説明

粘着剤組成物

【課題】ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有するオキシアルキレン系重合体と粘着付与樹脂と硬化触媒からなる粘着剤組成物であって、低着色かつ離型性、硬化性および接着特性が良好な粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有するオキシアルキレン系重合体(B)フェノール系化合物ではない粘着付与樹脂(C)チタニウム化合物を必須成分とする粘着剤組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有するオキシアルキレン系重合体と粘着付与樹脂と硬化触媒からなる粘着剤組成物であって、低着色かつ離型性、硬化性および接着特性が良好な粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、化合物に粘着付与樹脂を配合させてなる粘着剤組成物はよく知られている。このような化合物の中で、加水分解性シリル基を含有するポリエーテルと粘着付与樹脂よりなる粘着剤組成物は、有機溶剤を全くか、もしくはほとんど使用しないで塗布可能であるため、環境に負荷をかけない粘着剤組成物として提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記の特許文献で開示されている粘着性組成物を硬化させる触媒として、スズ化合物が用いられている。特許文献2には、加水分解性シリル基を含有するポリエーテルと粘着付与樹脂とジルコニウム化合物よりなる粘着剤組成物が開示されている。また、特許文献3には加水分解性シリル基を含有するポリエーテルと粘着付与樹脂とチタニウム化合物よりなる粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−056153号公報
【特許文献2】特開昭62−146959号公報
【特許文献3】WO2005/073333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の粘着剤組成物には、シリコーン剥離紙との離型性が悪いという問題がある。すなわちシリコーン系離型剤を塗布した剥離紙または剥離フィルムと貼り合わせた場合や、シリコーン系離型剤を背面処理剤として塗布した基材に塗工して巻き取った場合には、経時的に粘着剤と剥離紙または剥離フィルムとの剥離抵抗力が上昇し、悪い場合には剥離紙が破れて剥離不能になることがある。
【0006】
特許文献2に開示されているように,硬化触媒としてジルコニウム化合物を用いると、シリコーン剥離紙からの離型性は改善される。しかし、粘着剤組成物の硬化性が悪いという問題がある。特許文献3に開示されているように,硬化触媒としてチタニウム化合物を用いると、シリコーン剥離紙との離型性および硬化性は共に改善される。しかし、粘着剤組成物が着色してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、低着色かつシリコーン剥離紙との離型性、硬化性および接着特性が良好な粘着剤組成物が存在しないという実情に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は種々検討を行った結果、(A)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有するオキシアルキレン系重合体(B)フェノール系化合物ではない粘着付与樹脂(C)チタニウム化合物を必須成分とすることで、溶剤をほとんど使用することなく塗布可能であり、剥離紙からの良好な離型性、良好な硬化性および接着特性が優れる、低着色の粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有する粘着剤組成物に関する。
(A) ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有するオキシアルキレン系重合体
(B) フェノール系化合物ではない粘着付与樹脂
(C) チタニウム化合物
オキシアルキレン系重合体(A)としては、1分子中に0.6〜1.5個の加水分解性シリル基を有し、数平均分子量が15000以上であり、Mw/Mn≦1.6のオキシアルキレン系重合体が好ましい。
粘着付与樹脂(B)としては、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジンエステル誘導体、重合ロジン樹脂、水添重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂、重合ロジンエステル誘導体、水添ロジン樹脂、水添ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル誘導体、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環族系、共重合系、クマロンインデン樹脂系)、水添石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
(C)のチタン化合物としては、一般式(1):
Ti(OR (1)
(式中、Rは有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基であり、4個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよい)が好ましい。
粘着付与樹脂(B)の重量部数としては、オキシアルキレン系重合体(A)100重量部に対して20〜100重量部が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、低着色かつシリコーン剥離紙との離型性、硬化性および接着特性が良好な粘着剤組成物を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の(A)成分である1分子中に加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格としては、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものがあげられる。
一般式(2):
−R−O− (2)
(式中、Rは2価のアルキレン基)
一般式(2)におけるRは、炭素数1から14の、さらには2から4の、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基が好ましい。一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CHO −、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH (C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、入手性、作業性の点から、−CHCH(CH)O−を主な繰り返し単位とする重合体が好ましい。また、重合体の主鎖にはオキシアルキレン基以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中のオキシアルキレン単位の総和は、80重量%以上、特には90重量%以上が好ましい。
【0012】
(A)成分の重合体の構造は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、また、その混合物でもよいが、良好な剥離物性を得るため、直鎖状の重合体を50重量%以上含有することが好ましい。
【0013】
(A)成分の重合体の分子量は、数平均分子量で15000 〜100000が好ましく、20000 〜50000がさらに好ましい。数平均分子量が15000未満のものでは、得られる粘着剤組成物が固くなり、良好な粘着特性が得られない。逆に数平均分子量が100000を越えると高粘度になりすぎて作業性が著しく低下するため好ましくない。数平均分子量は、各種の方法で測定可能であるが、通常、ポリオキシアルキレン系重合体の末端基分析からの換算や、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法での測定が一般的である。本発明の数平均分子量は、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定したものを用いることとする。
【0014】
(A)成分の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、重合体の粘度を低くたもつために1.6以下であることが好ましく、1.4以下がさらに好ましい。
【0015】
本発明の加水分解性シリル基含有有機重合体は、末端に水酸基を持つポリエーテル、ポリオールとして知られる化合物に適当な方法で加水分解性シリル基を導入することによって得られる。
【0016】
このような重合体は、例えば特開平3−72527号、特開平3−47825号、特開平3−79627号各公報に提案されている。
【0017】
本発明に使用するポリエーテル化合物は、金属ポルフィリン触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒などの触媒の存在下少なくとも1個の水酸基を有するヒドロキシ化合物などの開始剤にアルキレンオキシドなどのモノエポキシドなどを反応させて製造することができる。これらの中で、分子量分布が狭いために粘度が低く、かつ色相に問題がないポリエーテルが得られるため、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒を用いて製造されたポリエーテルが特に好ましい。
【0018】
開始剤に使用するヒドロキシ化合物の官能基数は2以上が好ましく、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールの他にPPG、PPT(ポリオキシプロピレントリオール)等の使用が挙げられる。
【0019】
ポリエーテルとしては、具体的にはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレンおよびこれらの共重合物があげられる。
【0020】
特に好ましいポリエーテルはポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオール、アリル末端ポリオキシプロピレン、メタリル末端ポリオキシプロピレンなどが使用できる。
【0021】
本発明のシロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有官能基としては、一般に知られている加水分解性シリル基が使用できる。
【0022】
例えば、一般式(3)で表されるシリル基がよい。
−SiX3−a (3)
式中Rは炭素数1〜20の置換、もしくは非置換の1価の有機基であり、好ましくは炭素数8以下のアルキル基、フェニル基やフルオロアルキル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等である。
【0023】
Xは加水分解性基であり、たとえばハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基、ケトキシメート基、酸アミド基、ハイドライド基などがある。
【0024】
これらのうち炭素原子を有する加水分解性基の炭素数は6以下が好ましく、特に4以下が好ましい。好ましい加水分解性基は炭素数4以下の低級アルコキシ基、特にメトキシ基やエトキシ基、プロポキシ基、プロペニルオキシ基等が例示できる。aは1、2または3であり、特に2または3であることが好ましい。
【0025】
一般式(3)で示されるケイ素基のポリエーテルへの導入の方法は特には限定されないが、例えば以下の方法で導入することができる。
【0026】
(イ)官能基を有するポリエーテル化合物の末端にオレフィン基を導入したものと、一般式(4)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiX3−a (4)
(式中R、X、aは前記に同じ)
【0027】
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基及び水酸基と反応しうる官能基を有する化合物をポリエーテル化合物の末端水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法、あるいはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることにより側鎖にオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
【0028】
(ロ)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するポリエーテル化合物の末端に一般式(5)で表される化合物を反応させる方法。
(R−)3−aSiX−RNCO (5)
(式中R、X、aは前記に同じ。Rは炭素数1〜17の2価の炭化水素基。)
【0029】
(ハ)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するポリエーテル化合物の末端にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基末端とした後、該イソシアネート基に一般式(6)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
(R−)3−aSiX−RW (6)
(式中R、R、X、aは前記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基。)
【0030】
(二)オレフィン基が導入可能な官能基を有するポリエーテル化合物の末端にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である一般式(6)で表されるケイ素化合物のメルカプト基を反応させる方法。
【0031】
本発明の(A)成分である加水分解性シリル基を有する重合体は、1分子中に加水分解性シリル基を0.6〜1.5個含有することが好ましい。(A)成分の1分子中の加水分解性シリル基が0.6個未満では充分な粘着剤硬化物が得られない。逆に、1.5個以上では粘着剤硬化物の柔軟性がそこなわれ、良好な粘着物性が得られない。本発明のシリル基導入率(T’/T)は、1H−NMR(日本電子製JNM−LA400を用いて、CDCl溶媒中で測定)を用いて、重合体のポリプロピレンオキシド主鎖のメチル基(1.2ppm付近)のピーク積分値に対する末端アリル基−CH−CH=CH(5.1ppm付近)のピーク積分値の相対値(Tとする)と、ヒドロシリル化反応後のシリル末端ポリプロピレンオキシド(A−2)のポリプロピレンオキシド主鎖のメチル基(1.2ppm付近)のピーク積分値に対する、末端シリル基のシリコン原子に結合したメチレン基−CH−CH−CH−Si(OCH(0.6ppm付近)のピーク積分値の相対値(T’とする)から算出した。
【0032】
フェノール系化合物は着色の原因となるため、本発明の(B)成分である粘着付与樹脂は、フェノール系以外の粘着付与樹脂である。例えば、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジンエステル誘導体、重合ロジン樹脂、水添重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂、重合ロジンエステル誘導体、水添ロジン樹脂、水添ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル誘導体、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環族系、共重合系、クマロンインデン樹脂系)、水添石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、エポキシ樹脂及びそれらの種々変成物等が挙げられる。これらは単独で使用しても良く、必要に応じて2種類以上を混合して使用しても良い。
【0033】
本発明の(B)成分の好ましい配合量は、(A)成分100重量部に対して、5〜150重量部である。さらに好ましくは10〜120重量部である。最も好ましい範囲は20〜100重量部である。5重量部未満では粘着性に劣る組成物となる虞があり、また150重量部を越えると、重合体(A)の持つ良好な各種被着体への親和性、親水性、化学的安定性等の特性が損なわれる虞がある。
【0034】
本発明の(C)成分であるチタニウム化合物には、従来公知のものを広く使用することができる。具体的には、一般式(1):
Ti(OR (1)
(式中、Rは有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基であり、4個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよい)で表され、その中でもチタニウムアルコキシドが代表的な化合物として例示できる。その他に一般式(1)で表される化合物としては、一般式(1)中の4個のOR基の一部または全部が一般式(7):
−OCOR (7)
(式中、Rは有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。)で表されるアシルオキシ基であるチタニウムアシレートが挙げられる。その他に一般式(1)で表される化合物としては、一般式(8):
【0035】
【化1】

【0036】
[式中、R、Rは水素原子または炭素原子数1から20の炭化水素基であり、RおよびRは同一であっても、異なっていてもよい。4−n個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよく、n個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよい。A、Aは−Rまたは−ORから選ばれる(ここでRは炭素数1から20の炭化水素基である)。AおよびAは同一であっても、異なっていてもよい。4−n個のAは相互に同一であっても、異なっていてもよく、4−n個のAは相互に同一であっても、異なっていてもよい。nは0、1、2、3のいずれかである。]で表される化合物および/または一般式(9):
【0037】
【化2】

【0038】
(式中、R、A、Aは前記と同じ。Rは、炭素数1から20の2価の炭化水素基である。)で表されるチタニウムキレートが挙げられる。
【0039】
また、一般式(1)で表されないチタニウム化合物としては、一般式(10):
TiX’4−a(OR10 (10)
(式中、X’はハロゲン原子であり、4−a個のX’は相互に同一であっても、異なっていてもよい。R10は有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基でありa個のR10は相互に同一であっても、異なっていてもよい。aは1、2、3のいずれかである。)で表されるハロゲン化チタニウムアルコキシドが挙げられる。
【0040】
一般式(1)で表されるチタニウムアルコキシドを具体的に例示すると、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムアリルオキシド、チタニウムテトラn−プロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラn−ブトキシド、チタニウムテトライソブトキシド、チタニウムテトラsec−ブトキシド、チタニウムテトラt−ブトキシド、チタニウムテトラn−ペンチルオキシド、チタニウムテトラシクロペンチルオキシド、チタニウムテトラヘキシルオキシド、チタニウムテトラシクロヘキシルオキシド、チタニウムテトラベンジルオキシド、チタニウムテトラオクチルオキシド、チタニウムテトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)、チタニウムテトラデシルオキシド、チタニウムテトラドデシルオキシド、チタニウムテトラステアリルオキシド、チタニウムテトラブトキシドダイマー、チタニウムテトラキス(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、チタニウムジイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、チタニウムビス(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、チタニウムテトラキス(2−クロロエトキシド)、チタニウムテトラキス(2−ブロモエトキシド)、チタニウムテトラキス(2−メトキシエトキシド)、チタニウムテトラキス(2−エトキシエトキシド)、チタニウムブトキシドトリメトキシド、チタニウムジブトキシドジメトキシド、チタニウムブトキシドトリエトキシド、チタニウムジブトキシドジエトキシド、チタニウムブトキシドトリイソプロポキシド、チタニウムジブトキシドジイソプロポキシド、チタニウムテトラフェノキシド、チタニウムテトラキス(o−クロロフェノキシド)、チタニウムテトラキス(m−ニトロフェノキシド)、チタニウムテトラキス(p−メチルフェノキシド)、などが挙げられる。
【0041】
一般式(1)中の4個のOR基の一部または全部が一般式(7)で表される基であるチタニウムアシレートを具体的に例示すると、チタニウムアクリレートトリイソプロポキシド、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、チタニウムジメタクリレートジイソプロポキシド、チタニウムイソプロポキシドトリメタクリレート、チタニウムヘキサノエートトリイソプロポキシド、チタニウムステアレートトリイソプロポキシド、などが挙げられる。
【0042】
一般式(8)で表される化合物および/または一般式(9)で表されるチタニウムキレートを具体的に例示すると、チタニウムジメトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジメトキドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジエトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジエトキドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(メチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(t−ブチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(メチル−3−オキソ−4,4−ジメチルヘキサノエート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチル−3−オキソ−4,4,4−トリフルオロペンタノエート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、チタニウムジ−n−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−n−ブトキシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジイソブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソブトキシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジ−t−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−t−ブトキシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシドビス(アセチルアセトネート)、1,2−ジオキシエタンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、1,3−ジオキシプロパンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、2,4−ジオキシペンタンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、2,4−ジメチル−2,4−ジオキシペンタンチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムテトラキス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、などが挙げられる。
【0043】
また、前記チタニウムキレートのキレート配位子を形成し得るキレート試薬の具体例としては、アセチルアセトンなどのβ−ジケトン、アセト酢酸エチルなどのβ−ケトエステル、マロン酸エチルなどのβ−ジエステルが挙げられる。
【0044】
前記チタニウムキレートを本発明の(C)成分として添加する場合、以下に述べる(ホ)または(へ)の方法を用いることができる。(ホ)予めキレート化したチタニウム化合物を添加する方法。(へ)チタニウムテトライソプロポキシドやチタニウムジクロライドジイソプロポキシドなどのキレート試薬と反応し得るチタニウム化合物と、アセト酢酸エチルなどのキレート試薬を、本発明の組成物に添加し、組成物中にてキレート化させたチタニウムキレートを用いる方法。
【0045】
一般式(10)のハロゲン化チタニウムアルコキシドを具体的に例示すると、チタニウムクロライドトリイソプロポキシド、チタニウムジクロライドジイソプロポキシド、チタニウムイソプロポキシドトリクロライド、チタニウムブロマイドトリイソプロポキシド、チタニウムフルオライドトリイソプロポキシド、チタニウムクロライドトリエトキシド、チタニウムクロライドトリブトキシド、などが挙げられる。
【0046】
また、上記以外のチタニウム化合物を具体的に記載すると、チタニウムトリス(ジオクチルフォスフェート)イソプロポキシド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルフォネート)イソプロポキシド、ジヒドロキシチタニウムビスラクテート、などが挙げられる。
【0047】
これらのうち着色の点からはチタニウムアルコキシドが好ましく、剥離接着強度の点からはチタニウムキレートの方が好ましい。
【0048】
(C)成分のチタニウム化合物は、単独で使用する以外に、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
これらのチタニウム化合物の使用量は、有機重合体(A)と粘着付与樹脂(B)の合計量100重量部に対して(粘着付与樹脂(B)の種類によっては有機重合体(A)の100重量部に対して)、0.1〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。チタニウム化合物の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなる虞がある。一方、チタニウム化合物の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなる虞がある。
【0050】
本発明の粘着剤組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法を用いることができる。
【0051】
さらに本発明の粘着剤組成物では、公知の種々充填剤、各種添加剤を含むことができる。
【0052】
本発明の硬化性組成物においては、チタニウム化合物の活性をより高めるために、下記一般式(11):
4−aSi(OR (11)
(式中、R、aは前記に同じ。)で示されるケイ素化合物を添加しても構わない。前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式中のSi原子に直結するRの少なくとも1個が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために特に好ましい。このケイ素化合物の配合量は重合体(A)と粘着付与樹脂(B)の合計量100重量部に対して(粘着付与樹脂(B)の種類によっては有機重合体(A)の100重量部に対して)、0.01〜20重量部程度が好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
【0053】
本発明の組成物には、シランカップリング剤、シランカップリング剤の反応物、またはシランカップリング剤以外の化合物を接着性付与剤として添加することができる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、重合体(A)と粘着付与樹脂(B)の合計量100重量部に対して(粘着付与樹脂(B)の種類によっては有機重合体(A)の100重量部に対して)、0.1〜20重量部の範囲で使用される。特に、0.5〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0054】
本発明の組成物には酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系やチヌビン622LD,チヌビン144;CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上いずれも日本チバガイギー株式会社製);MARK LA−57,MARK LA−62,MARK LA−67,MARK LA−63,MARK LA−68(以上いずれもアデカアーガス化学株式会社製);サノールLS−770,サノールLS−765,サノールLS−292,サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上いずれも三共株式会社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤が例示できる。酸化防止剤の具体例は特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報にも記載されている。耐熱性の点からはヒンダードフェノール系が好ましく、着色性の点からはヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。酸化防止剤の使用量は、反応性ケイ素基を有する有機重合体(A)100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。
【0055】
本発明の組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、有機および無機充填剤、紫外線吸収剤、低分子および高分子可塑剤、チクソ性付与剤、有機および無機顔料、難燃剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、溶剤、防かび剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
次に、本発明の粘着剤組成物による粘着製品の製造方法を製造プロセスの例を挙げて説明する。ただし、上記の製造方法においては、支持体に粘着剤組成物を塗布し熱硬化させるものであればよく、以下の例に限定されるものではない。
【0057】
支持体上にコーターで本発明の粘着剤組成物を塗布し、これを加熱硬化させて粘着製品を得る。支持体としては、合成樹脂製又は変成天然物製のフィルム、紙、あらゆる種類の布、金属箔等を用いることができる。支持体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、セロハン、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、布、アセテート布、不織布、ガラス布、金属箔が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、少なくとも2種以上を積層して用いてもよい。
塗布は、支持体に直接塗布する方法、または剥離紙に塗布し硬化後、基材に転写する方法のいずれもが使用可能である。
【0058】
支持体や剥離紙等への塗工性を確保するためには、ハジキ防止剤や離型性促進剤等の添加物を入れることが有効である。ハジキ防止剤、離型性促進剤としては、シリコーン系、アクリル系、フッ素系等が使用できる。
【0059】
剥離紙に塗布し硬化後、基材に転写する方法の場合の剥離紙としては、シリコーン系、オレフィン系、フッ素系等の離型剤を塗布したものを使用することができ、コストや剥離性の確保の面から、オレフィン系や無溶剤シリコーン系の離型剤の使用が特に好ましい。
【0060】
熱硬化させる方法は特に限定されないが、その温度は、使用する重合体及び添加される化合物等の種類により異なるが、通常50℃〜180℃の範囲内が好ましい。硬化時間は、使用する重合体、添加される化合物、反応温度等により異なるが、通常0.1分〜24時間、好ましくは1分〜10時間、さらに好ましくは1分〜1時間の範囲内である。
【0061】
本発明の粘着剤組成物は、事務一般用、紙オムツ用、PPフィルム接着用、再剥離用、一般包装用、電気用、固定用の各種粘着製品用途に使用可能である。本発明の粘着剤組成物を用いた粘着製品は、包装用粘着テープ、事務用粘着テープ、塗装マスキング用テープ、電気絶縁用粘着テープ、結束用粘着テープ、保護用粘着テープ、識別・装飾用粘着テープ及びシート、スポーツテープ、両面粘着テープ、電磁波障害対策フィルム及びテープ、再剥離フィルム及びテープ、化粧板フィルム、半導体チップ搬送用テープ、マーキングフィルム、深絞り加工用保護フィルム、ガラス飛散防止フィルム、発泡粘着テープ、防水・止水テープ、防食用粘着テープ、表面保護用粘着テープ、ダイシング用粘着テープ、バックグラインド用粘着テープ、印刷用粘着シート、粘着ラベル等に使用できる。
【0062】
上記の粘着製品化に際しては、これら用途に合わせて、薬剤や電磁波吸収材料、光吸収剤、発泡成分等を添加することができる。
【実施例】
【0063】
以下に、具体的な実施例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0064】
(製造例1)
アクトコールP−23(三井武田株式会社製、ポリオキシプロピレングリコール)を開始剤として、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより、GPC測定(ポリスチレン換算)数平均分子量30000のポリオキシプロピレングリコールを製造し、次いで末端水酸基に塩化アリルを反応させ、全末端に不飽和基を導入した後、更にメチルジメトキシシランを不飽和基に対して0.65当量反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を1.2個有する化合物(A−1)を得た。(A−1)の粘度(23℃:B型粘度計)は46.8Pa・sであった。
実施例1〜6および比較例1〜8
表1に示す成分を表1に示す割合で配合し、トルエンを約60重量部用いて粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物を用いて、行った試験方法は次の通りである。
【0065】
(色味)
実施例1〜6および比較例1〜8で得られた接着剤組成物を乾燥後の厚さが約100μmになるように50μmのポリエステル基材(東レ(株)製のルミラーフィルム、S105)上に塗工し、130℃で5分間、70℃で12時間乾燥・硬化処理した。その後、シリコーン剥離紙(藤森工業製、80XT−032−No.40)を貼り合せ、色味を観察した。結果を表1に示す。
【0066】
(180°剥離接着強度)
実施例1〜6および比較例1〜8で得られた接着剤組成物を乾燥後の厚さが約100μmになるように50μmのポリエステル基材上に塗工し、130℃で5分間、70℃で12時間乾燥・硬化処理した。その後、シリコーン剥離紙を貼り合せた。このようにして得られた粘着フィルムを280番研磨紙で磨いたステンレス板(日本タクト株式会社、SUS−304(2B)、2mm×25mm×100mm)に貼り合わせた。これを室温で半日間放置した後、島津製作所製のオートグラフを用いて23℃雰囲気下で300mm/分の引張速度で180°剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
(硬化速度)
実施例1〜6および比較例1〜8で得られた接着剤組成物を乾燥後の厚さが約100μmになるように50μmのポリエステル基材上に塗工し、130℃雰囲気下で加熱した。粘着剤組成物の表面をミクロスパチュラで軽く押さえ、スパチュラ先端に粘着剤組成物が付着しなくなった時間を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
(剥離性)
実施例1〜6および比較例1〜8で得られた接着剤組成物を乾燥後の厚さが約100μmになるように50μmのポリエステル基材上に塗工し、シリコーン剥離紙を貼り合せ、130℃5分間乾燥・硬化処理した。これを室温で半日放置した後、島津製作所製のオートグラフを用いて23℃雰囲気下で300mm/分の引張速度で180°剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
表1に示す通り、硬化触媒としてジルコニウム化合物を用いた場合には(比較例5および7)、硬化物は無色であり、剥離紙からの離型性がよく糊残りもなかったが、硬化するのに10分以上かかり硬化性が悪かった。また、硬化触媒としてスズ化合物を用いた場合には(比較例6および8)、硬化物は無色であり、3分で硬化したが、剥離紙からの離型性が悪く糊残りがあった。
硬化触媒としてチタニウム化合物を用いた場合には(実施例1〜6)、剥離紙からの離型性がよく糊残りもなく、実用的な硬化性および良好な接着特性を示した。
しかし、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール系樹脂を用いた場合には(比較例1から4)、硬化物が橙色に着色した。炭化水素系樹脂(実施例1から3)やロジン系エステル樹脂(実施例4から6)を用いた場合には、着色は抑えられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有する粘着剤組成物。
(A) ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有するオキシアルキレン系重合体
(B) フェノール系化合物ではない粘着付与樹脂
(C) チタニウム化合物
【請求項2】
オキシアルキレン系重合体(A)が1分子中に0.6〜1.5個の加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体である請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
オキシアルキレン系重合体(A)が、数平均分子量が15000以上50000以下でありMw/Mn≦1.6のオキシアルキレン系重合体である請求項1または請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
粘着付与樹脂(B)がロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジンエステル誘導体、重合ロジン樹脂、水添重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂、重合ロジンエステル誘導体、水添ロジン樹脂、水添ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル誘導体、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環族系、共重合系、クマロンインデン樹脂系)、水添石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項1から3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
粘着付与樹脂(B)の重量部数が、オキシアルキレン系重合体(A)100重量部に対して20〜100重量部であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
チタニウム化合物(C)が、一般式(1):
Ti(OR (1)
(式中、Rは有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基であり、4個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよい)で表されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
チタニウム化合物(C)が、一般式(1)中の4個のOR基の一部または全部が一般式(7):
−OCOR (7)
(式中、Rは有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。)で表されるアシルオキシ基であるチタニウムアシレートであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
チタニウム化合物(C)が、一般式(8):
【化3】

[式中、R、Rは水素原子または炭素原子数1から20の炭化水素基であり、RおよびRは同一であっても、異なっていてもよい。4−n個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよく、n個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよい。A、Aは−Rまたは−ORから選ばれる(ここでRは炭素数1から20の炭化水素基である)。AおよびAは同一であっても、異なっていてもよい。4−n個のAは相互に同一であっても、異なっていてもよく、4−n個のAは相互に同一であっても、異なっていてもよい。nは0、1、2、3のいずれかである。]で表される化合物および/または一般式(9):
【化4】

(式中、R、A、Aは前記と同じ。Rは、炭素数1から20の2価の炭化水素基である。)で表されるチタニウムキレートであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
チタニウム化合物(C)が、一般式(10):
TiX’4−a(OR10 (10)
(式中、X’はハロゲン原子であり、4−a個のX’は相互に同一であっても、異なっていてもよい。R10は有機基であり、より好ましくは炭素数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基でありa個のR10は相互に同一であっても、異なっていてもよい。aは1、2、3のいずれかである。)で表されるハロゲン化チタニウムアルコキシドであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の粘着剤組成物。


【公開番号】特開2013−32450(P2013−32450A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169568(P2011−169568)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】