説明

粘着閉鎖器具の製造方法および製造装置ならびにその製造装置を使用してその製造方法によって製造された粘着閉鎖器具

粘着閉鎖器具の製造方法および製造装置ならびにその製造装置を使用してその製造方法によって製造された粘着閉鎖器具に関する。本発明は、好ましくは少なくとも一つのプラスチック材料からなる粘着閉鎖器具(10)の製造方法に関する。複数の突出した軸部(14)を備えた裏当て(12)は個々の頭部(16)に結合され、上記軸部(14)の少なくとも一部において、そのフリー端部(18)はそれぞれの頭部(16)の接触側(20)と接触するか又は接触側(20)に埋め込まれる。本発明は、またその方法を実施するための装置およびその方法によって製造された粘着閉鎖器具に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは少なくとも一つのプラスチック材料からなる粘着閉鎖器具の製造方法に関する。本発明は、さらに、その製造方法を実施するための装置ならびにその装置を使用してその方法によって製造された粘着閉鎖器具に関する。
【背景技術】
【0002】
補完的な方法で製造された接触ファスナー要素とともに機械的なファスナー要素を含む、これらの接触ファスナー要素は、別の接触ファスナー要素のループ状ファスナー要素との相互作用により接触ファスナーを形成する、反復して開いたり閉じたりすることができるフック状またはマッシュルーム状のファスナー部を含むファスナーを形成する。二つの異なる接触ファスナー要素が互いに相互作用する、接触ファスナー要素に関する課題は知られている(ヘルマフロテ゛ィティック(hermaphroditic) ファスナー)。
【0003】
特許文献1は、加熱可能な成形ローラの間の成形ギャップに、複数の突出した軸部とともにベルト状裏当て部を供給することを開示している。この特許文献1において、マッシュルーム形状の接触ファスナー要素を得るために、押し出し手段によって、成形凹部であるとともに実際の成形工具として、プラスチック材料の付加的な成形ベルトが供給されて、軸部の端部に頭部が成形される。この公知の解決手段において示された頭部は軸部のプラスチック材料から形成されるので、頭部に充填される材料は少なくて、頭部の寸法は小さい。このようにして形成される突出した頭部表面がインタロックに有効である。このファスナーでは、必要な粘着力を確保することができない。
【0004】
逆に、特許文献2は、成形ローラを使用して、ベルト状裏当て部が、比較的大きな寸法である複数のフック状ファスナー要素に結合される、成形ローラを使用した製造方法を提案している。この目的のために、成形ローラは、その外周縁部に、第一の押し出し手段によってプラスチック材料が成形型に充填されるフック状成形凹部を有している。成形ローラの外周縁部の過剰なプラスチック材料は、専門的にドクターブレードと呼ばれている除去手段によって除去される。製造方向の下流側に位置する第二の押し出し手段によって、裏当て材料は、ローラの冷却プロセス中にフック状ファスナー部に取り付けられて、永久的に結合される。それから、ストリッパローラが成形手段から仕上げられたファスナー部を除去する。フック形状のために、その除去プロセスは困難である。さらに、ドクターブレードの使用によって、製造プロセス中に比較的多くのプラスチックのスクラップが形成される。
【0005】
さらに、特許文献3は、その上部ストランド側のベルト状コンベヤ器具にプラスチック材料の小滴をスプレーすることを開示している。半球シェル体の表面張力に基づいてプラスチック材料は成形されて、ベルト状裏当て部と係止して永久的に結合されることにより接触ファスナー要素が形成される。この解決手段において、軸部が厚い場合、その端部に軸部としての粒状凝集体を支持するベルト状裏当て部を供給することもできる。その軸部上に半球状頭部を配置することができる。このようにして製造され、特に、赤ん坊のおむつ又は失禁用のおむつのためのファスナーとして使用することが意図されている接触ファスナー要素は、比較的堅く、ファスナーの特徴に関して改善されるべき点が多々ある。特許文献4は、半球状ファスナー要素の製造のためのベルトの代わりに、対応する成形凹部とともに成形ローラの形状である成形工具を必要とする解決手段を開示している。この場合、頭部と裏当て部の間の軸部の製造は、公知の解決手段によってはなされない。
【0006】
特許文献5は、複数の突出した軸部がある、ベルト状裏当て部を製造する方法を開示している。この製造プロセスの後半工程において、フリーの軸端は加熱され、プラスチック材料の表面張力の結果として、特に、半球状の頭部が厚くなる。もし、この公知の解決手段に後続して、このようにして製造される頭部が、いわゆるカレンダローラ法によって再成形されれば、広い頭部が形成され、充填される材料が少なくいので、頭部の寸法は比較的小さく、圧延方向の入口に向かって広くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第699 22 264 T2号明細書(DE 699 22 264 T2)
【特許文献2】米国特許第6 180 205 B1号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/099000 A2号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0220271 A1号明細書
【特許文献5】米国特許第5 785 784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの先行技術に基づいて、本発明の目的は、公知の解決手段の利点を維持しながら、ファスナー動作を広い範囲に適用できる、信頼できる接触ファスナーを特に低コストで製造しうる、解決手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、請求項1記載の特徴を有する方法、請求項3記載の特徴を有する装置および請求項6記載の特徴を有する接触ファスナー要素によって達成される。
【0010】
本発明の方法は、好ましくは、少なくとも一つのプラスチック材料からなる接触ファスナー要素を製造するために使用され、複数の突出した軸部を備えた裏当てが個々の頭部と結合され、少なくともいくらかの軸部において、そのフリーの端部がそれぞれの頭部の接触側と接触するか又は埋め込まれることを特徴とする。軸部のフリーの端部に別々に製造した頭部を配置することによって、軸部の異なる材料成分は広い範囲で頭部と結合され、頭部および/又は軸部の形状が異なるものを得ることができる。複数の可能な組み合わせに基づいて、複数の技術的パラメータを、このようにして製造される接触ファスナー要素において、設定することができる。本発明の方法はさらに信頼に足るものであり、経済的に実行することができる。
【0011】
装置は、本発明の方法を実行するために特に経済的であることが分かった。その装置は、個々の頭部のために、それぞれの頭部形状に対応し、すでに製造された、軸部を備えた裏当てのための供給器具とともに、軸部のフリーの端部を供給器具によって成形凹部に挿入することができる、複数の成形凹部を備えた成形工具を有している。
【0012】
もし、軸部と頭部が互いに異なるプラスチック材料かなり、特に、軸部が熱可塑性材料から形成され、頭部がアクリレート材料からなるものであれば、接触ファスナー要素は特に有用で耐久性がある。個々の頭部のアクリレート材料が比較的堅い場合、対応する接触ファスナー要素のループのための耐フック性を向上し、このような構造の接触ファスナーは粘着性が非常に高く、引き剥がし強度が高い。
【0013】
本発明の解決手段の他の特徴は、従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明の解決手段について、図面に示された実施形態によって詳細に説明する。図面は概略的なものであって、実際の大きさではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の製造装置の一部を示す図である。
【図2】図2は、本発明の接触ファスナー要素の一実施形態を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の接触ファスナー要素の別の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の製造方法は、図1に示す製造装置を使用して以下に詳細に説明される。本発明の製造方法は、10として示す接触ファスナー要素を製造するために使用される。接触ファスナー要素10を構成するベルト状裏当て12は、個々の頭部16を備えた複数の突出した軸部14に結合されている。少なくともいくらかの軸部14において、軸部14のフリー端部18は、それぞれ頭部16の接触側20と接触するか又は接触側20に埋め込まれる。本発明の製造方法を使用するとき、頭部16に軸部14を結合する実際のプロセスにおいて、頭部16は少なくとも部分的に液状であるか又は部分的に可塑状態にある。頭部16は結合後にのみ、完全に硬化する。それゆえ、軸部14のフリー端部18は、頭部16の少なくとも部分的に液状の接触側20と接触するか、好ましくは、硬化した頭部16との結合を確実にするために、頭部16の材料の中に埋め込むのがよい。
【0017】
個々の頭部16を成形するために、それぞれの頭部形状に対応する複数の成形凹部24を備えた成形工具22がある。成形凹部24はベルト搬送方向に回転する成形ベルト26の構成要素である。上部ストランドの成形凹部24にはプラスチック材料が充填されている。下部ストランドは基本的に空の成形凹部24をガイドする。成形凹部24は、成形ベルト26の搬送方向および長手方向に、規則的に、または不規則に配置されている。
【0018】
さらに、すでに製造された、軸部14を備えた裏当て12のための28で示す供給器具がある。軸部14のフリー端部18は供給器具28によって成形凹部24に挿入することができる。この目的のために、供給器具28は軸部のファスナー材料を巻き戻すことができる貯蔵ローラ30を有している。転向ローラ32によって、ベルト材料を成形工具22に供給することができる。完成した接触ファスナー製品は、さらなる搬送のために、34で示す搬送ローラ34に巻き取られる。説明を簡単にするために、個々の搬送器具およびガイド器具は省略されている。同様に、製造のために必要な加熱器具および冷却器具も示されていない。成形工具22および供給器具28の搬送方向は、矢示36で示されている。
【0019】
図1に示すように、成形凹部24は外側に開放されている。すなわち、自由にその成形凹部24に近づくことができ、詳細には記載しないが、一般的な押出成形機である充填器具38を使用して成形工具22の成形凹部24に充填することができる。しかし、成形凹部24からプラスチック材料があふれ出ることがないように、プラスチック材料を成形凹部24に完全に充填しない小滴滴下器具を使用するのが好ましい。しかし、充填器具38は、いわゆるドクターブレード(図示せず)によって過剰のプラスチック材料をベルトの上面から除去することができるように、ドクター装置とすることもできる。
【0020】
軸部14と頭部16を結合するために、簡略化されている硬化器具40は、好ましくは結合プロセスの端部であって、矢示36の方向において端部付近に位置している。成形工具22から除去される、仕上げられた接触ファスナー要素は、搬送ローラ34の方向に搬送される。使用されるプラスチック材料に応じて、硬化器具40は一般的な熱源とするか、又は紫外線照射器具などとすることができる。もし、アクリレート材料が頭部16のために使用されるならば、硬化器具40は紫外線照射源であることが好ましい。
【0021】
上記装置を使用して本発明の方法で製造された接触ファスナー要素は、図2および図3に、拡大して示されている。頭部16は、図2に示すように、フリーの端部に向かって本質的に平らである。これによって、図3に示すファスナーとは対照的に、外周の端部に向かって狭いリップ状または薄いリップ状になっている。図3の頭部16は頂点に向かって凸状の曲面を描いており、この頭部16は頂部42に向かって、図2に示すファスナーよりも厚い壁となって伸びている。頭部16はアクリレート材料からなる。軸部14は熱可塑性材料、特に、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレンからなるのが好ましい。他の材料を使用することも可能である。
【0022】
マッシュルーム状の頭部のファスナーシステムとして、いかなる頭部16もいかなる軸部14の材料にも結合して器具の広い範囲において接触ファスナーの機能を発揮できることは、ファスナー技術の分野の当業者には驚くべき事実である。特に図2に示すように、すべての軸部14に頭部16を設けるのではなく、特別の用途においては、一つの頭部16に二つ以上の軸部14を設けることもできる(図示せず)。さらに、成形凹部24の形成に応じて、予め限定できるパターンに従って、図2および図3のファスナー要素の頭部形状を互いに組み合わせたファスナーシステムを提供することもできる。本発明の方法に従って、非常に滑らかで堅い頭部16が得られることが分かる。この頭部はファスナーを全体として保護し、非常に寿命が長い接触ファスナー要素システムが得られる。
【0023】
使用される成形工具22の成形凹部24の深さに応じて、軸部14の長さを異なるようにすることができ、頭部16はベルト状裏当て12に対して異なる高さになる。裏当て12自身は多段押出層またはフィルム状で弾性的に伸張可能なものとすることができる。上方から見た頭部16は外側に対して滑らかな球状体である。しかし、多角形、特に、六角形とすることができる。しかし、頭部16に対してアクリレート材料を使用することによって、周囲の端部42に向かって端部保護タイプのものとすることができる。これは、ファスナー全体の寿命のためになる。
【符号の説明】
【0024】
10 接触ファスナー要素
12 裏当て
14 軸部
16 頭部
18 フリー端部
20 接触側
22 成形工具
24 成形凹部
26 成形ベルト
28 供給器具
30 貯蔵ローラ
32 転向ローラ
34 搬送ローラ
38 充填器具
40 硬化器具
42 周囲の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは少なくとも一つのプラスチック材料からなる粘着閉鎖器具(10)の製造方法であって、複数の突出した軸部(14)を備えた裏当て(12)が個々の頭部(16)に結合され、少なくともいくらかの軸部(14)において、軸部(14)のフリーの端部(18)がそれぞれの頭部(16)の接触側(20)と接触するか又は接触側(20)に埋め込まれることを特徴とする粘着閉鎖器具(10)の製造方法。
【請求項2】
軸部(14)と頭部(16)を結合するプロセスにおいて、頭部(16)は少なくとも部分的に液状であるか又は部分的に可塑状態にあり、頭部(16)は結合後にのみ、完全に硬化することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
頭部(16)を成形するために、それぞれの頭部形状に対応する複数の成形凹部(24)を備えた成形工具(22)と、すでに製造された、軸部(14)を備えた裏当て(12)のための供給器具(28)とを有し、軸部(14)のフリー端部(18)は供給器具(28)によって成形凹部(24)に挿入することができることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法を実施するための装置。
【請求項4】
成形工具(22)は自由に外側から近づくことができる成形凹部(24)を含む回転する成形ベルト(26)から形成されることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
成形工具(22)の成形凹部(24)に充填するための充填器具(38)と、頭部(16)を備えた軸(14)を形成するための硬化器具(40)とを有することを特徴とする請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
軸部(14)と頭部(16)は互いに異なるプラスチック材料からなり、特に、軸部(14)は熱可塑性材料から形成され、頭部(16)はアクリレート材料からなることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の装置によって請求項1または2記載の方法に従って製造される接触ファスナー要素。
【請求項7】
頭部(16)は平らな形状か又は凸状であり、頭部(16)の周囲の端部(42)は好ましくは狭いリップ状であることを特徴とする請求項6記載の接触ファスナー要素。
【請求項8】
頭部(16)の端部には角があり、好ましくは六角形であることを特徴とする請求項6または7記載の接触ファスナー要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522588(P2010−522588A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500089(P2010−500089)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000646
【国際公開番号】WO2008/119407
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(500009857)ゴットリープ ビンダー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】