説明

紙の製造方法及び紙

【課題】 紙の抄造工程において填料及び/または製紙用薬品の歩留りを向上させることができると同時に、填料配合による紙の不透明度や白色度を改善する効果を損なうことがなく、かつ填料分布の均一な紙を得ることができる紙の製造方法、及び当該製造方法によって製造される紙を提供する。
【解決手段】 鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の抄造工程において填料及び/または製紙用薬品の歩留りを向上させることができると同時に、填料配合による紙の不透明度や白色度を改善する効果を損なうことがなく、かつ填料分布の均一な紙を得ることができる紙の製造方法、及び当該製造方法によって得られる紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙質を改善する目的で、紙の抄紙に際してパルプを主成分として含有する紙料に填料や各種製紙用薬品を内添することが従来から行われている。填料添加の目的は、紙の不透明度、白色度、印刷適性等を改善することにある。特に近年では、品質向上のみならず省資源という観点からも、填料充填率の高い紙の製造が試みられてきた。しかしながら、填料はセルロース繊維に比べて著しく小さいため、抄紙機ワイヤー上での紙ウェブ形成段階において紙ウェブへの歩留りが低い。この歩留りの低下は、抄紙機白水系の填料濃度の上昇を招き、操業効率悪化の原因となる。そこで、より多くの填料を効率的に紙ウェブ中に留まらせる技術が必要となってくる。また、紙への填料充填率を高くするためには、パルプ繊維に対して大量の填料を配合し、各種歩留り薬品によってこれらの填料を繊維に結びつける必要がある。大量の填料を繊維に結びつけるためには、歩留り薬品を多量に添加する必要があり、結果として、填料とパルプが大きな凝集塊を形成し、紙の地合を損なう問題を生じていた。
【0003】
填料歩留りを向上させる方法の一つとして、パルプの比表面積を大きくすることが有効であることが知られている。具体的には、原料パルプを高度に叩解し、ろ水度を低くして微細繊維を増やし、この微細繊維を長繊維とともに効率よく紙に漉き込むことができれば填料歩留りが向上する。しかしながら、現実には微細繊維の増加と叩解による繊維からのアニオントラッシュと呼ばれる歩留りを妨害する物質の放出量の増加が起こり、一定歩留りに要する薬品添加量の増大と微細繊維の増加による紙の不透明度の低下が問題となる。
【0004】
このような問題の対策の一つとして、いわゆる填料の前処理が挙げられる。この方法は予め填料を凝集剤で凝集させて、これをパルプ繊維に添加し抄造するものであり、例えば、酸、塩基によるpH調整、硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤の添加、有機高分子凝集剤の添加が示されている(特許文献1)。また、主に炭酸カルシウム粒子をpH調整や無機凝集剤、ポリアクリルアミド等の有機高分子凝集剤によって前処理する方法(特許文献2)、重質炭酸カルシウムをカチオン変性澱粉水溶液と混合して処理する方法(特許文献3)、炭酸カルシウムをカチオン化澱粉及びカチオン化グアーガムを使用して凝集させる方法、(特許文献4)、炭酸カルシウムを陽イオン性のポリマーで処理した後、陰イオン性微粒子材料を加える方法(特許文献5)、フィラーを予備凝集させる凝集剤として、水溶性ビニルポリマー、ガム、ポリアクリルアミド、硫酸アルミニウム、マンノガラクタン、アニオン変性澱粉誘導体、エステル化澱粉等が挙げられている(特許文献6、7)。しかしながら、これらの填料前処理方法は、填料を効率良く歩留らせる方法として有効であるものの、填料粒子同士の凝集により不透明度が低下し、場合によっては白色度の低下を招くといった新たな問題を引起す。
【0005】
填料の前処理による不透明度低下の抑制方法として、パルプの微細繊維と填料を凝集剤で凝集させる方法が開示されている(特許文献8、9)。しかしながら、これらの方法では、150メッシュワイヤーを通過するパルプの微細繊維を用いる必要があり、特別な分離操作を必要とすることから生産効率が低くなる。
【0006】
【特許文献1】特公昭57-13680号公報
【特許文献2】特開昭54-116405号公報
【特許文献3】特開昭60-119299号公報
【特許文献4】特開平10-60794号公報
【特許文献5】特表2000-504790号公報
【特許文献6】特開2000-129589号公報
【特許文献7】特開2006-118092号公報
【特許文献8】特公平6-70317号公報
【特許文献9】特公平6-94639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、紙の抄造工程において填料及び/または製紙用薬品の歩留りを向上させることができると同時に、填料配合による紙の不透明度や白色度を改善する効果を損なうことがなく、かつ填料分布の均一な紙を得ることができる新しい歩留り向上技術の開発が望まれていた。
【0008】
本発明の課題は、比表面積の大きい外部フィブリルを有するパルプを効率良く製造し、これを用いて填料及び/または製紙用薬品を長繊維に効率よく結び付け、紙の抄造工程において填料及び/または製紙用薬品の歩留りを向上させることができると同時に、填料配合による紙の不透明度や白色度を改善する効果を損なうことがなく、かつ填料分布の均一な紙を得ることができる紙の製造方法、及び当該製造方法によって製造される紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、パルプの比表面積を大きくするために、微細繊維を増やすこととは逆の発想を用いた。すなわち、パルプの比表面積を大きくするために、微細繊維発生量を抑え長繊維の比表面積を大きくする方法について鋭意研究した結果、鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙することで、上記課題を解決できることを見出した。特に、反応槽内のパルプ懸濁液中にキャビテーションによって気泡を発生させ、該気泡の崩壊の際に生じる衝撃力をパルプ繊維に与えることで得られる鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙することで、上記課題を解決できることを見出した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙することで、次の効果を得ることが出来る。
1)紙の抄造工程において填料及び/または製紙用薬品の歩留りを向上できる。
2)填料の歩留りが向上することにより、填料配合による紙の不透明度や白色度を改善する効果を損なうことがない。
3)填料を外部フィブリル部に分散した状態で均一に定着できるため、不透明度や白色度が高く、かつ填料分布の均一な紙を得ることが出来る。
4)填料の歩留りを向上させるために添加していた歩留り向上剤の添加量を削減でき、これによって更に紙の地合が良化する。
5)填料がフィブリルに取り込まれ、より強固に紙に保持されるため、填料落ちや紙粉トラブルが低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、抄紙機のワイヤー上における填料及び/または製紙用薬品の歩留まりを向上させるために、鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に添加・混合して抄紙するものである。
【0012】
本発明の紙の製造方法で使用する鱗片状の外部フィブリルを有するパルプについて以下に説明する。鱗片状の外部フィブリルを有するパルプの原料パルプは、木材から得られるセルロースを主成分とする繊維状の物質であり、針葉樹及び広葉樹のクラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ繊維、針葉樹及び広葉樹の砕木パルプ、リファイナー砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ繊維、古紙や繊維素からなるシート状の物質由来の再生パルプ繊維などが挙げられる。これらのパルプの単独でも、混合でも構わない。
【0013】
本発明で使用するパルプは、鱗片状の形態の外部フィブリルを有することを特徴とする。この鱗片状の形態の外部フィブリルとは、幅が3μm以上で、好ましくは繊維の幅と同程度までの大きさを持つ繊維表面の剥離または毛羽立ちのことであり、前述のミクロフィブリルが横に連なって集合体を形成し幅広い層をなしているもので、繊維壁表面のミクロフィブリルが層構造を保った状態で剥離しているものである。また、厚さが90オングストロームから2μmの範囲であることを特徴とする。なお、繊維を電子顕微鏡にて観察する際は、水素結合を阻害した乾燥した状態で測定することが望ましいが、これは、単純に繊維を乾燥した場合、毛管現象により外部フィブリルが繊維表面に引付けられ、判別が困難になるため、このようなフィブリルを精度良く観察することは困難である。
【0014】
本発明における鱗片状の外部フィブリルは分子量1万以上の高分子量の染料で染色されることが特徴である。分子量1万以上の染料としては、Simonらの文献(F.L. Simons, Tappi, 33(7), 312(1950))、及びXiaochunらの文献(Y. Xiaochun et al., Tappi Journal, 78(6), 175 (1995).)に記載されているようなDirect Orange 15(old Color Index (CI) no, 621、またはCI Constitution no. 40002/3)を含むCI Constitution no.40000〜40006等のオレンジ染料が挙げられるが、セルロースを主体とする繊維を染色できる物質であれば、特に限定されない。
【0015】
上記分子量1万以上の染料は、Xiaochunらの文献によると光散乱測定より流体力学的な大きさが5nm以上の分子であり、パルプ繊維表面に存在する5nm未満の細孔に浸透することはできない。一方、パルプ繊維表面のミクロフィブリルの集合体からなるフィブリルは、パルプ繊維の外側に露出しているため、上記分子量1万以上の染料分子が容易に接近することができるので、吸着することによってフィブリル部分を選択的に染色することができる。
【0016】
【非特許文献1】F.L. Simons, Tappi, 33(7), 312(1950).
【非特許文献2】Y. Xiaochun et al., Tappi Journal, 78(6), 175 (1995).
【0017】
光学的にフィブリル部分を強調して観察するためには、上記文献に記載されているようにDirect Blue 1(old Color Index(CI)no.518、またはCI Constitution no.24410)やDirect Blue 4、Direct Blue 15、Direct Blue 22、Direct Blue 151などの低分子の染料を用いて繊維全体を染めることで、よりコントラストをつけて観察できる。低分子の染料は繊維全体に吸着するものの、高分子の染料の方が吸着力は強いため、低分子の染料を置換する。結果として、高分子の染料(オレンジ染料)が吸着できるフィブリル部分をオレンジ色に染色し、高分子の染料が吸着できない繊維細孔部分を低分子の染料(青色染料)で染色することが可能となるためフィブリル部分を強調することができる。低分子の染料としては、分子量が10,000未満、好ましくは2000未満、更に好ましくは300〜1500の分子を51%以上含むものである。
【0018】
本発明の鱗片状の外部フィブリルを有するパルプは、上述の方法で染色した後、一定本数の繊維の面積に対して、下記の式1で表される鱗片状の外部フィブリルの面積が5%以上であることが好ましい。
【0019】
さらに、パルプ繊維1本単位においては、下記式2で表される外部フィブリル部分の面積率が7%以上で、かつ下記の式2で表される外部フィブリル部分の周囲長率が1.5以上であることが好ましい。本発明のパルプ繊維の鱗片状の外部フィブリルは通常のフィブリルに比較して表面積が大きいので、これらの値が大きくなる。
【0020】
【数1】

【0021】
【数2】

【0022】
本発明で使用するパルプ、特に木材パルプは、通常の方法で叩解し内部フィブリル化を
進めたパルプと同一カナダ標準濾水度で比較すると保水度が低いのが特徴である。本発明
の鱗片状の外部フィブリルを有するパルプにおいては、保水度(X)とカナダ標準濾水度(Y)の関係は下記の式3で近似される。
【0023】
【数3】

【0024】
カナダ標準濾水度は繊維全体の水持ちを反映し、保水度は繊維内部の水持ちを反映する
と考えられる。従って、同一カナダ標準濾水度で比較した場合では、本発明のパルプは通
常の方法で叩解したパルプに比べて内部フィブリル化が進行していないため、保水度が低
くなる。なお、保水度はJAPAN TAPPI No.26:2000に規定の方法により測定される。
本発明の鱗片状の外部フィブリルを有するパルプを得る方法としては、どのような方法でも良いが、例えば、キャビテーション噴流処理(特願2005−321231)等、機械的な叩解処理よりもせん断力及びキャビテーション気泡の崩壊エネルギーによって外部フィブリル化を促進させる方法を用いると容易に得ることができる。
【0025】
キャビテーション噴流処理について、さらに詳細に述べると、キャビテーションによって発生する気泡を積極的にパルプ懸濁液に導入することにより、微細な気泡崩壊時の衝撃力によってパルプ繊維の外部フィブリル化を促進する一方、内部フィブリル化を抑制して濾水度を調整するものである。
【0026】
キャビテーション気泡の崩壊エネルギーによって外部フィブリル化が促進される理由としては、次のような理由が考えられる。キャビテーションにより生じる微細な気泡の崩壊時には、前述の通り数μmオーダーの局所的な領域に強力なエネルギーが発生する。従って、微細な気泡または気泡雲がパルプ繊維の表面或いはその近傍で崩壊する場合、その衝撃力は直接或いは液体を介して繊維表面に到達し、繊維を構成するセルロースの非晶領域に吸収されることにより、外部フィブリル化と繊維の膨潤を引き起こすものと考えられる。気泡は繊維に対して非常に小さく、その衝撃力は繊維全体を損傷させる程大きくない。更に、繊維は液体中に分散しており固定されていないため、気泡雲の連続崩壊のような極めて大きな衝撃力であっても、過剰のエネルギーを繊維自体の運動エネルギーとして吸収する。従って、機械的作用による叩解方法に比べて繊維の短小化などの損傷を抑えることができ、内部フィブリル化を抑えることができると考えられる。
【0027】
本発明におけるキャビテーションの発生手段としては、液体噴流による方法、超音波振動子を用いる方法、超音波振動子とホーン状の増幅器を用いる方法、レーザー照射による方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、液体噴流を用いる方法が、キャビテーション気泡の発生効率が高く、より強力な崩壊衝撃力を持つキャビテーション気泡雲を形成するためパルプ繊維に対する作用効果が大きい。上記の方法によって発生するキャビテーションは、従来の流体機械に自然発生的に生じる制御不能の害悪をもたらすキャビテーションと明らかに異なる。
【0028】
本発明において、液体噴流を用いてキャビテーションを発生させる際に、パルプ懸濁液を液体噴流として噴射させることによってパルプ懸濁液と気泡を接触させることができる。また、液体噴流が噴流をなす流体は、流動状態であれば液体、気体、粉体やパルプ繊維等の固体の何れでもよく、またそれらの混合物であってもよい。更に必要であれば上記の流体に、新たな流体として、別の流体を加えることができる。上記流体と新たな流体は、均一に混合して噴射してもよいが、別個に噴射してもよい。
【0029】
液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプ繊維や無機物粒子のスラリーや気泡を含む液体噴流のことをいう。ここで云う気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。
【0030】
キャビテーションは液体が加速され、局所的な圧力がその液体の蒸気圧より低くなったときに発生するため、流速及び圧力が特に重要となる。このことから、キャビテーション状態を表わす基本的な無次元数、キャビテーション数(Cavitation Number)σは次の式4のように定義される(加藤洋治編著、新版キャビテーション基礎と最近の進歩、槇書店、1999)。
【0031】
【数4】

【0032】
ここで、キャビテーション数が大きいということは、その流れ場がキャビテーションを発生し難い状態にあるということを示す。特にキャビテーション噴流のようなノズルあるいはオリフィス管を通してキャビテーションを発生させる場合は、ノズル上流側圧力p1、ノズル下流側圧力p2、、試料水の飽和蒸気圧pvから、キャビテーション数σは下記式5のように書きかえることができ、キャビテーション噴流では、p1、p2、pv間の圧力差が大きく、p1≫p2≫pvとなることから、キャビテーション数σはさらに以下の数式5のように近似することができる(H. Soyama, J. Soc. Mat. Sci. Japan, 47(4), 381 1998)。
【0033】
【数5】

【0034】
本発明におけるキャビテーションの条件は、上述したキャビテーション数σが0.001以上1以下であることが望ましく、0.003以上0.5以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが特に好ましい。キャビテーション数σが0.001未満である場合、キャビテーション気泡が崩壊する時の周囲との圧力差が低いため効果が小さくなり、0.5より大である場合は、流れの圧力差が低くキャビテーションが発生し難くなる。
【0035】
また、ノズルまたはオリフィス管を通じて噴射液を噴射してキャビテーションを発生させる際には、噴射液の圧力(上流側圧力)は0.01MPa以上30MPa以下であることが望ましく、0.7MPa以上20MPa以下であることが好ましい。上流側圧力が0.01MPa未満では下流側圧力との間で圧力差を生じ難く作用効果は小さい。また、30MPaより高い場合、特殊なポンプ及び圧力容器を必要とし、消費エネルギーが大きくなることからコスト的に不利である。一方、容器内の圧力(下流側圧力)は静圧で0.05MPa以上0.3MPa以下が好ましい。また、容器内の圧力と噴射液の圧力との圧力比は0.001〜0.5の範囲が好ましい。
【0036】
また、噴射液の噴流の速度は1m/秒以上300m/秒以下の範囲であることが望ましく、20m/秒以上200m/秒以下の範囲であることが好ましい。噴流の速度が1m/秒未満である場合、圧力低下が低く、キャビテーションが発生し難いため、その効果は弱い。一方、300m/秒より大きい場合、高圧を要し特別な装置が必要であり、コスト的に不利である。
【0037】
本発明におけるキャビテーション発生場所としてはタンクなど任意の容器内もしくは配管内を選ぶことができるが、これらに限定するものではない。また、ワンパスで処理することも可能であるが、必要回数だけ循環することによって更に効果を増大できる。さらに複数の発生手段を用いて並列で、あるいは順列で処理することができる。 キャビテーションを発生させるための液体の噴射は、パルパーの様な大気開放の容器の中でなされても良いが、キャビテーションをコントロールするために圧力容器の中でなされるのが好ましい。
【0038】
本発明における液体噴流によるキャビテーションの発生方法では、パルプ懸濁液に対して、噴射液体として、水道水、製紙工程で回収される再用水、パルプ搾水、白水、および、パルプ懸濁液自体を噴射することができるが、これらに限定するものではない。好ましくは、パルプ懸濁液自体を噴射することで、噴流周りに発生するキャビテーションによる作用効果に加え、高圧でノズルまたはオリフィス管から噴射する際の流体力学的せん断力が得られるため、より大きな作用効果を発揮する。
【0039】
液体噴射によってキャビテーションを発生させる際の処理対象のパルプ懸濁液の固形分濃度は5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは0.1〜3重量%の範囲で処理することが気泡の発生効率の点から好ましい。被噴射液の固形分濃度が5重量%以上20重量%以下である場合は、噴射液濃度を4重量%以下にすることによって作用効果を得ることができる。
【0040】
また、パルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHは13を超えると、セルロース繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。
【0041】
本発明では、液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、これに伴って圧力が低下し、より強力なキャビテーションが発生する。更に被噴射液を収める容器を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力も大となる。キャビテーションは液体中の気体の量に影響され、気体が多過ぎる場合は気泡同士の衝突と合一が起こるため崩壊衝撃力が他の気泡に吸収されるクッション効果を生じるため衝撃力が弱まる。従って、溶存気体と蒸気圧の影響を受けるため、その処理温度は0℃以上70℃以下であることが好ましく、特に10℃以上60℃以下であることが好ましい。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水溶液の場合、50℃前後が好適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。
【0042】
本発明の鱗片状の外部フィブリルを有するパルプを含む抄紙原料(抄紙原料1)には、パルプ以外に、填料、その他製紙用薬品が含まれる。上記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合した後に、鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料(抄紙原料2)に混合することを特徴とする。なお、抄紙原料2中に填料及び/または製紙用薬品を含有されてもよいが、全抄紙原料に含まれる填料及び/または製紙用薬品のうち、抄紙原料1中に含まれる填料及び/または製紙用薬品は50固形分重量%以上であることが歩留り向上の観点からは好ましい。
【0043】
本発明が対象とする填料は、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子であれば良く、特に限定はない。具体的には、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体)、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウムなどが挙げられる。有機填料としては、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド複合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デンプン、未糊化デンプンなどが挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせてでも構わない。
【0044】
配合する他の製紙用薬品としては、内添サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、凝集剤、濾水性向上剤、着色剤、染料、蛍光染料などの従来から使用されている内添薬品、更に紙を嵩高化(低密度化)するための紙用嵩高剤などが挙げられ、特に限定は無いが、凝集剤のうちカチオン薬品を添加すると、填料の歩留り向上効果が高まるため、好ましい。
【0045】
本発明で鱗片状の外部フィブリルを持つパルプに填料を定着させるカチオン薬品としては、無機凝集剤として、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、塩化アルミニウム、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などが挙げられる。有機凝集剤としては、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンイミン、ジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロヒドリン重合体、並びにジアルキルジアリル第四級モノマー、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類とエピハロヒドリンからなる重合体やこれらの混合物などが挙げられる。有機凝集剤としては、アクリルアミドの重合体や上記カチオン薬品との共重合体などが挙げられる。更にこれらのカチオン薬品に加えて、アニオン性、または、ノニオン性、乃至、両性の粒子やポリマーを第二、第三の成分として添加することが出来る。これらカチオン薬品の填料に対する添加率としては、0.05〜2.0固形分重量%である。
【0046】
紙用嵩高剤を具体的に化合物で例示すると、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミンなどが挙げられ、特に限定は無い。
【0047】
鱗片状の外部フィブリルを持つパルプと、填料及び/または製紙用薬品の混合方法としては、特に指定はなく、タンクまたはチェストにて両者を混合することができ、上記パルプスラリーにスラリー状や粉体の填料を添加する、または、填料スラリーに上記パルプスラリーを添加することができる。混合方法として、インラインミキサーなどを用いて配管内で混合することも可能である。
【0048】
鱗片状の外部フィブリルを持つパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合させる時間としては、カチオン薬品を添加しない場合は、5分以上の攪拌を伴う混合が必要である。一定時間の攪拌により填料と繊維との接触が起こり、填料がフィブリルに吸着するものと考えられる。一方、カチオン薬品を添加し効率良く混合する場合は、填料の定着が瞬時に起こるため、特に長い時間を必要としない。
【0049】
鱗片状の外部フィブリルを有するパルプの全パルプに対する配合率には特に限定はないが、10固形分重量%以上50固形分重量%以下が好ましい。10固形分重量%未満では鱗片状の外部フィブリルを有するパルプに対する鱗片状の外部フィブリルを有するパルプの割合が低すぎて歩留り向上効果が明確にならず、50固形分重量%より多くなると必要なエネルギーや薬品コストの増大を招くため不利になる。
【0050】
填料の全パルプに対する配合率は、2〜30固形分重量%であり、5〜30固形分重量%が更に好ましい。2固形分重量%未満では、歩留り向上効果が小さく、20固形分重量%を超えると紙の抄造が困難となる。
【0051】
前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプとしては、針葉樹及び広葉樹のクラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ、針葉樹及び広葉樹の砕木パルプ、リファイナー砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、古紙や繊維素からなるシート状の物質由来の再生パルプなどが挙げられ、これらは未叩解品でも、リファイナー、ニーダー、ディスパーザーなどの従来技術による叩解品でも構わない。
【0052】
本発明の紙の製造方法を適用できる抄紙機には特に限定は無く、長網型、オントップツインワイヤー型、ギャップフォーマー型、円網型、多層型などが挙げられる。表面強度の向上や吸水抵抗性を付与する目的で、表面処理剤を塗布しても良い。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定はなく、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレスや、ゲートロールサイズプレス、シムサイザーのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。また、紙の表面を平滑にする目的で、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公知のカレンダー装置を用いて処理を行っても良い。
【0053】
本発明によって得られる紙は、紙の種類、坪量には限定はなく、更に各種の原紙や板紙を含む。また、紙中灰分の限定もない。また、1層の紙の他、2層以上の多層紙であっても良い。
【0054】
[作用]
鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙する場合、従来の叩解方法で調製したパルプ、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を混合した場合と比較して、紙の抄造工程において填料及び/または製紙用薬品の歩留りを向上させることができるメカニズムを本発明者らは次のように推定している。填料や製紙用薬品は通常パルプ繊維本体よりも外部フィブリルや微細繊維に優先的に吸着し、特に微細繊維に吸着した填料や製紙用薬品は抄紙機ワイヤーを通過してしまい歩留りの低下の原因となる。これに対して、外部フィブリルに吸着した填料や製紙用薬品は抄紙機ワイヤーの通過が抑制される。本発明では、鱗片状の外部フィブリルを有するパルプを効率よく製造し、これを填料及び/または製紙用薬品と混合することによって、鱗片状の外部フィブリルを有するパルプの外部フィブリル部分に填料や製紙用薬品が効率よく吸着するため、歩留りが向上すると考えられる。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
<パルプの製造>
工場にて製造した広葉樹漂白クラフトパルプの調成工程より、叩解機(ダブルディスクリファイナー:相川鉄工製)の入口より試料(原料A)を採取した。原料Aを特願2005−321231に記載のキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとして、任意の濾水度に調整した。なお、噴射液として濃度1.1重量%のパルプ懸濁液を使用し、容器内のパルプ懸濁液(濃度1.1重量%)をキャビテーション処理した。得られた試料を原料Bとした。
【0056】
一方、原料A採取時の叩解機出口原料を原料Cとした。
【0057】
原料B及び原料Cについて、Stoneらの文献に従い溶媒置換法によって水素結合を形成させずに繊維が膨潤している状態で乾燥し、電子顕微鏡写真(拡大率1,000)を撮影し、図1に示した。
[外部フィブリル部分の面積率の測定]
キャビテーション処理したパルプの外部フィブリル部分の面積率を下記に示した手順にて測定した。
1.パルプの長繊維部(42メッシュon)を画分し、試料として用いる。
2.パルプの長繊維を蒸留水で洗浄する。
3.染色液(オレンジ染料(PONTAMINE FAST ORANGE 6RN):青染料(Direct Blue-1)=0.2:1)を用いてパルプの長繊維を染色する。
4.染色されたパルプの長繊維を蒸留水中で洗浄する。
5.フィルター上へパルプの長繊維を吸引して脱水し、測定用シートを作成する。
6.測定用シートを乾燥後、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(商品名:VK-9500 GenerationII、keyence社製)を用い、パルプの長繊維の写真を撮影する。この時、外部フィブリル部分はオレンジ色に染色され、繊維は青色に染色されている。
7.繊維の顕微鏡写真より外部フィブリル化している繊維を選択し、画像解析処理ソフト(上記顕微鏡付属の粒子解析アプリケーション VK-H1G9)にて、外部フィブリル部分の面積、繊維部の面積を算出する。外部フィブリル部分の面積率は下記式6にて算出する。
【0058】
【数6】

【0059】
図1に示す電子顕微鏡写真において、原料Cでは繊維表面のフィブリルと呼ばれる毛羽立ちは糸状であるが、原料Bでは、繊維表面全体が薄く剥離している。これは繊維表面のミクロフィブリルの集合体が鱗片状に剥離しているものである。
原料Bと原料Cのろ水度と外部フィブリル面積率を表1に示した。
【0060】
【表1】

【0061】
<歩留りの実施例及び比較例>
[実施例1]
原料Bに対して軽質炭酸カルシウム(TP121BM、奥多摩工業株式会社製)を40固形分重量%、二酸化チタン(B101S、日本タルク株式会社製)を10固形分重量%添加し、10分間攪拌し原料Dを得た。その後原料Dと原料Cを固形分重量で50/50の割合で混合した。最終的な総固形分に占める填料配合率は約17重量%である。混合した懸濁液に総固形分重量あたり、硫酸バンドを1.0固形分重量%となるように添加混合して紙料を調製した。下記に示す方法で填料の歩留りを測定した結果を表2に示す。
[填料歩留り測定方法]
ダイナミックドレネージジャー(DDJ)を用いて、下記条件にて填料の歩留りを測定した。
装置:改良DDJ(バッフル付き、200メッシュワイヤー)、回転数:800rpm
手順:紙料を(0.5重量%、絶乾2.5g)をDDJにとり、40秒攪拌後にろ水を開始し、ろ水開始5秒後より30秒間のろ水を回収し、絶乾固形分及び灰分を求めることで下記式7により填料歩留りを算出した。
【0062】
【数7】

【0063】
[比較例1]
原料Bの代わりに原料Cに対して、軽質炭酸カルシウム(TP121BM、奥多摩工業株式会社製)を40固形分重量%、二酸化チタン(B101S、日本タルク株式会社製)を10固形分重量%添加し、10分間攪拌し原料Eを得た。その後、原料Eと原料Cを固形分重量で50/50の割合で混合した。最終的な総固形分に占める填料配合率は約17重量%である。混合した懸濁液に総固形分重量あたり、硫酸バンドを1.0固形分重量%となるように添加混合して紙料を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0064】
[比較例2]
原料Cに対して、軽質炭酸カルシウム(TP121BM、奥多摩工業株式会社製)と二酸化チタン(B101S、日本タルク株式会社製)を4対1の割合で混合した混合填料を17固形分重量%添加し、10分間攪拌した。懸濁液に総固形分重量あたり、硫酸バンドを1.0固形分重量%となるように添加混合して紙料を調製した。
【0065】
[実施例2]
原料Dと原料Cの混合比を30/70とし、最終的な固形分に占める填料配合率を約10重量%とした以外は、実施例1と同様にして紙料を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0066】
[比較例3]
原料Eと原料Cの混合比を30/70とした以外は、実施例2と同様にして紙料を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0067】
[比較例4]
原料Cに対して軽質炭酸カルシウム(TP121BM、奥多摩工業株式会社製)と二酸化チタン(B101S、日本タルク株式会社製)を4対1の割合で混合した混合填料を10固形分重量%添加した以外は実施例2と同様にして紙料を調整し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0068】
[実施例3]
原料Dと填料の混合時に、さらにカチオン薬品としてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを填料固形分に対して0.2固形分重量%添加した以外は、実施例1と同様にして紙料を調整し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0069】
[比較例5]
原料Dの代わりに原料Eを用いた以外は実施例3と同様にして紙料を調整し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0070】
[比較例6]
原料Cに対して、軽質炭酸カルシウム(TP121BM、奥多摩工業株式会社製)と二酸化チタン(B101S、日本タルク株式会社製)を4対1の割合で混合した混合填料を10固形分重量%添加した以外は実施例3と同様にして紙料を調整し評価を行った。結果を表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
表2の結果から実施例1は比較例1,2と比べて填料の歩留りが良好であることがわかる。同様に実施例2、実施例3はそれぞれ比較例3,4、比較例5,6と比べて填料の歩留りが高くなっていた。
【0073】
<紙の実施例及び比較例>
[実施例4]
実施例1の原料より、JIS P 8222に基き手抄きシートを作成した。手抄きシートの厚さ、坪量を下記の方法で測定し、これを元に密度を算出した。さらにISO不透明度、ISO白色度、比散乱係数、地合係数を下記の方法で測定した。結果を表3に示す。
[紙質測定方法]
・紙厚:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1998(ISO 536:1995)に従った。
・密度:手抄きシートの厚さ、坪量の測定値より算出した。
・ISO不透明度:JIS P 8149:2000に従った。
・ISO白色度:JIS P 8148に準拠して色差計(村上色彩製)で測定した。
・地合係数:紙の地合は野村商事株式会社製の地合計FMT-III(光透過光変動法)により評価した。なお、測定値が小さい程、地合は良好であることを示す。
【0074】
[比較例7]
比較例1の紙料を用いた以外は、実施例4と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
【0075】
[実施例5]
実施例2の紙料を用いた以外は、実施例4と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
【0076】
[比較例8]
比較例3の紙料を用いた以外は、実施例4と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
【0077】
[実施例6]
実施例3の紙料を用いた以外は、実施例4と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
【0078】
[比較例9]
比較例5の紙料を用いた以外は、実施例4と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
表3の結果から、実施例4、5、6は、それぞれ比較例7、8、9と比べて不透明度、白色度が高く、地合が良好であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】原料B、原料Cの電子顕微鏡写真(1000倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及び/または製紙用薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
【請求項2】
鱗片状の外部フィブリルを有するパルプと、填料及びカチオン薬品を混合して調整した抄紙原料を、前記鱗片状の外部フィブリルを有するパルプ以外のパルプを含む抄紙原料に配合して抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
【請求項3】
鱗片状の外部フィブリルを有するパルプとして、反応槽内のパルプ懸濁液中にキャビテーションによって気泡を発生させ、該気泡の崩壊の際に生じる衝撃力をパルプ繊維に与えて得られるパルプを用いることを特徴とする請求項1または2記載の紙の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3いずれか記載の紙の製造方法によって得られる紙。

【図1】
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【公開番号】特開2009−197371(P2009−197371A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42355(P2008−42355)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】