説明

紙幣入出金機

【課題】紙幣を有効に使用することを、コストアップを抑制しつつ実現する。
【解決手段】金種別環流部35〜37から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を一時貯留部39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を取引口21へ繰り出す出金作動を行い、出金作動後に一時貯留部39に貯留している紙幣がある場合に、取引口21から紙幣が抜き取られていることを条件に、一時貯留部39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部35〜37に収納する一時貯留部出収納作動と、取引口21に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を一時貯留部39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部35〜37に収納する取引口出収納作動とを、交互に繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣入出金機に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類取扱い装置における精査方法については、装置内で発生した識別不能なリジェクト紙葉類の種類および枚数を確定可能とすることを目的として、種類および枚数の鑑別不能なリジェクト紙葉類を繰り返してリジェクト紙葉類収納手段に一時収納するとともに、一枚ずつに再分離し、再分離されたリジェクト紙葉類を紙葉類鑑別手段により再鑑別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術により、紙葉類を無駄にリジェクト紙葉類として収納せずに済むため、紙葉類を有効に使用することができることになる。また、再鑑別する前提条件として、リジェクト紙葉類の傾きおよび横方向へ偏位した姿勢を正常な状態に修正する姿勢修正手段や、前後して搬送されてくるリジェクト紙葉類同士の完全な重なりを防止しながら収納するように集積部の搬送速度を制御し、かつ収納されたリジェクト紙葉類の速度を制御しながら送り出す収納速度制御手段等を備えることによって、好適な紙葉類精査方法を実現する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3467717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の発明では、構成要件として、リジェクト紙葉類を一時収納するとともに、一枚ずつに再分離をおこなうリジェクト紙葉類収納手段が専用で必要であり、またリジェクト紙葉類を再鑑別する際に好適な条件を付加する姿勢修正手段や収納速度制御手段等の専用の手段、すなわち、リジェクト紙葉類専用に作用する専用の手段が必要であるがために、コストアップが懸念されるという課題が存在する。
【0005】
本発明は、紙幣を有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる紙幣入出金機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、所定の金種および枚数の出金紙幣を出金する出金処理時に、前記金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記取引口へ繰り出して、該取引口に前記所定の金種および枚数の出金紙幣を繰り出す出金作動を行い、該出金作動後に前記一時貯留部に貯留している紙幣がある場合に、前記取引口から紙幣が抜き取られていることを条件に、前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動と、前記取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する取引口出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、前記収納不可紙幣がなくなると、前記再収納作動を終了することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、機外から前記取引口に投入され前記識別部で識別後に前記一時貯留部に一時貯留している紙幣を前記金種別環流部に収納する収納処理時に、前記一時貯留部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する収納作動を行い、該収納作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する取引口出収納作動と、前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、前記収納不可紙幣がなくなると、前記再収納作動を終了することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、前記金種別環流部に収納している紙幣を、在り高検出のため前記一時貯留部に貯留した後に前記金種別環流部に戻す自己精査処理時に、前記金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留した後、前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する精査作動を行い、該精査作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する取引口出収納作動と、前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、前記収納不可紙幣がなくなると、前記再収納作動を終了することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、前記金種別環流部に収納している紙幣を、在り高検出のため前記一時貯留部に貯留した後に前記金種別環流部に戻す自己精査処理時に、前記金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留する往路精査作動を行い、該往路精査作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を前記金種別環流部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留する往路取引口出貯留作動を行い、該往路取引口出貯留作動後に前記金種別環流部に貯留している紙幣がある場合に、該金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留する往路金種別環流部出貯留作動を行う、往路再貯留作動を行い、その後、前記一時貯留部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する復路精査作動を行い、該復路精査作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する復路取引口出収納作動と、前記一時貯留部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する復路一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う復路再収納作動を行い、前記復路収納不可紙幣がなくなると、前記復路再収納作動を終了することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記精査作動および前記再収納作動を一連の作動とし、該一連の作動を金種毎に行うことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記精査作動を金種毎に複数金種について行い、その後、前記再収納作動を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記精査作動を金種毎に複数金種について行っている最中に、前記取引口の紙幣が所定量に達した場合、その時点で前記精査作動を行っている金種の該精査作動が終了した時点で一旦、前記再収納作動を行い、その後、前記精査作動を行っていない残りの金種について前記精査作動を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記往路精査作動、前記往路再貯留作動、前記復路精査作動および前記復路再収納作動を一連の作動とし、該一連の作動を金種毎に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、出金処理時に、金種別環流部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を取引口へ繰り出す出金作動を行う。その後、正常と識別できずに一時貯留部に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動と、取引口に貯留している紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する取引口出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、収納不可紙幣がなくなると、この再収納作動を終了する。よって、出金処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、出金処理時に正常と識別されなかった紙幣は、それ以前に一旦は正常と識別されて金種別環流部に収納された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、一時貯留部出収納作動と取引口出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して金種別環流部に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて金種別環流部に収納された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、収納処理時に、一時貯留部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する収納作動を行う。その後、正常と識別できずに取引口に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する取引口出収納作動と、一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、収納不可紙幣がなくなると、この再収納作動を終了する。よって、収納処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、収納処理時に正常と識別されなかった紙幣は、入金処理時に一旦は正常と識別されて一時貯留部に一時貯留された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、取引口出収納作動と一時貯留部出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して金種別環流部に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて一時貯留部に一時貯留された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、自己精査処理時に、金種別環流部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部に貯留した後、一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する精査作動を行う。その後、正常と識別できずに取引口に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する取引口出収納作動と、一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、収納不可紙幣がなくなると、この再収納作動を終了する。よって、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣は、それ以前に一旦は正常と識別されて金種別環流部に収納された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、取引口出収納作動と一時貯留部出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して金種別環流部に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて金種別環流部に収納された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、自己精査処理時に、金種別環流部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部に貯留する往路精査作動を行い、その後、正常と識別できずに取引口に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を金種別環流部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部に貯留する往路取引口出貯留作動を行う。その後、金種別環流部に貯留している紙幣がある場合に、金種別環流部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部に貯留する往路金種別環流部出貯留作動を行う。このように、往路取引口出貯留作動を行い、場合によりさらに往路金種別環流部出貯留作動を行うことにより、正常と識別されなかった紙幣を、正常と識別して一時貯留部に貯留する可能性が高まる。次に、一時貯留部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する復路精査作動を行い、その後、正常と識別できずに取引口に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する復路取引口出収納作動と、一時貯留部から紙幣を繰り出し識別部で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部に収納する復路一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う復路再収納作動を行い、復路収納不可紙幣がなくなると、この復路再収納作動を終了する。よって、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣は、それ以前に一旦は正常と識別されて金種別環流部に収納された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、往路精査作動後に、往路取引口出貯留作動と往路金種別環流部出貯留作動とを行い、復路精査作動後に、復路取引口出収納作動と復路一時貯留部出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して一時貯留部あるいは金種別環流部に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて金種別環流部に収納された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、精査作動および再収納作動を一連の作動とし、この一連の作動を、一の金種について行って終了すると、次の一の金種について行うというように、金種毎に行うことになるため、正常と識別されずに取引口に一度に繰り出される紙幣の量を少なくできる。よって、取引口の紙幣容量が少なくても対応できる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、精査作動を、一の金種について行って終了すると、次の一の金種について行うというように金種毎に、複数金種について行い、その後、まとめて再収納作動を行うため、全体の処理時間を短縮することができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、上記のように精査作動を金種毎に複数金種について行っている最中に、取引口の紙幣が所定量に達した場合、つまり満杯になる可能性が高まった場合には、その時点で精査作動を行っている金種の精査作動が終了した時点で一旦、再収納作動を行って取引口の紙幣を金種別環流部に収納し、その後、精査作動を行っていない残りの金種について精査作動を行うため、取引口の紙幣が満杯になってしまうことを抑制できる。よって、円滑に処理を行うことができる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、往路精査作動、往路再貯留作動、復路精査作動および復路再収納作動を一連の作動とし、該一連の作動を、一の金種について行って終了すると、次の一の金種について行うというように、金種毎に行うことになるため、正常と識別されずに取引口に一度に繰り出される紙幣の量を少なくできる。よって、取引口の紙幣容量が少なくても対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の各実施形態に係る紙幣入出金機を含む出納機を示す斜視図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る紙幣入出金機を概略的に示す側断面図である。
【図3】同側断面図であって、入金処理のルートを太線で示すものである。
【図4】同側断面図であって、収納処理の収納作動と、収納処理および自己精査処理の一時貯留部出収納作動のルートを太線で示すものである。
【図5】同側断面図であって、収納処理および自己精査処理の取引口出収納作動のルートを太線で示すものである。
【図6】同側断面図であって、返却処理のルートを太線で示すものである。
【図7】同側断面図であって、バラ紙幣出金処理の出金作動のルートを太線で示すものである。
【図8】同側断面図であって、バラ紙幣出金処理および束出金処理の一時貯留部出収納作動のルートを太線で示すものである。
【図9】同側断面図であって、バラ紙幣出金処理および束出金処理の取引口出収納作動のルートを太線で示すものである。
【図10】同側断面図であって、束出金処理の出金作動のルートを太線で示すものである。
【図11】同側断面図であって、自己精査処理の精査作動の往路ルートを太線で示すものである。
【図12】同側断面図であって、自己精査処理の精査作動の復路ルートを太線で示すものである。
【図13】同側断面図であって、ローカル整理処理の往路ルートを太線で示すものである。
【図14】同側断面図であって、ローカル整理処理の復路ルートを太線で示すものである。
【図15】同側断面図であって、第2実施形態の自己精査処理の往路取引口出貯留作動のルートを太線で示すものである。
【図16】同側断面図であって、第2実施形態の自己精査処理の往路金種別環流部出貯留作動のルートを太線で示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態に係る紙幣入出金機を図1〜図14を参照して以下に説明する。図1は、紙幣および硬貨等を取り扱う出納機を示している。この出納機は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機は、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
【0024】
出納機は、紙幣についての入出金処理等を行う本実施形態に係る紙幣入出金機11と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理機12と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理機13とが左右に並設されて構成されており、硬貨処理機13の上部に、操作者によって操作入力がなされる操作部14と、操作者に対して表示を行う表示部15とが設けられている。
【0025】
次に、本実施形態に係る紙幣入出金機11の全体構成を図2を参照して説明する。以下の説明における前後左右は、操作者側を前、操作者とは反対側を後、操作者から見て左右を左右とする。
【0026】
紙幣入出金機11は、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されるとともに機内から出金用のバラ紙幣が繰り出される取引口21が設けられている。取引口21は、その底部を構成する載置板22が後下がりに傾斜した姿勢で昇降可能に設けられており、その奥側の支承面23が載置板22と直交するように後上がりに傾斜して設けられている。取引口21には、紙幣が長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢で載置板22上に集積されることになり、紙幣は載置板22の傾斜により後端縁が支承面23に当接する。取引口21には、紙幣の集積スペースに対し機外からのアクセスを許容および規制する開閉可能なシャッタ24と、紙幣の有無を検知する有無検知センサ21bとが設けられている。
【0027】
取引口21の上部の後側には、機外から載置板22上に集積状態で投入されたバラ紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて機内へ繰り出すとともに機内からの紙幣を取引口21に繰り出す繰出部21aが設けられている。繰出部21aは、常にシャッタ24が閉じられた状態で作動するようになっている。繰出部21aによって機内から取引口21に繰り出された紙幣は、支承面23で取り揃えられながら載置板22上に集積されることになる。載置板22上に集積された紙幣は、シャッタ24が開かれた状態で機外へ取り出し可能となり、シャッタ24が閉じられた状態で繰出部21aによって再び機内に繰り出すことが可能となっている。なお、紙幣入出金機11内では、紙幣が、常に長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢で搬送されることになる。
【0028】
取引口21の下側には、紙幣入出金機11の前面位置に、受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト部26が設けられている。紙幣入出金機11の後部には、取引口21から一枚ずつ分離して機内に繰り出される紙幣を識別する識別部28が設けられている。
【0029】
また、取引口21の後方には紙幣を整列させながら水平姿勢で鉛直方向に所定の結束枚数集積させる整列部30が設けられており、この整列部30の後方には、整列部30から集積紙幣を水平状態のまま後方に引き出し鉛直上方に上昇搬送する移送部33が設けられている。
【0030】
整列部30の上方には、移送部33で上昇搬送され上部位置から水平状態のまま前方に送り出された集積紙幣を結束テープで結束して小束紙幣とする結束部31が設けられている。この結束部31は、移送部33から前方に送り出された集積紙幣を上下から挟持しつつ、結束テープを周囲に巻き回して接着・切断することにより小束紙幣を作成する。
【0031】
結束部31の前方には、結束部31で上記のように結束された後、水平状態のまま前方に送り出された小束紙幣を鉛直状に姿勢変更し水平方向に複数束集積して、機外に取り出し可能とする束出金部32が設けられている。
【0032】
また、紙幣入出金機11の下部には、奥側から順に、例えば入金された入金確定後のバラ紙幣を上下に集積させた状態で繰り出し可能に収納する紙幣庫(金種別環流部)35と、同様の紙幣庫(金種別環流部)36と、同様の紙幣庫(金種別環流部)37と、同様の紙幣庫(金種混合収納部)38と、例えば入金された入金確定前のバラ紙幣を上下に集積させた状態で繰り出し可能に一時貯留する紙幣庫(一時貯留部)39とが、上下左右の位置を合わせて前後方向に配列されている。
【0033】
紙幣庫35は所定の単一の金種(例えば千円券)のバラ紙幣を、紙幣庫36は所定の単一の金種(例えば五千円券)のバラ紙幣を、紙幣庫37は所定の単一の金種(例えば万円券)のバラ紙幣を、紙幣庫38は金種混合のバラ紙幣を、それぞれ収納する。紙幣庫39は、例えば取引口21から繰り出され識別部28で正常と識別された入金確定前のバラ紙幣を金種混合で上下に集積させた状態で貯留する。紙幣庫38は、単一金種用の紙幣庫35〜37では収納しきれないオーバーフロー紙幣および単一金種用の紙幣庫を持たない流通量の少ない所定の金種(例えば二千円券)のバラ紙幣を収納する。
【0034】
紙幣庫35の上部には、その内部に紙幣を一枚ずつ繰り出すとともに内部の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して繰り出す繰出部35aが設けられており、紙幣庫36の上部にも同様の繰出部36aが、紙幣庫37の上部にも同様の繰出部37aが、紙幣庫38の上部にも同様の繰出部38aが、紙幣庫39の上部にも同様の繰出部39aが、それぞれ設けられている。
【0035】
また、紙幣庫35には、その内部の紙幣の有無を検知する有無検知センサ35bが設けられており、紙幣庫36にも同様の有無検知センサ36bが、紙幣庫37にも同様の有無検知センサ37bが、紙幣庫38にも同様の有無検知センサ38bが、紙幣庫39にも同様の有無検知センサ39bが、それぞれ設けられている。
【0036】
紙幣庫35〜39は、繰出部35a〜39aの各対応するものから一枚ずつ庫内に繰り出された紙幣を上下方向に集積して収納する。ここで、紙幣庫35〜37は、紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出すものであり、入金された紙幣を収納し収納している紙幣を出金用として繰り出す金種別環流部を構成している。また、紙幣庫39は、紙幣を一時貯留するとともに一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部を構成している。
【0037】
紙幣入出金機11の内部には、紙幣を搬送する紙幣搬送路41が各部を適宜繋ぐように設けられている。紙幣搬送路41は、取引口21と紙幣庫39とを繋ぐ搬送路41Aを有している。搬送路41Aは、取引口21の繰出部21aから後上がりに延出した後、後下がりに延出し、さらに鉛直下方に延出し、その後、前側に一端延出した後、下側にて後側に折り返して延出し、途中上側に凸状に屈曲して識別部28を通った後、下方に延出して、さらに前方に延出して前端から下方に延出して紙幣庫39の繰出部39aに繋がっている。
【0038】
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aの下部の水平部分の途中から分岐して紙幣庫35の繰出部35aに繋がる搬送路41Bと、搬送路41Aの搬送路41Bよりも紙幣庫39側から分岐して紙幣庫36の繰出部36aに繋がる搬送路41Cと、搬送路41Aの搬送路41Cよりも紙幣庫39側から分岐して紙幣庫37の繰出部37aに繋がる搬送路41Dと、搬送路41Aの搬送路41Dよりも紙幣庫39側から分岐して紙幣庫38の繰出部38aに繋がる搬送路41Eと、搬送路41Aの搬送路41Eよりも紙幣庫39側から分岐し上方に延出した後に屈曲し後方に延出して搬送路41Aの取引口21と識別部28との間位置に繋がる搬送路41Fとを有している。
【0039】
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aの搬送路41Eの分岐位置と搬送路41Fの分岐位置との間位置から分岐し上方に延出して搬送路41Fの途中位置に繋がる短絡搬送部としての搬送路41Gと、搬送路41Fにおける、搬送路41Gの接続位置と、搬送路41Aの取引口21と識別部28との間への接続位置との間から分岐し上方に延出した後に前方に延出して入金リジェクト部26に繋がる搬送路41Hと、搬送路41Aの取引口21と識別部28との間における搬送路41Fの接続位置と、取引口21との間位置から分岐し前方に延出して搬送路41Hの途中位置に繋がる搬送路41Iとを有している。
【0040】
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aにおける、取引口21と搬送路41Iの分岐位置との間位置と、搬送路41Iの分岐位置と識別部28との間位置とを繋ぐ搬送路41Jと、搬送路41Aの取引口21と搬送路41Iの分岐位置との間における搬送路41Jの接続位置と取引口21との間位置から後方に分岐して整列部30に繋がる搬送路41Kとを有している。搬送路41Jには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部43が設けられている。
【0041】
ここで、上記した搬送路41Fの、搬送路41Aにおける取引口21と識別部28との間位置への合流は、搬送路41Aの取引口21から識別部28への方向の搬送に対して合流するものであり、紙幣搬送路41は、搬送路41Fにおける、搬送路41Hの分岐位置と、搬送路41Aの取引口21と識別部28との間への合流位置との間から分岐して搬送路41Aの識別部28から取引口21への方向の搬送に対して合流する分岐搬送部としての搬送路41Lを有している。
【0042】
ここで、上記した搬送路41A〜41Fは正逆両方向に紙幣を搬送可能となっており、搬送路41G〜41Lは一方向にのみ紙幣を搬送可能となっている。
【0043】
搬送路41A〜41Fは、識別部28の一端側と取引口21とを双方向に搬送可能に結ぶとともに、識別部28の一端側と一時貯留部としての紙幣庫39とを双方向に搬送可能に結び、さらに、識別部28の他端側と一時貯留部としての紙幣庫39とを双方向に搬送可能に結ぶとともに、識別部28の他端側と金種別環流部としての紙幣庫35〜37とを双方向に搬送可能に結ぶ双方向搬送部51を構成している。双方向搬送部51に配置された識別部28は、一端側から受け入れた紙幣を識別可能であるとともに他端側から受け入れた紙幣も同様に識別可能となっており、取引口21から繰り出された紙幣は一端側から、機内に受け入れ済みの紙幣は、一端側あるいは他端側から受け入れて識別する。
【0044】
短絡搬送部としての搬送路41Gは、識別部28の他端側から一時貯留部としての紙幣庫39に向かって搬送する双方向搬送部51の搬送路41Aの途中において分岐されて、紙幣庫39から識別部28の一端側に向かって延びる双方向搬送部51の搬送路41Fの途中に合流する。分岐搬送部としての搬送路41Lは、一時貯留部としての紙幣庫39から識別部28の一端側に向かって搬送する双方向搬送部51の搬送路41Fの途中において分岐して取引口21へ向かう。
【0045】
上部にある取引口21、入金リジェクト部26、識別部28、整列部30、移送部33、結束部31、束出金部32および表裏反転部43は、本体45内に配置されており、下部にある、紙幣庫35〜39は、本体45から紙幣入出金機11の前後方向に沿って前面側に引き出し可能な引出体46内に配置されている。
【0046】
引出体46は、紙幣庫35〜39が着脱可能に装填される収納部47と、この収納部47の上方に開閉可能に設けられた開閉部48とを有している。開閉部48には、紙幣庫35〜39に対して紙幣を搬送する上記した搬送路41A〜41Eの一部と搬送路41F,41Gの一部とが設けられている。
【0047】
次に、制御部55による制御で実行される紙幣入出金機11の各処理を説明する。
【0048】
「入金処理」
図3の太線は、機外から取引口21に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数して一時貯留部としての紙幣庫39に一時貯留する入金処理のルートを示している。つまり、取引口21の載置板22上にバラ紙幣が集積状態で載置されて、操作部14に入金処理を行う旨の入力操作がなされると、取引口21の紙幣を識別部28で識別した後に紙幣庫39に一時貯留する入金処理を行う。
【0049】
具体的には、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、双方向搬送部51の搬送路41Aで搬送することになる。このとき、識別部28に対して、紙幣は、一端の取引口21側から進入して他端側に抜け出ることになり、このように一方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28で正常と識別した紙幣(取り扱い金種の紙幣)を、図3に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで一時貯留部としての紙幣庫39に搬送する一方、識別部28で正常と識別されなかった紙幣(判別不能紙幣)を、図3に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから短絡搬送部としての搬送路41G、双方向搬送部51の搬送路41Fおよび搬送路41Hで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、受け入れ可能な紙幣を紙幣庫39に一時貯留し、受け入れ不可な紙幣を入金リジェクト部26に放出する。
【0050】
入金処理開始後、有無検知センサ21bが取引口21に残留する紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、入金処理を終了する。
【0051】
「収納処理」
図4の太線は、上記した入金処理にて紙幣庫39に一時貯留した紙幣を、操作部14への承認操作が入力されたことを条件に、確定して、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38の対応するものに収納する収納処理のルートを示している。
【0052】
収納処理では、まず、操作部14への承認操作が入力されると、紙幣庫39から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する収納作動を行う。
【0053】
具体的に、収納作動では、繰出部39aが紙幣庫39の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図4に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り搬送路41Aを再び通るルートで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、このように移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに搬送する。これにより、正常と識別された紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに収納する。つまり、正常と識別された紙幣のうち、紙幣庫35に収納されるべき単一金種(例えば千円券)の紙幣を紙幣庫35に、紙幣庫36に収納されるべき単一金種(例えば五千円券)の紙幣を紙幣庫36に、紙幣庫37に収納されるべき単一金種(例えば万円券)の紙幣を紙幣庫37に、紙幣庫38に収納されるべき金種(例えば二千円券および紙幣庫35〜37が満杯である場合の満杯金種)の紙幣を紙幣庫38に収納する。
【0054】
また、収納作動では、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図4に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、収納作動開始時点では空でありシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。なお、紙幣庫39から識別部28に向けて搬送路41Fを通る紙幣と、識別部28による識別で、正常と識別されずに搬送路41Gから搬送路41Fを通る紙幣とが、搬送路41Fの一部ルートを重ね合わせているが、これら紙幣が干渉しないように、正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0055】
収納作動開始後、有無検知センサ39bが紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、収納作動を終了する。そして、この収納作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留する紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している紙幣がなければ、収納処理を終了する。他方、取引口21に貯留している紙幣があれば、以下の再収納作動を行う。
【0056】
再収納作動では、まず、取引口21に貯留している紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、図5に太実線から太破線で示すように、正常と識別されなかった収納不可紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図5に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38の対応するものに収納する取引口出収納作動を行う。
【0057】
具体的に、取引口出収納作動では、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図5に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで搬送することになる。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28で正常と識別された紙幣を、図5に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに搬送する。これにより、紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに、正常と識別された紙幣を収納する。つまり、正常と識別された紙幣のうち、紙幣庫35に収納されるべき単一金種(例えば千円券)の紙幣を紙幣庫35に、紙幣庫36に収納されるべき単一金種(例えば五千円券)の紙幣を紙幣庫36に、紙幣庫37に収納されるべき単一金種(例えば万円券)の紙幣を紙幣庫37に、紙幣庫38に収納されるべき金種(例えば二千円券および紙幣庫35〜37が満杯である場合の満杯金種)の紙幣を紙幣庫38に収納する。
【0058】
他方、識別部28で正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図5に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで、取引口出収納作動開始時点では空の一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。
【0059】
取引口出収納作動開始後、有無検知センサ21bが取引口21に残留する紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、取引口出収納作動を終了する。そして、この取引口出収納作動後の時点で、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣の有無を検知する。紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣がなければ、再収納作動を終了し、収納処理を終了する。他方、紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣があれば、図4に太線で示すように、紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38の対応するものに収納する、再収納作動の一時貯留部出収納作動を行う。
【0060】
具体的に、一時貯留部出収納作動では、繰出部39aが紙幣庫39の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図4に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図4に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに搬送する。これにより、上記と同様に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに正常と識別された紙幣を収納する。
【0061】
他方、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図4に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、一時貯留部出収納作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。このときも、識別部28で正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0062】
一時貯留部出収納作動開始後、有無検知センサ39bが紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、一時貯留部出収納作動を終了する。そして、この一時貯留部出収納作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している収納不可紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している収納不可紙幣がなければ、再収納作動を終了し、収納処理を終了する。他方、取引口21に貯留している収納不可紙幣があれば、図5に示すルートの上記した取引口出収納作動を行い、この取引口出収納作動後に紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣があれば、図4に示すルートの一時貯留部出収納作動を行い、以後、同様に、取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返す。このように、収納処理の再収納作動では、紙幣庫35〜37および紙幣庫38に収納不可な収納不可紙幣がなくなるまで、言い換えれば、すべての紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに収納するまで、取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返し行うことになり、収納不可紙幣がなくなると、再収納作動を終了し、収納処理を終了する。
【0063】
なお、収納処理で再収納作動の対象となる紙幣は、入金処理時に識別部28で一旦正常と識別されて一時貯留部としての紙幣庫39に一時貯留された紙幣であることから、収納処理の識別時に正常と識別されない理由は、いずれも単発要因である、ノイズの影響による識別スキャン不良、識別ポイント箇所のズレによる光学・磁気パターン不一致、繰り出し不良・搬送不良によるニアフィード、繰り出し不良・搬送不良による重送、繰り出し不良・搬送不良による斜行のいずれかである。このため、上記の取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返すことで、必ず紙幣は正常と識別されることになる。よって、上記のように、再収納作動では、収納不可紙幣がなくなるまで、取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返すようになっている。具体的に、ノイズは、瞬間的なものであるため、再識別で正常な識別が可能となる。また、光学・磁気パターン不一致は、識別部での紙幣スキャン方向が主に影響するので、特に識別部での搬送方向相違に効果があり、再識別で正常な識別が可能となる。ニアフィードおよび重送は再度の分離・繰り出しで解消されるため、再識別で正常な識別が可能となる。斜行は、搬送先での集積で矯正されることになるため、再識別で正常な識別が可能となる。
【0064】
なお、金種別環流部としての紙幣庫35〜37に紙幣を補充する補充処理は、上記した入金処理および収納処理と同様に行われる。
【0065】
「返却処理」
図6の太線は、入金処理にて紙幣庫39に一時貯留した紙幣を、操作部14へのキャンセル操作が入力されたことを条件に、取引口21に繰り出す返却処理のルートを示している。つまり、紙幣庫39の紙幣を上端のものから繰出部39aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41Aによって取引口21に搬送する。これにより、取引口21に紙幣を返却する。返却処理開始後、有無検知センサ39bが紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、返却処理を終了する。
【0066】
「バラ紙幣出金処理」
図7の太線は、操作部14へ入力されたバラ出金操作に基づいて、金種別環流部としての紙幣庫35〜37の指定された金種のものから、指定された所定の金種および枚数の出金紙幣を出金するバラ紙幣出金処理のルートを示している。
【0067】
バラ紙幣出金処理では、まず、金種別環流部としての紙幣庫35〜37から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、図7に太実線から太破線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図7に太実線で示すように、取引口21へ繰り出して、取引口21に指定された所定の金種および枚数の出金紙幣をすべて繰り出す出金作動を行う。
【0068】
具体的に、出金作動では、紙幣庫35〜37の指定された金種のものに収納されている紙幣を上端のものから繰出部35a〜37aの対応するものが一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図7に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41B〜41Dの対応するものと、搬送路41Aとで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、他端側から識別部28に進入して一端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図7に太実線で示すように、表裏反転が必要でないものは搬送路41Aでそのまま取引口21に、表裏反転が必要なものは搬送路41Jを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41Aで取引口21に、それぞれ搬送する。これにより、出金操作に基づくバラ紙幣を、シャッタ24が閉じられた状態の取引口21に繰り出す。
【0069】
また、出金作動では、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図7に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで、出金作動開始時点では空の一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。
【0070】
出金作動開始後、指定された所定の金種および枚数の出金紙幣を取引口21に繰り出したことが確認されると、シャッタ24を開く。そして、有無検知センサ21bで取引口21の紙幣が取り出されたことが検知されると、シャッタ24を閉じて出金作動を終了する。そして、この出金作動後の時点で、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している紙幣の有無を検知する。紙幣庫39に貯留している紙幣がなければ、バラ紙幣出金処理を終了する。他方、紙幣庫39に貯留している紙幣があれば、以下の再収納作動を行う。なお、バラ紙幣出金処理における再収納作動は、取引口21から紙幣が抜き取られることにより終了する出金作動の終了後に行われることになり、言い換えれば、取引口21から紙幣が抜き取られていることを条件に行われる。
【0071】
再収納作動では、まず、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図8に太実線から太破線で示すように、シャッタ24が閉じられた状態の取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図8に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37の対応するものに収納する一時貯留部出収納作動を行う。
【0072】
具体的に、一時貯留部出収納作動では、繰出部39aが紙幣庫39の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図8に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、このように出金作動と逆方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図8に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Dの対応するものによって紙幣庫35〜37の対応するものに搬送する。これにより、紙幣庫35〜37の対応するものに正常と識別された紙幣を収納する。
【0073】
他方、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図8に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、一時貯留部出収納作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。このときも、識別部28で正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0074】
一時貯留部出収納作動開始後、有無検知センサ39bが紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、一時貯留部出収納作動を終了する。そして、この一時貯留部出収納作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している収納不可紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している収納不可紙幣がなければ、再収納作動を終了し、バラ紙幣出金処理を終了する。他方、取引口21に貯留している収納不可紙幣があれば、取引口21に貯留している収納不可紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図9に太実線から太破線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図9に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37の対応するものに収納する、再収納作動の取引口出収納作動を行う。
【0075】
具体的に、取引口出収納作動では、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図9に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで搬送することになる。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28で正常と識別された紙幣を、図9に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Dの対応するものによって紙幣庫35〜37の対応するものに搬送する。これにより、上記と同様に、紙幣庫35〜37の対応するものに正常と識別された紙幣を収納する。
【0076】
他方、識別部28で正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図9に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで、取引口出収納作動開始時点では空の一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。
【0077】
取引口出収納作動開始後、有無検知センサ21bが取引口21に残留する紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、取引口出収納作動を終了する。そして、この取引口出収納作動後の時点で、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣の有無を検知する。紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣がなければ、再収納作動を終了し、バラ紙幣出金処理を終了する。他方、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣があれば、図8に示すルートの上記した一時貯留部出収納作動を行い、この一時貯留部出収納作動後に取引口21に貯留している収納不可紙幣があれば、図9に示すルートの取引口出収納作動を行い、以後、同様に、一時貯留部出収納作動および取引口出収納作動を交互に繰り返す。このように、バラ紙幣出金処理における再収納作動では、紙幣庫35〜37に収納不可な収納不可紙幣がなくなるまで、言い換えれば、すべての紙幣を紙幣庫35〜37の対応するものに収納するまで、一時貯留部出収納作動および取引口出収納作動を交互に繰り返し行うことになり、収納不可紙幣がなくなると、再収納作動を終了し、バラ紙幣出金処理を終了する。
【0078】
なお、バラ紙幣出金処理において再収納作動の対象となる紙幣は、入金処理時および収納処理時に識別部28で一旦正常と識別されて金種別環流部である紙幣庫35〜37に収納されたものであることから、バラ紙幣出金処理の識別時に正常と識別されない理由は、上記した収納処理と同様である。このため、上記の取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返すことで、紙幣は必ず正常と識別されることになる。
【0079】
「束出金処理」
図10の太線は、操作部14へ入力された束出金操作に基づいて、金種別環流部としての紙幣庫35、紙幣庫36および紙幣庫37の指定された金種のものからの紙幣を結束して出金する束出金処理のルートを示している。束出金処理では、バラ紙幣出金処理の出金作動で取引口21に繰り出していた紙幣の搬送先を整列部30としている。
【0080】
束出金処理では、まず、金種別環流部としての紙幣庫35〜37から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、図10に太実線から太破線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図10に太実線で示すように、整列部30へ繰り出して、整列部30に指定された所定の金種および枚数の出金紙幣を繰り出す出金作動と、出金紙幣を結束し出金する結束作動とを行う。
【0081】
具体的に、出金作動では、紙幣庫35〜37の指定された金種のものに収納されている紙幣を上端のものから繰出部35a〜37aの対応するものが一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図10に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41B〜41Dの対応するものと、搬送路41Aとで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、他端側から識別部28に進入して一端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図10に太実線で示すように、表裏反転が必要でないものは搬送路41A,41Kで整列部30に、表裏反転が必要なものは搬送路41Jを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Kで整列部30に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部30に繰り出す。そして、結束作動によって、整列部30の集積紙幣を、移送部33で結束部31に搬送し、結束部31で結束を行い、束出金部32に繰り出す。このような処理を指定された金種毎に指定された束数分行うことになる。
【0082】
また、出金作動では、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図10に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで、出金作動開始時点では空の一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。
【0083】
出金作動開始後、指定された所定の金種および枚数の出金紙幣を整列部30に繰り出したことが確認されると、出金作動を終了する。そして、この出金作動後の時点で、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している紙幣の有無を検知する。紙幣庫39に貯留している紙幣がなければ、束出金処理を終了する。他方、紙幣庫39に貯留している紙幣があれば、バラ紙幣出金処理と同様に、紙幣庫35〜37に収納不可な収納不可紙幣がなくなるまで、言い換えれば、すべての紙幣を紙幣庫35〜37の対応するものに収納するまで、図8に示すルートの一時貯留部出収納作動および図9に示すルートの取引口出収納作動を交互に繰り返し行う再収納作動を実行することになり、収納不可紙幣がなくなると、再収納作動を終了し、結束作動が終了していることを条件に、束出金処理を終了する。
【0084】
なお、束出金処理で再収納作動の対象となる紙幣も、入金処理時および収納処理時に識別部28で一旦正常と識別されて金種別環流部である紙幣庫35〜37に収納されたものであることから、束出金処理の識別時に正常と識別されない理由は、上記した収納処理と同様である。このため、上記の取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返すことで、紙幣は必ず正常と識別されることになる。
【0085】
「自己精査処理」
自己精査処理は、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの指定されたもの(全指定も含む)について、在り高を検出する処理であり、図11の太線は、操作部14へ入力された自己精査処理操作に基づいて、紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応するものに収納している紙幣を、一旦すべて一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する自己精査処理の往路ルートを、図12の太線は、紙幣庫39に一旦貯留した紙幣を、紙幣庫35〜37および紙幣庫38の元のものに戻す自己精査処理の復路ルートを、それぞれ示している。なお、第1実施形態では、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数が精査対象庫として指定された場合には、個別に自己精査処理を行う。つまり、一番目の精査対象庫について自己精査処理を行い、これが終了すると二番目の精査対象庫について自己精査処理を行う、という処理を、指定された全部の精査対象庫について順次行う。
【0086】
自己精査処理では、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの一の精査対象庫から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、図11に太実線から太破線で示すように、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図11に太実線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路精査作動と、その後、紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、図12に太実線から太破線で示すように、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図12に太実線で示すように、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの前記一の精査対象庫に収納する復路精査作動とからなる精査作動を行う。
【0087】
具体的に、精査作動の往路精査作動では、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの設定された前記一の精査対象庫に収納されている紙幣を上端のものから繰出部35a〜38aの対応するものが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図11に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41B〜41Eの対応するものと、搬送路41Aとで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、他端側から識別部28に進入して一端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図11に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Fから、再び搬送路41Aを介して紙幣庫39に搬送する。これにより、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの前記一の精査対象庫に収納されていた紙幣のうち正常と識別された紙幣がすべて紙幣庫39に貯留される。
【0088】
他方、往路精査作動の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図11に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、精査作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。
【0089】
往路精査作動開始後、有無検知センサ35b〜38bのうちの前記一の精査対象庫に設けられたものが紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの一の精査対象庫に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、往路精査作動を終了する。そして、引き続き復路精査作動を行う。
【0090】
復路精査作動では、上記したように紙幣庫39に一旦移した紙幣を、図12に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートによって、識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、このように往路精査作動とは逆方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図12に太実線で示すように、搬送路41A〜41Eの対応するものを介して、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に収納する。
【0091】
他方、復路精査作動の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図12に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、シャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。このときも、識別部28で正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0092】
復路精査作動開始後、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、復路精査作動、つまり往路精査作動と復路精査作動とからなる精査作動を終了する。そして、この精査作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している紙幣がなければ、前記一の精査対象庫についての自己精査処理を終了する。他方、取引口21に貯留している紙幣があれば、取引口21に貯留している紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図5に太実線から太破線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図5に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に収納する、再収納作動の取引口出収納作動を行う。
【0093】
具体的に、取引口出収納作動では、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図5に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで搬送することになる。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28で正常と識別された紙幣を、図5に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの前記一の精査対象庫に搬送する。これにより、上記と同様に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に正常と識別された紙幣を収納する。
【0094】
他方、識別部28で正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図5に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで、取引口出収納作動開始時点では空の一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。
【0095】
取引口出収納作動開始後、有無検知センサ21bが取引口21に残留する紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、取引口出収納作動を終了する。そして、この取引口出収納作動後の時点で、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣の有無を検知する。紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣がなければ、再収納作動を終了し、前記一の精査対象庫についての自己精査処理を終了する。他方、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣があれば、紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図4に太実線から太破線で示すように、取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図4に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に収納する、再収納作動の一時貯留部出収納作動を行う。
【0096】
具体的に、一時貯留部出収納作動では、繰出部39aが紙幣庫39の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図4に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に搬送する。これにより、上記と同様に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に正常と識別された紙幣を収納する。
【0097】
他方、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった収納不可紙幣を、図4に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、一時貯留部出収納作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。このときも、識別部28で正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0098】
一時貯留部出収納作動開始後、有無検知センサ39bが紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、一時貯留部出収納作動を終了する。そして、この一時貯留部出収納作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している収納不可紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している収納不可紙幣がなければ、再収納作動を終了し、前記一の精査対象庫についての自己精査処理を終了する。他方、取引口21に貯留している収納不可紙幣があれば、図5に示すルートの上記した取引口出収納作動を行い、この取引口出収納作動後に紙幣庫39に貯留している収納不可紙幣があれば、図4に示すルートの一時貯留部出収納作動を行い、以後、同様に、取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返す。このように、自己精査処理の再収納作動では、紙幣庫35〜37および紙幣庫38に収納不可な収納不可紙幣がなくなるまで、言い換えれば、すべての紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応する前記一の精査対象庫に収納するまで、取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返し行うことになり、収納不可紙幣がなくなると、再収納作動を終了し、自己精査処理を終了する。
【0099】
以上の自己精査処理により、識別部28の計数結果と、紙幣庫35〜37および紙幣庫38の自己精査処理を行った前記一の精査対象庫に収納された紙幣の枚数とが一致することになる。自己精査処理を、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数(全部も含む)について行う場合には、上記の精査作動および再収納作動を一連の作動として行う自己精査処理を、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの設定されたものを一の精査対象庫として、それぞれ個別に行うことになる。つまり、紙幣庫35〜37のうちの複数金種(全金種も含む)について自己精査処理を行う場合に、精査作動および再収納作動を一連の作動とし、この一連の作動を金種毎に行うようにする。言い換えれば、一金種の精査作動が完結しない限り、次の金種に移行しない。
【0100】
なお、自己精査処理で再収納作動の対象となる紙幣も、入金処理時および収納処理時に識別部28で一旦正常と識別されて金種別環流部である紙幣庫35〜37および金種混合収納部である紙幣庫38に収納されたものであることから、自己精査処理の識別時に正常と識別されない理由は、上記した収納処理と同様である。このため、上記の取引口出収納作動および一時貯留部出収納作動を交互に繰り返すことで、紙幣は必ず正常と識別されることになる。
【0101】
「ローカル整理処理」
図13の太線は、機外から取引口21に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数するローカル整理処理の往路ルートを示している。つまり、取引口21の載置板22上にバラ紙幣が載置されて、操作部14にローカル整理処理を行う旨の入力操作が金種指定とともになされると、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図13に太実線で示すように、搬送路41Aで搬送することになる。搬送路41Aでの搬送中に識別部28が紙幣を識別計数することになり、識別部28で指定金種と判定した紙幣を、搬送路41Aで紙幣庫39に搬送する一方、識別部28で指定金種以外と判定した紙幣を、図13に太実線から太破線で示すように、搬送路41Aから搬送路41G,41F,41Hで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、指定金種の紙幣を紙幣庫39に一時貯留し、指定金種以外の紙幣を入金リジェクト部26に放出する。
【0102】
図14の太線は、ローカル整理処理の復路ルートを示している。上記したように紙幣庫39に一旦収納した紙幣を、上端のものから繰出部39aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図14の太実線で示すように、搬送路41Aで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは搬送路41A,41Kで整列部30に、表裏反転が必要なものは搬送路41Jを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Kで整列部30に、それぞれ搬送する。このようにして、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部30に繰り出す。そして、整列部30の集積紙幣を、移送部33で結束部31に搬送し、結束部31で結束を行い、束出金部32に繰り出す。このような処理を結束単位枚数が整列部30に集積される限り繰り返す。なお、結束単位枚数に満たない、端数紙幣が整列部30に集積された場合にも、これを結束し端数紙幣であることを示す識別をつけて束出金部32に繰り出す。なお、ローカル整理処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、図14に太実線から太破線で示すように、搬送路41A,41I,41Hによって入金リジェクト部26に搬送し、入金リジェクト部26に放出する。
【0103】
以上に述べた第1実施形態に係る紙幣入出金機によれば、バラ紙幣出金処理時に、金種別環流部としての紙幣庫35〜37から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を取引口21へ繰り出す出金作動を行う。その後、正常と識別できずに紙幣庫39に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を紙幣庫35〜37に収納する一時貯留部出収納作動と、取引口21に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を紙幣庫35〜37に収納する取引口出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、収納不可紙幣がなくなると、この再収納作動を終了する。よって、出金処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、出金処理時に正常と識別されなかった紙幣は、それ以前に一旦は正常と識別されて金種別環流部としての紙幣庫35〜37に収納された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、一時貯留部出収納作動と取引口出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して紙幣庫35〜37に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて紙幣庫35〜37に収納された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。加えて、出金作動と、一時貯留部出収納作動および取引口出収納作動とで識別部28を通過する紙幣の方向が逆となるため、好適に再識別できる。
【0104】
また、収納処理時に、一時貯留部としての紙幣庫39から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する収納作動を行う。その後、正常と識別できずに取引口21に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する取引口出収納作動と、紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、収納不可紙幣がなくなると、この再収納作動を終了する。よって、収納処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、収納処理時に正常と識別されなかった紙幣は、入金処理時に一旦は正常と識別されて紙幣庫39に一時貯留された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、取引口出収納作動と一時貯留部出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて紙幣庫39に一時貯留された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。
【0105】
また、自己精査処理時に、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留した後、紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する精査作動を行う。その後、正常と識別できずに取引口21に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する取引口出収納作動と、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、収納不可紙幣がなくなると、この再収納作動を終了する。よって、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣は、それ以前に一旦は正常と識別されて金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、取引口出収納作動と一時貯留部出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。加えて、往路精査作動と、復路精査作動、一時貯留部出収納作動および取引口出収納作動とで、識別部28を通過する紙幣の方向が逆となるため、好適に再識別できる。
【0106】
また、自己精査処理時に、精査作動および再収納作動を一連の作動とし、この一連の作動を、一の金種について行って終了すると、次の一の金種について行うというように、金種毎に行うことになるため、正常と識別されずに取引口21に一度に繰り出される紙幣の量を少なくできる。よって、取引口21の紙幣容量が少なくても対応できる。
【0107】
なお、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの複数(全部も含む)を精査対象庫として、自己精査処理を行う場合に、上記では、精査作動および再収納作動を一連の作動とし、この一連の作動を精査対象庫毎に個別に行うようにしたが、再収納作動を行わずに精査作動のみを紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数の精査対象庫について個別に行い、その後、前記複数の精査対象庫から取引口21に貯留された紙幣について纏めて再収納作動を行うようにしても良い。このように制御すれば、精査作動を、一の精査対象庫について行って終了すると、次の一の精査対象庫について行うというように精査対象庫毎に、複数の精査対象庫について行い、その後、まとめて再収納作動を行うため、全体の処理時間を短縮することができる。
【0108】
この場合、金種別環流庫としての紙幣庫35〜37について見てみると、精査作動を金種毎に複数金種について行い、その後、複数金種についての再収納作動を行うことになる。よって、精査作動を、一の金種について行って終了すると、次の一の金種について行うというように金種毎に、複数金種について行い、その後、まとめて再収納作動を行うことになるため、全体の処理時間を短縮することができる。
【0109】
また、上記のように精査作動のみを紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数の精査対象庫について個別に行い、その後、取引口21に貯留された紙幣について纏めて再収納作動を行う場合に、精査作動を行っている最中に、取引口21の紙幣がニアフルとなる所定量に達したことが検知されると、その時点で精査作動を行っている精査対象庫の精査作動が終了した時点で一旦、取引口21の紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応するものに収納する再収納作動を行い、その後、精査作動を行っていない精査対象庫について精査作動を行うようにしても良い。このように制御すれば、上記のように精査作動を複数の精査対象庫について行っている最中に、取引口21の紙幣が所定量に達した場合、つまり満杯になる可能性が高まった場合には、その時点で精査作動を行っている精査対象庫の精査作動が終了した時点で一旦、再収納作動を行って取引口21の紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38に収納し、その後、精査作動を行っていない残りの精査対象庫について精査作動を行うため、取引口21の紙幣が満杯になってしまうことを抑制できる。よって、円滑に処理を行うことができる。
【0110】
この場合、金種別環流庫としての紙幣庫35〜37について見てみると、金種毎に複数金種について行っている最中に、取引口21の紙幣が所定量に達した場合、その時点で精査作動を行っている金種の精査作動が終了した時点で一旦、再収納作動を行い、その後、精査作動を行っていない残りの金種について精査作動を行うことになる。よって、上記のように精査作動を金種毎に複数金種について行っている最中に、取引口21の紙幣が所定量に達した場合、つまり満杯になる可能性が高まった場合には、その時点で精査作動を行っている金種の精査作動が終了した時点で一旦、再収納作動を行って取引口21の紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37に収納し、その後、精査作動を行っていない残りの金種について精査作動を行うため、取引口21の紙幣が満杯になってしまうことを抑制できる。よって、円滑に処理を行うことができる。
【0111】
また、金種別環流部の紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの複数(全部も含む)を精査対象庫として自己精査処理を行う場合に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数の精査対象庫に収納された紙幣の、それまでに制御部55に記憶されていたデータに基づく合計枚数が紙幣庫39の最大収納枚数以下であった場合に限り、上記のように個別に自己精査処理を行うのではなく、すべて一括して行うようにしても良い。つまり、上記した精査作動にかえて、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの指定された全部の精査対象庫から順に紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路精査作動を行って、全部の精査対象庫を一旦空にする。その後、紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する精査対象庫に収納する復路精査作動を行う。その後、すべての収納不可紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応する精査対象庫に収納する再収納作動を実行する。
【0112】
本発明の第2実施形態に係る紙幣入出金機を主に図4,図5,図11,図12,図15,図16を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。第2実施形態では、自己精査処理が第1実施形態と相違している。
【0113】
「自己精査処理」
【0114】
第2実施形態の自己精査処理では、まず、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの一の精査対象庫から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、図11に太実線から太破線で示すように、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図11に太実線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路精査作動を行う。
【0115】
具体的に、往路精査作動では、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの設定された前記一の精査対象庫に収納されている紙幣を上端のものから繰出部35a〜38aの対応するものが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図11に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41B〜41Eの対応するものと、搬送路41Aとで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、他端側から識別部28に進入して一端側に抜け出ることになり、このように移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図11に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで紙幣庫39に搬送する。これにより、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの前記一の精査対象庫に収納されていた紙幣のうち正常と識別された紙幣がすべて紙幣庫39に貯留される。
【0116】
他方、往路精査作動の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図11に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aによって、往路精査作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。
【0117】
往路精査作動開始後、有無検知センサ35b〜38bのうちの前記一の精査対象庫に設けられたものが、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの一の精査対象庫に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、往路精査作動を終了する。この往路精査作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している紙幣がなければ、引き続き、後述する復路精査作動を行う。他方、取引口21に貯留している紙幣があれば、取引口21に貯留している紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を、図15に太実線から太破線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫(往路精査作動で空となっている)に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図15に太実線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する、往路再貯留作動の往路取引口出貯留作動を行う。
【0118】
具体的に、往路取引口出貯留作動では、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図15に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで搬送することになる。このとき、紙幣は、往路精査作動とは逆方向である一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、このように移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28で正常と識別された紙幣を、図15に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。これにより、上記と同様に、正常と識別された紙幣を紙幣庫39に貯留する。
【0119】
他方、識別部28で正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を、図15に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの空の状態の前記一の精査対象庫に搬送する。これにより、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を貯留する。
【0120】
往路取引口出貯留作動開始後、有無検知センサ21bが取引口21に残留する紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、往路取引口出貯留作動を終了する。そして、この往路取引口出貯留作動後の時点で、有無検知センサ35b〜39bのうちの前記一の精査対象庫に設けられたものが前記一の精査対象庫に貯留している往路貯留不可紙幣の有無を検知する。前記一の精査対象庫に貯留している往路貯留不可紙幣がなければ、往路再貯留作動を終了し、後述する復路精査作動を行う。他方、前記一の精査対象庫に貯留している往路貯留不可紙幣があれば、前記一の精査対象庫に貯留している往路貯留不可紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を、図16に太実線から太破線で示すように、取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図16に太実線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する、往路再貯留作動の往路金種別環流部出貯留作動を行う。
【0121】
具体的に、往路金種別環流部出貯留作動では、繰出部35a〜39aのうち前記一の精査対象庫に設けられたものが前記一の精査対象庫の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図16に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、他端側から識別部28に進入して一端側に抜け出ることになり、このように往路取引口出貯留作動と逆方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、双方向搬送部51の搬送路41Aおよび搬送路41Fで一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。これにより、上記と同様に、紙幣庫39に正常と識別された紙幣を貯留する。
【0122】
他方、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を、図16に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aによって、往路金種別環流部出貯留作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。
【0123】
往路金種別環流部出貯留作動開始後、有無検知センサ35b〜39bのうちの前記一の精査対象庫に設けられたものが前記一の精査対象庫に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、往路金種別環流部出貯留作動を終了し、往路取引口出貯留作動および往路金種別環流部出貯留作動からなる往路再貯留作動を終了して、その後、後述する復路精査作動を行う。
【0124】
なお、このように、往路精査作動で正常と識別されずに取引口21に貯留された紙幣が生じた場合に、往路取引口出貯留作動を一回行い、往路貯留不可紙幣がなくならない場合に、往路金種別環流部出貯留作動を一回行う往路再貯留作動を行って、復路精査作動に移行するのではなく、往路取引口出貯留作動と往路金種別環流部出貯留作動とを交互に繰り返し行う往路再貯留作動を往路貯留不可紙幣がなくなるまで行い、往路貯留不可紙幣がなくなると、往路再貯留作動を終了して、復路精査作動に移行するようにしても良い。
【0125】
復路精査作動は、紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、図12に太実線から太破線で示すように、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図12に太実線で示すように、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの前記一の精査対象庫に収納する。
【0126】
復路精査作動では、上記したように紙幣庫39に一旦移した紙幣を、図12に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートによって、識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、このように往路精査作動と逆方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、図12に太実線で示すように、搬送路41A〜41Eの対応するものを介して、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に収納する。
【0127】
他方、復路精査作動の識別部28による識別で、正常と識別されなかった紙幣を、図12に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、シャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。このときも、識別部28で正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0128】
復路精査作動開始後、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、復路精査作動、つまり往路精査作動と復路精査作動とからなる精査作動を終了する。そして、この精査作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している紙幣がなければ、前記一の精査対象庫についての自己精査処理を終了する。他方、取引口21に貯留している紙幣があれば、取引口21に貯留している紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を、図5に太実線から太破線で示すように、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図5に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に収納する、復路再収納作動の復路取引口出収納作動を行う。
【0129】
具体的に、復路取引口出収納作動では、繰出部21aが取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図5に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで搬送することになる。このとき、紙幣は、一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28で正常と識別された紙幣を、図5に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの前記一の精査対象庫に搬送する。これにより、上記と同様に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に正常と識別された紙幣を収納する。
【0130】
他方、識別部28で正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を、図5に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aで、復路取引口出収納作動開始時点では空の一時貯留部としての紙幣庫39に搬送し、紙幣庫39に貯留する。
【0131】
復路取引口出収納作動開始後、有無検知センサ21bが取引口21に残留する紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、復路取引口出収納作動を終了する。そして、この復路取引口出収納作動後の時点で、有無検知センサ39bが一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している復路収納不可紙幣の有無を検知する。紙幣庫39に貯留している復路収納不可紙幣がなければ、復路再収納作動を終了し、前記一の精査対象庫についての自己精査処理を終了する。他方、一時貯留部としての紙幣庫39に貯留している復路収納不可紙幣があれば、紙幣庫39に貯留している復路収納不可紙幣をすべて繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を、図4に太実線から太破線で示すように、取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を、図4に太実線で示すように、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に収納する、復路再収納作動の復路一時貯留部出収納作動を行う。
【0132】
具体的に、復路一時貯留部出収納作動では、繰出部39aが紙幣庫39の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけてすべて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図4に太実線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aから搬送路41Fを通り、再び搬送路41Aを通るルートで識別部28に搬送する。このとき、紙幣は、搬送路41Aを一端側から識別部28に進入して他端側に抜け出ることになり、この方向に移動する紙幣を識別部28が識別計数することになる。そして、識別部28の識別結果に基づいて、正常と識別された紙幣を、双方向搬送部51の搬送路41A〜41Eの対応するものによって紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に搬送する。これにより、上記と同様に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する前記一の精査対象庫に正常と識別された紙幣を収納する。
【0133】
他方、上記の識別部28による識別で、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を、図4に太実線から太破線で示すように、双方向搬送部51の搬送路41Aと、短絡搬送部としての搬送路41Gと、双方向搬送部51の搬送路41Fと、分岐搬送部としての搬送路41Lとを通り、再び双方向搬送部51の搬送路41Aを通るルートによって、復路一時貯留部出収納作動開始時点では空でシャッタ24が閉じられた状態の取引口21に搬送し貯留する。このときも、識別部28で正常と識別されずに搬送路41Fを通る紙幣を優先し、この紙幣が搬送路41Fを通る間は、紙幣庫39から識別部28に向けての紙幣の繰り出しは中断する。
【0134】
復路一時貯留部出収納作動開始後、有無検知センサ39bが紙幣庫39に紙幣がなくなったことを検知し、且つ図示略の搬送路センサが紙幣搬送路41に紙幣がなくなったことを検知すると、復路一時貯留部出収納作動を終了する。そして、この復路一時貯留部出収納作動後の時点で、有無検知センサ21bが取引口21に貯留している復路収納不可紙幣の有無を検知する。取引口21に貯留している復路収納不可紙幣がなければ、復路再収納作動を終了し、前記一の精査対象庫についての自己精査処理を終了する。他方、取引口21に貯留している復路収納不可紙幣があれば、図5に示すルートの上記した復路取引口出収納作動を行い、この復路取引口出収納作動後に紙幣庫39に貯留している復路収納不可紙幣があれば、図4に示す復路一時貯留部出収納作動を行い、以後、同様に、復路取引口出収納作動および復路一時貯留部出収納作動を交互に繰り返す。このように、自己精査処理の復路再収納作動では、紙幣庫35〜37および紙幣庫38に収納不可な復路収納不可紙幣がなくなるまで、言い換えれば、すべての紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38の対応する前記一の精査対象庫に収納するまで、復路取引口出収納作動および復路一時貯留部出収納作動を交互に繰り返し行うことになり、復路収納不可紙幣がなくなると、復路再収納作動を終了し、自己精査処理を終了する。
【0135】
以上の自己精査処理により、識別部28の計数結果と、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの自己精査処理を行った前記一の精査対象庫に収納された紙幣の枚数とが一致することになる。自己精査処理を、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数(全部も含む)について行う場合には、上記の往路精査作動、往路再貯留作動、復路精査作動および復路再収納作動を一連の作動として行う自己精査処理を、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの設定されたものを一の精査対象庫として、それぞれ個別に行うことになる。つまり、紙幣庫35〜37のうちの複数金種(全金種も含む)について自己精査処理を行う場合に、往路精査作動、往路再貯留作動、復路精査作動および復路再収納作動を一連の作動とし、この一連の作動を金種毎に行うようにする。
【0136】
以上に述べた第2実施形態に係る紙幣入出金機によれば、自己精査処理時に、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38を繰り出し元として紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路精査作動を行い、その後、正常と識別できずに取引口21に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38の繰り出し元のものに貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路取引口出貯留作動を行う。その後、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの繰り出し元のものに貯留している紙幣がある場合に限り、紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの繰り出し元のものから紙幣を再び繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路金種別環流部出貯留作動を行う。このように、往路取引口出貯留作動を行い、場合によりさらに往路金種別環流部出貯留作動を行うことにより、正常と識別されなかった紙幣を、正常と識別して一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する可能性が高まる。次に、一時貯留部としての紙幣庫39から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する復路精査作動を行い、その後、正常と識別できずに取引口21に貯留している紙幣がある場合に、この紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する復路取引口出収納作動と、一時貯留部としての紙幣庫39から紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納する復路一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う復路再収納作動を行い、復路収納不可紙幣がなくなると、この復路再収納作動を終了する。よって、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣を貯留するとともに一枚ずつに分離して繰り出す専用部が不要となる。また、自己精査処理時に正常と識別されなかった紙幣は、それ以前に一旦は正常と識別されて金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納された紙幣であることから、姿勢修正機構等の専用部がなくても、往路精査作動後に、往路取引口出貯留作動と往路金種別環流部出貯留作動とを行い、復路精査作動後に、復路取引口出収納作動と復路一時貯留部出収納作動とを交互に繰り返し行うことにより、正常と識別して一時貯留部としての紙幣庫39あるいは金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納することができる。したがって、一旦は正常と識別されて金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38に収納された紙幣を無駄に使用不可に収納することなく有効に使用することが、コストアップを抑制しつつ実現できる。
【0137】
また、往路精査作動、往路再貯留作動、復路精査作動および復路再収納作動を一連の作動とし、該一連の作動を、一の金種について行って終了すると、次の一の金種について行うというように、金種毎に行うことになるため、正常と識別されずに取引口21に一度に繰り出される紙幣の量を少なくできる。よって、取引口21の紙幣容量が少なくても対応できる。
【0138】
第2実施形態においても、金種別環流部の紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの複数(全部も含む)を精査対象庫として自己精査処理を行う場合に、紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの複数の精査対象庫に収納された紙幣の、それまでに制御部55に記憶されていたデータに基づく合計枚数が紙幣庫39の最大収納枚数以下であった場合に限り、上記のように個別に自己精査処理を行うのではなく、すべて一括して行うようにしても良い。つまり、上記した往路精査作動にかえて、金種別環流部としての紙幣庫35〜37および金種混合収納部としての紙幣庫38のうちの指定された全部の精査対象庫から順に紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に貯留する往路精査作動を行って、全部の精査対象庫を一旦空にする。その後、取引口21の紙幣を一時貯留部としての紙幣庫39に再貯留する上記と同様の往路再貯留作動を行う。このとき、往路取引口出貯留作動では、往路貯留不可紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの繰り出し元のいずれか一つに貯留し、往路金種別環流部出貯留作動では、この一つの紙幣庫から再度繰り出す。次に、紙幣庫39に貯留している紙幣を繰り出し識別部28で識別して、正常と識別されなかった紙幣を、シャッタ24が閉状態にある取引口21に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する精査対象庫に収納する復路精査作動を行う。その後、取引口21の紙幣を紙幣庫35〜37および紙幣庫38のうちの対応する精査対象庫に再収納する復路再収納作動を行う。
【符号の説明】
【0139】
11 紙幣入出金機
21 取引口
28 識別部
39 紙幣庫(一時貯留部)
35〜37 紙幣庫(金種別環流部)
55 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、
該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、
前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、
該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、
所定の金種および枚数の出金紙幣を出金する出金処理時に、前記金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記取引口へ繰り出して、該取引口に前記所定の金種および枚数の出金紙幣を繰り出す出金作動を行い、
該出金作動後に前記一時貯留部に貯留している紙幣がある場合に、前記取引口から紙幣が抜き取られていることを条件に、
前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動と、
前記取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する取引口出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、
前記収納不可紙幣がなくなると、前記再収納作動を終了することを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項2】
機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、
該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、
前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、
該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、
機外から前記取引口に投入され前記識別部で識別後に前記一時貯留部に一時貯留している紙幣を前記金種別環流部に収納する収納処理時に、前記一時貯留部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する収納作動を行い、
該収納作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、
該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する取引口出収納作動と、
前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、
前記収納不可紙幣がなくなると、前記再収納作動を終了することを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項3】
機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、
該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、
前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、
該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、
前記金種別環流部に収納している紙幣を、在り高検出のため前記一時貯留部に貯留した後に前記金種別環流部に戻す自己精査処理時に、前記金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留した後、前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する精査作動を行い、
該精査作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、
該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する取引口出収納作動と、
前記一時貯留部に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う再収納作動を行い、
前記収納不可紙幣がなくなると、前記再収納作動を終了することを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項4】
機外から投入された紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出すとともに、機内から繰り出された紙幣を集積して機外へ取り出し可能にする取引口と、
該取引口から繰り出された紙幣を識別する識別部と、
前記取引口から繰り出され前記識別部で正常と識別された紙幣を一時貯留するとともに、一時貯留している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す一時貯留部と、
該一時貯留部から繰り出された紙幣を金種別に収納するとともに、収納している紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す金種別環流部とを有し、
前記金種別環流部に収納している紙幣を、在り高検出のため前記一時貯留部に貯留した後に前記金種別環流部に戻す自己精査処理時に、前記金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留する往路精査作動を行い、
該往路精査作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、
該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を前記金種別環流部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留する往路取引口出貯留作動を行い、
該往路取引口出貯留作動後に前記金種別環流部に貯留している紙幣がある場合に限り、該金種別環流部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった往路貯留不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記一時貯留部に貯留する往路金種別環流部出貯留作動を行う、往路再貯留作動を行い、
その後、
前記一時貯留部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する復路精査作動を行い、
該復路精査作動後に前記取引口に貯留している紙幣がある場合に、
該取引口に貯留している紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を前記一時貯留部に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する復路取引口出収納作動と、
前記一時貯留部から紙幣を繰り出し前記識別部で識別して、正常と識別されなかった復路収納不可紙幣を前記取引口に貯留しつつ、正常と識別された紙幣を前記金種別環流部に収納する復路一時貯留部出収納作動とを、交互に繰り返し行う復路再収納作動を行い、
前記復路収納不可紙幣がなくなると、前記復路再収納作動を終了することを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項5】
前記精査作動および前記再収納作動を一連の作動とし、該一連の作動を金種毎に行うことを特徴とする請求項3記載の紙幣入出金機。
【請求項6】
前記精査作動を金種毎に複数金種について行い、その後、前記再収納作動を行うことを特徴とする請求項3記載の紙幣入出金機。
【請求項7】
前記精査作動を金種毎に複数金種について行っている最中に、前記取引口の紙幣が所定量に達した場合、その時点で前記精査作動を行っている金種の該精査作動が終了した時点で一旦、前記再収納作動を行い、その後、前記精査作動を行っていない残りの金種について前記精査作動を行うことを特徴とする請求項6記載の紙幣入出金機。
【請求項8】
前記往路精査作動、前記往路再貯留作動、前記復路精査作動および前記復路再収納作動を一連の作動とし、該一連の作動を金種毎に行うことを特徴とする請求項4記載の紙幣入出金機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−88858(P2013−88858A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225908(P2011−225908)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】