説明

糸巻取装置及び糸巻取方法

【課題】給糸ボビンから解舒した糸を一旦糸解舒貯留部に貯留し、糸解舒貯留部に貯留した糸を巻き取ってパッケージにする場合に、糸解舒貯留部を大型化することなく、糸継の時間を確保する。
【解決手段】糸が正常に走行しているときには(S202:NO、S203:YES)、可能な範囲で最大の一定の解舒糸速度のVcで給糸ボビンから糸を解舒し、糸の貯留量がA1よりも多ければ(S204:YES)、巻取糸速度をV1(>Vc)にし(S205)、A1以下であれば(S204:NO)、巻取糸速度をV2(<Vc)にする(S206)。糸欠陥が検出されたとき(S202:YES)又は糸Yの存在が検出されなくなったときには(S203:NO)、糸の貯留量がA2(<A1)よりも多ければ(S207:YES)、巻取糸速度を維持し(S208)、A2以下であれば(S207:NO)、巻取糸速度をV3(<V1、V2)まで低下させる(S209)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給糸ボビンから解舒した糸をパッケージとして巻き取る糸巻取装置及び糸巻取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給糸ボビンから解舒した糸をパッケージとして巻き取る糸巻取装置として、特許文献1には、給糸ボビン保持部に保持された給糸ボビンから解舒した糸を、一旦、糸解舒貯留部(糸貯留部)に貯留し、糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置(巻取ユニット)が記載されている。これにより、特許文献1では、糸欠陥が検出されたとき、給糸ボビンの糸がなくなって新しい給糸ボビンに交換されるときなどに、糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ることにより糸の巻取を継続しつつ、給糸ボビン保持部と糸解舒貯留部との間に設けられた糸継部において、給糸ボビン保持部側の糸と糸解舒貯留部側の糸とを糸継することが可能となっている。
【0003】
また、特許文献1では、一定の巻取糸速度で糸を巻き取っており、糸継が完了した後には、糸解舒貯留部への糸の供給速度、すなわち、給糸ボビンからの糸の解舒糸速度を一時的に速くすることによって、糸継中に減少した糸解舒貯留部における糸の貯留量を回復させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−47360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の糸巻取装置では、糸の巻取中において、糸解舒貯留部における糸の貯留量が、給糸ボビンから糸を解舒する解舒糸速度と、パッケージに糸を巻き取る巻取糸速度との差によって増減する。一方、特許文献1では、上述したように、巻取糸速度が一定となっている。そのため、糸解舒貯留部から糸が溢れたり、糸解舒貯留部の糸が完全になくなったりしないよう、糸解舒貯留部における糸の貯留量を調整するためには、糸解舒貯留部における糸の貯留量に応じて解舒糸速度を増減する必要がある。
【0006】
しかしながら、解舒糸速度を増減することによって、糸解舒貯留部における糸の貯留量を調整する場合には、解舒糸速度を可能な範囲で最大の解舒糸速度とした場合に比べて、平均の解舒糸速度が遅くなってしまう。さらに、一般に、給糸ボビンは、巻取ボビンに比べて径が小さいので、解舒糸速度を大きく増減させると、糸の輪抜け(スラッフィング)が発生しやすくなり、輪抜けが発生すると、糸が切れやすくなる。以上のことから、解舒糸速度を増減することによって、糸解舒貯留部における糸の貯留量を調整した場合には、糸巻取装置における糸の巻取の生産性が低いものとなってしまう。
【0007】
また、特許文献1に記載の糸巻取装置において、糸継中も糸の巻取を継続するためには、糸解舒貯留部における糸の貯留量を、少なくとも、糸継が完了するまでの間に巻き取られる糸の量よりも多くする必要がある。一方、糸継部において糸継のために行われる糸継動作は1度では成功しないこともあり、失敗した場合には糸継動作を繰り返し行うことで糸継を行うこととなる。
【0008】
以上のことから、糸解舒貯留部における糸の貯留量は、少なくとも、糸継動作を所定の複数回行う間に巻き取られる糸の量よりも多くする必要がある。そのため、上記所定の複数回の糸継動作を行う時間を確保するために、糸解舒貯留部を、十分な量の糸を貯留することができるように大型化する必要がある。そして、糸解舒貯留部を大型化すると、糸巻取装置全体の大型化につながる。
【0009】
本発明の目的は、糸の巻取中には、糸の巻取の生産性を高くすることが可能であり、且つ、糸解舒貯留部を大型化することなく、糸継などの時間を十分に確保することも可能な糸巻取装置、及び、糸巻取方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る糸巻取装置は、 給糸ボビンを支持する給糸ボビン支持部と、前記給糸ボビン支持部に支持された給糸ボビンから糸を解舒し、解舒した糸を貯留する糸解舒貯留部と、前記糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ってパッケージにする巻取部と、前記糸解舒貯留部における糸の貯留量を検出する貯留量検出部と、前記給糸ボビン支持部と前記糸解舒貯留部との間における糸の走行を検出する糸走行検出部と、前記貯留量検出部と前記糸走行検出部の検出結果に応じて、前記巻取部の巻取糸速度を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
第13の発明に係る糸巻取方法は、給糸ボビンから糸を解舒し、解舒した糸を糸解舒貯留部に貯留し、糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ってパッケージにする糸巻取方法であって、前記給糸ボビンと前記糸解舒貯留部との間における糸の走行、及び、前記糸解舒貯留部における糸の貯留量を検出し、これらの検出結果に応じた巻取糸速度で糸をパッケージとして巻き取ることを特徴とする。
【0012】
これらの発明によると、給糸ボビンと糸解舒貯留部との間を糸が走行しているときには、糸解舒貯留部における糸の貯留量の検出結果に応じて巻取糸速度を変更することにより、給糸ボビンからの解舒糸速度を変えることなく、糸解舒貯留部における糸の貯留量を調整することができる。したがって、糸の巻取時に、所望の解舒糸速度で糸を解舒し続けることができ、これにより、糸の巻取の生産性を高くすることができる。
【0013】
また、給糸ボビンと糸解舒貯留部との間を糸が走行していないときには、巻取糸速度を低下させれば、糸解舒貯留部における糸の貯留量の減少を抑えることができるので、糸解舒貯留部を大型化することなく、糸継などを行うための時間を十分に確保することができる。また、巻取糸速度を大きく低下させれば、糸解舒貯留部を小型にすることもできる。
【0014】
第2の発明に係る糸巻取装置は、第1の発明に係る糸巻取装置において、給糸ボビン側の糸と、前記糸解舒貯留部側の糸との糸継を行う糸継部をさらに備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明によると、糸継部において糸継を行っている間も、巻取部において糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ることにより、糸の巻取を継続することができる。さらに、このとき、糸解舒貯留部における糸の貯留量に応じて巻取糸速度を変更するため、糸継部において糸継を行うための時間を十分に確保することができる。また、糸継部において糸継を行うためにある一定の時間を確保しようとする場合に、糸解舒貯留部を小型にすることができる。
【0016】
第3の発明に係る糸巻取装置は、第1又は2の発明に係る糸巻取装置において、前記糸走行検出部が、前記給糸ボビン支持部と前記糸解舒貯留部との間における糸の有無を検出する糸有無検出手段により構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によると、糸有無検出手段により、給糸ボビン支持部と糸解舒貯留部との間に糸が存在しているか否かを検出することによって、糸の走行を検出することができる。
【0018】
第4の発明に係る糸巻取装置は、第1又は2の発明に係る糸巻取装置において、前記糸走行検出部が、前記給糸ボビン支持部と前記糸解舒貯留部との間の糸欠陥を検出する糸欠陥検出部により構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によると、糸欠陥検出部により糸欠陥が検出され、糸切断部により糸が切断されたときには、糸が走行しなくなるため、糸欠陥検出部により糸欠陥が検出されるか否かを検出することによって、糸の走行を検出することができる。
【0020】
第5の発明に係る糸巻取装置は、第1又は2の発明に係る糸巻取装置において、前記糸走行検出部が、糸の走行速度を検出する走行速度検出手段により構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明によると、速度検出部により検出された糸の走行速度によって、糸の走行を検出することができる。
【0022】
第6の発明に係る糸巻取装置は、第1又は2の発明に係る糸巻取装置において、前記糸走行検出部が、糸の走行長さを検出する走行長さ検出手段により構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明によると、走行長さ検出部により検出された走行する糸の長さによって、糸の走行を検出することができる。
【0024】
第7の発明に係る糸巻取装置は、第1〜第6のいずれかの発明に係る糸巻取装置において、前記糸解舒貯留部は、一方向に沿ってその一端から他端に向かって糸が巻き付けられる糸巻付部を備えており、前記貯留量検出部は、前記糸巻付部のいずれかの部分と対向するように配置されており、前記糸巻付部の当該部分に糸が存在しているか否かを検出する少なくとも1つのセンサを備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明によると、糸解舒貯留部が糸巻付部を備えている場合に、糸巻付部と対向する1又は複数のセンサによって、貯留量検出部を構成することができる。
【0026】
第8の発明に係る糸巻取装置は、第1〜第7のいずれかの発明に係る糸巻取装置において、前記制御部は、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときに、前記糸解舒貯留部における解舒糸速度が、一定の解舒糸速度となるように前記糸解舒貯留部を制御するとともに、巻取糸速度が、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量に基づいて決定された巻取糸速度となるように、前記巻取部を制御することを特徴とする。
【0027】
本発明によると、糸の走行が検出されているとき、すなわち、糸解舒貯留部への糸の貯留が継続しているときに、一定の解舒糸速度で給糸ボビンから糸を解舒するとともに、糸解舒貯留部における糸の貯留量に基づいて決定された巻取糸速度で糸を巻き取ることにより、糸解舒貯留部における糸の貯留量を適切なものとすることができる。
【0028】
また、一定の解舒糸速度で糸を解舒することにより、糸の巻取の生産性を高くすることができる。
【0029】
第9の発明に係る糸巻取装置は、第8の発明に係る糸巻取装置において、前記制御部は、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときに、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が、予め規定された上限貯留量よりも多い場合には、前記糸解舒貯留部における糸の解舒糸速度よりも速い巻取糸速度V1となるように、前記巻取部を制御し、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が前記上限貯留量以下の場合には、解舒糸速度よりも遅い巻取糸速度V2となるように、前記巻取部を制御することを特徴とする。
【0030】
第14の発明に係る糸巻取方法は、第13の発明に係る糸巻取方法において、 前記糸の走行が検出されているときに、検出された糸の貯留量が、予め規定された上限貯留量よりも多い場合には、前記糸解舒貯留部における糸の解舒糸速度よりも速い巻取糸速度V1で糸を巻き取り、検出された糸の貯留量が前記上限貯留量以下の場合には、解舒糸速度よりも遅い巻取糸速度V2で糸を巻き取ることを特徴とする。
【0031】
これらの発明によると、糸解舒貯留部における糸の貯留量を上限貯留量に近い量に保つことができ、糸が糸解舒貯留部から溢れたり、糸解舒貯留部から糸が完全になくなったりするのを防止することができる。
【0032】
第10の発明に係る糸巻取装置は、第8又は第9の発明に係る糸巻取装置において、前記制御部は、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されないときに、糸の解舒動作が停止されるように前記解舒貯留部を制御するとともに、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときよりも遅い巻取糸速度V3となるように、前記巻取部を制御することを特徴とする。
【0033】
第15の発明に係る糸巻取方法は、第13又は第14の発明に係る糸巻取方法において、糸の走行が検出されないときに、糸の解舒動作を停止し、糸の走行が検出されているときよりも遅い巻取糸速度V3で糸を巻き取ることを特徴とする。
【0034】
これらの発明によると、糸の走行が検出されないときには、糸解舒貯留部に新たに糸が貯留されることがないが、このときに巻取糸速度を低下させることにより、糸解舒貯留部における糸の貯留量の減少を極力抑えることができる。そして、これにより、糸解舒貯留部を大型化することなく、糸継などを行うための時間を十分に確保することができる。あるいは、糸継などを行うためにある一定の時間を確保しようとする場合に、糸解舒貯留部を小型にすることができる。
【0035】
第11の発明に係る糸巻取装置は第9又は第10の発明に係る糸巻取装置において、前記制御部は、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されないときに、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が、予め規定された中間貯留量以下の場合にのみ、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときよりも遅い巻取糸速度V3となるように、前記巻取部を制御し、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が前記中間貯留量よりも多い場合には、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときと同じ巻取糸速度V1、V2となるように、前記巻取部を制御すること特徴とする。
【0036】
本発明によると、糸解舒貯留部への糸の貯留が停止しているときであっても、糸解舒貯留部における糸の貯留量が多い場合(中間貯留量よりも多い場合)には、巻取糸速度を遅くせず、糸解舒貯留部への糸の貯留が行われているときと同じ巻取糸速度V1、V2で糸の巻取を行うことにより、効率よく糸の巻取を行うことができる。また、巻取糸速度を変更すると、エネルギーロスが生じるが、糸解舒貯留部への糸の貯留が行われているときと同じ巻取糸速度V1、V2で糸の巻取を行うことにより、このエネルギーロスを低減することができる。
【0037】
第12の発明に係る糸巻取装置は、第1〜第11のいずれかの発明に係る糸巻取装置において、前記制御部は、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が、予め規定された下限貯留量以下のときに、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されたか否かに関わらず、糸の巻取が停止されるように、前記巻取部を制御することを特徴とする。
【0038】
本発明によると、糸解舒貯留部における糸の貯留量が極めて少なくなったとき(下限貯留量以下のとき)に、糸の巻取が停止されるため、糸解舒貯留部から糸が完全になくなってしまうのを防止することができる。そして、これにより、例えば、糸解舒貯留部に貯留された糸が完全になくなるまで糸の巻取が継続されて、糸継を行うための糸解舒貯留部側の糸がなくなってしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、給糸ボビンと糸解舒貯留部との間を糸が走行しているときには、糸解舒貯留部における糸の貯留量の検出結果に応じて巻取糸速度を変更することにより、給糸ボビンからの解舒糸速度を変えることなく、糸解舒貯留部における糸の貯留量を調整することができる。したがって、糸の巻取時に、所望の解舒糸速度で糸を解舒し続けることができ、これにより、糸の巻取の生産性を高くすることができる。
【0040】
また、給糸ボビンと糸解舒貯留部との間を糸が走行していないときには、巻取糸速度を低下させれば、糸解舒貯留部における糸の貯留量の減少を抑えることができるので、糸解舒貯留部を大型化することなく、糸継などを行うための時間を十分に確保することができる。また、巻取糸速度を大きく低下させれば、糸解舒貯留部を小型にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る巻取ユニットの概略構成図である。
【図2】図1のアキュムレータの概略構成図である。
【図3】図1の制御部の機能ブロック図である。
【図4】回転貯留ドラムの動作を示す制御フローである。
【図5】巻取ドラムの動作を示す制御フローである。
【図6】糸継などの動作の手順を示すフローである。
【図7】巻取ユニットにおける、巻取糸速度、解舒糸速度、及び、糸貯留量の時間変化の一例を示す図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】第2実施形態の図2相当の図である。
【図10】変形例1の図5相当の制御フローである。
【図11】変形例2の巻取ユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[第1実施形態]
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
【0043】
第1実施形態に係る自動ワインダは、図1に示す巻取ユニット2(糸巻取装置)が紙面左右方向に多数並べて構成されている。各巻取ユニット2は、それぞれ、給糸部5、巻取部6、糸走行検出部7、糸継部8及び糸解舒貯留部9を備えている。
【0044】
給糸部5は、給糸ボビン21を支持するための給糸ボビン支持部60と、糸解舒補助装置12と、第1テンサ41とを備えている。また、給糸部5は新たな給糸ボビン21を給糸ボビン支持部60に供給するための図示しないボビン供給装置をさらに備えている。このボビン供給装置には、マガジン式の供給装置やトレイ式の供給装置などがある。この給糸部5は、給糸ボビン支持部60にセットされている給糸ボビン21から紡績糸Y(以下、単に糸Yとする)がすべて引き出されると、給糸ボビン支持部60に保持されている空ボビンを排出し、ボビン供給装置が新たな給糸ボビン21を順次給糸ボビン支持部60に供給する。
【0045】
糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21の芯管に被さる規制部材40を給糸ボビン21からの糸Yの解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン21から糸Yの解舒を補助するものである。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸Yの回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成されたバルーンに接触し、当該バルーンに適切なテンションを付与することによって糸Yの解舒を補助する。
【0046】
糸解舒保持装置12の近傍には、糸Yの有無を検知可能なヤーンフィーラ37が設けられている。このヤーンフィーラ37は、給糸ボビン21から引き出される糸Yがなくなったことを検出して、制御部109に空ボビン信号を送信する。
【0047】
第1テンサ41は、走行する糸Yに所定のテンションを付与するものである。この第1テンサ41としては、例えば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。そして、この第1テンサ41によって、後述のアキュムレータ61に貯留される糸Yに一定のテンションを付与し、アキュムレータ61において糸Yを整然と巻き付けて貯留することができる。
【0048】
巻取部6は、巻取ボビン22を保持可能に構成された図示しないクレードルと、糸Yをトラバースさせるとともに巻取ボビン22を回転させるための巻取ドラム24と、第2テンサ42とを備える。クレードルは、巻取ドラム24に対し近接又は離間する方向に揺動可能に構成されており、これにより、パッケージ30が巻取ドラム24に対して接触又は離間される。また、図1に示すように巻取ドラム24の外周面には、螺旋状の綾振溝27が形成されており、この綾振溝27によって糸Yをトラバースさせるように構成している。
【0049】
巻取ドラム24は、回転駆動することによって、当該巻取ドラム24に対向して配置される巻取ボビン22を駆動する。この巻取ドラム24は、巻取ドラムモータ116(図3参照)により駆動される。
【0050】
第2テンサ42は、糸解舒貯留部9の後述するアキュムレータ61から糸Yが解舒された糸Yがパッケージに巻き取られる際のテンションを制御するものである。これによって、アキュムレータ61から引き出された糸Yは、適宜のテンションが付与された状態で巻取ボビン22に巻き取られることになる。第2テンサ42は、第1テンサ41と同様に、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。
【0051】
また、第2テンサ42の下流側には走行中の糸Yにワックス付けをするためのワキシング装置17が配置されている。
【0052】
糸走行検出部7は、ヤーンクリアラ15(糸欠陥検出部)を備える。ヤーンクリアラ15は、糸Yの太さを適宜のセンサで監視することで糸Yの欠陥を検出するように構成されており、このヤーンクリアラ15のセンサからの信号を処理することで、スラブ等の糸欠陥を検出可能に構成されている。なお、ヤーンクリアラ15は、単に糸Yの有無を検知するセンサとしても機能させることができる。すなわち、第1実施形態では、ヤーンクリアラ15が、本発明に係る糸有無検出手段と、糸欠陥検出手段とを兼ねるものとなっている。また、ヤーンクリアラ15の上流側の端部には、糸欠陥が検出された時に、糸欠陥の上流側の糸を切断することができるよう、カッター16が配置されている。
【0053】
糸継部8は、糸継作業を行う糸継装置14と、下糸案内パイプ25と、上糸案内パイプ26とを備えている。
【0054】
糸継装置14は、走行中の糸が切れたとき、糸欠陥が検出されたとき、給糸ボビン21の糸Yがなくなり、給糸ボビン21が交換されるときなどに、給糸ボビン21側の下糸と、パッケージ30側(糸解舒貯留部9側)の上糸との糸継を行うものである。糸継装置14としては、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
【0055】
下糸案内パイプ25は、糸継装置14の下方に位置する軸25aを中心として回動可能に支持されているとともに、下パイプモータ122(図3参照)により回動させることができるようになっている。また、下糸案内パイプ25の先端には、吸引口25bが設けられており、吸引口25bには、図示しないクランプ部が設けられている。さらに、下糸案内パイプ25には、図示しない負圧源が接続されていることによって、負圧が供給されており、これにより、吸引口25bに糸Yを吸引するための吸引流が発生する。
【0056】
上糸案内パイプ26は、糸継装置14の上方に位置する軸26aを中心として回動可能に支持されているとともに、上パイプモータ121(図3参照)により回動させることができるようになっている。また、上糸案内パイプ26の先端には、吸引口26bが設けられており、吸引口26bには、クランプ部26c(図2参照)が設けられている。さらに、上糸案内パイプ26には、負圧源120(図2参照)が接続されていることによって、負圧が供給されており、これにより、吸引口26bに糸Yを吸引するための吸引流が発生する。
【0057】
糸解舒貯留部9は、給糸ボビン21から糸Yを解舒し、解舒した糸Yを貯留するアキュムレータ61を備える。図2は、アキュムレータ61の概略構成図である。
【0058】
図2に示すように、アキュムレータ61は、回転貯留部71、回転貯留ドラムモータ72、糸案内部材73、吹下ノズル74、糸経路形成部材75などを備えている。
【0059】
回転貯留部71は、軸C1を中心として回転可能なドラムであり、後述するように、回転貯留部71を一方向に回転させると、給糸ボビン21から糸Yが解舒されるとともに、解舒された糸Yが回転貯留部71に巻き付くことで、回転貯留部71に糸Yが貯留される。
【0060】
また、回転貯留部71は、その回転軸方向における両端部が、それぞれ、反対側の端部に近づくほどその径が小さくなったテーパ部71a、71bとなっているとともに、テーパ部71aとテーパ部71bとの間の部分が、その径がほぼ一定であり、その一端から他端に向かって糸Yが巻き付けられるなったストレート部71c(糸巻付部)となっている。
【0061】
さらに、回転貯留部71のストレート部71cの糸巻き出し側端部には、例えば、輪ゴム、Oリングなどのゴム製の環状部材81が巻き付けられている。これにより、回転貯留部71が回転すると、環状部材81が回転貯留部71と一体的に回転する。また、上述したように、回転貯留部71の右上端部がテーパ部71bとなっていることにより、環状部材81が回転貯留部71から右上方に抜け落ちてしまうことが防止されている。
【0062】
回転貯留ドラムモータ72は、DCブラシレスモータ、ステッピングモータ、サーボモータなどの位置制御可能なモータであり、回転貯留部71を両方向に回転させる。また、回転貯留ドラムモータ72には、ロータリエンコーダ153が取り付けられており、ロータリエンコーダ153は、回転貯留ドラムモータ72の回転角度に応じた角度信号を制御部109に送信する。
【0063】
糸案内部材73は、直線状に延びたパイプであって、図2における左上端部が、テーパ部71aと対向するように配置されている。これにより、給糸部5側から糸案内部材73まで走行してきた糸Yは、糸案内部材73によってテーパ部71aに案内される。
【0064】
吹下ノズル74は、糸案内部材73の図中右側に配置されており、糸案内部材73の内部空間と接続された糸流路146と、この糸流路146に開口するとともに、糸流路146に対して傾斜して形成される吹下流路147とを有している。
【0065】
吹下流路147には接続パイプ149と接続パイプ150を介して圧力空気源151が接続されており、接続パイプ149と接続パイプ150の間には制御部109に電気的に接続された電磁弁152が設けられている。
【0066】
糸経路形成部材75は、糸経路128を形成するものであり、上糸案内パイプ26の吸引口26bと、吹下ノズル74との間に配置されている。糸経路128は、上糸案内パイプ26の吸引口26bのすぐ上方に位置しているその下端からほぼ真上に延びているとともに、その上端部において、図2の左上方に曲がって、その上端が、吹下ノズル74の糸流路146の右下端部と対向している。
【0067】
そして、このような、糸案内部材73、吹下ノズル74及び糸経路形成部材75の構成により、電磁弁152を開いて、圧力空気源151の圧力空気が接続パイプ150と接続パイプ149、吹下流路147を順に経由して糸流路146に吐出されると、糸案内部材73の内部空間、糸流路146、糸経路128には、回転貯留部71側から上糸案内パイプ26側へ向かう空気流が形成されるようになっている。そして、この空気流によって、回転貯留部71に巻きつけられている糸Yの糸端を吸い込んで捕捉するとともに、糸継部8側に引き出すことができるようになっている。
【0068】
このとき、糸案内部材73が、その両端においてのみ開口する内部空間を有するパイプであるため、吹下ノズル74により糸案内部材73の内部空間に空気流を発生させると、糸案内部材73の内部空間においては、内部の空気が吸引されることで、その気圧が大きく低下する。これにより、糸Yの糸端を強く吸引することができ、糸Yの糸端を確実に捕捉することができる。
【0069】
また、上記の糸経路形成部材75の下端には、アキュムレータ61に巻き付いた糸Yの糸端が実際に糸継部8側に引き出されたことを検出可能な引出センサ154が設けられている。この引出センサ154は、制御部109と電気的に接続されており、糸Yの糸端が糸継部8側に引き出されたことを検出すると、引出検出信号を制御部109に送信するようになっている。また、ヤーンクリアラ15は、糸Yの存在を検知することが可能であるので、ヤーンクリアラ15が引出センサ154を兼ねることもできる。この場合には、ヤーンクリアラ15と別に引出検知のための引出センサ154を設ける必要がない。
【0070】
さらに、アキュムレータ61には、糸Yの貯留量を検出するための上限糸センサ155、中間糸センサ156、及び、下限糸センサ157が設けられている。これらの糸センサ155〜157は、それぞれ、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1(上限貯留量、例えば300m)、A2(中間貯留量、例えば200m)及びA3(下限貯留量、例えば40m)となったときの、回転貯留部71に巻き付けられた糸Yの束の上端に対向する位置に位置決めされている。ここで、上記A1は、後述する糸継作業を所定の複数回(例えば、3回)実行する間に、巻取ボビン22に巻き取られる糸Yの量よりも多い量となっている。そして、この構成で、糸センサ155〜157は、対向する位置における糸Yの存在を検出している間、制御部109に、それぞれ、糸Yの貯留量がA1、A2及びA3よりも多いことを示す信号を送信するようになっている。
【0071】
ここで、第1実施形態では、回転貯留部71のストレート部71cにおいて、巻き付けられた糸Yの巻取部6側の端がくるべき範囲(ストレート部71cに巻き付けられた糸Yの巻き付け幅)を、予め図2に示す範囲R1に規定している。これにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量の範囲が、範囲R1の最大(図2中右上端)まで糸Yが巻き付けられたときの糸Yの貯留量(300m程度)を上限とし、範囲R1の最小(図2中左下端)まで糸Yが巻き付けられたときの糸Yの貯留量(40m程度)を下限とする範囲に設定されている。
【0072】
そして、第1実施形態では、後述するように、回転貯留部71に、上記範囲R1に糸Yが貯留されるようにするために、糸センサ155〜157により、それぞれ、回転貯留部71における糸Yの貯留量が、上記貯留量の範囲R1の上限位置として規定されるA1よりも多いか否か、上記貯留量の範囲R1の途中位置として規定されるA2よりも多いか否か、及び、上記貯留量の範囲R1の下限位置として規定されるA3よりも多いか否かを検出している。
【0073】
なお、範囲R1の上限まで糸Yが貯留されたときの回転貯留部71における糸Yの貯留量は、回転貯留部71に実際に貯留することのできる最大の糸Yの貯留量よりは少なく設定されており、これにより、後述するように、回転貯留部71における糸の貯留量が一時的に上記A1より多くなったときでも、糸Yが回転貯留部71から溢れることはない。
【0074】
次に、巻取ユニット2の制御部109の構成を説明する。制御部109は、図3に示すように、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)、プログラム実行時にデータを一時記憶するための上記のRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、ROMに記憶された上記制御プログラムがCPUに読み込まれCPU上で実行されることで、制御プログラムは、CPUなどのハードウェアを、巻取ドラムモータ制御部160、回転貯留ドラムモータ制御部161、引出糸長演算部163、上パイプ制御部164、下パイプ制御部165として機能させるようになっている。
【0075】
巻取ドラムモータ制御部160は、巻取ドラムモータ116の回転速度を制御する。回転貯留ドラムモータ制御部161は、回転貯留ドラムモータ72の回転方向及び回転速度を制御する。
【0076】
引出糸長演算部163は、引出センサ154が糸Yを検出した時点からの、ロータリエンコーダ153によって検出される回転貯留ドラムモータ72の回転角度に基づいて、アキュムレータ61から糸継部8側に引き出された糸Yの糸長としての引出糸長を演算する。
【0077】
上パイプ制御部164は、糸欠陥検出信号から取得した糸欠陥長さと、引出糸長演算部163によって演算された引出糸長と、を比較し、引出糸長が糸欠陥長さに到達したら、上糸案内パイプ26をクランプ状態のまま旋回させて、巻取部6側の糸Yを糸継装置14に案内し、セットする。下パイプ制御部165は、下糸案内パイプ25をクランプ状態のまま旋回させて、給糸部5側の糸Yを糸継装置14に案内し、セットする。
【0078】
次に、巻取ユニット2における糸Yの巻取動作について、図4〜図7を用いて説明する。
【0079】
自動ワインダ(巻取ユニット2)のオペレータは、給糸ボビン21から糸Yを解舒して、この糸Yを糸解舒補助装置12、ヤーンフィーラ37、第1テンサ41、ヤーンクリアラ15、アキュムレータ61、第2テンサ42、ワキシング装置17にセットし、巻取ボビン22に固定する。アキュムレータ61における糸Yの糸道は、図2に示す通りである。すなわち、オペレータは、糸Yを、引出センサ154と、糸経路形成部材75の糸経路128、吹下ノズル74の糸流路146と、糸案内部材73の内部流路に順に通す。
【0080】
この状態で、オペレータは、糸案内部材73の回転貯留部71と対向する開口から糸Yを引き出して、回転貯留部71に例えば5〜20回程度巻き付け、さらに、回転貯留部71と環状部材81との間を通し、回転貯留部71の右上方に配置された糸ガイド82にセットしてから、第2テンサ42にセットする。なお、図2における糸Yは説明の都合上、太く描かれているとともに、その巻付間隔も大きくなっているが、実際には回転貯留部71には常時、小さい巻付間隔で数百周程度巻き付けられた糸Yの束が貯留されるようになっている。
【0081】
そして、この状態で、回転貯留ドラムモータ72及び巻取ドラムモータ116を駆動する。すると、回転貯留部71が回転することにより、給糸ボビン21の糸Yが解舒され、解舒された糸Yがテーパ部71aに巻き付けられる。テーパ部71aに巻き付けられた糸Yは、テーパ部71aの表面に沿ってストレート部71cに向かって移動し、これにより、回転貯留部71には、その軸方向に沿って糸Yが巻き付けられる。また、巻取ドラム24が回転することにより、回転貯留部71に貯留された糸Yが解舒され、巻取ドラム24とともに回転する巻取ボビン22に巻き取られる。すなわち、巻取ユニット2において、糸Yの巻取が開始される。そして、巻取ユニット2により糸Yの巻取を行っている間、図4及び図5のフローに沿って、回転貯留部71及び巻取ドラム24の回転速度などが制御される。
【0082】
回転貯留部71の動作について説明する。第1実施形態では、後述するように、回転貯留部71の回転を停止させるときを除いて、給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度が、正常に糸Yを解舒可能な範囲で最大のVcとなるような回転速度で、回転貯留部71を回転させる。ここで、上記Vcは、糸Yの材質や太さにより、給糸ボビン21から糸Yを解舒する際に、糸Yの輪抜け(スラッフィング)などの不具合が発生しない範囲で、決定される。なお、本発明において解舒糸速度とは、回転貯留部71により給糸ボビンから解舒される糸Yの速度を示す。
【0083】
そして、図4に示すように、回転貯留部71が回転している状態では(S101:YES)、ヤーンクリアラ15により、糸Yの欠陥が検出されておらず(S102:NO)、且つ、糸Yの存在が検出されている(S103:YES)とき、すなわち、糸Yの走行が検出されているときには、そのまま、回転貯留部71の回転を継続させる。一方、ヤーンクリアラ15により、糸Yの欠陥が検出されたとき(S102:YES)、又は、糸Yの存在が検出されないときに(S103:NO)、回転貯留部71の回転を停止させて(S104)、上記S101に戻る。
【0084】
一方、上記S104において回転貯留部71の回転が停止されるなどして、回転貯留部71の回転が停止している状態では(S101:NO)、糸継部8による糸継動作が完了するまでの間(S105:NO)は、回転貯留部71を回転が停止した状態に保持し、糸継部8による糸継動作が完了したときに(S105:YES)、回転貯留部71の回転を再開させて(S106)、上記S101に戻る。
【0085】
次に、巻取ドラム24の動作について説明する。図5に示すように、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA3(下限貯留量)よりも多い場合、つまり、下限糸センサ157により規定下限よりも多い糸Yの貯留が検出されている場合(S201:YES)、ヤーンクリアラ15により、糸Yの欠陥が検出されておらず(S202:NO)、且つ、糸Yの存在が検出されているとき(S203:YES)、すなわち、糸Yの走行が検出されているときには、回転貯留部71における糸Yの貯留量によって巻取ドラム24の回転速度を変える。
【0086】
具体的には、上限糸センサ155により規定上限よりも多い糸Yの貯留が検出されている場合、つまり、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1よりも多い場合には(S204:YES)、巻取ドラム24を、糸Yの巻取糸速度が解舒糸速度であるVcよりも速いV1となるような所定の回転速度で回転させて、巻取ボビン22に糸Yの巻取を継続し(S205)、S201に戻る。なお、本発明において巻取糸速度とは、巻取ドラム24の回転によりパッケージに巻き取られる糸Yの速度を示す。
【0087】
一方、上限糸センサ155により糸Yが検出されない場合、つまり、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1以下である場合には(S204:NO)、巻取ドラム24を、糸Yの巻取糸速度が、解舒糸速度であるVcよりも遅いV2となるような所定の回転速度で回転させて、巻取ボビン22に糸Yの巻取を継続し(S206)、S201に戻る。
【0088】
また、下限糸センサ157により規定下限よりも多い糸Yの貯留が検出されている状態で(S201:YES)、ヤーンクリアラ15により、糸Yに欠陥が検出されたとき(S202:YES)、又は、糸Yの存在が検出されないとき(S203:NO)、すなわち、糸Yの走行が検出されず、中間糸センサ156により糸Y検出されている場合には(S207:YES)、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA2よりも多い量の糸Yが貯留されているので、巻取速度を維持したまま巻取を継続する(S208)。言い換えれば、糸Yの存在が検出されているとき(S203:YES)と同じ回転速度、具体的には、糸貯留量がA1よりも多い場合は巻取糸速度がV1となるような回転速度、糸貯留量がA1以下の場合には巻取糸速度V2となるような回転速度で巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続する。そして、その後、S201に戻る。
【0089】
一方、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA2以下となり、中間糸センサ156により糸Yが検出されなくなった場合には(S206:NO)、巻取糸速度が上述のV1、V2よりも遅いV3となるような回転速度まで、巻取ドラム24の回転速度を低下させた上で、巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続し(S209)、S201に戻る。
【0090】
また、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA3以下となり、糸センサ157により糸Yが検出されなくなったときには(S201:NO)、他の条件に関係なく、巻取ドラム24の回転を停止させることにより、巻取ボビン22への糸Yの巻取を停止させ(S210)、S201に戻る。
【0091】
次に、走行中の糸Yが切れたとき、糸欠陥が検出されたとき、及び、給糸ボビン21の糸Yがなくなって給糸ボビン21が交換されるときなどに行われる糸継動作などの手順について説明する。図6に示すように、ヤーンクリアラ15により糸Yの欠陥が検出されたときには(S301:YES)、カッター16により糸Yを切断して、欠陥のある部分を除去した後(S302)、後述する糸継動作を行って(S303)、上記S301に戻る。
【0092】
また、ヤーンクリアラ15により糸Yの存在が検出されないときには(S301:NO、S304:NO)、給糸ボビン21の糸Yが残っている場合、すなわち、ヤーンフィーラ37により糸Yが検出されている場合には、走行中の糸Yが切れたことによってヤーンクリアラ15により糸Yの存在が検出されなくなったと判断し(S305:NO)、後述する糸継動作を行って(S303)、S301に戻る。
【0093】
一方、給糸ボビン21の糸Yがなくなっている場合、すなわち、ヤーンフィーラ37により糸Yが検出されない場合には(S305:YES)、給糸ボビン21が交換されるのを待ち(S306:NO)、給糸ボビン21が交換され、給糸ボビン21から引き出された糸Yが、ヤーンフィーラ37により検出されたときに(S306:YES)、直ちに後述する糸継動作を行って(S303)、S301に戻る。
【0094】
ここで、上記S303における糸継動作の手順について説明する。糸継動作を行うには、まず、電磁弁152を開放状態へと切り替えることで、糸案内部材73の内部空間、糸経路128などに、回転貯留部71側から上糸案内パイプ26側へ向かう空気流を形成する。
【0095】
また、これと同時に、上糸案内パイプ26の吸引口26bを閉塞状態から開放状態へと切り替え、これにより、上糸案内パイプ26に、吸引口26b側から負圧源120側へ向かう空気流を形成する。
【0096】
次に、回転貯留部71を糸Yの巻付時とは逆方向に低速で回転させる。すると、回転貯留部71上に存在する糸Yの糸端は、糸案内部材73の開口に吸い込まれ、糸経路128などを経由して上糸案内パイプ26の吸引口26bに引き出される。
【0097】
そして、引出センサ154により、引き出された糸Yが検出されたときに、回転貯留部71の低速回転を継続したまま所定の糸量を吸い出した後、吸引口26bを開放状態から閉塞状態へと切り替えるとともにクランプ部26cによって糸Yをクランプさせ、さらに軸26aを中心として上糸案内パイプ26を上から下へ向かって旋回させることで、アキュムレータ61から引き出した糸Yを糸継部8の糸継装置14に案内する。
【0098】
一方で、下糸案内パイプ25は、上糸案内パイプ26と同様に、ヤーンフィーラ37の周辺に存在する糸Yの糸端を吸引捕捉し、この糸Yを糸継装置14に案内する。そして、アキュムレータ61側の糸Yと給糸部5側の糸Yが糸継装置14にセットされたら、制御部109は、糸継装置14に糸継作業を実行させて、給糸部5側の糸Yとアキュムレータ61側の糸Yとの糸継動作を完了させる。
【0099】
なお、この糸継装置14による糸継作業は1回では成功しないこともあり、糸継作業が失敗した場合には、糸継作業を複数回繰り返し実行させる。
【0100】
次に、上述したようにして、回転貯留部71及び巻取ドラム24を制御して巻取ユニット2を動作させたときの、給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度、巻取ドラム24への糸Yの巻取糸速度、及び、回転貯留部71における糸Yの貯留量の変化について一例を挙げて説明する。
【0101】
図7に示すように、巻取開始直後は、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1よりも少なくなっているため、上限糸センサ155により糸Yが検出されていない。よって、回転貯留部71は、解舒糸速度がVcとなるような回転速度で回転する。これに対して、巻取ドラム24は、巻取糸速度が解舒糸速度であるVcよりも遅いV2となるような回転速度で回転する。そのため、回転貯留部71における糸Yの貯留量は、解舒糸速度のVcと巻取糸速度のV2との差により、時間の経過とともに増加していく。
【0102】
そして、時刻T1において、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1を超えると、上限糸センサ155により糸Yが検出され、巻取ドラム24は、巻取糸速度が解舒糸速度のVcよりも速いV1となるような回転速度まで増速する。これにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量は、時間の経過とともに減少していく。
【0103】
回転貯留部71における糸Yの貯留量が減少してA1以下になると、上限糸センサ155により糸が検出されなくなり、巻取ドラム24は、巻取糸速度が解舒糸速度であるVcよりも遅いV2となるような回転速度まで減速する。これにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量は、時間の経過とともに増加していく。
【0104】
そして、以下、ヤーンクリアラ15により糸欠陥の存在が検出される、又は、給糸ボビン21の糸Yがなくなる、もしくは、給糸ボビン21と回転貯留部71との間の糸Yが切れてしまうことにより、糸の存在が検出されなくなる時刻T2まで、巻取ドラム24が、加速及び減速を繰り返し、巻取ドラム24による巻取糸速度がV1とV2との間で交互に切り替わる。これにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量は、増加と減少を交互に繰り返し、A1に近い量に保持される。
【0105】
上述の時刻T1〜時刻T2の間における動作について、図8を用いてより詳細に説明する。図8(a)、(b)は、それぞれ、図7(a)、(c)の時刻T1と時刻T2との間の部分近傍を拡大した図である。ただし、図8(a)、(b)は、図面を見やすくするために、図7の上記部分を、時間軸方向に引き伸ばして描いている。
【0106】
図8に示すように、時刻T1において、上限糸センサ155により糸Yが検出されると、時刻T1から僅かに遅れた時刻T11に巻取ドラム24の回転速度の加速が開始され、その後ほぼ一定の加速度で加速して、時刻T12に巻取糸速度がV1に到達する。なお、時刻T11の時刻T1からの遅れは、上限糸センサ155により糸Yが検出されてから、巻取ドラムモータ制御部160が、巻取ドラムモータ116の増速を開始させるまでにかかる時間である。そして、巻取ドラム24は、その後、上限糸センサ155により糸Yが検出されなくなる時刻T13まで、巻取糸速度がV1となるような一定の回転速度で回転する。
【0107】
このとき、回転貯留部71における糸Yの貯留量は、巻取糸速度が解舒糸速度のVcに到達するまでは増加し、巻取糸速度が解舒糸速度のVcを超えた後、減少していく。
【0108】
そして、時刻T13において、上限糸センサ155により糸Yが検出されなくなると、時刻T13から僅かに遅れた時刻T14に巻取ドラム24の回転速度の減速が開始され、その後ほぼ一定の加速度で減速して、時刻T15に、糸Yの巻取糸速度がV2となるような回転速度まで減速する。なお、時刻T14の時刻T13からの遅れは、上限糸センサ155により糸Yが検出されなくなってから、巻取ドラムモータ制御部160が、巻取ドラムモータ116の減速を開始させるまでにかかる時間である。そして、巻取ドラム24は、その後、上限糸センサ155により糸Yが検出される時刻T16から僅かに遅れた時刻T17まで、巻取糸速度がV2となるような一定の回転速度で回転する。
【0109】
そして、このような動作が繰り返されることにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量は、A1を挟んで増加及び減少を繰り返し、これにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量が、A1に近い量に保持される。
【0110】
続いて、時刻T2において、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出される、又は、糸Yの存在が検出されなくなると、回転貯留部71の回転が停止して解舒糸速度が0となる。また、時刻T2においては、回転貯留部71における糸Yの貯留量はA1近くあり、A2よりも多いので、糸センサ156により糸Yが検出され、巻取ドラム24は、それまでと同様、巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続する。
【0111】
このとき、回転貯留部71の回転が停止しており、回転貯留部71に新たに糸Yが貯留されることはないので、巻取ボビン22への糸Yの量を継続すると、回転貯留部71における糸Yの貯留量は時間の経過とともに徐々に減少していく。そのため、巻取ドラム24の回転速度が、巻取糸速度がV1であるタイミングで、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出された、又は、糸Yの存在が検出されなくなった場合には、巻取ドラム24は、僅かな時間、巻取糸速度がV1となるような回転速度で回転したのち、巻取糸速度がV2となるような回転速度で回転する。一方、巻取ドラム24の回転速度が、巻取糸速度がV2であるタイミングで、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出された、又は、糸Yの存在が検出されなくなった場合には、巻取ドラム24は、そのまま、巻取糸速度がV2となるような回転速度で回転し続ける。
【0112】
そして、回転貯留部71における糸Yの貯留量は時間の経過とともに徐々に減少していき、時刻T3において、糸Yの貯留量がA2以下となり、糸センサ156により糸Yが検出されなくなると、巻取ドラム24は、巻取糸速度がV1、V2よりも遅いV3となるような回転速度まで減速した上で、巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続する。
【0113】
そして、時刻T4において、糸継動作が完了すると、回転貯留部71の回転が再開されて再び解舒糸速度がVcとなる。また、回転貯留部71における糸Yの貯留量は時刻T2〜T4の間に減少しており、時刻T4においては、A1以下となっているので、上限糸センサ155により糸Yが検出されず、巻取ドラム24は、巻取糸速度がV2(<Vc)となるような回転速度で回転する。
【0114】
これにより、回転貯留部71における糸Yの貯留量が、時間の経過とともに増加していき、糸Yの貯留量がA1に達した後は、上述したのと同様、巻取糸速度がV1とV2とに交互に切り替わることにより、糸Yの貯留量がA1に近い量に保持される。
【0115】
その後、時刻T5において、再び、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出される、又は、糸Yの存在が検出されなくなると、上述したのと同様、回転貯留部71の回転が停止して解舒糸速度が0となり、巻取ドラム24は、巻取糸速度がV1又はV2となるような回転速度で巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続する。そして時刻T6において、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA2以下になると、巻取糸速度がV3となるような回転速度まで減速する。
【0116】
そして、時刻T7において、糸継動作が完了すると、上述したのと同様、回転貯留部71の回転が再開されて再び解舒糸速度がVcとなるとともに、巻取ドラム24は、巻取糸速度がV2(<Vc)となるような回転速度で回転する。
【0117】
ここで、図7の例では、2回目にヤーンクリアラ15により糸Yが検出されなくなってから、再びヤーンクリアラ15により糸Yが検出されるまでの時間、すなわち、時刻T5〜T7の間の時間が、1回目の上記時間、すなわち、時刻T2〜T4の間の時間に比べて長くなっている。これは、給糸ボビン21からの糸Yの解舒を停止することとなった原因や、糸継動作にかかった時間の違いなどによるものである。
【0118】
具体的に説明すると、例えば、給糸ボビン21からの糸Yの解舒を停止することとなった原因が、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出されたこと、又は、走行中の糸Yが切れたことにより糸Yの存在が検出されなくなったことであって、且つ、糸継が成功するまでの糸継作業の繰り返し回数が少ない場合には、上記時間は短くなる。
【0119】
一方、例えば、給糸ボビン21からの糸Yの解舒を停止することとなった原因が、給糸ボビン21の糸Yがなくなったことであり、給糸ボビン21の交換が行われる場合や、糸継が成功するまでの糸継作業の繰り返し回数が多い場合には、上記時間が長くなる。
【0120】
さらに、時刻T7の後、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA2よりも多くなる前に、時刻T8において、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出される、又は、糸Yの存在が検出されなくなると、上述したのと同様、回転貯留部71の回転を停止して解舒糸速度Vが0となる。時刻T8においては、回転貯留部71における糸Yの貯留量が、A2以下となっているため、中間糸センサ156により糸Yが検出されず、巻取ドラム24は、直ちに巻取糸速度がV3となるような回転速度まで減速した上で、巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続する。
【0121】
そして、この後、糸継動作が完了して、以下、同様の動作が継続される。
【0122】
以上に説明した第1実施形態によると、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出された、又は、糸Yの存在が検出されなくなった場合、回転貯留部71における糸Yの貯留量が少ない(A2以下である)ときには、巻取ドラム24を減速させて、巻取糸速度を低下させている。そのため、巻取ボビン22への糸Yの巻取による回転貯留部71における糸Yの貯留量の減少を抑えることができる。したがって、給糸ボビン21からの糸Yの解舒が停止されており、回転貯留部71に新たに糸Yが貯留されない状態でも、巻取ボビン22への糸Yの巻取を長時間継続することができ、回転貯留部71を大型化することなく、糸継動作を行うための時間を十分に確保することができる。あるいは、糸継動作を行うためにある一定の時間を確保しようとする場合に、回転貯留部71を小型にすることができる。
【0123】
また、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出された、又は、糸Yの存在が検出されなくなった場合であっても、回転貯留部71における糸Yの貯留量が多い場合(A2よりも多い場合)には、巻取ドラム24の回転速度、すなわち、巻取ボビン22への糸Yの巻取糸速度を落とさずに、糸Yの巻取を継続しているため、効率よく糸Yの巻取を行うことができる。また、この場合には、巻取糸速度を変化させないので、巻取糸速度を変化させることによるエネルギーロスを低減することもできる。
【0124】
また、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出されておらず、且つ、糸Yの存在が検出されている状態において、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1よりも多いときには、巻取ドラム24を、巻取糸速度が解舒糸速度のVcよりも速いV1となるような回転速度で回転させることで、回転貯留部71における糸Yの貯留量を減少させている。一方、回転貯留部71における糸Yの貯留量がA1以下のときには、巻取ドラム24を、巻取糸速度が解舒糸速度であるVcよりも遅いV2なるような回転速度で回転させることで、回転貯留部71における糸Yの貯留量を増加させている。したがって、回転貯留部71における糸Yの貯留量をA1に近い量に保持することができる。
【0125】
ここで、回転貯留部71における糸の貯留量を調整する方法として、第1実施形態とは異なり、巻取ボビン22への糸Yの巻取糸速度を一定とし、回転貯留部71における糸の貯留量に応じて、回転貯留部71の回転速度、すなわち、給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度を変えることも考えられる。
【0126】
しかしながら、給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度を変更する場合には、給糸ボビン21から可能な限り最大の解舒糸速度のVcで糸Yを解舒する場合に比べて、平均の糸Yの解舒糸速度が遅くなってしまう。
【0127】
また、第1実施形態の巻取ユニット2では、給糸ボビン21において、糸Yの解舒糸速度を大きく増減させると、その変動により上述の糸Yの輪抜け(スラッフィング)等の不具合が生じることがあるので、給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度を大きく増減させることは好ましくない。輪抜けが発生すると、糸切れ回数が多くなるので生産効率の低下につながる。
【0128】
以上のことから、巻取ユニット2における、巻取ボビン22への糸Yの巻取の生産性は、解舒糸速度を変化させた場合に、巻取糸速度を変化させた場合よりも大きく低下する。すなわち、解舒糸速度を変化させて、回転貯留部71における糸Yの貯留量を調整すると、巻取ボビン22への糸Yの巻取の生産性が特に低いものとなってしまう。
【0129】
そこで、第1実施形態では、大きく増減させることのできない給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度を極力落とさないという観点から、解舒糸速度が、給糸ボビン21から正常に糸Yを解舒可能な範囲で最大のVcとなるように、回転貯留部71を一定の回転速度で回転させるとともに、回転貯留部71における糸Yの貯留量に応じて、巻取ドラム24の回転速度、すなわち、巻取ボビン22への糸Yの巻取糸速度を変えることによって、回転貯留部71における糸Yの貯留量を調整している。これにより、巻取ユニット2における巻取ボビン22への糸Yの巻取の生産性を高くすることができる。
【0130】
また、回転貯留部71における糸Yの貯留量が、A3よりも少なくなったときには、他の条件とは関係なく、巻取ドラム24の回転を停止させて、巻取ボビン22への糸Yの巻取を停止させているので、回転貯留部71に貯留されている糸Yが完全になくなってしまうのを防止することができる。これにより、例えば、回転貯留部71の糸Yが完全になくなるまで糸Yの巻取が継続されて、糸継を行うためのアキュムレータ61側の糸Yがなくなってしまうのを防止することができる。
【0131】
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について説明する。第2実施形態は、糸解舒貯留部209の構成が第1実施形態の糸解舒貯留部9と異なっており、それ以外の部分についてはほぼ同じ構成であるので、以下では、主に糸解舒貯留部209の構成について説明し、第1実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0132】
図9に示すように、第2実施形態に係る糸解舒貯留部209は、アキュムレータ261を備えている。アキュムレータ261は、6本のローラ271、基材272、回動板273、巻付アーム275、巻付アームモータ276などを備えている。
【0133】
基材272は、略円形の板状体であり、巻付アームモータ276の出力軸236の先端に図示しない軸受けを介して支持されている。6本のローラ271(糸巻付部)は、基材272の上面に円周に沿って配置されており、その下端が基材272の上面に枢支されているとともに、その上端が回動板273に支持されている。
【0134】
回動板273は、巻付アームモータ276の軸C2を中心として回動可能となっており、回動板273を回動させると、回動板273に支持されたローラ271の上端は、周方向に互いに同じ中心角に相当する距離だけ移動する。そして、回動板273を回動させることによって、ローラ271の上端を周方向に移動させると、ローラ271は、周方向に傾斜する。
【0135】
また、回動板273には、その外周面を取り囲むようにゴムリング281が配置されており、後述するようにローラ271に巻き付けられた糸Yは回動板273とゴムリング281との間の隙間を通って、巻取部6に向けて搬送される。このとき、糸Yには回動板273とゴムリング281との間に挟まれた状態でその間を搬送されるため、糸Yの毛羽が寝かされる。また、糸Yが回動板273とゴムリング281との間に挟まれているため、ローラ271から解舒されて巻取部6に向けて走行する糸Yにおいてバルーンが発生してしまうのを防止することができる。
【0136】
なお、第2実施形態では、ローラ271のすべてが巻付アームモータ276により回転される駆動ローラであってもよいし、一部のローラ271のみが駆動ローラであり、他のローラは、巻き付けられた糸Yの移動に連動して回転する従動ローラであってもよい。
【0137】
巻付アーム275は、給糸ボビン21から糸Yを解舒して、ローラ271の下端部に糸Yを案内するためのものであって、内部に糸Yが走行可能な糸経路228を有しており、軸C2を中心として、回転可能に構成されている。巻付アーム275は、出力軸236の外周面に連結されており、出力軸236の外周面から径方向外側に延びる直線部241と、基材272を迂回してローラ271の下端部近傍に至る湾曲部242とから構成されている。
【0138】
湾曲部242の先端には、ローラ271の下端部と対向する開口243が形成されている。この構成で、巻付アーム275は、軸C2を中心として回転可能となっており、軸C2を中心として平面視で反時計回りに回転することで、後述するように、巻付アーム275の糸経路228内に導かれた給糸部5側の糸Yが6本のローラ271の下端部に巻き付けられるようになっている。
【0139】
巻付アームモータ276は、例えば、サーボモータ、DCブラシレスモータ、ステッピングモータなど、位置制御可能なモータであって、制御部109に電気的に接続され、もって、制御部109は、巻付アーム275の回転速度、すなわち、ローラ271への糸Yの巻付速度を制御する。
【0140】
また、巻付アームモータ276の下方には、巻付アーム275の糸経路228に連通する糸経路244が設けられており、糸経路244の下方には、上述の吹下ノズル74(図1参照)と同様の吹下ノズル248が配置されている。
【0141】
吹下ノズル248の下端には、アキュムレータ261に巻き込まれている糸Yの糸端が実際に糸継部8側に引き出されたことを検出可能な引出センサ254が設けられている。この引出センサ254は、制御部109と電気的に接続されており、糸Yの糸端が糸継部8側に引き出されたことを検出すると、引出検出信号を制御部109に送信するようになっている。
【0142】
さらに、アキュムレータ261においては、図9に示すように、ローラ271に巻き付けられる糸Yの巻取部6側の端(上端)がくるべき範囲を範囲R2に設定しており、これに対応して、第1実施形態と同様の、糸センサ155〜157が設けられている。そして、糸センサ155〜157により、それぞれ、アキュムレータ261における糸Yの貯留量が、A1、A2、A3よりも多いか否かを検出することができるようになっている。
【0143】
次に、第2実施形態に係る巻取ユニットの動作について説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様、図4、図5に示すように、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出されたか否か、及び、糸Yの存在が検出されているか否かと、アキュムレータ261における糸Yの貯留量とに応じて、給糸ボビン21からの糸Yの解舒糸速度や、巻取ボビン22への糸Yの巻取糸速度などを制御し、図6と同様の手順で、糸継動作などを行う。
【0144】
ただし、第2実施形態では、上述したように、巻付アーム275を回転させることによって、給糸ボビン21から糸Yを解舒するとともに、解舒した糸Yをローラ271、及び、ローラ271を取り囲むように配置された巻付補助部材274にまたがるように巻き付ける。ここで、巻付補助部材274の外周面である巻付補助面274aは、上方の部分ほど、ローラ271が配置される円周の径方向内側にくるように傾斜している。そして、巻き付けられた糸Yは、巻付補助面274a上にある間は、巻付補助面274aに沿って上方に移動し、巻付補助面274aから離れ、ローラ271にのみ巻き付けられた状態となってからは、傾斜したローラ271に搬送されることにより、上方に移動する。これにより、6本のローラ271には、軸C2方向に沿って糸Yが巻き付けられる。
【0145】
また、第2実施形態では、図4のS101で巻付アーム275が回転しているか否かを判断し、S104で巻付アーム275の回転を停止させ、S106で巻付アーム275の回転を再開させる。また、第2実施形態では、図6のS303の糸継時に、巻付アーム275を、糸Yの巻付時とは逆方向に回転させることによって糸Yを引き出す。
【0146】
次に、第1、第2実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、第1、第2実施と同様の構成を有するものについては適宜その説明を省略する。
【0147】
第1、第2実施形態では、ヤーンクリアラ15により、糸Yの有無を検出することによって、給糸部5とアキュムレータ61、261との間における糸Yの走行を検出していたが、これには限られない。例えば、給糸部5とアキュムレータ61、261との間に、走行する糸Yの速度を検出するセンサ(速度検出部)、あるいは、走行する糸Yの長さを検出するためのセンサ(走行長さ検出部)を設け、これらのセンサを用いて糸Yの走行を検出してもよい。
【0148】
糸Yが正常に走行しているときには、上記センサにより検出された糸Yの速度や長さは所定範囲内に収まるのに対して、走行中の糸Yが切れたとき、糸欠陥が検出されてカッター16により糸Yが切断されたとき、給糸ボビン21の糸Yがなくなったときなどには、上記センサにより検出された糸Yの速度や長さが減少し、最終的に0になる、すなわち、上記所定範囲から外れるので、上記センサにより検出された糸Yの速度や長さが所定範囲にあるか否かによって、糸Yの走行を検出することができる。
【0149】
また、第1、第2実施形態では、ヤーンクリアラ15により、糸欠陥が検出されたときや、糸Yの存在が検出されなくなったときでも、糸Yの貯留量がA2よりも多い場合には、巻取糸速度を落とさずに、それまでの巻取糸速度を維持したまま、巻取ボビン22への糸Yの巻取を継続していたが、これには限られない。例えば、一変形例(変形例1)では、糸Yの貯留量がA2よりも多いか否かを検出するための中間糸センサ156(図2参照)が設けられておらず、図10に示すように、カッター16により糸Yが切断されたとき(S202:YES)、あるいは、ヤーンクリアラ15により糸Yが検出されなくなったときには(S203:NO)、糸Yの貯留量に関わらず、一律に巻取糸速度をV3に低下させている(S401)。
【0150】
この場合には、給糸ボビン21からの糸Yの解舒が停止されている状態で、糸Yの貯留量がA2よりも多い場合において、第1実施形態に比べて、糸Yの巻取の効率は悪くなってしまう。しかしながら、この場合には、第1、第2実施形態の場合よりも、給糸ボビン21からの糸Yの解舒が停止されている状態で、糸Yの巻取を継続することが可能な時間を長くすることができ、糸継動作などを行うための時間を長く取れる。あるいは、第1、第2実施形態と同じだけ、糸継動作を行うための時間を確保しようとする場合に、回転貯留部71やローラ271を第1、第2実施形態よりもさらに小型にすることができる。
【0151】
さらには、糸欠陥が検出されず(S202:NO)、且つ、糸Yの存在が検出されているとき、すなわち、通常の糸の巻取時にのみ、巻取糸速度の制御を行い、糸欠陥が検出されたとき(S202:YES)、又は、糸Yの存在が検出されなくなったときには(S203:NO)、巻取糸速度を低下させず、常にそれまでと同じ巻取糸速度で糸Yの巻取を継続してもよい。ただし、この場合には、通常の糸の巻取時に、糸の巻取の生産性を高くすることはできるが、糸継動作を行うための時間を十分に確保するために、回転貯留部71を大型化する必要がある。
【0152】
また、第1、第2実施形態では、糸の走行が検出されている状態で、アキュムレータ61、261における糸Yの貯留量がA1よりも多いときに、巻取糸速度を解舒糸速度であるVcよりも速いV1とするとともに、糸Yの貯留量がA1以下のときに、巻取糸速度を解舒糸速度であるVcよりも遅い一律のV2とすることによって、アキュムレータ61、261における糸Yの貯留量を調整していたが、糸Yの貯留量を調整するための制御はこれには限られない。
【0153】
例えば、巻取ユニット2による糸Yの巻取開始直後や、糸継が完了した直後のように、アキュムレータ61、261における糸Yの貯留量が少ないとき(例えばA2以下であるときなど)に、巻取糸速度をV2よりもさらに遅い速度とし、糸Yの貯留量がA2を超えた後、巻取糸速度をV2にしてもよい。このようにすれば、アキュムレータ61、261における糸Yの貯留量が少ない場合に、速やかに糸Yの貯留量を増加させることができる。
【0154】
また、糸センサ155〜157の代わりに、アキュムレータ61、261における糸Yの貯留量を連続的に検出可能なセンサを設け、検出された糸Yの貯留量が多くなるほど、巻取糸速度が速くなるように制御を行うことにより、糸Yの貯留量を調整することも可能である。
【0155】
さらには、通常の糸の巻取時には、上述したような巻取糸速度の制御を行わず、糸欠陥が検出されたとき(S202:YES)、又は、糸Yの存在が検出されなくなったとき(S203:NO)にのみ、巻取糸速度の制御を行ってもよい。ただし、この場合には、回転貯留部71を大型化することなく、糸継動作を行うための時間を十分に確保することはできるが、通常の糸の巻取時には、解舒糸速度を変える必要があり、糸の巻取の生産性は低くなってしまう。
【0156】
また、第1実施形態では、回転貯留部71を回転させることによって、給糸ボビン21から糸Yを解舒するとともに、解舒した糸Yを回転貯留部71に巻き付けて貯留しており、第2実施形態では、巻付アーム275を、回転させることによって、給糸ボビン21から糸Yを解舒するとともに、解舒した糸Yを、周方向に沿って配列された複数のローラ271に巻き付けて貯留していたが、給糸ボビン21から糸Yを解舒するための構成や、解舒した糸Yを貯留するための構成はこれには限られない。
【0157】
給糸ボビン21から糸Yを解舒するための構成については、例えば、給糸部5の近傍などに、糸Yを巻き付けるための構成(回転貯留部71、巻付アーム275)とは別に専用の構成が設けられていてもよい。
【0158】
また、糸Yを貯留するための構成については、給糸ボビン21から解舒された糸Yが、巻付アーム275により、自らは回転しない略円柱形状の筒状体に巻き付けられるなど、回転貯留部71やローラ271以外の部材に巻き付けられることで、貯留されるようになっていてもよい。さらには、糸解舒貯留部は、糸Yを巻き付けるための糸巻付部を備えたものであることには限られず、例えば、内部に糸を貯留するための空間が形成されたケースなどが設けられており、給糸ボビン21から解舒された糸Yが、この空間内に導入され、この空間内において貯留されるようになっていてもよい。
【0159】
また、上述の実施の形態では、糸継動作において、下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26を用いて、アキュムレータ側の糸Y及び給糸ボビン21側の糸Yをそれぞれ糸継装置14にセットしたが、これには限られない。
【0160】
一変形例(変形例2)では、図11に示すように、第1実施形態において、下糸案内パイプ25、上糸案内パイプ26及び糸経路形成部材75などが設けられておらず、代わりに、上糸捕捉装置301、ガイド部材302、下糸吹上装置303及びヤーントラップ304が設けられている。また、図11では、給糸ボビン21を供給するためのボビン供給装置として、マガジン式のボビン給糸装置305を図示している。
【0161】
上糸捕捉装置301は、第1テンサ41のすぐ上方に配置されており、図示しない負圧源に接続されている。ガイド部材302は、略円筒状の部材であり、上糸捕捉装置301と吹下ノズル74との間に、通常の巻取時における糸Yの糸道を迂回するように延びている。また、ガイド部材302には、図中左側の端部に、その全長にわたってスリット302aが形成されている。
【0162】
下糸吹上装置303は、第1テンサ41のすぐ下方に配置されている。下糸吹上装置303は、図示しない圧力空気源に接続されており、上向きの空気流を発生させる。ヤーントラップ304は、糸Yを吸引可能に糸継装置14とヤーンクリアラ15との間に配置されており、図示しない負圧源に接続されている。
【0163】
そして、上述の第1実施形態と同様、走行中の糸が切れたとき、糸欠陥が検出されたとき、給糸ボビン21の糸Yがなくなり、給糸ボビン21が交換されるときなどに、吹下ノズル74に空気流を発生させると、回転貯留部71に巻き付いた糸Yの糸端が吸引されるとともに、吹下ノズル74からガイド部材302に向けて吹き飛ばされる。ガイド部材302に吹き飛ばされた糸端は、一点鎖線で示すように、ガイド部材302の図中右側の壁面に沿って上糸捕捉装置301と対向する位置まで案内される。上糸捕捉装置301は、案内されてきた糸端を吸引することによって捕捉する。そして、上糸捕捉装置301により糸端が吸引されると、ガイド部材302内に位置する糸Yが引っ張られ、スリット302aからガイド部材302の外部に出されて、糸継装置14にセットされる。
【0164】
一方、下糸吹上装置303は、給糸ボビン21側の糸Yを上方に向けて吹き上げ、ヤーントラップ304は、下糸吹上装置303により吹き上げられた糸を吸引して捕捉する。そして、給糸ボビン21側の糸Yは、下糸吹上装置303により吸引されると、引っ張られることにより、糸継装置14にセットされる。
【0165】
そして、変形例2では、上述したようにして、アキュムレータ61側の糸Yと給糸ボビン21側の糸Yとを糸継装置14にセットした上で、上述の第1実施形態と同様、糸継装置14において糸継を行う。
【0166】
また、ガイド部材302が、通常の巻取時における糸Yの糸道を迂回するように延びているため、通常の巻取時には、糸Yがガイド部材302に接触することはなく、糸Yの品質が低下してしまうのを防止することができる。
【0167】
この場合には、吹下ノズル74により回転貯留部71から吸引した糸端を、ガイド部材302により上糸案内装置301まで案内する構成となっているため、ガイド部材302の向き、長さ、形状などを変更することにより、吹下ノズル74と上糸案内装置301との位置関係を比較的自由に変更することができる。すなわち、吹下ノズル74及び上糸案内装置301のレイアウトの自由度が高くなる。
【0168】
また、上述したようにしてアキュムレータ61側の糸Y及び給糸ボビン21側の糸Yを糸継装置14にセットする場合には、糸継装置14に糸Yをセットするのに、第1実施形態の下糸案内パイプ25や上糸案内パイプ26の旋回といった機械的な動作を伴わないため、糸継装置14にすばやく糸Yをセットすることができ、これにより、糸継動作が完了するまでにかかる時間を短縮することができる。
【0169】
また、上述の実施の形態では、巻取ドラム24に綾振溝27を設けることにより、巻取ボビン22に巻き取る糸Yをトラバースしたが、これには限られず、巻取ボビン22に巻き取られる直前の糸Yが掛けられた状態で、左右に往復移動するアーム式のトラバース装置により、糸Yのトラバースを行ってもよい。
【符号の説明】
【0170】
2 巻取ユニット
6 巻取部
9 糸解舒貯留部
14 糸継装置
15 ヤーンクリアラ
21 給糸ボビン
60 給糸ボビン支持部
61 アキュムレータ
71 回転貯留ドラム
155〜157 糸センサ
209 糸解舒貯留部
261 アキュムレータ
271 ローラ
275 巻付アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸ボビンを支持する給糸ボビン支持部と、
前記給糸ボビン支持部に支持された給糸ボビンから糸を解舒し、解舒した糸を貯留する糸解舒貯留部と、
前記糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ってパッケージにする巻取部と、
前記糸解舒貯留部における糸の貯留量を検出する貯留量検出部と、
前記給糸ボビン支持部と前記糸解舒貯留部との間における糸の走行を検出する糸走行検出部と、
前記貯留量検出部と前記糸走行検出部の検出結果に応じて、前記巻取部の巻取糸速度を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする糸巻取装置。
【請求項2】
給糸ボビン側の糸と、前記糸解舒貯留部側の糸との糸継を行う糸継部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取装置。
【請求項3】
前記糸走行検出部が、前記給糸ボビン支持部と前記糸解舒貯留部との間における糸の有無を検出する糸有無検出手段により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸巻取装置。
【請求項4】
前記糸走行検出部が、前記給糸ボビン支持部と前記糸解舒貯留部との間の糸欠陥を検出する糸欠陥検出部により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸巻取装置。
【請求項5】
前記糸走行検出部が、糸の走行速度を検出する走行速度検出手段により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸巻取装置。
【請求項6】
前記糸走行検出部が、糸の走行長さを検出する走行長さ検出手段により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸巻取装置。
【請求項7】
前記糸解舒貯留部は、一方向に沿ってその一端から他端に向かって糸が巻き付けられる糸巻付部を備えており、
前記貯留量検出部は、前記糸巻付部のいずれかの部分と対向するように配置されており、前記糸巻付部の当該部分に糸が存在しているか否かを検出する少なくとも1つのセンサを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の糸巻取装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときに、
前記糸解舒貯留部における解舒糸速度が、一定の解舒糸速度となるように前記糸解舒貯留部を制御するとともに、
巻取糸速度が、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量に基づいて決定された巻取糸速度となるように、前記巻取部を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の糸巻取装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときに、
前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が、予め規定された上限貯留量よりも多い場合には、前記糸解舒貯留部における糸の解舒糸速度よりも速い巻取糸速度V1となるように、前記巻取部を制御し、
前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が前記上限貯留量以下の場合には、解舒糸速度よりも遅い巻取糸速度V2となるように、前記巻取部を制御することを特徴とする請求項8に記載の糸巻取装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記糸走行検出部により糸の走行が検出されないときに、糸の解舒動作が停止されるように前記解舒貯留部を制御するとともに、
前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときよりも遅い巻取糸速度V3となるように、前記巻取部を制御することを特徴とする請求項8又は9のいずれかに糸巻取装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記糸走行検出部により糸の走行が検出されないときに、
前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が、予め規定された中間貯留量以下の場合にのみ、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときよりも遅い巻取糸速度V3となるように、前記巻取部を制御し、
前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が前記中間貯留量よりも多い場合には、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されているときと同じ巻取糸速度V1、V2となるように、前記巻取部を制御すること特徴とする請求項9又は10に記載の糸巻取装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記貯留量検出部により検出された糸の貯留量が、予め規定された下限貯留量以下のときに、前記糸走行検出部により糸の走行が検出されたか否かに関わらず、糸の巻取が停止されるように、前記巻取部を制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の糸巻取装置。
【請求項13】
給糸ボビンから糸を解舒し、
解舒した糸を糸解舒貯留部に貯留し、
糸解舒貯留部に貯留された糸を巻き取ってパッケージにする糸巻取方法であって、
前記給糸ボビンと前記糸解舒貯留部との間における糸の走行、及び、前記糸解舒貯留部における糸の貯留量を検出し、これらの検出結果に応じた巻取糸速度で糸をパッケージとして巻き取ることを特徴とする糸巻取方法。
【請求項14】
前記糸の走行が検出されているときに、
検出された糸の貯留量が、予め規定された上限貯留量よりも多い場合には、前記糸解舒貯留部における糸の解舒糸速度よりも速い巻取糸速度V1で糸を巻き取り、
検出された糸の貯留量が前記上限貯留量以下の場合には、解舒糸速度よりも遅い巻取糸速度V2で糸を巻き取ることを特徴とする請求項13に記載の糸巻取方法。
【請求項15】
糸の走行が検出されないときに、
糸の解舒動作を停止し、
糸の走行が検出されているときよりも遅い巻取糸速度V3で糸を巻き取ることを特徴とする請求項13又は14に記載の糸巻取方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−197135(P2012−197135A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61354(P2011−61354)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)