説明

精子細胞操作系

【課題】精子の生存率を維持または増強するための精液または精子細胞の収集、操作、移送、分離のための装置または方法の提供。
【解決手段】種々の収集、操作、保存、輸送、分離または受精手順の状況において精子細胞の生物学的、化学的、物理的、生理学的もしくは機能的性質を維持または高めるための精液または精子細胞処理システム。また、本発明は、精子細胞を分離する方法であって、哺乳動物の一種のオスから精液を獲得する工程、精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上でこの精液をインキュベートする工程、複数の精子細胞の精子細胞形質を決定する工程、この精子細胞形質に基づいて精子細胞を分離する工程および分離した精子細胞を収集する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
種々の収集手順、操作手順、保存手順、輸送手順、分離手順または受精手順の状況にお
いて精子細胞の生物学的、化学的、物理的、生理学的もしくは機能的性質を維持または増
強するための精液または精子細胞操作システム。
【背景技術】
【0002】
効果的な性別の事前選択は、精子細胞を豊富なX染色体保有集団と豊富なY染色体保有
集団へと分離する安全かつ信頼できる方法の発展の後、多数の家畜種で達成されている。
Y染色体保有精子細胞からのX染色体保有精子細胞の分離は、本明細書中で開示するよう
におよび様々な国際的な特許出願(例えば、PCT/US99/17165;PCT/U
S98/27909;PCT/US01/45237;PCT/01/18879;PC
T/US01/15150;およびPCT/US01/02304ならびに米国特許出願
09/582,809および09/015,454(それぞれ本明細書中に参考として援
用される)により開示されるように達成され得る。Y染色体保有精子細胞からX染色体保
有精子細胞を分離するこれらの例は、本精子細胞操作系の発明を、フローサイトメトリー
ソーティング装置またはフローソーティング方法を伴う精子操作技術に限定することを意
図せず、むしろ精子細胞を互いから分離し得る様々な操作を例示するおよび本発明が理解
され得る状況下で精子細胞を収集、操作、分離、移送、使用または保存する様式の例示で
あるとされる。
【0003】
特定の精子細胞特徴に基づいて部分集団へと分離された精子細胞の重大な問題は、運動
性低下、生存率低下または受精能低下であり得る。この問題の一つ局面は、部分集団へと
精子細胞を分離する前に精液を操作および移送する従来の方法は、一般的に約5℃、また
は精子細胞膜脂質が液相からゲル相へと転移した温度で実施されることであり得る。精子
細胞膜脂質の液相からゲル相への転移は、精子細胞の化学的、物理的、生理学的、または
機能的性質を変化させ得、そのような精子細胞の受精率低下をもたらし得るか、または精
子細胞死をもたらし得る。この問題の別の局面は、精子細胞膜脂質が液相からゲル相へと
転移する温度は、精液を収集した哺乳動物の種に依存して変化し得ることであり得る。従
って、哺乳動物の特定種についての精子細胞が精子細胞膜脂質の液相からゲル相への転移
を防止するために維持されなければならない温度は、後に続く収集手順、操作手順、移送
手順および分離手順より前に決定されなければならない。この問題の別の局面は、収集さ
れた精液は、後の操作手順、移送手順、または分離手順の間の精子細胞の生存率および受
精率を維持するために温度を減少させなければならないという従来の理解であり、これは
、収集した精液を既存の慣行的実務よりも実質的に高い温度でインキュベートするか、ま
たは収集した精液の温度を維持する本発明からは離れるように教示する。
【0004】
精子細胞を部分集団へと分離するための従来の方法に伴う別の重大な問題は、精子細胞
が曝される染色剤濃度が、哺乳動物の特定の種より収集された精液に対して非常に高過ぎ
る濃度であり得ることであり得る。たとえば、ウシの精子細胞を染色するために慣用的に
使用されるHoechst 33342染色剤の濃度に曝されたウマの精子細胞は、受精
能の実質的な低下を示し得る。
【0005】
精子細胞を部分集団へと分離するための従来の方法に伴う別の重大な問題は、精子細胞
が染色剤(例えば、Hoechst 33342)内でインキュベートされる時間の長さ
であり得、これは、哺乳動物の特定の種にとって長過ぎるものであり得る。例えば、Ho
echst 33342内で一時間インキュベートされたウマの精子細胞は、運動性また
は受精能の実質的減損を示し得る。
【0006】
精液を操作するための慣用的な方法に伴うさらに別の重大な問題は、精子細胞が、運動
性または受精能の実質的な減損を示す組成物を用いた精液の増量であり得る。
【0007】
たとえ精子細胞を分離する様々な装置および方法が改善されたとしても、収集プロセス
、操作プロセス、移送プロセス、分離プロセス、使用プロセス、または保存プロセスの間
の精子細胞生存率を維持することに関する重大な問題は残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の広範な目的は、精子の生存率を維持または増強するための精液または
精子細胞の収集、操作、移送、分離のための装置または方法を提供することであり得る。
【0009】
本発明の別の広範な目的は、精子の生存率を維持または増強するための精液または精子
細胞(ウマ、ウシ、ネコ、ヒツジ、イヌ、バッファロー、雄ウシ、ヘラジカ、またはブタ
を含むがこれらに限定されない種々の哺乳動物種から収集された;または、ある哺乳動物
種の獲物個体、絶滅寸前個体、または希少個体から収集された;または動物標本から収集
された)を収集、操作、移送、保存、または分離の装置または方法を提供することであり
得る。
【0010】
本発明の別の重要な目的は、ウマの哺乳動物から得られた精子細胞を操作および移送す
るための装置または方法を提供することであり得る。
【0011】
別の本発明の重要な目的は、フローソーティングプロセス全体にわたって哺乳動物精子
細胞のより高い生存率を維持し得る精子細胞を分離する装置または方法を提供することで
あり得る。
【0012】
本発明の別の重要な目的は、哺乳動物の様々な種(例えば、上記)における人工受精の
ため、またはそのような精子細胞が、豊富なX染色体保有精子細胞または豊富なY染色体
保有精子細胞へと分離されるにせよ、分離されないにせよ、このような人工受精の手順に
おいて使用される精子細胞の一般的な数または典型的な数と比較し少ない精子細胞数また
は減じた精子細胞数を用いる人工受精ため、より高い生存率で精子細胞を維持する装置ま
たは方法を提供することであり得る。
【0013】
本発明の別の重要な目的は、それより上では精子細胞の膜脂質が液相からゲル相へと転
移する温度で精子細胞をインキュベートする方法を提供することであり得る。
【0014】
本発明の別の重要な目的は、精子細胞のフローソーティングによる分離前に種馬精液の
移送のための装置または方法を提供することであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
精子細胞を分離する方法であって、該方法は、以下:
a.哺乳動物の一種のオスから精液(複数の精子細胞を含む)を獲得する工程、
b.精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上で該精液をインキュベ
ートする工程、
c.複数の該精子細胞の精子細胞形質を決定する工程、
d.該精子細胞形質に基づいて該精子細胞を分離する工程、および
e.分離した精子細胞を収集する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
前記温度(精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上)において、精子
細胞の膜脂質がゲル相へと転移する温度以上で前記精液をインキュベートする工程を包含
する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目3)
前記温度(精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上)において、該精
子細胞の膜脂質を該液体に維持する温度で前記精液をインキュベートする工程を包含する
、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目4)
精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上の温度で前記精液をインキュ
ベートする前記工程は、該精液をおよそ5℃とおよそ25℃との間の温度でインキュベー
トする工程を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目5)
前記温度は、およそ5℃、およそ6℃、およそ7℃、およそ8℃、およそ9℃、およそ1
0℃、およそ11℃、およそ12℃、およそ13℃、およそ14℃、およそ15℃、およ
そ16℃、およそ17℃、およそ18℃、およそ19℃、およそ20℃、およそ21℃、
およそ22℃、およそ23℃、およそ24℃、および、およそ25℃からなる群より選択
される、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目6)
前記哺乳動物の一種は、哺乳動物のウシの一種、哺乳動物のウマの一種、哺乳動物のヒツ
ジの一種、哺乳動物のブタの一種、哺乳動物のイヌの一種、哺乳動物のネコの一種、哺乳
動物のシカの一種、哺乳動物のヘラジカの一種、および哺乳動物の海洋の種からなる群よ
り選択される、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目7)
前記哺乳動物の一種は、ウシの一種を含み、かつ精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へ
と転移する温度以上の温度で前記精液をインキュベートする前記工程は、該精液をおよそ
17℃とおよそ19℃との間の温度でインキュベートする工程を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目8)
前記哺乳動物の一種は、ウシの一種を含み、かつ精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へ
と転移する温度以上の温度で前記精液をインキュベートする前記工程は、該精液をおよそ
17℃の温度でインキュベートする工程を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目9)
前記哺乳動物の一種は、ウマの一種を含み、かつ精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へ
と転移する温度以上の温度で前記精液をインキュベートする前記工程は、該精液をおよそ
15℃の温度でインキュベートする工程を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目10)
精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上で前記精液をインキュベート
する前記工程は、該精液を該温度(精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温
度以上)で、およそ1時間とおよそ18時間との間インキュベートする工程を包含する、
項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目11)
精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上で前記精液をインキュベート
する前記工程の間に、第一の位置から第二の位置へ該精液を移動させる工程をさらに包含
する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目12)
精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上で前記精液をインキュベート
する前記工程の前に、該精液に対して抗生物質を添加する工程をさらに包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目13)
前記精液内の複数の精子細胞の精子細胞形質を決定する前記工程は、
該精子細胞の性形質を決定する工程を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目14)
前記精子細胞形質に基づいて該精子細胞を分離する前記工程は、前記性形質に基づいて該
精子細胞を分離する工程を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目15)
KMTおよびINRA96からなる群より選択される増量剤を用いて精液を増量する工程
をさらに包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目16)
精漿の一部を取除くことにより前記精子細胞を濃縮する工程をさらに包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目17)
前記精子細胞を染色する工程をさらに包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目18)
前期精子細胞を染色する前記工程は、該精子細胞内に含まれるDNAを染色する工程を包
含する、項目17に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目19)
前記精子細胞内に含まれるDNAを染色する前記工程は、Hoechst 33342染
色を用いて該精子細胞内の該DNAを染色する工程を包含する、項目18に記載の精子
細胞を分離する方法。
(項目20)
Hoechst 33342染色を用いて前記精子細胞内の前記DNAを染色する前記工
程は、およそ30分とおよそ1時間との間Hoechst 33342と共に該精子細胞
をインキュベートする工程を包含する、項目19に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目21)
前記精子細胞形質に基づいて該精子細胞を分離する前記工程は、フローサイトメーター、
およびセルソーターからなる群より選択される装置を使用して該精子細胞を分離する工程
を包含する、項目1に記載の精子細胞を分離する方法。
(項目22)
人工受精サンプルであって以下:
a.人工受精装置、
b.精子細胞増量剤、および
c.哺乳動物の一種のオスから獲得した精液(複数の精子細胞を含む)であって、該精
液は精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上で1時間と18時間との
間の期間インキュベートされており、該複数の精子細胞は性形質に基づいて分離され、該
分離した精子細胞の一部が、該精子細胞増量剤内に確立され、かつ該精子細胞増量剤内に
確立した該分離した該精子細胞の一部は、該人工受精装置内に収容される、精液、
を含む、人工授精サンプル。
(項目23)
前記精子細胞増量剤は、卵黄増量剤を含む、項目22に記載の人工受精サンプル。
(項目24)
前記精子細胞増量剤は、卵黄−TRIS増量剤を含む、項目22に記載の人工受精サンプル。
(項目25)
前記精子細胞増量剤は、実質的に等量の前記卵黄−TRIS増量剤および卵黄−TRIS
増量剤/12%グリセロールを含む、項目22に記載の人工受精サンプル。
(項目26)
前記精子細胞増量剤は、およそ0.1mlと2.0mlとの間の容量を有する、項目23、24、または25に記載の人工受精サンプル。
(項目27)
前記人工受精装置は、人工受精ストローを備える、項目22に記載の人工受精サンプル

(項目28)
前記精子細胞増量剤内に確立した前記分離した精子細胞の一部は、およそ100,000
とおよそ25,000,000との間の分離した精子細胞を含む、項目22に記載の人工受精サンプル。
(項目29)
前記人工受精装置内に収容される、前記精子細胞増量剤中で確立した、前記分離した精子
細胞の一部は、凍結されている、項目28に記載の人工受精サンプル。
(項目30)
前記人工受精装置内に収容される、前記精子細胞増量剤中で凍結されている前記分離した
精子細胞の一部が、解凍される、項目29に記載の人工受精サンプル。
(項目31)
人工受精サンプルを産生する方法であって、該方法は以下の工程:
a.哺乳動物の一種のオスから精液(複数の精子細胞を含む)を獲得する工程、
b.精子細胞の膜脂質が液体相からゲル相へと転移する温度以上で該精液をインキュベ
ートする工程、
c.該複数の精子細胞の性形質を決定する工程、
d.該性形質に基づいて該複数の精子細胞を分離する工程、および
e.該哺乳動物の該種のメスの内部の少なくとも一つの卵子と受精することが可能な分
離した精子細胞を含む人工受精サンプルを確立する工程、
を包含する、方法。
(項目32)
哺乳動物を受精させる方法であって、該方法は以下の工程:
a.哺乳動物の一種のオスから精液(複数の精子細胞を含む)を獲得する工程、
b.精子細胞の膜脂質がゲル相へと転移する温度以上で該精液をインキュベートする工
程、
c.該複数の精子細胞の性形質を決定する工程、
d.該性形質に基づいて該複数の精子細胞を分離する工程、
e.該哺乳動物の該種のメスの内部の少なくとも一つの卵子と受精することが可能な分
離した精子細胞を含む人工受精サンプルを確立する工程、
f.該哺乳動物の該種のメスの内部へ、該受精サンプルの一部を挿入する工程、および

g.該哺乳動物の該種のメスの内部の少なくとも一つの卵子と受精させる工程、
を包含する、方法。
(項目33)
哺乳動物の子孫を産生する方法であって、該方法は以下の工程:
a.哺乳動物の一種のオスから精液(複数の精子細胞を含む)を獲得する工程、
b.精子細胞の膜脂質がゲル相へと転移する温度以上で該精液をインキュベートする工
程、
c.該複数の精子細胞の性形質を決定する工程、
d.該性形質に基づいて該複数の精子細胞を分離する工程、
e.該哺乳動物の該種のメスの内部の少なくとも一つの卵子と受精することが可能な分
離した精子細胞を含む人工受精サンプルを確立する工程、
f.該哺乳動物の該種のメスの内部へ該受精サンプルの一部を挿入する工程、
g.該哺乳動物の該種のメスの内部の少なくとも一つの卵子と受精させる工程、および
h.哺乳動物の子孫を産生する工程、
を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、染色剤濃度が増加するにつれて精子細胞の総合的な運動性および直進性の精子細胞の運動性の低下、死精子細胞%の増加、およびY染色体精子細胞からX染色体保有精子細胞を分離するためのフローサイトメトリー技術の能力の増加を示すグラフを提供する。
【図2】図2は、KMT内に希釈された精子細胞は、新鮮な精子サンプルおよび室温で一定期間(例えば、室温で18時間)保存された精子細胞の両者に関して、より高い運動性を残していることを示すグラフを提供する。
【図3】図3は、より高いpHで精子細胞を染色することは、染色された精子細胞サンプルにおける死精子細胞%を減少させ得かつ、フローサイトメトリー分析による評価の際の分離度を高め得ることを示すグラフを提供する。
【図4】図4は、染色のインキュベーション期間を慣用的期間60分から約30分のインキュベーション期間へ減少させることは、染色された精子細胞サンプルにおける運動性を高め得、かつ死精子細胞%を減少し得、染色された精子細胞のフローソーティングの間にY染色体保有精子細胞からX染色体保有精子細胞を分離することを増大し得ることを示すグラフを提供する。
【図5】図5は、刺激物(例えば、カフェイン)の添加は、精子細胞における運動性を高め得ることを示すグラフを提供する。
【図6】図6は、NaHPOを用いて調製された改変KMTの使用に関する精子細胞の総合的な運動性および直進性の運動性を示すグラフを提供する。
【図7】図7は、精子細胞の総合的な運動性および直進性の運動性は、精子細胞が刺激物(例えば、カフェイン)に曝されてもいなくても、NaHPOを用いて調製された改変KMTを使用することにより高められ得ることを示すグラフを提供する。
【図8】図8は、温度が、総合的な運動性および直進性の運動性を高めるため精子細胞(哺乳動物の一種のオスから得たもの)を保存、操作、移送、または輸送のために調節され得ることを示すグラフを提供する。
【図9】図9は、染色手順より前に精子細胞が移送され、保存され、または操作される温度は、精子細胞または刺激された精子細胞、またはカフェインを用いて刺激された精子細胞の総合的な運動性もしくは直進性の運動性を高めるために、調整され得ることを示すグラフを提供する。
【図10】図10は、染色手順より前に精子細胞が移送され、保存され、または操作される温度は、染色手順の後の精子細胞または刺激された精子細胞、またはカフェインを用いて刺激された精子細胞の総合的な運動性もしくは直進性の運動性を高めるために、調整され得ることを示すグラフを提供する。
【図11】図11は、染色された精子細胞サンプルにおける死精子細胞%は、15℃で精子細胞を保存または移送することにより減少させ得ることを示すグラフを提供する。
【図12】図12は、精子細胞は、染色中の精子細胞濃度が、フローサイトメトリー分離の損失は除き約100M/mLであるとき、200M/mLに対して、より高い生存度のままであり得ることを示すグラフを提供する。
【図13】図13は、染色剤の濃度を増加するにつれて、より少数の精子細胞しか生存しないことおよび分離度は高まることを示すグラフを提供する。
【図14】図14は、染色時間は、フローサイトメトリーにより評価される精子細胞のX染色体保有集団とY染色体保有集団との間の分離度を損失することなく実質的に減少させられ得ることを示すグラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明を実施するための形態)
種々の収集手順、操作手順、保存手順、輸送手順、分離手順または受精手順の状況にお
いて精子細胞の生物学的性質、化学的性質、物理的性質、生理学的性質もしくは機能的性
質を維持または高めるための精液または精子細胞操作システム。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
精液は、受精可能な3頭の種馬から収集し、タイロードベースのスキムミルク−グルコ
ース増量剤に1mLごとに約25×10精子となるよう希釈し、そして18時間、約5
℃または約15℃のいずれかにて保存した。保存の後、精子(spermatozoa)
を、遠心分離し精漿を取り除き、そして精子(sperm)を濃縮し、Hoechst
33342(Hoechst)で染色し、そしてSX MoFlo(登録商標)精子ソー
ターを用いてDNA含有量に基づいて富化されたX染色体保有集団とY染色体保有集団と
に選別した。
【0019】
300μlの容積での約20×10のフローソート(flow−sorted)精子
を、全て受精のために使用した。2齢から12齢の35頭の雌ウマの発情期を、同調化し
た。直径35mm以上の優性小胞が現れた場合、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG;3
000 IU,iv;Chorulon(登録商標),Intervet,Millsb
oro,DE,USA)を投与し、そして雌ウマは、hCG投与後約30時間で受精した
。受精の際、雌ウマは、3つの処置群に1頭割り当てた:1)15℃で精子を保存しビデ
オ内視鏡の技術を用いて受精させた;2)5℃で精子を保存し、またビデオ内視鏡の方法
を用いて受精させた;および3)5℃で精子を保存し、直腸誘導技術(rectally
guided technique)を用いて受精させた。
【0020】
雌ウマを、ブトルファノール(4mg,iv;Torbugesic(登録商標),F
t.Dodge Co.,Fort Dodge,IA,USA)およびデトミジン(6
mg,iv;Dormosedan(登録商標),Pfizer,Lees Summi
t,MO,USA)を用いて受精直前に落ち着かせた。雌ウマを、排卵について毎日評価
し、受精後48時間以内に排卵している雌ウマのみを結果に含めた。妊娠を、排卵後12
日から14日で超音波診断により決定した。雌ウマは、2周期後の使用のため、排卵後1
6日にプロスタグランジンFαを投与した。
【0021】
15℃で保存されたソート精子を用いて子宮鏡(hysteroscopically
)により受精させた雌ウマ間の受精率は、表1に示されるように約72%であり、また5
℃で保存された精子を用いた受精率は、約55%であった。保存されたソート精子を受精
させた場合、子宮鏡受精(55%)と比較して直腸誘導受精(38%)をした後、妊娠す
る雌ウマはより少ないという傾向(P=0.12)があった。
【0022】
【表1】


より多い数の雌ウマが、5℃と比較して、選別前に15℃で保存されたソート精子を用
いて受精をした後、妊娠した。受精率としてのこの効果は、5℃と比較し、選別の前に1
5℃で18時間保存された後の種馬と一致した。
【0023】
標準的な方法(5℃、12時間から72時間)により輸送された1×10種馬精子に
よる受精後の予想される妊娠率は、65%である。本研究において得られた妊娠率(72
%)は、目覚しいものであり、簡便な技術を使用して18時間保存されたフローソート精
子細胞を用いて得られた妊娠率(35%)を超える劇的な改善を示す。この受精率の増加
は、フローサイトメトリー前の精子操作に影響し得る。全ての受精した雌ウマの妊娠率が
、極めて低い本発明を適用する間の二日間を除いたとしても、本研究の妊娠率は、より高
い。
【0024】
子宮鏡受精は、深部−子宮(deep uterine)受精よりも高い妊娠率を生じ
た。これは、Rigbyら(彼らは、輸送された精子を使用した場合、ビデオ内視鏡受精
と直腸誘導受精との間の妊娠率は、類似していると報告した)と対照的である。しかし、
これらの結果は、子宮鏡受精に対する12パーセンテージポイントの利点を示さなかった
。その研究と対照的に、本試行では、フローソート精子細胞(受精能獲得前の状態にある
ことが公知である)を利用した。要約すると、優れた妊娠率は、18時間保存されたフロ
ーソート精子細胞(spermatozoa)の子宮鏡受精を用いて得られた。
【0025】
5℃と比較した場合、約15℃で精子が維持された場合、全3頭の種馬について妊娠率
は、より高かった。15℃で保存された精子を用いた子宮鏡受精は、5℃で保存された精
子の直腸誘導受精よりも、高い妊娠率を得た。
【0026】
従って、本発明の精子細胞操作システムは、哺乳動物の一種のオスから精子細胞を得る
こと、哺乳動物のこのような種のこのようなメスのより高い妊娠率を生じる5℃と25℃
との間の範囲内で選択される温度で、哺乳動物の種のメスの人工受精の前に哺乳動物のオ
ス種から得た精子細胞を維持することを包含し得る。ウマの種に関して、および特に開示
されたウマの種に関して、ウマのオスから得た精子細胞が、妊娠率を高めるために本発明
に従って維持される温度は、約10℃〜約20℃との間であり得、具体的には約15℃で
あり得る。ウマを含む用途についての以下の実施例を参照のこと。また、ヘラジカの一種
のオスから得た精子細胞は、メスヘラジカの受精の前に約20℃で維持される本発明の用
途を示している以下の実施例8を参照のこと。
【0027】
本発明の精子細胞操作システムは、本発明に従う温度で維持された哺乳動物の一種のオ
スから得た精子細胞の輸送をさらに含み得る。このような輸送は、一時間より少ない限定
された期間を有し得るか、または約1時間と約72時間との間でより延長された期間を有
し得るか、または記載されるように約18時間の期間であり得る。
【0028】
本発明は、上記のように、哺乳動物のこのような種のこのようなメスの最高の妊娠率を
生じる温度で維持された哺乳動物の一種のオスから得た精子細胞を染色する工程をさらに
包含し得る。
【0029】
本発明は、哺乳動物のその種のそのメスの子宮鏡人工受精または直腸誘導人工受精をさ
らに含み得る。特に、本明細書中に含まれる参考文献による援用により記載されるように
、精子細胞を用いたウマ哺乳動物の子宮鏡受精が、性別事前選択のために選別されこれは
、本発明に従って取り扱われ得、そしてさらに哺乳動物の特定種(ウマ哺乳動物を含むが
それに限定されない)のメスを受精させるために代表的に使用される精子細胞の数と比較
して少ない数の精子細胞をさらに含み得る。
【0030】
(実施例2)
8頭の種馬由来の精液を、表2に示すように4つの輸送(shipping)増量剤の
各々の中に約25×10精子/mlとなるように希釈した。18時間の模擬輸送の間、
サンプルを、15℃で保存されたINRA96内に希釈されたサンプルを除き、周囲温度
(20℃から24℃)に保った。保存後、サンプルを10分間600×gで遠心分離し、
ペレットを400×10精子/mlまで希釈した。1時間19℃〜24℃でインキュベ
ーションし、そして200×10精子/mlまで希釈した後、精子細胞を、224μM
のHoechst 33342を用いて1時間、34℃で染色し、次いでKMT中で10
0×10精子/mlまで希釈した。選別条件をシュミレートするため、精子を、BSA
を含まないHBGM−3に700,000精子/mlとなるように希釈し、20分間85
0×gで遠心分離する前に1.5時間周囲温度で維持した。運動性を、表2で示されるよ
うに、4つの化学的環境で評価した。
【0031】
【表2】


表2に示されたデータから理解され得るように、KMTおよびINRA96は、特定の
精子細胞操作工程を通してより高い運動性を維持した。
【0032】
本発明の精子細胞操作システムは、哺乳動物の一種のオスから得た精子細胞をKMTに
増量する工程をさらに包含し得、特に哺乳動物のウマの一種のオスから得た精子細胞に関
して、KMTは、精子細胞の運動性を有意に増加し得る。
【0033】
本発明の精子細胞操作システムは、哺乳動物の一種のオスから得た精子細胞をINRA
96に増量する工程をさらに包含し、特に哺乳動物のウマの一種のオスから得た精子細胞
に関して、INRA96は、精子細胞の運動性を有意に増加し得る。
【0034】
(実施例3)
8頭の種馬からの精液を、KMTに25×10精子細胞/mlまで希釈し、40ml
のアリコートを、18時間5℃、10℃、15℃、20℃、および25℃で配置した。サ
ンプルを次いで、実施例2の方法と同様に操作した。運動性を、刺激物として2mMのカ
フェインを用いておよびカフェインを用いることなく両方評価した。死数%のフローサイ
トメトリー評価を、プロピジウムヨウ化物染色を用いて行った。
【0035】
【表3】


表3に示されるように、KMTの使用は、5℃、10℃、または15℃の保存温度また
は輸送温度に関して運動性の差異を減少させ得る。
【0036】
従って、本発明の精子細胞操作システムは、Hoechst染色剤を用いてこのような
精子細胞を染色する前におよびこのような精子細胞のフローソートの前に哺乳動物の一種
のオスから得たこのような精子細胞をこのようなKMT濃度で希釈する工程または維持す
る工程をさらに含み得る。
【0037】
(実施例4)
3頭の種馬からの精液中の精子細胞を、始めに、容量、濃度、および運動性について評
価した。残りの射精の一部を、0%のさらなる精子細胞のプラズマまたは10%の精子細
胞のプラズマのいずれかを用いてKMTまたはEZ混合液のいずれかを用いて、以下の精
子細胞/染色剤濃度:50×10精子/mL、2.6μl Hoechst;50×1
精子/mL、3.9μl Hoechst;150×10精子/mL、7.8μl
Hoechst;または450×10精子/mL、23.4μl Hoechstと
なるような濃度で希釈し、そして室温にて、直ちに、または18時間の保存の後に処理す
る。染色した精子細胞サンプルを次いで、フローサイトメトリー分析により、融解または
死数%について評価し、そして運動性を、140μlのEZ混合液またはKMTを用いて
20μlの染色した精子細胞の各サンプルをさらに希釈することにより評価した。
【0038】
図1をここで主に参照すると、染色濃度が増加するにつれて、精子細胞(特にウマの精
子細胞)の総合的運動性および直進性運動性は減少し、精子細胞の死数%は増加し、そし
てフローサイトメトリー技術のY染色体保有精子細胞からX染色体保有精子細胞を分離す
る能力は高まる。
【0039】
本発明の精子細胞操作システムは、特定の種から得た精子細胞に関する一般的な技術に
おいて使用される染色濃度の範囲、または開示されているような染色濃度の他の範囲と比
較して、染色した精子細胞の総合的運動性または直進性運動性の増強、フローソートの間
のY染色体保有精子細胞からX染色体保有精子細胞の分離の増強;または精子細胞の死数
%における減少を提供する染色濃度の範囲を含み得る。特に本発明のウマの用途について
、総合的運動性または直進性運動性の増強、フローソートの間のY染色体保有精子細胞か
らX染色体保有精子細胞の分離の増強;または染色した精子細胞サンプルにおける精子細
胞の死数%の減少を提供し得る染色濃度の範囲は、約50×10精子/mL、2.6μ
l Hoechst;50×10精子/mL、3.9μl Hoechstとの間であ
り得る。他方、結果があまり好ましくない染色濃度の範囲は、150×10精子/mL
、7.8μl Hoechst〜約450×10精子/mL、23.4μl Hoec
hstまでの間であり得る。
【0040】
図2をここで主に参照すると、KMT中で希釈された精子細胞は、新鮮な精子サンプル
および室温でしばらく保存された(例えば、室温で18時間)精子サンプルの両者に対し
てより運動性が残っていることが理解され得る。
【0041】
本発明はさらに、新鮮な精子細胞、しばらく保存した(例えば、18時間までまたはそ
れより長く)精子細胞、あるいは、第一の場所(例えば、精子細胞をオス哺乳動物から得
た場所)から第二の場所または複数の場所(オス哺乳動物から得た精子細胞をさらに操作
する場所(精子細胞の計算、Y染色体保有精子細胞からX染色体保有精子細胞の分離、も
しくは人工受精のための精子のストロー製品を含むがこれに限定はされない製品を含む精
子細胞の調整(選別されるか、または選別されない)が生ずる場所)あるいは第二の場所
または複数の場所(哺乳動物のメスの一種の受精が生ずる場所、卵子がインビトロで受精
する場所、など)へ移動または輸送した精子細胞の総合的運動性および直進性運動性を高
めるために、増量剤としてKMTの使用をさらに含み得る。
【0042】
(実施例5)
三頭の種馬からの射精液内の精子細胞を始めに、容量、濃度、および運動性について調
べた。各射精液の一部の残りは、25×10精子細胞/mLとなるようにKMT内に希
釈し、そして18時間室温で保存した。保存した射精液は、600gで10分間遠心する
ことによりペレット化した。ペレット化した精子細胞は、Hoechstを伴うKMT内
に400×10精子細胞/mL、12.4μl Hoechstの精子細胞サンプルと
なるように再懸濁し、7.1pHまたは7.9pHのいずれかに調製し、次いで34℃で
30分間または60分間のいずれかの間インキュベートした。染色した精子細胞サンプル
は、1.5μl/mLの5%赤食用色素を伴う1mL KMT;2.0μl/mLの5%
赤食用色素を伴う1mL KMT;2.5μl/mLの5%赤食用色素を伴う1mL K
MT;または3.0μl/mLの2%赤食用色素を伴う1mL KMTのいずれかを用い
て希釈した。精子細胞サンプルを次いで、フローサイトメトリー分析により、死数%およ
び分離について調べ、ならびに運動性について、処理されたサンプルをさらに140μl
KMT:20μl精子細胞;140μl KMT 2mMカフェイン:20μl精子細
胞;140μl KMT、2.5mM NaPyruvate:20μl精子細胞のいず
れかに希釈することにより調べた。
【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
【表9】


図3をここで主に参照すると、高いpHで染色している精子細胞は、フローサイトメト
リー分析により調べた際の死精子細胞%を減少させ得ることが理解され得る。
【0049】
図4をここで主に参照すると、精子細胞を染色するためのインキュベーション時間を一
般的な時間の60分間から30分間へと短縮させることは、死精子細胞%を減少させ得、
ならびにフローサイトメトリーの間におけるY染色体保有精子細胞からX染色体保有精子
細胞の分離能を高め得ることが理解され得る。
【0050】
図5をここで主に参照すると、刺激物(例えば、約2mMの濃度のカフェイン)を添加
することは、精子細胞における運動性を刺激し得、ならびに特にストレスを与えたウマ精
子細胞を刺激することにおいて効果的であり得ることが理解され得る。
【0051】
従って、本発明はさらに、その溶液内で哺乳動物の一種のオスから収集した精子細胞を
蛍光色素(例えば、Hoechst)を用いて染色を行う、その溶液のpHを調整する工
程を包含し得る。染色溶液のpHは、特定の精子細胞サンプルにとって望ましいpHまた
は染色した精子細胞サンプルの特定のタイプにおける死数%が減少または最小となるpH
を選択するため、約7.2pH〜8.0pHの間まで高められ得る。特に、ウマ雄から収
集した精子細胞に関しては、染色溶液のpHは、約7.5pH〜8.0pHの間まで高め
られ得ならびに特に染色した精子細胞サンプルにおける死ウマ精子細胞%を減少させるた
め7.9pHであり得る。
【0052】
本発明はさらに、精子細胞を、染色した精子細胞サンプルにおける死数%を減少させる
ために、または運動性を増加させるために、またはフローソートまたは他のDNA含有量
に基づいて選別する際、Y染色体保有精子細胞からX染色体保有精子細胞の分離能を高め
るために、染色溶液の中でインキュベートする時間を短縮させる工程を包含し得る。本発
明において使用した用途に依存して、精子細胞を染色溶液に曝すか、染色溶液内でインキ
ュベートするか、または、そうでなければ染色溶液内に懸濁する時間を、実質的に短縮さ
せ得る。この時間の短縮率は、一般的に使用される時間量から10%、20%、30%、
40%、50%、またはそれ以上であり得;またはフローソート中の分離能を有意に減少
させることなく、蛍光色素を用いて染色することによる死精子細胞数を減少させる時間の
減少であり得;または染色したサンプルにおける精子細胞の死数%が有意に増加すること
なくフローソート中の分離能を高める結果を生ずる時間の短縮であり得る。ウマ精子細胞
サンプルが、例えば、Hoechstの染色溶液内でインキュベートされる(上記)時間
の量は、より大きなフローソートする分離能を得るため、または精子細胞の死数%を減少
させるため、約25分間〜約50分間との間であり得、そして特に30分間であり得る。
実際の時間の短縮は、染色する直前の精子細胞の集団内における運動性、精子細胞の死数
%、および流動選別分解能との間に望ましいバランスを与えるために決定され得る。
【0053】
本発明はさらに、精子細胞サンプルに刺激物を加える工程を包含し得る。この刺激物は
、カフェイン、またはカフェインに類似する刺激物、または精子細胞の運動性もしくは他
の精子細胞機能もしくは性質(力学的または生理学的いづれにせよ)を高める刺激物であ
り得る。刺激物は、精子細胞を操作工程(例えば、保存、輸送、希釈、流動選別、受精、
等)に曝す前または曝した後に添加され得る。特に、約1mMと約5mMとの間の濃度の
カフェインを使用し得、そして特にウマ精子細胞に関しては、2mM濃度のカフェインを
使用し得る。
【0054】
(実施例6)
十頭の種馬からの射精液を始めに、容量、精子細胞濃度、および運動性について調べた
。各射精液の一部の残りは、NaPO KMTを用いて調製したKMTまたはN
aHPO(KMT−mod.)を用いて調製したKMTのいずれかに25×10
子細胞/mLとなるように希釈し、そして18時間、5℃、10℃、15℃、20℃、2
5℃で保存した。操作する精子細胞の100μlのアリコートは次いで、100μlのK
MTまたは100μlのKMT、4mMのカフェインを用いて希釈し、そして精子細胞の
運動性を調べた。各サンプルの操作する精子細胞の一部の残りを、600gで10分間遠
心した。その上澄みを約0.75ml吸引し、そしてペレット化した精子細胞を、その容
量に再懸濁した。遠心後、操作する精子細胞の運動性を、520μlのKMTまたは52
0μlのKMT、2mMのカフェインのいずれかを用いて、各サンプルの20μlを希釈
した後、調べた。
【0055】
7.1pHに調製された各操作群の200×10精子細胞/mL、12.4μl H
oechstであるアリコートを、34℃で60分間インキュベートした。染色した精子
細胞サンプルは、1.5μl/mLの5%赤食用色素を伴う1mLのKMTを用いて希釈
した。希釈度が大きいサンプルは次いで、3mLのKMTまたは3mLのKMT−mod
.および22mLの5mM HBGM−3を175μlの染色した精子(100×10
精子細胞/mL)に加えることにより調製した。
【0056】
操作する精子細胞サンプルを次いで、フローサイトメトリー分析により、死数%および
分離について調べ、そして運動性について、操作するサンプルをさらに140μl KM
T:20μl精子細胞;または140μl KMT 2mMカフェイン:20μl精子細
胞へ希釈することにより調べた。
【0057】
【表10】

【0058】
【表11】

【0059】
【表12】

【0060】
【表13】

【0061】
【表14】

【0062】
【表15】

【0063】
【表16】

【0064】
【表17】

【0065】
【表18】

【0066】
【表19】

【0067】
【表20】


図6をここで主に参照すると、精子細胞の総合的な運動性および直進性の運動性は、N
aHPOを用いて調製された改変したKMTの使用により生じた結果を示す。
【0068】
図7をここで主に参照すると、操作工程(例えば、流動選別するために染色すること)
および精子細胞を希釈する工程の後の精子細胞の総合的な運動性および直進性の運動性は
、精子細胞を刺激物(例えば、カフェイン)に曝しても、曝さなくても、NaHPO
を用いて調製された改変したKMTの使用により、増加し得ないことが理解され得る。
【0069】
図8をここで主に参照すると、温度は、総合的な運動性および直進性の運動性を高める
ために、哺乳動物の一種のオスからから得た精子細胞の保存、操作、移動、または輸送に
合わせて調節され得ることが理解され得る。哺乳動物の特定種由来のいくつかの精子細胞
に関しては、約15℃で、保存、操作、移動、または輸送することは、精子細胞または刺
激した精子細胞の総合的な運動性または直進性の運動性の最も高いレベルを維持し得る。
【0070】
図9をここで主に参照すると、精子細胞を、染色プロトコールの前に移動、保存、また
は操作する(上記)温度を、精子細胞、または刺激した精子細胞、またはカフェインを用
いて刺激した精子細胞の総合的運動性または直進性運動性を増加させるため調節し得るこ
とが理解され得る。本発明の特定の実施形態(ウマ精子細胞を操作、保存、移動または輸
送することを含む)に関して、約5℃〜約25℃の間である温度は、精子細胞の総合的な
運動性および直進性の運動性を高め得る。さらに、本発明に従って処理した刺激した精子
細胞(ウマ精子細胞を、カフェインを用いて刺激するか、操作するか、保存するか、また
は移動させることを含む、本発明の実施形態を含む)に関しては、5℃〜約20℃との間
である温度はまた、総合的な運動性および直進性の運動性を高め得る。特に、刺激したウ
マ精子細胞を操作するために使用される本発明の実施形態は、刺激したウマ精子細胞の操
作、保存、または移動を行うため約10℃〜約15℃との間の温度を含む。
【0071】
図10をここで主に参照すると、精子細胞を、染色プロトコールの前に移動、保存、ま
たは操作する(上記)温度が、染色プロトコールの後、精子細胞、または刺激した精子細
胞、またはカフェインを用いて刺激した精子細胞の総合的運動性または直進性運動性を増
加させるため調節され得るということを理解し得る。本発明の特定の実施形態(ウマ精子
細胞を操作、保存、移動または輸送することを含む)に関しては、約5℃から約20℃と
の間である温度は、染色プロコールの後の精子細胞の総合的な運動性および直進性の運動
性を高め得る。さらに、本発明に従って処理した刺激した精子細胞(ウマ精子細胞を、カ
フェインを用いて刺激するか、操作するか、保存するか、または移動させることを含む、
本発明の実施形態を含む)に関しては、5℃〜約20℃との間である温度はまた、総合的
な運動性および直進性の運動性を高め得る。特に、刺激したウマ精子細胞を操作するため
に使用される本発明の実施形態は、刺激したウマ精子細胞の操作、保存、または移動を行
うため約10℃〜約15℃との間の温度を含む。
【0072】
図11をここで主に参照すると、染色後の精子細胞の死数%(上記)が、15℃で精子
細胞を保存または輸送することにより減少し得ることを理解し得る。
【0073】
(実施例7)
十二頭の種馬からの射精液を始めに、容量、精子細胞濃度、および運動性について調べ
た。各射精液の一部の残りを、KMT内に25×10精子細胞/mLとなるように希釈
し、そして18時間、15℃で保存した。保存後の運動性を、次いで100μlのKMT
、4mMのカフェインを用いて希釈する操作する精子細胞の100μlのアリコートを使
用することにより調べた。各サンプルの操作する精子細胞の一部の残りを、600gで1
0分間遠心した。その上澄みを約1.50mLになるまで吸引し、そしてペレット化した
精子細胞を、その容量に再懸濁した。操作する精子細胞は、400×10精子細胞/m
Lとなるように希釈し、アリコートは以下の操作:
1.200×10精子細胞/mL、8.68μl Hoechst 7.1pH、3
4℃で60分間インキュベートする
2.200×10精子細胞/mL、10.54μl Hoechst 7.1pH、
34℃で60分間インキュベートする
3.200×10精子細胞/mL、12.44μl Hoechst 7.1pH、
34℃で60分間インキュベートする
4.200×10精子細胞/mL、8.68μl Hoechst 7.1pH、3
4℃で60分間インキュベートする
5.200×10精子細胞/mL、10.54μl Hoechst 7.1pH、
34℃で30分間インキュベートする
6.200×10精子細胞/mL、12.44μl Hoechst 7.1pH、
34℃で30分間インキュベートする
7.100×10精子細胞/mL、4.34μl Hoechst 7.1pH、3
4℃で60分間インキュベートする
8.100×10精子細胞/mL、5.27μl Hoechst 7.1pH、3
4℃で60分間インキュベートする
9.100×10精子細胞/mL、6.22μl Hoechst 7.1pH、3
4℃で60分間インキュベートする
10.100×10精子細胞/mL、4.34μl Hoechst 7.1pH、
34℃で30分間インキュベートする
11.100×10精子細胞/mL、5.27μl Hoechst 7.1pH、
34℃で30分間インキュベートする
12.100×10精子細胞/mL、6.22μl Hoechst 7.1pH、
34℃で30分間インキュベートする
のために染色チューブに移動させた。
【0074】
各染色した精子細胞のサンプルを、KMT、0.75μl/mL 5%赤食用色素を用
いて75×10精子細胞/mLとなるように希釈した。高い希釈のサンプルは次いで、
3mL KMTおよび22mL 5mM HBGM−3を234μlの染色した精子細胞
サンプル(75×10精子細胞/mL)に加えることにより調製した。各染色した精子
細胞サンプルを次いで、フローサイトメトリー分析により死数%および分離について調べ
、そして運動性を、KMTおよびKMT、2mMカフェイン内で調べた。
【0075】
高希釈サンプルを次いで、3mL KMTおよび22mL 5mM HBGM−3を2
34μlの染色した精子細胞サンプル(75×10精子細胞/mL)に加えることによ
り調製し、室温で約1.5時間インキュベートした。高希釈精子細胞サンプルを次いで、
KMTおよびKMT、4mMカフェイン内の運動性について評価した。
【0076】
図12をここで主に参照すると、染色中の精子細胞濃度が、約100M/mL対200
M/mLであるとき、精子細胞は、分離で損失することなく、より生存し続けることを理
解し得る。
【0077】
精子細胞操作システムの発明の特定の実施形態はさらに、精子細胞を減じる、最小化す
る、または染色後のサンプル内の死数%が、精子細胞の希釈のさらなる増加で減少しない
精子細胞の濃度を得るために約75M/mlと200M/mlとの間となるように一種の
哺乳動物のオスから収集した精子細胞を希釈する工程を包含し得る。特に、本発明のいく
つかの実施形態に関して、精子細胞の濃度は、上記染色手順に続くフローサイトメトリー
により調べた際に死数%を減少させるため、200M/ml未満であり得ならびにウマ精
子細胞に関しては、約100M/mlであり得る。
【0078】
図13をここで主に参照すると、染色濃度を高めるにつれて、より少数の精子細胞が生
存し、ならびに分離能は増加することを理解し得る。
【0079】
図14をここで主に参照すると、染色時間が、フローサイトメトリーにより評価するX
染色体保有精子細胞集団およびY染色体保有精子細胞集団との間の分離能を損失すること
なく、実質的に短縮され得ることを理解し得る。
【0080】
従って、本発明の実施形態はさらに、染色した精子細胞サンプル内の死数%が実質的に
さらに減少しなくなるまで、上記染色プロトコール内で使用する染色濃度を減少させる工
程を含み、そしてさらにY染色体保有流動細胞からX染色体保有精子細胞の分離能が、6
0%未満の純度;または必要なまたは望ましくは、例えば、60%、65%、70%、7
5%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、9
7%、または98%未満の%純度;またはオス哺乳動物のその種由来の精子細胞のために
達成し得る濃度未満の選別された精子細胞;あるいは約500選別/秒から約1000選
別/秒との間、約750選別/秒から約1250選別/秒との間、約1000選別/秒か
ら約1500選別/秒との間;約1250選別/秒から約1750選別/秒との間;約1
500選別/秒から約2000選別/秒との間;約1750選別/秒から約2250選別
/秒との間;約2000選別/秒から約2500選別/秒との間;約2250選別/秒か
ら約2750選別/秒との間;約2500選別/秒から約3000選別/秒との間;約2
750選別/秒から約3250選別/秒との間;約3000選別/秒から約3500選別
/秒との間;約3250選別/秒から約3750選別/秒との間;約3500選別/秒か
ら約4000選別/秒との間;約3750選別/秒から約4250選別/秒との間;約4
000選別/秒から約4500選別/秒との間;約4250選別/秒から約4750選別
/秒との間;約4500選別/秒から約5000選別/秒との間以上の選別速度で、X染
色体保有するものまたは、Y染色体保有するものの内一つまたは両方を別のものから選別
する流れ以上を、生じるまで使用する染色濃度を減少させる工程を含み得る。
【0081】
(実施例8.雌雄識別し凍結した精液を用いた雌ヘラジカの受精)
コロラドおよびミネソタの3齢から6齢の雌ヘラジカを、12日から14日の間、膣へ
のプロゲストロンCIDRの挿入により、9月に発情期を同調させた。CIDRを除去し
、eCGの200IUを、筋肉内に投与し、そしてヘラジカを、60時間後に時間を合わ
せ、受精させた。新鮮な精液を、5齢の雄ヘラジカから電気−射精を介して収集し、そし
て純射精液として、精子−選別研究室への輸送のため約20℃まで4時間をかけてゆっく
りと冷却した。射精液は、15,000×gで10秒間、1.5mlのアリコートを遠心
することにより、染色するために1×10精子/mlまで濃縮した。精液を、112μ
M Hoechst 33342内、200×10精子細胞/mlでTALP培地内に
おいて34℃で45分間、インキュベートし、次いで選別するために100×10/m
lまで希釈した。精子を、X染色体保有精子およびY染色体保有精子のDNA含有量の違
いに基づいて選別した。X染色体保有ヘラジカ精子は、Y染色体保有精子よりも3.8%
多いDNAを含んだ。精子を、TRIS−ベースのシース液を用いて50psiでMoF
lo(登録商標)SXオペレーティングを使用し、4時間にわたってフローソートした。
アルゴンレーザーの351および364バンド(150mWを放出し、Hoechst
33342色素を励起する)を、DNAに対し結合させた。X染色体保有精子およびY染
色体保有精子の両者を収集した(DNAに対し超音波操作した精子アリコートを再分析す
ることにより約92%の純度として確認した)ものを、20%卵黄−TRIS増量剤を2
ml含むチューブへ、約4,700精子/秒で収集した。選別した15mlの容量を連続
的に収集した。各性別の約110×10精子を選別し、90分間にわたって5℃まで冷
却した。増量剤を含む等量のグリセロール(12%)を、選別する容量とするために5℃
で加えた。30mlを含む選別した精子アリコートを、850×gで20分間、4℃で遠
心することにより濃縮した。精子ペレットを、貯蔵し、21.7×10精子細胞/ml
となるように調整し、そして0.25mlのストローにロードした。5×10全精子を
含む各ストローを、液体窒素の蒸気内で凍結した。コントロールとして、同じ射精液由来
の5×10全精子を、性識別した精子と同様に、同時に0.25mlのストロー内で凍
結した。37℃で30秒間解凍した後、精子の65%および60%(コントロールおよび
性識別したもの、それぞれ)は、目測により決定される運動性を徐々に有した。3つの異
なる場所および3つの異なる管理計画で雌ヘラジカを、慣用的な経−子宮頸部(tran
s−cervical)精液沈着を用いて子宮体内で受精させた。妊娠を、妊娠−特異的
プロテインB(Bio Tracking,Moscow,Idaho)について血液を
分析することにより受精後40日に決定した。一つの場所における10頭の雌ヘラジカを
、受精の時に貧状態とし、そして妊娠は、性識別した精子およびコントロールの精子のい
ずれを用いても、達成しなかった。性識別した精子を用いた他の位置における妊娠率(6
1%;11/18)は、コントロールの受精における妊娠率(50%;3/6)と類似し
た。これらの妊娠率(性識別した精子およびコントロールの精子)は、一般的なヘラジカ
の人工授精において使用するよりもより少量の精子より生じた。11頭中9頭(82%)
の性識別された子ヘラジカは、予測された性別であった。
【0082】
本発明はさらに、任意の上記本発明の実施形態に基づいて産生された哺乳動物を含み得
、または本発明の様々な実施形態(X染色体保有精子細胞の富化された集団または、Y染
色体保有精子細胞の富化された集団を有する精子細胞人工授精サンプル、または哺乳動物
の特定種を用いる受精に対して使用する一般的な数と比較して少数の精子細胞を含む精子
細胞受精サンプルを使用する本発明の任意の実施形態に基づいて産生された哺乳動物、ま
たは、上記のような本発明に基づいて産生されたヘラジカ子孫を提供する)に基づく哺乳
動物の性別の事前決定を含み得る。
【0083】
前述から容易に理解され得るように、本発明の基本的な概念は、様々な方法で具体化さ
れ得る。それは、精子細胞操作を成し得る技術および装置の両方含んでいる両精子細胞操
作システムを含む。本出願において、様々な精子細胞操作技術を、記載した様々な装置に
より達成されることを示す結果の一部として、および本来的に利用するための工程として
開示する。それらは単に、意図したようにおよび記載したように装置を利用したことによ
る当然の結果である。さらに、いくつかの装置を、開示する一方で、これらは特定の方法
により達成されるだけではなく、複数の方法に変化し得るものであると理解すべきである
。重要なことは、前述の全てに対するのと同様に、これらの一面の全ても、この開示によ
り包含されると理解すべきである。
【0084】
この非暫定的な用途を含む議論が、基本的な記載として役立つことを意図する。読者は
、特定の議論が可能な全ての実施形態を明確に記載したものではないかもしれないことに
気づくべきである;多くの代替方法を、潜在的に含む。また、本発明の全ての性質を完全
に説明しておらず、ならびに、いかに各特徴またはエレメントが実際に、幅広い機能また
は非常に様々な代替方法または等価のエレメントを表すものであるか明確に示していない
かもしれない。さらに、これらは、暗黙的に本明細書中の開示内に含まれる。本発明を、
装置−優先の用語で記載する場合、装置の各エレメントは、暗黙的に機能を果たす。装置
の請求項は、記載した装置を含むだけではなく、方法およびプロセスの請求項も、本発明
および各エレメントが果たす機能を扱うため含まれ得る。概要および用語を、請求の範囲
に限定することを意図しない。
【0085】
さらに、本発明の様々な各エレメントおよび特許請求の範囲また、多様な様式により達
成し得る。本開示は、そのような各バリエーションを含むものとして理解すべきであり、
任意の装置実施形態、方法実施形態またはプロセス実施形態のバリエーション、または単
にさらにこれらの任意のエレメントのバリエーションの実施形態のはずである。特に、開
示が本発明のエレメントに関する場合、各エレメントに対する言葉は、等価な装置の用語
または等価な方法の用語(たとえ機能または結果のみが、同一であっても)により表現さ
れ得る。そのような等価な用語、幅広い用語、またはより一般的でさえある用語は、各エ
レメントまたは作用の記載内に含まれると考えるべきである。そのような用語は、本発明
が権利化されたところに内在する広い範囲を明らかにすることが望まれた場合に置換され
得る。一つの例として、全ての作用は、作用を獲得するための手段として、または作用を
生じるエレメントとして表現され得ると理解すべきである。同様に、開示した各物理学的
なエレメントは、物理学的なエレメントが容易にする作用の開示を含むと理解すべきであ
る。この最終の局面に関しては、一つの例として、「フローソーター」の開示は、「フロ
ーソート(flow−sorting)」の作用の開示を含むと理解すべきであり(明確
に討議されようとされまいと)、逆に、「フローソート」の作用の効果的な開示があり、
そのような開示は、「フローソーター」および「フローソートの手段」さえの開示を含む
と理解されるべきである。そのような変更および代替的な用語は、記載内に明確に含まれ
るものと理解されるべきである。
【0086】
本特許出願内で述べる任意の原理、規則、調節、もしくは法則の作用、または本特許出
願内で述べる特許、刊行物、もしくは他の参考文献は、参考として本明細書中に援用する
。さらに、各用語の使用に関して、本出願中その用語の利用が、そのような解釈に矛盾し
ない場合は、一般的な辞書の定義が、各用語、ならびに参考として、本明細書中に援用さ
れ、全ての定義、代替用語、および同意語(例えば、the Random House
Webster’s Unabridged Dictionary,第二版に含まれ
る)が参考として援用されるものとして理解すべきであると、理解すべきである。
【0087】
そのため、出願人は、少なくとも、i)本明細書中に開示しおよび記載したような各精
子細胞操作装置、ii)開示しおよび記載した関連方法、iii)各これら装置および方
法の類似物、等価物およびさらに黙示のバリエーション、iv)開示しおよび記載したよ
うに示した各機能を果たすそれら代替的な設計、v)開示しおよび記載した機能を果たす
ように黙示された各機能を達成するそれら代替的な設計および方法、vi)別個の発明お
よび独立の発明として示した各特徴、構成要素、および工程、vii)開示した様々なシ
ステムまたは構成要素により高められる用途、viii)前記システムまたは構成要素に
より産生する結果産物、およびix)実質的に本明細書中前記したようなおよび任意の付
随的な実施例を参照した方法および装置、x)開示した各エレメントの様々な組み合わせ
および様々な置換、およびxi)提示した各独立した請求項もしくは概念および全ての独
立した請求もしくは概念に依存するような潜在的に従属的な各請求項もしくは概念を特許
請求するとして理解すべきである。これに関して、実際的理由からおよび潜在的な数百の
請求項を加えることを回避するために、出願人は、初めに従属するものだけを伴う請求項
を最終的に請求し得るものと理解すべきである。支持は、任意の他の独立の請求項または
概念の下、従属するものまたはエレメントとして、一つの独立の請求項または概念の下、
提示した任意の様々な従属するものまたは他のエレメントの付加を認める新規事項の法律
(欧州特許条約法123(2)および米国特許法35 USC 132または他のそのよ
うな法が挙げられるがそれらに限定されない)の下必要とされる程度まで存在するものと
理解すべきである。さらに、移行句「含む(comprising)」の使用(使用され
た場合、または使用された時)は、従来の特許請求の範囲の解釈に基づいて、本明細書中
の「追加設定型(open−end)」請求項を維持するために使用する。そのため、文
脈上他の意味を求める場合を除き、用語「含む(comprise)」またはバリエーシ
ョン(例えば、「comprises」もしくは「comprising」)は、任意の
他のエレメントまたは工程またはエレメントの群または工程の群を排除せず、明確に規定
されたエレメントまたは工程またはエレメントの群または工程の群を含むことを意図する
と理解すべきである。そのような用語は、出願人に法律的に認められ得る最も広い適用範
囲が与えられるように、最も広範な様式で解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−250793(P2011−250793A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164799(P2011−164799)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2004−523293(P2004−523293)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(500308473)エックスワイ,エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】