粒子配置用マスクおよびそれを用いた粒子配置方法
【課題】粒子配置用マスクを利用して表示媒体とする粒子群を配置する際、粒子を正確に所定のセル内に配置できる粒子配置用マスクおよびそれを用いた粒子配置方法を提供する。
【解決手段】2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクであって、マスク部11−2の縁部11−3を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部11−3が反らないように構成する。
【解決手段】2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクであって、マスク部11−2の縁部11−3を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部11−3が反らないように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクおよびそれを用いた粒子配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した、少なくとも光学的反射率および帯電特性が互いに異なる、少なくとも2種類の表示媒体として、色と帯電極性とが異なる2種類の表示媒体(粒子群)の組み合わせを1つのセル内に封入し、また、色と帯電極性とが異なる別の2種類の表示媒体(粒子群)の組み合わせを別の1つのセル内に封入し、互いに別の表示媒体(粒子群)の組み合せが封入されてなるセルは別々のセル群として集めて、表示画面を複数に分割した各表示領域(エリア)に配置してエリアカラー表示を行う方式の情報表示用パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、表示画面(全表示領域)を複数に分割した各表示領域(エリア)に配置してエリア別カラー表示を行う方式の情報表示用パネルを作製する際に、セルが形成されたパネル基板の上方から、表示媒体とする粒子群を落下させてセル内に充填する方法も知られている。さらに、その際、充填しようとしている色の粒子群を充填したくないセルの上がマスク部となるようにマスクを配置して粒子群の充填を行うことも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図20(a)、(b)はそれぞれ従来のマスクを利用した粒子配置方法の一例を説明するための図である。図20(a)、(b)に示す例において、51は表示面側透明基板、52は基板51上に設けた透明電極、53は、電極52上に設けたパネル基板間ギャップ確保用隔壁53−1、電極52上に設けたセル形成専用隔壁53−2、から構成される隔壁、54は開口部54−1とマスク部54−2とから構成される第1のエリア別開口付きマスク、55は開口部55−1とマスク部55−2とから構成される第2のエリア別開口付きマスク、56は黒色表示媒体、56Baは正帯電性黒色粒子、57は赤色表示媒体、57Raは正帯電性赤色粒子、である。
【0005】
図20(a)、(b)に示す例では、まず、図20(a)に示すように、黒色表示媒体(黒色粒子群)56を第1のエリア別開口付きマスク54の上方から落下させる方式で基板51のセル58内に充填して配置する。本例では、黒色表示媒体56を配置したいエリアに開口部54−1を設けた第1のエリア別開口付きマスク54を、基板51上に形成された隔壁53(53−1、53−2)上に載せて、マスク54上方から黒色粒子群56を撒布する。一方、黒色表示媒体56を配置したくないエリアはマスク部54−2によりマスクされているので、マスク下のセル58に黒色粒子群56は充填されず、黒色表示媒体56は配置されない。
【0006】
次に、図20(b)に示すように、赤色表示媒体(赤色粒子群)57を第2のエリア別開口付きマスク55の上方から落下させる方式で基板51のセル58内に充填して配置する。本例では、赤色粒子群57を配置したいエリアに開口部55−1を設けた第2のエリア別開口付きマスク55を、基板51上に形成された隔壁53(53−1、53−2)上に載せて、マスク55上方から赤色粒子群57を撒布する。一方、赤色表示媒体57を配置したくないエリアはマスク部55−2によりマスクされているので、マスク下のセル58に赤色粒子群57は充填されず、赤色表示媒体57は配置されない。その後、第3色の例えば白色粒子群をセル58の全体に充填して白色表示媒体として配置した後、背面側の電極付き基板を隔壁53上に接着剤を介して貼り合わせることで、白/黒表示の表示エリアと白/赤表示の表示エリアとからなるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルを得ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−301030号公報
【特許文献2】特開2005−258240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでのエリア別カラー表示方式情報表示用パネルにおいて、エリア毎に色の異なる表示媒体(粒子群)を配置する必要があり、表示媒体の色別にマスク部と開口部とが異なるマスクを用いて表示媒体とする粒子群を配置しているが、マスク部と開口部との境界であるマスクのマスク部が、マスクを載せたパネル基板上の隔壁頂上部に密着せずに隙間が形成されやすく、隔壁で囲まれて形成されたパネル基板上のセル内に粒子群を配置する際に、この隙間からマスク部の下にあるこの色の粒子群を配置したくないセル内にもこの色の粒子群が配置されてしまう不具合が発生することがあった。
【0009】
特に、別色表示エリアが全体画面の中央部にあったり、四隅のいずれかにあったりするものを得ようとした場合に上記不具合が起きやすかった。上記不具合があると、別色表示エリアの境界付近にあるセル内で、必要な色の粒子の充填不足があったり、不要な色の粒子が混在したりすることになり、表示画面のうち別色表示エリアの境界付近での表示画像がぼやけて不鮮明なものになってしまうことがあった。
【0010】
図21(a)、(b)および図22(a)、(b)はそれぞれ上述した従来の問題点を説明するための図である。
【0011】
図21(a)、(b)に示す例は、画面の右下隅に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図21(a)は、第1のマスク54により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第1色粒子群(例えば黒色粒子群56)を充填配置する例を示すとともに、図21(b)は、第2のマスク55により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第2色粒子群(例えば赤色粒子群57)を充填配置する例を示している。図21(a)、(b)に示すように、エリア境界部分を含んだマスクの開口部周り付近のマスクのマスク部と隔壁頂上部との密着性が悪く、隔壁頂上とマスク部との間に隙間ができやすいため、撒布された粒子がマスクのマスク部と隔壁との隙間からマスク部の下にあるセルにまで回りこんで配置されてしまうことがあった。
【0012】
図22(a)、(b)に示す例は、画面の中央に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図22(a)は、第1のマスク54により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第1色粒子群(例えば黒色粒子群56)を充填配置する例を示すとともに、図22(b)は、第2のマスク55により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第2色粒子群(例えば赤色粒子群57)を充填配置する例を示している。図22(a)、(b)に示す例でも、エリア境界部分を含んだマスクの開口部周り付近のマスクのマスク部と隔壁頂上部との密着性が悪く、隔壁頂上とマスク部との間に隙間ができやすいため、撒布された粒子がマスクと隔壁との隙間からマスク部の下にあるセルにまで回りこんで配置されてしまうことがあった。
【0013】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、粒子配置用マスクを利用して表示媒体とする粒子群を配置する際、粒子を正確に所定のセル内に配置できる粒子配置用マスクおよびそれを用いた粒子配置方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の粒子配置用マスクは、少なくとも一方が透明な2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクであって、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の粒子配置用マスクの好適例としては、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、連続した枠状の肉厚部分であるか、断続した枠状の肉厚部分であるかのいずれかであること、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、マスクとは別の部材で形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記マスク部の縁部を、マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていること、マスクを金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部より厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていること、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための少なくとも枠状の肉厚部分が、磁石に引き付けられる金属製部材で構成され、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていること、マスクを磁石に引き付けられる金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部を厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていること、がある。
【0016】
さらに、本発明の粒子配置方法は、(1)パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、前記粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うか、(2)パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、前記粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、パネル基板の裏側に配置した磁石によって前記粒子配置用マスクを前記隔壁上に密着させるようにするとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うか、(3)パネル基板上に隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、前記粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの少なくとも前記マスク縁部に配置した導電材料で構成された部分の電位がゼロとなるようにアースをとるとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行う、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粒子配置用マスクの開口部とマスク部との境界を含んだマスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、または、マスク部の縁部を、マスクとは別の枠状部材を肉厚部分として、マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、マスク部の縁部が反らないように構成したので、マスクの縁部が、マスクを載せた隔壁と密着しやすくなり、隔壁とマスク部との間に隙間ができることがなくなり、セル内に配置するためにマスク上方から落下させる粒子群が、マスク部の下にある、当該粒子群を配置したくないセルに配置されることを防止できる。
【0018】
また、粒子配置用マスクのマスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成する際に、マスクを磁石に引き付けられる金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部より厚くするための枠状の肉厚部分が、マスクとは少なくとも別の部材で形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定したり、マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくとも磁石に引き付けられ得る金属製部材で構成され、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くしたりすることによって、パネル基板の裏側に磁石を配置して粒子群の充填を行なうようにした場合は、マスク部の縁部がより一層反りにくくなるとともに、マスク部の縁部が磁石に引き付けられ隔壁頂上とマスク部との間に隙間ができることがなくなり、セル内に配置するためにマスク上方から落下させている粒子群が、マスク部の下にある、当該粒子群を配置したくないセルに配置されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成の一例を説明するための図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成の他の例を説明するための図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成のさらに他の例を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成のさらに他の例を説明するための図である。
【図5】(a)〜(d)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルにおける駆動方式と表示方式を説明するための図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。
【図7】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第1実施例の一例を説明するための図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第1実施例の他の例を説明するための図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第1実施例のさらに他の例を説明するための図である。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第2実施例の一例を説明するための図である。
【図12】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクにおけるマスク縁部肉厚部の形状の一例を説明するための図である。
【図13】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを用いた粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【図14】(a)、(b)はそれぞれ本発明に従って製造した情報表示用パネルの使用例の一例を説明するための図である。
【図15】本発明に従って製造した情報表示用パネルの使用例の他の例を説明するための図である。
【図16】本発明の粒子配置用マスクを適用するマザーパネル基板の一例を説明するための図である。
【図17】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の実施例で用いた粒子配置用マスクの一例を説明するための図である。
【図18】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の実施例で用いた粒子配置用マスクの他の例を説明するための図である。
【図19】(a)、(b)はそれぞれ実施例の評価で用いたテスト画像1およびテスト画像2を説明するための図である。
【図20】(a)、(b)はそれぞれ従来のマスクを利用した粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【図21】(a)、(b)はそれぞれ従来の問題点の一例を説明するための図である。
【図22】(a)、(b)はそれぞれ従来の問題点の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の対象となる情報表示用パネルの構成について説明する。本発明の対象となる情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0021】
本発明の対象となる情報表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図4(a)、(b)に基づき説明する。
【0022】
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(TFT付き画素電極)と基板2に設けた電極6(共通電極)とが対向して形成する画素電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。ここでは画素とセルとを1対1に対応させているが、画素とセルとは1対1に対応していなくてもよい。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0023】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板2に設けたライン電極6と基板1に設けたライン電極5とが対向直交交差して形成する画素電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。ここでは画素とセルとを1対1に対応させているが、画素とセルとは1対1に対応していなくてもよい。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0024】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)に示す例は、それぞれ、外部電界形成手段を用いて表示書換えを行う帯電粒子駆動型の情報表示用パネルの一例を示す。図3(a)、(b)に示す例では、図3(a)に示すように、情報表示用パネルを外部電界形成手段としての上下対向画素電極対8、9の間に挿入して表示を書き換える。その際、対向画素電極対8、9として構成した外部電界形成手段から、情報表示用パネルに電界を付与して、表示媒体3B、3Wの駆動を行う。本例では、白地画面に情報を黒色で書き入れる様子を示している。図4(a)、(b)に示す例では、図4(a)に示すように、情報表示用パネルを外部電界形成手段としての書込み器電極10(電子ペン等)を観察側パネル基板に近づけ背面側導電膜5との協働にそって表示情報を書き換える。その際、書込み器電極10と背面側導電膜5とで構成した外部電界形成手段から、情報表示用パネルに電界を付与して、表示媒体3B、3Wの駆動を行う。本例でも、白地画面に情報を黒色で書き入れる様子を示している。
【0025】
なお、本発明の対象となる情報表示用パネルの駆動方法としては、パッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式や外部電界形成手段と組み合わせた駆動方式を用いることができる。パッシブ駆動の場合には、ライン電極を形成した2枚の基板を、ライン電極が交差するように対向させた電極の重なり部分で画素(ドット)を構成したり、セグメント電極を形成した2枚の基板を、セグメント電極が対向したセグメント画素を構成したりする。アクティブ駆動の場合には、TFT付きで構成する画素電極の形状を制御して、画素形状の電極対とすることができる。
【0026】
図5(a)〜(d)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルにおけるパッシブ駆動による表示方式とアクティブ駆動による表示方式を説明するための図である。図5(a)に示す例では、直交するライン電極5、6からなるパッシブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおける画素(ドットまたはピクセルということもある)配置の例を示している。図5(b)に示す例では、同じくパッシブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおいて、例えば白赤ドットマトリックス表示の表示領域1と例えば白黒ドットマトリックス表示の表示領域2とからなるエリア別カラー表示の例を示している。図5(c)に示す例では、共通電極6とTFT付き画素用電極5との各対電極を用いたアクティブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおける画素(ドットまたはピクセルということもある)配置の例を示している。図5(d)に示す例では、同じくアクティブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおいて、例えば黄赤ドットマトリックス表示の表示領域1と例えば黄黒ドットマトリックス表示の表示領域2とからなるエリア別カラー表示の例を示している。
【0027】
図6(a)、(b)および図7(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。図6(a)、(b)および図7(a)、(b)に示す例において、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に示す例と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図6(a)、(b)に示す例では、表示画面を左右の2エリアに分割し、黒/白表示エリアと赤/白表示エリアとした例を示すとともに、ドットマトリックス型パッシブ駆動の例を示している。図7(a)、(b)に示す例では、表示画面をコーナー部領域とその他の領域との2エリアに分割し、黒/白表示エリアと赤/白表示エリアとした例を示すとともに、ドットマトリックス型アクティブ駆動の例を示している。図6(a)、(b)および図7(a)、(b)に示す例において、黒色表示媒体3Wとしては正帯電性黒色粒子3Waを含んだ粒子群を、赤色表示媒体3Rとしては正帯電性赤色粒子3Raを含んだ粒子群を、白色表示媒体としては負帯電性白色粒子を含んだ粒子群を、それぞれ使用している。
【0028】
次に、本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法を、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)、図12(a)〜(c)および図13(a)〜(c)を参照して説明する。
【0029】
図8(a)、(b)、図9(a)、(b)および図10(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【0030】
図8(a)、(b)に断面図として示す例では、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)で示した各部材の他に、隔壁4を、基板2の電極6上に設けたセル形成専用隔壁4−2と、基板2の電極6上に設けたパネル基板間ギャップ確保用隔壁兼エリア境界隔壁4−3と、から構成している。この他にパネル基板間ギャップ確保用隔壁を表示エリアに適宜設けることができる。また、粒子配置用マスクとして、開口部11−1とマスク部11−2とから構成される第1の粒子配置用マスク11と、開口部12−1とマスク部12−2とから構成される第2の粒子配置用マスク12と、を利用している。以上の構成は従来のマスクと同様である。図8(a)、(b)には観察側となる透明なパネル基板(ガラス基板)2に透明な共通電極(ITO膜)を設けた例を示したが、透明なライン電極(例えばITOライン電極)を設けた場合であってもよいし、電極(導電膜)をパネル基板に設けない場合であってもよい。さらに、この粒子配置方法は背面側パネル基板に対して行うようにすることもできる。
【0031】
本発明の粒子配置用マスクの特徴は、マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成したことにある。具体的には、図8(a)、(b)に示す例では、第1の粒子配置用マスク11においてマスク部11−2のマスク縁部の厚みを枠状にその他の部分より肉厚に構成するようにマスク縁部枠状肉厚部11−3を設け、第2の粒子配置用マスク12においてマスク部12−2のマスク縁部の厚みを枠状にその他の部分より肉厚に構成するようにマスク縁部枠状肉厚部12−3を設けて、マスク部の縁部が反らないように構成している。図8(a)、(b)に示すマスクは、マスク部の縁部を、連続した枠状肉厚部分と一体化した構成としてマスク部の縁部の剛性を高め、マスク部の縁部を反らないようにしている。なお、ここでは連続した枠状の肉厚部分の例を示したが、断続した不連続な枠状の肉厚部分とすることもできる。また、マスク部の縁部が反らないように構成するために、マスク縁部に、剛性の大きな材料で形成したマスク縁部肉厚部(11−3、12−3)をマスクとは別の枠状部材としてマスク縁部に固定して構成したり、マスク部のマスク縁部を、マスク部のその他の部分とは別の剛性が大きく、反りにくい材料で構成したり、マスク部のその他の部分とは別の剛性の大きな材料で形成したマスク縁部肉厚部をマスクとは別の部材として、マスク縁部に対して断続した枠状部材としてマスク縁部に固定して構成することもできる。また、マスクを金属材料のような剛性の大きな材料で作製する場合には、マスク部の縁部を、マスク部と同じ材料で、マスク部のその他の部分より肉厚にすることによって構成することもできる。さらにまた、上述したマスク部の縁部に、マスクとは別の枠状部材として固定する肉厚部を、磁石に引き付けられるように構成した枠状部材とすることもできる。
【0032】
図8(a)、(b)に示す例では、まず、図8(a)に示すように、黒色表示媒体(黒色粒子群)3Wを第1の粒子配置用マスク11の上方から落下させる方式で基板2のセル7内に充填して配置する。本例では、黒色表示媒体3Wを配置したいエリアに開口部11−1を設けた第1の粒子配置用マスク11を、基板2上に形成された隔壁4(4−2、4−3)上に載せて、マスク11上方から黒色表示媒体3Wを撒布する。一方、黒色表示媒体3Wを配置したくないエリアはマスク部11−2によりマスクされているので、マスク下のセル7に黒色表示媒体3Wは充填配置されない。マスク部の縁部が肉厚部分11−3によって剛性が高められているので反ることがなく、隔壁4−3とマスク部との間に隙間ができないので、マスク部の縁部の下に位置するセルに対しても配置したくない黒色粒子が回り込んで配置されることを防げる。
【0033】
次に、図8(b)に示すように、赤色表示媒体(赤色粒子群)3Rを第2の粒子配置用マスク12の上方から落下させる方式で基板2のセル7内に充填して配置するが、マスク12を載せる前に、マスク部12−2の下となる隔壁上に載っている黒色粒子は除去しておく。次に、赤色表示媒体3Rを配置したいエリアに開口部12−1を設けた第2の粒子配置用マスク12を、基板2上に形成された隔壁4(4−2、4−3)上に載せて、マスク12上方から赤色表示媒体3Rを撒布する。一方、赤色表示媒体3Rを配置したくないエリアはマスク部12−2によりマスクされているので、マスク下のセル7に赤色表示媒体3Rは充填配置されない。マスク部の縁部が肉厚部分12−3によって剛性が高められているので反ることがなく、隔壁4−3とマスク部との間に隙間ができないので、マスク部の縁部の下に位置するセルに対しても配置したくない赤色粒子が回り込んで配置されることを防げる。その後、第3色の例えば白色表示媒体をセル7の全体に充填配置した後、背面側のパネル基板を隔壁4上に接着剤を介して貼り合わせることで、白/黒表示の表示エリアと白/赤表示の表示エリアとからなるエリア別カラー表示を行える情報表示用パネルを得る。なお、図8(a)、(b)に示す情報表示用パネルは、パネル基板に導電膜を有するものを示したが、導電膜のない情報表示用パネルも同様にして得ることができる。
【0034】
図9(a)、(b)および図10(a)、(b)はそれぞれ図8(a)、(b)に示した例の効果を説明するための図である。
【0035】
図9(a)、(b)に示す例は、画面の右下隅に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図7(a)は、第1の粒子配置用マスク11により、隔壁4によって形成されたセル7内に第1色粒子群(例えば黒色表示媒体3B)を充填配置する例を示すとともに、図9(b)は、第2の粒子配置用マスク12により、隔壁4によって形成されたセル7内に第2色粒子群(例えば赤色表示媒体3R)を充填配置する例を示している。図9(a)、(b)に示す例では、マスク部のマスク縁部肉厚部11−3を有する第1の粒子配置用マスク11およびマスク部のマスク縁部肉厚部12−3を有する第2の粒子配置用マスク12を用いることで、マスク部の縁部が肉厚部分11−3および肉厚部分12−3によって剛性が高められているので反ることがなく、エリア境界部分およびマスク部周囲のマスク部縁部におけるマスクのマスク部11−2と隔壁頂上部との密着性が良くなり、隔壁頂上とマスク部11−2との間に隙間ができにくくなる。その結果、撒布された粒子がマスクと隔壁との隙間からマスク部下のセルにまで回りこんで配置されてしまうことがなくなった。
【0036】
図10(a)、(b)に示す例は、画面の中央に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図10(a)は、第1の粒子配置用マスク11により、隔壁4によって形成されたセル7内に第1色粒子群(例えば黒色表示媒体3B)を充填配置する例を示すとともに、図10(b)は、第2の粒子配置用マスク12により、隔壁4によって形成されたセル7内に第2色粒子群(例えば赤色表示媒体3R)を充填配置する例を示している。図10(a)、(b)に示す例では、マスク縁部肉厚部11−3を有する第1の粒子配置用マスク1およびマスク縁部肉厚部12−3を有する第2の粒子配置用マスク12を用いることで、マスク部の縁部が肉厚部分11−3および肉厚部分12−3によって剛性が高められているので反ることがなく、エリア境界部分およびマスク部周囲のマスク部縁部におけるマスクのマスク部11−2と隔壁頂上部との密着性が良くなり、隔壁頂上とマスク部11−2との間に隙間ができにくくなる。その結果、撒布された粒子がマスクと隔壁との隙間からマスク部の下にあるセルにまで回りこんで配置されてしまうことがなくなった。
【0037】
上述した本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法では、粒子配置用マスクの開口部とマスク部およびマスク部周囲のマスク部縁部との境界となるマスク縁部をマスク部のその他の部分より厚くしてマスク部縁部の剛性を大きくするように肉厚部を形成したので、マスクの縁部が反りにくくなり、隔壁とマスクとの間に隙間ができることがなくなり、配置するためにマスク上方から落下させている粒子が、マスク部の下にある、当該粒子を配置したくないセルに配置されることを防止できる。
【0038】
図11(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の他の例を説明するための図(断面図)である。図11(a)、(b)に示す粒子配置用マスク(11、12)と図6(a)、(b)〜図8(a)、(b)に示す粒子配置用マスク(11、12)との相違点は、マスク部(11−2、12−2)の縁部に形成した肉厚部(11−3、12−3)の配置方法および配置位置であり、粒子配置方法は図8(a)、(b)〜図10(a)、(b)に示す例と同じであり、図11(a)、(b)に示す例においても図8(a)、(b)〜図10(a)、(b)に示す例と同一の作用効果を得ることができる。粒子配置用マスクの構成は、図8(a)、(b)に示したマスク部の縁部を、連続した枠状肉厚部分とマスク部とを一体に形成した構成ではなく、マスク部の縁部に、連続した枠状部材を肉厚部分として接着剤で固定した構成とした。図11(a)、(b)に示す例において、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)は、それぞれ、開口部(11−1、12−1)とマスク部(11−2、12−2)との境界から好ましくは最大1mmの間隔Sを空けて配置して構成している。また、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の幅Wを好ましくは1〜10mmとするとともに、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の厚さHを好ましくは1〜3mmとしている。上述したマスク部の縁部肉厚部における間隔S、幅Wおよび厚さHを好ましい範囲とすることで、マスク部の縁部に適度な重さと適度な剛性が付与され、マスク部の縁部がより反り難くなり、隔壁頂上とマスクとの間に隙間がさらにでき難くなる。
【0039】
図12(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクにおけるマスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の形状の一例を説明するための図(枠状の肉厚部材を配置した部分の断面図)である。図12(a)に示す例では、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の断面形状を四角形としている。また、図12(b)に示す例では、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の断面形状を台形としている。さらに、図12(c)に示す例では、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の断面形状を三角形としている。いずれの形状でも、開口部(11−1、12−1)とマスク部(11−2、12−2)との境界となるマスク部縁部の剛性を大きくし、反りにくくすることができる。
【0040】
図13(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを用いた粒子配置方法の一例を説明するための図である。図13(a)〜(c)に示す例において、ステージ21上に隔壁4によってセルを形成したパネル基板1(2)をセットし、隔壁4上に本発明の粒子配置用マスク11(12)をセットした状態で、粒子配置用マスク11(12)の上方に設けたノズル22から粒子群23を撒布して落下させて、粒子の充填配置を行っている。上述した粒子配置方法を実行する際、粒子配置用マスク11(12)のマスク表面、マスク部材、マスク部縁部の枠状肉厚部分のうち少なくとも導電性材料で構成した部分の電位がゼロとなるようにアースをとるのが好ましく、図13(b)に示す例では、マスク部縁部の連続した枠状肉厚部分(枠状部材)にアースをとっている。マスクにおいて電位をゼロにすると好ましいのは、帯電性粒子が通過するマスク開口に近いマスク部縁部であり、マスク部縁部に導電性のマスク部材があればそのマスク部材部分でアースをとり、マスク部縁部に導電性の枠状肉厚部分があればその枠状肉厚部分でアースをとり、マスク部縁部に導電性のマスク部表面があればそのマスク部表面でアースをとる。図13(c)に示す例では、上述した粒子配置方法を実行する際、マスク部の縁部肉厚部11−3(12−3)を磁石に引き付けられる金属材料(ここではステンレス鋼SUS304とした)で構成するとともに、パネル基板1(2)の裏側に配置した磁石24によってマスク部の縁部肉厚部11−3(12−3)を吸着することで、粒子配置用マスク11(12)のマスク部の縁部を隔壁4上に密着させるよう構成している。粒子配置用マスク11(12)のマスク部材は、磁石によって引き付けられる金属材料であってもよいし、磁石によって引き付けられる金属材料でなくてもよい。図13(c)に示す例では、アルミニウム製マスクとし、マスク部の縁部にステンレス(SUS304)製枠状肉厚部材を導電性接着剤で固定した構成のマスクとした。いずれの例においても、マスク部の縁部肉厚部を設けることでマスク部の縁部が反りにくく構成され、粒子配置用マスクと隔壁との間の隙間をなくすことができる。図13(a)に示す例において、マスクを導電性のある金属製マスク(メタルマスク)とした場合において、マスク部の縁部肉厚部11−3(12−3)が導電性材料でない場合はマスクにアースをとることでも図13(b)に示した例と同様の効果が得られる。図13(c)に示した例において、マスクのマスク部縁部を、マスク部のその他の部分より肉厚にしてマスクのマスク部縁部の剛性を高めることによって、マスクのマスク部縁部を反りにくく構成するとともに、少なくともマスク部の縁部が、磁石に引き付けられるように構成されている場合に、粒子配置用マスクと隔壁との隙間をなくす効果が大きい。
【0041】
図14(a)、(b)および図15はそれぞれ本発明に従って製造した情報表示用パネルの使用例を説明するための図である。図14(a)、(b)に示す例は電子棚札として使用した例を示している。図14(a)に示す電子棚札の例では、上下に二分割した表示エリアにおいて、上側の表示エリアを白/黒表示エリア31として構成するとともに、下側の表示エリアを白/赤表示エリア32として構成している。そして、白/黒表示エリア31と白/赤表示エリア32との境界では、白/赤表示エリア32において赤色表示媒体によって赤色の太線33を表示している。図14(b)に示す電子棚札の例では、右下隅部とその他の部分に二分割した表示エリアにおいて、右下隅部の表示エリアを白/赤表示エリア32として構成するとともに、その他の表示エリアを白/黒表示エリア31として構成している。そして、白/黒表示エリア31と白/赤表示エリア32との境界では、白/黒表示エリア31において黒色表示媒体によって黒色の太線34を表示している。図15に示す電子POPの例では、中央とその周辺の部分に二分割した表示エリアにおいて、中央の表示エリアを白/赤表示エリア32として構成するとともに、その周辺の表示エリアを白/黒表示エリア32として構成している。そして、白/黒表示エリア31と白/赤表示エリア32との境界では、白/赤表示エリア32において赤色表示媒体によって赤色の太線33を表示している。
【0042】
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルの各構成部材および本発明の粒子配置用マスクの各構成部材について説明する。
【0043】
パネル基板としては、ガラス基板、プラスチック基板等、従来からディスプレイパネル用として使用されてきた材料の基板のいずれをも使用することができる。また、粒子配置用マスクの材料としては、一般的な金属材料や磁石からの磁力で引き寄せられる金属材料や導電性を有する金属材料やプラスチック材料等を使用することができる。このようなマスクのマスク部縁部に肉厚部として設ける材料としては剛性の大きな材料が好ましく、金属材料やセラミック材料が好適である。導電性の金属材料とすればアースがとれるので好ましく、磁石からの磁力で引き寄せられる金属材料とすれば、パネル基板を載せるステージに配置した磁石との協働により本発明の効果がより得られるので好ましい。磁石からの磁力で引き寄せられ、さらに、さびに強く、適度な剛性を有するとともに強度的にも優れるステンレス鋼(SUS430、SUS304等があげられる)やニッケル等が好ましく用いられる。
【0044】
マスクにおいて電位をゼロにすると好ましいのは、導電性粒子が通過するマスク開口に近いマスク部縁部の電位がゼロになっていると、帯電性粒子がマスク開口部の縁に静電付着してマスク開口部を通過しにくくなる不都合を引き起こしにくくできるからである。マスクが非導電性であればその表面を導電材料で被覆することが好ましく行われるが、マスク縁部の枠状肉厚部分が導電性であればマスク部材が非導電性のままであっても導電性の枠状肉厚部分でアースをとればよく、マスク部縁部を構成するマスク部材、マスク部表面および枠状肉厚部分のいずれかでアースをとれるようにすればよい。
【0045】
マスク部とマスク部の縁部肉厚部との界面は電気的に導通していてもよいし、電気的に絶縁していてもよい。また、マスク縁部肉厚部は開口部との境界に位置をぴったり合わせて設けるか、1mm以内の隙間Sを空けて設けることが好ましい。1mmを超える隙間Sを空けると、マスク部の縁部が反ってしまいマスクを載せている隔壁から離れやすくなり、本発明の効果が得られないことがある。
【0046】
マスク部の縁部肉厚部の幅Wは1mm〜10mmであることが好ましい。1mmより小さい幅Wではマスク部の縁部肉厚部を形成し難い不都合があり、10mmよりも大きい幅Wではマスク縁部肉厚部の重量で粒子配置用マスク全体が重くなってしまう不都合がある。
【0047】
マスク部の縁部肉厚部の厚さHは1mm〜3mmであることが好ましい。1mmより薄いとマスク部の縁部肉厚部の剛性が不足して、マスク部の縁部が反ってしまいマスクを載せている隔壁から離れやすくなり、本発明の効果が得られないことがある。3mmよりも厚いとマスク部の縁部肉厚部の重量で粒子配置用マスク全体が重くなってしまう不都合がある。
【0048】
マスク部の縁部肉厚部の断面形状は、マスク部と開口部の境界に精度良く形成しやすい四角形、台形、三角形が好ましい。
【0049】
粒子群を充填して配置するときにパネル基板を載せるステージは平滑な表面で構成してあればいずれの材料であってもよいが、接地アースが取れるのが好ましく、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料や、導電性材料で被覆したセラミック材料等を使用することができる。また、その一部を磁石で構成して、磁石に引き付けられる金属製の粒子配置用マスクや粒子配置用マスクのマスク部の縁部肉厚部として設けた、磁石からの磁力で引き付けられる金属材料との協働による効果を得るためにステージに配置する磁石としては、フェライト鋼などの磁石のほか、電磁石なども使用することができる。
【0050】
異なる種類の表示媒体が組み合わされて配置されたセルの形状は正方形ないし長方形を基調とした構成であり、これらのセルを複数集めて異なるカラー表示を行う2以上のエリアはそれぞれ四角形を基調とした形状の領域となる。パネル基板に設ける電極をライン状電極としてマトリックス配置して、パッシブ駆動でドットマトリックス表示を行ったり、パネル基板に設ける電極をドット電極としてマトリックス配置して、アクティブ駆動でドットマトリックス表示を行ったり、対向電極対がマトリックス配置され外部の電界形成手段を用いた駆動でドットマトリックス表示を行ったりすることができる。
【0051】
パネル基板間に設ける隔壁には、パネル基板間ギャップ確保機能を担う隔壁、表示媒体とする粒子群がパネル基板と平行な方向に移動することを抑制する機能を担う隔壁および前記両機能を兼ねる隔壁とがあり、パネル基板間ギャップ確保用隔壁の幅は、20μm〜100μmの範囲が好ましく、セル形成専用隔壁の幅は、5μm〜30μmの範囲で、できるだけ細くすることが好ましい。また、セル形成専用隔壁はパネル基板間ギャップ確保用隔壁の高さよりも低くしてもよく、表示媒体とする粒子群がパネル基板と平行な方向に移動することを抑制する機能を損なわない範囲とする。さらにまた、セル形成専用隔壁は双方のパネル基板の対向位置に形成し、パネル基板を貼り合わせたときに対向する構成としてもよく、この場合、対向部分を接合してもよいし接合しなくてもよい。
【0052】
セルの形状は画素形状および画素配置に合わせた四角形(角丸付き四角形を含む)を基調とした形状であり、四角形(正方形や長方形)、階段型八角形、階段型六角形のセルを形成するリブとして、マトリックス状に配置された画素に対応するように形成したり、画素との対応を考えずに形成したりする。表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有するセル形状が好ましく、角丸付きの形状が好ましく用いられる。
【0053】
基板間ギャップ確保用として設ける隔壁や、基板間ギャップ確保と異なる表示カラーを行うエリア境界に設ける隔壁およびセル形成専用の隔壁の形成材料としては、ドライフィルムレジスト材が好適に用いられる。一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。
【0054】
形成したい隔壁部分の高さに合せた厚みのドライフィルムレジスト材をパネル基板に積層し、所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソ法によってパターニングする。
【0055】
パネル基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅は、20μm〜100μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅は、5μm〜30μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅を、パネル基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅よりも小さくする。
【0056】
各表示エリアの境界には、セル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁として境界隔壁を形成し、各表示エリアの内側には、セル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁およびセル形成用隔壁を形成するとともに、前記各隔壁の幅の関係が、セル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁の幅>セル形成用隔壁の幅、とするのが好ましい。エリア境界隔壁の幅を太くすると、表示エリアの境界が明確になるとともに、パネル基板との貼り合わせに用いる接着剤を幅広く配置してしっかりと接合できるようにもなる。また、各表示エリアの内側に配置するセル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁の幅を20μm〜100μmの範囲とし、各表示エリアの内側に配置するセル形成用隔壁の幅を5μm〜30μmの範囲とすることも好ましい。隔壁は非表示部分となるためできるだけ隔壁の幅は狭くしたいが、パネル基板間ギャップを確保するためには基板を支えるだけの強度が必要であり、それに応えられるのが前記範囲となる。セル形成用隔壁は基板を支える機能をもたせる必要がないので細くすることができ、実際に作製できる幅の範囲が前記範囲となる。
【0057】
パネル基板に導電膜を設けて、対電極として対向配置する場合に、透明基板側の表示エリア内に設ける透明導電膜の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の透明導電性高分子類が挙げられる。
【0058】
背面側基板や透明基板の表示エリア外に設ける導電膜の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。背面側基板の表示エリア内および表示エリア外に設ける導電膜および透明基板の表示エリア外に設ける導電膜は透明であってもよいし、透明でなくても良い。
【0059】
導電膜の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。電極形状にパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、観察側透明基板の表示エリアに設ける導電膜の厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。また、背面側基板に設ける導電膜の厚みは、導電性が確保できれば良く、0.01〜10μmの範囲で設ける。
【0060】
ITO等の金属酸化物透明導電性材料は、金属材料に比べて可とう性が小さい。観察側基板の表示エリアに導電膜を設ける場合には、透明導電膜内の断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅は、1μm〜10μmとすれば表示視認性の妨げとならないので好ましい。特に導電膜をライン状に設ける場合には断線防止の他に、ライン状導電膜の電気抵抗を小さくすることもできるので、金属細線を併用することがより好ましい。背面側基板の導電膜の場合、特にライン状にする場合は光透過性を考慮する必要がないので電気抵抗が小さく、可とう性にも優れた前記金属材料が好適に用いられる。
【実施例】
【0061】
以下、実際の例について説明する。
【0062】
<作製した情報表示用パネルの構成>
横長A7サイズの表示領域(全画面)の右下に位置する1/6画面分の表示領域と他の表示領域とで配置する表示媒体の種類を変えてエリア別カラー表示を行える情報表示用パネルを4個得ることのできるマザーパネルを作製し、マザーパネルを4つに分断して情報表示用パネルを得た。
【0063】
観察側とするマザーパネル基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚さ125μm)の一方の面の情報表示用パネルの表示エリア内に透明な酸化インジウム錫(ITO)膜をパターニングしてストライプ電極(幅300μm、スペース50μm)を形成したものを用い、背面側とするマザーパネル基板も、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚さ125μm)の一方の面の情報表示用パネルの表示エリア内に透明な酸化インジウム錫(ITO)膜をパターニングしてストライプ電極(幅300μm、スペース50μm)を形成したものを用いた。
【0064】
観察側マザーパネル基板上の表示エリア内に、幅50μm、高さ50μmの隔壁を格子状に形成して300μm□(300μm×300μm)のセルスペースをストライプ電極で形成する画素と1対1に対応するように形成し、セル内に表示媒体を充填配置後に2枚のマザーパネル基板を、ストライプ電極が対向直交交差するように貼り合せてマザーパネルを作製し、マザーパネルを4つに分断して4個の情報表示用パネルを作製した。
【0065】
前記各表示エリアの1/6画面分の表示領域のセルには、白色表示媒体と赤色表示媒体との2種類の表示媒体を組み合せて配置し、他の表示領域のセルには、白色表示媒体と黒色表示媒体との2種類の表示媒体を組み合せて配置して、白赤表示領域と白黒表示領域との2表示領域を有する構成の情報表示用パネルとした。
【0066】
<表示媒体の準備>
・白色表示媒体を構成する負帯電性白色粒子
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.5μmの負帯電性の白色粒子を得た。この白色粒子を主成分として白色粒子群を調整して白色表示媒体として用いた。
【0067】
・黒色表示媒体を構成する正帯電性黒色粒子
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤としてカ−ボンブラック(スペシャルブラック4:デグッサ社製)5重量部と、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.2μmの正帯電性の黒色粒子を得た。この黒色粒子を主成分として黒色粒子群を調整して黒色表示媒体として用いた。
【0068】
・赤色表示媒体を構成する正帯電性赤色粒子
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤として赤色顔料(C.I.ピグメントレッド2)5重量部と、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.0μmの正帯電の赤色粒子群を得た。この赤色粒子を主成分として赤色粒子群を調整して赤色表示媒体として用いた。
【0069】
<実施例および比較例>
配置する表示媒体の種類に合せた開口部を有する厚さ100μmのSUS304製メタルマスクを用いた。各実施例のマスクは、マスク部の縁部に枠状肉厚部分を設ける構成とし、各比較例のマスクは、マスク部の縁部に枠状肉厚部分を設けない構成とした。マスク部の縁部に枠状肉厚部分を設ける構成は、枠状肉厚部分とマスク部とをSUS304で一体に成型した構成と、SUS304製マスクのマスク部縁部に、マスクとは別部材として形成したSUS304製枠状部材を、エポキシ系接着剤で固定した構成とのいずれかとした。表示媒体とする粒子群は、粒子群の種類に合わせた開口部とマスク部とを有するマスクを用いて、撒布法を用いて、順次、マザーパネル基板の所定のエリアにあるセル内に充填配置した。撒布法に用いた、マザーパネル基板を載せるステージとしては、アルミナ板ステージと、アルミナ板上にフェライト磁石板を配置した磁石ステージとの2種類のステージを準備し、各実施例、各比較例において使い分けて実施した。また、実施例、比較例においては、マスク部縁部の電位をゼロにするために、SUS304製の枠状肉厚部分か、SUS304製マスク部縁部かのいずれかでアースをとった。
【0070】
まず、図16に示すように、それぞれが白黒表示領域と白赤表示領域とを有する4個分の情報表示用パネルを一度に作製するマザーパネル基板を準備した。具体的な粒子配置用マスクとして、図17(a)〜(c)に示す、連続した枠状の肉厚部分としてマスク縁部肉厚部を構成した粒子配置用マスクと、図18(a)〜(c)に示す、マスク部周囲縁部にマスク縁部肉厚部を断続した枠状に配置してエポキシ系接着剤で固定して構成した粒子配置用マスクと、を使用した。なお、図17(a)〜(c)および図18(a)〜(c)に示す例では、エリア別カラー表示を行えるように構成した情報表示用パネルを4枚得ることができるマザーパネル基板に対してエリアごとに別色の表示媒体を配置できるよう構成した粒子配置用マスクとしており、ここでは黒色表示媒体とする黒色粒子群、赤色表示媒体とする赤色粒子群および白色表示媒体とする白色粒子群を充填配置するときに用いる3枚のマスクを示している。
【0071】
実際の粒子配置の動作は、まず、図17(a)または図18(a)に示す赤色表示媒体配置用マスクをマザーパネル基板に載せて赤色粒子群を配置し、マスク開口部にある隔壁上に載った赤色粒子を除去した。次に、図17(b)または図18(b)に示す黒色表示媒体配置用マスクをマザーパネル基板に載せて黒色粒子群を配置し、マスク開口部にある隔壁上に載った黒色粒子を除去した。その後、図17(c)または図18(c)に示す白色表示媒体配置用マスクをマザーパネル基板に載せて白色粒子群を配置し、マスク開口部にある隔壁上に載った白色粒子を除去してから、もう一方のマザーパネル基板と貼り合せてマザーパネルを得た。
【0072】
上述した方法に従って作製した各実施例および比較例の評価用の情報表示用パネルは、右下隅部の白/赤表示領域とそれ以外の白/黒表示領域とから構成されるものであり、情報表示用パネルとしての性能評価は、白/黒表示領域と白/赤表示領域との境界部において白/黒表示領域に表示させた黒色表示媒体による黒の太線テスト画像1(図19(a)に一例を示す)の表示状態と、白/黒表示領域と白/赤表示領域との境界部において白/赤表示領域に表示させた赤色表示媒による赤の太線テスト画像2(図19(b)に一例を示す)の表示状態を50倍に拡大して目視観察することで、従来、表示媒体とする粒子群の混色が起こっていたエリア境界付近に配置されたセルを使っての表示状態から粒子配置状態を評価した。テスト画像1については黒の太線画像が赤色の混色のない画像となっているかでその表示状態を評価するとともに、テスト画像2については赤の太線画像が黒色の混色のない画像となっているかでその表示状態を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の結果から、本発明の粒子配置用マスクを利用して粒子配置を行った実施例1〜7に係る情報表示用パネルは、従来の粒子配置用マスクを利用して粒子配置を行った比較例1〜2に係る情報表示用パネルと比べて、表示エリアの境界付近のセル内において粒子の混色による不具合がない良好な画像が得られる情報表示用パネルとなっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明を適用して作製した情報表示用パネルは、電子POP(Point of presence, Point of Purchase advertising)や電子棚札として用いられるほか、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(取扱説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部や、外部表示書き換え手段と接続して表示書き換えを行う表示部や外部の電界形成手段を用いて表示書換えを行う表示部(いわゆるリライタブルペーパー)としても好適に用いられる。
【符号の説明】
【0076】
1、2 基板
3W 白色表示媒体
3Wa 負帯電性白色粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 正帯電性黒色粒子
3R 赤色表示媒体
3Ra 正帯電性赤色粒子
4 隔壁
4−2 セル形成専用隔壁
4−3 パネル基板間ギャップ確保用隔壁兼エリア境界隔壁
5、6 導電膜(電極)
7 セル
8、9 対向画素電極(外部電界形成手段)
10 書込み器電極
11 第1の粒子配置用マスク
11−1、12−1 開口部
11−2、12−2 マスク部
11−3、12−3 マスク縁部肉厚部
12 第2の粒子配置用マスク
21 ステージ
22 ノズル
23 粒子群
24 磁石
31 白/黒表示エリア
32 白/赤表示エリア
33 赤色の太線表示
34 黒色の太線表示
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクおよびそれを用いた粒子配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した、少なくとも光学的反射率および帯電特性が互いに異なる、少なくとも2種類の表示媒体として、色と帯電極性とが異なる2種類の表示媒体(粒子群)の組み合わせを1つのセル内に封入し、また、色と帯電極性とが異なる別の2種類の表示媒体(粒子群)の組み合わせを別の1つのセル内に封入し、互いに別の表示媒体(粒子群)の組み合せが封入されてなるセルは別々のセル群として集めて、表示画面を複数に分割した各表示領域(エリア)に配置してエリアカラー表示を行う方式の情報表示用パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、表示画面(全表示領域)を複数に分割した各表示領域(エリア)に配置してエリア別カラー表示を行う方式の情報表示用パネルを作製する際に、セルが形成されたパネル基板の上方から、表示媒体とする粒子群を落下させてセル内に充填する方法も知られている。さらに、その際、充填しようとしている色の粒子群を充填したくないセルの上がマスク部となるようにマスクを配置して粒子群の充填を行うことも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図20(a)、(b)はそれぞれ従来のマスクを利用した粒子配置方法の一例を説明するための図である。図20(a)、(b)に示す例において、51は表示面側透明基板、52は基板51上に設けた透明電極、53は、電極52上に設けたパネル基板間ギャップ確保用隔壁53−1、電極52上に設けたセル形成専用隔壁53−2、から構成される隔壁、54は開口部54−1とマスク部54−2とから構成される第1のエリア別開口付きマスク、55は開口部55−1とマスク部55−2とから構成される第2のエリア別開口付きマスク、56は黒色表示媒体、56Baは正帯電性黒色粒子、57は赤色表示媒体、57Raは正帯電性赤色粒子、である。
【0005】
図20(a)、(b)に示す例では、まず、図20(a)に示すように、黒色表示媒体(黒色粒子群)56を第1のエリア別開口付きマスク54の上方から落下させる方式で基板51のセル58内に充填して配置する。本例では、黒色表示媒体56を配置したいエリアに開口部54−1を設けた第1のエリア別開口付きマスク54を、基板51上に形成された隔壁53(53−1、53−2)上に載せて、マスク54上方から黒色粒子群56を撒布する。一方、黒色表示媒体56を配置したくないエリアはマスク部54−2によりマスクされているので、マスク下のセル58に黒色粒子群56は充填されず、黒色表示媒体56は配置されない。
【0006】
次に、図20(b)に示すように、赤色表示媒体(赤色粒子群)57を第2のエリア別開口付きマスク55の上方から落下させる方式で基板51のセル58内に充填して配置する。本例では、赤色粒子群57を配置したいエリアに開口部55−1を設けた第2のエリア別開口付きマスク55を、基板51上に形成された隔壁53(53−1、53−2)上に載せて、マスク55上方から赤色粒子群57を撒布する。一方、赤色表示媒体57を配置したくないエリアはマスク部55−2によりマスクされているので、マスク下のセル58に赤色粒子群57は充填されず、赤色表示媒体57は配置されない。その後、第3色の例えば白色粒子群をセル58の全体に充填して白色表示媒体として配置した後、背面側の電極付き基板を隔壁53上に接着剤を介して貼り合わせることで、白/黒表示の表示エリアと白/赤表示の表示エリアとからなるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルを得ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−301030号公報
【特許文献2】特開2005−258240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでのエリア別カラー表示方式情報表示用パネルにおいて、エリア毎に色の異なる表示媒体(粒子群)を配置する必要があり、表示媒体の色別にマスク部と開口部とが異なるマスクを用いて表示媒体とする粒子群を配置しているが、マスク部と開口部との境界であるマスクのマスク部が、マスクを載せたパネル基板上の隔壁頂上部に密着せずに隙間が形成されやすく、隔壁で囲まれて形成されたパネル基板上のセル内に粒子群を配置する際に、この隙間からマスク部の下にあるこの色の粒子群を配置したくないセル内にもこの色の粒子群が配置されてしまう不具合が発生することがあった。
【0009】
特に、別色表示エリアが全体画面の中央部にあったり、四隅のいずれかにあったりするものを得ようとした場合に上記不具合が起きやすかった。上記不具合があると、別色表示エリアの境界付近にあるセル内で、必要な色の粒子の充填不足があったり、不要な色の粒子が混在したりすることになり、表示画面のうち別色表示エリアの境界付近での表示画像がぼやけて不鮮明なものになってしまうことがあった。
【0010】
図21(a)、(b)および図22(a)、(b)はそれぞれ上述した従来の問題点を説明するための図である。
【0011】
図21(a)、(b)に示す例は、画面の右下隅に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図21(a)は、第1のマスク54により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第1色粒子群(例えば黒色粒子群56)を充填配置する例を示すとともに、図21(b)は、第2のマスク55により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第2色粒子群(例えば赤色粒子群57)を充填配置する例を示している。図21(a)、(b)に示すように、エリア境界部分を含んだマスクの開口部周り付近のマスクのマスク部と隔壁頂上部との密着性が悪く、隔壁頂上とマスク部との間に隙間ができやすいため、撒布された粒子がマスクのマスク部と隔壁との隙間からマスク部の下にあるセルにまで回りこんで配置されてしまうことがあった。
【0012】
図22(a)、(b)に示す例は、画面の中央に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図22(a)は、第1のマスク54により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第1色粒子群(例えば黒色粒子群56)を充填配置する例を示すとともに、図22(b)は、第2のマスク55により、隔壁53によって形成されたセル58内に、第2色粒子群(例えば赤色粒子群57)を充填配置する例を示している。図22(a)、(b)に示す例でも、エリア境界部分を含んだマスクの開口部周り付近のマスクのマスク部と隔壁頂上部との密着性が悪く、隔壁頂上とマスク部との間に隙間ができやすいため、撒布された粒子がマスクと隔壁との隙間からマスク部の下にあるセルにまで回りこんで配置されてしまうことがあった。
【0013】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、粒子配置用マスクを利用して表示媒体とする粒子群を配置する際、粒子を正確に所定のセル内に配置できる粒子配置用マスクおよびそれを用いた粒子配置方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の粒子配置用マスクは、少なくとも一方が透明な2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクであって、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の粒子配置用マスクの好適例としては、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、連続した枠状の肉厚部分であるか、断続した枠状の肉厚部分であるかのいずれかであること、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、マスクとは別の部材で形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記マスク部の縁部を、マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていること、マスクを金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部より厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていること、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための少なくとも枠状の肉厚部分が、磁石に引き付けられる金属製部材で構成され、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていること、マスクを磁石に引き付けられる金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部を厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていること、がある。
【0016】
さらに、本発明の粒子配置方法は、(1)パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、前記粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うか、(2)パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、前記粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、パネル基板の裏側に配置した磁石によって前記粒子配置用マスクを前記隔壁上に密着させるようにするとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うか、(3)パネル基板上に隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、前記粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの少なくとも前記マスク縁部に配置した導電材料で構成された部分の電位がゼロとなるようにアースをとるとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行う、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粒子配置用マスクの開口部とマスク部との境界を含んだマスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、または、マスク部の縁部を、マスクとは別の枠状部材を肉厚部分として、マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、マスク部の縁部が反らないように構成したので、マスクの縁部が、マスクを載せた隔壁と密着しやすくなり、隔壁とマスク部との間に隙間ができることがなくなり、セル内に配置するためにマスク上方から落下させる粒子群が、マスク部の下にある、当該粒子群を配置したくないセルに配置されることを防止できる。
【0018】
また、粒子配置用マスクのマスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成する際に、マスクを磁石に引き付けられる金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部より厚くするための枠状の肉厚部分が、マスクとは少なくとも別の部材で形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定したり、マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくとも磁石に引き付けられ得る金属製部材で構成され、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くしたりすることによって、パネル基板の裏側に磁石を配置して粒子群の充填を行なうようにした場合は、マスク部の縁部がより一層反りにくくなるとともに、マスク部の縁部が磁石に引き付けられ隔壁頂上とマスク部との間に隙間ができることがなくなり、セル内に配置するためにマスク上方から落下させている粒子群が、マスク部の下にある、当該粒子群を配置したくないセルに配置されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成の一例を説明するための図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成の他の例を説明するための図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成のさらに他の例を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルの構成のさらに他の例を説明するための図である。
【図5】(a)〜(d)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルにおける駆動方式と表示方式を説明するための図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。
【図7】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第1実施例の一例を説明するための図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第1実施例の他の例を説明するための図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第1実施例のさらに他の例を説明するための図である。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の第2実施例の一例を説明するための図である。
【図12】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクにおけるマスク縁部肉厚部の形状の一例を説明するための図である。
【図13】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを用いた粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【図14】(a)、(b)はそれぞれ本発明に従って製造した情報表示用パネルの使用例の一例を説明するための図である。
【図15】本発明に従って製造した情報表示用パネルの使用例の他の例を説明するための図である。
【図16】本発明の粒子配置用マスクを適用するマザーパネル基板の一例を説明するための図である。
【図17】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の実施例で用いた粒子配置用マスクの一例を説明するための図である。
【図18】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の実施例で用いた粒子配置用マスクの他の例を説明するための図である。
【図19】(a)、(b)はそれぞれ実施例の評価で用いたテスト画像1およびテスト画像2を説明するための図である。
【図20】(a)、(b)はそれぞれ従来のマスクを利用した粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【図21】(a)、(b)はそれぞれ従来の問題点の一例を説明するための図である。
【図22】(a)、(b)はそれぞれ従来の問題点の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の対象となる情報表示用パネルの構成について説明する。本発明の対象となる情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0021】
本発明の対象となる情報表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図4(a)、(b)に基づき説明する。
【0022】
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(TFT付き画素電極)と基板2に設けた電極6(共通電極)とが対向して形成する画素電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。ここでは画素とセルとを1対1に対応させているが、画素とセルとは1対1に対応していなくてもよい。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0023】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板2に設けたライン電極6と基板1に設けたライン電極5とが対向直交交差して形成する画素電極対に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。ここでは画素とセルとを1対1に対応させているが、画素とセルとは1対1に対応していなくてもよい。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0024】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)に示す例は、それぞれ、外部電界形成手段を用いて表示書換えを行う帯電粒子駆動型の情報表示用パネルの一例を示す。図3(a)、(b)に示す例では、図3(a)に示すように、情報表示用パネルを外部電界形成手段としての上下対向画素電極対8、9の間に挿入して表示を書き換える。その際、対向画素電極対8、9として構成した外部電界形成手段から、情報表示用パネルに電界を付与して、表示媒体3B、3Wの駆動を行う。本例では、白地画面に情報を黒色で書き入れる様子を示している。図4(a)、(b)に示す例では、図4(a)に示すように、情報表示用パネルを外部電界形成手段としての書込み器電極10(電子ペン等)を観察側パネル基板に近づけ背面側導電膜5との協働にそって表示情報を書き換える。その際、書込み器電極10と背面側導電膜5とで構成した外部電界形成手段から、情報表示用パネルに電界を付与して、表示媒体3B、3Wの駆動を行う。本例でも、白地画面に情報を黒色で書き入れる様子を示している。
【0025】
なお、本発明の対象となる情報表示用パネルの駆動方法としては、パッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式や外部電界形成手段と組み合わせた駆動方式を用いることができる。パッシブ駆動の場合には、ライン電極を形成した2枚の基板を、ライン電極が交差するように対向させた電極の重なり部分で画素(ドット)を構成したり、セグメント電極を形成した2枚の基板を、セグメント電極が対向したセグメント画素を構成したりする。アクティブ駆動の場合には、TFT付きで構成する画素電極の形状を制御して、画素形状の電極対とすることができる。
【0026】
図5(a)〜(d)はそれぞれ本発明の対象となる情報表示用パネルにおけるパッシブ駆動による表示方式とアクティブ駆動による表示方式を説明するための図である。図5(a)に示す例では、直交するライン電極5、6からなるパッシブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおける画素(ドットまたはピクセルということもある)配置の例を示している。図5(b)に示す例では、同じくパッシブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおいて、例えば白赤ドットマトリックス表示の表示領域1と例えば白黒ドットマトリックス表示の表示領域2とからなるエリア別カラー表示の例を示している。図5(c)に示す例では、共通電極6とTFT付き画素用電極5との各対電極を用いたアクティブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおける画素(ドットまたはピクセルということもある)配置の例を示している。図5(d)に示す例では、同じくアクティブ駆動によるマトリックス表示方式のパネルにおいて、例えば黄赤ドットマトリックス表示の表示領域1と例えば黄黒ドットマトリックス表示の表示領域2とからなるエリア別カラー表示の例を示している。
【0027】
図6(a)、(b)および図7(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となるエリア別カラー表示方式の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。図6(a)、(b)および図7(a)、(b)に示す例において、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に示す例と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図6(a)、(b)に示す例では、表示画面を左右の2エリアに分割し、黒/白表示エリアと赤/白表示エリアとした例を示すとともに、ドットマトリックス型パッシブ駆動の例を示している。図7(a)、(b)に示す例では、表示画面をコーナー部領域とその他の領域との2エリアに分割し、黒/白表示エリアと赤/白表示エリアとした例を示すとともに、ドットマトリックス型アクティブ駆動の例を示している。図6(a)、(b)および図7(a)、(b)に示す例において、黒色表示媒体3Wとしては正帯電性黒色粒子3Waを含んだ粒子群を、赤色表示媒体3Rとしては正帯電性赤色粒子3Raを含んだ粒子群を、白色表示媒体としては負帯電性白色粒子を含んだ粒子群を、それぞれ使用している。
【0028】
次に、本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法を、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)、図12(a)〜(c)および図13(a)〜(c)を参照して説明する。
【0029】
図8(a)、(b)、図9(a)、(b)および図10(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の一例を説明するための図である。
【0030】
図8(a)、(b)に断面図として示す例では、図1(a)、(b)および図2(a)、(b)で示した各部材の他に、隔壁4を、基板2の電極6上に設けたセル形成専用隔壁4−2と、基板2の電極6上に設けたパネル基板間ギャップ確保用隔壁兼エリア境界隔壁4−3と、から構成している。この他にパネル基板間ギャップ確保用隔壁を表示エリアに適宜設けることができる。また、粒子配置用マスクとして、開口部11−1とマスク部11−2とから構成される第1の粒子配置用マスク11と、開口部12−1とマスク部12−2とから構成される第2の粒子配置用マスク12と、を利用している。以上の構成は従来のマスクと同様である。図8(a)、(b)には観察側となる透明なパネル基板(ガラス基板)2に透明な共通電極(ITO膜)を設けた例を示したが、透明なライン電極(例えばITOライン電極)を設けた場合であってもよいし、電極(導電膜)をパネル基板に設けない場合であってもよい。さらに、この粒子配置方法は背面側パネル基板に対して行うようにすることもできる。
【0031】
本発明の粒子配置用マスクの特徴は、マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成したことにある。具体的には、図8(a)、(b)に示す例では、第1の粒子配置用マスク11においてマスク部11−2のマスク縁部の厚みを枠状にその他の部分より肉厚に構成するようにマスク縁部枠状肉厚部11−3を設け、第2の粒子配置用マスク12においてマスク部12−2のマスク縁部の厚みを枠状にその他の部分より肉厚に構成するようにマスク縁部枠状肉厚部12−3を設けて、マスク部の縁部が反らないように構成している。図8(a)、(b)に示すマスクは、マスク部の縁部を、連続した枠状肉厚部分と一体化した構成としてマスク部の縁部の剛性を高め、マスク部の縁部を反らないようにしている。なお、ここでは連続した枠状の肉厚部分の例を示したが、断続した不連続な枠状の肉厚部分とすることもできる。また、マスク部の縁部が反らないように構成するために、マスク縁部に、剛性の大きな材料で形成したマスク縁部肉厚部(11−3、12−3)をマスクとは別の枠状部材としてマスク縁部に固定して構成したり、マスク部のマスク縁部を、マスク部のその他の部分とは別の剛性が大きく、反りにくい材料で構成したり、マスク部のその他の部分とは別の剛性の大きな材料で形成したマスク縁部肉厚部をマスクとは別の部材として、マスク縁部に対して断続した枠状部材としてマスク縁部に固定して構成することもできる。また、マスクを金属材料のような剛性の大きな材料で作製する場合には、マスク部の縁部を、マスク部と同じ材料で、マスク部のその他の部分より肉厚にすることによって構成することもできる。さらにまた、上述したマスク部の縁部に、マスクとは別の枠状部材として固定する肉厚部を、磁石に引き付けられるように構成した枠状部材とすることもできる。
【0032】
図8(a)、(b)に示す例では、まず、図8(a)に示すように、黒色表示媒体(黒色粒子群)3Wを第1の粒子配置用マスク11の上方から落下させる方式で基板2のセル7内に充填して配置する。本例では、黒色表示媒体3Wを配置したいエリアに開口部11−1を設けた第1の粒子配置用マスク11を、基板2上に形成された隔壁4(4−2、4−3)上に載せて、マスク11上方から黒色表示媒体3Wを撒布する。一方、黒色表示媒体3Wを配置したくないエリアはマスク部11−2によりマスクされているので、マスク下のセル7に黒色表示媒体3Wは充填配置されない。マスク部の縁部が肉厚部分11−3によって剛性が高められているので反ることがなく、隔壁4−3とマスク部との間に隙間ができないので、マスク部の縁部の下に位置するセルに対しても配置したくない黒色粒子が回り込んで配置されることを防げる。
【0033】
次に、図8(b)に示すように、赤色表示媒体(赤色粒子群)3Rを第2の粒子配置用マスク12の上方から落下させる方式で基板2のセル7内に充填して配置するが、マスク12を載せる前に、マスク部12−2の下となる隔壁上に載っている黒色粒子は除去しておく。次に、赤色表示媒体3Rを配置したいエリアに開口部12−1を設けた第2の粒子配置用マスク12を、基板2上に形成された隔壁4(4−2、4−3)上に載せて、マスク12上方から赤色表示媒体3Rを撒布する。一方、赤色表示媒体3Rを配置したくないエリアはマスク部12−2によりマスクされているので、マスク下のセル7に赤色表示媒体3Rは充填配置されない。マスク部の縁部が肉厚部分12−3によって剛性が高められているので反ることがなく、隔壁4−3とマスク部との間に隙間ができないので、マスク部の縁部の下に位置するセルに対しても配置したくない赤色粒子が回り込んで配置されることを防げる。その後、第3色の例えば白色表示媒体をセル7の全体に充填配置した後、背面側のパネル基板を隔壁4上に接着剤を介して貼り合わせることで、白/黒表示の表示エリアと白/赤表示の表示エリアとからなるエリア別カラー表示を行える情報表示用パネルを得る。なお、図8(a)、(b)に示す情報表示用パネルは、パネル基板に導電膜を有するものを示したが、導電膜のない情報表示用パネルも同様にして得ることができる。
【0034】
図9(a)、(b)および図10(a)、(b)はそれぞれ図8(a)、(b)に示した例の効果を説明するための図である。
【0035】
図9(a)、(b)に示す例は、画面の右下隅に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図7(a)は、第1の粒子配置用マスク11により、隔壁4によって形成されたセル7内に第1色粒子群(例えば黒色表示媒体3B)を充填配置する例を示すとともに、図9(b)は、第2の粒子配置用マスク12により、隔壁4によって形成されたセル7内に第2色粒子群(例えば赤色表示媒体3R)を充填配置する例を示している。図9(a)、(b)に示す例では、マスク部のマスク縁部肉厚部11−3を有する第1の粒子配置用マスク11およびマスク部のマスク縁部肉厚部12−3を有する第2の粒子配置用マスク12を用いることで、マスク部の縁部が肉厚部分11−3および肉厚部分12−3によって剛性が高められているので反ることがなく、エリア境界部分およびマスク部周囲のマスク部縁部におけるマスクのマスク部11−2と隔壁頂上部との密着性が良くなり、隔壁頂上とマスク部11−2との間に隙間ができにくくなる。その結果、撒布された粒子がマスクと隔壁との隙間からマスク部下のセルにまで回りこんで配置されてしまうことがなくなった。
【0036】
図10(a)、(b)に示す例は、画面の中央に別色表示エリアが位置する場合を示しており、図10(a)は、第1の粒子配置用マスク11により、隔壁4によって形成されたセル7内に第1色粒子群(例えば黒色表示媒体3B)を充填配置する例を示すとともに、図10(b)は、第2の粒子配置用マスク12により、隔壁4によって形成されたセル7内に第2色粒子群(例えば赤色表示媒体3R)を充填配置する例を示している。図10(a)、(b)に示す例では、マスク縁部肉厚部11−3を有する第1の粒子配置用マスク1およびマスク縁部肉厚部12−3を有する第2の粒子配置用マスク12を用いることで、マスク部の縁部が肉厚部分11−3および肉厚部分12−3によって剛性が高められているので反ることがなく、エリア境界部分およびマスク部周囲のマスク部縁部におけるマスクのマスク部11−2と隔壁頂上部との密着性が良くなり、隔壁頂上とマスク部11−2との間に隙間ができにくくなる。その結果、撒布された粒子がマスクと隔壁との隙間からマスク部の下にあるセルにまで回りこんで配置されてしまうことがなくなった。
【0037】
上述した本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法では、粒子配置用マスクの開口部とマスク部およびマスク部周囲のマスク部縁部との境界となるマスク縁部をマスク部のその他の部分より厚くしてマスク部縁部の剛性を大きくするように肉厚部を形成したので、マスクの縁部が反りにくくなり、隔壁とマスクとの間に隙間ができることがなくなり、配置するためにマスク上方から落下させている粒子が、マスク部の下にある、当該粒子を配置したくないセルに配置されることを防止できる。
【0038】
図11(a)、(b)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを利用した粒子配置方法の他の例を説明するための図(断面図)である。図11(a)、(b)に示す粒子配置用マスク(11、12)と図6(a)、(b)〜図8(a)、(b)に示す粒子配置用マスク(11、12)との相違点は、マスク部(11−2、12−2)の縁部に形成した肉厚部(11−3、12−3)の配置方法および配置位置であり、粒子配置方法は図8(a)、(b)〜図10(a)、(b)に示す例と同じであり、図11(a)、(b)に示す例においても図8(a)、(b)〜図10(a)、(b)に示す例と同一の作用効果を得ることができる。粒子配置用マスクの構成は、図8(a)、(b)に示したマスク部の縁部を、連続した枠状肉厚部分とマスク部とを一体に形成した構成ではなく、マスク部の縁部に、連続した枠状部材を肉厚部分として接着剤で固定した構成とした。図11(a)、(b)に示す例において、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)は、それぞれ、開口部(11−1、12−1)とマスク部(11−2、12−2)との境界から好ましくは最大1mmの間隔Sを空けて配置して構成している。また、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の幅Wを好ましくは1〜10mmとするとともに、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の厚さHを好ましくは1〜3mmとしている。上述したマスク部の縁部肉厚部における間隔S、幅Wおよび厚さHを好ましい範囲とすることで、マスク部の縁部に適度な重さと適度な剛性が付与され、マスク部の縁部がより反り難くなり、隔壁頂上とマスクとの間に隙間がさらにでき難くなる。
【0039】
図12(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクにおけるマスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の形状の一例を説明するための図(枠状の肉厚部材を配置した部分の断面図)である。図12(a)に示す例では、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の断面形状を四角形としている。また、図12(b)に示す例では、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の断面形状を台形としている。さらに、図12(c)に示す例では、マスク部の縁部肉厚部(11−3、12−3)の断面形状を三角形としている。いずれの形状でも、開口部(11−1、12−1)とマスク部(11−2、12−2)との境界となるマスク部縁部の剛性を大きくし、反りにくくすることができる。
【0040】
図13(a)〜(c)はそれぞれ本発明の粒子配置用マスクを用いた粒子配置方法の一例を説明するための図である。図13(a)〜(c)に示す例において、ステージ21上に隔壁4によってセルを形成したパネル基板1(2)をセットし、隔壁4上に本発明の粒子配置用マスク11(12)をセットした状態で、粒子配置用マスク11(12)の上方に設けたノズル22から粒子群23を撒布して落下させて、粒子の充填配置を行っている。上述した粒子配置方法を実行する際、粒子配置用マスク11(12)のマスク表面、マスク部材、マスク部縁部の枠状肉厚部分のうち少なくとも導電性材料で構成した部分の電位がゼロとなるようにアースをとるのが好ましく、図13(b)に示す例では、マスク部縁部の連続した枠状肉厚部分(枠状部材)にアースをとっている。マスクにおいて電位をゼロにすると好ましいのは、帯電性粒子が通過するマスク開口に近いマスク部縁部であり、マスク部縁部に導電性のマスク部材があればそのマスク部材部分でアースをとり、マスク部縁部に導電性の枠状肉厚部分があればその枠状肉厚部分でアースをとり、マスク部縁部に導電性のマスク部表面があればそのマスク部表面でアースをとる。図13(c)に示す例では、上述した粒子配置方法を実行する際、マスク部の縁部肉厚部11−3(12−3)を磁石に引き付けられる金属材料(ここではステンレス鋼SUS304とした)で構成するとともに、パネル基板1(2)の裏側に配置した磁石24によってマスク部の縁部肉厚部11−3(12−3)を吸着することで、粒子配置用マスク11(12)のマスク部の縁部を隔壁4上に密着させるよう構成している。粒子配置用マスク11(12)のマスク部材は、磁石によって引き付けられる金属材料であってもよいし、磁石によって引き付けられる金属材料でなくてもよい。図13(c)に示す例では、アルミニウム製マスクとし、マスク部の縁部にステンレス(SUS304)製枠状肉厚部材を導電性接着剤で固定した構成のマスクとした。いずれの例においても、マスク部の縁部肉厚部を設けることでマスク部の縁部が反りにくく構成され、粒子配置用マスクと隔壁との間の隙間をなくすことができる。図13(a)に示す例において、マスクを導電性のある金属製マスク(メタルマスク)とした場合において、マスク部の縁部肉厚部11−3(12−3)が導電性材料でない場合はマスクにアースをとることでも図13(b)に示した例と同様の効果が得られる。図13(c)に示した例において、マスクのマスク部縁部を、マスク部のその他の部分より肉厚にしてマスクのマスク部縁部の剛性を高めることによって、マスクのマスク部縁部を反りにくく構成するとともに、少なくともマスク部の縁部が、磁石に引き付けられるように構成されている場合に、粒子配置用マスクと隔壁との隙間をなくす効果が大きい。
【0041】
図14(a)、(b)および図15はそれぞれ本発明に従って製造した情報表示用パネルの使用例を説明するための図である。図14(a)、(b)に示す例は電子棚札として使用した例を示している。図14(a)に示す電子棚札の例では、上下に二分割した表示エリアにおいて、上側の表示エリアを白/黒表示エリア31として構成するとともに、下側の表示エリアを白/赤表示エリア32として構成している。そして、白/黒表示エリア31と白/赤表示エリア32との境界では、白/赤表示エリア32において赤色表示媒体によって赤色の太線33を表示している。図14(b)に示す電子棚札の例では、右下隅部とその他の部分に二分割した表示エリアにおいて、右下隅部の表示エリアを白/赤表示エリア32として構成するとともに、その他の表示エリアを白/黒表示エリア31として構成している。そして、白/黒表示エリア31と白/赤表示エリア32との境界では、白/黒表示エリア31において黒色表示媒体によって黒色の太線34を表示している。図15に示す電子POPの例では、中央とその周辺の部分に二分割した表示エリアにおいて、中央の表示エリアを白/赤表示エリア32として構成するとともに、その周辺の表示エリアを白/黒表示エリア32として構成している。そして、白/黒表示エリア31と白/赤表示エリア32との境界では、白/赤表示エリア32において赤色表示媒体によって赤色の太線33を表示している。
【0042】
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルの各構成部材および本発明の粒子配置用マスクの各構成部材について説明する。
【0043】
パネル基板としては、ガラス基板、プラスチック基板等、従来からディスプレイパネル用として使用されてきた材料の基板のいずれをも使用することができる。また、粒子配置用マスクの材料としては、一般的な金属材料や磁石からの磁力で引き寄せられる金属材料や導電性を有する金属材料やプラスチック材料等を使用することができる。このようなマスクのマスク部縁部に肉厚部として設ける材料としては剛性の大きな材料が好ましく、金属材料やセラミック材料が好適である。導電性の金属材料とすればアースがとれるので好ましく、磁石からの磁力で引き寄せられる金属材料とすれば、パネル基板を載せるステージに配置した磁石との協働により本発明の効果がより得られるので好ましい。磁石からの磁力で引き寄せられ、さらに、さびに強く、適度な剛性を有するとともに強度的にも優れるステンレス鋼(SUS430、SUS304等があげられる)やニッケル等が好ましく用いられる。
【0044】
マスクにおいて電位をゼロにすると好ましいのは、導電性粒子が通過するマスク開口に近いマスク部縁部の電位がゼロになっていると、帯電性粒子がマスク開口部の縁に静電付着してマスク開口部を通過しにくくなる不都合を引き起こしにくくできるからである。マスクが非導電性であればその表面を導電材料で被覆することが好ましく行われるが、マスク縁部の枠状肉厚部分が導電性であればマスク部材が非導電性のままであっても導電性の枠状肉厚部分でアースをとればよく、マスク部縁部を構成するマスク部材、マスク部表面および枠状肉厚部分のいずれかでアースをとれるようにすればよい。
【0045】
マスク部とマスク部の縁部肉厚部との界面は電気的に導通していてもよいし、電気的に絶縁していてもよい。また、マスク縁部肉厚部は開口部との境界に位置をぴったり合わせて設けるか、1mm以内の隙間Sを空けて設けることが好ましい。1mmを超える隙間Sを空けると、マスク部の縁部が反ってしまいマスクを載せている隔壁から離れやすくなり、本発明の効果が得られないことがある。
【0046】
マスク部の縁部肉厚部の幅Wは1mm〜10mmであることが好ましい。1mmより小さい幅Wではマスク部の縁部肉厚部を形成し難い不都合があり、10mmよりも大きい幅Wではマスク縁部肉厚部の重量で粒子配置用マスク全体が重くなってしまう不都合がある。
【0047】
マスク部の縁部肉厚部の厚さHは1mm〜3mmであることが好ましい。1mmより薄いとマスク部の縁部肉厚部の剛性が不足して、マスク部の縁部が反ってしまいマスクを載せている隔壁から離れやすくなり、本発明の効果が得られないことがある。3mmよりも厚いとマスク部の縁部肉厚部の重量で粒子配置用マスク全体が重くなってしまう不都合がある。
【0048】
マスク部の縁部肉厚部の断面形状は、マスク部と開口部の境界に精度良く形成しやすい四角形、台形、三角形が好ましい。
【0049】
粒子群を充填して配置するときにパネル基板を載せるステージは平滑な表面で構成してあればいずれの材料であってもよいが、接地アースが取れるのが好ましく、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料や、導電性材料で被覆したセラミック材料等を使用することができる。また、その一部を磁石で構成して、磁石に引き付けられる金属製の粒子配置用マスクや粒子配置用マスクのマスク部の縁部肉厚部として設けた、磁石からの磁力で引き付けられる金属材料との協働による効果を得るためにステージに配置する磁石としては、フェライト鋼などの磁石のほか、電磁石なども使用することができる。
【0050】
異なる種類の表示媒体が組み合わされて配置されたセルの形状は正方形ないし長方形を基調とした構成であり、これらのセルを複数集めて異なるカラー表示を行う2以上のエリアはそれぞれ四角形を基調とした形状の領域となる。パネル基板に設ける電極をライン状電極としてマトリックス配置して、パッシブ駆動でドットマトリックス表示を行ったり、パネル基板に設ける電極をドット電極としてマトリックス配置して、アクティブ駆動でドットマトリックス表示を行ったり、対向電極対がマトリックス配置され外部の電界形成手段を用いた駆動でドットマトリックス表示を行ったりすることができる。
【0051】
パネル基板間に設ける隔壁には、パネル基板間ギャップ確保機能を担う隔壁、表示媒体とする粒子群がパネル基板と平行な方向に移動することを抑制する機能を担う隔壁および前記両機能を兼ねる隔壁とがあり、パネル基板間ギャップ確保用隔壁の幅は、20μm〜100μmの範囲が好ましく、セル形成専用隔壁の幅は、5μm〜30μmの範囲で、できるだけ細くすることが好ましい。また、セル形成専用隔壁はパネル基板間ギャップ確保用隔壁の高さよりも低くしてもよく、表示媒体とする粒子群がパネル基板と平行な方向に移動することを抑制する機能を損なわない範囲とする。さらにまた、セル形成専用隔壁は双方のパネル基板の対向位置に形成し、パネル基板を貼り合わせたときに対向する構成としてもよく、この場合、対向部分を接合してもよいし接合しなくてもよい。
【0052】
セルの形状は画素形状および画素配置に合わせた四角形(角丸付き四角形を含む)を基調とした形状であり、四角形(正方形や長方形)、階段型八角形、階段型六角形のセルを形成するリブとして、マトリックス状に配置された画素に対応するように形成したり、画素との対応を考えずに形成したりする。表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有するセル形状が好ましく、角丸付きの形状が好ましく用いられる。
【0053】
基板間ギャップ確保用として設ける隔壁や、基板間ギャップ確保と異なる表示カラーを行うエリア境界に設ける隔壁およびセル形成専用の隔壁の形成材料としては、ドライフィルムレジスト材が好適に用いられる。一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。
【0054】
形成したい隔壁部分の高さに合せた厚みのドライフィルムレジスト材をパネル基板に積層し、所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソ法によってパターニングする。
【0055】
パネル基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅は、20μm〜100μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅は、5μm〜30μmの範囲とし、セル形成専用の隔壁部分の幅を、パネル基板間ギャップ確保用の隔壁部分の幅よりも小さくする。
【0056】
各表示エリアの境界には、セル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁として境界隔壁を形成し、各表示エリアの内側には、セル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁およびセル形成用隔壁を形成するとともに、前記各隔壁の幅の関係が、セル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁の幅>セル形成用隔壁の幅、とするのが好ましい。エリア境界隔壁の幅を太くすると、表示エリアの境界が明確になるとともに、パネル基板との貼り合わせに用いる接着剤を幅広く配置してしっかりと接合できるようにもなる。また、各表示エリアの内側に配置するセル形成とパネル基板間ギャップ確保との両機能を担う隔壁の幅を20μm〜100μmの範囲とし、各表示エリアの内側に配置するセル形成用隔壁の幅を5μm〜30μmの範囲とすることも好ましい。隔壁は非表示部分となるためできるだけ隔壁の幅は狭くしたいが、パネル基板間ギャップを確保するためには基板を支えるだけの強度が必要であり、それに応えられるのが前記範囲となる。セル形成用隔壁は基板を支える機能をもたせる必要がないので細くすることができ、実際に作製できる幅の範囲が前記範囲となる。
【0057】
パネル基板に導電膜を設けて、対電極として対向配置する場合に、透明基板側の表示エリア内に設ける透明導電膜の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の透明導電性高分子類が挙げられる。
【0058】
背面側基板や透明基板の表示エリア外に設ける導電膜の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。背面側基板の表示エリア内および表示エリア外に設ける導電膜および透明基板の表示エリア外に設ける導電膜は透明であってもよいし、透明でなくても良い。
【0059】
導電膜の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。電極形状にパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、観察側透明基板の表示エリアに設ける導電膜の厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。また、背面側基板に設ける導電膜の厚みは、導電性が確保できれば良く、0.01〜10μmの範囲で設ける。
【0060】
ITO等の金属酸化物透明導電性材料は、金属材料に比べて可とう性が小さい。観察側基板の表示エリアに導電膜を設ける場合には、透明導電膜内の断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅は、1μm〜10μmとすれば表示視認性の妨げとならないので好ましい。特に導電膜をライン状に設ける場合には断線防止の他に、ライン状導電膜の電気抵抗を小さくすることもできるので、金属細線を併用することがより好ましい。背面側基板の導電膜の場合、特にライン状にする場合は光透過性を考慮する必要がないので電気抵抗が小さく、可とう性にも優れた前記金属材料が好適に用いられる。
【実施例】
【0061】
以下、実際の例について説明する。
【0062】
<作製した情報表示用パネルの構成>
横長A7サイズの表示領域(全画面)の右下に位置する1/6画面分の表示領域と他の表示領域とで配置する表示媒体の種類を変えてエリア別カラー表示を行える情報表示用パネルを4個得ることのできるマザーパネルを作製し、マザーパネルを4つに分断して情報表示用パネルを得た。
【0063】
観察側とするマザーパネル基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚さ125μm)の一方の面の情報表示用パネルの表示エリア内に透明な酸化インジウム錫(ITO)膜をパターニングしてストライプ電極(幅300μm、スペース50μm)を形成したものを用い、背面側とするマザーパネル基板も、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚さ125μm)の一方の面の情報表示用パネルの表示エリア内に透明な酸化インジウム錫(ITO)膜をパターニングしてストライプ電極(幅300μm、スペース50μm)を形成したものを用いた。
【0064】
観察側マザーパネル基板上の表示エリア内に、幅50μm、高さ50μmの隔壁を格子状に形成して300μm□(300μm×300μm)のセルスペースをストライプ電極で形成する画素と1対1に対応するように形成し、セル内に表示媒体を充填配置後に2枚のマザーパネル基板を、ストライプ電極が対向直交交差するように貼り合せてマザーパネルを作製し、マザーパネルを4つに分断して4個の情報表示用パネルを作製した。
【0065】
前記各表示エリアの1/6画面分の表示領域のセルには、白色表示媒体と赤色表示媒体との2種類の表示媒体を組み合せて配置し、他の表示領域のセルには、白色表示媒体と黒色表示媒体との2種類の表示媒体を組み合せて配置して、白赤表示領域と白黒表示領域との2表示領域を有する構成の情報表示用パネルとした。
【0066】
<表示媒体の準備>
・白色表示媒体を構成する負帯電性白色粒子
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.5μmの負帯電性の白色粒子を得た。この白色粒子を主成分として白色粒子群を調整して白色表示媒体として用いた。
【0067】
・黒色表示媒体を構成する正帯電性黒色粒子
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤としてカ−ボンブラック(スペシャルブラック4:デグッサ社製)5重量部と、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.2μmの正帯電性の黒色粒子を得た。この黒色粒子を主成分として黒色粒子群を調整して黒色表示媒体として用いた。
【0068】
・赤色表示媒体を構成する正帯電性赤色粒子
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100重量部と、着色剤として赤色顔料(C.I.ピグメントレッド2)5重量部と、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、平均粒子径が、9.0μmの正帯電の赤色粒子群を得た。この赤色粒子を主成分として赤色粒子群を調整して赤色表示媒体として用いた。
【0069】
<実施例および比較例>
配置する表示媒体の種類に合せた開口部を有する厚さ100μmのSUS304製メタルマスクを用いた。各実施例のマスクは、マスク部の縁部に枠状肉厚部分を設ける構成とし、各比較例のマスクは、マスク部の縁部に枠状肉厚部分を設けない構成とした。マスク部の縁部に枠状肉厚部分を設ける構成は、枠状肉厚部分とマスク部とをSUS304で一体に成型した構成と、SUS304製マスクのマスク部縁部に、マスクとは別部材として形成したSUS304製枠状部材を、エポキシ系接着剤で固定した構成とのいずれかとした。表示媒体とする粒子群は、粒子群の種類に合わせた開口部とマスク部とを有するマスクを用いて、撒布法を用いて、順次、マザーパネル基板の所定のエリアにあるセル内に充填配置した。撒布法に用いた、マザーパネル基板を載せるステージとしては、アルミナ板ステージと、アルミナ板上にフェライト磁石板を配置した磁石ステージとの2種類のステージを準備し、各実施例、各比較例において使い分けて実施した。また、実施例、比較例においては、マスク部縁部の電位をゼロにするために、SUS304製の枠状肉厚部分か、SUS304製マスク部縁部かのいずれかでアースをとった。
【0070】
まず、図16に示すように、それぞれが白黒表示領域と白赤表示領域とを有する4個分の情報表示用パネルを一度に作製するマザーパネル基板を準備した。具体的な粒子配置用マスクとして、図17(a)〜(c)に示す、連続した枠状の肉厚部分としてマスク縁部肉厚部を構成した粒子配置用マスクと、図18(a)〜(c)に示す、マスク部周囲縁部にマスク縁部肉厚部を断続した枠状に配置してエポキシ系接着剤で固定して構成した粒子配置用マスクと、を使用した。なお、図17(a)〜(c)および図18(a)〜(c)に示す例では、エリア別カラー表示を行えるように構成した情報表示用パネルを4枚得ることができるマザーパネル基板に対してエリアごとに別色の表示媒体を配置できるよう構成した粒子配置用マスクとしており、ここでは黒色表示媒体とする黒色粒子群、赤色表示媒体とする赤色粒子群および白色表示媒体とする白色粒子群を充填配置するときに用いる3枚のマスクを示している。
【0071】
実際の粒子配置の動作は、まず、図17(a)または図18(a)に示す赤色表示媒体配置用マスクをマザーパネル基板に載せて赤色粒子群を配置し、マスク開口部にある隔壁上に載った赤色粒子を除去した。次に、図17(b)または図18(b)に示す黒色表示媒体配置用マスクをマザーパネル基板に載せて黒色粒子群を配置し、マスク開口部にある隔壁上に載った黒色粒子を除去した。その後、図17(c)または図18(c)に示す白色表示媒体配置用マスクをマザーパネル基板に載せて白色粒子群を配置し、マスク開口部にある隔壁上に載った白色粒子を除去してから、もう一方のマザーパネル基板と貼り合せてマザーパネルを得た。
【0072】
上述した方法に従って作製した各実施例および比較例の評価用の情報表示用パネルは、右下隅部の白/赤表示領域とそれ以外の白/黒表示領域とから構成されるものであり、情報表示用パネルとしての性能評価は、白/黒表示領域と白/赤表示領域との境界部において白/黒表示領域に表示させた黒色表示媒体による黒の太線テスト画像1(図19(a)に一例を示す)の表示状態と、白/黒表示領域と白/赤表示領域との境界部において白/赤表示領域に表示させた赤色表示媒による赤の太線テスト画像2(図19(b)に一例を示す)の表示状態を50倍に拡大して目視観察することで、従来、表示媒体とする粒子群の混色が起こっていたエリア境界付近に配置されたセルを使っての表示状態から粒子配置状態を評価した。テスト画像1については黒の太線画像が赤色の混色のない画像となっているかでその表示状態を評価するとともに、テスト画像2については赤の太線画像が黒色の混色のない画像となっているかでその表示状態を評価した。結果を以下の表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の結果から、本発明の粒子配置用マスクを利用して粒子配置を行った実施例1〜7に係る情報表示用パネルは、従来の粒子配置用マスクを利用して粒子配置を行った比較例1〜2に係る情報表示用パネルと比べて、表示エリアの境界付近のセル内において粒子の混色による不具合がない良好な画像が得られる情報表示用パネルとなっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明を適用して作製した情報表示用パネルは、電子POP(Point of presence, Point of Purchase advertising)や電子棚札として用いられるほか、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(取扱説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部や、外部表示書き換え手段と接続して表示書き換えを行う表示部や外部の電界形成手段を用いて表示書換えを行う表示部(いわゆるリライタブルペーパー)としても好適に用いられる。
【符号の説明】
【0076】
1、2 基板
3W 白色表示媒体
3Wa 負帯電性白色粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 正帯電性黒色粒子
3R 赤色表示媒体
3Ra 正帯電性赤色粒子
4 隔壁
4−2 セル形成専用隔壁
4−3 パネル基板間ギャップ確保用隔壁兼エリア境界隔壁
5、6 導電膜(電極)
7 セル
8、9 対向画素電極(外部電界形成手段)
10 書込み器電極
11 第1の粒子配置用マスク
11−1、12−1 開口部
11−2、12−2 マスク部
11−3、12−3 マスク縁部肉厚部
12 第2の粒子配置用マスク
21 ステージ
22 ノズル
23 粒子群
24 磁石
31 白/黒表示エリア
32 白/赤表示エリア
33 赤色の太線表示
34 黒色の太線表示
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクであって、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする粒子配置用マスク。
【請求項2】
前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、連続した枠状の肉厚部分であるか、断続した枠状の肉厚部分であるかのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の粒子配置用マスク。
【請求項3】
前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、マスクとは別の部材で形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記マスク部の縁部を、マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項4】
マスクを金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部より厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項5】
前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための少なくとも枠状の肉厚部分が、磁石に引き付けられる金属製部材で構成され、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項6】
マスクを磁石に引き付けられる金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部を厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項7】
パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うことを特徴とする情報表示用パネルの製造に用いる粒子配置方法。
【請求項8】
パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、請求項5または6に記載の粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、パネル基板の裏側に配置した磁石によって前記粒子配置用マスクを前記隔壁上に密着させるようにするとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うことを特徴とする情報表示用パネルの製造に用いる粒子配置方法。
【請求項9】
パネル基板上に隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの少なくとも前記マスク縁部に配置した導電材料で構成された部分の電位がゼロとなるようにアースをとるとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うことを特徴とする情報表示用パネルの製造に用いる粒子配置方法。
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚のパネル基板を互いに対向させて形成したパネル空間に配置した表示媒体であって、前記対向パネル基板間に形成した電界で帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造時に、全表示領域を分割した各表示領域に対して種類の異なる表示媒体をそれぞれ配置する際に用いる、各表示領域に合せた開口部およびマスク部を有する粒子配置用マスクであって、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする粒子配置用マスク。
【請求項2】
前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、連続した枠状の肉厚部分であるか、断続した枠状の肉厚部分であるかのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の粒子配置用マスク。
【請求項3】
前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための枠状の肉厚部分が、マスクとは別の部材で形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記マスク部の縁部を、マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項4】
マスクを金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部より厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項5】
前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くするための少なくとも枠状の肉厚部分が、磁石に引き付けられる金属製部材で構成され、前記マスク部の縁部を枠状に、マスク部のその他の部分より厚くすることによって、マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項6】
マスクを磁石に引き付けられる金属材料で構成するとともに、前記金属製マスク部の縁部を枠状に、金属製マスク部を厚くするための枠状の肉厚部分が、少なくともマスクとは別の部材として形成され、前記枠状の肉厚部分が、前記金属製マスク部の縁部を、金属製マスク部のその他の部分より厚くなるように固定することによって、金属製マスク部の縁部が反らないように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子配置用マスク。
【請求項7】
パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うことを特徴とする情報表示用パネルの製造に用いる粒子配置方法。
【請求項8】
パネル基板上の隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、請求項5または6に記載の粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、パネル基板の裏側に配置した磁石によって前記粒子配置用マスクを前記隔壁上に密着させるようにするとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うことを特徴とする情報表示用パネルの製造に用いる粒子配置方法。
【請求項9】
パネル基板上に隔壁で囲まれたセル内に表示媒体とする粒子群を配置する際に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子配置用マスクを隔壁上に載せて、前記粒子配置用マスクの少なくとも前記マスク縁部に配置した導電材料で構成された部分の電位がゼロとなるようにアースをとるとともに、前記粒子配置用マスクの上方から粒子群を落下させて粒子配置を行うことを特徴とする情報表示用パネルの製造に用いる粒子配置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−204261(P2010−204261A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47898(P2009−47898)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
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