説明

紐状のスナップファスナ

【課題】さまざまな応用範囲を有する紐状のファスナを提供する。
【解決手段】紐(2)とこの紐の両端に設けた雌雄ファスナ部材(3,4)からなる。前記紐(2)の幅は0.5〜3mm、好ましくは0.5〜2mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。前記紐(2)の長さは、3〜20cm、好ましくは5〜15cm、より好ましくは7〜10cmである。前記雌ファスナ部材(3)は係合側の中央に窪み(31)を有し、前記雄ファスナ部材(4)は係合側に凸部(41)を形成しており、前記窪み(31)と凸部(41)が係合可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐状のスナップファスナに関する。紐状のスナップファスナは、雌雄ファスナ部材が紐で連結されているファスナであり、衣類やかばん、靴など幅広い応用分野を有する。
【背景技術】
【0002】
紐状のスナップファスナはさまざまなものが公知である。例えば、実開昭50−17102号、実公昭52−36647号、実開昭54−37302号、意匠登録第457665号、意匠登録第472345号、意匠登録第510477号、意匠登録第510478号、意匠登録第510430号、意匠登録第510431号、等である。
【0003】
これらの従来技術では、雌雄ファスナ部材がごく短い紐によって連結されている。前記従来技術の図面を見ると、紐の長さは、雌雄ファスナ部材の直径よりも短いものがほとんどであり、一番長いもの(実開昭54−37302号)でも雌雄ファスナ部材の直径の約1.3倍である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、雌雄ファスナ部材をつなぐ紐を細く長くすることにより、思いもよらぬさまざまな応用が可能であることを発見し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明請求項1は、紐状のスナップファスナであって、紐(2)とこの紐の両端に設けた雌雄ファスナ部材(3,4)からなり、前記紐(2)の長さが3〜50cmであることを特徴とする。
【0006】
本発明請求項6は、紐状のスナップファスナであって、2本の紐(2A,2A;2B,2B)と、それぞれの紐のところどころに設けた雌雄ファスナ部材(3A,4A;3B,4B)からなり、隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2)の幅が0.5〜3mm、長さが3〜50cmであることを特徴とする。
【0007】
本発明請求項10は、紐状のスナップファスナであって、1本の紐(2B,2B)と、この紐のところどころに混在するように設けた雌雄ファスナ部材(3B,4B)からなり、隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2)の長さが3〜50cmであることを特徴とする。
【0008】
上記各発明において、前記紐(2)の幅が0.5〜3mmであることが好ましい(請求項2,7,11)。
【0009】
特に、前記紐(2)の幅が0.5〜2mmで、長さが5〜35cmであることが好ましく(請求項3,8,12)、より好ましくは、前記紐(2)の幅が0.5〜1.5mm、長さが5〜20cmである(請求項4,9,13)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紐の幅が0.5〜3mm及び/又は紐の長さが3〜50cmであるので、従来技術では考えられなかったようなさまざまな応用が可能となった。例えば、下記実施例では、女性下着の盗難防止具として使用している。この実例などは従来の紐状のスナップファスナではとても考えられなかったものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明第1実施例の紐状スナップファスナの(a)左側面図、(b)右側面図、(c)正面図である。
【図2】図1(b)の断面図であり、(a)は係合前、(b)は係合後を示す。
【図3】(a)本発明第1実施例の使用例を示す正面図、(b)は部分拡大図、(c)は不使用時の状態を示す正面図である。
【図4】(a)本発明第1実施例の別の使用例を示す正面図である。(b)は部分拡大図である。
【図5】本発明第2実施例の紐状スナップファスナの(a)右側面図、(b)正面図である。
【図6】本発明の第2、第3実施例の使用例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3実施例の紐状スナップファスナの(a)右側面図、(b)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施態様を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1、図2に示す紐状スナップファスナ1の第1実施例は、紐2とこの紐の両端に設けた雌雄ファスナ部材3,4からなる。紐2と雌雄ファスナ部材3,4は共にプラスチックにより成形することが好ましい。この実施例では、雌ファスナ部材3の直径は約8mm、雄ファスナ部材4の直径は約5mmである。紐2は直径約1mmであり、長さは約6cmである。
【0014】
図2に明らかなように、紐2は、雌雄ファスナ部材3,4の中では埋め込まれて一体化している。場合によれば、紐2と雌雄ファスナ部材3,4を一体形成することも可能である。
【0015】
雌ファスナ部材3は、円板状で、係合側の中央に窪み31を有する。窪みの途中に段部が形成されていて2段となっており、窪み底部32の直径が窪み上部33の直径よりも大きい。
【0016】
雄ファスナ部材4は、やはり円板状で、係合側に凸部41を形成している。凸部41の途中に段部が形成されていて2段となっており、凸部上部42の直径が凸部底部43の直径よりも大きい。
【0017】
雌雄ファスナ部材3,4を指で押して係合させると、凸部41が窪み31の中に収納されて、図2(b)の状態となる。係合の強さは一般のスナップファスナ程度で十分であるが、必要があればもう少し強めてもよい。
【0018】
図3及び図4により、この紐状スナップファスナ1の使用例を説明する。
【0019】
図3(a)〜(c)は女性下着のショーツ5の盗難防止具として用いた例である。このショーツ5の上端部に、上端のみ開口させたポケット51を設け、そのポケット51の内部で紐状スナップファスナの紐2を中央の1個所21で固定する。着用して使用しているときを含め、通常は図3(c)のように、紐2と雌雄ファスナ部材3,4はポケット51の中に収納された状態であるので、目立たない。また、ポケット生地が介在するので、雌雄ファスナ部材3,4が直接肌に当たることはない。
【0020】
洗濯をした後、乾かすためにハンガー6に掛けるとき、洗濯挟み7で吊すのはもちろんであるが、それに加えて、盗難防止具1の雌雄ファスナ部材3,4を立ち上げ(図3(b))、ハンガーの底部棒61を抱え込むようにして、雌雄ファスナ部材同士3,4を係合させる(図3(a))。盗難防止具1はショーツ5から突出するリングを形成し、このリングの中にハンガーの底部棒61が通っている状態となる。
【0021】
下着泥棒が竿などを使用してこのショーツ5を引っ張って下ろそうとすると、洗濯挟み7はすぐに外れるであろうが、この盗難防止具1は簡単には外せないので、盗難を防止することができる。もちろん雌雄ファスナ部材3,4を直接手で持って引き離すことは可能であるが、一般的に泥棒は見つかることを極度に恐れているので、時間がかかることは避けるといわれている。また、ハンガー6ごと盗むことも可能であるが、犯行の明白な証拠を残すようなことはやはりなるべく避けるであろうと考えられる。
【0022】
図4は、ブラジャー8の盗難防止具として用いた例である。ポケット81は乳房カップの間に設けている。盗難防止具1の構成及び使用方法は図3の場合と同様であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0023】
図5に示す紐状スナップファスナ1Aの第2実施例は、一対の紐2Aからなる。一方は複数の雌ファスナ部材3Aをところどころに設けた紐であり、他方は、複数の雄ファスナ部材4Aをところどころに設けた紐である。雌雄ファスナ部材3A,4Aは第1実施例と同様の構成を有する。1本の紐において、隣り合う雌雄ファスナ部材3A,4A同士の間の紐2Aの長さは、約6cmである。紐2Aの直径は約1mmである。
【0024】
図6により、複数のショーツ5を盗難防止具1Aにより同時に盗難から防ぐ方法を説明する。盗難防止具1Aの2本の紐2A,2Aをショーツ5の胴部開口及び太股部開口を潜らせると共に、ところどころでハンガー6の底部棒61を抱え込むようにして、雌雄ファスナ部材同士3A,4Aを係合させる。盗難防止具1Aはショーツ5から突出する複数のリングを形成し、この中の適当な位置にあるリングにハンガーの底部棒61が通っている状態となる。
【0025】
複数のブラジャーの場合は図示していないが、肩紐と本体の間の大きな開口を利用して、盗難防止具1Aの紐2Aを通すことができる。
【実施例3】
【0026】
図7に示す紐状スナップファスナ1Bの第3実施例は、やはり一対の紐2Bからなる。双方とも複数の雌雄ファスナ部材3B,4Bを混合させてところどころに設けた紐2Bである。雌雄ファスナ部材3B,4Bは第1実施例と同様の構成を有する。1本の紐において、隣り合う雌雄ファスナ部材3B,4B同士の間の紐2Bの長さは約6cmである。紐2Bの直径は約1mmである。
【0027】
この実施例では1本の紐の中に雌雄ファスナ部材3B,4Bを混在しているので、「一対の紐」2Bは2本である必要はない。使用時に紐が2列になっておればよく、分断された2本の紐を使用してもよいし、1本の紐を折り曲げて使用してもよい。
【0028】
第3実施例も第2実施例と全く同じように使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】実開昭50−17102号
【特許文献2】実公昭52−36647号
【特許文献3】実開昭54−37302号
【特許文献4】意匠登録第457665号
【特許文献5】意匠登録第472345号
【特許文献6】意匠登録第510477号
【特許文献7】意匠登録第510478号
【特許文献8】意匠登録第510430号
【特許文献9】意匠登録第510431号
【符号の説明】
【0030】
1,1A,1B 紐状のスナップファスナ
2,2A,2B 紐
3,3A,3B 雌ファスナ部材
4,4A,4B 雄ファスナ部材
5 ショーツ
51 ポケット
6 ハンガー
61 底部棒
8 ブラジャー
81 ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐(2)とこの紐の両端に設けた雌雄ファスナ部材(3,4)からなり、前記紐(2)の長さが3〜50cmであることを特徴とする紐状のスナップファスナ。
【請求項2】
前記紐(2)の幅が0.5〜3mmである請求項1記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項3】
前記紐(2)の幅が0.5〜2mmで、長さが5〜35cmである請求項1又は2記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項4】
前記紐(2)の幅が0.5〜1.5mm、長さが5〜20cmである請求項1〜3のいずれかに記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項5】
前記雌ファスナ部材(3)が係合側の中央に窪み(31)を有し、前記雄ファスナ部材(4)が係合側に凸部(41)を形成しており、前記窪み(31)と凸部(41)が係合可能であるものである請求項1〜4のいずれかに記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項6】
2本の紐(2A,2A;2B,2B)と、それぞれの紐のところどころに設けた雌雄ファスナ部材(3A,4A;3B,4B)からなり、隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2)の幅が0.5〜3mm、長さが3〜50cmであることを特徴とする紐状のスナップファスナ。
【請求項7】
前記紐(2A,2A;2B,2B)の幅が0.5〜3mmである請求項6記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項8】
隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2A,2A;2B,2B)の幅が0.5〜2mm、長さが5〜35cmである請求項6又は7記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項9】
隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2A,2A;2B,2B)の幅が0.5〜1.5mm、長さが5〜20cmである請求項6〜8のいずれかに記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項10】
1本の紐(2B)と、この紐のところどころに混在するように設けた雌雄ファスナ部材(3B,4B)からなり、隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2)の長さが3〜50cmであることを特徴とする紐状のスナップファスナ。
【請求項11】
前記紐(2B)の幅が0.5〜3mmである請求項10記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項12】
隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2B)の幅が0.5〜2mm、長さが5〜35cmである請求項10又は11記載の紐状のスナップファスナ。
【請求項13】
隣り合う前記雌雄ファスナ部材同士の間の前記紐(2B)の幅が0.5〜1.5mm、長さが5〜20cmである請求項10〜12のいずれかに記載の紐状のスナップファスナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−263947(P2010−263947A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115571(P2009−115571)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【出願人】(390003296)尼崎製罐株式会社 (7)
【Fターム(参考)】