説明

紙製品の搬送及び陳列方法

【課題】搬送用ダンボールを不用とし、陳列の際に商品を載せ変える必要がなく、さらに搬送時の積載効率を維持し、梱包部材の再利用を図った紙製品の搬送及び陳列方法を提供する。
【解決手段】紙製品のパック品を複数個そのままパレット2上に積載して積載物20となし、アングル4を積載物の角部を覆いかつパレット面と垂直に立ち上がると共にアングル上端が少なくとも積載物のほぼ上面に位置するよう配置し、アングル及び積載物の側面部を再利用可能なバンド6で緊縛固定して1個の搬送物とし、上側の搬送物32のパレット下面が下側の搬送物30のアングル上端に当接するようにして搬送物を2段に重ね、複数の搬送物を大型トラックに積載して最終販売先へ直接搬送し、バンド及びアングルを取去って積載物を売場に直接陳列し、パレット、並びにバンド及びアングルを再利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ティッシュペーパー箱やトイレットロール等の紙製品の搬送及び陳列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパー箱やトイレットロール等の紙製品はそのままでは強度が低いため、又、搬送時にこれらが散逸しないよう、通常はダンボールに詰められてトラックで仲卸や販売先へ搬送されている。又、近年では、上記紙製品のパック品(例えば、ティッシュペーパーの個装箱を5箱束ねたもの)が販売されているが、これらのパック品の搬送にもダンボールが必要である。
【0003】
一方、搬送用のパレットが広く普及しており、パレット上に上記したダンボールや製品そのものを積載して搬送することも行われている(特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平3-289443号公報
【特許文献2】特開2000-118533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送用ダンボールを用いる場合、ダンボールの開梱作業や廃棄の手間が増えるという問題がある。又、上記した特許文献1、2記載の技術の場合、搬送用パレットに直接製品を積載するが、これらの製品は大判の板紙や印刷板であり、搬送中に製品がほどけて散逸する問題は比較的少ない。
一方、紙製品のパック品は軽量で比較的小型であるため、これを搬送用パレットに直接積載すると、搬送中に積荷が崩れて散逸し易い。又、搬送用パレットに紙製品を直接積載してトラックに積み込むと、パレットの厚みの分だけ無駄が生じ、積載効率を向上させることが難しく、搬送コストが上昇する。さらに、紙製品の強度が弱いため、製品を積載した搬送用パレットを2段以上積み上げることができず、この点でも積載効率が低下する。
さらに、近年の環境負荷低減の要求から、使い捨て型の梱包部材(例えばシュリンクフィルム)の使用を抑え、梱包部材の再利用を図りつつ、梱包及び荷ほどきの作業負担の軽減も必要となる。
すなわち、本発明は、搬送用ダンボールを不用とし、陳列の際に商品を載せ変える必要がなく、さらに搬送時の積載効率を維持し、梱包部材の再利用を図った紙製品の搬送及び陳列方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の紙製品の搬送及び陳列方法は、紙製品のパック品を複数個そのままパレット上に積載して積載物となし、L字形のアングルを前記積載物の角部を覆いかつ前記パレット面と垂直に立ち上がると共に前記アングル上端が少なくとも前記積載物のほぼ上面に位置するよう配置し、前記アングル及び前記積載物の側面部を再利用可能なバンドで緊縛固定して1個の搬送物とし、上側の前記搬送物のパレット下面が下側の前記搬送物のアングル上端に当接するようにして前記搬送物を2段に重ねた状態で、複数の前記搬送物を大型トラックに積載して前記紙製品の製造元から最終販売先へ直接搬送し、前記最終販売先で、前記バンド及び前記アングルを取去り、前記積載物を売場に直接陳列し、前記パレット、並びに前記取り去ったバンド及びアングルを再利用する。
このような構成とすると、売場での陳列時に商品を積み替えたり、搬送用ダンボールを開梱する作業を不要とする。又、上側の搬送物の荷重が下側の搬送物のアングルで支持され、積載物に荷重が加わることがないので、強度の弱い紙製品であってもパレットに直接積載して2段積みすることができ、トラックの積載効率を維持することができる。
【0007】
前記アングルが前記パレットの側面を覆い、かつ前記アングルの下端が前記パレットの下面とほぼ面一になるよう配置することが好ましい。
このような構成とすると、荷台の面に直接アングルの下端が当接し、上側の搬送物の荷重を荷台の面に伝えるので、上側の搬送物を確実に支えることができる。
【0008】
前記パレットの縦横寸法を、前記パック品を所定の配置で複数個隙間なく載置したときの寸法と等しくし、かつ当該パレットを用いた前記搬送物を前記大型トラックの荷台に積載した際の荷台容積に対する積載効率を75%以上とすることが好ましい。
このような構成とすると、パレットの縦横寸法を積載物の大きさとほぼ等しくして、パレットと積載物との間の無駄な隙間をなくし、さらに、この寸法のパレットを用いた搬送物をトラックの荷台に積載した際の積載効率が従来のダンボールを用いた場合に比べて大きく劣ることがない。特に、本発明においてはパレットの厚みの分だけ積載効率が低下する傾向にあるので、パレット寸法を最適化することが有効となる。
【0009】
一端が開口し、前記開口からアングル及び前記バンドを個々に収容するための区画が設けられている回収箱を用い、前記搬送物から取去った前記バンド及び前記アングルを収容することが好ましい。
このような構成とすると、アングル及びバンドを再利用する際にこれらが紛失するのを防止する。
【0010】
前記バンドの表面に、前記パック品の商品名を表示する表示部を設けることが好ましい。
このような構成とすると、比較的大型となる搬送物に対応して、搬送物の側面を巻回するバンドも比較的大きくなるため、バンドの表面の表示部が目立ち、宣伝広告効果が大きくなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、紙製品のパック品の搬送の際に搬送用ダンボールを不用とし、陳列の際に商品を載せ変える必要がなく、さらに搬送時の積載効率を維持し、梱包部材の再利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る紙製品の搬送及び陳列方法において、(搬送用)パレット2上に紙製品のパック品(積載物)20を積載した状態を示す。この実施形態では紙製品のパック品20はティッシュペーパーの個装箱5箱をフィルムで束ねてまとめたもの(5個組ティッシュボックス)である。又、パック品はパレット10の左右方向に5個、奥行き方向に3個の割合で積載されている。
積載物20の側面の4隅には、それぞれL字形のアングル4が角部を覆うように配置され、アングル4の長手方向がパレット2面と垂直に立ち上がっている。
又、再利用可能な帯状バンド6がアングル4及び積載物20の側面部に巻回され、これらを緊縛固定して1個の搬送物としている。
【0013】
そして、この状態でパック品の製造元からフォークリフト等で大型トラック(通常、11トントラック)に搬送物が積載され、仲卸を通さずに最終販売先(例えば、スーパーマーケット、ホームセンター)へ直接搬送することにより、流通コストの低減が図られる。
最終販売先では、バンド6及びアングル4を取去り、積載物20がパレット2に積載した状態のまま売場に直接陳列し、販売を行う。これにより、売場での陳列時に商品を積み替えたり、搬送用ダンボールを開梱する作業を不要とする。
パレット2、並びにバンド6及びアングル4は適宜回収されて製造元へ戻され、次のパック品の搬送に再利用される。
【0014】
パレット2としては、軽量化の点から、ダンボール製の2つの平板の間に紙管を介装し、フォークリフトの爪を入れるための間隙を形成したものを用いることができる。
アングル4としては、紙製のものを用いることができる。
【0015】
バンド6としては合成樹脂シート、布等を用いることができ、バンドの長さを例えば面ファスナー等によって調整可能にしてもよい。又、バンド6としてゴム紐を織り込んだシートを用い、伸縮可能に構成してもよい。さらに、バンド6の緊縛を行ったりこれを解除する作業を容易にするため、バンド6を面ファスナー等によって固定してもよい。
又、搬送物1個当たりに用いるバンドの枚数は1枚以上であれば特に制限されないが、図1に示すように、搬送物の下側と上側にそれぞれ1枚ずつのバンドを巻回する、荷崩れを防止する効果が大きくなると共に、搬送物の高さが変化してもこれに対応することができる。例えば、搬送物の高さと同等の幅を持つバンドを用いてもよいが、搬送物の大きさが変化した場合に、バンドの幅方向に余長部が生じることがあるからである。
【0016】
図2は、搬送用の上記大型トラックの荷台に、2つの搬送物30、32を2段に重ねて積載する態様を示す。この図において、アングル上端が積載物20の上面S1とほぼ面一になっていて、上側の搬送物32のパレット下面が下側の搬送物30の積載物20とアングル上端とに当接するようにして各搬送物が積層される。
これにより、上側の搬送物32の荷重が下側の搬送物30の積載物とアングルで支持され、積載物20のみに荷重が加わることがないので、強度の弱い紙製品であってもパレットに直接積載して2段積みすることができ、トラックの積載効率を維持することができる。
なお、アングル上端を積載物20の上面より若干低く(数mm程度)した場合、上側の搬送物32を積層した際、紙製品である積載物20がわずかに変形して縮み、上側の搬送物32がアングル上端に当接した時点で積載物20の変形が止まる。従って、このようにアングルを配置しても積載物20が壊れることがないので問題はない。
又、アングル上端を積載物20上面S2から数mm程度突出させると、上側の搬送物32のパレット下面が下側の搬送物30のアングル上端に当接し、アングルのみで支持される。この場合、積載物20に荷重が加わることがなく商品保護の点では好ましいが、2段積みの際の安定性が若干劣る。従って、商品保護と安定性の点からは、アングル上端を積載物20の上面とほぼ面一にするのが最も好ましい。
好ましくは、アングル4がパレット2の側面を覆い、かつアングル4の下端がパレット2の下面とほぼ面一になるよう配置する。このようにすると、荷台の面に直接アングル4の下端が当接し、上側の搬送物32の荷重を荷台の面に伝えるので、上側の搬送物32を確実に支えることができる。
【0017】
図3~図5は、パレットの縦横寸法を種々に変えたときの11トントラックの荷台への積載効率を求めた結果を示す。なお各図の数字はmmを示す。
図3は、従来の汎用パレットを用い、荷崩れ防止のため積載物をシュリンクフィルムで金僕した従来例を示す。この汎用パレットの場合、縦横寸法を最適化していない。図3において、パック品20として5個組ティッシュボックスを用い、個装箱を横に10個、縦に4個、上に4段の割合で、隙間なく積み上げた場合(図3(b))、パレットの寸法は、横1200mm、縦1000mmとなる。このとき、トラック荷台(長さ9600mm、幅2350mm)に各パレットを積載した状態の上面配置図を図3(a)に示す。各パレットは図3(a)の紙面に垂直な方向に2段積みされている。
図3(a)の配置の場合、荷台の幅方向に350mmの隙間が生じ、荷台容積に対する積載効率(=(積載したパック品の合計容積)/(荷台容積))の絶対値は68%となる。
なお、パレットを用いずに、従来の搬送用ダンボールを用いた場合の荷台容積に対する積載効率は約90%である。
【0018】
図4、5は、縦横寸法を最適化したパレットを用いた本発明例である。
ティッシュ個装箱を横に4個、縦に4個、上に10段積み上げた場合(図4(b))、パレットの寸法を、横1020mm、縦980mmに設定する。このとき、トラック荷台へのパレットの上面配置図を図4(a)に示すが、荷台の幅方向に生じる隙間は310mmに減少し、荷台容積に対する積載効率は76%に向上する。
又、ティッシュ個装箱を横に5個、縦に4個、上に10段積み上げた場合(図5(b))、パレットの寸法を、横1240mm、縦1040mmに設定する。このとき、トラック荷台へのパレットの上面配置図を図5(a)に示すが、荷台の幅方向に生じる隙間は70mmに減少し、荷台容積に対する積載効率は85%に向上する。
【0019】
以上のように、パック品を積載物の大きさを変えると、トラック荷台への積載効率が大きく変化する。従って、積載物の積み方を決めたあと、1)パレットの縦横寸法を積載物の大きさとほぼ等しくして、パレットと積載物との間の無駄な隙間をなくすことが好ましい。さらに、2)この寸法のパレットを用いた搬送物をトラックの荷台に積載した際の荷台容積に対する積載効率を75%以上とすると、搬送コストが従来のダンボールを用いた場合に比べて大きく劣ることがない。
ここで、積載効率を高めるためのパレット寸法(=積載物の大きさ)を求めるには、積載物として積み上げるパック品の詰め数を試行錯誤して調整し、積載効率が高くなるように計算を繰り返す。この計算は、例えば所定の計算式を設定して求めてもよい。
【0020】
なお、積載効率をさらに向上させるためには、パレットの厚みによる無駄な空間をなくすため、パレット厚み(図2のt)を100mm以下とすることが好ましい。
又、本発明においては、紙製品の製造元から仲卸を通さずに直接販売先へ搬送物を搬送する。このため、搬送コストを抑えるためには、大型トラック(11トントラック)を用いることが好ましく、上記したパレットの寸法も11トントラックの荷台に対応して最適化することが好ましい。
【0021】
パレット、並びにバンド及びアングルを再利用する際、回収箱を用いると、これらの紛失を防止できるので好ましい。
図6は回収箱の構成の一例を示す。この図において、回収箱30は一端が開口し、開口34からアングル4及びバンド6を個々に収容するための区画が設けられると共に、開口34を覆う蓋32を有する。この区画としては、格子状、板にアングルを通す孔を複数個設けたものが挙げられる。又、バンド6を区画内に収容する際は、バンド6を巻いて細長い筒状にすればよい。
そして、最終販売先で、回収箱にアングル及びバンドを収容した後、パレットと共にトラックで製造元へ戻し、再利用することができる。
【0022】
なお、本発明において、図3〜5に示したように、搬送物の縦、横、高さ寸法はそれぞれ1000mm程度とかなり大きい。従って、搬送物の側面を巻回するバンドも比較的大きいため、バンドの表面にパック品の商品名を表示する表示部を設けると、宣伝広告効果が大きくなる。例えば、図1の場合、パック品の商品名(kleenex(登録商標))がバンド表面に大きく表示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】パレット上に紙製品のパック品を積載した状態を示す図である。
【図2】2つの搬送物30、32を2段に重ねて積載する態様を示す図である。
【図3】従来のパレットを用いたときのトラックの荷台への積載効率を示す図である。
【図4】パレットの縦横寸法を種々に変えたときのトラックの荷台への積載効率を示す図である。
【図5】パレットの縦横寸法を種々に変えたときのトラックの荷台への積載効率を示す別の図である。
【図6】回収箱の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
2 パレット
4 アングル
6 バンド
20 紙製品のパック品(積載物)
30 下側の搬送物
32 上側の搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製品のパック品を複数個そのままパレット上に積載して積載物となし、L字形のアングルを前記積載物の角部を覆いかつ前記パレット面と垂直に立ち上がると共に前記アングル上端が少なくとも前記積載物のほぼ上面に位置するよう配置し、前記アングル及び前記積載物の側面部を再利用可能なバンドで緊縛固定して1個の搬送物とし、
上側の前記搬送物のパレット下面が下側の前記搬送物のアングル上端に当接するようにして前記搬送物を2段に重ねた状態で、複数の前記搬送物を大型トラックに積載して前記紙製品の製造元から最終販売先へ直接搬送し、
前記最終販売先で、前記バンド及び前記アングルを取去り、前記積載物を売場に直接陳列し、
前記パレット、並びに前記取り去ったバンド及びアングルを再利用する紙製品の搬送及び陳列方法。
【請求項2】
前記アングルが前記パレットの側面を覆い、かつ前記アングルの下端が前記パレットの下面とほぼ面一になるよう配置する請求項1記載の紙製品の搬送及び陳列方法。
【請求項3】
前記パレットの縦横寸法を、前記パック品を所定の配置で複数個隙間なく載置したときの寸法と等しくし、かつ当該パレットを用いた前記搬送物を前記大型トラックの荷台に積載した際の荷台容積に対する積載効率を75%以上とする請求項1又は2記載の紙製品の搬送及び陳列方法。
【請求項4】
一端が開口し、前記開口からアングル及び前記バンドを個々に収容するための区画が設けられている回収箱を用い、前記搬送物から取去った前記バンド及び前記アングルを収容する請求項1ないし3のいずれか記載の紙製品の搬送及び陳列方法。
【請求項5】
前記バンドの表面に、前記パック品の商品名を表示する表示部を設けた請求項1ないし4のいずれか記載の紙製品の搬送及び陳列方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−189369(P2008−189369A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27495(P2007−27495)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【Fターム(参考)】