説明

紙葉類識別装置

【課題】磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させることを課題とする。
【解決手段】紙葉類識別装置10では、紙葉類の投入が検知されていないことを条件に、励磁機構17aを通じて押さえローラ13の表面が基準磁気媒体の磁性パターンと同様となるように励磁し、このようにして励磁した押さえローラ13を紙葉類が磁気センサ14の検出面上を通過する速度と等しくなるように回転駆動させるとともに、かかる押さえローラ13が有する磁界(基準磁気媒体の磁性パターン)に起因して磁気センサ14によって検出されるセンサ出力(電圧値)が基準レベルになるようにセンサ出力の増幅率や後の演算の補正係数を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサのセンサ出力を増幅し、該増幅したセンサ出力に基づいて紙葉類を識別する紙葉類識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気センサを搭載した紙葉類識別装置においては、個々の感度ばらつきを補正するために、製造時に基準となる磁気インク濃度を持った媒体(基準磁気媒体)を用い、その媒体に対するセンサ出力がある基準の値になるように増幅度や後の演算の補正計数を合わせている。
【0003】
ところが、この増幅器の利得制御では、あくまで製造時に品質試験が行われた環境下における磁気センサ個々の感度ばらつきしか補正することができず、その後に環境温度の変化や品質劣化などにより生じた感度ばらつきは補正できない。また、機器の動作開始時にセンサが正常に機能する状態にあるのかを確認することができない。
【0004】
このことから、特許文献1には、磁気インク濃度を有する媒体等の外的要因がなくとも、磁気センサの機能状態や感度状態を評価するために、磁気センサと対向する位置に磁界や磁界の変化を発生させる磁界発生機構を設け、この磁界発生機構に発生させた磁界や磁界の変化に対するセンサ出力を補正する紙葉類識別装置が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−255276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紙葉類識別装置に搭載される磁気センサの近傍に磁界発生機構を配置しようとしても、磁気センサの近傍には紙葉類識別装置が元来有する機構、たとえば紙葉類のバタツキを抑えて磁気センサに押し付けるための押さえローラ等の機構が存在しており、磁気センサの近傍に磁界発生機構を配置することは困難であるため、磁界発生機構が磁気センサから離れた箇所に配置されることになる。
【0007】
このように、磁界発生機構が磁気センサから離れた箇所に配置されると、磁気センサの感度ばらつきを補正するのに必要な磁界強度を得るために多大な電流を磁界発生機構に供給せねばならず、かかる電流を供給する回路の規模が肥大化し、その回路のコストが増大するという問題がある。
【0008】
例えば、上記した特許文献1の例で言えば、磁気センサとは紙葉類の搬送路を挟んで対向する位置に磁界発生機構が配置されることになるが、そこには紙葉類を磁気センサに押し付ける押さえローラが元々配置されているため、この押さえローラを設けるスペース分について磁気センサからさらに離れた位置に磁界発生機構を配置せざるを得ず、大規模かつ高価な電流供給回路が不可欠となってしまう。
【0009】
このことから、感度調節用の磁界発生機構を配置するスペースに制約がある状況下で、いかにして磁気センサから近傍な位置に磁界発生機構を配置するかが極めて重要な課題となっている。
【0010】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、紙葉類識別装置に搭載される磁気センサに磁界発生機構を配置する場合に、磁気センサ近傍に磁界発生機構を配置し、もって磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させることができる紙葉類識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る紙葉類識別装置は、磁気センサのセンサ出力を増幅し、該増幅したセンサ出力に基づいて紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、前記磁気センサにより磁界もしくは磁界の変化が検出される検出面に対向して配置されるとともに、回転駆動することにより前記紙葉類を前記磁気センサに押圧する押さえローラと、前記紙葉類の投入が検知されていない場合に、前記押さえローラの表面の一部を励磁するように制御する励磁制御手段と、前記励磁制御手段によって励磁された押さえローラの表面の一部に起因する磁界もしくは磁界の変化に基づいて前記センサ出力の増幅率を補正する増幅率補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る紙葉類識別装置は、前記励磁制御手段によって励磁された押さえローラの表面を消磁するように制御する消磁制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る紙葉類識別装置は、基準となる磁気インク濃度を有する基準磁気媒体の磁性パターンを記憶する磁性パターン記憶手段をさらに備え、前記励磁制御手段は、前記磁性パターン記憶手段に記憶された磁性パターンにしたがって前記押さえローラの表面を励磁するように制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る紙葉類識別装置は、前記励磁制御手段は、当該紙葉類識別装置の電源のオン状態が検知された時、或いは前記紙葉類の投入が検知された時に、前記押さえローラの表面の一部を励磁するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、磁気センサにより磁界もしくは磁界の変化が検出される検出面に対向して配置されるとともに、回転駆動することにより前記紙葉類を前記磁気センサに押圧する押さえローラを内在し、紙葉類の投入が検知されていない場合に、押さえローラの表面の一部を励磁するように制御し、該励磁した押さえローラの表面の一部に起因する磁界もしくは磁界の変化に基づいてセンサ出力の増幅率を補正するように構成したので、磁気センサ近傍に感度調節用の磁性体を配置することができ、磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させることが可能な紙葉類識別装置が得られるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば、励磁した押さえローラの表面を消磁するように制御するように構成したので、紙葉類が有する磁界を検出する場合に押さえローラの磁気が悪影響を与えることを防止することが可能な紙葉類識別装置が得られるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明によれば、基準となる磁気インク濃度を有する基準磁気媒体の磁性パターンを記憶しておき、記憶しておいた磁性パターンにしたがって押さえローラの表面を励磁するように制御するように構成したので、出荷時のダミー試験と同等に細密な感度調節を行うことが可能な紙葉類識別装置が得られるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、当該紙葉類識別装置の電源のオン状態が検知された時、或いは紙葉類の投入が検知された時に、押さえローラの表面の一部を励磁するように制御するように構成したので、紙葉類識別装置の作動後に常に磁気センサの感度を適正な状態に調節したり、紙葉類の識別を行う場合に磁気センサの感度を常に適正な状態に調節したりすることが可能な紙葉類識別装置が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の添付図面を参照して、本発明に係る紙葉類識別装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る紙葉類識別装置を実施例1として説明した後に、本発明に含まれる他の実施例を実施例2として説明する。
【実施例1】
【0020】
以下の実施例1では、本実施例1に係る紙葉類識別装置の概要および特徴、この紙葉類識別装置の構成および処理の流れを順に説明する。
【0021】
[概要および特徴(実施例1)]
まず、本実施例1に係る紙葉類識別装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る紙葉類識別装置の概要および特徴を説明するための概念図である。同図に示すように、この紙葉類識別装置10は、磁気センサ14のセンサ出力を増幅し、該増幅したセンサ出力に基づいて紙葉類(例えば、紙幣やチケット)の真偽及び種別を識別することを概要とするものであり、銀行等の金融機関に設置されるATM、交通機関等の改札に設置される券売機、各種の物品を販売する自動販売機などの装置に搭載されている。
【0022】
ここで、本実施例1に係る紙葉類識別装置10は、紙葉類の投入を検知していない場合に、押さえローラ13の表面の一部を励磁するように制御し、該励磁した押さえローラ13の表面の一部に起因する磁界もしくは磁界の変化に基づいてセンサ出力の増幅率を補正する点に主たる特徴がある。
【0023】
すなわち、紙葉類識別装置に設けられる押さえローラ13は、紙葉類投入時に紙葉類が持つ磁界を磁気センサ14により正確に検出させるために、紙葉類を磁気センサ14に押圧するのが本来の用途であるが、本実施例1では、かかる押さえローラ13を一時的に励磁することで、感度調節用の磁性体として流用している。
【0024】
これを具体的に説明すると、紙葉類識別装置10では、励磁機構17aを通じて押さえローラ13の表面が基準磁気媒体の磁性パターン(図4参照)と同様となるように励磁し、このようにして励磁した押さえローラ13を紙葉類が磁気センサ14の検出面上を通過する速度と等しくなるように回転駆動させるとともに、かかる押さえローラ13が有する磁界(基準磁気媒体の磁性パターン)に起因して磁気センサ14によって検出されるセンサ出力(電圧値)が基準レベル(図5参照)になるようにセンサ出力の増幅率や後の演算の補正係数を補正する。
【0025】
このように、本来は紙葉類を押圧する部材として磁気センサ14近傍に配置される押さえローラ13を励磁し、該押さえローラ13が有する磁界(基準磁気媒体の磁性パターン)に起因して磁気センサ14によって検出されるセンサ出力に基づいてセンサ出力の増幅率を補正することで、磁気センサ14近傍に感度調節用の磁性体を配置することができるようにしている。
【0026】
したがって、本実施例1では、押さえローラ13を一時的に励磁することにより感度調節用の磁性体として流用することとしたので、磁気センサ14近傍に感度調節用の磁性体を配置することができ、磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させることが可能になる。
【0027】
さらに、本実施例1では、感度調節用の磁性体と磁気センサ14の距離と、実際に紙葉類が磁気センサ14に載置される距離とを略同一にすることができ、磁気センサ14の感度調節をより正確に行うことも可能になる。
【0028】
また、本実施例1に係る紙葉類識別装置10は、磁気センサ14の感度調節が終了した後には、磁化された押さえローラ13の表面を消磁機構部18aを通じて消磁することで、紙葉類が有する磁界を検出する場合に押さえローラ13の磁気が悪影響を与えることを防止するようにしている。
【0029】
[紙葉類識別装置の構成]
続いて、本実施例1に係る紙葉類識別装置の構成を説明する。図2は、実施例1に係る紙葉類識別装置10の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、この紙葉類識別装置10は、投入検知部11と、搬送機構部12と、押さえローラ13と、磁気センサ14と、増幅部15と、紙葉類識別部16と、励磁制御部17と、励磁機構部17aと、磁性パターン記憶部17bと、消磁制御部18と、消磁機構部18aと、補正部19と、基準レベル記憶部19aとを有する。
【0030】
投入検知部11は、赤外線センサ等により紙葉類の投入を検知する処理部である。また、搬送機構部12は、搬送ローラを回転駆動して磁気センサ14の検出面に紙葉類を誘導する機構部である。
【0031】
押さえローラ13は、磁気センサ14の検出面に対向して配置されるローラである。すなわち、紙葉類と磁気センサ14との距離が検出感度に大きく影響することから、紙葉類を磁気センサ14の検出面に近づけるために、押さえローラ13を回転駆動して紙葉類を磁気センサ14の検出面に押圧している。
【0032】
磁気センサ14は、磁気抵抗素子(MR)等により構成される磁気センサである。図3−1、図3−2及び図3−3に示すように、紙葉類もしくは磁化された押さえローラ13等の磁気を帯びた物体がMRの上面を通過する時には、MRに加わる磁界が変化しMRの抵抗値が変化するので、MRと抵抗Rとの接点の電圧が変化する。
【0033】
増幅部15は、磁気センサ14のセンサ出力を増幅する処理部であり、後述する補正部17を通じてセンサ出力の増幅率が制御される。
【0034】
紙葉類識別部16は、増幅部15によって出力されるセンサ出力に基づいて紙葉類の識別を行う処理部である。例えば、紙幣の識別を行う場合には、あらかじめ記憶しておいた紙幣金種ごとの基準磁気特性と、増幅部15によって継時的に出力されるセンサ出力から得られた磁気特性とを比較し、これら両者の類似度が所定値以上である紙幣が存在するか否かにより、紙幣の真偽及び金種を識別する。
【0035】
励磁制御部17は、投入検知部11により紙葉類の投入が検知されていない場合に、押さえローラ13の表面の一部を励磁するように制御する処理部である。具体的には、磁性パターン記憶部17bに記憶される基準磁気媒体(図4参照)と同一の磁性パターンになるように、励磁機構部17aに励磁電流を供給して押さえローラ13の表面を励磁させる。ここで、押さえローラ13の表面を基準磁気媒体と同様の磁性パターンに励磁することとしたのは、出荷時のダミー試験と同等に細密な感度調節を行うためである。
【0036】
消磁制御部18は、励磁制御部17によって励磁された押さえローラ13の表面を消磁するように制御する処理部である。具体的には、補正部19によりセンサ出力の増幅率が補正された後には、押さえローラ13の磁気が紙葉類の磁気検出を阻害するのを防止するために、押さえローラ13の表面を消磁機構部18aを通じて消磁する。
【0037】
補正部19は、励磁制御部17によって励磁された押さえローラ13の表面に起因する磁界もしくは磁界の変化に基づいてセンサ出力の増幅率を補正する処理部である。具体的には、図5に示すように、センサ出力(電圧値)のピークが基準レベル記憶部19aに記憶された基準レベルになるように増幅率を補正する。なお、本実施例1では、センサ出力の増幅率のみを補正する例を説明するが、後の演算に用いる補正係数をさらに補正するようにしてもかまわない。
【0038】
[処理の流れ]
次に、本実施例1に係る紙葉類識別装置の処理の流れを説明する。図6は、実施例1に係る増幅率補正処理の手順を示すフローチャートである。この増幅率補正処理は、当該紙葉類識別装置10の電源がオン状態になったことを契機に行われる処理である。
【0039】
同図に示すように、紙葉類識別装置10の電源がオン状態になると(ステップS601肯定)、押さえローラ13が回転駆動され(ステップS602)、励磁制御部17は、磁性パターン記憶部17bに記憶された基準磁気媒体の磁性パターンを読み出し(ステップS603)、この基準磁気媒体(図4参照)と同一の磁性パターンになるように、励磁機構部17aに励磁電流を供給して押さえローラ13の表面を励磁させる(ステップS604)。
【0040】
ここで、補正部19は、磁気センサ14が正常に機能しているか否か、すなわち磁界の変化を検出できているか否かを判定し、その結果、磁気センサ14が正常に機能している場合(ステップS605肯定)には、センサ出力(電圧値)が基準レベル記憶部19aに記憶された基準レベルになるように増幅率を補正する(ステップS606)。なお、磁気センサ14が正常に機能していない場合(ステップS605否定)には、異常を表す所定のランプを点灯させる等のエラー報知を行う(ステップS607)。
【0041】
その後、消磁制御部18によって押さえローラ13の表面が消磁機構部18aを通じて消磁されると(ステップS608)、紙葉類識別装置10は、押さえローラの回転を停止し(ステップS609)、処理を終了する。
【0042】
上述してきたように、本実施例1では、紙葉類の投入を検知していない場合に、押さえローラ13の表面の一部を励磁するように制御し、該励磁した押さえローラ13の表面の一部に起因する磁界もしくは磁界の変化に基づいてセンサ出力の増幅率を補正するように構成したので、磁気センサ14近傍に感度調節用の磁性体を配置することができ、磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させることが可能である。
【0043】
かかる電流の供給効率を図7を用いて具体的に説明する。図7は、磁気センサの検出距離特性を示す図である。例えば、特許文献1では、磁気センサ14と対向する位置に磁界発生機構を配置することから、少なくとも紙葉類の搬送幅(約2mm程度)以上離れた位置に磁界発生機構が配置されることになるが、本実施例1では、紙葉類を磁気センサ14に押圧する押さえローラ13を励磁するため、感度調節用の磁性体である押さえローラ13の表面と磁気センサ14の検出面との距離を極めて近くすることができる。
【0044】
そこで、たとえば特許文献1に係る磁界発生機構と磁気センサとの距離を2mm、本実施例1に係る押さえローラ13と磁気センサ14との距離を0.3mmとした時には、両者の磁界発生機構に同じ大きさの電流を流したとしても、本実施例1の方が磁気センサから30%以上も高い出力電圧を得ることができるので、その分について磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させることが可能である。
【0045】
また、本実施例1では、紙葉類識別装置10の電源がオン状態になったことを契機に押さえローラ13を励磁するように制御することとしたので、紙葉類識別装置10の作動後に常に磁気センサの感度を適正な状態に調節することができる。
【実施例2】
【0046】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0047】
例えば、上記した実施例1では、紙葉類識別装置10の電源がオン状態になったことを契機に押さえローラ13を励磁することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、投入検知部11により紙葉類の投入が検知された場合に押さえローラ13を励磁することで、紙葉類の識別を行う場合に磁気センサの感度を常に適正な状態に調節するようにしてもよい。
【0048】
また、上記した実施例1では、単一の押さえローラ13を用いる例を説明したが、複数の押さえローラ13が設けられている場合にはそれぞれの押さえローラ13を励磁するようにしてもよい。さらに、上記した実施例1では、押さえローラ13の形状が円筒状である例を説明したが、必ずしも円筒状である必要はなく、他の形状である場合にも同様に適用することができる。
【0049】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明に係る紙葉類識別装置は、磁界発生機構に対する電流の供給効率を向上させる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1に係る紙葉類識別装置の概要および特徴を説明するための概念図である。
【図2】実施例1に係る紙葉類識別装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3−1】磁気センサの具体構成を説明するための説明図である。
【図3−2】磁気センサの具体構成を説明するための説明図である。
【図3−3】磁気センサの具体構成を説明するための説明図である。
【図4】基準磁気媒体の一例を示す図である。
【図5】補正部の処理内容を説明するための説明図である。
【図6】実施例1に係る増幅率補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】磁気センサの検出距離特性を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
10 紙葉類識別装置
11 投入検知部
12 搬送機構部
13 押さえローラ
14 磁気センサ
15 増幅部
16 紙葉類識別部
17 励磁制御部
17a 励磁機構部
17b 磁性パターン記憶部
18 消磁制御部
18a 消磁機構部
19 補正部
19a 基準レベル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気センサのセンサ出力を増幅し、該増幅したセンサ出力に基づいて紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、
前記磁気センサにより磁界もしくは磁界の変化が検出される検出面に対向して配置されるとともに、回転駆動することにより前記紙葉類を前記磁気センサに押圧する押さえローラと、
前記紙葉類の投入が検知されていない場合に、前記押さえローラの表面の一部を励磁するように制御する励磁制御手段と、
前記励磁制御手段によって励磁された押さえローラの表面の一部に起因する磁界もしくは磁界の変化に基づいて前記センサ出力の増幅率を補正する増幅率補正手段と
を備えたことを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項2】
前記励磁制御手段によって励磁された押さえローラの表面を消磁するように制御する消磁制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類識別装置。
【請求項3】
基準となる磁気インク濃度を有する基準磁気媒体の磁性パターンを記憶する磁性パターン記憶手段をさらに備え、
前記励磁制御手段は、前記磁性パターン記憶手段に記憶された磁性パターンにしたがって前記押さえローラの表面を励磁するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の紙葉類識別装置。
【請求項4】
前記励磁制御手段は、当該紙葉類識別装置の電源のオン状態が検知された時、或いは前記紙葉類の投入が検知された時に、前記押さえローラの表面の一部を励磁するように制御することを特徴とする請求項1、2または3に記載の紙葉類識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−3563(P2009−3563A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161699(P2007−161699)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】