説明

紫外線吸収剤複合化粉体及びその製造方法

【課題】 本発明は、油相への溶解性における問題を解決し、かつ経時での紫外線防御能の低下を防ぐことを目的とする。
【解決手段】 疎水性粉体上に紫外線吸収剤を均一に吸着・被覆してなる紫外線吸収剤複合化粉体及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疎水性粉体に紫外線吸収剤を吸着・被覆させた紫外線吸収粉体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から紫外線吸収剤は、化粧料、塗料、容器ならびにシートに用いられている。
【0003】従来公知の紫外線吸収剤は多数あるが、その中でケイ皮酸系、ベンゾフェノン系及びジベンゾイルメタン系等の化合物がよく用いられている。これらの化合物は紫外線防御能があるが、その中には溶媒や油分への溶解性が低いものあるいは濃度を上げると衣類等への染着性が現れるなどの問題のあるものがあり、使用が限定されていた。
【0004】また、特開平6−239732号公報(固定化紫外線吸収剤及びその製造方法)に記載の化学結合によって粉体上に固定化する方法もあるが、多量の有機溶媒を使用すること、及び固定化反応における未反応物の除去等、環境問題的にも好ましくはなく、更に操作も煩雑であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、前記した従来技術の問題点、即ち油相への溶解性及び染着性における問題を解決し、それにより配合量を増やし紫外線防御能を高めるとともに簡便な方法で製造することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点は紫外線吸収能を有し、油分へ分散する粉体を開発することによって解決する。
【0007】即ち、シリコーンポリマー被覆により表面改質された疎水性の粉体上に、吸着・析出を利用して紫外線吸収剤を均一に被覆を行った。これにより、油分への分散性が良く、優れた紫外線吸収能を示すこと、またシリコーンポリマー被覆により粉体の表面活性を消失させ(本発明者らの先願に係わる特公平1−54380号公報、特公平1−54381号公報に具体的に記載)、被覆した紫外線吸収剤の安定性が向上することを見いだし、また、非常に簡便な方法であることから、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明の紫外線吸収剤複合化粉体及びその製造方法について具体的に説明する。
【0009】粉体の種類については、例えば無機粉体の場合、セリサイト、タルク、マイカ、シリカ及びカオリン等の体質顔料系粉体、酸化亜鉛、酸化チタン、群青等の金属酸化物、あるいはナイロンパウダー等の有機粉体等が挙げられるが、本発明の範囲をこれらの例に限定するものではないことは言うまでもない。
【0010】本発明で用いる疎水性粉体に関する粉体の疎水化処理方法は、それ自体公知であり、例えばシリコーンポリマー被覆による方法では本発明者らの先願に係わる特開昭63−171678号公報に具体的に記載されるものを挙げることができる。被覆するシリコーンポリマーとしては、例えばシリコーンポリマーの前駆体なるシリコーンモノマーあるいはオリコマーを粉体上に吸着させ、その表面上で重合させることにより均一なシリコーンポリマー被覆を形成させたものが好ましい。この被覆に都合の良いシリコーンモノマーまたはオリゴマーとしては、下記式化1のシリコーン化合物を使用することができる。
【0011】
【化1】(R1HSiO)a(R23SiO)b(R456SiO1/2c(式中、R1,R2及びR3は相互に独立に水素原子であるかまたはハロゲン原子が少なくとも1個で置換されていることのある炭素数1〜10の炭化水素基であるが、ただしR1,R2及びR3が同時に水素原子であることはないものとし、そしてR4,R5及びR6は相互に独立に水素原子であるかまたはハロゲン原子が少なくとも1個で置換されていることのある炭素数1〜10の炭化水素基であり、aは1以上の整数であり、cは0または2であるが、但し、cが0である場合にはa+bが3以上の整数であるものとし、そしてa+b+cの最大値は10000であるものとし、この化合物はSi−H部分を少なくとも1個含むものとする)
【0012】前記式化1において基R1〜R6はそれぞれ、各繰り返し単位においてそれぞれ異なるものであることができる。
【0013】上記一般式の具体的な化合物として、例えば、下記式化2、化3、化4及び化5で示される化合物をあげることができる。
【0014】
【化2】


(式中、R7は低級アルキル基例えばメチル基もしくはエチル基またはアリール基例えばフェニル基であり、d=3〜7である)
【0015】
【化3】


(式中、R8及びR9は低級アルキル基またはアリール基であり、R10はアルキル基またはアリール基であり、e+fは3〜100である)
【0016】
【化4】


(式中、gは好ましくは1〜500、特に好ましくは2〜5である)
【0017】
【化5】


(式中、h+iは1〜500であり、h≧2である)
【0018】また、化4及び化5中の1個またはそれ以上のメチル基が、エチル基、プロピル基またはフェニル基等1個またはそれ以上で置き換えたものを使用することもできる。
【0019】このような化合物としては、例えば、ジハイドロジェンヘキサメチルシクロテトラシロキサン、トリハイドロジェンペンタメチルシクロテトラシロキサン、テトラハイドロジェンテトラメチルシクロテトラシロキサン、ジハイドロジェンオクチルシクロペンタシロキサン、テトラハイドロジェンヘキサメチルシクロペンタシロキサン及びペンタハイドロジェンペンタメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シリコーン化合物ならびに1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサンおよび1,1,1,3,5,7,9,11,11,11−デカメチルヘキサシロキサンなどの直鎖状シリコーン化合物を挙げることができる。これらのシリコーン化合物は、例えば前記公開公報に示される固体表面上での重合によって、固体表面上に堆積したシリコーンポリマー被覆を形成することができる。
【0020】本発明において、シリコーン化合物との接触、及び重合は気相処理によって行うことが最も好ましいが、前記シリコーン化合物を溶媒に溶かし粉体を分散させた後に乾燥させて粉体表面上にシリコーンポリマー被膜を形成させることもできるし、溶媒に溶かしたシリコーン化合物を直接噴霧し加熱乾燥してシリコーンポリマー被膜を形成させることもできる。即ち、液相処理を利用することができ、液相処理の場合には、処理後乾燥すれば、シリコーンポリマー被膜が表面上に形成され、それだけでも安定な粉体が得られる。気相処理の場合は乾燥工程さえ不要である。たとえば、適当な混合機(回転ボールミル,振動式ボールミル,遊星型ボールミル,サンドミル,アトライター,パグミル,ポニミキサー,プラネタリーミキサー,擂潰機等の中に粉体を装入し、メカノケミカルに処理することによって実施する。
【0021】次に、シリコーン被覆粉体表面上への紫外線吸収剤の被覆方法について説明する。まず、有機溶媒中に紫外線吸収剤を溶解させ、さらにシリコーン被覆粉体を加え、攪拌してよく分散させる。その後、水を徐々に滴下していくことにより紫外線吸収剤の溶解度が下がり、シリコーン被覆粉体表面上に析出・被覆される。
【0022】また、前記方法により被覆される紫外線吸収剤の被覆量は、シリコーン被覆粉体、紫外線吸収剤あるいは滴下する水の量を選ぶことにより任意に調整することができる。なお、処理温度は、有機溶媒の沸点以下であれば特に限定されない。
【0023】シリコーン被覆粉体表面上への紫外線吸収剤の被覆に用いる有機溶媒は、アセトン,エタノール,トルエン等紫外線吸収剤を溶解せしめるものであればどんなものでもよい。必要ならば、2種以上の有機溶媒を組み合わせて使用しても良い。
【0024】次に、シリコーン被覆粉体表面上に析出・被覆させる紫外線吸収剤について例を挙げる。
【0025】この処理で使用される紫外線吸収剤は、たとえば4−アミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAブチルエステル、PABAグリセリルエステル、N,N−ジイソプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAアミルエステル、N,N−ジメチルPABAイソオクチルエステル等のPABA系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、ジプロピレングリコールサリシレート、エチレングリコールサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、4−イソプロピルシンナメート、2,5−ジイソプロピルシンナメート、2,4−ジイソプロピルシンナメート、p−メトキシシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、モノ−2−エチルヘキサノイル−ジ(−p−メトキシシンナモイル)グリセリン、3,4,5−トリメトキシシンナメート、3,4,5−トリメトキシシンナメート、1−メチルアリル−3,4,5−トリメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4'−メトキシベンゾフェノン,2,2’−ジヒドロキシ−4'−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2'−メチル−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(n−オクトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4'−クロルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−3,3−ジスルホン酸塩等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニエチルエステル、4−イミダゾールアクリル酸[ウロカニン酸誘導体]、2−フェニル−5−メチルベンゾヘキサゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、ベンジルフタリド、アントラセン、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾリルカーボネート、ジアニソイルメタン、2−ヒドロキシ−4'−ヒドロキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−メトキシ−4'−ヒドロキシジベンゾイルメタン、4−ヒドロキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−メトキシ−3’−アリル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、3−アリル−4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,3−ジヒドロキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,3−ジメトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,4−ジメトキシ−4',5'−ジ−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,5−ジ−t−ブトキシ−4',5'−ジ−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,4,5−トリメトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンテン−2−オン、グアニン、シンコニジン、ベラトロール、4−(3,4−ジメトキシフェニルエチレン)−2,5−ジオキソイミダゾリジン−1−プロピオン酸2−エチルヘキシルエステル等のイミダゾリジン誘導体等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0026】本発明において、前記紫外線吸収剤の被覆量は特に限定されないが、本発明の紫外線吸収複合粉体全量中5〜40重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。被覆量を5重量%未満とすると、吸収能が弱くなることがあり、40重量%を超えると、凝集し、ざらつくこともある。
【0027】こうして本発明の紫外線吸収剤複合化粉体が得られる。なお、本発明による紫外線吸収剤複合化粉体は、化粧料、塗料、容器、プラスチック、紙、繊維、シート、ガラス、プリズム、レンズ等に利用することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0029】調製例1:微粒子シリカゲルのシリコーンポリマー被覆容積100リットルの回転式ダブルコーン型反応槽(ステンレススチール製、保温ジャケット付き)中に粒径50nmのシリカゲル4kgを入れた。その反応槽及びそれに直結させた容積10リットルの処理液供給タンク(ステンレススチール製、保温ジャケット付き)の温度は、80℃に加熱した熱媒体を循環ポンプで熱媒体加熱槽から各保温ジャケットに供給することにより、80℃に保持した。処理液供給タンクに窒素ガスを1.5リットル/minで供給して、処理液をバブリングさせた。なお、反応槽には凝縮器を取り付け、窒素ガスがそこから放出され、未反応の処理剤が回収できるようにした。また、反応槽は10分間隔で1分間回転させ、反応槽内で微粒子シリカゲルを混合する操作を8時間繰り返し、処理粉体を取り出した。
【0030】得られた処理粉体は著しい疎水性を示した。
【0031】調製例2調製例1の微粒子シリカゲルを微粒子二酸化チタンに変えて、同様の処理を行い、シリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを得た。
【0032】調製例3調製例1の微粒子シリカゲルをセリサイト10kgに変えて、同様の処理を行い、シリコーンポリマー被覆セリサイトを得た。
【0033】調製例4調製例1の微粒子シリカゲルをタルク10kgに変えて、同様の処理を行い、シリコーンポリマー被覆タルクを得た。
【0034】調製例5微粒子二酸化チタン20gを遊星形ボールミルに入れ5分間混合摩砕後、メチルハイドロジェンポリシロキサン(分子量6000)1gを加えてさらに混合摩砕を3時間行った。
【0035】得られたシリコン被覆微粒子二酸化チタンは著しい疎水性を示した。
【0036】調製例6調製例5の微粒子二酸化チタンをセリサイトに変えて、同様の処理を行い、シリコーンポリマー被覆セリサイトを得た。
【0037】調製例7調製例5の微粒子二酸化チタンをシリカゲルに変えて、同様の操作を行い、シリコーンポリマー被覆シリカゲルを得た。
【0038】調製例8調製例5の微粒子二酸化チタンを亜鉛華に変えて、同様の操作を行い、シリコーンポリマー被覆亜鉛華を得た。
【0039】実施例1−1:シリコーンポリマー被覆微粒子シリカゲル上への紫外線吸収剤の被覆4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン20gを150mLのアセトンに溶解させ、これと調製例1のシリコーンポリマー被覆微粒子シリカゲル60g及びエタノール400mLを3リットルのビーカーに入れ攪拌・分散させた。次に、すばやく攪拌しながら900mLの水を徐々に滴下した。滴下終了後、ろ過及び乾燥を行い、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタンを被覆した複合化粉体を得た。
【0040】実施例1−2調製例2のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0041】実施例1−3調製例3のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0042】実施例1−4調製例4のシリコーンポリマー被覆タルクを用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0043】実施例1−5調製例5のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0044】実施例1−6調製例6のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0045】実施例1−7調製例7のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0046】実施例1−8調製例8のシリコーンポリマー被覆亜鉛華を用いて、実施例1−1と同様の処理を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0047】実施例2−1調製例1のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例1−1と同様の操作を3,4,5−トリメトキシシンナメートにて行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0048】実施例2−2調製例2のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0049】実施例2−3調製例3のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0050】実施例2−4調製例4のシリコーンポリマー被覆タルクを用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0051】実施例2−5調製例5のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0052】実施例2−6調製例6のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0053】実施例2−7調製例7のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0054】実施例2−8調製例8のシリコーンポリマー被覆亜鉛華を用いて、実施例2−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0055】実施例3−1調製例1のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例1−1と同様の操作を2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールにて行い、ベンゾトリアゾールで表面修飾された紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0056】実施例3−2調製例2のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0057】実施例3−3調製例3のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0058】実施例3−4調製例4のシリコーンポリマー被覆タルクを用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0059】実施例3−5調製例5のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0060】実施例3−6調製例6のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0061】実施例3−7調製例7のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0062】実施例3−8調製例8のシリコーンポリマー被覆亜鉛華を用いて、実施例3−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0063】次に、本発明に係る紫外線吸収剤複合化粉体を配合した各種皮膚外用剤の実施例について説明する。
【0064】なお、各実施例の皮膚外用剤とも、皮膚刺激性、アレルギー性は認められず、皮膚に対する安全性は極めて高いものであった。
【0065】実施例4−1調製例1のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例1−1と同様の操作を2ーヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンにて行い、ベンゾフェノンで表面修飾された紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0066】実施例4−2調製例2のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0067】実施例4−3調製例3のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0068】実施例4−4調製例4のシリコーンポリマー被覆タルクを用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0069】実施例4−5調製例5のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0070】実施例4−6調製例6のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0071】実施例4−7調製例7のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0072】実施例4−8調製例8のシリコーンポリマー被覆亜鉛華を用いて、実施例4−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0073】実施例5−1調製例1のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例1−1と同様の操作を4−(3,4−ジメトキシフェニルエチレン)−2、5−ジオキソイミダゾリジン−1−プロピオン酸2−エチルヘキシルエステルで行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0074】実施例5−2調製例2のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0075】実施例5−3調製例3のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0076】実施例5−4調製例4のシリコーンポリマー被覆タルクを用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0077】実施例5−5調製例5のシリコーンポリマー被覆微粒子二酸化チタンを用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0078】実施例5−6調製例6のシリコーンポリマー被覆セリサイトを用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0079】実施例5−7調製例7のシリコーンポリマー被覆シリカゲルを用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0080】実施例5−8調製例8のシリコーンポリマー被覆亜鉛華を用いて、実施例5−1と同様の操作を行い、紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0081】
実施例6:ファンデーション 配 合 成 分 重量%(1)実施例2−3の紫外線吸収剤複合化粉体 10.0(2)二酸化チタン 13.0(3)コロイダルカオリン 25.0(4)タルク 34.7(5)ベンガラ 1.0(6)黄酸化鉄 2.5(7)黒酸化鉄 0.1(8)流動パラフィン 8.0(9)セスキオレイン酸ソルビタン 3.5(10)グリセリン 2.0(11)エチルパラベン 0.2
【0082】(製法)上記成分(1)〜(7)を混合し、粉砕機を通して平均粒径1〜5μmに粉砕した。 これを高速ブレンダーに移し、成分(10)を加えて混合した。 別に成分(8),(9)及び(11)を混合し、均一にしたものを上記混合物に加えてさらに均一に混合した。これを粉砕機で処理し、ふるいを通し粒度を整えた後、圧縮成形し、ケーキ型ファンデーションを得た。
【0083】
実施例7:乳化ファンデーション 配 合 成 分 重量% (A) イオン交換水 43.5 コンドロイチン硫酸ナトリウム 1 乳酸ナトリウム 0.5 1,3-ブチレングリコール 3 メチルパラベン 適量(B) ジメチルポリシロキサン(20cs) 16 デカメチルシクロペンタシロキサン 5 シリコーン樹脂 1 セチルイソオクタネート 1 ポリオキシアルキレン変性 オルガノポリシロキサン(変性率 20%) 4 酸化防止剤 適量 香料 適量(C) 黄色酸化鉄 1 赤色酸化鉄 0.45 黒色酸化鉄 0.2 実施例1−2の紫外線吸収剤複合化粉体 11.7 実施例1−3の紫外線吸収剤複合化粉体 11.65
【0084】(製法)成分(B)を加熱溶解後、成分(C)の粉体を添加分散する。さらに予め溶解加熱しておいた成分(A)を添加乳化し室温まで冷却して乳化ファンデーションを得た。
【0085】
実施例8:プレストパウダー 配 合 成 分 重量%(1) 実施例1−6の紫外線吸収剤複合化粉体 30(2) 実施例1−4の紫外線吸収剤複合化粉体 65.8(3) 酸化鉄顔料 0.1(4) スクワラン 2.0(5) 2-エチルヘキシルパルミテート 2.0(6) 香料 0.1
【0086】(製法)成分(1),(2)及び(3)をヘンシェルミキサーで混合し、これに成分(4)及び(5)を加熱混合したものを吹き付け、混合後粉砕し、中皿に成型してプレストパウダーを得た。
【0087】
実施例9:紫外線防御スティック 配 合 成 分 重量%(1)実施例3−2の紫外線吸収剤複合化粉体 20.0(2)実施例3−4の紫外線吸収剤複合化粉体 10.0(3)実施例3−3の紫外線吸収剤複合化粉体 11.0(4)酸化鉄(赤色、黄色、黒色) 0.5(5)カルナウバロウ 1.0(6)固形パラフィン 3.0(7)流動パラフィン 45.0(8)イソプロピルミリステート 8.0(9)ソルビタンセスキオレート 1.5(10)香料 適量
【0088】(製法)成分(7)〜(9)を釜に流し込み、80〜90℃に加温し成分(5)(6)を加えて溶解させる。これに成分(1)〜(4)を加えて均一に分散し、脱気後成分(10)を加えてゆるやかに攪拌する。これを80℃で容器に流し込み室温まで冷却することにより紫外線防御スティックを得た。
【0089】比較例1実施例7の処方において、実施例3−2の紫外線吸収剤複合化粉体を未処理の二酸化チタンに置換した他は実施例7と同様にして比較例1の紫外線吸収剤複合化粉体を得た。
【0090】実施例7のものは、比較例1のものに比べ二酸化チタンの分散性が良く、きれいに仕上がり、日焼け止め効果の高いものであった。
【0091】
実施例10:口紅 配 合 成 分 重量%(1)炭化水素ワックス 3.0(2)カルナウバロウ 1.0(3)グリセリルイソステアレート 40.0(4)流動パラフィン 45.8(5)実施例2−2の紫外線吸収剤複合化粉体 4.0(6)酸化鉄,セリサイト混合粉体 6.0(7)香料 0.2
【0092】(製法)成分(1)〜(4)を85℃で溶かし、その中に成分(5)(6)を攪拌しながら加えた。最後に、攪拌下で成分(7)を加えた。得られた混合物を容器に裝入した。こうして、優れた分散性を持つ所望の口紅が得られた。
【0093】
実施例11:日焼け止めクリーム 配 合 成 分 重量% (A)デカメチルシクロペンタシロキサン 42.0 ポリエチレングリコール 5.0 分散剤 適量(B)セチルアルコール 5.0 ワセリン 10.0 ジメチルポリシロキサン(10cs/25℃) 15.0 メチルフェニルポリシロキサン(20cs/25℃) 5.0 ミクロクリスタリンワックス 5.0 グリセリルモノステアレート 3.0 ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 3.0 香料 適量 防腐剤 適量 酸化防止剤 適量(C)実施例4−2の紫外線吸収剤複合化粉体 5.0 着色顔料 適量
【0094】(製法)(A)相を加熱溶解した後(C)相を添加しホモミキサーで均一に分散させる。それに(B)相を加熱溶解したものを添加してよく攪拌し、ホモミキサーで均一に分散後、攪拌冷却することにより日焼け止めクリームを得た。
【0095】
実施例12:ボディパウダー 配 合 成 分 重量% (A)タルク 50.0 実施例5−4の紫外線吸収剤複合化粉体 39.0 パール剤 1.0 着色顔料 適量(B)亜鉛華 3.0(C)ステアリン酸マグネシウム 4.0 流動パラフィン 1.0 殺菌剤 適量(D)香料 適量
【0096】(製法)(A)をブレンダーで混合する。これに(B)を添加してよく混合してから(C)を加え、調色した後、香料(D)を噴霧し均一に混ぜる。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通すことによりボディパウダーを得た。
【0097】実施例13 塗料実施例3−5で得た紫外線吸収剤複合化粉体20gとアクリル樹脂溶液(Mn48、200、Mw/Mn2.56)18gをガラスビーズ70gと共にペイントシェーカーで20分間混練して塗料を得た。
【0098】得られた塗料は耐光性が向上していることがわかった。
【0099】実施例14 容器実施例1−3で得た紫外線吸収剤複合化粉体をポリエチレン中に2重量%混合して白色のポリスチレン広口瓶を射出成形で成形した。
【0100】比較例2比較例2として紫外線吸収剤複合化粉体を混合しないで白色のポリスチレン広口瓶を射出成形した。
【0101】実施例14と比較例2の広口瓶からそれぞれ4cm×4cmの大きさのピースを切り取り紫外線吸収スペクトル(拡散反射法)を測定したところ実施例14で得られたピースの方に高い紫外線吸収効果がみられた。
【0102】(本発明の複合化粉体の被覆状態の確認)図1に本発明の複合化粉体と紫外線吸収剤と粉末を乳鉢で混合した単純混合品との熱分析(DTA曲線)を示した。
【0103】同図に示したように、単純混合品では、85℃付近に吸収剤の融点のピークが認められるのに対し、本発明の複合化粉体では、単純混合品のようなピークは認められず、均一にアモルファス状態で被覆されているのがわかる。
【0104】(紫外線吸収能の評価1)本評価は本発明の複合化粉体、単純混合品の各粉末をシリコーン油に5%分散させ、石英板上に5μm塗布し紫外線吸収スペクトルを測定した。結果を図2に示す。
【0105】同図に示されるように、本発明の複合化粉体は、単純混合品と比較し紫外線吸収能が著しく向上していることがわかった。
【0106】(紫外線吸収能の評価2)本評価の測定方法は、粘着テープに一定量の下記3種類の粉末を均一に塗布後、につき透過スペクトルを測定した。
【0107】A:本発明(本明細書中実施例1−3記載の粉体使用)
B:シリコーン被覆粉体上に特開平6−239732号公報に記載の方法により3−アリル−4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタンを化学的に結合したものC:シリコーン処理のみ施した雲母(本明細書中調製例3に記載の粉体使用)結果を図3に示す。
【0108】同図に示されるように、本発明の複合化粉体(A)は、シリコーン被覆粉体上に特開平6−239732号公報に記載の方法により3−アリル−4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタンを化学的に結合したもの(B)、及びシリコーン処理のみ施した雲母(C)に比べ、紫外線吸収能が著しく向上していることがわかった。
【0109】(UV−A透過量の評価)つぎに、本発明及び従来例につき下記の成分でUV−A透過量の評価を行った。
【0110】本発明Aとして、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタンを複合化粉体として10重量%被覆されているものを用い、また、該被覆量を20重量%としたものを本発明Bとした。従来例としては、前記4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタンを酸化チタンに変更し、これを従来例Aとした。
【0111】
配 合 成 分 (重量%) 本発明A 本発明B 従来例A イオン交換水 52.65 52.65 52.65 イソステアリン酸 1 1 1 1,3-ブチレングリコール 5 5 5 メチルパラベン 0.15 0.15 0.15 フェノキシエタノール 0.2 0.2 0.2 ジメチルポリシロキサン(20cs) 5 5 5 デカメチルシクロペンタシロキサン 25 25 25 ポリオキシアルキレン変性 オルガノポリシロキサン(変性率 20%) 2 2 2 雲母 1 1 1 実施例1−1の紫外線吸収剤複合化粉体 (4-メトキシ-4´-t-ブチルジベンゾイル メタンの被覆量10重量%) 8 - - 実施例1−1の紫外線吸収剤複合化粉体 (4-メトキシ-4´-t-ブチルジベンゾイル メタンの被覆量20重量%) - 8 - 酸化チタン - - 8
【0112】
(評価結果)
UV−A透過量(μW/cm2) 802 566 1060上記の通り、本発明A及び本発明Bは従来例Aと比べUV−A透過量が低く抑えられており、優れた紫外線吸収能を示すことがわかった。
【0113】(被覆方法の違いによる各種複合化粉体の着色度)シリコーン処理の有無による吸収剤の着色度による被覆状態の比較を行った。結果を図4に示す。
【0114】シリコーン処理した酸化チタンにUV−A吸収剤を複合した粉末(本明細書中の実施例1−2記載の粉体を使用)(□)は未処理酸化チタンに複合化したもの(●)に比べて着色していない。これはUV−A吸収剤が表面で分解していないためと考えられる。未処理酸化チタンに複合化したもの(●)はUV−A吸収剤そのもの(■)の色よりも黄色味が増してしまった。
【0115】この結果により、シリコーン処理を施した(□)は、着色していないため、吸収剤分解しておらず、未処理の(●)は、着色しているため吸収剤分解したことがわかった。
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、油相への溶解性を高め、安定に被覆でき、使用感も向上し、さらに、油相への溶解性を高めることができるため、衣類などへの染着性のなく、かつ製造方法が簡便な紫外線吸収粉体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉体の熱分析(DTA曲線)を示すグラフである。
【図2】粉体のUV吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】粉体のUV吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】被覆方法の違いによる各種複合化粉体の着色度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 疎水性粉体上に紫外線吸収剤を均一に吸着・被覆してなる紫外線吸収剤複合化粉体。
【請求項2】 前記吸着・被覆は析出・被覆であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収剤複合化粉体。
【請求項3】 請求項1または2に記載の紫外線吸収剤複合化粉体を含有してなる化粧料。
【請求項4】 請求項1または2に記載の紫外線吸収剤複合化粉体を含有してなる塗料。
【請求項5】 請求項1または2に記載の紫外線吸収剤複合化粉体を含有してなる容器。
【請求項6】 有機溶媒中に紫外線吸収剤を溶解し、疎水性粉体を加え、水を添加し、析出・被覆させることにより紫外線吸収剤複合化粉体を製造することを特徴とする紫外線吸収剤複合化粉体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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