説明

紫外線照射装置の点検装置

【課題】洗浄機構の点検を、筒状容器を配管から取外すことなく実施することができることを課題とする。
【解決手段】被処理流体が流入する筒状容器21と、この筒状容器と交差するように該筒状容器と連結して設けられ,両端が閉止フランジにより閉じられた筒状体24と、前記筒状容器内に通流する被処理流体に紫外線を照射する紫外線ランプ28と、この紫外線ランプを収納する光透過性のランプスリーブ29と、このランプスリーブを洗浄する洗浄機構と、この洗浄機構を駆動させるモータ33とを具備する紫外線照射装置を点検する装置において、前記閉止フランジのうち一方の閉止フランジを支持する支持部材35と、この支持部材を引き出すレール37と、前記支持部材を閉止フランジに固定する固定ねじ36とを具備することを特徴とする紫外線照射装置の点検装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置の点検装置に関する。具体的には、本発明は、浄水処理や下水処理・食品排水処理・薬品排水処理・遠洋船舶バラスト水処理などにおいて、藻類・微生物・病原性原虫などを不活化もしくは無害化するために被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置の一構成である洗浄機構を点検する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、図2(A)〜(C)に示すような紫外線照射装置の点検装置が知られている。ここで、図2(A)は同点検装置の紫外線照射装置部分の平面図、図2(B)は図2(A)の正面図、図2(C)は図2(A)の側面図を示す。
【0003】
図中の符番1は、被処理流体2が流入し,両端部にフランジ3a,3bが夫々形成された筒状容器である。この筒状容器1の両端部のフランジ3a,3b部分には、夫々図示しない配管が連結され、筒状容器1に被処理流体2が供給され、紫外線照射処理されて処理流体として取り出される。筒状容器1には、該筒状容器1と交差するように筒状体4が連結して設けられている。筒状体4の両端には夫々フランジ5a,5bが設けられ、これらのフランジ5a,5bは、夫々閉止フランジ6a,6bにより閉じられている。
【0004】
筒状体4内には、紫外線を被処理流体2に照射する紫外線ランプ7、及びこの紫外線ランプ7を保護するランプスリーブ8が配置されている。ランプスリーブ8の外周部には、該ランプスリーブ8を洗浄する洗浄機構9が図2(C)の矢印X方向に移動するように配置されている。洗浄機構9は、ランプスリーブ8の外周面と接するブラシ10を備えている。
【0005】
前述した一方の閉止フランジ6aには、洗浄機構10を駆動させる駆動ねじ11が回転自在に取り付けられている。駆動ねじ11はモータ12により駆動する。なお、図中の符番13は処理済の被処理流体(処理済流体)を示し、矢印Yは駆動ねじ11の回転方向を示す。
【0006】
こうした構成の紫外線照射装置において、紫外線照射装置内を点検する場合、紫外線ランプ7とランプスリーブ8を取外した後、図2(B)に示すようなケーブル14とフック15を備えたクレーン16で筒状容器1を持ち上げ、図示しない配管から取外して洗浄機構10の点検を行っていた。
【0007】
従来、紫外線ランプやその保護管等を備えた紫外線照射装置としては、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4168348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図2の点検装置においては、筒状容器1をクレーン16で持上げ、配管から取外し、洗浄機構9の点検後、再び配管に接続しなければならない。従って、時間が掛かるとともに、クレーン16の設備が必要でありコストが掛かっていた。
【0010】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、洗浄機構の点検を、筒状容器を配管から取外すことなく実施することができる紫外線照射装置の点検装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る紫外線照射装置の点検装置は、被処理流体が流入する筒状容器と、この筒状容器と交差するように該筒状容器と連結して設けられ,両端が閉止フランジにより閉じられた筒状体と、前記筒状容器内に通流する被処理流体に紫外線を照射する紫外線ランプと、この紫外線ランプを収納する光透過性のランプスリーブと、このランプスリーブを洗浄する洗浄機構と、この洗浄機構を駆動させる駆動機構とを具備する紫外線照射装置を点検する装置において、前記閉止フランジのうち一方の閉止フランジを支持する支持部材と、この支持部材を引き出すレールと、前記支持部材を閉止フランジに固定する固定ねじとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄機構の点検を、筒状容器を配管から取外すことなく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る紫外線照射装置の点検装置の説明図。
【図2】従来の紫外線照射装置の点検装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る紫外線照射装置の点検装置について更に詳しく説明する。
本発明の紫外線照射装置は、上述したように、筒状容器と、筒状体と、紫外線ランプと、光透過性のランプスリーブと、洗浄機構と、駆動機構とを具備する紫外線照射装置を点検する装置において、閉止フランジのうち一方の閉止フランジを支持する支持部材と、この支持部材を引き出すレールと、前記支持部材を閉止フランジに固定する固定ねじとを具備している。
【0015】
本発明において、前記駆動機構としては、閉止フランジのうち一方の閉止フランジに取り付けられた駆動ねじと、この駆動ねじを回動させるモータとから構成される場合が挙げられるが、これに限定されない。
【0016】
(実施例)
本発明の一実施例に係る紫外線照射装置の点検装置について図1(A)〜(C)を参照して説明する。ここで、図1(A)は同紫外線照射装置の点検装置の概略的な平面図、図1(B)は図1(A)の正面図、図1(C)は図1(A)の側面図を示す。
【0017】
図中の符番21は、被処理流体22が流入し,両端部に夫々フランジ23a,23bが夫々形成された筒状容器である。この筒状容器21の両端部のフランジ23a,23b部分には、図示しない配管が連結され、筒状容器21に被処理流体22が供給され、紫外線照射処理されて処理済流体25として取り出される。筒状容器21には、該筒状容器21と交差するように筒状体24が連結して設けられている。筒状体24の両端には夫々フランジ26a,26bが設けられ、これらのフランジ26a,26bは夫々閉止フランジ27a,27bにより閉じられている。
【0018】
筒状体24内には、紫外線を被処理流体22に照射する紫外線ランプ28、及びこの紫外線ランプ28を保護するランプスリーブ29が配置されている。ランプスリーブ29の外周部には、該ランプスリーブ29を洗浄する洗浄機構30が図1(C)の矢印X方向に移動するように配置されている。洗浄機構30は、該洗浄機構30の内側にランプスリーブ29の外周面と接するブラシ31を備えている。
【0019】
前述した一方の閉止フランジ27aには、洗浄機構30を駆動させる駆動ねじ32が回転自在に取り付けられている。駆動ねじ32はモータ33により駆動し、駆動ねじ32を矢印Y方向に回転すると、洗浄機構30が移動する。なお、駆動ねじ32とモータ33を総称して駆動機構と呼ぶ。
【0020】
こうした構成の紫外線照射装置において、紫外線照射装置内を点検する場合、次のように行う。まず、点検装置の構成について、図1を参照して説明する。図1において、符番34は、閉止フランジ27aに設けられたねじ穴を示す。閉止フランジ27aには、L字型のサポート(支持部材)35が当接されている。このサポート35は、固定ねじ36を閉止フランジ27aのねじ穴34に挿着することにより閉止フランジ27aに固定されている。閉止フランジ27aはレール37に一体的に連結されている。なお、レール37やサポート35は、点検時のみ紫外線照射装置に取り付ける。
【0021】
上記実施例によれば、閉止フランジ27aにねじ穴34を設け、サポート35を閉止フランジ27aに当接した状態で、固定ねじ36を閉止フランジ27aのねじ穴34に挿着することにより、サポート35を閉止フランジ27aに固定し、更にサポート35をレール37に一体的に連結した構成となっている。従って、レール37を引き出すことにより、閉止フランジ27aに固定された駆動機構と洗浄機構30を、筒状体24から外に取り出すことができる。つまり、上記実施例によれば、洗浄機構の点検を、筒状容器を配管から取外すことなく実施することができるので、従来のように時間が掛からず、またクレーンのような吊上げ設備が必要ないため、コストダウンを図ることができる。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0023】
21…筒状容器、22…被処理流体、23a,23b,26a,26b…フランジ、24…筒状体、25…処理済流体、27a,27b…閉止フランジ、28…紫外線ランプ、29…ランプスリーブ、30…洗浄機構、31…ブラシ、32…駆動ねじ、33…モータ、35…支持部材(サポート)、36…固定ねじ、37…レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流体が流入する筒状容器と、この筒状容器と交差するように該筒状容器と連結して設けられ,両端が閉止フランジにより閉じられた筒状体と、前記筒状容器内に通流する被処理流体に紫外線を照射する紫外線ランプと、この紫外線ランプを収納する光透過性のランプスリーブと、このランプスリーブを洗浄する洗浄機構と、この洗浄機構を駆動させる駆動機構とを具備する紫外線照射装置を点検する装置において、前記閉止フランジのうち一方の閉止フランジを支持する支持部材と、この支持部材を引き出すレールと、前記支持部材を閉止フランジに固定する固定ねじとを具備することを特徴とする紫外線照射装置の点検装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記閉止フランジのうち一方の閉止フランジに取り付けられた駆動ねじと、この駆動ねじを回動させるモータとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置の点検装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−56364(P2011−56364A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207244(P2009−207244)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】