説明

糸供給方法、経糸供給方法、糸供給装置、及び製織方法

製織機に糸を供給する糸供給方法が開示される。上記糸供給方法は、糸供給ラインの各ラインに複数本の原糸を間隔を置いて供給しながら製織または刺繍される個所に表現されるべき色や陰影に従って上記複数本の原糸のうちの一部の糸筋を残りの糸筋と分離して上記繊維機械に供給して、上記分離された一部の糸筋の色や陰影が組合わせられて製織または刺繍される個所に表現されるべき色や陰影が表現できるようにする構成を有し、製織機に供給されている糸の色合いや白黒明暗を変えることができ、幾つかの色が異なる原糸の本数を組合せて織物の上に数十乃至数百種類の色を表現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製織機に糸を供給する糸供給方法、経糸(縦糸)供給方法、製織方法、及びこれを具現するための糸供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、織物に糸にて絵や文字を表現することには織られた織物に刺繍で繍を取る方法、織物を織りながら糸を入れ替えて供給する方法がある。
【0003】
このような従来の方法において、糸を各ラインへ供給する方式は、各ライン毎に特定の色を有する多数本の原糸を合せて1本に作った糸を供給するため、そのラインに供給される糸の色を変えるためには糸自体を入れ替えなければならないが、1経糸供給ラインで入替できる糸の本数が限定されているので、多様な色を表現できないという短所がある。
【0004】
そして、織物に絵や文字を表現する従来の方法においては、使用する糸の色数だけの色を表現せざるを得なかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多様な色または多様な濃度の糸を作る方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、同じ糸供給ラインで繊維機械への糸の供給中に糸の色や濃度を必要によって変えることができるようにする糸供給方法を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、繊維機械の同じラインに供給される糸の色を必要によって変えることができる糸供給方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる他の目的は、織物に表現しようとする絵や文字のディジタルデータを用いて自動化しやすい糸供給方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、織物に表現される色の数を既存に比べて格段に増加させることができる糸供給方法を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、繊維機械において織物に表現される色合いをRGB(red-green-blue)方式、またはCMYK(cyan-magenta-yellow-black)方式のような方式によりいろいろな色を混合して、多様な色を表現できる糸供給方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、製織機に供給される各経糸ラインの経糸の色を多様に調整することができる経糸供給方法を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、多様な色合いや陰影を表現できる製織方法を提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、本発明の方法を具現するための糸供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に従う経糸供給方法は、製織機に経糸を供給する経糸供給方法であって、経糸供
給ラインの各ラインに複数本の原糸を間隔を置いて供給しながら第1緯糸(横糸)と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って上記複数本の原糸のうち、上記第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋を残りの糸筋と分離して上記製織機に供給し、
【0015】
上記第1緯糸の表面に配置されるべき上記分離された糸筋の色や陰影が組合わせられて上記第1緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影が表現できるようにする。
【0016】
本発明は、経糸供給ラインの各ラインに供給される複数本の原糸は互いに色が異なるものがあるものに適宜に適用できる。
【0017】
この場合、上記複数本の原糸は同一な色の複数本の原糸を有することが好ましい。
【0018】
場合によって、すべて同一な色の原糸が使用できる。この場合には、緯糸の表面に配置される原糸の本数を異にして製織される織物の表面の粗さなどを多様に表現できる。
【0019】
上記複数本の原糸は5つの色の原糸が各々5本ずつ総25本が1つの経糸供給ラインに供給されることが好ましい。
【0020】
場合によって、上記複数本の原糸は3つの色の原糸でありうる。
【0021】
また、場合によって、上記複数本の原糸は黒色の原糸と白色の原糸からなるものでありうる。
【0022】
場合によって、上記分離された残りの糸筋を第2緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って、上記第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋と、上記第1緯糸と上記第2緯糸との間に配置されるべき糸筋と分離して上記製織機に供給して、上記分離された第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋の色や陰影が組合わせられて上記第2緯糸と交差して製織される個所の背面に表現されるべき色や陰影が表現できるようにすることができる。このようにする場合、両面製織になる。この場合、織物の表面には人などの前姿を表現し、織物の背面には表面の人などの前姿に対応する後姿を表現することが可能である。
【0023】
本発明に従う糸供給方法は、繊維機械に糸を供給するための糸供給方法であって、糸供給ラインの各ラインに複数本の原糸を間隔を置いて供給しながら製織または刺繍される個所に表現されるべき色や陰影に従って上記複数本の原糸のうちの一部の糸筋を残りの糸筋と分離して上記繊維機械に供給して、上記分離された一部の糸筋の色や陰影が組合わせられて製織または刺繍される個所に表現されるべき色や陰影が表現できるようにする構成を有する。
【0024】
本発明に従う製織方法は、製織方法であって、経糸供給ラインの各ラインに原糸を間隔を置いて複数本で供給する原糸供給ステップと、上記経糸供給ラインの各ライン毎に第1緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って上記複数本の原糸を上記第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋を残りの糸筋と分離する第1原糸分離ステップと、上記分離された原糸の間に上記第1緯糸を挿入する第1緯糸挿入ステップと、を含み、
【0025】
上記各ステップを反復遂行して上記原糸分離ステップで分離された上記第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋が上記第1緯糸の表面に配置されるようにして、上記分離された第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋の色や陰影が組合わせられて上記第1緯糸と交差して
製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影が表現できるように製織する構成を有する。
【0026】
場合によって、上記分離された残りの糸筋を第2緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って上記第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋と、上記第1緯糸と上記第2緯糸との間に配置されるべき糸筋と分離する第2原糸分離ステップと、
【0027】
上記第2原糸分離ステップで分離された原糸の間に第2緯糸を挿入する第2緯糸挿入ステップと、をさらに含み、
【0028】
上記原糸供給ステップ、上記第2原糸分離ステップ、及び上記第2緯糸挿入ステップを繰り返して、上記分離された第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋の色や陰影が組合わせられて上記第2緯糸と交差して製織される個所の背面に表現されるべき色や陰影が表現できるように製織することができる。
【0029】
また、本発明に従う糸供給方法は、2種類以上の色を有する原糸の多数本のうち、2本以上を抽出し、これを組合せて混合色または混合濃度の糸を作りながら繊維機械に糸を供給する構成を有する。
【0030】
本発明の方法を具現するための糸供給装置は、繊維機械に糸を供給する糸供給装置において、糸供給ラインの各ライン毎に複数本ずつ供給するために原糸が巻かれている原糸供給手段、上記原糸供給手段から供給される各原糸と各々連結され、原糸を移動させて間隔を置いて各ライン毎の原糸を2グループ以上に各々分離させて配置するための原糸移動機構及び入力された製織するための織物の製織データまたは刺繍データに従って上記原糸移動機構の動作を制御するための制御信号を上記原糸移動機構に印加する制御手段を含む構成を有することが好ましい。
【0031】
上記原糸移動機構は、上記原糸がかかる掛止部が形成されている掛止部材、上記掛止部材を各々押す、または引くためのソレノイド機構を備えて構成されたものが良い。
【0032】
上記原糸移動機構の前方と後方には上記複数本の原糸が通過できる間が間隔を置いて複数個配置されている前ボディー体と後ボディー体が各々配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に従う織物に表現される色の数と陰影の濃度を多様に表現することができる。
【0034】
併せて、本発明に従う織物に表現される色や陰影の程度をRGB(red-green-blue)方式、またはCMYK(cyan-magenta-yellow-black)方式のような方式によりいろいろな
色を組合せて多様な色を表現できるので、限定されたいくつの色の原糸で多様な色を表現することができる。
【0035】
場合によって、緯糸の表面に配置される原糸の本数を調整して表面粗さを調整することができる。
【0036】
同じ糸供給ラインで繊維機械に供給中の糸の色や陰影の濃度を変えることができるので、表現しようとする絵や文字のディジタルデータを用いて絵や文字の表面を非常に自動化し易いものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に従う糸供給装置の一例を示す斜視図である。
【0038】
【図2】図1の糸供給装置の側面図である。
【0039】
【図3】図1の装置で具現される本発明に従う糸供給方法を説明するためのフローチャートである。
【0040】
【図4】原糸が前ボディー体を通過する状態を拡大して示す前ボディー体の部分拡大図である。
【0041】
【図5】原糸を集めるためのボディー体の斜視図である。
【0042】
【図6】掛止部材の部分拡大図である。
【0043】
【図7】掛止部材の掛止部が原糸と各々連結される状態を平面から見た図である。
【0044】
【図8】本発明に従う糸供給方法の概念をより具体的に説明するための図である。
【0045】
【図9】本発明の方法に従って製織された織物の一例を部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0047】
図1は本発明に係る糸供給装置の一例を示す斜視図であり、図2は図1の糸供給装置の側面図であり、図3は図1の装置で具現される本発明に従う糸供給方法を説明するためのフローチャートである。
【0048】
図1乃至3に示すように、本発明に従う糸供給装置100は原糸供給手段を備える。この原糸供給手段は、繊維機械の糸供給ラインLの各ラインL毎に複数本ずつ供給するための原糸110を供給する部分であって、原糸ドラム120などがここに該当する。この原糸ドラム120には1つの糸供給ラインL毎に黒色原糸、白色原糸、黄色原糸、青色原糸、及び赤色原糸が5回反復配列されて、総25本ずつの原糸110が巻かれている。1つの原糸ドラム120から供給されるべきラインの個数と原糸ドラムの個数は、製織機や刺繍機のサイズなどによって定めることができる。
【0049】
原糸ドラム120の前方に原糸110の上部と下部にガイドローラー132、134が配置され、このガイドローラー132、134に隣接して前ボディー体140が設置されている。
【0050】
ガイドローラー132、134は、後述する原糸移動機構150が選択された原糸110を持ち上げる際、その前方部分の原糸110には影響を及ぼさないようにする。
【0051】
前ボディー体140は、原糸110をそれぞれの糸供給ラインL単位に分離して、互いに縺れるとかそそけることを防止し、原糸110を案内する役割を担う。この前ボディー体140は四角枠142の中に原糸110の幅方向に間隔を置いて設置された区画部材144により多数の間に区分されている。1つの間が1つの糸供給ラインLに該当する。本実施形態では、この1つの糸供給ライン毎に25本ずつの原糸110が通過される。
【0052】
前ボディー体140の前方に原糸移動機構150が設置されている。この原糸移動機構150は、原糸ドラム120から繰り出される各原糸110と各々連結された掛止部材152を備える。各掛止部材152には原糸110がかかる掛止部が各々形成されているが
、これに対しては後述する。この掛止部材152にはソレノイド機構154が各々連結されている。場合によって、掛止部材152の下部には弾性体153を連結して掛止部材152を下方に弾性的に引っぱるようしたり、下部側にもソレノイド機構を設置して掛止部材152を上方または下方に引っぱるようにすることができる。ソレノイド機構154には制御手段160が連結される。制御手段160は、入力された製織するための織物の製織データまたは刺繍データに従って原糸移動機構150の動作を制御するための制御信号を原糸移動機構150に印加して、どの原糸110は上に引き、どの原糸110はそのまま置いて、原糸110を2グループに分離する。例えば、製織または刺繍される時点で使われる糸として完全に真っ赤な色を必要とする場合には赤色の原糸5本を持ち上げて、だいだい色を必要とする場合にはその濃度によって赤色原糸2本、黄色原糸3本などの形態で原糸110を持ち上げる。このようにして持ち上げられた原糸110は互いに合わせられて人の目には組合わせられた色に見えるようになる。また、紫色系列の褐色を得ようとする場合には、赤色原糸、青色原糸、及び黄色原糸を1乃至3本程度ずつ持ち上げて、これらを組合せればよい。このようにする場合、多様な色の糸を得ることができる。
【0053】
また、場合によっては、黒色と白色の原糸を多数本ずつ使用して、単に白黒の陰影で糸を組合せて織物に絵や文字などの表現に利用できる。
【0054】
このような原糸移動機構150は、選択された原糸110を移動させて間隔を置いて各ライン毎の原糸110を2グループ以上に各々分離させて配置するようにする役割を担う。
【0055】
勿論、場合によって、上下両面に製織または刺繍する時には、上部に引かれるもの、下部に引かれるもの、残りのものの3グループに分離できる。このようにする場合、製織または刺繍される織物の表面と裏面に絵や文字を多様に表現できる。
【0056】
原糸移動機構150の前方に後ボディー体170が配置されている。この後ボディー体170やはり前ボディー体140のような形状をしており、設置された位置のみ前ボディー体140と異なるだけであり、その役割は前ボディー体140と同じである。
【0057】
後ボディー体170の前方にガイドローラー136が配置されている。このガイドローラー136は、原糸110が2グループに上下に分離された後、2グループの原糸110の間に挿入されて下方グループの原糸110が上側に持ち上げられることを防止する。
【0058】
上記のように上下に分離された原糸110は、製織機200のボディー体210に供給される。製織機210のボディー体210は狭く形成されて、分離された原糸110を一箇所に集める役割をし、併せて、集められた糸が縺れるとかそそけないようにする役割をする。
【0059】
このようにして、上下に分離された各ラインの原糸110の間に緯糸fが挿入される。これによって、緯糸fの表面には製織データなどによって原糸110が組合わせられた色の糸が配置され、残りの原糸110が組合わせられた糸は緯糸fの背面に配置される。
【0060】
前述した糸供給装置100を通じて糸が製織機200などに供給されて製織される過程を図3を参照して説明すると、次の通りである。
【0061】
原糸ドラム120は製織機200などの繊維機械の付近に回動可能に設置される。この原糸ドラム120は、製織機200で原糸110を引く力により回転しながら原糸110を繰り出す。勿論、原糸ドラム120の回転を円滑にするためにサーボモータなどにより回転動力を受けるようにすることができる。
【0062】
この原糸ドラム120に巻かれていた原糸110が繰り出されながら各糸供給ラインLに複数本の原糸110が供給される。各ラインLに供給される原糸110には互いに色が異なるか、白黒陰影の濃度が異なるものが存在する。好ましくは、各糸の供給ラインL毎に同一な色の原糸110が複数本で供給される(ステップ1)。
【0063】
この際、制御手段160は緯糸fと交差して製織される個所の緯糸fの表面に表現されなければ色や白黒明暗の濃度に従う制御信号を原糸移動機構150に印加する。これによって、連結された原糸110を上方に引くように制御信号を受けた原糸移動機構150のソレノイド機構が作動して特定の掛止部材152を上に引く。これによって、対応掛止部材152にかかっていた原糸110は図1及び図2に示すように、上に持ち上げられて残りの原糸110と分離される。即ち、原糸110は2グループに分けられる。この状態で後方のガイドローラー136は分離された2グループの原糸110の間に進入されて下方の原糸110を若干押して、製織機200の付近でも原糸110が正確な位置に分離できるようにした後、さらに2グループの原糸110の間から抜け出て原位置する。このようにしながら製織機200への糸の供給がなされて、上下の2グループに分離された原糸110は製織機200のボディー体210を経ながら各々合わせられて1ラインの糸、即ち、経糸として供給される(ステップ2)。
【0064】
ボディー体210の前方で緯糸fが分離された2グループの原糸110の間に挿入される(ステップ3)。
【0065】
次に、制御手段160で終了信号があるかを判断し、終了信号があれば終了し、でなければ上記のステップ1乃至3を繰り返す(ステップ4)。
【0066】
上記のような過程により糸を供給しながら製織または刺繍する場合、製織しようとするイメージをスキャン、写真撮影、またはコンピュータグラフィック作業により得て、これらからイメージのRGBまたはCMYKディジタルデータを得て製織または刺繍として容易に活用できる。
【0067】
図4は、原糸が前ボディー体を通過する状態を拡大して示す前ボディー体の部分拡大図である。
【0068】
図示したように、前ボディー体140の隣り合う2つの区画部材144の間に原糸110が通過される。各区画部材144の間毎に1つずつの糸供給ラインLが形成される。本実施形態で、1つの糸供給ラインLを通過する原糸110は、赤色原糸111、青色原糸112、黄色原糸113、白色原糸114、及び黒色原糸115が5回繰り返して配置されて総25本の原糸が通過される。このようにして、1つの糸供給ラインL毎に、赤色原糸111 5本、青色原糸112 5本、黄色原糸113 5本、白色原糸114 5本、及び黒色原糸115 5本ずつ、総25本の原糸110が供給される。勿論、各原糸110
は隣り合うものと間隔を置いて配置される。
【0069】
各ラインに供給される原糸110が全て同一なパターンで配置されなければならないのではなく、製織しようとする絵や文字の対応位置の色の過多によって各ラインLに配置される原糸110の色の配列が変わることができる。
【0070】
図5は、原糸を集めるためのボディー体の斜視図である。
【0071】
図5に示すボディー体210は、通常は製織機200に使われるものであって、高さが高く、幅が狭く形成された四角縁212の内側に間隔を置いて区画部材214を狭く設置
したものである。このボディー体210に設置される区画部材214は、原糸110と接触可能性がある部分はラウンド処理して原糸110が触れても容易に擦ったり切れたりしないようにしなければならない。
【0072】
図6は、掛止部材の部分拡大図である。
【0073】
図示したように、掛止部材152の一側に原糸110が通過できる孔形態の掛止部156が形成されている。
【0074】
即ち、原糸ドラム120で供給される原糸110は、各々該掛止部材152の掛止部156に各々かかって上に持ち上げられたり、持ち上げられなくて掛止部156を通過する。図6で、右側から3番目と5番目の掛止部材152c、152eは上方へ移動した状態であり、残りの3つの掛止部材152a、152b、152dは上方に持ち上げられていない状態である。
【0075】
図7は、掛止部材の掛止部が原糸と各々連結される状態を平面から見た図である。
【0076】
図7に示すように、製織機に供給される糸の各供給ラインL毎に25本ずつの原糸110が供給される。この25本の原糸110には、前述した掛止部材152の掛止部156が各々連結される。原糸110と掛止部156との連結点157を上から平面に見て点形態で示すと、図7の通りである。
【0077】
図7で、糸の供給ラインLのうち、1ラインに対してのみ説明すると、連結点157は下段の左側縁から上段の右側縁まで順次に1つずつ右方に移動しながら上下に間隔を置いて25個が配置されている。その隣り合う供給ラインLでも同一な配置形態で連結点157が配置されている。これによって、前述したソレノイド機構154が作動するにつれて各供給ラインL毎に25本ずつの原糸のうち、製織データなどによって選択された原糸110が持ち上げられて残りのものと分離できる。
【0078】
図8は本発明に従う糸供給方法の概念をより具体的に説明するための図であり、図9は本発明の方法により製織された織物の一例を部分的に示す図である。
【0079】
前述したように、1つの糸供給ラインに黒色原糸115を5本、赤色原糸111を5本
、黄色原糸113を5本、青色原糸112を5本、及び白色原糸114を5本にして、総25本の原糸110が供給される場合、そのうち、黒色原糸115の1本、青色原糸112の2本、及び赤色原糸111の2本が抽出されて、残りの原糸110bと分離される。このようにして分離された5本の原糸110aは組合わせられて織物の表面に配置されて紫色系列の色を帯びるようになり、残りの原糸110bは織物の裏面に配置されたり、また分離されて、二重以上の多重製織に利用できる。
【0080】
本発明の方法に従う場合、図9に示す織物119で、緯糸fの上面の経糸wの第1個所w1は紫色、第2個所w2はだいだい色、第3個所w3は褐色などで同一ラインの経糸wの色が表現できる。緯糸fの下面も上面と同様に表現できる。
【0081】
本発明では、好ましい実施形態として5つの色の原糸110を各々5本ずつ総25本の原糸を1つの糸供給ラインLに供給する例を説明したが、原糸の色と本数は製織するための織物の種類や環境によって、表現しようとする絵の色や明暗の程度によって多様に変形できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上、説明した本発明に従う糸供給方法、経糸供給方法、糸供給装置、及びこれを用いた製織方法は、織物に色や陰影がある紋、絵、及び文字を表現することに利用可能性が高い。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製織機に経糸を供給する経糸供給方法であって、
経糸供給ラインの各ラインに複数本の原糸を間隔を置いて供給しながら第1緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って前記複数本の原糸のうち、前記第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋を残りの糸筋と分離して前記製織機に供給して前記第1緯糸の表面に配置されるべき前記分離された糸筋の色や陰影が組合わせられて前記第1緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影が表現できるようにすることを特徴とする経糸供給方法。
【請求項2】
前記経糸供給ラインの各ラインに供給される複数本の原糸は、互いに色が異なるものがあることを特徴とする請求項1に記載の経糸供給方法。
【請求項3】
前記複数本の原糸は同一な色の原糸を複数個有することを特徴とする請求項2に記載の経糸供給方法。
【請求項4】
前記複数本の原糸は、5つの色の原糸が各々5本ずつ総25本が1つの経糸供給ラインに供給されることを特徴とする請求項3に記載の経糸供給方法。
【請求項5】
前記複数本の原糸は3つ色の原糸であることを特徴とする請求項2に記載の経糸供給方法。
【請求項6】
前記複数本の原糸は、黒色の原糸と白色の原糸からなることを特徴とする請求項2に記載の経糸供給方法。
【請求項7】
前記分離された残りの糸筋を第2緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って前記第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋と、前記第1緯糸と前記第2緯糸との間に配置されるべき糸筋と分離して前記製織機に供給して、前記分離された第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋の色や陰影が組合わせられて前記第2緯糸と交差して製織される個所の背面に表現されるべき色や陰影が表現できるようにすることを特徴とする請求項1に記載の経糸供給方法。
【請求項8】
繊維機械に糸を供給する糸供給装置であって、
糸供給ラインの各ライン毎に複数本ずつ供給するための原糸が巻かれている原糸供給手段と、前記原糸供給手段から供給される各原糸と各々連結され、原糸を移動させて間隔を置いて各ライン毎の原糸を2グループ以上に各々分離させて配置するための原糸移動機構と、入力された製織するための織物の製織データまたは刺繍データに従って前記原糸移動機構の動作を制御するための制御信号を前記原糸移動機構に印加する制御手段と、
を含むことを特徴とする糸供給装置。
【請求項9】
前記原糸移動機構は、前記原糸がかかる掛止部が形成されている掛止部材、及び前記掛止部材を各々押す、または引くためのソレノイド機構を備えて構成されたことを特徴とする請求項8に記載の糸供給装置。
【請求項10】
前記原糸移動機構の前方と後方には前記複数本の原糸が通過できる間が間隔を置いて複数個配置されている前ボディー体と後ボディー体が各々配置されていることを特徴とする請求項8または9に記載の糸供給装置。
【請求項11】
繊維機械に糸を供給するための糸供給方法であって、
糸供給ラインの各ラインに複数本の原糸を間隔を置いて供給しながら製織または刺繍され
る個所に表現されるべき色や陰影に従って前記複数本の原糸のうちの一部の糸筋を残りの糸筋と分離して前記繊維機械に供給して、前記分離された一部の糸筋の色や陰影が組合わせられて製織または刺繍される個所に表現されるべき色や陰影が表現できるようにすることを特徴とする糸供給方法。
【請求項12】
製織方法であって、
経糸供給ラインの各ラインに原糸を間隔を置いて複数本で供給する原糸供給ステップと、
前記経糸供給ラインの各ライン毎に第1緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って前記複数本の原糸を前記第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋を残りの糸筋と分離する第1原糸分離ステップと、
前記分離された原糸の間に前記第1緯糸を挿入する第1緯糸挿入ステップと、を含み、
前記各ステップを反復遂行して前記原糸分離ステップで分離された前記第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋が前記第1緯糸の表面に配置されるようにして、前記分離された第1緯糸の表面に配置されるべき糸筋の色や陰影が組合わせられて前記第1緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影が表現できるように製織することを特徴とする製織方法。
【請求項13】
前記分離された残りの糸筋を第2緯糸と交差して製織される個所の表面に表現されるべき色や陰影に従って前記第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋と前記第1緯糸と前記第2緯糸との間に配置されるべき糸筋と分離する第2原糸分離ステップと、
前記第2原糸分離ステップで分離された原糸の間に第2緯糸を挿入する第2緯糸挿入ステップと、をさらに含み、
前記原糸供給ステップ、前記第2原糸分離ステップ、及び前記第2緯糸挿入ステップを繰り返して前記分離された第2緯糸の背面に配置されるべき糸筋の色や陰影が組合わせられて前記第2緯糸と交差して製織される個所の背面に表現されるべき色や陰影が表現できるように製織することを特徴とする請求項12に記載の製織方法。
【請求項14】
2種類以上の色を有する原糸の多数本うち、2本以上を抽出し、これを組合せて混合色または混合濃度の糸を作りながら繊維機械に糸を供給する糸供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518263(P2011−518263A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504926(P2011−504926)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001971
【国際公開番号】WO2009/128659
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(510275563)
【氏名又は名称原語表記】SHO,JinSoo
【住所又は居所原語表記】(7/10) 594−6,Suyu−dong,Gangbuk−gu,Seoul,142−070,Republic of Korea
【出願人】(510275574)
【氏名又は名称原語表記】SHO,SunHo
【住所又は居所原語表記】(7/10) 594−6,Suyu−dong,Gangbuk−gu,Seoul,142−070,Republic of Korea