説明

紙製品を加工するための方法

紙製品を処理するための方法であって、該方法は、実質的にすべてのリグニンが可溶化されるような濃度とpHにて水溶液中にリグニンを含む混合物を提供することと、紙製品をカチオンポリマーで処理し、次いでリグニン混合物で紙製品を処理することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品を処理して材料に耐水性及び/又は耐油性のバリアを提供する方法及びその方法で処理された紙製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、紙包装製品を特に参照して記載する。しかしながら、本発明の方法を使用して耐水性及び/又は耐油性のバリアを提供できるように望ましい紙製品を処理してもよいことが十分に理解される。
【0003】
本明細書では、用語「紙製品」は、セルロースパルプから形成される又はさもなければそれに由来するいかなる材料も含む。そのような材料には、紙、ボール紙、厚紙、段ボール、再利用紙製品などが挙げられる。
【0004】
紙製品を被覆又は積層して水分耐性及び/又は油とグリースに耐性のバリアを提供することは周知である。蝋は一般に使用される紙の被膜である。蝋紙は再利用することができず、使用済みの蝋紙は、埋め立てゴミ又は焼却ゴミのいずれかである。これらの選択肢は環境的に受け入れ難い。
【0005】
紙製品はまた、ポリエチレンやポリプロピレンのようなプラスチック膜で積層される。これらの材料の再利用には、紙からプラスチックの積層物を分離することが求められる。分離されたプラスチックの廃棄又は再利用という更なる負担とともに、これが再利用のコストに加わる。さらに紙再利用の事業がすべてこの種の施設を有しているわけではないので、かなりの比率ラミネート紙製品は再利用されない。
【0006】
被膜を再利用することができる、蝋を塗った被膜及び/又はプラスチックの積層物の代替物を提供できることが明らかに望ましい。
リグニンは、セルロース及び多糖類と共に木質植物の細胞壁の主成分である。
【0007】
エーテル結合及び炭素−炭素結合で互いに連結されたフェニルプロパン(すなわち、C)繰り返し単位は、リグニンの組成の大半を構成するということは認められている見解である。
【0008】
【化1】

【0009】
フェニルプロパン(C単位)
木質植物は、酵素的脱水素化で開始する遊離ラジカルの架橋プロセスによってトランス
−p−クマリルアルコールと、トランス−コニフェリルアルコールと、トランス−シナピルアルコールからリグニンを合成する。芳香族環及び芳香族置換基を含有するフェニルプロパンの一部はそれぞれ、p−ヒドロキシフェニル(H)、グアイアシル(G)、及びシリングイル(S)と呼ばれる。
【0010】
【化2】

【0011】
リグニン前駆体(すなわち、オリゴノール)
各部類の植物、草本、軟木及び硬木は、1種のフェニルプロパン繰り返し単位が豊富なリグニンを作り出す。甘蔗バガスのリグニン(本発明で使用される好ましいタイプのリグニン)は、草本のリグニンであり、軟木及び硬木よりも高い比率のp−ヒドロキシフェニルリグニン基及び低いメトキシ含量(すなわち、芳香族基の空のオルソ位及びパラ位)を有する。
【0012】
溶液中のセルロース繊維へのリグニンの吸収が検討されている。改善された耐水性を有する紙製品は、製品を形成するのに先立ってカチオンデンプンとコロイド状のリグニンを順次パルプに加えることによって得ることができることが認められた。カチオンデンプンの使用は、普通の状況下でリグニンがそれに結合するのを妨げる繊維表面上の負の電荷を打ち消す。
【0013】
その耐水性を改善するために、形成された紙製品を処理できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、その耐水性及び/又は耐油性の特性を改善できるように紙材料を処理するためのリグニンの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の幅広い形態によれば、紙製品を処理する方法が提供され、該方法は、少なくとも約8のpHを有し、少なくとも一部可溶性のリグニンを含む水性リグニン混合物を提供することと、該混合物を紙製品に塗布することを含む。
【0016】
浸漬、浸すこと、噴霧、回転、塗装などを含むいかなる好適な方法で紙製品を処理してもよい。
本発明のさらなる幅広い形態によれば、紙製品を処理する方法が提供され、該方法は、実質的にすべてのリグニンが可溶化されるような濃度とpHにて水溶液中にリグニンを含む混合物を提供することと、紙製品をカチオンポリマーで処理し、次いでリグニン混合物で紙製品を処理することを含む。
【0017】
カチオンデンプンとリグニンについての2つの処理工程は同一であってもよく、又は異なっていてもよい。
本発明者らは、形成された紙製品をカチオンデンプン、次いでコロイド状リグニンで処理すると、接触角が対照より実際に小さくなる、又は言い換えれば、濡れ性が実際に高まることを認めた。これは、上記で議論した初期の仕事の期待に反している。理論に束縛されることを望まないで、本発明者らは、コロイド状のリグニン粒子がセルロース繊維の表面に結合し、結合していないセルロース表面が荷電した親水性の表面を提示するので、正味の効果は親水性であると考えている。驚くべきことに、且つ予期に反して、本発明者らは、ほとんどのリグニンを確実に可溶型にすることによって紙製品の表面の濡れ性耐性及び又は耐油性が改善される可能性があることを発見した。理論に束縛されることを望まないで、可溶性のリグニンはセルロース繊維の細孔に吸収されることが可能であると考えられる。
【0018】
リグニンは水に不溶であるが、高いpHで可溶である。リグニンは高いpHで負の電荷を持つ。水性のリグニン混合物は、可溶型及び/又はコロイド形態でのリグニンを含有してもよく、可溶型はさらに高いpHで優勢である。リグニンが完全に可溶性になるpHは、多数の因子、たとえば、リグニンのタイプ(その供給源及び抽出手段)、濃度及び温度に依存する。リグニンが可溶型であるか、コロイド形態であるかどうかを評価する方法は、当業者に既知である。そのような方法には、走査電子顕微鏡を用いて相境界の存在を決定することが挙げられる。相境界の非存在は、可溶性のリグニンのみの存在を示す。別の方法では単に溶液を濾過し、残留物が残っていれば、量を突き止める。
【0019】
用語「実質的にリグニンのすべてを可溶化する」は、リグニンの少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%のリグニン、最も好ましくは100重量%に近いリグニンが可溶型であることを意味する。
【0020】
リグニン溶液の典型的なpHは約9より上である。好ましい範囲は、約9.5〜約11の間である。典型的なリグニンの濃度は、約0.02g/L−1〜約20g/L−1の間、好ましくは約0.02g/L−1〜約2g/L−1の間である。
【0021】
リグニンは好ましくはアンモニウム溶液に溶解される。アンモニウム溶液を使用する利点は、乾燥中及び/又は硬化中にアンモニアが揮発することである。
カチオンポリマーは、塩化トリメチルアミノエチルアクリレート(TMASEAC)及び塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)のホモポリマー、TMASEA−アクリルアミドのコポリマーを含む好適なポリマーであってもよい。好ましいポリマーは通常10%〜30%の加水分解度を有するカチオンデンプンである。通常、カチオンのポリ電解質は、約100ppm〜約200ppmの間、好ましくは約200ppm〜約1000ppmの間の範囲で存在する。
【0022】
リグニンの処理工程は、約65℃までの温度で実施してもよい。
処理の後、紙製品は約80℃〜約100℃の間の温度に加熱されることが好ましい。これによってアンモニアを追っ払い、被膜を硬化する。加熱はいかなる好適な方法で達成されてもよく、通常オーブンで生じる。
【0023】
本発明者らはまた、架橋剤の存在下にて紙製品をリグニンで処理することによって有効なバリアが得られる可能性があることも発見した。
本発明のさらなる好ましい形態によれば、紙製品を処理する方法が提供され、該方法は、リグニンが可溶型及びコロイド形態の双方で存在するようなリグニンの濃度及びpHを有する水性リグニン混合物を提供することと、リグニン混合物に架橋剤を添加することと
、混合物で紙製品を処理することと、混合物を硬化させることを含む。
【0024】
架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有し、そのうち少なくとも1つがヒドロキシ基と結合を形成することが可能である剤を言う。
通常、pHは約8〜約10である。混合物中のリグニンの濃度は通常約10重量%〜約30重量%、最も好ましくは約20重量%である。これらの濃度は本発明の第1の幅広い形態で使用されるものよりも通常高い。特定量のコロイド状のリグニンが存在してもよいという事実に照らしてさらに高い濃度が認容されてもよいことが十分に理解されるであろう。pH約10にて、コロイド状リグニンの量は約10重量%であると推定される。
【0025】
コロイド状材料の好ましい粒度は約20nm〜約50nmの間、好ましくは約30nmである。本発明者らは、このサイズ範囲でのリグニン粒子を含有する分散物は、表面を浸透する能力を有し、特にセルロース繊維を含有するものは、膜及び安定な混合物を形成する能力を有し、適切なレオロジー特性及び粘弾性特性を有することを認めた。
【0026】
さらに高い濃度にて、混合物に可塑剤を添加して溶融流動特性を改善し、機能する被膜混合物を提供することが望ましいかもしれない。好適な可塑剤はポリオールである。好ましいポリオールは、食物と共に使用するために評価されたものである。典型的なポリオールには、エトキシ化ソルビタンエステル類、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレートが挙げられる。別の好ましいポリオールは、約4000〜約10000の間、好ましくは約6000の分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0027】
好ましい架橋剤は、ヒドロキシル基と反応する第1の官能基及び二重結合を有する第2の官能基を有する二官能性化合物である。理論に束縛されることを望まないで、本発明者らは、ヒドロキシル基と反応する基は、セルロースとのエステル結合を形成し、二重結合はリグニンとの結合を形成すると考えている。
【0028】
好適な化合物の例は以下の化合物(1)〜(4)である。
【0029】
【化3】

【0030】
式中、Rは、少なくとも1つの二重結合を有するC〜C24の分枝鎖又は非分枝鎖であり、Rは、H又は1〜6の炭素原子を有する低級アルキルである。特に好ましい化合物は、それぞれ、無水コハク酸アルケニル及びアルキルケテンダイマーとして知られる式1及び2のものである。特に好ましいのは、無水コハク酸アルケニル、たとえば、無水コハク酸ドデシニル、無水コハク酸ヘキサデシニル、無水コハク酸オクタデシニル又はその2以上の混合物である。
【0031】
通常、架橋剤は、約0.1重量%〜約4重量%の間、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の間のレベルで混合物に存在する。
本発明のさらなる幅広い形態によれば、紙製品を処理するための組成物が提供され、該組成物は、リグニンが可溶型及びコロイド形態の双方で存在するような濃度及びpHで水溶液に混合されたリグニンと、架橋剤を含む。
【0032】
好ましくは、本発明の第1の幅広い形態に関して上述された方法でのリグニン混合物による処理に先立って、紙製品はカチオンポリマーによって予備処理される。
処理の後、混合物を硬化させる。これは通常、高い温度で、通常約80℃〜100℃の
間で実施される。
【0033】
本発明者らはまた予期に反して、紙製品の処理の前に、リグニン溶液に温度依存性に自己会合することが可能である両親媒性ポリマーを添加することも許容可能な被膜を提供することを発見した。
【0034】
本発明のさらなる幅広い形態によれば、紙製品を処理する方法が提供され、該方法は、少なくとも一部のリグニンが可溶型で存在するような濃度及びpHを有するリグニンの水性混合物を提供することと、両親媒性ポリマーをリグニン混合物に添加することと、混合物で紙製品を処理することと、混合物を硬化させることを含み、該両親媒性ポリマーは、温度の上昇と共にさらに疎水性になるように温度依存性に自己会合が可能である。
【0035】
両親媒性物質は、親水性の部分と疎水性の部分を有する。水溶液中では、両親媒性物質は、親水性部分が水分子と接触するように自己会合する。温度は、溶液中又は表面分子上の両親媒性分子の配向に影響を及ぼすことができる。
【0036】
好ましい両親媒性ポリマーはシリコーンポリオールである。シリコーンポリオールの構造は、規定された疎水性部分と親水性部分を含む。疎水性部分は、1以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含む。ポリオールの親水性部分は、イオン基、たとえば、サルフェート、スルホネート、ホスホネート、ホスフェートエステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホスクシネート、タウレート、ホスフィンオキシド(遊離の酸、塩、又はエステルとして)、ベタイン、ベタインコポリオール、又は四級アンモニウム塩を含む1以上の極性部分を含んでもよい。イオン性親水性部分は、ポリ電解質を含むイオン性に官能化されたシロキサングラフトも含んでもよい。そのような基を含有するシロキサン界面活性剤には、たとえば、ポリジメチルシロキサン−グラフト−(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン−グラフト−ポリアクリル酸塩及びポリジメチルシロキサン−グラフト−四級アミンが挙げられる。
【0037】
親水性部分の極性部分は、ポリエーテルによって形成される非イオン性の基、たとえば、酸化ポリエチレン(PEO)、及び混合された酸化ポリエチレン/酸化ポリプロピレンポリエーテル(PEO/PPO);単糖類及び二糖類;並びにピロリジノンのような水溶性複素環を含んでもよい。酸化エチレンと酸化プロピレン(EO/PO)の比は、混合された酸化ポリエチレン/酸化ポリプロピレンポリエーテル中で、約10重量%のEOから100重量%のEOまで変化してもよい。
【0038】
親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分の組み合わせも含んでもよい。そのような部分には、たとえば、イオン性に末端官能化された又は無作為に官能化されたポリエーテル又はポリオールが挙げられる。
【0039】
疎水性部分と親水性部分の配置は、「B」が分子のシロキサン部分を表すジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)の形態、又は多ブロックポリマーの形態を取ってもよい。シリコーンポリオールは、或いはグラフトポリマーを含んでもよい。用語「グラフトポリマー」は、側鎖として主ポリマーの主鎖に連結するポリマー官能性の1以上の種を持つ分子を含むポリマーを言い、その際、側鎖又はグラフトは、主ポリマーの主鎖の特性とは異なる構造的な又は機能的な特性を有する。主ポリマーの主鎖に対するポリマー官能性の各グラフトは「ペンダント」基である。グラフトの構造は、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよい。
【0040】
本発明の実践で有用なグラフトポリマーは、それに1以上の親水性グラフトが結合するジヒドロカルビルシロキサン単位の疎水性の主ポリマーの主鎖を含んでもよい。主ポリマ
ーの主鎖上に複数のグラフトを含む構造の1つは、「くま手」型構造(「コーム」とも呼ばれる)である。くま手型構造を以下でABA構造と比較する。
【0041】
【化4】

【0042】
特に好ましい「くま手」シリコーンポリオールは、親水性物質が式CO−(EO)m−(PO)n−Rを有し;
式中、EOは、酸化エチレン−[CH−CH−O]m−であり、POは、酸化プロピレン−[CH−CH(CH)−O]nであり、m及びnの双方ではない、いずれかが0であってもよく、Rは、メチル、エチル、ブチル又はプロピルである。X、y、m及びnは、ポリオールの分子量が約2000〜約10000の間、通常約4000〜約6000の間であるように選択される。特に好ましいのは、Geneseeから入手可能な「くま手」シリコーンポリオールである。
【0043】
トリシロキサンは「くま手」型構造に関連した追加の構造型である。代表的なトリシロキサン構造を以下に描く。
【0044】
【化5】

【0045】
分子のシロキサン部分は、ジヒドロカルビルシロキサン単位に関してポリマーであっても、オリゴマーであってもよい。界面活性剤分子のシロキサン部分は、直鎖、分枝鎖又は環
状の構造を含んでもよい。
【0046】
別の好適な両親媒性のポリマーは、N−ビニルカプロラクタムコポリマーである。好適なコモノマーは酢酸ビニルである。
通常、両親媒性物質は、0.5〜約4%の間、好ましくは約1〜約2%の間の量で混合物に存在する。
【0047】
混合物はコロイド形態でリグニンを含んでもよい。コロイド状リグニンの好ましい粒度及び可溶性リグニンに対する相対量は、上述のものと同様である。
処理の後、混合物を硬化させる。これは通常、高い温度で、通常約80℃〜100℃の間で実施される。
【0048】
本発明のさらなる好ましい形態によれば、紙製品を処理するための組成物が提供され、該組成物は、リグニンが可溶型及びコロイド形態の双方で存在するような濃度及びpHで水溶液に混合されたリグニンと、温度依存性にリグニン混合物に対して自己会合することが可能であり、それによって温度の上昇と共にポリマーがさらに疎水性になる両親媒性のポリマーを含む。
【0049】
本発明の各実施態様で使用するのに好ましいリグニンは非木質供給源に由来する。特に好ましいリグニンは、甘蔗バガスに由来する。ソーダパルプ化法又はオルガノソルブ法によってバガスのセルロース成分からリグニンが分離されることも好ましい。オルガノソルブ法は、リグニンを分離するのに水性エタノールのような有機溶媒を使用する。ソーダ法は加圧下で苛性ソーダを使用する。これらの方法で得られたリグニンは、従来のクラフト法で分画されたリグニンよりも相対的に小さな分子量及び狭い分子量分布を有するので、本発明の方法及び組成物で使用するのに特に好適であると考えられる。これらのリグニンはまたさらに疎水性傾向を示す。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい方法及び組成物によって被覆紙製品の写真である。
【図2】本発明の好ましい方法及び組成物によって処理された紙製品のSEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
リグニンの精製
パー反応器にて190℃でエタノール水溶液によって甘蔗バガスをパルプ化して、黒色の液体とパルプを生じた。次いで、この液体を希釈し、加熱してリグニンを回収した。濾過によってリグニンを得、風乾し、さらに60℃の真空オーブンで一晩乾燥した。次いで粗精製のリグニンを0.1Mの苛性ソーダ溶液に溶解し、得られた溶液を撹拌しながら40℃で30分間加熱した。次いで硫酸でpH5.5〜6に酸性化することによってリグニンを再析出させた。この方法でリグニンを精製することによって、タンパク質、多糖類、脂質及び灰分の不純物の量が減った。
基材の調製
CS溶液を含有するビーカーに約23℃、45℃又は60℃で約1時間完全に沈めることによって基材を予備処理した。この後、それを取り出し、過剰の溶液を滴らせ、平らに置いて風乾した。これに約40分かかった。次いで予備処理した基材をリグニン溶液のビーカーに5分間完全に沈めるか、又はスポンジのローラーを用いてリグニン溶液の塗料を機械的に塗布した。デンプン溶液と同様に、室温から65℃まで種々の温度でリグニンを塗布した。次いでヘアドライヤーを用いて被覆された基材を乾燥し、その後100℃のオーブンで一晩乾燥させた。被覆した基材を2枚のガラス枠に挟み、オーブンで乾燥する間に生じた顕著な反り返り(カール)を反転させるよう試みて締め具で締めた。これによっ
て接触角の測定のために平坦な表面が提供された。
接触角の測定
試料の接触角は、液滴の液体/蒸気界面が固体の表面に接触する角度を表す。この値は、ビデオ接触角装置を用いて測定し、ヤング−ラプラスの方程式を用いて値を算出し、液滴の目視分析のために接触角度計に組み入れる。
【0052】
接触角は所与のシステムに特異的であり、3つの界面(液体、蒸気及び固体)を横切る相互作用によって決定される。極度に親水性の表面では、水滴は完全に広がり、その結果、0°の有効接触角を生じる。しかしながら、疎水性表面では、大きな接触角が観察され、70°〜90°の範囲に入ることが多い。いったん150°の接触角が得られると、表面は超疎水性と判断され、ひどく表面を濡らすことなく、表面上に効果的にとどまる。
【0053】
本発明では、接触角測定を用いて処理された表面の性能を定量した。図1は、リグニン被覆した表面上の水滴の写真である。
少なくとも2(及び5まで)の異なった位置で調製された各基材の接触角を取り、平均値を確保した。接触角は時間経過とともに変化しないことが観察されたので、基材の大半については得られた値は静止値を示す。しかしながら、接触角が時間とともに低下した(あまり上手く行かなかった)基材については、括弧の中に第2の値を示す。この値は、いったん広がりが止まったと思われた際に得られた角度を記載し、普通は、最初の衝撃後1〜1.5分に取られた。
水吸収の測定
「5分間浸漬試験」を用いて、基材の相対的な水吸収の性質の定量測定を行った。超純水の溶液に基材を5分間沈めた。この後、試料を溶液から取り出し、2枚のペーパータオルの間で軽く叩いて乾かし、表面の過剰な水分を取り除き、その後、質量を再記録した。次いで基材の乾燥質量と濡らした質量の差異を用いて、水吸収のために記録された質量における比率の増加を算出した。
被膜の厚さ
リグニン/カチオンデンプン被膜のおよその厚さを測定する試みで、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて幾つかの被覆された試料と対照試料を分析した。
【0054】
新鮮で明瞭に切断された断面を観察することができるように剃刀の刃を用いて試料の一部を切断した。これによって基材と被膜との間に明らかに目に見える相境界が生じ、被膜の厚さの測定が可能であると考えられた。
カチオンデンプンによる予備的結果
溶液の調製
この試験に使用されたカチオンデンプン(CS)は、スイフト社製のWISPROFLOC Pであった。CS溶液の3種の濃度は、80ppm、250ppm及び1,000ppmに調製された。使用前、これらの溶液を所望の温度に加熱した。
【0055】
0.1Mのアンモニア溶液中のリグニン溶液の3種の濃度は、0.2g/L−1、2.0g/L−1及び200g/L−1に調製された。一晩撹拌した。アンモニアの喪失を防ぐように、リグニン溶液を含有するビーカーを密閉した。0.2g/L−1及び2.0g/L−1を含有するリグニン溶液のpHは10.2〜10.8だった。しかしながら、200g/L−1のリグニン溶液については、塗布直前にアンモニア溶液を用いてpHを7.4から8に上げた。
結果
接触角及び水吸収の結果
2つのリグニン試料は、一方を暗/微細、他方を明/粗と命名し、双方とも水性エタノール抽出によって得た(表5.1を参照のこと)。試料は、パルプ化時間と同様に、元々のバガスからの抽出において使用されたエタノール濃度においてのみ異なる。
表1.リグニン溶液の組成
【0056】
【表1】

【0057】
表5.2で使用された基材コードは、各基材を調製するのに関与した手順の変数を特定する。たとえば、基材250−R−60は、250ppmのCSを用いて、室温にて(R)調製し、その後60℃にてリグニン溶液で処理した。
【0058】
表2は、調製された試験検体すべてと共に無処理の試料(91°)及び100℃(101°)のオーブンで一晩加熱した無処理の試料について観察された接触角を含む。処理された試料の接触角は90°〜118°の範囲であった。リグニン濃度200g/L−1で調製された基材の接触角は、水滴の最初の衝撃の際は全く許容可能であったが、数分の経過の間に有意に低下した。この効果は、ほかのリグニン濃度の10.2〜10.8の間の値に比べて約8.2であったこの溶液のpHに関係する可能性がある。そのpH及び濃度では、リグニンのかなりの部分がコロイド形態であった。
表2.処理された及び無処理の双方の基材の接触角
【0059】

【表2】


【0060】
表3は、無処理の基材及びCS処理した基材についての水吸収の結果を与える。CS処理した基材の質量における増加は、無処理の基材、すなわち対照よりもやや低い53〜69%の範囲だった。
表3.無処理の及びCS処理した基材についての水吸収の結果
【0061】
【表3】

【0062】
表4は、リグニン被覆した基材についての水吸収の結果を与える。質量における増加は、
無処理の基材よりもやや低い52〜64%の範囲だった。
表4.リグニン処理した基材についての水吸収の結果
【0063】
【表4】

【0064】
SEM分析
明瞭な相境界が見られなかったので、被膜の厚さを決定するためのSEMの使用は失敗であることが判った。これはおそらく、少なくとも希釈したリグニン溶液(0.2g/L−1及び2.0g/L−1)については、リグニンの高分子が基材の繊維間の穴及び空間のみに占拠したからであった。SEMの顕微鏡写真を図2に示す。
さらなる実施例
さらなるそれぞれの実施例では、被膜を基材上に塗布し、処方を硬化させるのに十分な時間、80℃〜100℃の温度で硬化した。
実施例1
pHが10になるようにリグニンとアンモニア溶液を混合することによってリグニン溶液を作製した。次いでこの溶液を表1に示す成分から成る処方にした。溶液の温度は25〜60℃の間であった。
リグニン/シリコーンポリオール被膜の処方
【0065】
【表5】

【0066】
水滴の広がり及びそれ自体の水の浸透を説明するために1〜2分後に取った被覆基材の接触角。被覆紙の接触角は132°だった。
実施例2
実施例1のリグニン溶液を以下に示す処方に組み入れた。
リグニン/シリコーンポリオール被膜の処方
【0067】
【表6】

【0068】
1〜2分後に取った被覆紙の接触角測定は134°だった。
実施例3
実施例1のリグニン溶液を以下に示す処方に組み入れた。
リグニン/シリコーンポリオール被膜の処方
【0069】
【表7】

【0070】
1〜2分後に取った被覆紙の接触角測定は115°だった。
実施例4
実施例1のリグニン溶液を以下に示す処方に組み入れた。
リグニン/ポリオール被膜の処方
【0071】
【表8】

【0072】
1〜2分後に取った被覆紙の接触角測定は125°だった。水吸収37%;対照51%、キット試験4、水蒸気透過率(WVTR)468gm/24時間。
実施例5
実施例1のリグニン溶液を以下に示す処方に組み入れた。
リグニン/ポリオール/ODSA被膜の処方
【0073】
【表9】

【0074】
1〜2分後に取った被覆紙の接触角測定は115°だった。水吸収31%;対照51%、キット試験4、水蒸気透過率(WVTR)460gm/24時間。
実施例6
実施例1のリグニン溶液を以下に示す処方に組み入れた。
リグニン/カチオンデンプン被膜の処方
【0075】
【表10】

【0076】
紙基材を約0.025g/L−1のカチオンデンプン(WISPROFLOC P)に接触させた。
1〜2分後に取った被覆紙の接触角測定は108°だった。
実施例7
実施例1のリグニン溶液を以下に示す処方に組み入れた。
リグニン/カチオンデンプン被膜の処方
【0077】
【表11】

【0078】
紙基材を約0.1g/L−1のカチオンデンプン(WISPROFLOC P)に接触させた。
1〜2分後に取った被覆紙の接触角測定は112°だった。
【0079】
本発明の方法及び組成物が厚紙製品の表面の接触角を大きくすることができることが分
かるだろう。処理された紙製品が許容可能なキット値を有したことが上記実施例からも分かるだろう。キット値は、グリースや油をはじく表面の能力を表す。
【0080】
本発明によって処理された紙製品は再利用することができ、また生分解性でもある。混合物及び溶液は水性なので、本発明の使用は、紙被覆産業で現在採用されている有機溶媒の使用を回避する。従って、本発明は、揮発性有機化合物の量及び環境に導入される有害な大気汚染を低減できる可能性がある。
【0081】
明細書及びクレームでは、用語「含むこと」は、用語「含むこと」と同様に広い意味を有すると理解すべきであり、整数又は工程の述べられた整数又は工程又は群の包含を含蓄するが、整数又は工程のそのほかの整数又は工程又は群の排除を含蓄しないことが理解されるであろう。この定義は、用語「含むこと」の変異、たとえば、「含む」や「含む」にも適用される。
【0082】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書に「記載され、請求された本発明に対して種々の変更及び修正を行ってもよいことが十分に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製品を加工するための方法において、
少なくとも約80重量%のリグニンが可溶化されるような濃度とpHにて水溶液にリグニンを含む混合物を調製する工程と、
紙製品をカチオンポリマーで処理し、次いで前記紙製品を前記リグニン混合物で処理する工程とを備える方法。
【請求項2】
紙製品を加工するための方法において、
約0.02g/L−1〜約20g/L−1の間の濃度と約9.5〜約11の間のpHにて水溶液にリグニンを含み、少なくとも約80重量%の前記リグニンが可溶化される混合物を調製する工程と、
前記紙製品をカチオンポリマーで処理し、次いで前記紙製品を前記リグニン混合物で処理する工程とを備える方法。
【請求項3】
溶液が約9.5〜約11の間のpHを有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも約90重量%の前記リグニンが可溶化される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記リグニン濃度が約0.02g/L−1〜約20g/L−1の間にある請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リグニン濃度が約0.02g/L−1〜約20g/L−1の間にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記カチオンポリマーがカチオンデンプンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カチオンデンプンが10%〜30%の加水分解度を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カチオンポリマーが約100ppm〜約200ppmの間、好ましくは約200ppm〜約1000ppmの間の範囲で存在する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液がアンモニアを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記リグニン混合物による処理の後、約80℃〜約100℃の間の温度に紙製品を加熱する請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記リグニンが甘蔗バガスから得られる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記オルガノソルブ法又はソーダ法によってリグニンが前記バガスから分画されている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13に記載のいずれか1項に記載の方法によって処理される紙製品。
【請求項15】
紙製品を加工するための方法において、
リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するようなリグニンの濃度とpHを有する水性リグニン混合物を調製する工程と、
前記リグニン混合物に架橋剤を添加する工程と、
前記紙製品を前記混合物で処理する工程と、
前記混合物を硬化させる工程とを備える方法。
【請求項16】
紙製品を加工するための方法において、
リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するように約10重量%〜約30重量%の間のリグニン濃度と約8〜約10の間のpHを有する水性リグニン混合物を調製する工程と、
前記リグニン混合物に架橋剤を添加する工程と、
前記紙製品を混合物で処理する工程と、
前記混合物を硬化させる工程とを備え、
前記架橋剤が、ヒドロキシル基と反応する第1の官能基と、二重結合を有する第2の官能基を有する少なくとも1つの二官能性の化合物を含有する、方法。
【請求項17】
前記混合物が約8〜約10の間のpHを有する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物における前記リグニン濃度が約10重量%〜約30重量%の間である請求項13又は請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記架橋剤が、ヒドロキシル基と反応する第1の官能基と、二重結合を有する第2の官能基を有する少なくとも1つの二官能性の化合物を含有する、請求項15、17又は18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記コロイド状のリグニンが約20〜約50nmの間、好ましくは約30nmの粒度を有する請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記架橋剤が、約0.1〜約4%の間、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の間のレベルで前記混合物に存在する、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの前記架橋剤が以下の化合物から選択され、
【化1】

式中、Rは、少なくとも1つの二重結合を有するC〜C24の分枝鎖又は非分枝鎖であり、Rは、H又は1〜6の炭素原子を有する低級アルキルである請求項15〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの架橋剤が、無水コハク酸アルケニル又はアルキルケテンダイマーである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記無水コハク酸アルケニルが、無水コハク酸ドデシニル、無水コハク酸ヘキサデシニル、無水コハク酸オクタデシニル又はその2以上の混合物から成る群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水溶液がアンモニアを含む請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
硬化が約80℃〜約100℃の間の温度で生じる請求項15〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記リグニン混合物がさらに可塑剤を含む請求項15〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記可塑剤がポリオールである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記リグニンが甘蔗バガスから得られる請求項15〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
オルガノソルブ法又はソーダ法によって前記リグニンが前記バガスから分画されている請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項15〜30のいずれか1項に記載の方法によって加工される紙製品。
【請求項32】
紙製品を加工するための組成物であって、リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するような濃度とpHにて水溶液に混合されたリグニンと、架橋剤とを含有する組成物。
【請求項33】
紙製品を加工するための組成物であって、リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するように約10重量%〜約30重量%の間の濃度と約8〜約10の間のpHにて水溶液に混合されたリグニンと、架橋剤とを含有し、前記架橋剤が、ヒドロキシル基と反応する第1の官能基と、二重結合を有する第2の官能基を有する少なくとも1つの二官能性の化合物を含有する、組成物。
【請求項34】
紙製品の前記加工における請求項32又は請求項33の組成物の使用方法。
【請求項35】
紙製品を加工するための方法において、
リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するようなリグニンの濃度とpHを有するリグニンの水性混合物を調製する工程と、
両親媒性ポリマーを前記リグニン混合物に添加する工程と、
前記紙製品を前記混合物で加工する工程と、
前記混合物を硬化させる工程とを備え、
前記両親媒性ポリマーが、温度の上昇と共にさらに疎水性になるように温度依存性に自己会合することが可能である方法。
【請求項36】
紙製品を加工するための方法において、
リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するように約10重量%〜約30重量%の間のリグニン濃度と約8〜約10の間のpHを有するリグニンの水性混合物と、シリコーンポリオールを調製する工程と、
前記紙製品を前記混合物で処理する工程と、
前記混合物を硬化させる工程とを備える方法。
【請求項37】
前記両親媒性ポリマーがシリコーンポリオールである請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記シリコーンポリオールが式
【化2】

を有し、式中、親水性物質が式CO−(EO)m−(PO)n−Rを有し;
式中、EOは、酸化エチレン−[CH−CH−O]m−であり、POは、酸化プロピレン−[CH−CH(CH)−O]nであり、m及びnの双方ではない、いずれかが0であってもよく、Rが、メチル、エチル、ブチル又はプロピルであり、X、y、m及び/又はnは、前記ポリオールの分子量が約2000〜約10000の間、通常約4000〜約6000の間であるように選択される請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コロイド状のリグニンが約20〜約50nmの間、好ましくは約30nmの粒度を有する請求項35〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記水溶液がアンモニアを含有する、請求項35〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記両親媒性ポリマーが、0.5重量%〜約4重量%の間、好ましくは約1重量%〜約2重量%の間の量で前記混合物に存在する請求項35〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
硬化が約80℃〜約100℃の間の温度で生じる請求項35〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記リグニンが甘蔗バガスから得られる請求項35〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
オルガノソルブ法又はソーダ法によって前記リグニンが前記バガスから分画されている請求項43に記載の方法。
【請求項45】
請求項35〜44のいずれか1項に記載の前記方法によって処理された紙製品。
【請求項46】
紙製品を加工するための組成物であって、リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するような濃度とpHにて水溶液に混合されたリグニンと、温度依存性に前記リグニン混合物に対して自己会合することが可能であり、それによってポリマーが乾燥の際さらに疎水性になる両親媒性ポリマーを含有する、組成物。
【請求項47】
紙製品を加工するための組成物であって、リグニンが可溶型及びコロイド状態の双方で存在するように約10重量%〜約30重量%の間の濃度と約8〜約10の間のpHを有する水溶液に混合されたリグニンと、シリコーンポリオールとを含有する組成物。
【請求項48】
紙製品の前記加工における請求項46又は請求項47の前記組成物の使用方法。
【請求項49】
紙製品を加工するための方法において、少なくとも約8のpHを有し、少なくとも一部可溶性のリグニンを含む水性リグニン混合物を調製する工程と、前記混合物を前記紙製品に塗布する工程とを備える方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−533249(P2010−533249A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516326(P2010−516326)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001020
【国際公開番号】WO2009/009821
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(510012614)シュガー インダストリー イノベーション プロプライエタリー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SUGAR INDUSTRY INNOVATION PTY LTD
【Fターム(参考)】