説明

紙配合材及びその製造方法並びにそれを利用した機能紙及び機能紙の製造方法

【課題】 飲料製造残渣の処理効率を改善し、処理経費を軽減し、残渣に起因する性質を活かして高付加価値製品の提供に利用することを目的とする。
【解決手段】 含水率が60〜80質量%の飲料製造残渣に、50時間以上1000時間未満の嫌気処理を施して紙配合材を製造する。紙配合材と紙パルプとを含有するパルプスラリーを調製し、抄紙して機能紙を製造する。これを遮光紙、遮蔽シート等として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造において大量に発生する抽出残渣や搾汁残渣等の飲料製造残渣を、簡便且つ安価に、効率よく紙製品の製造に有効利用することを可能とする紙配合材及びその製造方法、並びに、それを用いた遮蔽機能が向上した機能紙及びその提供を可能とする機能紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年茶系飲料やコーヒー飲料などの嗜好飲料の伸長と共に飲料工場等からは多量の嗜好飲料残渣が排出されており、それらの量は年々増加している。これら嗜好飲料残渣は放置しておくと腐敗や成分の劣化等が起こるため、多額の経費をかけて適切な処理をする必要がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、茶殻などの抽出残滓に水を加えて撹拌した残滓液を破砕して高温、高圧下で抽出し、得られた高圧抽出液を濃縮・濾過・殺菌する茶殻等のリサイクルシステムが記されている。しかし、このシステムでは、抽出残滓に対して、高圧抽出、濃縮、濾過、殺菌などの様々な工程を施してリサイクルしており、多額の経費が必要となる。
【0004】
下記特許文献2では、茶殻に少量の水を加え、粉砕機でペースト状に微粉砕した微粉砕茶殻を銅製容器に投入するとともに、所定量の処理水と少量のアスコルビン酸とを加え、攪拌しながら70℃以上で所定時間加熱して緑色茶ペーストを得ることが記載されている。しかし、この方法では、茶殻を加熱する工程等を施すために多額の経費が必要となる。
【0005】
また、下記のように、茶飲料の製造残渣である茶殻を製紙に利用する技術が提案されている。
【0006】
例えば、下記特許文献3では、加熱処理した茶殻を、平均粒径が50〜300μmとなるように破砕または粉砕した後、パルプ等の繊維組成物に配合して抄紙した茶殻配合機能紙が記載されている。しかし、この方法では、茶殻を160〜250℃で加熱処理するために多額の経費が必要である。
【0007】
下記特許文献4では、スリット幅0.5mmのスクリーンを通過した茶殻を含有する中芯紙を用いた段ボールが記されている。この文献では、茶殻の脱落やライナーの貼合不良を防止するために、中芯紙の表面層には茶殻を配合せずに内部層のみに茶殻を配合している。
【0008】
また、茶粕や茶殻を含有する模様紙や茶殻配合紙の製造を提案するものもあり、下記特許文献5には、紙パルプスラリー中に緑茶、紅茶、烏龍茶などの茶葉もしくは茶粕を添加して模様形成体とし、紙中に分散担持した模様紙が記載されている。また、下記特許文献6では、破片状に調製した茶殻と繊維状紙パルプとを絡み合わせて抄紙した茶殻配合紙について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−254270号公報
【特許文献2】特開2010−011835号公報
【特許文献3】特開2008−057089号公報
【特許文献4】特開2007−211366号公報
【特許文献5】特開平6−235198号公報
【特許文献6】特開2004−143640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、従来、茶殻等の飲料製造残渣を処理する技術は知られていたが、多額の経費が必要であったり、処理費用に比べて得られるリサイクル品の付加価値がさほど高くないものが多い。
【0011】
本発明は、飲料製造残渣の処理効率を改善し、処理に要する経費を軽減すると共に、残渣に起因する性質を活かして得られる製品の付加価値を高めることを目的とする。
【0012】
また、本発明は、高い処理効率で飲料製造残渣を処理でき、安価な費用で付加価値の高い製品を提供可能な紙配合材の製造方法及び機能紙の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
更に、本発明は、飲料製造残渣を利用して安価な費用で製造され、飲料製造残渣に起因する香りと共に遮光性を紙に付与可能な紙配合材、及び、これを用いた遮光性を備える機能紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を行った結果、飲料製造残渣を嫌気状態に保持すると、粉砕処理の効率が向上して微細粉砕物を得易くなり、しかも、紙パルプに配合した場合に遮光性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明の一態様によれば、紙配合材の製造方法は、含水率が60質量%以上80質量%以下の飲料製造残渣を用意し、前記飲料製造残渣に50時間以上1000時間未満の嫌気処理を施すことを要旨とする。
【0016】
又、本発明の一態様によれば、機能紙の製造方法は、上記の紙配合材の製造方法によって得られる紙配合材と、紙パルプとを含有するパルプスラリーを調製し、前記パルプスラリーを抄紙することを要旨とする。
【0017】
更に、本発明の一態様によれば、紙配合材は、飲料製造残渣の嫌気処理物を含有することを要旨とする。
【0018】
又、本発明の一態様によれば、機能紙は、パルプ繊維と、飲料製造残渣の嫌気処理物とを含有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、飲料製造残渣を嫌気状態に保持することで、得られる飲料製造残渣は粉砕し易くなり、残渣由来の好ましい香りを保有すると共に、紙に配合した時に遮蔽性を高める素材となるので、紙への配合材として利用可能であり、これを配合することで、薄く軽量でありながら遮光性に優れた機能紙が提供される。これは、木質材等の天然素材を光及び熱から保護するための被覆シートとして有用である。また、飲料製造残渣の有効活用を進めて、地球環境への負荷の軽減に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
飲料製造残渣には、飲料原料に含まれる成分を冷水や熱水等の媒体を用いて抽出した後の抽出残渣や、飲料原料を圧搾して搾汁を得た残りの搾液残渣などがあり、何れの残渣も、植物由来の含水有機質からなる。これらの有機質残渣は、植物由来のセルロースを多量に含むため、固く、粉砕時の抵抗が強いので、微細粉砕物を得るには作業効率が低い。
【0021】
本願発明者は、様々な飲料製造残渣について調べたところ、嫌気状態に長時間保持した後の飲料製造残渣は粉砕し易く変化し、紙への配合材として利用し易い品質を保持することが判明した。これは、嫌気状態での発酵によるものと考えられる。嫌気状態の飲料製造残渣では乳酸発酵が可能であることが知られているが、土壌に広く分布する嫌気性セルロース分解細菌によるセルロースの分解反応も嫌気状態で進行し得ることから、このような反応を含む有機質の分解反応が何等かの形で起こることによって残渣が粉砕し易くなると考えられる。
【0022】
又、嫌気状態に保持した後の飲料製造残渣は、紙パルプに配合して抄紙すると、得られた紙の遮光性が向上し、遮光性シートとして利用するために必要な紙の秤量及び厚さを低減することが可能であることが判明した。この原因は、残渣が粉砕され易くなるため、紙パルプ繊維の隙間に細かく分散して、残渣に含まれるポリフェノール類やクロロフィル等の光エネルギーの吸収・転換能を有する色素成分が何等かの形で関連することが考えられる。また、紙シートは、樹脂フィルムとは異なり、パルプ繊維間の隙間による通気性を有し、被覆に用いた場合に内部の保温及び温度上昇を抑制できるが、紙パルプ単独では、満足な遮光性を発揮するためには厚みが必要であり、重量もかなりのものになる。この点に関し、嫌気処理後の飲料製造残渣を配合して抄紙した紙シートは、遮光性の向上によって厚さを低減可能であるので薄く軽量なシートに構成でき、被覆状態における内側の温度上昇を防止可能で、通気性・透湿性を備える遮光シートとして好適に利用できる。更に、必要に応じて撥水処理等を施して防水機能を加えることも可能である。
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
本発明において使用する飲料製造残渣は、植物由来の有機質残渣であり、抽出残渣と搾液残渣とに大別できる。抽出残渣は、飲料を抽出した後の茶殻や抽出粕等であり、抽出残渣が排出される飲料原料の具体例としては、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶などの茶樹を原料とする狭義の茶;ジャスミン茶のようなフレーバーティ;玄米茶、麦茶、ハト麦茶、蕎麦茶などの穀物茶;グァバ葉茶、杜中茶、ミントティ、カモミールティ等のハーブティ、漢方飲料;コーヒーなどが挙げられる。搾液残渣は、野菜ジュース、果汁などを搾汁した後の搾り粕や、ビール、ワイン、焼酎、ウイスキー、ブランデー、バーボン、グラッパ、日本酒、シードル等のアルコール飲料の製造工程で発酵液の分離、精製などにより生じる原料粕などがあり、原料の具体例としては、トマト、人参、ほうれん草、セロリ、ケール、小松菜、キャベツ、モロヘイヤ、紫蘇、ピーマン、パセリ、ラディッシュ、クレソン、あしたば、白菜、アスパラ、カボチャ、大根等の野菜類;レモン、オレンジ、葡萄、アセロラ、りんご、いちご、グレープフルーツ、桃、ライム、ユズ、シークワーサ、夏蜜柑、梅、メロン、梨、グァバ、パイナップル、ライチなどの果実類;麦、米、粟、蕎麦、芋、トウモロコシ等の穀物類等がある。他に、アルコール飲料の蒸留残などもあり、様々な植物質が含まれる。飲料製造残渣は、上記のものの混合であってもよく、ブレンド茶や混合茶の製造残渣なども好適に利用できる。上記の中でも特に、緑茶等の狭義の茶類の茶殻やコーヒー殻は、嫌気処理後の配合抄紙によって遮光性を顕著に発揮するので好ましく、更に、原料由来の消臭機能が飲料製造残渣に残存し、紙に配合したときに、脱臭機能も備えるので有用性が高く、工業製品への利用における利点の1つとなる。
【0025】
飲料製造残渣の含水量は微生物の生育に影響を与え、含水率が高いと特に腐敗菌が繁殖し易い。また、残渣の含水率が80質量%を超えると、残渣の保水能を超える分の水が貯蔵中に残渣から漏出するので、搬送等によって残渣の状態が変化したり容器内部の残渣に含水率のばらつきが生じ、カビも増殖し易くなるので、これを防ぐために液溜りを分離する容器構造上の工夫等が必要となる。又、容器破損時の処理も煩雑になる。このため、残渣の含水率は80質量%以下に調節するのが好ましく、より好ましくは75質量%以下となる。一方、含水率が60質量%未満であると、嫌気状態における反応が良好に進行せず、粉砕し易くなり難いので、その後の粉砕処理効率の向上が困難となる。従って、飲料製造残渣は含水率を60〜80質量%に調整して嫌気処理を施すことが好ましい。このような含水率の調節は、スクリュープレス機、フィルタープレス機、攪拌脱水機等の圧縮脱液型の機械を用いて容易に実施できる。残渣に加える圧力は0.1〜5MPa程度が好ましく、このような圧力で残渣を押圧して圧縮すれば、含水率が80質量%程度以下になるように好適に加圧脱水できる。機械加圧による圧縮脱液の限界は含水率30質量%程度であるので、加熱や減圧による気化乾燥を用いなくても十分に調整可能である。但し、本発明は、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、真空乾燥機等の加熱又は減圧を利用する乾燥機や炭化装置などの使用を排除するものではなく、特に、100〜110℃程度の加熱脱水の利用は、腐敗菌等による汚染を防止する上で好ましい。
【0026】
飲料製造残渣にある程度の圧力を機械的に加えて脱液した後に嫌気性条件下に保持すると、カビや腐敗等が抑制され、特に、狭義の茶類(緑茶、中国茶、紅茶など、茶樹を原料とする茶)及びコーヒーの飲料抽出残渣においては、原料由来の臭気吸着性(消臭性)が残渣の貯蔵中に向上するという利点もあり、嫌気処理によって好ましくない臭気の発生は抑制され、残渣由来の好ましい香りが残る。尚、緑茶残渣は、緑茶由来(カテキン、サポニン等)の抗菌性も有し、抗菌性は、好気性条件下では消失するが、嫌気性条件下では保持される。このような変化は、微生物の生育バランスに関連すると考えられる。
【0027】
飲料製造残渣は、嫌気性条件下に保持して、カビの発生や好気的代謝を防止する。具体的には、含水率を調節した飲料製造残渣を速やかに容器に収容し、脱気又は非酸化雰囲気に置換して密封し、酸素が供給されない嫌気性条件下で貯蔵する。残渣を嫌気処理に供する前に長時間空気に曝すと、気中微生物の再付着・侵食により汚染され、意図しない反応が進行する恐れがある。従って、含水率調節後の残渣は、加熱乾燥などの滅菌状態にする場合を除いては、できる限り速やかに嫌気性条件下に供する。嫌気処理時の外気温度は40℃以下、好ましくは0〜40℃の範囲であるとよく、常温において好適に処理できる。嫌気処理温度が40℃を超えると、飲料製造残渣の変質が進行して残渣由来の好ましい香りが失われるので好ましくない。嫌気処理による粉砕容易化の効果は、処理時間が約50時間以上において顕著になる。処理時間が1000時間を越えると、目的の反応以外に飲料製造残渣の変質が進行して残渣由来の好ましい香りが失われるので、嫌気処理時間は50時間以上であって1000時間以下であることが望ましく、好ましくは50〜500時間程度であるとよい。
【0028】
飲料製造残渣を嫌気条件に保持する容器は、残渣を密封保存可能で、外部衝撃に耐え得る容器であれば特に制限はなく、脱気工程、輸送工程等において破損したり外部の空気の浸入を許すことの無いものが状況に応じて適宜使用され、例えば、金属製ドラム缶、プラスチック製ドラム缶、樹脂製フレキシブルバックなどが挙げられ、フレキシブルバックを内袋とするフレコンバック又は段ボール箱等でもよい。
【0029】
含水率が上記の好適な範囲にある飲料製造残渣を上記のような容器に収容して吸引機等で脱気した後、シーラー、結束バンド、紐などを用いて封止することにより、残渣は嫌気性条件に保持される。微生物に汚染されていない窒素等のガスで内部を置換することで嫌気性条件に保持しても良い。
【0030】
嫌気処理後の飲料製造残渣は、ミキサーや磨砕機、湿式粉砕機等を用いて粉砕し、ふるい等を用いて適宜分級することにより好適な粉砕物に調製される。目開き1mm程度のふるいを通過しない残渣粉砕物は、抄紙後の紙から脱離し易いので、粒径1mm程度以下の粉砕物に調製することが好ましい。得られた残渣粉砕物を、紙配合材として、遮光シート等の紙製品の製造に用いることができる。紙パルプに紙配合材を配合した水性スラリーを調製し、抄紙脱水及び加熱乾燥を経ることによって紙製品が製造される。
【0031】
紙パルプの原料としては、木チップ、古紙等から得られる化学パルプ、再生パルプ及び機械パルプが好適に用いられる。具体的には、木チップを原料とした場合は、木チップを蒸解し、脱リグニン処理を経て洗浄及び脱水を繰り返し行うことによって得られる無漂白パルプ、及び、この無漂白パルプを更に漂白・洗浄した漂白パルプの何れも本発明において使用でき、無漂白パルプ及び漂白パルプは、木チップをリファイナーによって磨り潰したものを用いて調製してもよい。古紙を原料とした場合は、パルパーを用いて古紙を解繊した後に洗浄して得られる無漂白パルプ、及び、この無漂白パルプを更に漂白・洗浄した漂白パルプの何れも使用可能である。このような化学パルプ、再生パルプ及び機械パルプは、単独で使用しても、適宜混合して用いてもよい。
【0032】
上述のような紙パルプ、適量の水及び前述の嫌気処理後の飲料製造残渣粉砕物を用いて、水にパルプ繊維及び残渣粉砕物が分散したスラリーを調製し、得られたパルプスラリーを抄紙する。残渣粉砕物の配合は、パルプスラリー調製の前後何れでもよい。最終水分量が抄紙に適した量になるようにスラリー調製に使用する水量を適宜調整する。残渣粉砕物の添加量は、最終紙製品に付与される遮光機能を勘案して適宜調整することができる。抄紙条件が適切であれば、スラリー中のポリフェノール類のほぼ全量を抄紙した紙に導入できるので、使用する紙パルプと配合する残渣粉砕物との割合によって最終紙製品中のポリフェノール含有量を調節できる。良好な遮光機能を付与するためには、抄紙した紙中の残渣粉砕物の割合(乾燥質量換算)が約5〜20質量%となることが好ましい。残渣粉砕物による遮光性向上効果は、抄紙後の秤量によって変化するが、概して、残渣粉砕物の割合が5質量%以上であると顕著である。20質量%を超えると、紙の強度低下やコスト増加が問題となる。スラリー調製の際に、一般的な製紙で用いられる添加剤等を配合してもよい。
【0033】
パルプスラリーは、目開きが500μm未満の網上に流し込みながら所望の厚さのフェルト状に成形することによって抄紙する。抄紙時の網の目開きが500μm以上であると、残渣粉砕物が紙パルプ繊維と絡まずに網を通して流出するので、紙パルプに残渣による遮光機能が十分に付与されず、製品の歩留まりが低下する。残渣粉砕物を配合して抄紙した紙シートが好適な遮光性を示すためには、得られる紙シートの秤量が14g/m程度以上となるように抄紙条件を設定すると好ましく、50g/m程度以上においては茶やコーヒーの香りなどの残渣由来の芳香性も顕著になる。又、これを遮光シートとして用いる場合、保護対象の形状に沿って自由に変形する可撓性を備えるためには、秤量が好ましくは400g/m程度以下、より好ましくは200g/m程度以下となるように抄紙するとよい。
【0034】
抄紙したパルプ成形物、つまり含水紙は、プレス機等を用いて脱水する。この際、脱水物の含水率が40〜60質量%程度になるように脱水圧力を調節することが好ましい。含水率を40質量%未満に減少させるような脱水は、脱水機の機械的負担が過大になり、装置寿命が短くなる。脱水後の含水率が60質量%を超えるものは、この後の乾燥工程での装置負担及びエネルギー消費が大きくなる。
【0035】
脱水後の含水紙を加熱乾燥して残留水分を十分に除去すると、得られた紙シートは遮光機能を有し、そのまま遮蔽シート等として利用することができる。加熱乾燥時の温度は100〜160℃が好ましい。100℃未満では、乾燥が遅いため、未乾燥状態のものの混入が起こり易くなる。160℃を超える温度では紙パルプの変質が生じ易く、変色も激しくなる。乾燥中の紙の歪み等を防止する点では100〜130℃程度での乾燥が望ましく、空気乾燥との併用も好ましい。
【0036】
或いは、抄紙した紙を、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂薄膜や、植物繊維、動物繊維、合成繊維等を用いた織布又は不織布などの他の素材のシート上に積層することによって積層シートを形成しても良い。
【0037】
上述のようにして得られる紙シートは、遮光機能を有し、薄く軽量の紙で十分に被覆物を日射から保護することができるので、柔軟に変形して被覆物の形状に沿った被覆が可能である。又、紙の通気性によってシート内の熱を放散して日射による被覆物の過熱を抑制することができる。更に、紙シートは、身の回りや環境に悪影響を与えず、残渣由来の好ましい芳香性を保有するので、周囲を快適な状態に維持する上で好ましい。緑茶残渣を用いた場合には、残渣由来の抗菌性も保持する。従って、保護シートや遮光シートなど、様々なものを被覆するシートとして好適に利用できる。特に、建築・建設分野において使用される養生材として適している。養生材は、建設中又は建設後の建物における木質フローリングや藺草畳等の床面、木質壁、木質構造物などのような天然植物素材製の部分が光や熱によって表面劣化するのを防止するために、これらを被覆して保護するためのものである。従来は、黒色樹脂シート等が養生材として用いられているが、太陽光を遮断しても内部に熱がこもり、被覆物が過熱する欠点があり、又、紙パルプによるシートの提案も見られるが、パルプ繊維単独で満足な遮光性を発揮するには、段ボール様に厚くする必要があり、薄くするためには他の素材のライナーを貼り合わせる必要があるが、この点に関し、本願の飲料製造残渣を配合した紙シートは遮光性がよいので、薄く軽量なシートで十分な遮光性を発揮し、好ましい芳香性も有するので、養生材として優れている。従って、本願の飲料製造残渣を利用した紙シートは、杉、ヒノキ、松等の木質や藺草等の植物質を好適に被覆保護でき、木質材や藺草シート等の養生材だけでなく、各種の天然植物製の製品や他の遮光を要する製品用の被覆・保護シートとして好適に利用できる。本願の飲料製造残渣を利用した紙シートは、更に、表面に防水又は撥水加工を施して用いても良く、高級装飾品や電化製品、精密機器・部品等の保護シートとしても好適に利用でき、又、食品その他の様々な製品の包装シートとしても好適である。
【0038】
以下、実施例を参照して本発明を詳述する。本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【実施例1】
【0039】
以下の操作に従って、飲料製造残渣として、試料1a〜1fの含水茶殻を調製した。更に、試料1a〜1eについて、各々、3部に分けて、このうちの1部を用いて、以下の操作によって、嫌気処理を施した試料2a〜2eの茶殻を調製し、もう1部を用いて、好気処理を施した試料3a〜3eの茶殻を調製した。
【0040】
(試料1a〜1e)
緑茶葉に90℃の熱水を用いて3分間緑茶飲料を抽出した後の含水茶殻(試料1a、含水率85.6質量%)を得た。試料1aの含水茶殻の2/3を取り分け、これを4部に分けて、プレス機を用いた加圧脱水によって1部の含水率を調整して80.2質量%の茶殻(試料1b)を得、3部の茶殻の含水率を75.3質量%に調整した(試料1c)。更に、試料1cの茶殻のうちの1部を105℃で5分間加熱脱水することによって含水率58.2質量%の茶殻(試料1d)を得、別の1部を10分間加熱脱水することによって含水率50.7質量%の茶殻(試料1e)を得た。
【0041】
尚、茶殻残渣の含水率は、残渣約5gを用いて、赤外線水分計(FD−240、(株)ケット科学研究所製)によって測定した。
【0042】
(試料1f)
上述の操作で残った試料1aの含水茶殻の半分を取り分けて、105℃で6時間加熱脱水することによって含水率7.2質量%の茶殻(試料1f)を得た。
【0043】
(試料2a〜2e)
試料1a〜1eの各々について、茶殻を4部に分けて各々を厚さ70μmのビニール袋(35cm×23cm)に個別に封入し、ポンプで内部の空気を脱気して、温度を37℃に保持して50時間、100時間、500時間又は1000時間静置することによって嫌気処理を施し、処理時間の異なる茶殻を得た。
【0044】
(試料3a〜3e)
上述で取り分けた試料1a〜1eの各々について、4部に分けて各々を厚さ70μmのビニール袋(35cm×23cm)に個別に封入し、ポンプで内部に空気を注入して、温度を37℃に保持して50時間、100時間、500時間又は1000時間静置することによって好気処理を施し、処理時間の異なる茶殻を得た。
【0045】
(茶殻の評価)
試料2a〜2e,3a〜3eの各々について、茶殻の外観を目視により観察し、カビの有無調べた。カビが無く、全体の色が緑色であるものを○、カビは見られないが、全体の色が黒ずんだものを△、カビがあるものを×として、茶殻の性状を表1に示す。
【0046】
又、試料1a〜1f,2a〜2e,3a〜3eの各々について、以下の操作を行った。
【0047】
表1に示す含水率の各茶殻試料に水を加えて、ミキサー(商品名:ジューサーミキサーJC−L80MR、株式会社東芝製)により3分間粉砕して、固形分濃度が5質量%の粉砕茶殻スラリー500g(乾燥質量換算で25gに相当)を得た。このスラリーを目開き1mmのふるいを用いて篩分け、ふるいを通過したスラリーを105℃で12時間乾燥して茶殻固形物を得た。得られた茶殻固形物の収量を測定し、茶の香りの有無を調べた。結果を表1に示す(表中、性状欄の○は香りがあるもの、×は香りがないものを示す)。
【0048】
尚、参考試料として、茶飲料の抽出に用いる前の緑茶葉(含水率5.8質量%)について上記と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0049】
(表1)
試料 含水率(%) 処理時間(hr) 収量(g) 性状 香り
参考 5.8 − 12 − ○
1a 85.6 − 17 − ○
1b 80.2 − 16 − ○
1c 75.3 − 15 − ○
1d 58.2 − 14 − ○
1e 50.7 − 14 − ○
1f 7.2 − 13 − ○
2a 85.6 1000 19 △ ×
85.6 500 20 △ ×
85.6 100 19 △ ×
85.6 50 17 ○ ○
2b 80.2 1000 19 △ ×
80.2 500 19 ○ ○
80.2 100 18 ○ ○
80.2 50 17 ○ ○
2c 75.3 1000 19 ○ ○
75.3 500 18 ○ ○
75.3 100 17 ○ ○
75.3 50 16 ○ ○
2d 58.2 1000 15 ○ ○
58.2 500 15 ○ ○
58.2 100 14 ○ ○
58.2 50 14 ○ ○
2e 50.7 1000 15 ○ ○
50.7 500 15 ○ ○
50.7 100 14 ○ ○
50.7 50 14 ○ ○
3a 85.6 1000 19 × ×
85.6 500 19 × ×
85.6 100 19 × ×
85.6 50 18 × ×
3b 80.2 1000 19 × ×
80.2 500 19 × ×
80.2 100 18 × ×
80.2 50 17 × ○
3c 75.3 1000 19 × ×
75.3 500 19 × ×
75.3 100 17 × ×
75.3 50 16 ○ ○
3d 58.2 1000 16 × ×
58.2 500 15 × ×
58.2 100 14 × ×
58.2 50 14 ○ ○
3e 50.7 1000 15 × ×
50.7 500 14 × ×
50.7 100 14 ○ ○
50.7 50 13 ○ ○
【0050】
表1によれば、試料2a〜2e及び試料3a〜3eの何れにおいても、袋内での処理時間が長くなると、粉砕後の収量が増加して粉砕効率が上がることから、処理中に微生物による嫌気又は好気発酵等の分解反応が進行することが解る。但し、試料3a〜3eではカビが生じ、香りも消失することから、嫌気状態と好気状態とでは異なる変化が進行することが明らかである。又、試料2aにおいては、処理時間が長くなると香りが消失し、外観も変化することから、茶殻の含水率が高いと、好ましくない反応が起こり易くなることが解る。
【0051】
処理を施す前の茶殻(試料1a〜1f)において、茶殻の含水率が低いほど粉砕後の収率が低いのは、乾燥によって茶殻が固く締まることに起因すると考えられ、飲料製造残渣をそのまま粉砕する場合に可能な最大収量は、試料1aの収量程度となる。試料1aの収量を基準として粉砕効率の向上効果を評価すると、100時間以上嫌気処理した試料2b、2cにおける効果が高いことから、茶殻の含水率を60〜80質量%程度に調節するこのが好ましいと理解される。又、好ましくない反応の進行を抑制する上で、嫌気処理時間は50時間〜1000時間程度が好ましい。
【実施例2】
【0052】
(嫌気処理茶殻を配合した紙シートA1〜A7の調製)
実施例1において嫌気処理を1000時間施した試料2cの茶殻(含水率75.3質量%)に水を加えて、ミキサー(商品名:ジューサーミキサーJC−L80MR、株式会社東芝製)により3分間粉砕し、篩い分けして100μm以上1mm未満の茶殻粉砕物のスラリーを調製した。更に、紙パルプを水に加えて紙パルプスラリーを調製し、乾燥質量比で茶殻粉砕物が10質量%となるように粉砕茶殻スラリーを紙パルプスラリーに配合した。この配合スラリーを目開き80メッシュの網に流し込み、この際の流し込み量を調節することによって秤量の異なる7種類の紙シートA1〜A7を抄紙して約120℃で乾燥した。
【0053】
(茶殻無配合の紙シートB1〜B6の調製)
紙シートA1〜A7の調製に用いたと同様の紙パルプスラリーを調製し、茶殻を配合することなく、目開き80メッシュの網に流し込み、この際の流し込み量を調節することによって秤量の異なる6種類の紙シートB1〜B6に抄紙して約120℃で乾燥した。
【0054】
(遮光性試験)
植物質基材として杉板、ヒノキ板、エゾマツ板及び藺草シートを用いて、以下の操作を行うことによって、上述で得た紙シートA1〜A7,B1〜B6の遮光性の評価を行った。
【0055】
各植物質基材について、基材表面におけるハンターLab表色系のL値、a値及びb値を分光色差計(日本電色工業株式会社製SE2000)を用いて予め測定した。次に、植物質基材を紙シートで覆って紫外線ランプを用いて18時間照射した後に、紙シートを取り除いてL値、a値及びb値を再度測定した。紫外線照射前後の測定値から色差ΔEの値を下記の計算式により求めた(式中、L1,a1及びb1は照射前のL値,a値及びb値であり、L2,a2及びb2は照射後のL値,a値及びb値である)。
【0056】
ΔE=[(L2−L1)+(a2−a1)+(b2−b1)1/2
【0057】
また、各植物質基材について、紙シートによる被覆がない場合における照射前後の測定値から色差ΔEを求めた。
【0058】
紙シートA1〜A7の色差ΔEを表2に、紙シートB1〜B6の色差ΔEを表3に示す。この色差ΔEが小さいほど遮光性が高いことを意味する。
【0059】
(表2)
嫌気処理茶殻配合紙の場合の色差
試料 秤量 色差ΔE
(g/m) 杉 ヒノキ エゾマツ 藺草
紙無し − 5.9 4.8 4.0 15.3
A1 14 4.7 4.5 3.8 15.0
A2 20 4.6 4.6 3.9 14.9
A3 28 4.6 4.3 3.6 14.9
A4 42 3.3 3.1 2.4 12.5
A5 55 3.0 2.5 1.9 7.5
A6 68 1.6 1.8 1.2 5.4
A7 80 1.2 0.9 0.4 3.1
【0060】
(表3)
無配合紙の場合の色差
試料 秤量 色差ΔE
(g/m) 杉 ヒノキ エゾマツ 藺草
紙無し − 5.9 4.8 4.0 15.3
B1 22 4.8 4.5 3.7 15.0
B2 44 4.5 4.0 3.6 14.9
B3 65 3.2 3.4 3.0 13.8
B4 70 3.1 3.1 2.7 10.5
B5 80 1.8 1.7 1.3 9.5
B6 90 1.5 1.2 1.1 4.3
【0061】
表2と表3との比較から、嫌気処理茶殻の配合によって色差が減少することが明らかであり、遮光効果を有することが解る。10質量%の配合割合においては、所定の遮光性を得る上で、秤量を無配合紙より20g/m程度以上減少させることが可能であり、薄く軽量な遮光紙を提供できる。
【0062】
尚、嫌気処理を施さない茶殻の場合は、上述と同様の配合紙を作成しても、茶由来の香りが消失して腐敗臭を生じ、カビも発生するので、紙シートとしての商品価値がない。嫌気処理によって、茶殻に含まれる微生物の生育要素が減少すると理解される。
【実施例3】
【0063】
実施例1において嫌気処理を1000時間施した試料2cの茶殻(含水率75.3質量%)に水を加えて、ミキサー(商品名:ジューサーミキサーJC−L80MR、株式会社東芝製)により3分間粉砕し、篩い分けして100μm以上1mm未満の茶殻粉砕物のスラリーを調製した。更に、紙パルプを水に加えて紙パルプスラリーを調製し、抄紙後の紙中の茶殻粉砕物が乾燥質量比で5質量%、10質量%、15質量%又は20質量%となるように茶殻粉砕物スラリーと紙パルプスラリとの割合を調節して粉砕茶殻スラリーを紙パルプスラリーに配合した。得られた各濃度の配合スラリー、及び、茶殻を加えない(0質量%)紙パルプスラリーを用いて、以下の操作を行った。
【0064】
スラリーを目開き80メッシュの網に流し込み、この際の流し込み量を調節することによって秤量の異なる4種類の紙シートを抄紙して約120℃で乾燥した。得られた紙シートについて、植物質基材として杉板を用いて実施例2と同様に遮光性試験を行い、基材の色差ΔEを算出することによって紙シートの遮光性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0065】
(表4)
茶殻配合割合と色差との関係
秤量 茶殻配合割合(質量%)
(g/m) 0 5 10 15 20
20 5.0 5.1 4.6 4.2 4.0
40 4.5 3.7 3.4 2.5 2.1
60 3.7 1.9 1.6 1.2 0.9
80 1.8 1.2 1.2 0.8 0.5
【0066】
表4において、20〜80g/mの何れの秤量においても茶殻の配合によって色差が減少し、遮光効果があることが明らかであり、特に、秤量が40〜60g/mにおいて、茶殻配合による遮光効果が顕著に現れている。各秤量値における色差を比較すると、秤量80g/mの紙と同等の遮光効果は、秤量60g/mでは茶殻の配合割合を約5質量%以上、秤量40g/mでは約20質量%以上とすることで達成でき、茶殻の配合によって遮光紙を薄く軽量にすることができることが解る。
【実施例4】
【0067】
実施例1において嫌気処理を1000時間施した試料2cの茶殻(含水率75.3質量%)に水を加えて、ミキサー(商品名:ジューサーミキサーJC−L80MR、株式会社東芝製)により3分間粉砕し、篩い分けして100μm以上1mm未満の茶殻粉砕物のスラリーを調製した。更に、紙パルプを水に加えて紙パルプスラリーを調製し、乾燥質量比で茶殻粉砕物が10質量%となるように茶殻粉砕物スラリーと紙パルプスラリとの割合を調節して粉砕茶殻スラリーを紙パルプスラリーに配合した。得られた配合スラリーを目開き80メッシュの網に流し込み、この際の流し込み量を調節して乾燥後の秤量が70g/mとなるように紙シートを抄紙し、約120℃で乾燥した。
【0068】
植物質基材として杉板を用意し、上述で得た茶殻配合紙シート、市販の白色紙(秤量:70g/m)及び黒色紙(秤量:70g/m)の各々で基材を被覆して太陽光(6月の午前11時頃の日射)を照射し、各紙と基材との間の温度を測定して、太陽光の照射時間との関係を調べた。結果を表5に示す。
【0069】
(表5)
太陽光照射による温度変化
照射時間 温度(℃)
(分) 茶殻配合紙 白色紙 黒色紙
0 23.0 23.0 23.0
2 29.0 29.0 31.0
5 33.0 33.0 36.5
10 40.0 40.0 45.0
15 41.0 42.0 47.0
20 42.5 43.5 49.0
25 43.5 44.5 49.5
30 44.0 45.5 52.0
40 45.0 46.0 53.0
60 47.0 48.0 58.0
【0070】
茶殻配合紙を用いた場合の温度上昇は、黒色紙の場合の温度上昇よりかなり小さく、白色紙の場合の温度上昇と比較しても小さい。このことから、茶殻配合紙の遮光性は、黒色紙のような光吸収単独による遮光とは異なり、白色紙と同等の光反射作用や、葉緑素のような吸収光のエネルギー転換作用があることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
飲料製造残渣は、嫌気処理によって粉砕し易くなり、残渣由来の好ましい香りを保有すると共に、紙に配合した時に遮蔽性を高める素材となるので、紙への配合材として利用可能であり、薄く軽量で遮光性に優れた機能紙が提供され、木質材等を光及び熱から保護して熟成するための被覆シートとして有用である。飲料製造残渣の有効活用を進めて、地球環境への負荷の軽減に貢献することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水率が60質量%以上80質量%以下の飲料製造残渣を用意し、前記飲料製造残渣に50時間以上1000時間未満の嫌気処理を施すことを特徴とする紙配合材の製造方法。
【請求項2】
更に、嫌気処理後の飲料製造残渣を粉砕する工程を有する請求項1記載の紙配合材の製造方法。
【請求項3】
前記飲料製造残渣は、茶抽出残渣、コーヒー抽出残渣、野菜搾液残渣及び果物搾液残渣から選ばれる少なくとも1種の植物由来有機質残渣を含有し、前記嫌気処理において嫌気発酵が進行する請求項1又は2に記載の紙配合材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の紙配合材の製造方法によって得られる紙配合材と、紙パルプとを含有するパルプスラリーを調製し、前記パルプスラリーを抄紙することを特徴とする機能紙の製造方法。
【請求項5】
前記機能紙は遮光性紙である請求項4に記載の機能紙の製造方法。
【請求項6】
飲料製造残渣の嫌気処理物を含有することを特徴とする紙配合材。
【請求項7】
前記飲料製造残渣は、茶抽出残渣、コーヒー抽出残渣、野菜搾液残渣及び果物搾液残渣から選ばれる少なくとも1種の植物由来有機質残渣を含有し、前記嫌気処理物は嫌気発酵物である請求項6記載の紙配合材。
【請求項8】
飲料残渣の香りを保有する、紙の遮光性を向上させるための請求項6又は7に記載の紙配合材。
【請求項9】
パルプ繊維と、飲料製造残渣の嫌気処理物とを含有することを特徴とする機能紙。
【請求項10】
前記飲料製造残渣は、茶抽出残渣、コーヒー抽出残渣、野菜搾液残渣及び果物搾液残渣から選ばれる少なくとも1種の植物由来有機質残渣を含有し、前記嫌気処理物は嫌気発酵物である請求項9記載の機能紙。
【請求項11】
前記飲料製造残渣の嫌気処理物の含有割合が5質量%以上20質量%以下であり、秤量が14g/m以上400g/m以下である請求項9又は10に記載の機能紙。
【請求項12】
飲料製造残渣の香りを保有し、遮蔽シートとして利用可能な請求項9〜11の何れかに記載の機能紙。

【公開番号】特開2012−82550(P2012−82550A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229564(P2010−229564)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】