説明

紙おむつ

【課題】腹側部の可動領域を広げることができる紙おむつを提供する。
【解決手段】透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介装され、着用者の腹側に位置する腹側部、背側に位置する背側部、及び腹側部と背側部との間に位置する股下部が設けられ、背側部の幅方向の両側端部から突出する左右一対の背側部止着部と、腹側部の外面に設けられ、背側部止着部を着脱自在に係止可能な腹側部被止着部と、を備えた紙おむつであって、腹側部の外面側に形成され、折り畳みと展開とが自在な折畳み部を備え、折畳み部は、腹側部よりも外側に形成された正面部と、正面部の幅方向側の両端部と腹側部とを連結する側面部と、を備え、側面部の外面側に、側面部を腹側部と着脱自在に止着する止着部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品としての紙おむつには、背側部の幅方向側の両端部から延在するファスナーテープ等の止着部材を具備し、当該止着部材を腹側部の所定の被止着部に止着させるように構成されたものが知られている。
また、紙おむつは、一般に、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体と、から形成されており、着用時に排泄された尿等の排泄物を液透過性のトップシートを介して吸収体に保持し、液不透過性のバックシートにより、排泄物が紙おむつの外に漏れ出すのを防ぐ構造になっている。
【0003】
このような紙おむつにおいて、トップシートに便の通過が可能な開口部を形成し、バックシートのうち着用者の肛門が位置する領域に便の通過が可能な開口部を形成するとともに、バックシートの外面に便を収容するための収容袋を接合した使い捨ておむつが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、表裏面シートと吸収体コアとを厚み方向へと貫通する開口が股下領域に形成され、開口と対向するように大便を収容するための袋が取り付けられ、袋の両側壁が2条の折曲部で折曲され、紙おむつの横方向内方と横方向外方とへ交互に倒伏するように折畳まれている紙おむつが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−166966号公報
【特許文献2】特開2002−253609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高齢者に紙おむつを装着しようとする際、拘縮や筋力の衰えなどにより、足を開かせにくい場合がある。このような場合、紙おむつを装着させようとしても、紙おむつの腹側部の可動領域が狭いために、装着時に着用者の脚周りに隙間が生じやすく、その隙間からモレが生じてしまうという問題があった。
上記の特許文献1,2の技術は、折畳み部を有するが、これらは便収容を用途として股下領域に形成されたものであるため、腹側部の可動領域を広げることはできなかった。
【0006】
本発明は、腹側部の可動領域を広げることができる紙おむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介装され、着用者の腹側に位置する腹側部、背側に位置する背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部が設けられ、前記背側部の幅方向の両側端部から突出する左右一対の背側部止着部と、前記腹側部の外面に設けられ、前記背側部止着部を着脱自在に係止可能な腹側部被止着部と、を備えた紙おむつであって、
前記腹側部の外面側に形成され、折り畳みと展開とが自在な折畳み部を備え、
前記折畳み部は、
前記腹側部よりも外側に形成された正面部と、
前記正面部の幅方向側の両端部と前記腹側部とを連結する側面部と、を備え、
前記側面部の外面側に、前記側面部を前記腹側部と着脱自在に止着する止着部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の紙おむつにおいて、
前記折畳み部は、前記腹側部の長手方向側の端部の外面側から前記股下部の外面側に亘るように形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の紙おむつにおいて、
前記止着部は、前記側面部の長手方向に複数配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙おむつにおいて、
前記吸収体は、前記折畳み部を境界に、幅方向に2つに分かれており、当該吸収体の幅方向の前記折畳み部側の端部と前記バックシートとの間に、弾性部材が挟み込まれていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙おむつにおいて、
前記正面部の外面に、前記背側部止着部を着脱自在に止着する正面部被止着部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、折畳み部の側面部と腹側部との止着状態を解放することにより、腹側部を大きく開かせることができることとなって、腹側部の可動領域を広げることができる。これにより、股下部から腹側部にかけて吸収体を着用者に対して片足ずつ沿わせるように装着できるため、装着時に着用者の脚周りに隙間が生じにくくなり、隙間からのモレを防止することができる。
また、腹側部を着用者に対して片足ずつ沿わせるようにして配置させた後、止着部を腹側部に止着させることで折畳み部を折り畳むことができ、着用者の体型に合わせて腹側部の幅方向の長さを調整することができることとなって、モレの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した吸収性物品として例示する一実施形態の紙おむつの展開図である。
【図2】図1の紙おむつを組み立てた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のIII−III線における紙おむつの要部断面図である。
【図4】図1のIV−IV線における紙おむつの要部断面図である。
【図5】図1のV−V線における紙おむつの要部断面図である。
【図6】図1のVI−VI線における紙おむつの要部断面図である。
【図7】図1の紙おむつに弾性部材を設けた一変形例について示したである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
本実施形態に係る紙おむつ100は、例えば、止着ベルト部20を所定位置に止着することで着用者に装着され、装着状態にて着用者の股下部7を腹側から背側にかけて覆うように形成される止着式の紙おむつ100である(図2参照)。
なお、以下の説明にあっては、着用者の背側から股下を通って腹側に亘る方向を長手方向Xとし、長手方向Xに略直交する一の方向を幅方向Yとする。
【0016】
紙おむつ100は、図1〜6に示すように、着用者の身体との接触面側に設けられる透液性の不織布からなるトップシート1と、装着時に身体との接触面と反対側の外部側に設けられる不透液性のバックシート2と、トップシート1とバックシート2との間に介装される吸収体3と、トップシート1側の吸収体3の両側部に、紙おむつ100の長手方向Xに沿って備えられるギャザーシート4、4と、を備えている。
【0017】
紙おむつ100の長手方向Xの一方の端部(図1における下端部)には、着用者の腹側に配置されて腹周りを被覆する腹側部5が形成され、他方の端部(図1における上端部)には、着用者の背側に配置されて背周りを被覆する背側部6が形成され、腹側部5と背側部6との間に、着用者の股間部を被覆する股下部7が形成されている。
また、腹側部5の長手方向X側の端部の外面(着用者の身体と反対側の面)側から股下部7の外面側に亘るように、折畳み部10が形成されている(図2参照)。
【0018】
トップシート1は、尿などの体液を速やかに透過させる透液性を有する素材から形成され、体液を受けて、吸収体3まで輸送する機能を有する。
トップシート1は、不織布が好適に用いられ、具体的には、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものが用いられる。
【0019】
バックシート2は、吸収体3を固定する外装体を構成している。また、バックシート2は、不透液性を有する素材から形成され、体液などの紙おむつ100外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ機能を有する。
バックシート2は、例えば、ポリエチレンフィルムからなるシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。
なお、バックシート2の外側にポリエチレンやポリプロピレン等の不織布を貼り合わせることとしても良く、この場合は紙おむつ100の外装が布のような風合いになり、肌触りがよくなる。
【0020】
吸収体3は、腹側部5の所定位置から股下部7を通って背側部6の所定位置に亘るように配設されている(図1参照)。また、吸収体3は、例えば、当該紙おむつ100の形状に対応させるように、股下部7側が腹側部5側及び背側部6側に対して幅狭に形成されている。また、吸収体3は、後述する折畳み部10を境界に、幅方向Yに左右2つに分かれて配置されている(図3〜6参照)。
この吸収体3は、紙おむつ100の使用時に体液としての尿等の水様成分を吸収するものである。具体的には、吸収体3は、綿やパルプ等の吸収性素材や、繊維或いはフィルム等のシート状基材と高吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂とが組み合わされて形成された吸収体コアが、透液性のクレープ紙、不織布、孔開きシート等の被覆部材により覆われて構成されている。
高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
【0021】
ギャザーシート4は、トップシート1側において、吸収体3の長手方向Xに沿った両側部に、腹側部5から背側部6に亘ってそれぞれ備えられている。
ギャザーシート4の幅方向Y外側の部分は、吸収体3の側方でバックシート2及びトップシート1の上面に固着されている。また、ギャザーシート4の幅方向Y内側の部分は、腹側部5及び背側部6の長手方向X側の各端部付近ではトップシート1に固着されているものの、それ以外の部分ではトップシート1に固着されておらず、その長手方向Xに沿って複数の弾性部材(例えば、糸ゴム等)4a、…が略平行に備えられており、立ち上がって着用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能な立体ギャザーが形成されている(図3〜6参照)。
【0022】
腹側部5は、股下部7よりも幅方向Y外側に突出するように形成されている。また、腹側部5の長手方向X側の端部の外面(着用者の身体と反対側の面)側には、止着ベルト部20を係止する腹側部被止着部51が設けられている。
なお、腹側部被止着部51の詳細な構成については、後述する。
【0023】
背側部6は、股下部7よりも幅方向Y外側に突出するように形成されている。また、背側部6の幅方向Y側の両側端部の各々には、背側部止着部としての止着ベルト部20が設けられている。
止着ベルト部20は、着用者の腹周りに沿うように配設されて、腹側部5の長手方向X側の端部の外面(着用者の身体と反対側の面)側に設けられた腹側部被止着部51に止着されることで、当該紙おむつ100が着用者に装着された状態となる(図2参照)。
【0024】
止着ベルト部20は、図1に示すように、背側部6の幅方向Y側の両側端部の各々に幅方向Y外側に延出するように、各端部に2つずつ配設されている。なお、止着ベルト部20の数に特に制限はなく、例えば、各端部に1つずつ配設されていてもよい。
止着ベルト部20は、例えば、不織布等により形成され、当該止着ベルト部20の自由端部は、幅方向Yに突出した凸形状に形成されている。そして、止着ベルト部20の凸部分の内面、即ち、背側部6の外面側の面に、例えば、所定の接着剤により止着部材21が接着固定されている。
【0025】
止着部材21は、例えば、略矩形状に形成され、面ファスナのオス材の係止要素である、鉤状、きのこ状、錨状等の多数の突起が形成されたフック材が設けられている。そして、止着部材21は、バックシート2の外面(着用者の身体と反対側の面)における腹側部5の所定位置に形成された腹側部被止着部51に止着される(図2参照)。
【0026】
ここで、腹側部被止着部51は、腹側部5の長手方向X側の端部の外面(着用者の身体と反対側の面)側に設けられ、止着部材21が設けられた止着ベルト部20を係止するためのメス材の係止要素を構成している。
具体的には、腹側部被止着部51は、例えば、係止用不織布により構成され、基材シートに止着部材21のフック材と機械的に係合するループ状の繊維であるループ材が配置されて構成されている。なお、係止用不織布としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど、広く知られた汎用性の高い可塑性素材からなる単組成の素材若しくは複合組成の素材を用いることができる。
なお、腹側部被止着部51とバックシート2は、一体として同様の素材から構成しても良いし、腹側部被止着部51のみをバックシート2と異なる素材から構成しても良い。
【0027】
従って、止着ベルト部20は、止着部材21を介して、腹側部5の長手方向X側の端部の外面(着用者の身体と反対側の面)側に設けられた腹側部被止着部51に着脱自在に係止可能となっている。
【0028】
また、背側部6には、例えば、糸ゴム等の弾性部材(図示略)が幅方向Yに沿って配設され、この弾性部材により平面ギャザー(背モレギャザー)が形成されている。これにより、紙おむつ100の使用の際に、着用者の胴周りにて、当該紙おむつ100が伸縮自在となるように構成されている。
【0029】
股下部7の幅方向Y側の両縁部の各々には、腹側部5の幅方向Y側の各端部から股下部7を通り背側部6の幅方向Y側の各端部に亘って、紙おむつ100の着用者の脚周りを囲む一対の脚周り部8、8が形成されている。
一対の脚周り部8、8には、例えば、糸ゴム等の複数の弾性部材8a、…が当該脚周り部8の湾曲形状に合わせてそれぞれ設けられている。そして、弾性部材8aにより平面ギャザーが形成され、着用者の脚周りに伸縮自在にフィットし、横漏れを防止するようになっている。
【0030】
折畳み部10は、腹側部5の長手方向X側の端部の外面(着用者の身体と反対側の面)側から股下部7の外面側に亘るように形成されている(図2参照)。
具体的には、折畳み部10は、腹側部5よりも外側(着用者の身体と反対側)に形成された正面部11と、正面部11の幅方向Y側の両端部と腹側部5とを連結する2つの側面部12,12と、を備えている。
【0031】
正面部11は、腹側部5と略平行に形成され、正面部11のトップシート1とバックシート2との間には、吸収体3aが介装されている。吸収体3aは、吸収体3と同様、紙おむつ100の使用時に体液としての尿等の水様成分を吸収するものである。具体的には、吸収体3aは、綿やパルプ等の吸収性素材や、繊維或いはフィルム等のシート状基材と高吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂とが組み合わされて形成された吸収体コアが、透液性のクレープ紙、不織布、孔開きシート等の被覆部材により覆われて構成されている。
なお、吸収体3aは、折畳み部10を折り畳む際の妨げにならないように、吸収体3と比べて薄手に構成されることが好ましい。
【0032】
また、正面部11の腹側部5側の外面(着用者の身体と反対側の面)側には、図2,3に示すように、正面部被止着部111が設けられている。
正面部被止着部111は、腹側部被止着部51と同様、止着ベルト部20を係止するためのメス材の係止要素を構成している。
具体的には、正面部被止着部111は、例えば、係止用不織布により構成され、基材シートに止着部材21のフック材と機械的に係合するループ状の繊維であるループ材が配置されて構成されている。なお、係止用不織布としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど、広く知られた汎用性の高い可塑性素材からなる単組成の素材若しくは複合組成の素材を用いることができる。
従って、止着ベルト部20は、止着部材21を介して、正面部11の腹側部5側の外面(着用者の身体と反対側の面)側に設けられた正面部被止着部111に着脱自在に係止可能となっている。
【0033】
側面部12,12は、正面部11の幅方向Y側の両端部と腹側部5とを連結するように形成されている。
また、側面部12,12の腹側部5側の外面(着用者の身体と反対側の面)側には、図3に示すように、止着部としての折畳み部止着部52が設けられている。
【0034】
折畳み部止着部52,52は、側面部12,12の腹側部5側の外面(着用者の身体と反対側の面)側に設けられ、例えば、止着部材21と同様に、面ファスナのオス材の係止要素である、鉤状、きのこ状、錨状等の多数の突起が形成されたフック材が設けられている。そして、折畳み部止着部52,52は、腹側部被止着部51に着脱自在に止着可能となっている(図3(A)参照)。
【0035】
ここで、折畳み部10は、背側部6の長手方向X側の端部から腹側部5の長手方向X側の端部に向かうにつれて、開口状態が大きくなるように形成されている。
具体的には、図6に示すように、背側部6の長手方向X側の端部に近い箇所、即ち、紙おむつ100を着用者に装着させる際に、紙おむつ100を着用者の臀部の下に敷いたときに臀部に当接する箇所では、バックシート2の外面と折畳み部10の側面部12,12の外面とが、接着部材30,30により固着された状態となっている。また、折畳み部10の正面部11の腹側部5側の内面(着用者の身体側の面)側と折畳み部10の側面部12,12の内面とが、接着部材30,30により固着された状態となっている。
これにより、背側部6の長手方向X側の端部に近い箇所では、折畳み部10が展開不能な状態となっている。このため、紙おむつ100を着用者に装着させる際に、紙おむつ100を着用者の臀部の下に敷いたときにも、折畳み部10が展開されることがないため、紙おむつ100の背側部6にヨレが生じることを防ぐことができる。
なお、接着部材30については、固着状態を維持できるものであればいかなるものであってもよい。
【0036】
次に、図5に示すように、背側部6と股下部7との境界付近の箇所、即ち、紙おむつ100の装着時、仰向きに寝せた着用者の身体の下側に紙おむつ100を載置した際に、着用者の臀部が紙おむつ100から離れる箇所では、バックシート2の外面と折畳み部10の側面部12,12の外面とが、接着部材30,30により固着された状態となっている。
これにより、背側部6と股下部7との境界付近の箇所では、折畳み部10の展開が一部制限された状態となっている(図5(B)参照)。このため、紙おむつ100の股下部7と腹側部5とを着用者に対して片足ずつ沿わせるようにして装着させる際に、折畳み部10が適度に展開されるとともに、必要以上に折畳み部10が展開されることがないため、紙おむつ100にヨレが生じることを防ぐことができる。
【0037】
一方、図4に示すように、股下部7の長手方向X略中央付近、即ち、着用者の排尿部付近の箇所では、特に接着部材30による固着がなされていないため、折畳み部10が自在に展開できるようになっている(図4(B)、(C)参照)。
また、図3に示すように、腹側部5の長手方向X側の端部に近い箇所では、股下部7の長手方向X略中央付近と同様に接着部材30による固着がなされていないため、折畳み部10が自在に展開できるようになっている(図3(B)、(C)参照)。
即ち、股下部7の長手方向X略中央付近よりも腹側部5側は、折畳み部10が自在に展開できるようになっている。このため、紙おむつ100を着用者に装着する際、折畳み部10を大きく開かせることで、紙おむつ100の腹側部5の可動領域を広くすることができるので、容易に装着することができるとともに、装着時に着用者の足回りにフィットさせることができ、隙間からのモレを防止することができる。
【0038】
次に、紙おむつ100の着用者の身体に対する装着方法について説明する。
まず、最初の装着時において、紙おむつ100の背側部6を着用者の身体の背側に当接させるようにして、当該紙おむつ100を着用者の身体の下側に載置する。
次に、股下部7及び腹側部5の中心を着用者の身体の中心に合わせながら当該腹側部5を着用者の身体の手前側に配置させる。
そして、腹側部5を、幅方向Y側の両端部の方向に引っ張るようにして、折畳み部10の側面部12,12に設けられた折畳み部止着部52,52を、止着されている腹側部被止着部51から引き剥がすことで、折畳み部10を大きく開かせ、紙おむつ100の腹側部5の可動領域を広くする。
この状態で、紙おむつ100の股下部7と腹側部5とを、着用者に対して片足ずつ沿わせるようにして配置させる。腹側部5を着用者の腹側に配置した際に、折畳み部止着部52,52を腹側部被止着部51に止着させることで、着用者の体型に合わせて腹側部5の幅方向Yの長さを調整することができるようになっている。
そして、背側部6の幅方向Y側の両端部の各々に設けられた止着ベルト部20,20を、腹側部5の外面(着用者の身体と反対側の面)側に設けられた腹側部被止着部51又は正面部被止着部111に止着させる。これにより、紙おむつ100を着用者の身体に装着することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る紙おむつ100によれば、腹側部5の外面側に形成され、折り畳みと展開とが自在な折畳み部10を備え、折畳み部10は、腹側部5よりも外側に形成された正面部11と、正面部11の幅方向Y側の両端部と腹側部5とを連結する側面部12と、を備え、側面部12の外面側に、側面部12を腹側部5と着脱自在に止着する折畳み部止着部52と、を備える。
このため、折畳み部止着部52を腹側部5に設けられた腹側部被止着部51から引き剥がす、即ち、折畳み部10の側面部12と腹側部5との止着状態を解放することにより、折畳み部10を大きく開かせることができることとなって、腹側部5の可動領域を広くすることができる。
また、腹側部5を着用者に対して片足ずつ沿わせるようにして配置させた後、折畳み部止着部52を腹側部被止着部51に止着させることで、着用者の体型に合わせて腹側部5の幅方向Yの長さを調整することができることとなって、モレの発生を防止することができる。
【0040】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、折畳み部10は、腹側部5の長手方向X側の端部の外面側から股下部7の外面側に亘るように形成されているが、これに限定されるものではない。折畳み部10は少なくとも腹側部5に設けられていれば、腹側部5に形成された折畳み部10が展開することで腹側部5の可動領域が広がり、股下部7から腹側部5にかけて吸収体3を着用者に対して片足ずつ沿わせることができるようになるため、股下部7には折畳み部10を形成しないようにしてもよい。
【0042】
また、図7に示すように、吸収体3は、折畳み部10を境界に、幅方向Yに2つに分かれており、吸収体3の幅方向Yの折畳み部10側の端部とバックシート2との間に、糸ゴム等の弾性部材40,40を挟み込むようにしてもよい。これにより、紙おむつ100の使用の際に、吸収体3やインナーパッド(図示せず)を着用者の足周りにフィットさせることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、吸収体3は、折畳み部10を境界に、幅方向Yに2つに分かれるように配置されるとともに、正面部11のトップシート1とバックシート2との間に吸収体3aが配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、吸収体3,3及び吸収体3aはすべて一体のものとして形成されていてもよい。
【0044】
また、折畳み部10の側面部12,12に設けられた折畳み部止着部52,52を、側面部12,12の長手方向に複数配置させるようにしてもよい。これにより、折畳み部止着部52,52を所望の位置で止着させ易くすることができるので、例えば、男性のモレ対策にひら当てやロール当てなどのパッドを使用した場合でも、パッドの形状に応じて折畳み部止着部52,52を止着することができ、使い勝手がよくなる。
【0045】
また、上記実施形態では、折畳み部10の正面部11のトップシート1とバックシート2との間に吸収体3aが介装されているが、この吸収体3aは介装されていなくてもよい。特に、可動領域を調整する腹側部5側では、吸収体3aが嵩張ったりして折り畳みにくくなることがあるため、吸収体3aを設けないようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、折畳み部10の正面部11の腹側部5側の外面側に正面部被止着部111を設けるようにしているが、折畳み部10の正面部11においては、正面部被止着部111を設けないようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、折畳み部10は、紙おむつ100と一体となるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、自在に装脱可能なように、折畳み部10を紙おむつ100と別体の部材として形成するようにしてもよい。これにより、必要な箇所にのみ折畳み部10を形成することも可能となるため、コストを削減することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、止着ベルト部20を先細りの凸形状に形成するようにしたが、当該止着ベルト部20の形状は一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 紙おむつ
1 トップシート
2 バックシート
3,3a 吸収体
4 ギャザーシート
5 腹側部
51 腹側部被止着部
52 側面部止着部
6 背側部
7 股下部
8 脚周り部
10 折畳み部
11 正面部
111 正面部被止着部
12 側面部
20 止着ベルト部(背側部止着部)
21 止着部材
30 接着部材
40 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介装され、着用者の腹側に位置する腹側部、背側に位置する背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部が設けられ、前記背側部の幅方向の両側端部から突出する左右一対の背側部止着部と、前記腹側部の外面に設けられ、前記背側部止着部を着脱自在に係止可能な腹側部被止着部と、を備えた紙おむつであって、
前記腹側部の外面側に形成され、折り畳みと展開とが自在な折畳み部を備え、
前記折畳み部は、
前記腹側部よりも外側に形成された正面部と、
前記正面部の幅方向側の両端部と前記腹側部とを連結する側面部と、を備え、
前記側面部の外面側に、前記側面部を前記腹側部と着脱自在に止着する止着部が形成されていることを特徴とする紙おむつ。
【請求項2】
前記折畳み部は、前記腹側部の長手方向側の端部の外面側から前記股下部の外面側に亘るように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙おむつ。
【請求項3】
前記止着部は、前記側面部の長手方向に複数配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙おむつ。
【請求項4】
前記吸収体は、前記折畳み部を境界に、幅方向に2つに分かれており、当該吸収体の幅方向の前記折畳み部側の端部と前記バックシートとの間に、弾性部材が挟み込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙おむつ。
【請求項5】
前記正面部の外面に、前記背側部止着部を着脱自在に止着する正面部被止着部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−200479(P2012−200479A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69477(P2011−69477)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】