説明

粘着テープクリーナー

【課題】 構造が簡単にして、ワンタッチでロールの着脱ができ、且つロールの軸方向の遊びがなく円滑な回転作動が得られる粘着テープクリーナーを提供する。
【解決手段】 中空の巻芯11aに粘着テープ11bが重巻されたロール11と、このロール11を保持する把持部12a、12b付の本体12とにより構成された粘着テープクリーナー10であって、上記本体12の両端に対向してロールの保持部12cが設けられ、この保持部12cに設けられた嵌合溝12dに、上記ロール11の巻芯11aの両端に圧入されたキャップ13が回転自在に嵌合されて設けられてロール11が本体12に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着テープクリーナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のハンド粘着テープクリーナーにおいては、中空の巻芯に重巻された粘着テープのロールを回転自在に保持する手段として、図10に示すように、把手200が延設された芯棒100に保持芯400が挿通されて、その両端を固定され、この保持芯400に中空の巻芯500に重巻された粘着テープ600のロール300が回転自在に挿通された構造となっている(実公平1−35708号公報 参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の様な従来のロール300の保持構造においては、その中空の巻芯500の内径にばらつきがあるために、この巻芯500と保持芯400との間に嵌合の遊びが生じて、ロール300が軸方向にずれて周囲と摩擦摺動し、このために円滑な回転が阻害され、十分な機能が得られないといった問題がある。
【0004】本発明は、上記のこのような問題点に着眼してなされたものであり、その目的とするところは、これらの問題点を解消し、構造が簡単にして、ワンタッチでロールの着脱ができ、且つロールの軸方向の遊びがなく円滑な回転作動が得られる粘着テープクリーナーを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の粘着テープクリーナーにおいては、中空の巻芯に粘着テープが重巻されたロールと、このロールを保持する把持部付の本体とにより構成された粘着テープクリーナーであって、上記本体の両端に対向してロールの保持部が設けられ、この保持部に設けられた嵌合溝に、上記ロールの巻芯の両端に圧入されたキャップが回転自在に嵌合されて設けられてロールが本体に保持されていることを特徴とする。
【0006】上記本体は、比較的硬くて合成があるABS樹脂により構成し、又、キャップの材質は嵌合溝への嵌合時に、弾性的に比較的変形し易いポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が好適に用いられる。
【0007】
【作用】本発明の粘着テープクリーナーにおいては、本体の両端に対向してロールの保持部が設けられ、この保持部に設けられた嵌合溝に、上記ロールの巻芯の両端に圧入されたキャップが回転自在に嵌合されて設けられてロールが本体に保持されているので、構造が簡単にして、ワンタッチでロールの着脱ができ、且つロールの軸方向の遊びがなく円滑な回転作動が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して実施の形態を説明する。図1は、本発明の粘着テープクリーナーの一例を示す断面図であり、図2は、図1の正面図である。図1、及び図2において、粘着テープクリーナー10は、中空の巻芯11aに重巻された粘着テープ11bのロール11と、このロール11を保持する把持部12a、及び12b付の本体12とにより構成されている。上記把持部12aは掴んで用いる場合に利用され、又把持部12bは握って使用する場合に都合がよいように、便利に設けられている。
【0009】上記本体12の下方先端側の両端には、対向してロール12の保持部12c、12cが設けられている。この保持部12c、12cにはそれぞれに嵌合溝12d、12dが設けられたており、この嵌合溝12d、12dに、着脱自在、且つ回転自在にキャップ13、13が嵌合されて設けられている。
【0010】このキャップ13、13は、下記詳述するように、上記ロール11の中空の巻芯11aの両端部の内週縁に圧入されてロール11が保持されてた構造となっている。
【0011】又、この粘着テープクリーナー10は、図3R>3、及び図4に示すような上面が開口され、本体12の両端のロール11を保持するキャップ13が収まる保持部14aが設けられ、粘着テープ11bが宙に浮くように配慮されたケース14が用いられるようになっている。
【0012】図5は、キャップ13の断面図、図6は、図5の側面図であり、このキャップ13には、上記保持部12c、12cの嵌合溝12d、12dに嵌合される、先端面が封鎖された円筒状の嵌合部13aが設けられ、又、この嵌合部13aの外側には、巻芯11aへの円筒状の挿入部13bが、嵌合部13aの奥端より延設されてとにより構成されている。
【0013】上記挿入部13bの端部には、巻芯11aの端面に当接される係止部13cが外側に突き出して円周上に設けられている。又、挿入部13bの外周上には、規則的に配列された突条13dが軸方向に設けられ、紙巻きの巻芯11aへの圧入をより確実に行えるように配慮されている。
【0014】上記ロール11の両端に圧入されたキャップ13の嵌合部13aは、図7に示す保持部12cの嵌合溝12dに押圧されて嵌合される。この嵌合溝12dの先端部12e、12eの内側間の間隔は、キャップ13の嵌合部13aの直径より狭く設けられており、キャップ13は、嵌合時には、外周が圧縮されて縮幅され、キャップ13が奥端まで挿入されると、元の位置に復帰してほぼ円形に復元され、円滑な回転が可能となっている。
【0015】従って、確実にキャップ13を保持するとともに、嵌合溝12dの外径部よりやや小さめの直径となされた嵌合部13aは、装着された状態で軽く回転することが可能である。又、キャップ13の挿入部13bの両側の外側端面は、両側の保持部12cの内面間に挟まれた状態となっているので、構造上僅かに設けられた隙間以上には軸方向に移動することがなく、従来のようなロールが軸方向にずれて周囲と摩擦摺動し、このために円滑な回転が阻害されるようなことないものとすることができた。
【0016】上記キャップ13の嵌合溝12dへの嵌合をより円滑に行うようにするために、嵌合溝12dの頂部に図7に示すようなスリット12fを設けることも可能である。又、キャップ13の嵌合部13aの外周面には、保持部12cの嵌合溝12からの脱出を防止するために、図5、或いは図6に示すような突起13d、或いは円周方向の突条(図示しない)を設けることも可能である。更に、キャップ13の嵌合部13aの中心に孔を穿設し、この孔より棒状体を挿通し、反対側のキャップ13を外側に押し出して、巻芯11aより外すようにすることもできる。
【0017】図8は、キャップの他の例を示す断面図であり、図9は、図8の側面図である。本実施例のキャップ15は、基本的な形状・寸法は上記実施例におけるキャップ13と同様であり、上記保持部12c、12cの嵌合溝12d、12dに嵌合される、先端面が封鎖された円筒状の嵌合部15aが設けられ、又、この嵌合部15aの外側には、巻芯11aへの円筒状の挿入部15bが、嵌合部15aの奥端より延設されて構成されている。
【0018】本実施例のキャップ15の、上記実施例のキャップ13との相違点は、上記円筒状の嵌合部15aに上下対称位置に切欠き15c、15cを設けたことであり、この切欠き15c、15cを設けることにより、ロール11の取り替え時のキャップ15の巻芯11aよりの取り外しがより楽にできるように配慮されている。即ち、キャップ15を紙芯11aより外す時に、キャップ15を左右なり、上下に揺すって動かしながら手前に引っ張ることにより簡単に外すことができるようにしたものである。
【0019】更に、本実施例のキャップ15の切欠き15c、15cに代えて、図9の想像線で示すように、嵌合部15aの奥端近傍より挿入部15bに至る側壁15dにかけて、その対向する対称位置に欠落部15eを設け、キャップ15を取り外す時に、嵌合部15aを指先で押さえて挿入部15bを内側にやや縮径させ、嵌まり具合を緩めることにより外し易くすることも可能である。
【0020】本実施例のキャップ15においても、上記実施例のキャップ13と同様、上記挿入部15bの端部には、巻芯11aの端面に当接される係止部15fが外側に突き出して円周上に設けられている。又、挿入部15bの外周上には、規則的に配列された突条15gが軸方向に設けられ、紙巻きの巻芯11aへの圧入をより確実に行えるように配慮されている。
【0021】上記ロール11の両端に圧入されたキャップ15の嵌合部15aは、図7に示す保持部12cの嵌合溝12dに押圧されて嵌合される。この嵌合溝12dの先端部12e、12eの内側間の間隔は、キャップ15の嵌合部15aの直径より狭く設けられており、キャップ15は、嵌合時には、切欠き15cの効果と相まって、外周が圧縮されて縮幅され、キャップ15が奥端まで挿入されると、元の位置に復帰してほぼ円形に復元され、円滑な回転が可能となる。
【0022】従って、確実にキャップ15を保持するとともに、嵌合溝12dの外径部よりやや小さめの直径となされた嵌合部15aは、装着された状態で軽く回転することが可能である。又、キャップ15の挿入部15bの両側の外側端面は、両側の保持部12cの内面間に挟まれた状態となっているので、構造上僅かに設けられた隙間以上には軸方向に移動することがなく、従来のようなロールが軸方向にずれて周囲と摩擦摺動し、このために円滑な回転が阻害されるようなことがないのも、上記実施例のキャップ13と同様である。
【0023】
【発明の効果】本発明の粘着テープクリーナーにおいては、本体の両端に対向してロールの保持部が設けられ、この保持部に設けられた嵌合溝に、上記ロールの巻芯の両端に圧入されたキャップが回転自在に嵌合されて設けられてロールが本体に保持されているので、構造が簡単にして、ワンタッチでロールの着脱ができ、且つロールの軸方向の遊びがなく円滑な回転作動が得られる。従って、粘着テープクリーナーとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着テープクリーナーの一例を示す断面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】粘着テープクリーナーのケースを示す断面図。
【図4】図3の正面図。
【図5】キャップの断面図
【図6】図5の側面図。
【図7】保持部の正面図。
【図8】キャップの他の例を示す断面図
【図9】図8の側面図。
【図10】従来の粘着テープクリーナーを示す断面図。
【符号の説明】
10 粘着テープクリーナー
11 ロール
11a 巻芯
11b 粘着テープ
12 本体
12a、12b 把持部
12c 保持部
12d 嵌合溝
12e 先端部
12f スリット
13、15 キャップ
13a、15a 嵌合部
13b、15b 挿入部
13c、15f 係止部
13d、15g 突条
14 ケース
14a 保持部
15c 切欠き
15d 側壁
15e 欠落部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 中空の巻芯に粘着テープが重巻されたロールと、このロールを保持する把持部付の本体とにより構成された粘着テープクリーナーであって、上記本体の両端に対向してロールの保持部が設けられ、この保持部に設けられた嵌合溝に、上記ロールの巻芯の両端に圧入されたキャップが回転自在に嵌合されて設けられてロールが本体に保持されていることを特徴とする粘着テープクリーナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平9−206273
【公開日】平成9年(1997)8月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−4090
【出願日】平成8年(1996)1月12日
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)