からそれぞれ形成されている請求項2〜5のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項7】
動的粘弾性測定の測定温度範囲が−50〜250℃である場合に、粘着層として過酸化物を硬化剤として使用したシリコーン粘着剤から形成されたものを使用し、耐熱シート基材としてポリイミド樹脂から形成されたものを使用する請求項6記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項8】
粒子材料として、粒径分布の変動係数(CV値)が5〜70%の樹脂粒子を使用する請求項1〜7のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項9】
粒子材料が、多官能イソシアネートを界面重合させた多孔質樹脂にアルミニウムキレート剤が保持された粒子材料である請求項8記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項1】
粒子材料の動的粘弾性測定方法であって、
動的粘弾性の測定に供するサンプルとして、粘着層が形成された耐熱シート基材の当該粘着層に測定対象である粒子材料を付着させたシート状試験片を使用することを特徴とする動的粘弾性測定方法。
【請求項2】
動的粘弾性測定が、以下の測定条件
測定温度−150〜300℃の範囲内の所定温度範囲、
昇温速度0.01〜100℃/分の範囲内の一定温度、
測定周波数0.01〜100Hzの範囲内の一定周波数、及び
正弦波制御の引張りモード
で行われる温度依存測定である請求項1記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項3】
予め解砕処理しておいた粒子材料を粘着層に付着させる請求項1記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項4】
粒子材料を粘着層に付着させる際、粒子材料を粘着層の片面に散布した後、粒子材料の散布面を、スキージ及び/又はエアブローを行う請求項1〜3のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項5】
動的粘弾性測定として、損失正接tanδを測定する請求項1〜4のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項6】
粘着層及び耐熱シート基材として、動的粘弾性測定の測定温度範囲において、それらの損失正接tanδの極大ピークトップが、測定対象である粒子材料の損失正接tanδの極大ピークトップと重ならない材料からそれぞれ形成されている請求項2〜5のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項7】
動的粘弾性測定の測定温度範囲が−50〜250℃である場合に、粘着層として過酸化物を硬化剤として使用したシリコーン粘着剤から形成されたものを使用し、耐熱シート基材としてポリイミド樹脂から形成されたものを使用する請求項6記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項8】
粒子材料として、粒径分布の変動係数(CV値)が5〜70%の樹脂粒子を使用する請求項1〜7のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
【請求項9】
粒子材料が、多官能イソシアネートを界面重合させた多孔質樹脂にアルミニウムキレート剤が保持された粒子材料である請求項8記載の動的粘弾性測定方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図11】
【図12B】
【図6A】
【図6B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図12A】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図11】
【図12B】
【図6A】
【図6B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図12A】
【公開番号】特開2013−24801(P2013−24801A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162016(P2011−162016)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000108410)デクセリアルズ株式会社 (595)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000108410)デクセリアルズ株式会社 (595)
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