説明

紙葉類収納装置

【課題】紙葉類収納袋内で紙葉類の集積不良が生じることを抑制し、紙葉類収納袋に収納される紙葉類の収納量を増加させることができる紙葉類収納装置を提供する。
【解決手段】紙葉類収納装置20は、取込部21により機体内に取り込まれた紙葉類を収納するための収納部26であって、紙葉類を収納する紙葉類収納袋50が着脱自在に設置可能な収納部26と、収納部26に設置された紙葉類収納袋50内に紙葉類を押し込むための押込部40と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体内に取り込まれた紙葉類を紙葉類収納袋に収納する紙葉類収納装置に関し、とりわけ、紙葉類収納袋内で紙葉類の集積不良が生じることを抑制し、紙葉類収納袋に収納される紙葉類の収納量を増加させることができる紙葉類収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機体内に取り込まれた紙葉類を紙葉類収納袋に収納する紙葉類収納装置として様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1に開示される紙幣処理装置において、紙幣収納コンテナ内に紙幣収納袋(パウチ袋)をセットしておき、搬送手段により該コンテナ内に取り込まれた紙幣を自由落下により紙幣収納袋内に収納させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開公報EP0852279A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等に開示されるような従来の紙葉類収納装置では、収納袋への紙葉類の収納において、コンテナ内に搬送されてきた紙葉類を自由落下により収納袋内に収納させているだけなので、紙葉類が収納袋内で立位状態となってしまう等の集積不良が生じてしまい、収納袋の実際の容量よりも小枚数の紙葉類が収納袋に収納されるだけで収納袋における紙葉類の収納状態がフル状態であると検知されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、収納部に設置された紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むための押込部を設け、紙葉類収納袋内に紙葉類を収納させる取引毎に押込部により紙葉類収納袋内の紙葉類を圧縮させることで、紙葉類収納袋内で紙葉類の集積不良が生じることを抑制し、紙葉類収納袋に収納される紙葉類の収納量を増加させることができる紙葉類収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類収納装置は、紙葉類を機体内に取り込むための取込部と、前記取込部により機体内に取り込まれた紙葉類を収納するための収納部であって、紙葉類を収納する紙葉類収納袋が着脱自在に設置可能な収納部と、前記収納部に設置された前記紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むための押込部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような紙葉類収納装置によれば、収納部に設置された紙葉類収納袋に紙葉類を押し込むための押込部が設置されているため、紙葉類収納袋内に紙葉類を収納させる取引毎に押込部により紙葉類収納袋内の紙葉類を圧縮させることができるようになり、紙葉類収納袋内で紙葉類の集積不良が生じることを抑制することができるようになる。このため、紙葉類収納袋に収納される紙葉類の収納量を増加させることができる。
【0008】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記押込部は、紙葉類を下方に押圧することにより前記紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むようになっていてもよい。
【0009】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記紙葉類収納袋に収納された紙葉類が収納限界位置に到達したときにこのことを検知する収納状態検知部と、前記押込部を制御する制御部と、を更に備え、前記制御部は、前記紙葉類収納袋に収納された紙葉類が収納限界位置に到達したことが前記収納状態検知部により検知されたときに、前記押込部により紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込ませるよう前記押込部の制御を行うようになっていてもよい。
【0010】
この際に、前記制御部は、前記押込部により紙葉類が前記紙葉類収納袋内に押し込まれた後、依然として前記紙葉類収納袋に収納された紙葉類が収納限界位置に達していることが前記収納状態検知部により検知されたときには、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっていてもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断したときにおいて、前記押込部を再び制御して、前記押込部により紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させるようになっていてもよい。
【0012】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記押込部は、鉛直方向に伸縮自在の伸縮機構と、前記伸縮機構の先端に取り付けられた押込部材とを有し、前記伸縮機構が下方に伸張することによって、前記押込部材により紙葉類が前記紙葉類収納袋内に押し込まれるようになっていてもよい。
【0013】
この際に、前記押込部材は、前記伸縮機構が完全に伸張したときには前記収納部に設置された前記紙葉類収納袋の内部に入るようになっていてもよい。
【0014】
また、前記押込部における前記伸縮機構を制御する制御部を更に備え、前記伸縮機構には、当該伸縮機構の伸縮動作に連動して移動する被検知部材が取り付けられており、前記収納部には、前記被検知部材をそれぞれ検知する第1の伸縮機構検知部および第2の伸縮機構検知部が設けられており、前記第1の伸縮機構検知部は、前記伸縮機構が収縮した状態から下方に伸張する途中の状態における前記被検知部材を検知するようになっており、前記第2の伸縮機構検知部は、前記伸縮機構が完全に伸張した状態における前記被検知部材を検知するようになっており、前記制御部は、前記第1の伸縮機構検知部により前記被検知部材が検知されたが前記第2の伸縮機構検知部により前記被検知部材が検知されなかったときには、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっていてもよい。
【0015】
ここで、前記制御部は、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断したときにおいて、前記伸縮機構を再び制御して、当該伸縮機構を一旦収縮させてから再び伸張させることによって前記押込部材により紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させるようになっていてもよい。
【0016】
また、前記伸縮機構はパンタグラフ機構であってもよい。
【0017】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記収納部に設置される前記紙葉類収納袋の内面には、当該紙葉類収納袋内で斜め下方に向けて突出した突起部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紙葉類収納装置によれば、紙葉類収納袋内で紙葉類の集積不良が生じることを抑制し、紙葉類収納袋に収納される紙葉類の収納量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一の実施の形態における現金出納装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す現金出納装置における紙幣出納装置の内部構成を示す構成図である。
【図3】(a)は、図2に示す紙幣出納装置の収納部に設けられた紙幣収納袋収容箱および押込部の構成を示す構成図であって、押込部の伸縮機構が収縮した状態を示す図であり、(b)は、押込部の伸縮機構が収縮したときの被検知部材の位置を示す説明図である。
【図4】(a)は、図2に示す紙幣出納装置の収納部に設けられた紙幣収納袋収容箱および押込部の構成を示す構成図であって、押込部の伸縮機構が完全に伸張した状態を示す図であり、(b)は、押込部の伸縮機構が完全に伸張したときの被検知部材の位置を示す説明図である。
【図5】(a)は、図2に示す紙幣出納装置の収納部に設けられた紙幣収納袋収容箱および押込部の構成を示す構成図であって、紙幣収納袋にフル状態またはそれに近い状態で紙幣が収納されており、押込部材が紙幣収納袋内の紙幣に当接することによって伸縮機構が下方に完全に伸張することができなかったときの状態を示す図であり、(b)は、伸縮機構が下方に完全に伸張することができなかったときの被検知部材の位置を示す説明図である。
【図6】図3等に示す紙幣収納袋収容箱および収納状態検知センサの構成を示す上面図である。
【図7】図3等に示す押込部の伸縮機構を駆動する伸縮機構駆動部の構成を示す上面図である。
【図8】図2等に示す紙幣出納装置における制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一の実施の形態において、本発明に係る紙葉類収納装置として紙幣の処理を行う紙幣出納装置が用いられる場合について説明する。また本実施の形態では、紙幣出納装置および現金出納装置が組み合わせられた現金出納装置についても説明する。
【0021】
図1乃至図8は、本実施の形態に係る紙幣出納装置およびこの紙幣出納装置を備えた現金出納装置を示す図である。このうち、図1は、本発明の一の実施の形態における現金出納装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す現金出納装置における紙幣出納装置の内部構成を示す構成図である。また、図3乃至図7は、図2に示す紙幣出納装置に設けられた収納部の構成を示す図である。また、図2等に示す紙幣出納装置における制御ブロック図である。
【0022】
まず、図1を用いて現金出納装置10の構成について説明する。一般的に、スーパーマーケット等の店舗では、店員が顧客との間で実際にやりとりした現金を入出金するフロント領域と、フロント領域の現金や商品を管理するバックヤード領域とに区分けされており、フロント領域には一または複数の現金精算装置が設置されているとともに、バックヤード領域には図1に示すような現金出納装置10が設置されている。ここで、現金精算装置は、店員によって操作されるようになっており、店員と顧客との間の精算処理が当該現金精算装置によって行われる。例えば、現金精算装置は、顧客が支払った代金を入金したり、顧客へ支払う釣銭を出金したりするようになっている。また、現金出納装置10は、現金精算装置へ装填するための釣銭準備金を出金したり、現金精算装置から回収した売上金を入金したりするようになっている。そして、現金精算装置および現金出納装置10にそれぞれ着脱可能となっている現金搬送カセットにより、現金精算装置と現金出納装置10との間で現金の授受を行うようになっている。なお、現金搬送カセットは、現金精算装置や現金出納装置10から離脱しているときには当該現金搬送カセット内に収納された現金を取り出せないようになっている。
【0023】
図1に示すように、バックヤード領域に設置される現金出納装置10は、紙幣出納装置20および硬貨出納装置30を備えている。紙幣出納装置20は、フロント領域に設置された現金精算装置へ装填する紙幣を出金したり、現金精算装置から回収した紙幣を入金したりするようになっている。また、硬貨出納装置30は、フロント領域に設置された現金精算装置へ装填する硬貨を出金したり、現金精算装置から回収した硬貨を入金したりするようになっている。
【0024】
次に、図1および図2を用いて紙幣出納装置20の構成の概略について説明する。図1に示すように、紙幣出納装置20は、筐体20aと、入金部21と、出金部22と、操作表示部29とを備えており、入金部21には、紙幣受入ユニット21aが着脱自在に装着されている。ここで、紙幣受入ユニット21aは、紙幣出納装置20の外部から紙幣を受け入れて1枚ずつ筐体20a内に繰り出すようになっている。このような紙幣受入ユニット21aは、店員が紙幣出納装置20へ紙幣を手動で入金する場合に用いられるようになっている。なお、入金部21には、紙幣受入ユニット21aの代わりに、前述した現金搬送カセットを装着することができるようになっていてもよい。この場合には、現金搬送カセットが入金部21に装着されたときに、この現金搬送カセットの内部に設けられた繰出機構により現金搬送カセット内の紙幣が1枚ずつ筐体20a内に繰り出されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、紙幣出納装置20の筐体20a内には紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部23が設けられており、この搬送部23の端部23aに前述した入金部21が設けられている。そして、紙幣受入ユニット21aが入金部21に装着されたときに、当該紙幣受入ユニット21aから繰り出された紙幣は搬送部23の端部23aを介して当該搬送部23により搬送されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、搬送部23には識別部24が設けられており、この識別部24によって、搬送部23により搬送される紙幣の金種、正損、真偽等の識別を行うようになっている。
【0027】
また、筐体20a内において複数の収納繰出部25が設けられており、各収納繰出部25はそれぞれ搬送部23に接続されている。各収納繰出部25は、紙幣を金種別に収納するようになっている。より詳細には、識別部24による識別結果に基づいて、入金部21から搬送部23に繰り出された紙幣は当該搬送部23により各収納繰出部25に金種別に送られるようになっている。また、各収納繰出部25は、当該収納繰出部25に収納された紙幣を1枚ずつ搬送部23に繰り出すことができるようになっている。各収納繰出部25は、図2に示すような紙幣を1枚ずつ一対のテープ間に挟み込んだ状態で当該テープを紙幣とともに巻き取るテープリール式の収納繰出部であってもよく、あるいは、紙幣を積み重ねて収納するスタッカ式の収納繰出部(図示せず)であってもよい。
【0028】
また、筐体20a内には収納部(回収部)26が設けられており、この収納部26は、収納繰出部25に収納された紙幣を回収する際に用いられるようになっている。より具体的には、収納部26には、紙幣を収納する紙幣収納袋50(後述)が着脱自在に設置可能となっており、収納繰出部25から搬送部23を経て収納部26に送られた紙幣が紙幣収納袋50内に収納されるようになっている。また、各収納繰出部25に割り当てられていない金種の紙幣や、対応する金種の収納繰出部25がフル状態のために収納できないオーバーフロー紙幣も紙幣収納袋50内に収納されるようになっている。そして、収納部26から紙幣収納袋50を取り出すことにより、紙幣出納装置20から紙幣収納袋50ごと紙幣の回収を行うようになっている。このような収納部26の構成の詳細については後述する。
【0029】
また、図2に示すように、紙幣出納装置20には、機外リジェクト部27および機内リジェクト部28がそれぞれ設けられている。ここで、機外リジェクト部27には、入金部21により筐体20a内に取り込まれた紙幣のうち識別部24により正常な紙幣ではないと識別された紙幣がリジェクト紙幣として搬送部23から送られるようになっており、この機外リジェクト部27によりリジェクト紙幣を紙幣出納装置20の外部に投出するようになっている。一方、機内リジェクト部28には、紙幣出納装置20の外部に投出することのできないようなリジェクト紙幣が搬送部23から送られるようになっており、この機内リジェクト部28にリジェクト紙幣を収納するようになっている。そして、店員等の管理権限のない操作者は機内リジェクト部28内の紙幣を取り出すことはできないようになっている。
【0030】
操作表示部29は、現金出納装置10における紙幣や硬貨の収納状態等の様々な情報を表示するとともに、店員がデータを入力することができるように構成されている。操作表示部29は、例えばタッチパネル式のディスプレイ等から構成されている。なお、操作表示部29は、紙幣出納装置20または硬貨出納装置30のいずれか一方に設けられ、それらの両方の情報を表示するために共通に用いられるようになっている。
【0031】
次に、このような紙幣出納装置20における収納部26の構成の詳細について図3乃至図7を用いて説明する。
【0032】
本実施の形態による紙幣出納装置20では、前述のように、紙幣を収納する紙幣収納袋50が収納部26に着脱自在に設置可能となっており、搬送部23から収納部26に送られた紙幣は、この収納部26に設置された紙幣収納袋50内に収納されるようになっている。
【0033】
より詳細には、図3(a)〜図5(a)に示すように、収納部26は、紙幣収納袋50をその上部開口が開いた状態で収容する紙幣収納袋収容箱52を有している。また、収納部26における紙幣収納袋収容箱52の上方には紙幣取込機構48が設けられており、搬送部23から収納部26に送られた紙幣はこの紙幣取込機構48により1枚ずつ取り込まれて紙幣収納袋50内に自由落下により収納されるようになっている。また、収納部26には、紙幣収納袋収容箱52に設置された紙幣収納袋50内に紙幣を押し込むための押込部40が設けられている。このような押込部40は紙幣収納袋収容箱52の上方に設置されている。また、収納部26には、紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置(フル状態またはそれに近い状態)に到達したときにこのことを検知する収納状態検知センサ54が設けられている。
【0034】
以下、このような構成からなる収納部26の各構成要素の詳細について説明する。
【0035】
まず、紙幣収納袋50が設置される紙幣収納袋収容箱52の構成について図3乃至図6を用いて説明する。図3乃至図6に示すように、紙幣収納袋収容箱52は略直方体形状のものからなり、その上部が開口している。また、この紙幣収納袋収容箱52の上部外方には、紙幣収納袋収容箱52に設置された紙幣収納袋50における紙幣の収納状態を検知するための収納状態検知センサ54が設けられている。具体的には、図6に示すように、収納状態検知センサ54は発光部54aおよび受光部54bからなり、発光部54aから発せられた光が受光部54bにより受けられるようになっている。このような発光部54aおよび受光部54bからなる収納状態検知センサ54は2組設けられており、それぞれの発光部54aから発せられた光は図6に示すように互いに交差するようになっている。また、図6に示すように、紙幣収納袋収容箱52の側面には、発光部54aから発せられた光が通過するための開口52aが形成されている。
【0036】
紙幣収納袋収容箱52に設置される紙幣収納袋50は、例えば透明または半透明のビニル樹脂等から形成されている。なお、紙幣収納袋50に収納された紙幣が外部から見られないようにするために、紙幣収納袋50を黒色等の色付きのものとしてもよい。また、紙幣収納袋50の内面には帯電防止加工が施されている。また、紙幣収納袋50の底部にはマチが設けられており、このことにより紙幣収納袋50の紙幣収納量を増加させるようになっている。また、図3(a)等に示すように、紙幣収納袋50の内面には、当該紙幣収納袋50内で斜め下方に向けて突出した突起部50aが設けられている。このような突起部50aは紙幣収納袋50の上部開口の近傍における内面に形成されている。また、突起部50aは、収納状態検知センサ54の発光部54aから発せられる光の経路(図3(a)〜図5(a)において一点鎖線で表示)の下方に設けられている。このような突起部50aが設けられていることにより、紙幣収納袋50内に収納された紙幣のうち端にある紙幣が立位状態となってしまうことを防止することができ、このような立位状態となった紙幣が誤って収納状態検知センサ54により検知されてしまうことを未然に防止することができる。
【0037】
次に、紙幣収納袋収容箱52に収容された紙幣収納袋50内に紙幣を押し込むための押込部40の構成について説明する。このような押込部40は、鉛直方向に伸縮自在の伸縮機構44と、伸縮機構44の下端に取り付けられた押込部材42とを有している。押込部材42は例えば水平方向に延びる板状の底板を有している。また、伸縮機構44はパンタグラフ機構から構成されている。また、収納部26には天井部材46が設けられており、伸縮機構44の上端は天井部材46に接続されている。ここで、図3(a)は、伸縮機構44が収縮した状態を示し、図4(a)は、伸縮機構44が下方に完全に伸張した状態を示している。また、図5(a)は、紙幣収納袋50にフル状態またはそれに近い状態で紙幣が収納されており、押込部材42が紙幣収納袋50内の紙幣に当接することによって伸縮機構44が下方に完全に伸張することができなかったときの状態を示している。なお、図4(a)に示すように、伸縮機構44が完全に伸張したときには、押込部材42は紙幣収納袋50の内部に入るようになっている。このことにより、伸縮機構44が図3(a)に示すような収縮した状態から下方に伸張して図4(a)に示すような伸張した状態となると、紙幣収納袋50内の紙幣は押込部材42により下方に押し込まれるようになる。
【0038】
伸縮機構44の構成の詳細について以下に説明する。伸縮機構44の上端には第1ピン部材44aおよび第2ピン部材44bが設けられており、これらの第1ピン部材44aおよび第2ピン部材44bは天井部材46に接続されている。より詳細には、図7に示すように、第1ピン部材44aは、天井部材46に設けられた伸縮機構駆動部60の軸62に接続されており、この伸縮機構駆動部60により第1ピン部材44aは回転させられるようになっている。このような伸縮機構駆動部60の構成の詳細については後述する。また、天井部材46には水平方向に延びる細長い開口46aが設けられており、第2ピン部材44bはこの開口46a内に挿入されている。そして、第2ピン部材44bは開口46aの延びる方向に沿って水平方向に移動自在となっている。
【0039】
また、伸縮機構44の下端には第3ピン部材44cおよび第4ピン部材44dが設けられており、これらの第3ピン部材44cおよび第4ピン部材44dは押込部材42に接続されている。より詳細には、押込部材42には水平方向に延びる細長い開口42aが形成されており、第3ピン部材44cはこの開口42a内に挿入されている。そして、第3ピン部材44cは開口42aの延びる方向に沿って水平方向に移動自在となっている。一方、第4ピン部材44dは、押込部材42における所定の位置に回転可能なように接続されており、この第4ピン部材44dは押込部材42に対しては移動しないようになっている。
【0040】
また、図3(a)〜図5(a)に示すように、伸縮機構44は4つの棒状部材44e、44f、44g、44hを有しており、第1棒状部材44eおよび第2棒状部材44fは中央ピン部材44iにより互いに対して回動可能なように接続されており、第3棒状部材44gおよび第4棒状部材44hは中央ピン部材44jにより互いに対して回動可能なように接続されている。また、第1棒状部材44eの上端には第1ピン部材44aが設けられており、第2棒状部材44fの上端には第2ピン部材44bが設けられており、第3棒状部材44gの下端には第3ピン部材44cが設けられており、第4棒状部材44hの下端には第4ピン部材44dが設けられている。そして、第1棒状部材44eの下端および第4棒状部材44hの上端はピン部材により互いに回動可能なように接続されているとともに、第2棒状部材44fの下端および第3棒状部材44gの上端もピン部材により互いに回動可能なように接続されている。
【0041】
伸縮機構44が上述した構成からなることにより、図3(a)に示すような伸縮機構44が完全に収縮した状態において、第1ピン部材44aが図3(a)における時計回りの方向に回転すると、第2ピン部材44bが開口46a内で図3(a)における左方向に移動し、図4(a)に示すように伸縮機構44は天井部材46から下方に伸張するようになる。この際に、第3ピン部材44cも開口42a内で図3における左方向に移動する。一方、図4(a)に示すような伸縮機構44が完全に伸張した状態において、第1ピン部材44aが図4(a)における反時計回りの方向に回転すると、第2ピン部材44bが開口46a内で図4における右方向に移動し、図3(a)に示すように伸縮機構44は完全に収縮した状態となる。この際に、第3ピン部材44cも開口42a内で図4(a)における右方向に移動する。
【0042】
次に、このような伸縮機構44を駆動する伸縮機構駆動部60の構成について図7を用いて説明する。図3(a)等に示すように、このような伸縮機構駆動部60は天井部材46に設置されている。前述のように、第1ピン部材44aは、伸縮機構駆動部60の軸62に接続されており、この軸62により第1ピン部材44aは正逆両方向に回転させられるようになっている。また、図7に示すように、伸縮機構駆動部60は3つの歯車64、66、68を有している。ここで、軸62には第1歯車64が設けられており、この第1歯車64には第2歯車66が噛み合うようになっており、第2歯車66には第3歯車68が噛み合うようになっている。そして、第3歯車68は駆動モータ70に接続されており、この駆動モータ70により第3歯車68は正逆両方向に回転させられるようになっている。このようにして、駆動モータ70による回転駆動力が第1〜第3歯車64、66、68を介して軸62に伝達され、この軸62により伸縮機構44の第1ピン部材44aが正逆両方向に回転させられるようになっている。
【0043】
また、図7に示すように、第1歯車64には電磁クラッチ72が取り付けられており、軸62に対して所定のトルクを超える回転力が加えられた場合には、駆動モータ70がロックするか、または電磁クラッチ72と第1歯車64との間で滑りが生じるようになっている。このため、伸縮機構44が図3(a)に示すような収縮した状態から下方に伸張したときに、紙幣収納袋50にフル状態またはそれに近い状態で紙幣が収納されている場合には、伸縮機構44が完全に伸張する前に押込部材42は紙幣収納袋50に収納された紙幣に当接し、伸縮機構44がこれ以上下方に伸張することができないようになる(図5(a)参照)。この場合には、駆動モータ70の駆動力により軸62に対して所定のトルクを超える回転力が加えられるようになり、駆動モータ70がロックするか、または電磁クラッチ72と第1歯車64との間で滑りが生じるようになる。このようにして、駆動モータ70の駆動力が軸62に伝達されないようになる。また、押込部材42が紙幣収納袋50内に入った状態で停電が発生した場合には、後述する回転部材80に接続されたバネ(図示せず)の力により伸縮機構44が図3(a)に示すような収縮した状態となるよう軸62に力が加えられる。このことにより、紙幣収納袋50内に入っている押込部材42は紙幣収納袋50から上方に退避するようになる。
【0044】
また、図7に示すように、軸62における第1ピン部材44aが設けられた端部とは反対側の端部には、当該軸62を中心として回転する回転部材80が取り付けられている。この回転部材80は、軸62の回転と同期して、軸62を中心として正逆両方向に回転するようになっている。すなわち、回転部材80は、伸縮機構44の伸縮動作に連動して、軸62を中心として回転するようになっている。また、図3(b)〜図5(b)に示すように、回転部材80の先端には被検知部材82が取り付けられている。また、この回転部材80の近傍には第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86がそれぞれ位置固定で設けられており、これらの第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86により被検知部材82が検知されるようになっている。第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86はそれぞれ光センサから構成されている。
【0045】
図3(b)は、伸縮機構44が収縮した状態における回転部材80および被検知部材82の位置を示し、図4(b)は、伸縮機構44が下方に完全に伸張した状態における回転部材80および被検知部材82の位置を示している。また、図5(b)は、紙幣収納袋50にフル状態またはそれに近い状態で紙幣が収納されており、押込部材42が紙幣収納袋50内の紙幣に当接することによって伸縮機構44が下方に完全に伸張することができなかったときの状態における回転部材80および被検知部材82の位置を示している。
【0046】
図3(b)に示すように、伸縮機構44が収縮した状態では、第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86はそれぞれ被検知部材82を検知しないようになっている。また、図4(b)に示すように、伸縮機構44が完全に伸張した状態では、第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86はそれぞれ被検知部材82を検知するようになっている。また、図5(b)に示すように、押込部材42が紙幣収納袋50内の紙幣に当接することによって伸縮機構44が下方に完全に伸張することができなかったときの状態では、第1の伸縮機構検知センサ84は被検知部材82を検知するが第2の伸縮機構検知センサ86は被検知部材82を検知しないようになっている。このように、第1の伸縮機構検知センサ84は、伸縮機構44が収縮した状態から下方に伸張する途中の状態における被検知部材82を検知するようになっており、第2の伸縮機構検知センサ86は、伸縮機構44が完全に伸張した状態における被検知部材82を検知するようになっている。
【0047】
また、紙幣出納装置20には制御部90が設けられており、この制御部90により押込部40が制御されるようになっている。具体的には、制御部90は伸縮機構駆動部60の駆動モータ70に指令信号を送ることにより、押込部40の伸縮機構44の動作を制御するようになっている。図8は、紙幣出納装置20における制御ブロック図である。図8に示すように、制御部90は、伸縮機構駆動部60の駆動モータ70、収納状態検知センサ54、第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86にそれぞれ接続されている。そして、収納状態検知センサ54により、紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に到達したことが検知されたり、第1の伸縮機構検知センサ84や第2の伸縮機構検知センサ86により被検知部材82が検知されたりしたときには、検知信号がこれらの各センサ54、84、86から制御部90に送られるようになっている。そして、制御部90は、各センサ54、84、86から送られた検知信号に基づいて、伸縮機構駆動部60の駆動モータ70に指令信号を送るようになっている。
【0048】
具体的には、紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に到達したことが収納状態検知センサ54により検知されると、紙幣取込機構48による紙幣の取り込みが停止され、この際に、制御部90は、伸縮機構駆動部60の駆動モータ70に指令信号を送り、伸縮機構44を図3(a)に示す状態から下方に伸張させる。このことにより、伸縮機構44の下端に取り付けられた押込部材42により紙幣収納袋50内の紙幣が下方に押し込まれる。そして、押込部材42により紙幣収納袋50内の紙幣が下方に押し込まれた後、収納状態検知センサ54により紙幣が検知されなくなると、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースが形成されたとみなされ、紙幣取込機構48による紙幣の取り込みが再開され、紙幣収納袋50に紙幣が再び収納されるようになる。
【0049】
一方、押込部材42により紙幣収納袋50内の紙幣が下方に押し込まれた後、依然として紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に達していることが収納状態検知センサ54により検知されたときには、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断する。ここで、「紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達した」とは、紙幣をこれ以上紙幣収納袋50に収納することができないような状態のことをいう。なお、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断した場合でも、伸縮機構駆動部60の駆動モータ70に指令信号を再び送り、押込部材42により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させてもよい。押込部材42による1回の押し込み動作では紙幣収納袋50内に紙幣が十分に押し込まれず、収納状態検知センサ54により紙幣が検知されてしまうが、押込部材42による押し込み動作を繰り返し行うことにより紙幣収納袋50内で紙幣が十分に圧縮され、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースが形成される場合があるからである。
【0050】
また、制御部90は、図5(b)に示すように、第1の伸縮機構検知センサ84により被検知部材82が検知されたが第2の伸縮機構検知センサ86により被検知部材82が検知されなかったときには、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっている。すなわち、図5(a)に示すような伸縮機構44が完全に下方に伸張していない状態では、紙幣収納袋50にフル状態またはそれに近い状態で紙幣が収納されており、紙幣収納袋50内で押込部材42が紙幣に当接してしまいこれ以上紙幣を下方に押し込むことができないと考えられる。
【0051】
なお、この場合、制御部90は、上述のように紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断した後、伸縮機構44を再び制御して、当該伸縮機構44を一旦収縮させた後に再び伸張させることにより押込部材42により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませる動作を、1または複数回繰り返させるようになっていてもよい。押込部材42による1回の押し込み動作では紙幣収納袋50内に紙幣が十分に押し込まれず、紙幣収納袋50内で押込部材42が紙幣に当接してしまいこれ以上紙幣を下方に押し込むことができない場合でも、押込部材42による押し込み動作を繰り返し行うことにより紙幣収納袋50内で紙幣が十分に圧縮され、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースが形成される場合があるからである。
【0052】
次に、このような構成からなる紙幣出納装置20の収納部26における紙幣の収納動作について説明する。
【0053】
まず、操作者が手動で空の紙幣収納袋50を紙幣収納袋収容箱52内に設置する。紙幣収納袋50が紙幣収納袋収容箱52内に設置されると、搬送部23から収納部26に送られた紙幣を紙幣収納袋50内に収納させることができるようになる。具体的には、搬送部23から紙幣取込機構48に紙幣が1枚ずつ送られ、この紙幣取込機構48により紙幣が1枚ずつ取り込まれることにより、紙幣が自由落下により紙幣収納袋50内に収納される。この際に、押込部40の伸縮機構44は図3(a)に示すように収縮した状態となっており、押込部材42は紙幣収納袋50から上方に離間している。
【0054】
その後、紙幣収納袋50に十分に紙幣が収納され、当該紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に到達したことが収納状態検知センサ54により検知されると、紙幣取込機構48による紙幣の取り込みが停止される。この際に、制御部90は、伸縮機構駆動部60の駆動モータ70に指令信号を送り、伸縮機構44を図3(a)に示す状態から下方に伸張させる。このことにより、伸縮機構44の下端に取り付けられた押込部材42により紙幣収納袋50内の紙幣が下方に押し込まれる。このようにして、紙幣収納袋50内の紙幣を圧縮することにより、紙幣の収納スペースを形成するとともに、紙幣収納袋50内での紙幣の集積不良も解消することができる。そして、押込部材42により紙幣収納袋50内の紙幣が下方に押し込まれた後、収納状態検知センサ54により紙幣が検知されなくなると、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースが形成されたとみなされ、紙幣取込機構48による紙幣の取り込みが再開され、紙幣収納袋50に紙幣が再び収納されるようになる。
【0055】
なお、伸縮機構44が図3(a)に示す状態から下方に伸張し、図4(a)に示すような完全に伸張した状態になると、第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86はそれぞれ被検知部材82を検知するようになる(図4(b))。このときに、制御部90は、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースがまだ存在すると判断する。
【0056】
一方、押込部材42により紙幣収納袋50内の紙幣が下方に押し込まれた後、依然として紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に達していることが収納状態検知センサ54により検知されたときには、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断する。この場合には、制御部90は、図示しない報知部により操作者に対して紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達した旨の情報を表示または音声により報知する。具体的には、制御部90は、例えば、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達した旨の情報を操作表示部29に表示させる。なお、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断した場合でも、伸縮機構駆動部60の駆動モータ70に指令信号を再び送り、押込部材42により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させてもよい。押込部材42による押し込み動作を繰り返し行うことにより紙幣収納袋50内で紙幣が十分に圧縮され、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースが形成されたときには、収納状態検知センサ54により紙幣が検知されなくなり、紙幣取込機構48による紙幣の取り込みが再開され、紙幣収納袋50に紙幣が再び収納されるようになる。
【0057】
また、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したときには、紙幣収納袋50内で押込部材42が紙幣に当接してこれ以上紙幣を下方に押し込むことができなくなることにより、伸縮機構44が完全に伸張できなくなる(図5(a)参照)。このときには、第1の伸縮機構検知センサ84は被検知部材82を検知するが第2の伸縮機構検知センサ86は被検知部材82を検知しないようになる(図5(b))。この場合にも、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断し、図示しない報知部により操作者に対して紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達した旨の情報を表示または音声により報知する。
【0058】
なお、この場合、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断した後、伸縮機構44を再び制御して、当該伸縮機構44を一旦収縮させた後に再び伸張させることにより押込部材42により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませる動作を、1または複数回繰り返させてもよい。押込部材42による押し込み動作を繰り返し行うことにより紙幣収納袋50内で紙幣が十分に圧縮され、紙幣収納袋50内に紙幣の収納スペースが形成されたときには、収納状態検知センサ54により紙幣が検知されなくなり、紙幣取込機構48による紙幣の取り込みが再開され、紙幣収納袋50に紙幣が再び収納されるようになる。
【0059】
以上のように本実施の形態の紙幣出納装置20によれば、収納部26に設置された紙幣収納袋50に紙幣を押し込むための押込部40が設置されている。このことにより、紙幣収納袋50内に紙幣を収納させる取引毎に押込部40により紙幣収納袋50内の紙幣を圧縮させることができるようになり、紙幣収納袋50内で紙幣の集積不良が生じることを抑制することができるようになる。このため、紙幣収納袋50に収納される紙幣の収納量を増加させることができる。
【0060】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、押込部40は、紙幣を下方に押圧することにより紙幣収納袋50内に紙幣を押し込むようになっている。より詳細には、押込部40は、鉛直方向に伸縮自在の伸縮機構44と、伸縮機構44の先端に取り付けられた押込部材42とを有しており、伸縮機構44が下方に伸張することにより、押込部材42によって紙幣が紙幣収納袋50内に押し込まれるようになっている。ここで、伸縮機構44はパンタグラフ機構から構成されている。また、押込部材42は、伸縮機構44が完全に伸張したときには収納部26に設置された紙幣収納袋50の内部に入るようになっている。伸縮機構44が完全に伸張したときに押込部材42が紙幣収納袋50の内部に入ることにより、紙幣収納袋50内で紙幣を確実に圧縮することができる。
【0061】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に到達したときにこのことを検知する収納状態検知センサ54と、押込部40を制御する制御部90とがそれぞれ設けられている。そして、制御部90は、紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に到達したことが収納状態検知センサ54により検知されたときに、押込部40により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませるよう押込部40の制御を行うようになっている。ここで、制御部90は、押込部40により紙幣が紙幣収納袋50内に押し込まれた後、依然として紙幣収納袋50に収納された紙幣が収納限界位置に達していることが収納状態検知センサ54により検知されたときには、紙幣収納袋50内における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっている。また、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断したときにおいて、押込部40を再び制御して、当該押込部40により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させるようになっている。
【0062】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、制御部90は、押込部40における伸縮機構44を制御するようになっており、この伸縮機構44には、当該伸縮機構44の伸縮動作に連動して回転する回転部材80および被検知部材82が取り付けられている。また、収納部26には、被検知部材82をそれぞれ検知する第1の伸縮機構検知センサ84および第2の伸縮機構検知センサ86が設けられている。そして、第1の伸縮機構検知センサ84は、伸縮機構44が収縮した状態から下方に伸張する途中の状態における被検知部材82を検知するようになっており、第2の伸縮機構検知センサ86は、伸縮機構44が完全に伸張した状態における被検知部材82を検知するようになっている。制御部90は、第1の伸縮機構検知センサ84により被検知部材82が検知されたが第2の伸縮機構検知センサ86により被検知部材82が検知されなかったときには、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっている。また、制御部90は、紙幣収納袋50における紙幣の収納状態が収納限界に達したと判断したときにおいて、伸縮機構44を再び制御して、当該伸縮機構44を一旦収縮させてから再び伸張させることにより押込部材42により紙幣を紙幣収納袋50内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させるようになっている。
【0063】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、収納部26に設置される紙幣収納袋50には、当該紙幣収納袋50内で斜め下方に向けて突出した突出部50aが設けられている。このような突起部50aが設けられていることにより、紙幣収納袋50内に収納された紙幣のうち端にある紙幣が立位状態となってしまうことを防止することができ、このような立位状態となった紙幣が誤って収納状態検知センサ54により検知されてしまうことを未然に防止することができる。
【0064】
なお、本発明による紙葉類収納装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、本発明による紙葉類収納装置として、バックヤード領域に設けられる紙幣出納装置20に限定されることはない。また、本発明による紙葉類収納装置は、紙幣以外の紙葉類を収納するものであってもよい。この場合、紙葉類を収納する紙葉類収納袋が収納部に着脱自在に設置されるようになる。
【0065】
また、収納部に設置された紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むための押込部は、押込部材がパンタグラフ機構等の伸縮機構の先端に取り付けられたものに限定されることはない。紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むことができるような機構であれば、押込部材および伸縮機構からなるもの以外の機構を用いることもできる。
【符号の説明】
【0066】
10 現金出納装置
20 紙幣出納装置
20a 筐体
21 入金部
21a 紙幣受入ユニット
22 出金部
23 搬送部
23a 端部
24 識別部
25 収納繰出部
26 収納部
27 機外リジェクト部
28 機内リジェクト部
29 操作表示部
30 硬貨出納装置
40 押込部
42 押込部材
42a 開口
44 伸縮機構
44a 第1ピン部材
44b 第2ピン部材
44c 第3ピン部材
44d 第4ピン部材
44e 第1棒状部材
44f 第2棒状部材
44g 第3棒状部材
44h 第4棒状部材
44i 中央ピン部材
44j 中央ピン部材
46 天井部材
46a 開口
48 紙幣取込機構
50 紙幣収納袋
50a 突起部
52 紙幣収納袋収容箱
52a 開口
54 収納状態検知センサ
54a 発光部
54b 受光部
60 伸縮機構駆動部
62 軸
64 第1歯車
66 第2歯車
68 第3歯車
70 駆動モータ
72 電磁クラッチ
80 回転部材
82 被検知部材
84 第1の伸縮機構検知センサ
86 第2の伸縮機構検知センサ
90 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を機体内に取り込むための取込部と、
前記取込部により機体内に取り込まれた紙葉類を収納するための収納部であって、紙葉類を収納する紙葉類収納袋が着脱自在に設置可能な収納部と、
前記収納部に設置された前記紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むための押込部と、
を備えたことを特徴とする紙葉類収納装置。
【請求項2】
前記押込部は、紙葉類を下方に押圧することにより前記紙葉類収納袋内に紙葉類を押し込むようになっていることを特徴とする請求項1記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
前記紙葉類収納袋に収納された紙葉類が収納限界位置に到達したときにこのことを検知する収納状態検知部と、
前記押込部を制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記紙葉類収納袋に収納された紙葉類が収納限界位置に到達したことが前記収納状態検知部により検知されたときに、前記押込部により紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込ませるよう前記押込部の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記押込部により紙葉類が前記紙葉類収納袋内に押し込まれた後、依然として前記紙葉類収納袋に収納された紙葉類が収納限界位置に達していることが前記収納状態検知部により検知されたときには、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっていることを特徴とする請求項3記載の紙葉類収納装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断したときにおいて、前記押込部を再び制御して、前記押込部により紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させることを特徴とする請求項4記載の紙葉類収納装置。
【請求項6】
前記押込部は、鉛直方向に伸縮自在の伸縮機構と、前記伸縮機構の先端に取り付けられた押込部材とを有し、
前記伸縮機構が下方に伸張することによって、前記押込部材により紙葉類が前記紙葉類収納袋内に押し込まれるようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類収納装置。
【請求項7】
前記押込部材は、前記伸縮機構が完全に伸張したときには前記収納部に設置された前記紙葉類収納袋の内部に入るようになっていることを特徴とする請求項6記載の紙葉類収納装置。
【請求項8】
前記押込部における前記伸縮機構を制御する制御部を更に備え、
前記伸縮機構には、当該伸縮機構の伸縮動作に連動して移動する被検知部材が取り付けられており、
前記収納部には、前記被検知部材をそれぞれ検知する第1の伸縮機構検知部および第2の伸縮機構検知部が設けられており、
前記第1の伸縮機構検知部は、前記伸縮機構が収縮した状態から下方に伸張する途中の状態における前記被検知部材を検知するようになっており、前記第2の伸縮機構検知部は、前記伸縮機構が完全に伸張した状態における前記被検知部材を検知するようになっており、
前記制御部は、前記第1の伸縮機構検知部により前記被検知部材が検知されたが前記第2の伸縮機構検知部により前記被検知部材が検知されなかったときには、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断するようになっていることを特徴とする請求項6または7記載の紙葉類収納装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記紙葉類収納袋における紙葉類の収納状態が収納限界に達したと判断したときにおいて、前記伸縮機構を再び制御して、当該伸縮機構を一旦収縮させてから再び伸張させることによって前記押込部材により紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込ませる動作を1または複数回繰り返させることを特徴とする請求項8記載の紙葉類収納装置。
【請求項10】
前記伸縮機構はパンタグラフ機構であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項11】
前記収納部に設置される前記紙葉類収納袋の内面には、当該紙葉類収納袋内で斜め下方に向けて突出した突起部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174130(P2012−174130A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37403(P2011−37403)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】