説明

粘着シート

【課題】各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合、時間が経過しても膨れや浮き、すなわちブリスターの発生を防止し、基材表面が平滑で外観に優れ、かつ、いかなる粘着剤に対しても適用可能な、優れた耐ブリスター粘着シートを提供する。
【解決手段】支持基材1と粘着剤層5とを有する粘着シートであって、前記支持基材と粘着剤層との間に織物シート4を有することを特徴とする粘着シート10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着シートに関し、さらに詳しくは、各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合、膨れや浮きなどのブリスターの発生を防止し、かつ基材表面が平滑で外観に優れた耐ブリスター粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感圧接着剤(粘着剤)を基材に塗工した粘着シートは、押圧によって容易に被着体に貼り付けることができるという簡便さにより、多くの分野において幅広く使用されている。また近年、製品の軽量化等の要望によりプラスチック成形品が多用されるようになってきた。それに伴い、プラスチック成形品に貼り付けるための粘着シートの使用が増加している。プラスチック成形品としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ABSなどの樹脂を成形したものなどが挙げられる。
これらのプラスチック成形品の表面に装飾等の理由でガスバリア性のある基材を用いた粘着シート(例えば、粘着ラベル)を貼付した場合、プラスチック成形品からガスが発生し、粘着シートとプラスチック成形品との間に気泡が形成され、膨れや浮き、即ち、ブリスターが生じる場合がある。このようなブリスターが発生すると、成形品の外観が損なわれ、粘着シートとしての装飾機能が著しく低下してしまう。
【0003】
そこで、このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、粘着剤組成物として(メタ)アクリル酸エステル、共重合可能なカルボキシル基含有化合物及びビニル基を有する第三級アミンをラジカル重合してなる共重合体を含むアクリル系粘着剤組成物が開示されているが、耐ブリスター性が不充分である。
また、特許文献2には、炭素数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルとアクリル酸やアクリル酸−2−ヒドロキシエチルのような極性モノマー0.1〜10重量%よりなる共重合体にアジリジン系架橋剤を配合してなる粘着剤を用いた耐ブリスター性粘着シートとして提案されているが、耐ブリスター性が充分ではない。
【0004】
さらに、特許文献3では、粘着剤層を形成する成分として粘着剤成分とアクリル系モノマー又はオリゴマーである硬化性成分を含む粘着シートが開示されているが、硬化性成分が粘着剤層の凝集力を低下させてしまったり、粘着剤成分との相溶性が悪い場合、粘着剤層が白濁することがある。
さらに、特許文献4では、炭素数1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有不飽和モノマーを共重合して得られた特定の分子量を有する樹脂組成物(1)と炭素数1〜20のメタクリル酸アルキルエステルもしくはメタクリル酸シクロアルキルアルキルエステル、メタクリル酸ベンジル又はスチレンから選ばれた1種又は2種以上のモノマーとアミノ基含有不飽和モノマーを共重合して得られた特定のTg及び特定の分子量を有する樹脂組成物とを配合する粘着剤組成物が開示されているが、耐ブリスター性が不充分である。
【0005】
さらに、特許文献5では炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として、スチレン系単量体、カルボキシル基含有不飽和単量体及びアミノ基含有不飽和単量体を共重合して得られる特定の分子量を有する共重合体にグリシジル基を有する架橋剤を配合してなる耐ブリスター性粘着剤組成物が開示されているが、耐ブリスター性が不充分である。
特許文献6ではアセトン中で重合された分子量150万以上且つ質量平均分子量/数平均分子量が4.0以下である樹脂組成物が開示されているが、耐ブリスター性が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−3481号公報
【特許文献2】特開平8−3521号公報
【特許文献3】特開平10−279900号公報
【特許文献4】特開平10−310754号公報
【特許文献5】特開2001−335766号公報
【特許文献6】特開2001−354745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下になされたものであり、各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合、時間が経過しても膨れや浮き、すなわちブリスターの発生を防止し、基材表面が平滑で外観に優れ、かつ、いかなる粘着剤であっても、優れた耐ブリスター性を示すことのできる粘着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、支持基材と粘着剤層とを有する粘着シートにおいて、前記支持基材と粘着剤層との間に織物シートを介在させることにより、その課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)支持基材と粘着剤層とを有する粘着シートであって、前記支持基材と粘着剤層との間に織物シートを有することを特徴とする粘着シート、
(2)織物シートを構成する糸の密度が、80〜500本/インチである上記(1)項に記載の粘着シート、
(3)織物シートを構成する糸の平均太さが、5〜150μmである上記(1)又は(2)項に記載の粘着シート、
(4)織物シートの厚みが、10〜150μmである上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の粘着シート、
(5)織物シートを構成する糸の材質が、ポリエステル樹脂又はステンレス鋼である上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の粘着シート、
(6)織物シートが、平織り又は綾織りによって作製されてなる上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の粘着シート、
(7)支持基材が、非通気性基材である上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の粘着シート、
(8)支持基材が、金属層を有する上記(7)項に記載の粘着シート、
(9)粘着剤層を構成する粘着剤が、エマルション型粘着剤である上記(1)〜(8)項のいずれかに記載の粘着シート、
(10)支持基材、粘着剤層A、織物シート、及び粘着剤層Bの順で積層されてなる上記(1)〜(9)項のいずれかに記載の粘着シート、及び
(11)粘着シートが貼付される被着体が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン又はABS樹脂の成形品である上記(1)〜(10)項のいずれかに記載の粘着シート、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合、時間が経過しても膨れや浮き、すなわちブリスターの発生を防止し、基材表面が平滑で外観に優れ、かつ、いかなる粘着剤であっても、優れた耐ブリスター性を示す粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の粘着シートにおける構成の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、支持基材と粘着剤層とを有する粘着シートであって、前記支持基材と粘着剤層との間に織物シートを有することを特徴とする。
【0013】
[支持基材]
本発明の粘着シートにおいて用いられる支持基材としては、特に制限はなく、従来、粘着シートの支持基材として用いられている各種の基材を使用することができる。このような支持基材としては、プラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの中で、ポリエチレンテレフタレートフィルムが主に使用される。また、耐熱性などが要求される用途では、ガラス転移点(Tg)の高いポリエチレンナフタレートフィルムを使用することができる。
このプラスチックフィルムの厚みについては、特に制限はなく、通常20〜200μm程度、好ましくは30〜120μmである。
【0014】
また、これらのプラスチックフィルムは、その表面に粘着剤層を設ける場合は、該粘着剤層との密着性を向上させる目的で、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
【0015】
本発明における前記支持基材は、ブリスターを抑制する手段として本発明の効果をより一層発揮し得る非通気性基材であることが好ましい。
この非通気性基材としては、前記したプラスチックフィルム上に金属層を有する基材を用いることができる。該金属層の形成は、例えば金属光沢を有する金属、具体的にはアルミニウム、スズ、クロム、チタンなどを真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティンなどのPVD法により蒸着する方法、あるいは金属光沢を有する金属箔、具体的にはアルミニウム箔、スズ箔、クロム箔、チタン箔などを、通常用いられる各種の粘着剤層を介して貼付する方法等を採用することができる。特に、金属光沢を有する金属を蒸着する方法が、得られる粘着シートの外観や経済性などの観点から、有利である。
【0016】
[織物シート]
本発明の粘着シートは、必須層構成として、前述した支持基材と、粘着剤層とを有すると共に、発生したガスを透過させる経路を設けるために、前記支持基材と前記粘着剤層との間に織物シートが設けられている。
なお、織物とは、経糸と緯糸とが互いに交錯してできた布地のことであり、また織物を構成する糸の密度とは、一定区間の経糸及び緯糸の本数を表わし、これを経糸又は緯糸の密度という。
本発明においては、前記糸の密度は80〜500本/インチであることが好ましく、100〜400本/インチであることがより好ましい。この糸の密度が80本/インチより小さい場合は、粘着シートの表面の外観が損なわれる点で問題であり、500本/インチより大きい場合は耐ブリスター性が低下する点で問題がある。
【0017】
また、当該織物シートを構成する糸の平均太さは、5〜150μmであることが好ましく、20〜100μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは30〜70μmである。糸の平均太さが5μm以上であると耐ブリスター性が良好である点で優れ、150μmを超えると粘着シートの表面外観が損なわれる点で問題がある。
当該織物シートの厚みは、10〜150μmであることが好ましく、20〜150μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは30〜120μmである。厚みが10μm以上であると耐ブリスター性が良好である点で優れ、150μmを超えるとラベルの加工適性の点で問題である。
当該織物シートを構成する糸の材質としては、ポリエステル樹脂や、表面にフッ素加工が施された耐溶剤性ポリエステル樹脂、さらにはステンレス鋼などを好ましく挙げることができ、特に塗工時にガイドロールに傷が付きにくいポリエステル樹脂が好ましい。
また、当該織物シートは平織り又は綾織りによって作製されてなるものが好ましい。
なお、平織りは、織物組織の基本形の一つで、経糸2本と緯糸2本を最小単位として、経糸と緯糸とを交互に上下に交差させる織り方を指し、一方綾織りは、経糸1本以上、緯糸2本以上を交互に上下に交差させる織り方を指す。
このような織物シートを、支持基材と粘着剤層との間に介在させることにより、ブリスターの原因となるガスが当該織物シートの横側に抜けることにより、本発明の粘着シートは、耐ブリスター性の優れたものとなる。
当該織物シートを、支持基材と粘着剤層との間に介在させる位置については特に制限はないが、好ましい位置については、後で説明する。
【0018】
[粘着剤層]
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤としては特に制限はなく、様々な種類の粘着剤、例えばゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤及びアクリル系粘着剤などを用いることができるが、耐ブリスター性の観点からエマルション型粘着剤が好ましく、粘着剤としての性能及び耐候性などの観点から、特にエマルション型アクリル系粘着剤が好適である。
【0019】
(エマルション型アクリル系粘着剤)
このエマルション型アクリル系粘着剤は、例えば粘着付与剤の存在下、エチレン性不飽和単量体を反応性界面活性剤を用いて乳化重合することにより、かつ内部架橋剤又は外部架橋剤あるいはその両方を用いることにより、製造することができる。
なお、ここで内部架橋剤とは、重合時に、ポリマー分子内に架橋構造を導入し得る架橋型反応性単量体を指し、一方、外部架橋剤とは、重合体粒子間にも架橋構造を導入し得る化合物を指す。外部架橋剤を用いる場合には、架橋すべき重合体粒子は、分子内に架橋性官能基が導入されていることが必須となる。
エチレン性不飽和単量体としては、従来エマルション型アクリル系粘着剤の原料として慣用されている単量体、具体的には(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び所望により官能性単量体や他の単量体を用いることができる。
また、内部架橋剤である架橋型反応性単量体としては、多官能性エチレン性不飽和単量体、ケト基含有エチレン性不飽和単量体、アルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
【0020】
一方、外部架橋剤としては、例えばイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物、アジリジン系化合物、ヒドラジド系化合物、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物、尿素系化合物、ジアルデヒド系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このエマルション型アクリル系粘着剤には、さらに必要に応じ、各種添加剤、例えば防腐・防かび剤、凍結融解安定剤、防錆剤、可塑剤、高沸点溶剤、顔料、充填剤などを添加することができる。
【0021】
[粘着シートの層構成]
本発明の粘着シートの層構成としては、支持基材、粘着剤層A、織物シート及び粘着剤層Bの順で積層されてなることが好ましい。
前記支持基材としては、非通気性基材、具体的には、前述したプラスチックフィルムの表面に金属層を有する基材が、外観上の凹凸がより顕著に確認されることから、本発明の効果がより一層発揮されるので、好適である。
また、粘着剤層Aは、耐ブリスター性の観点から、エマルション型粘着剤層であることが好ましく、一方粘着剤層Bは、エマルション型又は溶剤型のいずれであってもよい。
このような層構成の粘着シートは、通常の粘着シートの製造ラインを、特に大きく変更することなく、製造することができる。
本発明の粘着シートは、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ABS樹脂などのプラスチック成形品に貼付され、ブリスターの発生を効果的に抑制することができる。
【0022】
[粘着シートの作製方法]
本発明の粘着シートは、例えば、以下に示す方法によって作製することができる。
なお、層構成として、支持基材、粘着剤層A、織物シート、粘着剤層B及び剥離シートが順に積層されてなる粘着シートを例に挙げ、その作製方法について説明する。
まず、支持基材である金属層を有する非通気性プラスチックフィルムの金属層面に、エマルション型粘着剤、好ましくはエマルション型アクリル系粘着剤を、例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーターなどの塗工手段を用いて、乾燥後の厚みが、好ましくは5〜50μm、よりこの好ましくは10〜30μmになるように塗工し、加熱乾燥して粘着剤層Aを形成する。
【0023】
次いで、所定の性状を有する織物シートを、ラミネーターを用いて、前記の粘着剤層Aと貼り合わせ、支持基材、粘着剤層A及び織物シートからなる積層体を作製する。
一方、剥離シートの剥離処理面に、エマルション型又は溶剤型粘着剤、好ましくはアクリル系粘着剤を、乾燥後の厚みが、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmになるように、前記例示の塗工手段を用いて塗工し、加熱乾燥して粘着剤層Bを形成する。
次に、この剥離シート付き粘着剤層Bを、ラミネートを用いて、前記積層体の織物シート面と貼り合わせることにより、図1に示す剥離シート付き粘着シートが得られる。
図1は、本発明の粘着シートにおける構成の一例を示す断面模式図であって、粘着シート10は、表面に金属層2を有する支持基材1の該金属層2面上に、エマルション型粘着剤層A3、織物シート4、エマルション型又は溶剤型の粘着剤層B5及び剥離シート6が順に積層されてなる構造を有している。
【0024】
(剥離シート)
前述した粘着シートの作製方法において用いられる剥離シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレートなどの各種樹脂よりなるフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。
剥離処理としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成が挙げられる。剥離シートの厚さは、特に制限されず、適宜選定すればよい。
【実施例】
【0025】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性は、以下に示す方法に従って求めた。
【0026】
(1)外観
ラベル作成後のラベル表面の外観形状を下記の判定基準で評価した。
○:目視で面状態が平滑であった。
×:目視で面状態が平滑でなかった。
【0027】
(2)耐ブリスター性
50mm×50mmの粘着シートを、剥離シートを剥がしてアクリル板[三菱レイヨン(株)製、「アクリライトL001」]、及びポリカーボネート板[三菱ガス化学(株)製、「ユーピロンシート NF−2000VU」]に、それぞれスキージーを用いて圧着し、23℃で15分間放置した後、90℃の熱風乾燥機中に3時間放置して加熱促進後のブリスターの発生状態を観察し、下記の判定基準で評価した。
1.外観
○:目視でブリスターが全く確認されなかった。
△:目視で部分的にブリスターが確認された。
×:目視で全面にブリスターが確認された。
2.算術平均粗さ(Ra)
粘着シートにおける支持基材側の算術平均粗さ(Ra)を、ミツトヨ社製表面粗さ測定機SV−3000を使用して測定した。
3.20°鏡面光沢度
粘着シートにおける支持基材側の20°鏡面光沢度を、[日本電色社製グロスメーター「VG2000」]を使用し、JIS K 7105に準拠して測定した。
【0028】
実施例1
支持基材として、片面にアルミニウム蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム[リンテック社製、製品名「FNSツヤ25(I)」、厚み25μm]を用いた。
織物シートとして、メッシュシート[NBCメッシュテック社製、製品名「UX−screen150−035/380TW」、材質ポリエステル]を用いた。
剥離シートとして、剥離フィルム[リンテック社製、製品名「SP−PET38103」、厚み38μm]を用いた。
支持基材のアルミニウム蒸着層面にエマルション型アクリル系粘着剤[リンテック社製、「PAT1E」]を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように塗工した。乾燥条件としては90℃60秒間乾燥を行った。その後、ラミネーターを用いて織物シートと貼り合わせ、支持基材、粘着剤層、織物シートからなる積層体を作製した。次いで、剥離シートの剥離処理面にエマルション型アクリル系粘着剤[リンテック社製、「PAT1E」]を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように塗工した。乾燥条件としては90℃60秒間乾燥を行った。その後、ラミネーターを用いて支持基材、粘着剤層、織物シートからなる積層体の織物シート面と貼り合わせて粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性、並びに織物シートの性状を第1表に示す。
【0029】
実施例2
実施例1において、織物シートを[(株)NBCメッシュテック製、「EX−screen 79−055/200PW」]に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性、並びに織物シートの性状を第1表に示す。
【0030】
実施例3
実施例1において、織物シートを[(株)NBCメッシュテック製、「EX−screen 47−063/120PW」]に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性、並びに織物シートの性状を第1表に示す。
【0031】
実施例4
実施例1において、織物シートを[ステンレス金鋼「SUS−316 #300、平織り」](ステンレス金鋼、材質SUS316、糸の密度300本/インチ)に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性、並びに織物シートの性状を第1表に示す。
【0032】
実施例5
支持基材、織物シート、剥離シートは実施例1で使用したものと同じものを使用した。
支持基材のアルミニウム蒸着層面にエマルション型アクリル系粘着剤[リンテック社製、「PAT1E」]を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように塗工した。乾燥条件としては90℃60秒間乾燥を行った。その後、ラミネーターを用いて織物シートと貼り合わせ、支持基材、粘着剤層、織物シートからなる積層体を作製した。次いで、剥離シートの剥離処理面に溶剤型アクリル系粘着剤[リンテック社製、「PA−T1*」]を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように塗工した。乾燥条件としては90℃60秒間乾燥を行った。その後、ラミネーターを用いて支持基材、粘着剤層、織物シートからなる積層体の織物シート面と貼り合わせて粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性、並びに織物シートの性状を第1表に示す。
【0033】
実施例6
実施例1において、エマルション型アクリル系粘着剤を、全て溶剤型アクリル系粘着剤[リンテック社製、「PA−T1*」]に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性、並びに織物シートの性状を第1表に示す。
【0034】
比較例1
実施例1において、織物シートを不織布[ユニチカ(株)製、商品名「ルベナL060C/A01」]に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性並びに不織布の厚みを第1表に示す。
【0035】
比較例2
実施例1において、織物シートを不織布[デュポン(株)製、商品名「ソンタラ8010」]に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性並びに不織布の厚みを第1表に示す。
【0036】
比較例3
支持基材には、アルミニウム蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム[リンテック社製、製品名「FNSツヤ25(I)」、厚み25μm]を用いた。
剥離シートには、[リンテック社製、「SP−PET381031」]を用いた。
剥離シートの剥離処理面にエマルション型アクリル系粘着剤[リンテック社製、「PAT1E」]を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように塗工した。乾燥条件としては90℃60秒間乾燥を行った。その後、ラミネーターを用いて粘着剤面と基材のアルミニウム蒸着面と貼り合わせて粘着シートを作製した。
得られた粘着シートの外観及び耐ブリスター性を第1表に示す。
【0037】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の粘着シートは、各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合、時間が経過しても膨れや浮き、すなわちブリスターの発生を防止し、基材表面が平滑で外観に優れ、かついかなる粘着剤であっても、優れた耐ブリスター性を示す粘着シートである。
【符号の説明】
【0039】
1 支持基材
2 金属層
3 エマルション型粘着剤層A
4 織物シート
5 エマルション型又は溶剤型の粘着剤層B
6 剥離シート
10 粘着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材と粘着剤層とを有する粘着シートであって、前記支持基材と粘着剤層との間に織物シートを有することを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
織物シートを構成する糸の密度が、80〜500本/インチである請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
織物シートを構成する糸の平均太さが、5〜150μmである請求項1又は2に記載の粘着シート。
【請求項4】
織物シートの厚みが、10〜150μmである請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項5】
織物シートを構成する糸の材質が、ポリエステル樹脂又はステンレス鋼である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項6】
織物シートが、平織り又は綾織りによって作製されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項7】
支持基材が、非通気性基材である請求項1〜6のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項8】
支持基材が、金属層を有する請求項7に記載の粘着シート。
【請求項9】
粘着剤層を構成する粘着剤が、エマルション型粘着剤である請求項1〜8のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項10】
支持基材、粘着剤層A、織物シート、及び粘着剤層Bの順で積層されてなる請求項1〜9のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項11】
粘着シートが貼付される被着体が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン又はABS樹脂の成形品である請求項1〜10のいずれかに記載の粘着シート。

【図1】
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