説明

粘液のレオロジー特性を測定するための装置および方法

【課題】粘液のレオロジー特性を測定するための装置および方法を提供する。
【解決手段】粘液の粘度または糸引き性などのレオロジー特性を測定するための装置および方法であって、ある量の粘液を受け入れるための開口部を画定する周囲面を有するハウジングと、ハウジング内に広がり、かつある量の粘液の少なくとも一部と接触する先端を有するプローブと、ハウジングに対してプローブの先端を変位させるための変位機構と、プローブの先端の変位を測定するための測定ユニットとを有する装置、および方法。
【効果】この装置および方法は、雌の受精可能性を判定するために、哺乳類の頸管粘液のレオロジー特性を測定するのに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘液のレオロジー特性を測定するための装置に関するものである。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、頸管粘液のレオロジー特性を測定するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、ヒト女性などの雌の哺乳類の排卵および/または受精可能期間を検出し予測することに関するものである。排卵および/または受精可能期間について知ることは、例えば、受精可能期間中の禁欲または他の形態のバースコントロールを行うことによって妊娠を避ける形での家族計画が可能になる。あるいは、必要に応じて、雌の妊娠可能期間中に性交を行うことによって、妊娠の確率を高めることができる。
【0004】
雌の排卵および/または受精可能期間は、自然家族計画(NFP)徴候体温法(STM)と呼ばれる方法を用いて予測することができる。NFP/STMは、受精可能性を認識することに基づく(fertility awareness based)(FAB)予測方法であり、この方法は、受精可能性(fertility)の指標として、体温および頸管粘液の特性を用いる。NFP/STMは、当該技術分野において公知であり、本明細書では詳細に説明しない。
【0005】
ヒト女性の平均体温は、月経周期の間に変化することが知られている。通常、平均体温は、排卵後に少なくとも0.2℃上昇する。このため、経時的に体温をモニターすることは、女性の受精可能性の指標となる。
【0006】
頸管粘液も、月経周期の間に変化することが知られている。排卵直前の時期の1〜3日間の期間中、頸管粘液は多量で水っぽく、頸管粘液は排卵時に最も水和される(97〜98%の水)。月経周期におけるその他の時期には、頸管粘液は、量が減り、比較的水気がなく(80〜90%の水)、ある種の糸引き性(threadability characteristics)をもはや有さず、すなわちレオロジーに関してより粘性である。また、頸管粘液は、通常濁っているが、排卵前の3〜4日間は透明になる。
【0007】
体温および頸管粘液の特性に基づいて排卵および/または受精可能期間を予測することは当該技術分野において公知である。1つの公知の方法では、頸管粘液の光学的透明性を測定する。しかしながら、頸管粘液のレオロジー特性を測定することにより、排卵および/または受精可能期間のより正確な予測が可能になることが分かっている。
【0008】
例えば、粘液の糸が切れるまで、親指と他の指との間の距離を徐々に離すことで、親指と他の指との間で粘液の糸を引かせることによって、手で頸管粘液の糸引き性を測定することが知られている。しかしながら、この方法は、一般的に面倒であるとみなされている。
【0009】
月経周期における時期を判定するために、身体の粘液、より具体的には頸管粘液のレオロジー特性を測定するためのいくつかの方法および装置が知られている。
【0010】
米国特許第3,982,423号明細書には、内側部材と外側部材との間の薄いリング状の空洞に粘液のサンプルを挿入する試験方法および装置が開示されている(特許文献1)。一方の部材は、固定されて取り付けられており、他方の部材は、粘液の粘度が比較的低い場合には最初に述べた部材に対して移動し、粘液の粘度が比較的高い場合には移動しないように重みがついている。この装置は、粘液の粘度がどのくらい高いかを示さず、粘度が所定の閾値より高いか低いかを示すに過ぎないという欠点を有する。
【0011】
スペイン特許第2031038号明細書には、ピンセットの形態の装置が開示されており(特許文献2)、この装置では、ピンセットの2つのつまみの先端に、粘液のサンプルが挟まれる。先端の間に形成された粘液の糸が切れるまでつまみが互いに離される。この装置には、糸が切れる直前の糸の最大長さを測定するための目盛りが設けられている。
【0012】
この装置は、目盛りから測定される糸の長さが、装置の操作者の、目盛りを読み取る能力、ならびに目盛りを読み取るまで、糸が切れた後も糸が切れた相対位置につまみを保持する能力に大きく依存するという欠点を有する。
【0013】
さらに、これらの装置および方法は、使用しにくく、かついくらかの操作能力を要するという欠点を有する。このため、これらの装置および方法は、熟練していない人が使用するのに適していない。特に、女性の排卵および/または受精可能期間を予測する際に、女性が、例えば、自宅にいながらして、自分自身で装置を操作し、および/または方法を実施することができることが強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第3,982,423号明細書
【特許文献2】スペイン特許第2031038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の課題の少なくとも1つに対処する、粘液のレオロジー特性を測定するための装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、本発明によれば、粘液の粘度または糸引き性などのレオロジー特性を測定するための装置が提供され、この装置は、ある量の粘液を受け入れるための開口部を規定する周囲面を有するハウジングと、ハウジング内に延在し、かつある量の粘液の少なくとも一部と接触する先端を有するプローブと、ハウジングに対してプローブの先端を変位させるための変位機構と、プローブの先端の変位を測定するための測定ユニットとを有する。このため、この装置は、プローブの先端を周囲面に対して変位させながら、例えば周囲面と先端との間で、先端から伸びる粘液の糸を生じさせることができる。これは、粘液の糸引き性の指標となり得る。
【0017】
好ましくは、周囲面およびプローブの先端は、それらに粘液を付着させることを可能にする材料および/または形状を備えている。このため、粘液の測定されたレオロジーパラメータは、粘液がリムおよび先端に付着する能力に全く依存しないか、またはごくわずかに依存する。
【0018】
好ましくは、測定ユニットは、粘液の糸の破断を検出するように構成される。この際、糸がいつ切れるか、および例えば、糸が切れる前の糸の最大伸びがどのようであったかが測定される。これは、粘液の糸引き性の優れた指標となる。
【0019】
一実施形態では、測定ユニットは、粘液の糸を通る電流を発生させる電源を有し、好ましくは、電流がないことに基づいて、糸の破断を検出するように構成される。
【0020】
好ましくは、測定ユニットは、粘液によってプローブの先端にかかる力を測定するように構成される。リムに対する先端の変位およびそれに付随する、粘液によって先端にかかる力の測定値は、粘液のレオロジー特性の指標となる。
【0021】
好ましくは、装置は、粘液の破断点伸び、粘液の破断点引張力、粘液の力−伸びプロファイルおよび粘液の伸張性のうちの1つを測定するように構成される。これらは、粘液のレオロジー特性を測定することができる確実なパラメータであることが知られている。
【0022】
好ましくは、ハウジングは、開口部に開いているチャンバを有し、ここで、開口部の断面は、チャンバの断面より小さい。これは、粘膜の所定の糸を形成するのに役立つ。
【0023】
一実施形態では、ハウジングは、開口部に隣接してほぼ管状の部分を有し、この管状部分は、装置の使用者の体腔に導入されるのに適している。このため、この装置は、粘液のレオロジー特性を体内で測定するのに使用することができる。
【0024】
好ましくは、プローブは、ハウジングの管状部分内でほぼ軸方向に広がっている。好ましくは、変位機構は、管状部分の軸方向においてプローブを変位させるように構成される。このため、装置の特に簡素な実施形態が得られる。
【0025】
一実施形態では、開口部は、カップ状の凹部を備えている。カップ状の凹部は、特に、装置が粘液を含む体腔に少なくとも部分的に導入されるとき、ハウジングの開口部において粘液を採取するのに役立つ。好ましくは、プローブの先端は、カップ状の凹部の底部の孔を通って外側に広がっている。好ましくは、孔の内径と、孔の位置におけるプローブの外径との間に、毛管作用によって粘液を間隙に吸い込むように構成された幅を有する間隙が存在する。このため、粘液が、プローブの先端およびハウジングのカップ状の開口部の両方に適切に付着させられる。
【0026】
一実施形態では、装置には、粘液および/または周囲組織の温度を測定するための温度センサがさらに設けられる。好ましくは、基礎体温、すなわち、雌の身体が(完全に)休んでいるときの温度が測定される。基礎体温は、例えば、目が覚めた直後または目が覚めてすぐに測定することができる。このため、この装置は、雌の哺乳類が受精可能であるかどうかを判定するのに適したものにされる。そこで、この装置は、頸管粘液のレオロジー特性および/または温度に基づいて、雌の哺乳類が受精可能であるかどうかを判定するためのプロセッサを含むことができる。好ましくは、プロセッサは、雌が受精可能であるか否かを判定するためのNFP/STMから公知の基準(rules)を適用する。好ましくは、プロセッサは、同じ雌の哺乳類の前の月経周期中に行われた測定に基づいて、レオロジー特性および/または温度の平均値を測定するように構成される。
【0027】
本発明は、雌の哺乳類の受精可能性を判定するためのシステムにも関し、このシステムは、本発明に係る遠隔処理ユニットおよび装置を有し、変位、破断、力および/または温度の測定値に関連する信号を遠隔処理ユニットに送信するための送信機をさらに有し、ここで、遠隔処理ユニットは、装置からの信号を受信し、受信した信号を処理し、処理の結果をシステムの使用者に知らせるように構成される。この際、汎用コンピュータなどの遠隔処理ユニットを用いて、装置で得られたデータについて、データを閲覧し、および/またはデータ処理を行うことが可能である。本明細書において、データは、変位、破断、力および/または温度の測定値、粘度または糸引き性などのレオロジー特性の測定値、ならびに/あるいは受精可能かまたは受精不可能かの表示などの処理された結果を含むことができる。
【0028】
一実施形態では、システムは、ウェブサーバなどのホストユニットをさらに有し、ここで、遠隔処理ユニットは、装置から受信された信号と関連する単位信号をウェブサーバに送信するように構成され、ホストユニットは、単位信号を受信し、受信した単位信号を処理し、処理の結果を、例えばインターネットを介してシステムの使用者に知らせるように構成される。このため、データは、ホストユニット上でアクセス可能とされる。
【0029】
好ましくは、ホストユニットは、複数の遠隔処理ユニットから受信された単位信号と関連するデータを保存するためのリポジトリを有する。好ましくは、ホストユニットは、リポジトリに保存されたデータについての統計的分析を行うように構成される。このため、特定の雌の哺乳類一個体の排卵および/または受精可能期間の検出および予測が、例えば、1回以上の前の月経周期での同じ雌のデータ、または複数の雌のデータといった統計結果を用いて、より正確に行うことができる。
【0030】
本発明は、さらに、粘液のレオロジー特性を測定するための方法に関し、この方法は、ある量の粘液を、本発明に係る装置のハウジングの開口部に塗布する工程と、ある量の粘液の少なくとも一部を、プローブの先端と接触させる工程と、プローブを、開口部から離れる方向に変位させる工程と、プローブの先端の変位を測定する工程とを有する。
【0031】
好ましくは、ある量の粘液を、ハウジングの開口部に塗布する工程は、粘液を含む、被験体の体腔にハウジングの開口部を挿入する工程を有する。このため、粘液のレオロジー特性を体内で測定することができる。
【0032】
一実施形態では、粘液は、ヒトの頸管粘液などの哺乳類の頸管粘液である。既に説明したように、頸管粘液のレオロジー特性は、雌の受精可能性の優れた指標である。また、口腔粘液も、頸管粘液ほど明らかではないが、雌の受精可能性の指標であることが知られている。頸管粘液のレオロジー特性の代わりに、口腔粘液のレオロジー特性を使用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、ヒト女性などの雌の哺乳類の排卵および/または受精可能性を判定および/または予測するための方法にも関し、この方法は、本発明にしたがって雌の哺乳類の粘液のレオロジー特性を測定する工程と、雌の哺乳類の体温を測定する工程と、測定されたレオロジー特性および測定された体温に基づいて、排卵および/または受精可能性を判定および/または予測する工程とを有する。その際、NFP/STMの基準を適用することができる。
【0034】
これより、添付の図面を参照して、限定されない実施例によって、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る、粘液のレオロジー特性を測定するための装置の第1の実施形態の例を示す。
【図2】図2のa−cは、図1に示される装置の動作の連続的な工程を示す。
【図3】本発明に係る装置の第2の実施形態の例を示す。
【図4】本発明に係る装置の第3の実施形態の例を示す。
【図5】本発明に係るシステムの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明に係る、粘液の粘度または糸引き性などのレオロジー特性を測定するための装置1の第1の実施形態の例を示す。この実施例では、装置1は、開口端6を備えたチャンバ4を有するハウジング2を有する。開口端において、周囲面が開口部を規定する。この例では、開口端6において形成された開口部の断面は、チャンバ4の断面より小さい。このため、この例では、内側に広がるフランジ7が形成される。この実施例では、ハウジング2はほぼ管状である。図1では、装置1は、ハウジング2内に広がるプローブ8をさらに有する。この実施例では、プローブ8は、ハウジング2の長手方向に、ハウジング2内でほぼ軸方向に広がる。プローブ8は、ハウジング2の開口端6の近くに位置決めされた先端10を有する。装置1は、ハウジング2に対してプローブ8を変位させるための変位機構12をさらに有する。この実施例では、変位機構12は、プローブ8を、直線変位で、ここではハウジング2内で軸方向に変位させるように構成される。
【0037】
この実施例では、変位機構は、ラックギア構造を備え、ここで、ラックは、プローブ8に連結され、ギアは、プローブを変位させるための電動機に結合される。しかしながら、ピストンロッド状の構造、リニアモータ、圧電変位、空気圧シリンダなどの他の変位機構が可能である。
【0038】
装置1は、プローブ8の変位を測定するための変位測定手段を備えた測定ユニット14をさらに有する。変位は、例えば、リニアまたは回転デジタルエンコーダを用いて測定することができる。
【0039】
これまでに記載した装置1は、以下のように使用することができる。
【0040】
プローブ8の先端10は、ハウジング2の開口端6において開口部に隣接して位置決めされる。ハウジング2の開口端6は、ある量の粘液16(図2aを参照)と接触される。粘液16は、ハウジング2の開口端6における周縁リム18に、例えばフランジ7に付着する。粘液16は、プローブ8の先端10にも付着する。この例では、プローブ8はステンレス鋼製であり、リム18はPMMA製であり、これらは、粘液を先端10およびリム18に付着させるのに適した材料であることを示す。
【0041】
次に、変位機構12は、プローブ8を、開口端6から離して、チャンバ4内に内側に変位させる。粘液16はまだ、リム18および先端10に付着している。粘液16の糸20がチャンバ4の内部で形成される(図2bを参照)。この例では、プローブ8を変位させる際に、フランジ7が、粘液16がチャンバの壁の内側に沿って滑るのを防いでいることが留意される。このため、フランジ7は、明確に規定された位置、ここではリム18のフランジ7およびプローブ8の先端10から伸びる粘液16の糸20が形成されるのを助ける。
【0042】
変位機構12がプローブを変位させる一方、測定ユニット14は、プローブ8の変位を測定し得る。
【0043】
この実施例では、測定ユニット14は、粘液16の糸20の破断を測定するための破断検出手段をさらに有する。本明細書において、測定ユニットは、電気エネルギーの供給源13を有する。この実施例では、供給源13は電流源であるが、電圧源も考えられる。供給源13は、この例ではワイヤ15およびプローブ8を介して、プローブ8の先端10に電気接続される。供給源はまた、この実施例ではワイヤ17を介して、ハウジング2の接点19に電気接続される。本明細書において、接点19は、ハウジングの外側(すなわち、チャンバ4内ではない)に位置決めされる。この実施例では、接点は、リム18の近くに位置決めされる。
【0044】
粘液16が、プローブ8の先端10および接点19の両方と接触すると、電気回路が閉じられる。供給源13は、この実施例では、ワイヤ15、プローブ8、先端10、粘液16、接点19およびワイヤ17を介して供給源13に戻るように電気回路を通って電流を流すことができる。電流は、粘液16の糸20が伸びている間は流れ続ける。糸20が切れると、電流の流れが中断される。このため、測定ユニット14は、電流に基づいて、糸20の破断時点を測定することができる。破断時の糸の長さは、破断時点における先端10の位置を測定することによって測定することができる。
【0045】
不快感または危険を全く生じさせないために、電流は、例えば0.05mA以下など、小さいことが好ましいことが理解されよう。不快感または危険を生じさせないために、電気回路に用いられる電圧は、例えば5V以下など、小さいことが好ましい。
【0046】
測定ユニット14は、例えば、粘液16の糸引き性、伸張性または粘度を測定することができる。糸引き性は、例えば、糸の破断時の最大糸長さとして表わすことができる。
【0047】
精巧な実施形態では、測定ユニット14は、例えば、粘液16の糸20の弾性収縮によって、プローブにかかる力を測定するための力測定手段をさらに有する。力は、例えば、歪みゲージを用いて、または電動機を通って流れる電流を測定することによって測定することができる。次に、測定ユニット14は、例えば、粘液16の力−伸びプロファイル、すなわち、伸びに応じた弾性収縮力を測定することができる。例えば、糸20の伸びに応じて、粘液16の糸20の弾性収縮によってプローブ8にかかる力は、粘液16のレオロジー特性を測定するために用いられる。例えば、糸20の伸びに応じて、粘液16の糸20の弾性収縮によってプローブにかかる力は、例えば、粘液16の糸引き性、伸張性または粘度を測定するために用いられる。伸張性は、例えば、糸の所定の絶対的伸びまたは相対的伸びに必要な力として表わすことができる。
【0048】
糸20の破断はまた、力測定手段によって、プローブ8にかかる力の突然の低下としても検出され得ることが理解される。
【0049】
特別な実施形態では、変位機構12は、粘液16の糸20が切れるまで、プローブ8を、開口端6から離して、チャンバ4内に内側に変位させる(図2cを参照)。この場合、測定ユニット14は、粘液16の破断点伸び、粘液16の破断点引張力、または粘液16の力−伸びプロファイル(すなわち、伸びに応じた力)を測定することができる。粘液16の破断点伸びまたは粘液16の破断点引張力は、粘液16のレオロジー特性を測定するのに用いられる。粘液16の破断点伸びまたは粘液16の破断点引張力は、例えば、粘液16の糸引き性、伸張性または粘度を測定するのに用いられる。
【0050】
図1、図2のa、bおよびcに示される装置には、プロセッサ30がさらに設けられる。プロセッサ30は、プローブ8の変位を制御するために、変位機構12に通信可能に接続される。プロセッサ30はまた、プローブ8の変位を表わすデータ、および/または粘液16の糸20の弾性収縮によってプローブにかかる力を表わすデータ、および/または糸20の破断を表わすデータを受信するために、測定ユニット14にも通信可能に接続される。プロセッサは、測定された破断時の変位、または測定された変位および力からレオロジー特性を測定するように構成される。そこで、プロセッサは、例えば、メモリ内に、レオロジー特性を計算するための所定のアルゴリズムを含むことができる。このようなアルゴリズムは、例えば、レオロジー特性の公知の値を有する粘液の1つ以上のサンプルを用いて較正した後、内挿および/または外挿される。
【0051】
プロセッサ30は、この実施例では、さらに、インジケータ32に通信可能に接続される。インジケータは、測定がうまく完了したか否かを示すように構成される。その代わりに、またはそれに加えて、以下にさらに説明されるように、インジケータは、測定ユニット14から受信されたデータに関する情報を示すように構成される。
【0052】
測定ユニット14には、粘液16の電気抵抗を測定するように構成された抵抗測定ユニット21も設けられる。測定ユニット14は、粘液16の電気抵抗を測定するために、電源13に結合された電気回路を使用することができる。電気抵抗は、膣内の酸性度を表わし、雌の受精可能性の指標となる。酸性度は、月経周期中に変化することが知られており、月経周期内の妊娠可能日の間は低下するはずである。
【0053】
図3は、本発明に係る装置1の第2の実施形態の例を示す。図3の実施例では、開口端6はカップ状の凹部22を備えている。プローブ8の先端10は、カップ状の凹部22の底部26の孔24を通って広がる。この例では、間隙28が孔24の壁とプローブ8との間に存在するように、孔24の内径は、孔24の位置におけるプローブ8の外径より大きい。間隙28の幅は、毛管作用によって粘液16が間隙28に吸い込まれるように選択される。例として、間隙28の幅は、0.05〜0.3mmであることができる。この実施例では、凹部22の底部は、周縁リム18の内側に広がるフランジ7を形成する。
【0054】
図3に示される装置1の動作は、図1、図2のa、bおよびcに示される装置の動作と同じである。カップ状の凹部22により、ある量の粘液16を、ハウジング2の開口端6およびプローブ8の先端10とより容易に接触させることができるという利点が得られる。さらに、間隙28は、粘液16の糸20を再現可能に生じさせるために、粘液16をプローブ8の先端10に適切に付着させるのに役立つ。
【0055】
本発明に係る、粘液16のレオロジー特性を測定するための装置1はまた、頸管粘液、口腔粘液または鼻腔粘液などの身体の粘液のレオロジー特性を体内で測定するためにも用いられる。装置1は、例えば、体腔内の粘液のレオロジー特性を測定するために用いられる。
【0056】
特別な実施形態によれば、図4を参照して説明されるように、本発明に係る装置1は、哺乳類の頸管粘液のレオロジー特性を体内で測定するために用いられる。特に、装置は、雌の哺乳類の受精可能性を検出し、ならびに/あるいは排卵および/または受精可能期間を予測するために用いられる。より具体的には、装置は、ヒト女性の受精可能性を検出し、ならびに/あるいは排卵および/または受精可能期間を予測するために用いられる。
【0057】
図4は、女性の膣80内に挿入された、本発明に係る装置1の一実施形態の例を示す。この実施例では、ハウジング2の管状部分34が、上側膣壁82と下側膣壁84との間で囲まれている。図4では、分かりやすくするために、上側膣壁82と下側膣壁84との間で、かつハウジング2の外側に間隙が描かれている。実際には、上側膣壁82および下側膣壁84は、ハウジング2の外側と接触した状態となることが理解される。周縁リム18が頸部88の子宮外口86に隣接してまたは接触して位置決めされるまで、管状部分34は膣80内に挿入されるのが好ましい。痛みまたは損傷を避けるために、管状部分34およびリム18は丸みを帯びた角隅部を有することが理解される。
【0058】
この実施例では、リム18およびカップ状の凹部22を備えた、管状部分34の前端35は、ハウジング2の残りの部分から脱着可能に設計される。これにより、使用後に装置1を容易に掃除することができるという利点が得られる。その際、前端35を取り外し、プローブ8およびチャンバ4の内部を水ですすいでもよい。それに加えて、またはその代わりに、前端35ならびに/あるいはプローブ8および/またはプローブの先端10は、使い捨てとして構成することができる。先端10は、例えばスナップ嵌めまたはねじ結合によって、プローブ8の残りの部分に結合するキャップとして例えば設計される。先端10は、プローブ8の残りの部分より大きいか、それと等しいかまたはそれより小さい断面を有することができる。
【0059】
管状部分34を挿入している間、カップ状の凹部22は、子宮外口86を介して膣80の後方に入った頸管粘液を採取するのに役立つ。目が覚めた直後、すなわち、ある量の頸管粘液が膣80の後方に集まっているときに、開口端6における頸管粘液の採取を行うのが好ましい。開口端6における頸管粘液の採取は、女性が横になった姿勢で行うのが好ましい。女性は、この手順を自分自身で行うことができる。
【0060】
上記のように、装置1の管状部分34を膣80内に挿入すると、頸管粘液は、リム18およびプローブ8の先端10と接触することになる。次に、図2のa〜cに関して説明したように、粘液のレオロジー特性が測定される。粘液のレオロジー特性は、装置の管状部分34が膣80内に挿入されたまま測定されることが好ましい。したがって、レオロジー特性は、体内で測定される。この実施例では、膣80内において空気で満たされた空洞を成す、チャンバ4の内部に、粘液16の糸20が形成されることが理解される。空洞を設けることで膣80内で糸の形成が可能になるが、これは空洞がなければ不可能である。
【0061】
図4の実施例では、装置1には、粘液および/または周囲組織の温度を測定するための温度センサ36が設けられる。このため、装置1は、粘液のレオロジー特性および体温の両方を測定するように構成される。管状部分34を膣内に挿入したまま頸管粘液のレオロジー特性を測定することで、温度センサが当該時間の間、女性の体内に留まるという利点も得られる。したがって、温度センサと身体または体液との間の接触を長くすることが可能になるため、温度をより正確に測定することができる。
【0062】
この実施例では、プロセッサ30は、頸管粘液のレオロジー特性および温度に基づいて、女性が受精可能かどうかを判定するように構成される。その際、プロセッサは、頸管粘液のレオロジー特性および温度の測定値にNFP/STMの基準を適用することができる。この実施例では、プロセッサ30は、1回の月経周期または複数の月経周期などのより長い期間にわたって、レオロジー特性の平均値および温度の平均値を測定するように構成される。プロセッサはさらに、測定がなされた時間における頸管粘液のレオロジー特性の値および温度の値を、レオロジー特性および温度の平均値と比較することに基づいて、女性が受精可能であるか否かを判定するように構成される。図4の実施例では、インジケータ32は、受精可能かまたは受精不可能かをそれぞれ示す緑色LEDおよび赤色LEDを備えている。プロセッサ30には、測定値、平均値などを保存するための不揮発性メモリも設けることができる。
【0063】
より精巧な実施形態では、インジケータ32は、例えばLCDディスプレイなどの表示装置として設計される。プロセッサ30およびインジケータ32はともに、レオロジー特性および/または温度の現在の測定値、受精可能性の指標、時間および/または日付などを示すように構成される。
【0064】
この例では、装置1には、入力手段37がさらに設けられる。入力手段は、1つまたは複数のボタンとして設計される。入力手段37は、女性が受精可能か否かを判定するときに考慮に入れられ得る情報をプロセッサ30に入力するように設計される。このような情報は、例えば、病気(例えば発熱)、月経、吹き出物(spotting)、痛み、生理痛(cramps)、月経周期内の何日目か(the day within the menstrual cycle)、および/または月経周期の初日(例えば、NFP法によれば、月経出血が始まった日)などに関する。この実施例では、ハウジング2は、完全に閉じられ、水を通さない(例えば、IP分類68)。可動のプローブ8は、Oリングまたはクワッドリング(quad−ring)を介してハウジングに対して密封され得る。この例では、ハウジングは、抗菌剤を含有するプラスチック材料で構成される。
【0065】
図5は、本発明に係るシステム38の例を示す。システム38は、本発明に係る装置1および遠隔処理ユニット40を含む。この実施例では、装置1は、送信機42をさらに有する。送信機42は、プロセッサ30に通信可能に接続され、装置1に取り込まれた測定に関連する情報を遠隔処理ユニット40に送信するように構成される。遠隔処理ユニットには受信機44が設けられる。送信機42および受信機44は両方とも、装置1と遠隔処理ユニット40との間で双方向通信が可能であるように、送受信機として設計され得ることが理解される。
【0066】
送信機42は、測定された変位、破断、力、レオロジー特性の測定値および/または測定された温度を表わす信号を受信機44に送信することができる。送信機42と受信機44との間の通信は、BluetoothまたはZigBeeなどの無線通信プロトコルを用い得る。その代わりに、またはそれに加えて、送信機は、女性が妊娠可能期間にあるか否かの表示などの、レオロジー特性および/または温度の測定値に基づいてプロセッサ30によって生成されたデータを表わす信号を送信することができる。
【0067】
遠隔処理ユニット40は、パソコン、ノートパソコン、携帯情報端末、または携帯電話などの、女性の多目的コンピュータであることができる。遠隔処理ユニット40は、レオロジー特性の測定値および/または測定された温度を表示するための、および/または前記測定値から推定される情報を表示するためのソフトウェアコード部分を動作させることができる。
【0068】
女性が受精可能か否かを判定するときに考慮に入れることができる情報は、遠隔処理ユニット40に直接入力することもできる。これにより、装置1の入力手段37を簡素化し得るという利点が得られる。
【0069】
さらなる実施形態では、遠隔処理ユニット40は、ウェブサーバ46に通信可能に接続される。遠隔処理ユニット40は、測定された変位、破断、力、レオロジー特性の測定値および/または測定された温度を表わす信号をウェブサーバ46に送信する。信号に含まれるデータは、保存され、ウェブサーバ46において処理される。女性はこのとき、例えば、自分自身のコンピュータのウェブブラウザを用いてインターネットを介して、例えば、アカウント名およびパスワードを用いてログインすることによって、ウェブサーバにおいて測定結果を閲覧することができる。場合により、女性は、ウェブサーバにおいて女性のデータを閲覧する権限を与えられる、一般医師、婦人科医および/または夫などの他人にアカウントおよび特権を設定することができる。
【0070】
遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46は、測定値をサイクルチャートで女性に提示することができる。サイクルチャートはそれ自体で、雌の受精可能性およびNFP/STM法の分野で使用することが知られている。本発明の一態様によれば、装置1、遠隔処理ユニット40またはウェブサーバ46は、入力手段、遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46を用いて入力された測定値、推定値および/またはさらなる情報に基づいて、サイクルチャートを完全にまたは部分的に満たすことができる。手動でサイクルチャートに記入したり、またはサイクルチャートを修正したりできるようにしておくことが好ましい。チャートを誰が修正したかおよび場合によりいつ修正したかの記録が残されることが好ましい。
【0071】
温度および頸管粘液のレオロジー特性が月経周期の間に変動することが知られているため、プロセッサ30、遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46が、月経周期内の何日目かについて認識していると好都合である。例えば、入力手段37を用いて手動で周期の初日を入力した後、プロセッサ30、遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46は、例えば、1回以上の前の月経周期における日時持続期間(clocktime duration)の測定、ならびに1回以上の前の月経周期における頸管粘液のレオロジー特性および/または温度の測定に基づいて、月経周期内の全ての他の日を判定する。これにより、プロセッサ30、遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46は、女性の、標準的な月経周期である28日間からの規則的なずれ、または、例えば、月経周期内の排卵からの規則的なずれを補正し得る。プロセッサ30、遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46はまた、1回以上の前の月経周期における頸管粘液のレオロジー特性および温度の測定から、現在の月経周期の間の粘液のレオロジー特性および/または温度の特定の測定されたずれと比べて、予測される女性の受精可能期間の開始時点および/または持続期間も判定することができる。このため、受精可能性の判定ならびに/あるいは排卵および/または受精可能期間の予測をより正確に行うことができる。また、この方法で、特定の女性の通常の月経周期からの不規則なずれも、プロセッサ30、遠隔処理ユニット40および/またはウェブサーバ46によって検出され、女性の受精可能性の指標となり得る。
【0072】
好ましくは、ウェブサーバは、複数の日数、好ましくは複数の月経周期にわたる複数の女性のレオロジー特性の測定値および/または測定された温度が保存されたデータベースを含む。このため、ウェブサーバは、大量の測定値に(例えば匿名で)アクセスできる。この際、データベースの内容に対して統計的分析を行うことができる。ウェブサーバは、データベースに入ったときに各測定値を分析するように構成することができる。統計的分析に基づいて、ウェブサーバは、測定値が自然な変動の範囲内にあるかまたは異様な値を有するかを正確に判定することができる。後者の場合、ウェブサーバは、場合により、医師の診察を勧めるかまたは更年期に気付かせるメッセージを当該女性に出すことがある。
【0073】
ウェブサーバはまた、測定値および/または前記値から推定される情報を遠隔処理ユニット40に送信するようにも構成することができる。このため、例えば、女性が受精可能であるか否かの判定をウェブサーバ46において行う一方、前記判定の結果の表示を遠隔処理ユニット40において行うことが可能である。ウェブサーバは、パソコンなどの遠隔処理ユニット40から測定値を受信し、前記値から推定される情報を、例えば、SMSメッセージの形態で、携帯電話などの他の遠隔処理ユニットに送信することも可能であることが理解されよう。この際、ウェブサーバ46は、女性が妊娠可能期間にあるか否かを表わすメッセージの送信を開始する。
【0074】
ウェブサーバ46はまた、ソフトウェアおよび/またはハードウェアの更新を遠隔処理ユニット40および/または装置1に送信するようにも構成することができる。このようにして、装置1またはシステム38の機能を、必要に応じて調節する。
【0075】
上述の明細書では、本発明の実施形態の具体例を参照して本発明を説明してきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な変更および変形をなし得ることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本明細書においては頸管粘液について言及されているが、本発明に係る装置は、頸管粘液、口腔粘液または鼻腔粘液などの任意の粘液のレオロジー特性を測定するのに用いられることが理解される。
【0077】
実施例では、プローブの先端は、直線運動で変位される。プローブの先端は、曲線状の経路に沿って、例えば、軸の周りを旋回するように変位されることも可能である。
【0078】
実施例では、粘液の糸を、プローブの先端と周縁リムとの間に生じさせる。先端と、膣の組織またはハウジングに対して固定した装置の別の部分との間に糸を生じさせることも可能であることが理解される。プローブの先端と、また、プローブの先端が移動する速度および/または方向と異なる速度および/または方向でハウジングに対して移動する部材との間に糸を生じさせることも可能である。糸を、例えば、2つのプローブ間に生じさせてもよい。通常、プローブの先端から伸びるように糸を生じさせることが適用される。
【0079】
図4では、装置は、脱着可能な前端35を備えている。図1〜3および5に示される実施形態の装置にも、脱着可能な前端が設けられ得ることが理解される。
【0080】
実施例では、遠隔処理ユニットは、多目的コンピュータである。遠隔処理ユニットはまた、装置の内蔵電池を充電するため、および装置とウェブサーバとの間の通信ポートを形成するためのドッキングステーションとしても設計することができる。遠隔処理ユニットは、実際に、装置から受信された信号の情報内容を変更し、および/または前記信号に含まれる情報を表示する必要はない。
【0081】
しかしながら、他の変更、変形および代替例も可能である。したがって、明細書、図面および実施例は、限定の意味ではなく例示の意味と考えるべきである。
【0082】
特許請求の範囲において、括弧内に示されたあらゆる参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。「含む(comprising)」という用語は、請求項中に挙げられたもの以外の特徴または工程の存在を除外しない。さらに、単数形を表わす語(「a」および「an」)は、「1つのみ」に限定して解釈されるものではなく、その代わりに「少なくとも1つ」を意味するように用いられ、複数を除外しない。特定の手段(measures)が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを用いて利益を得ることができないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 装置
2 ハウジング
4 チャンバ
6 開口端
7 フランジ
8 プローブ
10 先端
12 変位機構
13 供給源
14 測定ユニット
15 ワイヤ
16 粘液
17 ワイヤ
18 周縁リム
19 接点
20 糸
21 抵抗測定ユニット
22 カップ状の凹部
24 孔
26 底部
28 間隙
30 プロセッサ
32 インジケータ
34 管状部分
35 前端
36 温度センサ
37 入力手段
38 システム
40 遠隔処理ユニット
42 送信機
44 受信機
46 ウェブサーバ
80 膣
82 上側膣壁
84 下側膣壁
86 子宮外口
88 頸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘液の粘度または糸引き性を含むレオロジー特性を測定するための装置であって、
ある量の前記粘液を受け入れるための開口部を規定する周囲面を有するハウジングと、
前記ハウジング内に広がり、かつ前記ある量の粘液の少なくとも一部と接触する先端を有するプローブと、
前記ハウジングに対して前記プローブの先端を変位させるための変位機構と、
前記プローブの先端の変位を測定するための測定ユニットと、
を有する装置。
【請求項2】
前記プローブの先端から伸びる前記粘液の糸を生じさせるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記測定ユニットが、前記粘液の糸の破断を検出するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定ユニットが、前記粘液の糸を通る電流を発生させる電源を含み、好ましくは、前記電流がないことに基づいて、前記糸の破断を検出するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記測定ユニットが、前記粘液によって前記プローブの先端にかかる力を測定するように構成される、請求項1−4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記周囲面および前記プローブの先端が、それらに前記粘液を付着させることを可能にする材料および/または形状を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記粘液の破断点伸び、前記粘液の破断点引張力、前記粘液の力−伸びプロファイルおよび前記粘液の伸張性のうちの1つを測定するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記開口部に開いているチャンバを有し、ここで、前記開口部の断面が、前記チャンバの断面より小さい、請求項1−7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記開口部に隣接してほぼ管状の部分を含み、前記開口部が、前記管状部分を装置の使用者の体腔に導入するためのものである、請求項1−8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記プローブが、前記ハウジングの管状部分内でほぼ軸方向に延在する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記変位機構が、前記管状部分の軸方向に前記プローブを変位させるように構成される、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記開口部が、カップ状の凹部を備える、請求項1−11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プローブの先端が、前記カップ状の凹部の底部の孔を通って外側に広がっている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記孔の内径と、前記孔の位置における前記プローブの外径との間に、毛管作用によって前記粘液を間隙に吸い込むように構成された幅を有する間隙が存在する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記粘液および/または周囲組織の温度を測定するための温度センサがさらに設けられる、請求項1−14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
頸管粘液の前記レオロジー特性および/または前記温度に基づいて、雌の哺乳類が受精可能であるかどうかを判定するためのプロセッサを含む、請求項1−15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記変位、破断、力および/または温度の測定値に関連する信号を遠隔処理ユニットに送信するための送信機を含む、請求項1−16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置と遠隔処理ユニットとを含む雌の哺乳類の受精可能性を判定するためのシステムであって、
前記遠隔処理ユニットが、前記装置からの信号を受信し、前記受信した信号を処理し、前記処理の結果を前記システムの使用者に知らせるように構成されるシステム。
【請求項19】
ホストユニットをさらに有し、ここで、前記遠隔処理ユニットが、前記装置から受信された信号と関連する単位信号を前記ホストユニットに送信するように構成され、前記ホストユニットが、前記単位信号を受信し、前記受信した単位信号を処理し、前記処理の結果を、インターネットを介して前記システムの使用者に知らせるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ホストユニットが、複数の遠隔処理ユニットから受信された単位信号と関連するデータを保存するためのリポジトリを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ホストユニットが、前記リポジトリに保存された前記データについての統計的分析を行うように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
粘液の粘度または糸引き性を含むレオロジー特性を測定するための方法であって、
ある量の粘液を、請求項1−17のいずれか一項に記載の装置のハウジングの開口部に塗布する工程と、
前記ある量の粘液の少なくとも一部を、プローブの先端と接触させる工程と、
前記プローブを、前記開口部から離れる方向に変位させる工程と、
前記プローブの先端の変位を測定する工程と、
を有する方法。
【請求項23】
前記プローブの先端から伸びる前記粘液の糸を生じさせる工程を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記粘液の糸の破断を検出する工程を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記粘液の糸を通る電流の有無に基づいて、前記粘液の糸の破断を検出する工程を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記粘液によって前記プローブの先端にかかる力を測定する工程を有する、請求項22−25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ある量の粘液を、前記ハウジングの開口部に塗布する工程が、前記粘液を含む、被験体の体腔に前記ハウジングの開口部を挿入する工程を有する、請求項22−26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記粘液が、ヒト女性の頸管粘液を含む雌の哺乳類の頸管粘液である、請求項22−27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ヒト女性ないし雌の哺乳類の排卵および/または受精可能期間を判定および/または予測するための方法であって、
請求項22−28のいずれか一項にしたがって、前記雌の哺乳類の粘液のレオロジー特性を測定する工程と、
前記雌の哺乳類の体温を測定する工程と、
前記測定されたレオロジー特性および前記測定された体温に基づいて、排卵および/または受精可能性を判定および/または予測する工程と、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−522246(P2011−522246A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511530(P2011−511530)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050318
【国際公開番号】WO2009/145610
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(510311470)ケン ケン ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】KEN KEN B.V.
【住所又は居所原語表記】Zandstraat 37, NL−5691 CD Son, Netherlands