説明

粘着テープロール

【課題】 レール引き現象を起こさない粘着テープロールを提供する。
【解決手段】 テープ状基材の一方の面が粘着面である粘着テープ2を上記粘着面22を外側として巻回してなる清掃用の粘着テープロールにおいて、上記粘着テープ2には、上記粘着テープ2が繰り出し方向に沿って裂けるのを防止するための帯状の基材5が、使用時に上記粘着テープ2の繰り出し方向の端部に位置するように且つ上記粘着テープ2の幅方向に沿って上記粘着面22に貼り合わされ、上記帯状の基材5の表面は、粘着材が塗布されていない未粘着部であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、粘着テープの粘着面が外側を向くように巻回された清掃用の粘着テープロールに関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットなどに付着した髪の毛や糸くずなどのゴミは、パイルに絡み込みやすく真空吸引掃除機では除去しきれないことが多い。そこで、この種のゴミを効率よく、かつ、簡単に除去する道具として、粘着テープなどの粘着面を被清掃面上に接触させて、その粘着面でゴミを捕捉するようにした粘着式清掃具が提供されている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、この清掃具は、粘着面が表側を向くように巻回された粘着テープロールと、この粘着テープロールを回転可能に支持する清掃具本体とを備え、清掃具本体の円筒状テープ支持部に粘着テープロールを差し込んで使用するものが主流である。
【0004】
これによれば、粘着テープロールを被清掃面上で転がすことで、粘着面でゴミを簡単かつ効率的に捕捉することができるばかりでなく、使用後は汚れた最外層の粘着テープを剥がし取るだけで簡単に後始末できるという手軽さから家庭用だけでなく業務用途としても広く使用されている。
【0005】
しかしながら、従来の粘着テープには、次のような問題があった。すなわち、この粘着テープロールには、ほぼ1周毎に切断用の切れ目(ミシン目)が設けられており、そこから汚れた粘着テープを切り離せるようになっているが、髪の毛や糸くずなどが切れ目を跨ぐように付着した場合、粘着テープを切り離すとき、切れ目の途中からテープが縦方向(繰り出し方向)に沿って裂けてしまうことがあった。
【0006】
また、別の課題として、従来の粘着テープロールは、粘着力が強い使用初期の状態で、その巻き方向とは逆方向(巻き剥がし方向)に転がすと、粘着テープがその切れ目の端部から床面に帯状に貼り付く、いわゆるレール引き現象が起こる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−315718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、レール引き現象を起こさない粘着テープロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明は、テープ状基材の一方の面が粘着面である粘着テープを上記粘着面を外側として巻回してなる清掃用の粘着テープロールにおいて、上記粘着テープには、上記粘着テープが繰り出し方向に沿って裂けるのを防止するための帯状の基材が、使用時に上記粘着テープの繰り出し方向の端部に位置するように且つ上記粘着テープの幅方向に沿って上記粘着面に貼り合わされ、上記帯状の基材の表面は、粘着材が塗布されていない未粘着部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、帯状の基材がテープ端部を保護しているため、縦裂けを起こさない。また、帯状の基材によってテープ端部の粘着力が弱められているため、レール引き現象を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る粘着テープロールの斜視図。
【図2】(a)上記実施形態の粘着テープの断面図、(b)粘着テープの変形例を示す断面図。
【図3】粘着テープロールの製造装置の構成を概略的に示した模式図。
【図4】(a)粘着テープロールの第1製造ステップ、(b)粘着テープロールの第2製造ステップ、(c)粘着テープロールの第3製造ステップ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る粘着テープロールの斜視図であり、図2(a),(b)はその要部断面図である。
【0013】
図1に示すように、この粘着テープロール1は、テープ状基材21の一方の面に粘着面22が形成された粘着テープ2を、その粘着面22が表側(図1では上面側)を向くように巻芯3に沿ってロール状に巻回したものからなる。
【0014】
通常、巻芯3にはボール紙製の巻芯が用いられているが、これ以外に合成樹脂製など他の材質であってもよい。また、巻芯3を使わずに粘着テープ2のみをロール状に巻回する、いわゆるコアレスタイプであってもよく、本発明において、巻芯3はあくまで任意的な構成要素である。
【0015】
基材21は例えば紙製で、図2(a)に示すように、一方の面(表面)には粘着材が塗布された粘着面22が形成されている。粘着材の種類は使用される清掃面(例えばフローリングや絨毯など)に応じて強粘着、弱粘着など任意に選択されてよい。また、基材21の材質も紙以外に樹脂フィルムが用いられてもよい。
【0016】
この例において、粘着面22は、粘着テープ2の繰り出し方向に沿って一様な帯状に塗布されているが、これ以外に縞状や筋状などであってもよく、ゴミを捕らえるための粘着面22として機能すれば、その塗布厚や形状などの塗布形態は仕様により任意に変更可能である。また、この例において、基材21の粘着面22の両端には、粘着材が塗布されていない未粘着部23,23が設けられている。
【0017】
基材21の他方の面(裏面)には、例えばシリコン樹脂などからなる剥離処理面24が設けられている。剥離処理面24は、粘着テープ2をロール状に積層した際に、上層側の粘着テープと下層側の粘着テープとが張り付かないように設けられるものである。弱粘着の場合、剥離処理面24が設けられないこともある。
【0018】
再び図1を参照して、粘着テープ2にはほぼ1周長毎に切断用の切れ目4が設けられている。本発明において、切れ目4とは粘着テープ2を幅方向に沿って切断するために用いられる切断手段をいい、例えば長孔のスリットを並べたものやミシン目などの間欠スリットが含まれる。
【0019】
この実施形態において、切れ目4は粘着テープ2の幅方向に沿ってほぼ平行に設けられているが、これ以外に斜め方向に形成されていてもよい。さらには、粘着テープ2の端部の一部に切断のきっかけとなるための、短い切れ目であってもよい。
【0020】
粘着テープ2の表側(粘着面22側)には、切れ目4の巻芯側(反送り出し方向側)に沿って切断ガイド部材5が設けられている。切断ガイド部材5は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂フィルムからなり、テープ基材21よりも引張強度、引き裂き強度が高い強靱な材質が用いられることが好ましい。また、埃が付着しにくいよう帯電防止剤を入れるとより好ましい。
【0021】
切断ガイド部材5は、粘着テープ2の切れ目4を一目で判別しやすくできるように、粘着テープ2とは異なる色に着色されていることが好ましい。これによれば、粘着面22にゴミが付着しても、切断ガイド部材5を容易に判別することができるため、その近傍にある切れ目4を確実に見つけることができる。なお、業務用途などコスト重視した場合には、切断ガイド部材5は無色透明であってもよい。
【0022】
切断ガイド部材5は、繰り出し方向の幅W(図2(a))が1〜10mmの短冊状に形成されている。切断ガイド部材5は、より好ましくはW=2〜5mm(特に、W=3〜4mm)に設定されることが好ましい。
【0023】
これによれば、長さLが1mm未満の場合、切断ガイド部材5の靱性弱くなり、粘着テープ2の切断を正しくガイドできないおそれがある。逆に、長さLが10mmを超えると、材料コストが高くなるばかりでなく、粘着面積が減り、ゴミの補足量が減るおそれもある。
【0024】
この例において、切断ガイド部材5の表面(図2(a)では上面)には、未粘着面であるが、例えば図2(b)に示すように、切断ガイド部材5の表面にさらに粘着面51を形成して、切断ガイド部材5でもゴミを捕らえることができるようにしてもよい。なお、その場合は、レール引き現象を防止するため、粘着面22の粘着材よりもよりも弱粘着な粘着材を用いることが好ましい。
【0025】
これによれば、粘着テープ2の端部を跨ぐように髪の毛などが付着していても、切断ガイド部材5が切れ目4に沿って設けられていることにより、最外層の粘着テープ2を剥がし取る際、切れ目4が切断ガイド部材5の端部によって切断がガイドされるため、粘着テープ2が途中で破れたり、縦方向に裂けたりすることを確実に防止することができる。
【0026】
この実施形態において、粘着テープ2は、切れ目4と切断ガイド部材5との組み合わせによって粘着テープ2の切断をガイドしているが、例えば切れ目4を設けずに、単に切断ガイド部材5のみを粘着テープ2に設け、切断ガイド部材5の端部に沿って粘着テープ2の切断を強制的にガイドするようにしてもよい。このような態様も本発明に含まれる。
【0027】
次に、図3および図4を参照して、この粘着テープロール1の製造方法について説明する。図3は、本発明の粘着テープロールの製造装置を模式的に示したものであり、図4(a)〜(c)は、切断ガイド部材の製造装置の動作説明図である。なお、この粘着テープロール製造装置は、図示しない筐体を備え、その中に組み込まれている。
【0028】
図3に示すように、粘着テープロール1の製造装置は、粘着面22が内側向くように多重に巻回された原反ロール20から繰り出された粘着テープ2を粘着面22が表側を向くように裏巻きするためのテープ搬送路60と、粘着テープ2に切れ目4を形成する切れ目形成手段70と、粘着テープ2に向けて切断ガイド部材5を送り出す送出手段80とを備えている。
【0029】
テープ搬送路60は、原反ロール20から引き出された粘着テープ2を巻き取りローラ61に向かって搬送するための2つの搬送ローラ61,62と、粘着テープ2に一定の張力を与えるためのテンションローラ63とを備えている。
【0030】
この例において、搬送ローラ61,62は図示しない駆動手段を介して回転駆動され、粘着テープ2を一定方向(図3では右方向から左方向)へと送り出す。テンションローラ63は図示しないバネ手段を介して粘着テープ2を一定の張力となるように引っ張るようになっている。なお、この搬送ローラ61,62の具体的な構成は任意である。
【0031】
切れ目形成手段70は、回転体の一部に刃73が設けられたロータリー刃71と、粘着テープ2を挟んでロータリー刃71に対向配置される送りローラ72とを含み、この例において、ロータリー刃71および送りローラ72は各搬送ローラ61,62の間に設けられている。
【0032】
ロータリー刃71は、円筒状のロール本体の一部に刃73が一体的に形成された、いわゆるダイカットロールからなり、刃先が切れ目4(ミシン目)を形成するため櫛刃状に形成されている。この例において、刃73はダイカットロールが用いられているが、これ以外にトムソン刃などであってもよい。刃73の具体的な構成は、切れ目4の形状に応じて任意に選択されてよい。すなわち、例えば、スリット状の切れ目4を形成するにはストレート刃が用いられる。
【0033】
送りローラ72は、ロータリー刃71の受け手側ローラであり、図示しない駆動手段によって回転駆動される。この例において、送りローラ72は、ダイカットロールからなるロータリー刃71を確実に受け止め、ミシン目4を形成するようにするため、表面が高精度な平滑面とされたロール体(例えばアンビルロールなど)が設けられていることが好ましい。
【0034】
ロータリー刃71および送りローラ72は、図示しないクラッチ手段を介して互いに同期的に回転が制御されていることが好ましい。すなわち、粘着テープ2はロール状に巻回されるにつれてその巻き径が増え、切れ目4の位置がずれる。そこで、クラッチ手段によってロータリー刃71の回転タイミングをズラして、切れ目4をほぼ1周長毎に形成するように制御する。
【0035】
この例において、切れ目4はほぼ1周長毎に形成されているが、例えば1周長(360°)未満の間隔で切れ目4を設けて、最外層の粘着テープ2の一部に次層の粘着テープ2の一部(この例では切断ガイド部材5)を露出させるようにしてもよい。
【0036】
これによれば、いわゆる逆段差構造の切れ目4が設けられることにより、切れ目4を挟んで両側に切断ガイド部材5が現れるため、切れ目4の付近での粘着力がなく、確実にレール引き現象を予防することができる。
【0037】
送出手段80は、シート状の切断ガイド部材5a(切断ガイド部材シート5a)が巻回された切断ガイド部材の原反ロール81と、同原反ロール81から切れ目形成手段70に向けて切断ガイド部材シート5aを送り出す搬送ローラ82,83と、切断ガイド部材シート5aをガイドするガイド板84とを備えている。
【0038】
搬送ローラ82,83は、図示しない駆動手段によって回転駆動され、切断ガイド部材シート5aを切れ目形成手段70に向けて一定の間隔で所定の幅(W:1〜10mmとなるように)送り出す。この例において、搬送ローラ82,83の上流側には補助ローラ85,86が設けられている。
【0039】
ガイド板84は、一端(上流側)が搬送ローラ82,83の出口側に向けて配置され、他端が送りローラ71,72の入口側に向けて斜めに配置された、いわゆる滑り台からなり、その上面に沿って切断ガイド部材シート5aがガイドされる。
【0040】
ガイド板84の先端841(図3ではロータリー刃71側)は、ロータリー刃71および送りローラ72に向けて切断ガイド部材シート5aをほぼ水平に送り出すように湾曲されている。
【0041】
これによれば、ガイド板84によってガイドされた切断ガイド部材シート5aの先端を確実にロータリー刃71と送りローラ72の間に導くことができ、粘着面22に切断ガイド部材シート5aを貼り付けることができる。
【0042】
次に、図3および図4(a)〜(c)を参照して、切断ガイド部材5の形成手順の一例について説明する。まず初期設定として、粘着テープ2を予めテープ搬送路60に沿ってセットし、その先端を巻き取りローラ61の巻芯(図示しない)に固定する。
【0043】
また、切断ガイド部材シート5aを搬送ローラ82,83の搬送路上にセットし、その先端をガイド板84の先端部841まで引き出しておく。さらに、切断ガイド部材5の形成幅Wを(この例ではW:1〜10mm)設定する。
【0044】
初期設定が完了したのち、図示しないスタートボタンを操作すると、制御手段は、図示しない駆動手段を駆動し、これにより、粘着テープ2が巻き取りローラ61に沿って徐々に巻き取られ始める。
【0045】
図4(a)に示すように、粘着テープ2がほぼ1周長の一定長さに繰り出されると、制御手段は搬送ローラ82,83に指令を出し、これを受けて、搬送ローラ82,83は、予め設定された設定値に基づいて切断ガイド部材シート5aを所定長さ繰り出す。
【0046】
繰り出され切断ガイド部材シート5aは、ガイド板84に沿って移動してゆき、図4(b)に示すように、ロータリー刃71と送りローラ72の間に送り込まれる。このとき、切断ガイド部材シート5aは、その先端が粘着テープ2の粘着面22に沿って貼り合わせられながらロール間に導き入れられる。
【0047】
ロータリー刃73がさらに回転し、刃73が真下に到来すると、粘着テープ2内に差し込まれ、切れ目4を形成すると同時に切断ガイド部材シート5aはほぼ切断される。さらに、送りローラ72が回転をすると、図4(c)に示すようにほぼ切断された切断ガイド部材5は、切れ目4に沿って粘着テープ2に貼り合わせられた状態で引き剥がされ、粘着テープ2とともに巻き取り側に巻き取られてゆく。
【0048】
以上の一連の作業により、切れ目4の形成作業と切断ガイド部材5の貼り合わせ作業とが同時に行われるが、制御手段は、上述した巻き径の増加を考慮して、図示しないクラッチ手段を制御し、ロータリー刃71と送りローラ72の回転速度と、搬送ローラ82,83の送り速度を適宜調節し、巻き径に関係なく粘着テープ2のほぼ1周長毎に切れ目4を形成するようになっている。
【0049】
この実施形態において、粘着テープロール製造装置は切断ガイド部材5と切れ目4の形成作業を同時に行うようにしているが、切断ガイド部材5のみを貼り付けてもよい。また、切断ガイド部材5のみを半径方向に沿って並ぶように一定間隔で貼り付け、巻き取り作業後に、粘着テープロール1の外周から切断ガイド部材5に沿って切断刃を差し込んで切れ目4を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 粘着テープロール
2 粘着テープ
21 基材
22 粘着面
23 未粘着面
24 剥離面
3 巻芯
4 切れ目
5 切断ガイド部材
5a 切断ガイド部材シート
60 テープ搬送路
70 切れ目形成手段
71 ロータリー刃
72 送りローラ
73 刃
80 送出手段
82,83 搬送ローラ
84 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状基材の一方の面が粘着面である粘着テープを上記粘着面を外側として巻回してなる清掃用の粘着テープロールにおいて、
上記粘着テープには、上記粘着テープが繰り出し方向に沿って裂けるのを防止するための帯状の基材が、使用時に上記粘着テープの繰り出し方向の端部に位置するように且つ上記粘着テープの幅方向に沿って上記粘着面に貼り合わされ、
上記帯状の基材の表面は、粘着材が塗布されていない未粘着部であることを特徴とする粘着テープロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136227(P2011−136227A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88123(P2011−88123)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【分割の表示】特願2009−172858(P2009−172858)の分割
【原出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(390003562)株式会社ニトムズ (64)