細胞の透過処理用方法及び装置
本発明は、物質を細胞中に導入及び細胞外へ放出させるための方法及び装置に関し、更に具体的に言うとイオン、タンパク質及び核酸のような種々の物質の一種又はそれ以上を細胞に負荷もしくは放出し得るように生存細胞を一時的に透過化するための方法及び装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を細胞中に導入及び細胞外へ放出させるための方法及び装置に関し、より詳細には、イオン、タンパク質及び核酸のような様々な物質の一種以上を細胞に導入もしくは放出させ得るようにる生細胞の透過性を一時的に上げるための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞に物質を導入することの重要性及びその理想的な手段の不足から、数多くの技術が開発されてきた。例えば、DNAはリン酸カルシウム沈殿、リポソーム、陽イオン性脂質、DEAEデキストラン、ウイルスベクター、エレクトロポレーション、ポリエチルイミン、ペプチド仲介遺伝子輸送、活性化デンドリマー、ポリアミン、ポリ−L−オルニチンのような方法、並びにボリスティクス(bolistics)、ビーズローディング(bead-loading)及びイムノポレーション(immunoporation)のようなビーズに基づく方法により導入される。一般に、これらの方法は、(i) 単一の物質の導入にしか適用できない、(ii) 細胞への悪影響(例えば細胞の生存率及び成長率を減少させ、生理機能を変える)、 (iii)器官への悪影響(例えば白血病の誘発)、 (iv)効率の悪さ及び(v)導入した物質への損害を含む多数の欠点を受ける。
【0003】
マイクロインジェクションは、キャピラリーを用いて物質を細胞内に物理的に注入する技術である。これは、他の方法に適合しない物質を選択的に細胞に導入することができるので有用であり、多くの上記方法に付随する制限や潜在的な問題を有しない。マイクロインジェクションは、あらゆる物質をオルガネラにさえ微注入できる点で用途が広い。しかし、仕事量が多いこと及び処理能力が低いため、この方法の有用性が特定の用途に限定されている。現在必要なのは、細胞に物質を添加するための処理能力が高く多用途な方法である。
【0004】
レーザーは、オプトインジェクションと呼ばれる方法で、細胞に物質を導入するのに使用されてきた。このオプトインジェクションの機構は、レーザーを細胞膜表面の一部にきっちり焦点を合わせた時に、該レーザーによって膜に物理的な孔が開くことにあると仮定されてきた。オプトインジェクションの制限は、装填すべき単一の細胞ごとにレーザーで位置を突き止め、目標にする必要があることにある。オプトポレーションと呼ばれる関連した技術は、レーザーを培養基質に集中させ、生成する衝撃波により近傍の細胞の膜に一時的な透過性を引き起こす。オプトポレーションの欠点は、重大な細胞死を生じ、衝撃波から種々の距離にある細胞が異なった範囲に無装填されることにあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、高い細胞生存率で細胞に早く効率的に様々な物質を装填する方法及び装置が必要である。本発明はこの必要性を満たし、同様に関連した利点を提供する。
【発明の要旨】
【0006】
本発明は、固体表面から有効な距離により画成される容量内に位置する実質的に静止した細胞を、該容量内の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなしに一時的に透過性にする方法を提供する。この一般的な方法は、細胞が存在する容量の方に電磁放射線を指向させることにより細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を細胞に照射することにある。固体表面から有効な距離内の空間領域内に多量の細胞を置き、かかる領域に速やかに電磁放射線を照射することにより、高い割合の細胞透過化を達成することができる。同時に、波長、出力密度及び全照射時間といった電磁放射線量パラメーターを適切な組み合わせで選択することによって、高収量の透過化を高い細胞生存率で達成することができる。エネルギー密度が、出力密度と全照射時間の関数である。放射線を一連のパルスによって投与する電磁放射線プロトコルでは、全照射時間がパルス期間と全パルス数の関数である。加えて、放射線を一連のパルスとして投与する電磁放射線プロトコルでは、パルス間の時間(すなわち、パルスの周期性)も臨界的パラメーターとすることができる。透過状態の間、細胞が該細胞に装填すべき物質を含む水性媒体と接触しており、その結果この方法は、高い細胞生存率で様々な物質を細胞に迅速に及び効率的に装填することを提供する。
【0007】
本発明の実施態様は、所定容量内に位置する実質的に静止した細胞を、該容量内の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなしに一時的に透過性にする装置に関する。一般に、該実施態様は、細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源と、細胞が存在する所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向するよう構成された方向付け装置と、固体表面を備えることができ、ここで所定容量を該固体表面によって部分的に境界付けし、且つ固体表面からの有効な距離によって更に境界付けする。さらに、固体表面は、電磁放射線の光学通路内に加わる実質的に透明な材料を備えることができる。該実施態様は、細胞膜の透過性を誘導するのに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源と、細胞が存在する所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるための命令と、該命令に呼応して電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を含む装置も備えることができる。
【0008】
本発明のいくつかの実施態様は、一つ以上の細胞を一時的に透過性にする方法に関する。この方法は、a)固体表面から有効な距離内で実質的に静止した位置に一つ以上の細胞を維持し、及びb)一つ以上の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく、一つ以上の細胞の一時的透過化を誘導するに十分な電磁放射線を固体表面に指向させることを備えることができ、この場合一つ以上の細胞を電磁放射線の経路に一致させることができる。
【0009】
電磁放射線は、固体表面上で、例えば多くても約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5及び6μJ/μm2のエネルギー密度を持つことができる。電磁放射線は、個々に又は組み合わせた上記密度のサブセットのエネルギー密度、及び上記密度の任意の範囲を持つことができる。さらに、電磁放射線は、固体表面上で約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を持つことができる。
【0010】
有効な距離は、例えば約1000μm未満、600μm、300μm、200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、1μm等とすることができる。有効な距離は、個々に又は組み合わせた上記距離のサブセット、及び上記距離の任意の範囲である。さらに、有効な距離は約1μmから約20μmの間である。
【0011】
電磁放射線を、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒の期間一つ以上の細胞に指向させることができる。この期間は、個々に又は組み合わせた上記機関のサブセット、及び上記期間の任意の範囲である。また、一つ以上の細胞を、例えば約100ピコ秒から10秒の期間電磁放射線に暴露することができる。
【0012】
電磁放射線は、例えば約300ナノメートルから約3000ナノメートルの間、約330ナノメートルから約1100ナノメートルの間、約400ナノメートルから700ナノメートルの間等の波長を有することができる。
【0013】
方向付けることは、例えば放射線のパルスを固体表面に供給するか、経路パターンに従って放射線のビームを固体表面に通過させる等を備えることができる。
【0014】
一つ以上の細胞の膜の一時的な透過化の誘導は、例えば少なくとも10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000,000、3,000,000、10,000,000、30,0000,000、100,000,000及び240,000,000細胞/秒の割合で生じる。一時的な透過化の誘導率は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲である。更に、該方法は、一つ以上の細胞の膜への一時的な透過化を約300から10,000,000細胞/秒の割合で誘導することを備えることができる。
【0015】
膜の一時的透過処理後の一つ以上の細胞の生存の確率は、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の値で維持することができる。生存率は、個々に又は組み合わせた上記生存率のサブセット、及び上記生存率の任意の範囲である。更に、透過処理後の一つ以上の細胞の生存の確率は、例えば少なくとも50%から90%の値で維持することができる。
【0016】
更に、上記方法は、例えば一つ以上の細胞を非等張水性媒体と接触させることを備えることができる。該方法は、一つ以上の細胞を該一つ以上の細胞内での濃度より低い濃度で物質を水性媒体と、一つ以上の細胞内の物質が透過膜を介して一つ以上の細胞を放出できるように接触させることを備えることができる。もちろん、一つ以上の細胞内の物質濃度より低い水性媒体中の物質濃度の一例は濃度ゼロである。例えば、物質はイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸、変性核酸などである。また、一つ以上の細胞を、物質が細胞の一時的な透過膜を通過して細胞を取り込むことができる水性媒体と接触させることができる。一時的な透過膜は、例えばせいぜい約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、3秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、6分、10分、20分、30分の期間内に実質的に非透過性の状態に回復できる。また、この期間は、個々に又は組み合わせた上記時間のサブセット、及び上記時間の任意の範囲である。一時的な透過膜を実質的に非透過性の状態に、例えば約1秒から約1分の間の時間内に回復できる。
【0017】
電磁放射線を固体表面の領域に、例えば少なくとも約0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートル/秒の割合で指向させることができる。該領域は、個々に又は組み合わせた上記領域のサブセット、及び上記領域の任意の範囲とすることができる。更に、電磁放射線を固体表面の領域に、例えば約0.0003から約10cm2/秒の割合で指向させることができる。
【0018】
方向付けることは、2つ以上の放射線パルスを、例えば少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzの割合で固体表面に供給することを備えることができる。該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。更に、方向付けることは2つ以上の放射線パルスを、例えば約102から104Hzの割合で固体表面に供給することを備えることができる。また、方向付けることは、電磁放射線の2つ以上のパルスを固体表面にパルスの目的パターンに従って供給することを備えることができる。さらに、少なくとも二つの電離放射線パルスをパルスの目的パターン内で単一のパルスの目的物に指向させることができる。
【0019】
電磁放射線を、例えば持続波レーザー、パルスレーザー、持続ランプ、閃光灯等のようなエネルギー源から発することができる。
【0020】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば大体約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続時間を有する。該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する。
【0021】
電磁放射線を固体表面上の所定領域に指向させることができ、該所定領域は例えば少なくとも0.0001 、0.0003 、 0.001 、 0.003 、 0.01 、0.03、0.1、 0.3、1、3、 10、30、100、200、300、及び400平方センチメートルの領域を有することができる。該領域は、個々に又は組み合わせた上記領域のサブセット、及び上記領域の任意の範囲である。例えば、電磁放射線を固体表面上の所定領域に指向させることができ、該所定領域を約0.0001から約10cm2の領域とすることができる。また、電磁放射線を所定領域のほぼ全体へ同時に指向させることができる。
【0022】
電磁放射線の経路は、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅がある。また、この幅は個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線の経路は、約10μmから約1000μmの幅を有することができる。
【0023】
固体表面は、例えば電磁放射線に対しほぼ透明とすることができる。また、固体表面は例えばポリマー材料、ガラス材料などを備えることができる。
【0024】
本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にする装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が実質的に静止し、所定容量内に含まれており、該所定容量内での細胞の特定の座標が不明で、所定容量を部分的に固体表面により境界づけることができ、b)所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、ここで細胞を電磁放射線の経路に一致させることができ、所定容量内の電磁放射線が固体表面上で少なくとも約6Jのエネルギー密度を有することができ、及び付加的にc)固体表面を備えることができる。
【0025】
所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で例えばせいぜい約 0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、 0.1、0.2、0.3、0.6、 1、2、3、4 、 及び5μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。また、該エネルギー密度は、個々に又は組み合わせた上記密度のサブセット、及び上記密度の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で約0.001から0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。
【0026】
方向付け装置は、所定容量に例えばパルスの目的パターンに従って電磁放射線のパルスを指向させることができる。また、電磁放射線の少なくとも2つのパルスをパルスの目的パターン内の単一パルスの目的物に指向させることができる。電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒の持続時間を有することができる。また、持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、持続時間は約10秒から約100ピコ秒にすることができる。
【0027】
電磁放射線の経路は、例えば少なくとも約10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅を有することができる。また、この幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲である。例えば、幅は約10μmから約1000μmにすることができる。
【0028】
また本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が所定容量内に含まれる実質的に静止した細胞とすることができ、所定容量内の細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるための命令、c)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を備えることができる。
【0029】
前記命令は、例えばパルスの目的パターンに従って電磁放射線のパルスを指向させるための命令を備えることができる。また、電磁放射線の少なくとも2つのパルスを、例えばパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる。電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続時間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から10秒の持続時間を有することができる。
【0030】
所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で例えば大体約 0.001、 0.002、0.003、0.006、0.01、0 02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1,2、3、4、5、及び6μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。また、該エネルギー密度は、個々に又は組み合わせた上記エネルギー密度のサブセット、及び上記密度の任意の範囲である。例えば、所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で0.001から0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。
【0031】
更に、所定容量内での電磁放射線の瞬時の経路は、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅がある。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲である。例えば、幅は約10から約1000μmにすることができる。
【0032】
本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にする装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞とすることができ、所定容量内での細胞の特定の座標が不明であり、所定容量を一部固体表面により境界付けしてあり、b)所定容量のほぼ全体に電磁放射線のパルスを指向させるように構成した方向付け装置、及び付加的にc)固体表面を備えることができる。
【0033】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続期間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射腺パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から10秒の持続時間を有することができる。
【0034】
更に、電磁放射線の少なくとも2パルスをパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させることができる。所定容量内での電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×1040μmの幅を有することができる。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内での電磁放射線パルスの個々のパルスは、約10から1000μmの幅を有することができる。
【0035】
本発明の他の実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するのに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が所定容量内に含まれ実質的に静止した細胞とすることができ、所定容量内での細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量のほぼ全体にパルスの目的パターンに従って電磁放射線のパルスを指向させるための命令、及びc)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を含む。
【0036】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続期間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射腺パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有することができる。
【0037】
電磁放射線の少なくとも2つのパルスを、パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させることができる。所定容量内で電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅を有することができる。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内での電磁放射腺パルスの個々のパルスは、約10μmから約1000μmの幅を有することができる。
【0038】
本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための方法に関する。この方法は、例えばa)細胞を所定容量内で実質的に静止した位置に維持し、ここで所定容量を一部固体表面により境界付け、更に固体表面から有効な距離により境界付け、及びb)細胞膜の一時的な透過化を誘導するに十分な電磁線を所定容量のほぼ全体へ指向させることを備えることができる。
【0039】
所定容量内の電磁放射線は、例えば固体表面上で大体約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0. 3、 0.6、1,2、3、4、5、6μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。また、該エネルギー密度は、個々に又は組み合わせた上記密度のサブセット、及び上記密度の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。
【0040】
有効な距離は、例えば約1000μm未満、 600μm、300μm、200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、及び1μmとすることができる。また、該有効な距離は、個々に又は組み合わせた上記距離のサブセット、及び上記距離の任意の範囲とすることができる。例えば、有効な距離は約1μmから約20μmとすることができる。
【0041】
細胞を電磁放射線に、例えば多くて約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度の期間暴露することができる。また、該期間は、個々に又は組み合わせた上記時間のサブセット、及び上記時間の任意の範囲とすることができる。例えば、細胞を電磁放射線に約100ピコ秒から約10秒の間暴露することができる。
【0042】
方向付けは、例えば放射線のパルスを所定容量に供給し、また放射線のビームを経路のパターンに従って所定容量に通過させることを備えることができる。
【0043】
上記方法は更に、細胞内の一時的透過化を例えば少なくとも10、30、100、300、1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、240, 000, 000細胞/秒の割合で誘導することを備えることができる。また、該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。例えば、細胞内の一時的な透過化を約300から約10,000, 000細胞/秒の割合で誘導することができる。
【0044】
透過処理後の細胞の生存確率を、例えば少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、及び99%の値で維持することができる。また、この値は、個々に又は組み合わせた上記値のサブセット、及び上記値の任意の範囲とすることができる。例えば、透過処理後の細胞の生存確率を、少なくとも約50%から90%の値で維持することができる。
【0045】
上記方法は更に、細胞を不等張媒体に接触させることを備えることができる。該方法は、細胞と接触する際細胞の透過膜を通過し得る物質を含む水性媒体を備えることができる。
【0046】
前記物質は、例えばイオン、有機分子、無機分子、多糖類、ペプチド、タンパク質、コロイド粒子、核酸、変性核酸などとすることができる。該物質は、透過膜を介して細胞を出し入れすることができる。
【0047】
一時的な透過膜は、例えば大体約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、及び30分の時間内に実質的に非透過状態に回復できる。また、該回復時間は、個々に又は組み合わせた上記回復時間のサブセット、及び上記回復時間の任意の範囲とすることができる。例えば、一時的な透過膜は、実質的に非透過状態に約1秒から約1分の時間内に回復することができる。
【0048】
電磁放射線を、例えば少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1,3、10、30、 100、200、300、及び400cm2/秒の割合で固体表面の領域に指向させることができる。また、該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線を約0.0003から10平方センチメートル/秒の割合で固体表面に指向させることができる。
【0049】
電磁放射線は、所定容量内で例えば6×107未満、3×107、2×107、l×107、6×106、3×106、2×106、l×106、6×105、3×105、2×105、l×105、6×104、3×104、2×104、1×I04W/cm2の出力密度を有することができる。また、該出力密度は、個々に又は組み合わせた上記出力密度のサブセット、及び上記出力密度の任意の範囲とすることができる。
【0050】
方向付けは、例えば少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzの割合で所定容量に2つ以上の放射線のパルスを供給することをそなえることができる。また、該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のさぶせっと、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。例えば、方向付けは、2つ以上の放射線パルスを所定容量に102から104Hzの割合で供給することを含む。該方向付けは、2つ以上の電磁放射線パルスを、パルスの目的パターンに従って所定領域に供給することを備えることができる。
【0051】
電磁放射線はエネルギー源、例えば持続波レーザー、パルスレーザー、持続性ランプ、フラッシュランプなどから発することができる。
【0052】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度の群から選択される持続時間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線パルスの個々のパルスは約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有することができる。また、電磁放射線の少なくとも2つのパルスを、パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる。
【0053】
電磁放射線を固体表面の所定領域に指向させ、該所定領域が例えば、少なくとも約0.0001、0.0003、 0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400cm2の領域にすることができる。また、所定領域は、個々に又は組み合わせた上記領域のサブセット、及び上記領域の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線を固体表面の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10cm2の領域にすることができる。また、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に同時に施行させることができる。
【0054】
所定容量内の電磁放射線の経路は、例えば少なくとも約10、12、14、16、18、20、25,30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、 5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及びl×104マイクロメートルの幅を有することができる。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内の電磁放射線の幅は約10マイクロメートルから約1000マイクロメートルにすることができる。
【0055】
更に、本発明の実施態様は、細胞を一時的に透過性にする更なる装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞を実質的に静止し、所定容量に含まれることができ、所定容量内の細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量内の複数個の位置の特徴に関係なく、該複数個の位置に電磁放射線を指向させるための命令、及びc)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を備えることができる。
【0056】
本発明の他の実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞を実質的に静止し、所定容量に含まれることができ、所定容量内の細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量内の複数個の位置の特徴に関係なく、該複数個の位置に電磁放射線を指向させるための命令、ここで所定容量内の電磁放射線が固体表面で大体6μJ/μm2のエネルギー密度を有することができ、並びにc)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を備えることができる。
【0057】
本発明の実施態様は、一連の指令を備えることができる記憶システムに関し、かかる指令を実行すると、コンピューターが実質的に静止した細胞膜の透過化を誘導するに十分な電離放射線を、該細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく、固体表面に指向させる動作を実行し、ここで細胞を電離放射線の経路と一致させることができる。
【0058】
上述したあらゆる実施態様における細胞は、原核及び真核細胞、哺乳類の細胞及び哺乳類由来でない細胞、幹細胞、実験動物の細胞、植物の細胞、バクテリア、菌類、及びウイルスなどを含むすべての細胞とすることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施態様は以下の段落に記載する:
1.一つ以上の細胞を一時的に透過性にするに当たり、
a)上記一つ以上の細胞を固体表面から有効な距離内の実質的に静止した位置に維持し、及び
b)前記固体表面に、上記一つ以上の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく、該一つ以上の細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を指向させ、ここで前記一つ以上の細胞を電磁放射線の経路に一致させることを備える細胞を一時的に透過性にする方法。
2.前記電磁放射線が前記の固体表面で多くても約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5、6μJ/μm2を含む群より選択されるエネルギー密度を有する段落1の方法。
3.前記電磁放射線が前記固体表面で約0.001から約0.3pJ/μm2のエネルギー密度を有する段落1の方法。
4.前記有効距離が約1000μm未満、600μm、 300μm、 200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、1μmからなる郡より選択される段落1の方法。
5.前記有効距離が約1μmから約20μmである段落1の方法。
6.前記電磁放射線を前記一つ以上の細胞に、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度の群より選択される期間指向させる段落1の方法。
7.前記一つ以上の細胞を電磁放射線に約100ピコ秒から約10秒の期間暴露する段落1の方法。
8.前記方向付けが前記固体表面に放射線のパルスを供給することからなる段落1の方法。
9.前記方向付けが放射線のビームを経路のパターンに従って前記固体表面に通すことからなる段落1の方法。
10.前記一つ以上の細胞の膜の透過化を、少なくとも10、30、 100、300、1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、240, 000, 000細胞/秒の郡より選択される割合で誘導することを更に備える段落1の方法。
11.前記一つ以上の細胞の膜の透過化を、約300から約10,000,000細胞/秒の割合で誘導することを更に備える段落1の方法。
12.前記一つ以上の細胞の膜の透過化後の細胞の生存確率を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%からなる郡より選択される割合で維持する段落1の方法。
13.前記透過化後の一つ以上の細胞の生存確率を、少なくとも50%から少なくとも90%の値で維持する段落1の方法。
14.前記一つ以上の細胞を非等張水性媒体と接触させることを更に備える段落1の方法。
15.前記透過膜内の物質が前記透過膜を通過できるように前記一つ以上の細胞を水性媒体と接触させることを更に備える段落1の方法。
16.前記一つ以上の細胞を透過膜を介して出て行くことができる物質を含む水性媒体に前記一つ以上の細胞を接触させる段落1の方法。
17.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、及びコロイド粒子からなる郡より選択される段落16の方法。
18.前記物質が多糖類、ペプチド、たんぱく質、核酸、及び変性核酸からなる郡より選択される段落16の方法。
19.前記物質が透過膜を通して前記一つ以上の細胞を取り込む段落16の方法。
20.前記透過膜が、大体約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、30分からなる郡より選択される時間内に実質的に非透過性状態に回復する段落19の方法。
21.前記透過膜が約1秒間から約1分間の時間内に実質的に非透過性状態に回復する段落19の方法。
22.前記電磁放射線を前記固体表面の領域に少なくとも約0.0001, 0.0003, 0.001, 0.003, 0.01, 0.03, 0.1, 0.3, 1,3, 10,30, 100,200, 300及び400cm2/秒からなる群から選択される割合で指向させる段落1の方法。
23.前記電磁放射線を前記固体表面表面の領域に約0.0003から約10平方センチメートル/秒の割合で指向させる段落1の方法。
24.前記電磁放射線が前記固体表面で約1×104W/cm2未満の出力密度を有する段落1の方法。
25.前記電磁放射線が前記固体表面で約1×104から約6×107W/cm2の出力密度を有する段落1の方法。
26.前記方向付けが、前記固体表面に放射線の2つ以上のパルスを少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzからなる群より選択される割合で供給することを備える段落1の方法。
27.前記方向付けが、前記固体表面に約102から約104Hzの割合で2つ以上の放射線のパルスを供給することを備える段落1の方法。
28.前記電磁放射線が、連続波レーザー、パルスレーザー、連続ランプ、及びフラッシュランプからなる群から選択されるエネルギー源から生ずる段落1の方法。
29.前記方向付けが、2つ以上の電磁放射線のパルスを前記固体表面にパルスの目的パターンに従って供給することを備える段落1の方法。
30.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落29の方法。
31.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落29の方法。
32.電磁放射線の少なくとも2つのパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落29の方法。
33.前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートルからなる群から選択される領域を有する段落1の方法。
34.前記電磁放射線を前期固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10cm2の領域を有する段落1の方法。
35.前記電磁放射線を前記所定領域のほぼ全体に同時に指向させる段落1の方法。
36.前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、 14、16、 18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、 100、300、l×103、2×103、 3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する段落1の方法。
37.前記電磁放射線の経路が約10から約1000μmの幅を有する段落1の方法。
38.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで前記細胞が実質的に静止して所定容量に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が不明であり、前記所定容量を一部固体表面により境界付けし、
b)前記所定容量のほぼ全体に前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路と一致させ、該所定容量内の電磁放射線が前記固体表面でたかだか約6μJ/μm2のエネルギー密度を有し、及び
c)前記固体表面
を備える装置。
39.前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、及び5μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する段落38の装置。
40.前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、多くとも約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する段落38の装置。
41.前記方向付け装置が、電磁放射線のパルスを前記所定容量にパルスの目的パターンに従って指向させる段落38の装置。
42.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落40の装置。
43.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10秒から約100ピコ秒の持続時間を有する段落40の装置。
44.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落40の装置。
45.前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルからなる群より選択される幅を有する段落38の装置。
46.前記電磁放射線の経路が約10マイクロメートルから約1000マイクロメートルの幅を有する段落38の装置。
47.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源、ここで前記細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞で、前記所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるための命令、及び
c)前記命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、
を備える装置。
48.前記命令が電磁放射線のパルスをパルスの目的パターンに従って指向させるための命令からなる段落47の装置。
49、前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落48の装置。
50.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落48の装置。
51.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落48の装置。
52.前記所定容量内の電磁放射線が前記固体表面上で、多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、及び5μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する段落47の装置。
53.前記所定容量内の電磁放射線が前記固体表面上で、多くとも約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する段落47の装置。
54.前記所定容量内の電磁放射線の瞬時の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する段落47の装置。
55.前記所定容量内の電磁放射線の瞬時の経路が約10から約1000μmの幅を有する段落47の装置。
56.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞で、前記所定容量内の細胞の特定の座標が未知で、前記所定容量を固体表面により部分的に境界付けし、
b)前記所定容量のほぼ全体に前記電磁放射線のパルスをパルスの目的パターンに従って指向させるように構成した方向付け装置、及び
c)前記の固体表面、
を備える装置。
57.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落56の装置。
58.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落56の装置。
59.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記のパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落56の装置。
60.前記の所定容量内での前記電磁放射線パルスの個々のパルスが少なくとも約10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する段落56の装置。
61.前記所定容量内の前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10から約1000μmの幅を有する段落56の装置。
62.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞で、前記所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量のほぼ全体に電磁放射線のパルスをパルスの目的パターンに従って指向させるための命令、及び
c)前記命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置
を備える装置。
63.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落62の装置。
64.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落62の装置。
65.少なくとも2つの電磁放射線のパルスをパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落62の装置。
66.前記所定容量内の前記電磁放射線パルスの個々のパルスが少なくとも約10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルからなる群より選択される幅を有する段落62の装置。
67.前記所定容量内の前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10から約1000μmの幅を有する段落62の装置。
68.細胞を一時的に透過性にするに当たり、
a)前記細胞を所定容量内で実質的に静止した位置に維持し、ここで前記所定容量を固体表面により部分的に境界付けし、更に固体表面から有効な距離により境界付けし、
b)細胞膜の一時的な透過化を誘導するに十分な電磁放射線を前記所定容量のほぼ全体に指向させることを備える細胞を一時的に透過性にする方法。
69.前記所定容量内の前記電磁放射線が固体表面上で多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5、及び6μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する段落の68の方法。
70.前記所定容量内の前記電磁放射線が固体表面上で多くとも約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する段落68の方法。
71.前記有効な距離が1000μm、600μm、300μm、200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、及び1μmからなる群より選択される段落68の方法。
72.前記有効な距離が約1μmから約20μmである段落68の方法。
73.前記細胞を前記電磁放射線に多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される期間暴露する段落68の方法。
74.前記細胞を前記電磁放射線に約100ピコ秒から約10秒の期間暴露する段落68の方法。
75.前記方向付けが、前記所定容量に放射線のパルスを供給することを備える段落68の方法。
76.前記方向付けが、放射線のビームを経路のパターンに従って前記所定容量に通すことを備える段落68の方法。
77. 細胞の透過化を少なくとも 10、30、100、300、1000、3000、10,000、30,000、 100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、 10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、及び240,000, 000細胞/秒からなる群より選択される割合で誘導することを更に備える段落68の方法。
78.細胞の透過化を約300から約10,000, 000細胞/秒の割合で誘導することを備える段落68の方法。
79.前記透過化後の細胞の生存確率を少なくとも50%、 60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、及び99%からなる群より選択される値で維持する段落68の方法。
80.前記透過化後の細胞の生存確率を少なくとも約50%から約90%の値で維持する段落68の方法。
81.前記細胞を非等張水性媒体に接触させることを更に備える段落68の方法。
82.前記細胞を透過膜を介して通過し得る物質を含む水性媒体と接触させる段落68の方法。
83.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、多糖類、ペプチド、たんぱく質、コロイド粒子、核酸、及び変性核酸からなる群より選択される段落82の方法。
84.前記物質が透過膜を介して前記細胞を取り込む段落82の方法。
85.前記透過膜が実質的に非透過性状態に大体0.3 m秒、1m秒、3m秒、10m秒、30m秒、100m秒、300 m秒、1秒、3秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、6分、10分、20分、及び30分からなる群より選択される時間内で回復する段落84の方法。
86.前記透過膜が実質的に非透過性状態に約1秒から約1分の時間内で回復する段落84の方法。
87.前記電磁放射線を前記固体表面の領域に少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1,3、10、30、100、200、300、及び400cm2/秒からなる群より選択される割合で指向させる段落68の方法。
88.前記電磁放射線を前記固体表面の領域に約0.0003から約10平方センチメートル/秒の割合で指向させる段落68の方法。
89.前記電磁放射線が前記所定容量内で約6×107未満、3×107、2×107、l×107、6×106、3×106、2×106、l×106、6×105、3×105、2×105、l×105、6×104、3×104、2×104、及び1×104 W/cm2からなる群より選択される出力密度を有する段落68の方法。
90.前記方向付けが、前記所定容量に2つ以上の放射線のパルスを少なくとも1、10、100、103、104、105、 106、107、108、及び109 Hzからなる群より選択される割合で供給することを備える段落68の方法。
91.前記方向付けが、前記所定容量に2つ以上の放射線のパルスを約102から約104の割合で供給することを備える段落68の方法。
92.前記電磁放射線が、持続波レーザー、パルスレーザー、持続ランプ、及び閃光灯からなる群より選択されるエネルギー源から発する段落68の方法。
93.2つ以上の電磁放射線のパルスを前記所定容量にパルスの目的パターンに従って供給することを備える段落68の方法。
94.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落93の方法。
95.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落93の方法。
96.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落93の方法。
97.前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1,3、10、30、100、200、300,及び400平方センチメートルからなる群より選択される領域である段落68の方法。
98.前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10平方センチメートルの領域である段落68の方法。
99.前記電磁放射線を前記所定容量のほぼ全体に同時に施行させる段落68の方法。
100.前記所定容量内の前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルからなる群より選択される幅を有する段落68の方法。
101.前記所定容量内の前記電磁放射線の経路が約10から約1000マイクロメートルの幅を有する段落68の方法。
102.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞を実質的に静止し所定容量に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量内の複数の位置に、該複数の位置の特徴によらず前記電磁放射線を指向させるための命令、及び該命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置
とを備える装置。
103.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞を実質的に静止し所定容量に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量内の複数の位置に、該複数の位置の特徴によらず前記電磁放射線を指向させるための命令で、ここで前記所定容量内の前記電磁放射線が固体表面上で大体6μJ/μm2のエネルギー密度を有し、及び
c)前記の命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置
を備える装置。
104. 一連の指令を備える記憶システムで、該指令を実行すると、コンピュータが実質的に静止した細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を該細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく固体表面に指向させることを備える動作を実行し、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路に一致させる記憶システム。
105.前記一つ以上の細胞を、物質を含まないか又は該一つ以上の細胞内の物質の濃度より低い濃度で前記物質を含む水性媒体と、前記一つ以上の細胞内の物質が一時的な透過膜を介して該一つ以上の細胞を出し得るように接触させる請求項1の方法。
106.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸、及び変性核酸からなる群より選択される請求項105の方法。
107.前記一つ以上の細胞を水性媒体と、該水性媒体内の物質が一時的な透過膜を介して前期一つ以上の細胞を取り込み得るように接触させる請求項1の方法。
108.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸、及び変性核酸からなる群より選択される請求項107の方法。
109.前記一時的な透過膜が、大体約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、30分からなる郡より選択される時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項107の方法。
110.前記一時的な透過膜が約1秒間から約1分の時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項107の方法。
【発明の詳細な記述】
【0060】
本発明の実施態様は、透過性の一時的な状態を誘導する目的のために電磁放射線を細胞に非特異的に照射する方法及び装置に関する。一時的な透過性の状態は、細胞に様々な物質が入るもしくは装填する(細胞へのローディング)、もしくは細胞から出て行くこと(細胞へのアンローディング)を可能にする一方、細胞が実質的な非透過性状態にローディング/アンローディング後の細胞の連続的な生存を招く時間内で回復することが可能にするので有用である。
【0061】
オプトインジェクションとオプトポレーションの一般的な議論は次の参考文献に見られ、これらのそれぞれ全体をここに引用して援用する。Guo, Y. , Liang, H. , & Berns, M. W. 1995. レーザーを介したコメへの遺伝子導入、Physio. Plant, 93: 19-24; Shirahata, Y., Ohkohchi, N. , Itagak, H. , & Satomi, S. 2001. レーザー照射を用いた遺伝子導入の新技術、J. Invest. Med., 49: 184-190; Tao, W., Willcinson, J. , Stanbridge, E. J. , & Bems, M. W. 1987. 細胞膜へのレーザーによる微穿刺によって促進するヒト培養細胞への直接的遺伝子運搬法、PNAS, 84: 4180-4184; Tirlapur, U. K. & Konig, K. 2002. フェムト秒のレーザーを使用した目標への遺伝子導入、Nature, 418: 290-291; Kurata, S. , Tsukakoshi, M., Kasuya, T., & Ilcawa, Y. 1986. 外来DNAを培養細胞に効果的に導入するためのレーザー法、Exp. Cell Res., 162: 372-378; Koller, M. R. , Hanania, E. G. , Eisfeld, T. M. , & Palsson, B. O., 米国特許出願公開番号第20020076744号、2002年6月20日公開、タイトル名「オプトインジェクション法」米国特許出願第09/961,691 号、2001年9月21日申請; Palsson, B. O., 米国特許出願第 10/359, 483号、2003年2月4日申請、タイトル名「細胞集団中の特定の細胞への選択的ターゲッティングのための方法と装置」; Krasieava, T. B. , Chapman, C. F. , LaMorte, V. J. , Venugopalan, V., Berns, M. W. , & Tromberg, B. J. 1998.レーザーのマイクロ照射による細胞透過処理の機構 Proc.SPIE, 3260: 38-44;及び Tsukakoshi, M. , Kurata, S., Nominya, Y. , Ikawa, Y. , & Kasuya, T. 1984. レーザーマイクロビームの細胞手術による新規DNAトランスフェクション法。Appl. Phvs., 35: 135-140.
【0062】
ここに記載する方法と装置は、一時的な透過性の状態を誘導するために細胞の特定の3次元的な位置を認識する必要がない。その代わりに、一時的に透過性とすべき細胞が所定容量内に存在することができ、該所定容量が空間内での容積と位置を識別する。好ましくは、細胞が所定容量内で実質的に静止しており、ここで実質的に静止しているとは、照射過程中細胞が所定容量の境界を横断していないことを意味する(所定容量内に入るか又はそれから出て行く)。所定容量を固体表面上の所定領域によって部分的に境界付けし、この所定領域が固体表面上で容積と位置を識別する。所定領域は種々の有用な大きさ及び/もしくは境界(例えば、マルチウェルの組織培養ディッシュの単一ウェルの内側底部表面の領域、もしくは組織培養フラスコの内側底部表面の領域)を有し、本発明の適用に依存し、特に限定しないが少なくとも 0.0001、 0.0003、 0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、 1,3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートルを含む。更に、所定容量を所定領域から直角に離れて見積もられた有効な距離により境界付けることができ、ここで有効な距離とは細胞に一時的な透過性の状態を誘導する目的に効果的であると知られている電磁放射線内の所定距離である(図1)。ここで用いる「直角に」とは直交又は直角に位置するとして定義されている直交の副詞形である。一時的な透過性の状態は、細胞膜の透過化を誘導するに十分な質及び量の電磁放射線を所定容量に指向させることにより細胞中に誘導することができる。照射された所定容量内に含まれる細胞を電磁放射線の経路と一致させ、これによりかかる細胞が透過化を誘導する電磁放射線の線量を受ける。細胞が電磁放射線の経路と一致している時、少なくとも細胞の一部及び少なくとも電磁放射線の一部が同時に空間の同じ領域を占めていることを意味している。
【0063】
本発明のいくつかの実施態様における装置は、細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射かるエネルギー源を備えることができる。かかるエネルギー源の一般的な形式は、特に限定しないが、持続波レーザー、パルスレーザー、持続ランプ、及びフラッシュランプを含む。このエネルギー源の特定の形式は、特に限定しないが、フィルター付又はフィルター無しのアーク灯(例えば、水銀、キセノン、金属ハロゲン、など)、光発光ダイオード(LED);色素レーザー;ガスレーザー:固体状態レーザー;Qスイッチレーザーなどを含む。電離放射線が所定容量内をある瞬間に通過する経路(例えば、所定容量内の電磁放射線の瞬時の経路)が、例えば少なくとも10、12、 14、16、 18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、 100、300、l×103、2×103、 3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルの有用な幅を有することができる。この群内の幅における特定の幅範囲も有用である。例えば、幅は約10マイクロメートルから約1000マイクロメートルとすることができる。細胞より大きい幅は、1つ以上の細胞を同時に照射するうえで有利となることがある。多くの実施態様において、電磁放射線の光学経路(エネルギー源から所定容量に伝わる)に電磁放射線を所定容量内で有用なビーム幅範囲内のビームにする光学素子を備えることも有用である。
【0064】
本発明のいくつかの実施態様における装置は、電磁放射線を所定容量に指向させて該電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影するように構成した方向付け装置を更に備えることができる。一度電磁放射線がエネルギー源を離れると、細胞膜の透過化を誘導するに十分な質と量で所定容量に指向させるために少なくとも1つ以上の素子を必要とする。エネルギー源から所定容量への電磁放射線の軌道を指向させる素子の例は、特に限定しないが、反射素子(例えば鏡)、屈折素子(例えばプリズムもしくは光ファイバー)、回折素子、検流素子、圧電傾斜台、及び音響光学偏向器を含む。
【0065】
電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる一例は、電磁放射線のビームの幾何学的輪郭を光学デザインの技術において既知の光学素子で形成することにある。幾何学的輪郭は、限定しないが、所定容量内の収束/発散角度、所定容量内でのビームの直径、所定容量内でのビームウエストの直径、ビーム内の放射状エネルギー分布などを含む。電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる他の例は、電離放射線の個々のパルスの持続時間を制御することにあり、ここで個々のパルスが約1アット秒から約1000秒の間の持続時間(すなわちパルス幅)を有することが有用である。かかる制御は、例えば機械的シャッター、光学的シャッター、個々の明確なパルスを発生させるためのエネルギー源の電気的制御等によって達成することができる。電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる更なる例は、所定容量内の同じ場所に指向させた連続パルスの周波数を制御(例えば、機械シャッター、光学シャッター、個々の明確なパルスを発生させるためのエネルギー源の電気的制御等による)することにあり、かかるパルス周波数の例として、限定しないが、少なくとも1Hzから109Hzの範囲の周波数がある。また、電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる例は、例えば1つ以上のフィルターによって電磁放射線の波長を制御することにある。
【0066】
電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる例は、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影させながら、エネルギー平面密度、すなわち固体表面上の所定領域に投影した単位面積あたりのエネルギーを制御することにある。これは、例えば放射線ビームのエネルギーを所定ビーム直径内に集中させるか、レーザービームの収束角度を所定容量内に制御することによってレーザービームウエストを形成するか、放射線ビームのエネルギーをフィルターで減衰させるか、パルス幅を制御することにより所定容量内での放射線ビームの照射持続時間を制限するか、所定容量内の特定の位置へ指向するパルスの数を制御することにより放射線ビームの照射累積持続時間を制限するか、又は所定領域より小さい断面積を有する放射線ビームを所定領域内の複数の場所に指向させて該所定領域全体が実質的に均一な累積エネルギー平面密度を受けることを備えることができる。更に、放射線ビームが連続的(例えば一瞬のもしくはパルス状ではない)とすることができ、また所定領域より小さい断面積を有することができる。所定容量の全体は、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影しながら、ビームを累積エネルギー平面密度の許容限界内に重なる経路の量を制御する経路パターンで所定領域に通すことによるほぼ均一な累積エネルギー平面密度を受けることができる。研究者達は、電磁放射線を細胞膜の小部分に局所的に(細胞の直径より小さい放射線スポットで)指向させ、7μ(マイクロ)J/μ(マイクロ)m2以上のエネルギー密度を利用することにより細胞を透過処理してきた(Tao, W., Wilkinson, J. , Stanbridge, E. J. , & Berns, M. W. 1987. 細胞膜をレーザーマイクロパンクチャーによるヒト培養細胞への直接遺伝子導入、 PNAS, 84: 4180-4184, 約7から21μJ/μm2; Palumbo G, Caruso M,Crescenzi E, Tecce MF, Roberti G, Colasanti A. 1996,色素を用いたレーザーオプトポレーションによる真核細胞への標的遺伝子の導入、J Photochem Photobiol B. 36(1) : 41-6;約1.6×105μJ/μm2; Guo, Y. , Liang, H. , & Berns, M. W. 1995,コメへのレーザーによる遺伝子導入、Physio. Plant, 93: 19-24,約2.5×102から1.3×103μJ/μm2; これら文献のそれぞれをここに引用して援用する)。しかしながら、本発明のいくつかの実施態様では、細胞を一時的に透過化するため、特に細胞全体に照射(膜の一部分のみに放射線を局所的に照射するのと反対に)する場合、もしくはエネルギーを非常に短い時間(例えばマイクロ秒未満、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒、もしくはアット秒の時間内)で供給する場合に6以下、1、0.1、0.01もしくは0.001μJ/μm2のエネルギー密度を用いることが好ましい。
【0067】
一時的な透過化を誘導するのに有効なエネルギー密度を達成するために、細胞に電磁放射線をエネルギー源の性質及び所定容量内で達成される出力密度に応じた種々の時間で照射することが有用である。例えば、比較的低出力のエネルギー源(例えば、持続ランプ)は、一時的な透過化の十分な程度を誘導をするために約1000秒を要するかもしれない。更なる例では、非常に高出力のパルスを供給するエネルギー源(例えばフラッシュランプもしくはパルスレーザー)は、一時的な透過化の十分な程度を誘導するために、約マイクロ秒、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒、もしくはアット秒の照射時間を可能にする放射線の単一パルスのみを要するかもしれない。
【0068】
電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる別の例では、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影しながら、出力平面密度、すなわち固体表面上の所定領域に投影される単位面積あたりの出力を制御することにある。例えば、これは放射線ビームの出力を所定ビーム直径内に集中させるか、レーザービームの収束角度を所定容量内に制御することによりレーザービームウエストを形成するか、又は放射線ビームの出力をフィルターで減衰させることを備えてもよい。ここで、方向付けは所定容量内での電磁放射線の軌道を制御すること以上のことを備えることができる。というのも、所定容量内での電磁放射線の質と量をエネルギー源の性質及び生物学的用途の要求に応じて制御することも備えることができる。
【0069】
固体表面を、特に限定しないが、標準組織培養用マルチウェルプレート(例えば6−ウェル、12−ウェル、24−ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、1536ウェルのプレート);ペトリディッシュ;顕微鏡用スライド;プラスチック製の袋;細胞培養用フラスコ;及び組織培養用ボトルを含む種々の細胞封じ込め装置に存在させることができる。一般に、かかる細胞封じ込め装置の固体表面は水性の細胞媒体と接触している。いくつかの実施態様では、エネルギー源から所定容量までの電磁放射線の光学経路は、固体表面を形成する固体材料を含んでも含まなくてもよい。それによって少なくとも2種類の大きく異なった光学経路配置を可能にし、それぞれが特徴的な利点を有する。
【0070】
一つの形式の光学経路配置では、光学経路が細胞を含む固体表面(すなわち細胞空間)の側から所定容量に近づいていく。この形式の光学経路配置の一例では、細胞と該細胞が接触している水性媒体とを封じ込め装置内に含め、ここで封じ込め装置が水平な固形床、固体の壁、及び開放頂部もしくは電磁放射線に対し実質的に透明な頂部部材を有している。電磁放射線は封じ込め装置内で該封じ込め装置上から所定容量に近づき、開放頂部又はほぼ透明な頂部部材、上方液界面、水性媒体を経て所定容量の頂部境界に入り、所定容量を介して固形床表面上の所定領域に通って該所定容量内の細胞を照射する。この形式の光学経路配置では、固体表面を形成する固体材料が所定領域に入射する電磁放射線に対し透明である必要はない。それは電磁放射線が所定領域に入射する時までに所定容量をすでに通過しているからである。この形式の光学経路配置の明確な利点は、特別な透明材料を固体表面を形成する固体材料に必要としないため、細胞封じ込め装置をより簡単に且つ安く製造できることにある。
【0071】
別の形式の光学経路配置では、光学経路が固体材料を含む固体表面の側から所定容量に近づいていく。この形式の光学経路配置の一例では、細胞と該細胞と接触している水性媒体とを封じ込め装置内に含まれ、ここで封じ込め装置が壁と、実質的に電磁放射線に対し透明な材料からなる水平に配置した固形の床を有する。電磁放射線は封じ込め装置内の所定容量に該封じ込め装置の下から近づき、実質的に透明な固形の床の底部、固形の床、固形の床表面上の所定領域、所定容量を通過して、所定容量内に含まれる細胞を照射する。この形式の光学経路配置では、固体表面を形成する固体材料は電磁放射線に対し実質的に透明でなければならない。それは、電磁放射線が固体材料を通過して所定容量に到達しなければならないからである。この形式の光学経路配置の利点は、特に限定しないが、a)実質的に透明な床を有する封じ込め装置が細胞の高分解能の画像化を可能にする、及びb)水性細胞媒体を通る光学経路を最小化して水性相の光学特性に付随するばらつきを最小にすることである。更に、本発明の適用及び特定の実施態様に依存して、固体表面は、特に限定しないが、ポリマー及びガラスを含む種々の材料を備えることができる。
【0072】
また、上記装置は、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に指向させるための命令を備えることができる。ある所定の瞬間では、所定容量に指向する電磁放射線が所定容量全体を含むまで該所定容量の一部分と交差する。所定瞬間に電離放射線が交差する所定容量の部分を、ここで交差容量と称する。交差容量が所定容量全体よりも少ない場合、所定容量の全体を照射するのを確実にするために、上記命令が電磁放射線を多重交差容量に指向させるか、もしくは空間中の経路を通して交差容量を一掃する必要がある。所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるために有用な命令の例は、特に限定しないが、電磁放射線の個々のパルスに対するパルス目的物のパターン(すなわちパルスの目的パターン)に従って電磁放射線を指向させるための命令、ここで個々のパルスの目的物が1つ、2つ、もしくはそれ以上のパルスを受け取り得る;電磁放射線の個々のパルスに対するパルス目的物のグリッドパターン(例えば、2次元直交のグリッドパターン、もしくは3次元直交のグリッドパターン)に従って電磁放射線を指向させるための命令;放射線の持続ビームに対する一掃パターンに従って電磁放射線を指向させるための命令、ここで一掃パターンがビームが重なり合う量をほぼ0から100%とするを可能にし;電磁放射線の単一パルスに関する命令;電磁放射線の多重パルスに関する命令;所定容量へある期間指向させるべき電磁放射線の持続ビームに関する命令;エネルギー源をオンにする、すなわち照射を開始するための命令;エネルギー源をオフにする、すなわち照射を停止するための命令;シャッターを開閉するための命令;及び鏡もしくはレンズをある位置に移動させるための命令を含む。例えば、パルスレーザーエネルギー源の個々のパルスの交差容量が所定容量全体の10%のみとする場合、各レーザーパルスが特異な交差容量を有する少なくとも10レーザーパルスのシリーズを発生させるよう命令することにより電磁放射線を所定容量のほぼ全体に指向させることができ、この10の特異な交差容量の重なり合った容量を最小化し(例えば、重なり合いが0パーセントであれば、所定容量全体の10パーセントである10パルスが所定容量全体の100パーセントとなる);かかる10パルスのシリーズを、例えば2パルス目的物×5パルス目的物の直交グリッドからなるパルスの目的パターンに従って所定容量に指向させることができ、ここで電磁放射線をパルスの目的物に指向させる場合に個々のパルスの目的物が特異な交差容量を生じ、10の特異な交差容量を集めると、所定容量のほぼ全体になる。第2の例として、持続レーザーエネルギー源からの電磁放射線ビームがあらゆる所定瞬間で所定容量全体のただ1%とし、約1ミリ秒の放射線照射が所定容量内の細胞膜の透過化を誘導するに十分なエネルギー線量である場合、約1ミリ秒の点特異的な滞留時間を含み所定容量内で経路の重なりあいが実質的にない経路パターンに従って所定容量全体を介してビームを一掃するように命令することによりに約100ミリ秒の期間内に所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させることができる。例えば、命令をコンピューターもしくは他の電子制御により自動的に、もしくはヒトの操作者の制御により手動的に発生させることができる。また、かかる命令を特徴とする装置に対し、該命令に応じて電磁放射線を所定容量に指向させるように構成した方向付け装置を特徴づけることも有用である。かかる電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置は、特に限定しないが、反射素子、屈折素子、回折素子、電流測定素子、圧電傾斜台、音響光学偏向器、シャッター及びフィルターを備えることができる。更に、電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置は、かかる命令に対応する電気的もしくは機械的な作動装置を備えることができる。
【0073】
所定容量よりも小さい交差容量で該所定容量と交差する電磁放射線のビームは、所定容量全体が電磁放射線のほぼ均一な線量を受けるように、多重交差容量に指向させることを必要とすることがある。ここで、ほぼ均一な線量は該線量が定量値の所定範囲内にあることを意味する。電磁放射腺の線量を、エネルギー平面密度、出力平面密度、エネルギー容積密度、出力容積密度、エネルギー束及びその他の工学及び光学的研究分野で既知の電磁放射線定量化基準のような種々の方法で定量化することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施態様では、所定容量内に位置する種々の材料及び対象物によりはっきりと吸収、拡散、屈折又は反射し得る電磁放射線の波長を利用する。かかる材料及び対象物は、特に限定しないが、生細胞、死細胞、細胞残渣、及び水性媒体とすることができる。かかる実施態様の設計は、様々な材料及び対象物が所定容量全体にわたり電磁放射線を透過する効果を考慮することができる。細胞を一時的に透過性にするために有用な電磁放射線の波長は、およそ300ナノメートルから3000ナノメートルの範囲てあり、電磁スペクトルの可視部の波長(約400ナノメートルから700ナノメートル)が特に有用である。細胞を一時的に透過性にするために有用な近紫外の波長を含む波長範囲の一例は、330ナノメートルから400ナノメートルである。細胞を一時的に透過性にするために有用な近赤外の波長を含む波長範囲の一例は、700ナノメートルから1100ナノメートルである。
【0075】
所定容量内での吸収、拡散、屈折、もしくは反射のような光学現象の好ましくない影響は、かかる好ましくない影響を無力化するに十分な電磁放射線の線量を使用することによって対応することができる。また、所定容量を境界付ける固体表面からの有効距離を制限することができ、これにより放射線の拡散、屈折、反射、及び吸収を考慮に入れると、細胞を細胞膜の一時的な透過化の誘導に十分有効な距離に位置させることができる所定容量を限定する。例えば、有効な距離を固体表面に被着した単一の細胞の厚み(例えば約1マイクロメートル)から約1000マイクロメートルまでの範囲とすることができる。約1000マイクロメートル以上の距離は、電磁放射線のエネルギー又は出力密度の著しい減衰に直面する。望ましくない影響に対応する他の方法は、特に限定しないが、電磁放射線の吸収による所定容量内の温度上昇を減じながら、所望の全エネルギー線量を維持するように低出力を長時間にわたって使用するか;所定表面上で電磁放射線の多重入射角を利用することを含む。
【0076】
細胞の透過化割合を、様々な方法で制御することができる。電磁放射線線量の方法及びその量を、所定容量内の特定の細胞密度範囲で特定の種類の細胞に透過化を誘導するために設計できる。この設計の情報を用いて、適切なエネルギー源及び設計した線量を供給するための方向付け装置を選択もしくは設計することができる。細胞を所定容量内に広範囲の細胞密度、例えば所定容量あたり単一の細胞から生きている動物組織で見られる細胞密度(例えば、1立方センチあたり108細胞)の範囲で置くことができる。また、エネルギー源が十分な出力を有し、方向付け装置が電磁放射線を所定領域に1秒当たり400平方センチメートルまでの割合で指向させることができる場合、細胞透過化の割合が所定容量内の細胞密度及び所定領域の照射割合(これにより所定容量が所定領域を照射している間に実質的に照射される)の関数である。高出力細胞透過化装置の一例は、それぞれ約8.5cm×12.7cmを測定する4つの標準マルチウェルプレートまでの全体を同時に照射するようなフラッシュランプ及び方向付け装置を備える装置で、フラッシュランプからの放射線の単一パルスが1秒未満の持続期間で、1秒あたり400平方センチメートルにわたって照射する;この例では、所定容量が全てのプレートに含まれる全てのウェルからなる。例えば、各標準マルチウェルプレートが少なくとも6000万個の細胞を含有する場合、1秒あたり2400万個の細胞を照射することができる。他の装置と方法の実施態様は、広範囲の有用な細胞透過割合を生ずるこれらの原理に基づいて製作できる。ある種の実施態様では、ある領域の照射が少なくとも 0.0001、 0.0003、 0.001、 0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートル/秒、より好ましくは約0.0003から約10平方センチメートル/秒の割合で進めることができる。ある種の実施態様では、細胞の透過化が少なくとも10、30、100、300, 1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、もしくは240,000, 000細胞/秒の割合、より具体的に言うと少なくとも約300から少なくとも約10,000, 000細胞/秒で進めることができる。
【0077】
一時的な透過化状態が、細胞に様々な物質をローディング又はアンローディングするために有用で、ローディング後の細胞の継続生存を導く期間内に、細胞が実質的に非透過性状態に回復するのを可能にする。例えば、ある物質が細胞膜外で見られる一層高い濃度で細胞膜内に存在している場合に、該物質が高濃度の場所から低濃度の場所へ抜け出ると、アンローディングが起こり得る。一時的に透過性にした細胞に物質をローディングすることを可能にするために、前記物質を所定容量内の細胞を取り囲んでいる水性媒体に含ませることができる。かかる物質は、特に限定しないが、イオン、有機分子、無機分子(例えば、量子ドット、Han, M. , Gao, X. , Su, J. Z. , & Nie, S. 2001. 生体分子を光学的に多重コードするための量子ドットタグのマイクロビーズ。Nat. Biotech., 19: 631-635、その全体を本願に引用して援用する)、多糖類、ペプチド、タンパク質、コロイド粒子、核酸(例えばオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、及びプラスミド)及び変性核酸(例えばペプチド核酸)を含む。核酸は、用途に応じて、1本鎖もしくは2本鎖のDNAもしくはRNAとすることができる。オリゴヌクレオチドはホスホジエステル結合によって結合された約20までのヌクレオチド配列である。一般に、ポリヌクレオチドは約20以上のヌクレオチド配列である。イオンの例は、限定しないが、亜鉛イオン、カルシウムイオンを含む。無機分子の例は、限定しないが、半導体ナノ結晶(量子ドットとしても既知)を含む。一時的な透過状態の間に、かかる物質が透過膜を介して細胞内に入ることができる。
【0078】
電磁放射線の線量を適切に制御する場合、物質が十分な量の物質の細胞へのローディングと、ローディング後の細胞の継続生存との両方を導く期間内に透過膜は非透過状態に回復できる。有用な一時的な透過性期間は、イオン(Nilius B, Hess P, Lansman JB, Tsien RW)、心室細胞の新しいタイプの心臓のカルシウムチャンネル、Nature. 1985 Aug 1-7; 316 (6027): 443-6;この全体を本願に引用して援用する)及びその他の低分子に対して0.3ミリ秒未満のように短かくすることができる。一般に、約30分を越える一時的な透過性期間が、細胞の生存率を低くする。負荷された物質は、膜が実質的に非透過性状態に回復した後、特定細胞内で物質の運命に応じて細胞内変化する期間その原型を保持することができる。例えば、物質を直ちに加水分解するか、リン酸化するか、酵素的に開裂するか、もしくは細胞のゲノムに組み込むことができる。一般に、ローディング後の細胞の生存率を少なくとも50%、 60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%以上に維持するように電磁放射線の線量(量、質、及び投与方法)を調整することが望ましい。好ましくは、この生存率は少なくとも約50%から約90%である。
【0079】
ローディング後の細胞の生存率を決定する様々な時間点を選択することができ、その適切性が特定の用途に依存する。例えば、時間点は、物質が細胞に入ったことを決定することができる時間、物質が細胞の代謝又は遺伝回路網に影響を与える時間、もしくは24時間のような固定ローディング後の時間とすることができる。
【0080】
ある実施態様では、高レベルの細胞生存率を許容的に維持するために、電磁放射線の線量は一般に1×1013W/cm2未満の出力密度を有する。Tirlapur et al.(Nature, Vol. 418,18 July 2002, p. 290-1)は単一パルス中の1019W/cm2のピーク密度に匹敵する1012W/cm2の 平均出力密度の使用を開示し、Tao et al. (Proc. Natl. Acad.Sci. USA, Vol. 84, p. 4180-4184, June 1987)は約7.3×1010から2.1×1011W/cm2、Palumbo et al. (J.of Photochem. Photobio. B: Biology 36,1996, p. 41-46) は約6.4×107W/cm2、及びGuo et al. (Physiologia Plantarum 93, p. 19-24,1995)は約7×1012から8.5×1012W/cm2を開示している。 Tirlapur etal., Tao etal., and Palumbo etal.はそれぞれ本願に引用し援用する。例えば、いくつかの実施態様において、照射時間が十分に短いか、もしくは細胞生存率の要求が比較的低い場合、約1×1013以上、2×1013、3×1013、6×1013、1×1014、2×1014、3×1014、6×1014、1×1015、2×1015、3×1015、6×1015、1×1016、2×1016、3×1016、6×1016、及び1×1017W/cm2の出力密度を利用することができる。加えて、例えば別の実施態様においては、照射時間が十分に長く、照射領域が十減可能な細胞透過化割合に順応するに十分大きい場合、約6×107未満、3×107、2×107、1×107、6×106、3×106、2×106、1×106、6×105、3×105、2×105、1×105、6×104、3×104、2×104、1×104 W/cm2の出力密度を使用することができる。
【0081】
細胞中への物質負荷割合の更なる増強は、細胞の一時的な透過状態の誘導に関連した非等張水性媒体を使用することによって達成することができる。物質の負荷割合の増強を達成するためには、細胞を電磁放射線によって誘導する透過化の前、その間、もしくはその後に非等張水性媒体にさらすことができる。かかる割合は、様々な用語で表現することができ、特に限定しないが、細胞当たりの物質の負荷量、単位時間当たり単位細胞当たりの物質の負荷量、もしくは物質の閾値でうまく負荷される所定容量内の全細胞の画分(もしくは百分率)を含む。有用な低張の水性媒体の一例は、25mM KCl、0.3mM KH2PO4及び90mOsm/Kg ミオイノシトールからなる溶液で、該溶液を標準的な等張リン酸緩衝食塩水(PBS)と1:1の割合で混合して穏やかな浸透圧の低張媒体を作ることができる。有用な高張の水性媒体の一例は、25mM KCl、0.3mM KH2PO4及び400mOsm/Kg ミオイノシトールからなる溶液で、該溶液を標準的な等張PBS溶液と1:1の割合で混合してより穏やかな浸透圧の高張の媒体を作ることができる。当業者は、物質の負荷割合を増強するのに有用とし得る他の非等張水性媒体組成を認識するであろう。
【0082】
図2は一時的に細胞を透過化する及び/又は物質を細胞に負荷するのに使用することができる装置10の一つの実施態様の図解である。この装置10は内部構成部品を格納するハウジング15を含む。ハウジングは、使用者の安全を保障するレーザー安全連動装置を備え、また外的な影響(例えば、周辺光、埃など)による干渉を制限する。ハウジング15の上部に、プロセス情報を表示するための表示装置20を位置させる。キーボード25及びマウス30を用いてデータを入力し、装置10を制御する。点検口35は細胞の容器を保持する可動台へのアクセスを提供する。
【0083】
装置10の内部図を図3に示す。図示とおり、装置10は該装置の内部構成部品を保持する上部受け皿200及び下部受け皿210を備える。上部受け皿200は装置10内部に吸い込まれる外気をろ過する一対の吸気フィルター215A、Bを備える。点検口35の下方に光学サブアセンブリ(図示せず)がある。該光学サブアセンブリを上部受け皿200に取り付け、図4−7に関して詳細に記述する。
【0084】
下部受け皿210上にはコンピューター225があり、これは装置10を作動させるソフトウエアプログラム、命令及び指示を保存している。加えて、コンピューター225は、レーザーエネルギー源から電磁放射線を指向させるために、電気的な信号結線を介して制御信号を処理装置に供給する。
【0085】
ここで用いる「コンピューター」は、限定しないが、パソコン、ワークステーション、サーバー、クライアント、小型コンピューター、大型汎用機、ラップトップコンピューター、個々のコンピューターのネットワーク、携帯端末機、パームトップ型コンピューター、ハンドヘルドコンピューター、テレビ用セットトップボックス、双方向テレビ、双方向公衆電話、パーソナルデジタルアシスタント、双方向無線通信の装置、携帯ブラウザー、もしくはこれらの組み合わせのようなあらゆる超小型演算装置もしくは演算制御装置とすることができる。更に、コンピューターはキーボード、マウス、タッチパッド、ジョイスティック、ペン入力パッドのような入力デバイス、並びにコンピュータースクリーン及びスピーカーのような出力デバイスを有することができる。これらコンピューターはユニプロセッサーもしくはマルチプロセッサーでもよい。
【0086】
さらに、これらのコンピューターはランダムアクセスメモリー(RAM)、電気的に消去可能なプログラムできる読み取り専用メモリ(EEPROM)、プログラムできる読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラムできる読み取り専用メモリ(EPROM)、ハードディスク、フレキシブルディスク、レーザーディスクプレーヤー、デジタルビデオデバイス、コンパクトディスク、ビデオテープ、オーディオテープ、磁気記録トラック、電子ネットワーク、及び電子的コンテンツ、一例としてはプログラム及びデータのような電子的コンテンツを伝送もしくは貯蔵する他の技術のような指定可能なメモリもしくはストレージメディア又はコンピューターで利用可能なメディアを備えることができる。いくつかの実施態様では、コンピューターはネットワーク通信媒体に接続するのに適したネットワークインターフェイスカード、モデム、もしくは他のネットワーク関連装置のようなネットワーク通信装置を備えることができる。
【0087】
図示するように、一連の電源装置230A、B、Cが装置10内の様々な電気的構成部品に電力を供給する。加えて、無停電電源装置235を組み込んでは短い外部の停電の間も装置を作動し続けるようにできる。
【0088】
図4は、装置10の実施態様内の光学サブアセンブリデザイン300の一例レイアウトを提供している。細胞を照射するためのレーザー400が存在する。図示した通り、レーザー400はシャッター410を通過する523nmのエネルギービームを出力する。模範的なレーザーは523nmの波長を有するエネルギービームを出力するが、他の波長でエネルギーを発生させる他の源も本発明の範囲内にある。
【0089】
レーザーエネルギービームがシャッター410を通過すると、該ビームはエネルギービームの直径を固体表面の平面での適切な大きさに調節するビーム拡大器(スペシャル オプティクス、ワートン、NJ)415に入る。ビーム拡大基415に続いてビームの分極を制御する半波長板420がある。次いで、レーザーエネルギービームが鏡425で反射され、キューブビームスプリッター350に入る。レーザーエネルギービームはキューブビームスプリッター350内で90度だけ反射される。キューブビームスプリッター350からのレーザービームは長波パスミラー355で反射し、ガルバノメータ360に導かれ、その後走査レンズ365に入り、最後に所定容量内に集中される。
【0090】
Nd:YLFの2 逓倍固体レーザー(スペクトラ フィジクス、マウンテンビュー、CA)を、安定でファイアリングの繰り返し率が高く長期間保守を必要としないため使用する。また、ナノレーザー(JDS ユニフェーズ、サンノゼ、CA)Nd:YAG第一高調波(1064nm)Nd:YAG第二高調波(532nm)、及びNd:YAG第三高調波(355nm)を含む他の類似のレーザーを本装置に使用できる。
【0091】
図5に光学サブアセンブリの実施態様の斜視図が図解してある。図5の斜視図に図解してあるとおり、レーザー400はシャッター410を介してビーム拡大器415にエネルギーを伝達する。レーザー400からのエネルギーがビーム拡大器415を通過し、半波長板420を通過して折り鏡425にぶつかり、キューブビームスプリッター350に入り、ここで長波パスミラー355の方に90度反射され、そこからコンピューターで制御されたガルバノメータ鏡360に反射される。走査レンズ365を介してガルバノメータ鏡360に進められた後、レーザーエネルギービームは所定容量内に存在するあらゆる細胞の透過化を誘導するために該所定容量にぶつかる。
【0092】
処理すべき試料の極めて大きな表面積を収納するために、前記装置は、走査レンズに対し試料容器を機械的に動かす可動台を備えている。すなわち、固体表面の特定領域を処理すると、可動台が走査レンズの視界内の別の固体表面の領域に移動する。図6に示すように、コンピューター制御の可動台500は処理すべき容器(図示せず)を保持する。可動台500をコンピューター制御のサーボモーターにより二つの軸に沿って移動させて、試料容器を装置の光学構成部品に関連して移動させることができる。所定経路に沿った台の移動を、装置の別の操作と整合させる。加えて、特定の座標を、可動台の所定位置への復帰ができるように、呼び出し及び保存することができる。x軸とy軸の移動のエンコーダーが、台の位置に関する閉回路のフィードバック制御を提供する。
【0093】
フラットフィールド(F−シータ)走査レンズ365を可動台の下に取り付ける。レンズ365をステッピングモーターに取り付けて、システムを所定容量に集中させるために該レンズ365を自動的に昇降(Z軸に沿って)させるようにする。
【0094】
図8に可動台500の上面図を示す。図示するように、容器を可動台500に取り付る。容器505を、可動台500に対し前後方向に移動するように設計された上方軸ネストプレート510上に置く。ステッピングモーター(図示せず)を上方軸ネストプレート510及びコンピューターシステムに接続するので、コンピューターからの命令が試料容器505の前後移動を生ずる。
【0095】
また、可動台500を、一対ベアリングトラック525A,525Bに沿って可動台500の両側移動を付与するタイミングベルト515に接続する。タイミングベルト515をプーリーカバー530の下部に収容されているプーリー(図示せず)に取り付ける。プーリーをステッピングモーター535に接続して、可動台500の両側移動になるようにタイミングベルト515を駆動にする。ステッピングモーター535をコンピューターシステムに電気的に接続するので、コンピューターシステム内の命令が可動台500の両側移動を生ずる。移動限界センサー540をコンピューターシステムに接続し、可動台が所定の横方向距離以上に移動したら警報を発する。
【0096】
一対の加速度計545A、545Bをこの台上に組み込んで装置の操作と干渉し得る過度な衝突もしくは振動を記録するのが好ましい。加えて、2軸傾斜計550を可動台に組み込み、容器が水平になるようにして容器内で重力による運動の可能性を減じることを確実にするのが好ましい。
【0097】
チャンバーは、容器上の凝結を排除するためのダクトを有する送風機と、該チャンバーが許容温度範囲内にあるかどうかを決定するための熱電対とを有する。別の送風機を設けて電子部品によって発生した熱を放出し、適切なフィルターを空気取り入れ口215A、Bに用いる。
【0098】
コンピューターシステム225は上記の様々な電子ハードウエアの操作と同期性を制御する。コンピューターシステムは、ハードウエアとインターフェイスで連結し得るあらゆる市販のコンピューターとすることができる。コンピューターは、特に限定しないが、例えばリナックス、ユニックス、マイクロソフト(R)ウインドウズ(R)、アップル(R)MacOS(R),及びIBM(R)OS/2(R)を含むあらゆる適切なオペレーティングシステムを使用することができる。かかるコンピューターシステムの一例として、マイクロソフトウインドウズ(R)NTオペレーティングシステムを実行するインテルペンティアム(登録商標)IIに基づくコンピューターがある。コンピューターシステムの別の例として、マイクロソフトウインドウズ(R)XPオペレーティングシステムを実行するインテルペンティアムIIIもしくはIVプロセッサがある。ソフトウエアを用いて様々な装置と情報伝達し、後述する方法で操作を制御する。
【0099】
容器を可動台の上に置き、ドアを閉じると、コンピューターが信号を台に送り、該台を定位置に動かす。送風機を初期化して容器の暖め及び防曇を始める。この間中、容器内の細胞を固体表面に置くようにすることができる。加えて、この間に前記装置は、容器を適当に負荷し、光学系の集束範囲内にあることを確実にする命令を実行することができる。例えば、特定の表示を容器上に位置させ、前記光学系によって集中させて、走査レンズを容器の底に適切に集中させるのを確実にすることができる。適当な時間の後、コンピューターがファンを切り処理中の余分な振動を防ぎ、処理が開始する。
【0100】
操作者は、キーボードとマウスを介して、例えば容器のどの領域に電磁放射線を照射するかを選択することにより装置の操作を命令することができる。次いで、コンピューターは可動台を走査レンズ上に位置するように命令するので、照射されるべき容器の第一の領域が直接走査レンズの視野内にあるようにする。レーザーが所定割合で発火を始め、各レーザーパルスをガルバノメータ鏡の移動により異なった所定容量に指向させる。レーザー及びガルバノメータの速度によって、数千のパルスを一秒あたり数千の所定容量に指向させて細胞膜の高出力透過化を行うことができる。ガルバノメータの銘柄の一つは、ケンブリッジテクノロジーの型番6860である(ケンブリッジ、MA)である。このガルバノメータはミリ秒内で極めて正確に元に戻って適当な時間内に広い領域の処理を行うことができる。ガルバノメータ制御盤により連続的に発生する誤信号をコンピューターによって監視して、鏡が所定位置にし、レーザーを発火する前に閉ループ方法において安定であることを確実にする。
【0101】
図2から8に描画したシステムを修正し得ることに注目及び理解すべきである。例えば、本発明の方法及び装置は、上述した実施態様で用いることができるが、カメラ及び照明源のような光学部品の幾つかを必要としない。
【0102】
本発明の他の実施態様は、記憶装置を有するシステムに関し、該記憶装置が一連の指令を備えている。これら指令を実行すると、コンピューターが動作を実行させることができる。かかる動作は、実質的に静止した細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を固体表面に、該細胞の特定の3次元的な位置は前もって認識することなく指向させることを備え、ここで細胞を電磁放射線の経路と一致させる。また、前記動作は、電磁放射線を所定容量内のある位置に、該位置の特徴づけに関わらず指向させることを備えることができる。ここに位置の特徴づけという事は、位置の特定は、例えば位置の視覚化、位置の色、位置の蛍光、光の透過率等に基づいて細胞が特定の位置にあるかどうかの知識を含めることができる。これは、蛍光ラベル、視覚映像、色素等に基づいて特定位置に放射線を指向させるシステムと著しく異なっている。電磁放射線の量は、該電磁放射線と一致する細胞の膜の透過化を誘導するに十分なものとすることができる。
【0103】
記憶装置は上述したものを含むあらゆる適当なメモリとすることができる。一連の指令は、C++のコード、その他のコード、初期化したファイル、類似の回路等とすることができる。コンピューターはウインドウズXPオペレーティングシステムを含むあらゆるオペレーティングシステムを用いる上述したものを備える任意のコンピューターとすることができる。
【0104】
以下の実施例は、上述した方法及び装置の種々の用途への使用について説明する。
【実施例】
【0105】
実施例1:細胞への核酸の負荷
哺乳動物細胞におけるRNA干渉(RNAi)を介した効果的な遺伝子抑制に関する最近の発見以降(Elbashir.,S. M. , Harborth, J. , Lendeckel, W. , Yalcin, A., Weber, K. , & Tuschl, T. 2001. 哺乳動物の培養細胞における、2本鎖の21ヌクレオチドのRNAを介したRNA干渉。Nature, 411: 494-498;この全文を引用し本願に援用する)、学術研究者及び企業研究者の両方によって、発見及び治療への応用の両方に関して有意義な検証が行われ、関心が持たれてきている。RNAiは従来の遺伝子抑制に関するアンチセンス技術よりも多くの利点があり、これは多くの有用なモデル系に関する近年の多くの報告をもたらしている。しかし、核酸は完全な生きた細胞の膜を容易に通過しないので、これまでの報告のほとんどはRNAiを導入するために既存の細胞への遺伝子導入法を使用することに関する限界について述べている。RNAiは潜在的に非常に強力な手段であるけれども、高効率で高生存率の利用可能な遺伝子導入法がない。レーザーを介したオプトインジェクションが他の技術に付随する多くの限界を乗り越える可能性を具備している。
【0106】
この実施例において、センス及びアンチセンスRNAi鎖をコードするDNAをアレルバイオテクノロジー(Allele Biotechnology)(サンディアゴ、CA)より購入した。この研究方法は、U6RNA系ポリメラーゼIIIプロモーター及び変性ターミネーターを細胞内での高レベルで特異的なRNAiの発現に用いるRNAiカセットに基づいている。DNAテンプレート及び上流プライマーをキットにより提供する。センス及びアンチセンスの両方の下流GFP特異的プライマーを用い、製造者の推奨する条件(ラインサイレンス(R)キット、アレルバイオテクノロジー、サンディアゴ、CA)を用いるPCRによりセンス及びアンチセンスの短鎖干渉RNA(siRNA)転写物を生成する。下記の54塩基のDNA配列はターミネーター、遺伝子特異的下流配列及び鋳型適合領域を示す。
【0107】
5'-caaaaactgtaaa AA GAACGGCATCAAGGTGAAC ggtgtttcgtcctttccaca-3' (配列識別番号 NO : 1)
【0108】
5'-caaaaactgtaaa AA GTTCACCTTGATGCCGTTC ggtgtttcgtcctttccaca-3' (配列識別番号 NO : 2)
【0109】
次いで、PCR生成物を精製し、アニールし、オプティインジェクション研究に用いてGFPレポーター遺伝子の遺伝子抑制を達成する。
【0110】
10%FBS及び0.2mg/mlのG418を含むRPMI 1640中で成長させた293T−GFP細胞(ATCC(マナッサス、VA)より得、phrGFP−1(ストラタジーン、ラホヤ、CA)を遺伝子導入した293T)をトリプシン処理し、384のウェルプレートに塗付した。これら細胞を培養し、24時間付着し、そのままPBSで一回洗浄し、次いで5μl(マイクロリットル)の透過性促進バッファー(ブリンクマン、ウエストバレー、NY)中のセンス及びアンチセンスのPCRオリゴ(10−25ng)を添加することにより処理した。ウェルの領域を、照射前に標的細胞の場所知る必要がない所定のグリッドパターンのレーザーショットに暴露した。参考のためにだけ、この領域の周囲(約0.0001平方センチメートル)を図9に点線の四角で示す。これら細胞が固体表面に付着して成育するので、有効な距離は数マイクロメートルである。10μ(マイクロ)J/パルス及びパルス幅10ナノ秒である523nm波長のパルス化レーザービームを直径30μ(マイクロ)m(1パルスあたり0.007μJ/μm2のエネルギー密度と、7×107W/cm2のピーク出力密度とを生じ、試料中の所定容量への伝達効率が50%であると考えられている)に焦点を合わせ、所定のグリッドパターン内の隣接ショット間の距離がx及びy方向の両方とも20μmであるようにパルスを連続的に発火し、導いた。レーザーパルスを1秒あたり300回の割合で発火して所定容量全体に10分の1秒未満で照射した。この方法により、細胞の位置を前もって知ることなく所定容量内の全ての細胞に照射した。図9に示した画像は、単に参照するためのもので、細胞もしくは領域を標的するために使用していない。レーザー処理後すぐに、バッファーを取り除き成長媒体と交換し、プレートを直接培養器に入れた。48時間後、ヨウ化プロピジウムを使用して細胞の生存率が70%より大きいことを確認し、蛍光像を用いて四角内の細胞中のGFP遺伝子の抑制を確認した。所定容量外のウェルの制御領域(レーザーが照射されていないが、同様の試薬にはさらされている)においては、ほとんどの細胞がGFPを発現していた。所定容量内では、全ての細胞(全部で約30)でGFPの発現が著しく減少していた。この結果は、所定容量内の細胞が首尾よく透過化し、DNAで負荷されてGFPの遺伝子抑制になることを示す。
【0111】
実施例2:細胞へのsiRNAの負荷
この実施例では、SU−DHL−6細胞内でのbcl−2/IgH遺伝子抑制をsiRNAのオプトインジェクションで達成して細胞の増殖を抑制(図10)し、これは細胞機能に影響する機能的なsiRNAの供給を明確に示す。細胞をRPMI1640及び10%FBSを有する384ウェルプレート中一ウェル当たり500細胞で成育させた。bcl−2をコードするsiRNAを1%のHSAをふくむPBS中に10nMの濃度で加えた。この実施例では、所定容量がウェルの全面積(約0.03平方センチメートル)と、約10−20マイクロメートルの有効な距離とを備える。これはSU−DHL−6細胞が固体表面に付着して成長しないからである。25μm直径ビームの532nmの光のショットを25マイクロメートル間隔のグリッドパターンにおいて1パルスあたり10μJ及び0.5ナノ秒のパルス幅(1パルスあたり0.01μJ/μm2のエネルギー密度と、2×109W/cm2のピーク出力密度とを生じ、試料中の所定容量への伝達効率が50%であると考えられている)で用いて細胞のオプトインジェクションを行った。この実施例では、所定容量を約4秒で照射するように、パルスを1秒あたり1200回の割合で発火した。オプティインジェクションの後直ちに細胞を洗浄し、成育媒体を加え、次いで細胞を培養した。24時間後、細胞の生存率は50%より大きかった。細胞を全10日間培養し、細胞数を2、4、6、8、及び10日目に数えた。効果的な細胞の透過化、ローディング、遺伝子抑制に加えて、これらのデータはsiRNAの存在無しでもしくは無関係の目標(すなわちGFP)に対するsiRNAでのオプトインジェクション後の通常の細胞の成育を示す。
【0112】
この細胞への遺伝子導入の方法は、非常に簡単、迅速、及び穏やか(90%より大きい生存率、細胞の増殖速度は変化しない)であり、並びに広範囲の試薬(例えば、プラスミド、オリゴヌクレオチド、有機小分子、イオンなど)に適用される。
【0113】
実施例3:細胞への亜鉛の負荷
細胞外の媒体からのイオンを細胞に負荷しうることを実証するために、極めて低い細胞内量を有するZn2+をオプトインジェクション用に選択した。まず、NIH―3T3細胞を、バッファーとして[Zn2+]0=1mMを有するPBSを使用してZn2+感受性の指示薬(RhodZin−1;モレキュラープローブス社、ユージーン、OR)で染色した。所定領域の周囲(約0.001平方センチメートル)が図11中で明確に視認できる。これらの細胞が固体表面に付着して増殖するので、有効な距離は数マイクロメートルである。2μJ/pulse及び10ナノ秒パルス幅である523nmの波長のパルス化レーザービームを直径30μm(1パルスあたり0.001μJ/μm2のエネルギー密度と、1×107W/cm2のピーク出力密度とを生じ、、試料の所定容量に対する伝達効率は50%と考えられる)に集中させ、所定のグリッドパターン内の隣接ショット間の距離がx及びy方向の両方とも50μmであるようにパルスを連続的に発火、導いた。図11は530nmで励起し590nmで発光を検出した蛍光画像を示す。パネルAは、約0の基底[Zn2+]iでの細胞が極めて低い蛍光強度を有することを示す。パネルBは、オプトインジェクション後の細胞を示し、ここで所定容量内の細胞(すなわち左下の隅)が[Zn2+]iの増加により増大したRhodZin−1の蛍光強度を有する。これら条件下での細胞の生存率が90%より大きいことを確認した。この結果は、高[Zn2+]0存在下で所定容量内の細胞へのレーザー照射が[Zn2+]iの増加を生ずることを実証する。この実験は、細胞基質へのイオンの流入が細胞内の貯蔵よりもむしろ細胞外の媒体からであることを更に示す。
【0114】
本発明の特徴をここで例示した特定の実施態様によって記述したが、本発明はこれに限定するものではない。
【0115】
(引用文献)
以下に引用した全ての文献についてその全体を本願に引用して援用する。
【0116】
Elbashir, S. M. , Harborth, J. , Lendeckel, W. , Yalcin, A. , Weber, K. , & Tuschl, T. 2001.哺乳動物の培養細胞における、2本鎖の21ヌクレオチドのRNAを介したRNA干渉。 Nature, 411: 494-498.
【0117】
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【0118】
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【0119】
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【0120】
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【0121】
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【0123】
Palumbo G, Caruso M, Crescenzi E, Tecce MF, Roberti G, Colasanti A. 1996 色素を用いたレーザーオプトポレーションによる真核細胞への標的遺伝子の導入。J Photochem Photobiol B. 36(1) : 41-6.
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【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は所定容量(V,x×y×dで測定する)の斜視図であり、固体表面(S)上の所定領域(A、x×yで測定する)及び所定領域から垂直方向に突出した有効な距離(d)を描画している。また、所定容量内に存在する数個の細胞と、固体表面を形成する実質的に透明な固体材料(M)を示す。
【図2】図2は細胞処理装置の一実施態様の斜視図で、ハウジングと表示部の外部図案を示す。
【図3】図3は外部ハウジングを取り除き、内部の構成部材を示す細胞処理装置の一実施態様の斜視図である。
【図4】図4は細胞処理装置の一実施態様における光学サブアセンブリ図案のブロック図である。
【図5】図5は細胞処理装置の一実施態様における光学サブアセンブリの一実施態様の斜視図である。
【図6】図6は走査レンズ及び可動台の配置を示す光学サブアセンブリの一実施態様の側面図である。
【図7】図7は光学サブアセンブリの一実施態様の底面斜視図である。
【図8】図8は細胞処理装置の可動台の上面斜視図である。
【図9】図9は48時間後の蛍光によって決定したsiRNAをコードするDNAのオプトインジェクションによるGFP発現の抑制を示す写真である。
【図10】図10はSU−DHL−6細胞へのsiRNAのオプトインジェクション後の細胞増殖を示すグラフである。
【図11】図11は一分後のZn2+指示薬RhodZin−1の蛍光によって決定したNIH−3T3細胞のZn2+負荷を示す写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を細胞中に導入及び細胞外へ放出させるための方法及び装置に関し、より詳細には、イオン、タンパク質及び核酸のような様々な物質の一種以上を細胞に導入もしくは放出させ得るようにる生細胞の透過性を一時的に上げるための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞に物質を導入することの重要性及びその理想的な手段の不足から、数多くの技術が開発されてきた。例えば、DNAはリン酸カルシウム沈殿、リポソーム、陽イオン性脂質、DEAEデキストラン、ウイルスベクター、エレクトロポレーション、ポリエチルイミン、ペプチド仲介遺伝子輸送、活性化デンドリマー、ポリアミン、ポリ−L−オルニチンのような方法、並びにボリスティクス(bolistics)、ビーズローディング(bead-loading)及びイムノポレーション(immunoporation)のようなビーズに基づく方法により導入される。一般に、これらの方法は、(i) 単一の物質の導入にしか適用できない、(ii) 細胞への悪影響(例えば細胞の生存率及び成長率を減少させ、生理機能を変える)、 (iii)器官への悪影響(例えば白血病の誘発)、 (iv)効率の悪さ及び(v)導入した物質への損害を含む多数の欠点を受ける。
【0003】
マイクロインジェクションは、キャピラリーを用いて物質を細胞内に物理的に注入する技術である。これは、他の方法に適合しない物質を選択的に細胞に導入することができるので有用であり、多くの上記方法に付随する制限や潜在的な問題を有しない。マイクロインジェクションは、あらゆる物質をオルガネラにさえ微注入できる点で用途が広い。しかし、仕事量が多いこと及び処理能力が低いため、この方法の有用性が特定の用途に限定されている。現在必要なのは、細胞に物質を添加するための処理能力が高く多用途な方法である。
【0004】
レーザーは、オプトインジェクションと呼ばれる方法で、細胞に物質を導入するのに使用されてきた。このオプトインジェクションの機構は、レーザーを細胞膜表面の一部にきっちり焦点を合わせた時に、該レーザーによって膜に物理的な孔が開くことにあると仮定されてきた。オプトインジェクションの制限は、装填すべき単一の細胞ごとにレーザーで位置を突き止め、目標にする必要があることにある。オプトポレーションと呼ばれる関連した技術は、レーザーを培養基質に集中させ、生成する衝撃波により近傍の細胞の膜に一時的な透過性を引き起こす。オプトポレーションの欠点は、重大な細胞死を生じ、衝撃波から種々の距離にある細胞が異なった範囲に無装填されることにあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、高い細胞生存率で細胞に早く効率的に様々な物質を装填する方法及び装置が必要である。本発明はこの必要性を満たし、同様に関連した利点を提供する。
【発明の要旨】
【0006】
本発明は、固体表面から有効な距離により画成される容量内に位置する実質的に静止した細胞を、該容量内の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなしに一時的に透過性にする方法を提供する。この一般的な方法は、細胞が存在する容量の方に電磁放射線を指向させることにより細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を細胞に照射することにある。固体表面から有効な距離内の空間領域内に多量の細胞を置き、かかる領域に速やかに電磁放射線を照射することにより、高い割合の細胞透過化を達成することができる。同時に、波長、出力密度及び全照射時間といった電磁放射線量パラメーターを適切な組み合わせで選択することによって、高収量の透過化を高い細胞生存率で達成することができる。エネルギー密度が、出力密度と全照射時間の関数である。放射線を一連のパルスによって投与する電磁放射線プロトコルでは、全照射時間がパルス期間と全パルス数の関数である。加えて、放射線を一連のパルスとして投与する電磁放射線プロトコルでは、パルス間の時間(すなわち、パルスの周期性)も臨界的パラメーターとすることができる。透過状態の間、細胞が該細胞に装填すべき物質を含む水性媒体と接触しており、その結果この方法は、高い細胞生存率で様々な物質を細胞に迅速に及び効率的に装填することを提供する。
【0007】
本発明の実施態様は、所定容量内に位置する実質的に静止した細胞を、該容量内の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなしに一時的に透過性にする装置に関する。一般に、該実施態様は、細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源と、細胞が存在する所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向するよう構成された方向付け装置と、固体表面を備えることができ、ここで所定容量を該固体表面によって部分的に境界付けし、且つ固体表面からの有効な距離によって更に境界付けする。さらに、固体表面は、電磁放射線の光学通路内に加わる実質的に透明な材料を備えることができる。該実施態様は、細胞膜の透過性を誘導するのに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源と、細胞が存在する所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるための命令と、該命令に呼応して電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を含む装置も備えることができる。
【0008】
本発明のいくつかの実施態様は、一つ以上の細胞を一時的に透過性にする方法に関する。この方法は、a)固体表面から有効な距離内で実質的に静止した位置に一つ以上の細胞を維持し、及びb)一つ以上の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく、一つ以上の細胞の一時的透過化を誘導するに十分な電磁放射線を固体表面に指向させることを備えることができ、この場合一つ以上の細胞を電磁放射線の経路に一致させることができる。
【0009】
電磁放射線は、固体表面上で、例えば多くても約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5及び6μJ/μm2のエネルギー密度を持つことができる。電磁放射線は、個々に又は組み合わせた上記密度のサブセットのエネルギー密度、及び上記密度の任意の範囲を持つことができる。さらに、電磁放射線は、固体表面上で約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を持つことができる。
【0010】
有効な距離は、例えば約1000μm未満、600μm、300μm、200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、1μm等とすることができる。有効な距離は、個々に又は組み合わせた上記距離のサブセット、及び上記距離の任意の範囲である。さらに、有効な距離は約1μmから約20μmの間である。
【0011】
電磁放射線を、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒の期間一つ以上の細胞に指向させることができる。この期間は、個々に又は組み合わせた上記機関のサブセット、及び上記期間の任意の範囲である。また、一つ以上の細胞を、例えば約100ピコ秒から10秒の期間電磁放射線に暴露することができる。
【0012】
電磁放射線は、例えば約300ナノメートルから約3000ナノメートルの間、約330ナノメートルから約1100ナノメートルの間、約400ナノメートルから700ナノメートルの間等の波長を有することができる。
【0013】
方向付けることは、例えば放射線のパルスを固体表面に供給するか、経路パターンに従って放射線のビームを固体表面に通過させる等を備えることができる。
【0014】
一つ以上の細胞の膜の一時的な透過化の誘導は、例えば少なくとも10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000,000、3,000,000、10,000,000、30,0000,000、100,000,000及び240,000,000細胞/秒の割合で生じる。一時的な透過化の誘導率は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲である。更に、該方法は、一つ以上の細胞の膜への一時的な透過化を約300から10,000,000細胞/秒の割合で誘導することを備えることができる。
【0015】
膜の一時的透過処理後の一つ以上の細胞の生存の確率は、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の値で維持することができる。生存率は、個々に又は組み合わせた上記生存率のサブセット、及び上記生存率の任意の範囲である。更に、透過処理後の一つ以上の細胞の生存の確率は、例えば少なくとも50%から90%の値で維持することができる。
【0016】
更に、上記方法は、例えば一つ以上の細胞を非等張水性媒体と接触させることを備えることができる。該方法は、一つ以上の細胞を該一つ以上の細胞内での濃度より低い濃度で物質を水性媒体と、一つ以上の細胞内の物質が透過膜を介して一つ以上の細胞を放出できるように接触させることを備えることができる。もちろん、一つ以上の細胞内の物質濃度より低い水性媒体中の物質濃度の一例は濃度ゼロである。例えば、物質はイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸、変性核酸などである。また、一つ以上の細胞を、物質が細胞の一時的な透過膜を通過して細胞を取り込むことができる水性媒体と接触させることができる。一時的な透過膜は、例えばせいぜい約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、3秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、6分、10分、20分、30分の期間内に実質的に非透過性の状態に回復できる。また、この期間は、個々に又は組み合わせた上記時間のサブセット、及び上記時間の任意の範囲である。一時的な透過膜を実質的に非透過性の状態に、例えば約1秒から約1分の間の時間内に回復できる。
【0017】
電磁放射線を固体表面の領域に、例えば少なくとも約0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートル/秒の割合で指向させることができる。該領域は、個々に又は組み合わせた上記領域のサブセット、及び上記領域の任意の範囲とすることができる。更に、電磁放射線を固体表面の領域に、例えば約0.0003から約10cm2/秒の割合で指向させることができる。
【0018】
方向付けることは、2つ以上の放射線パルスを、例えば少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzの割合で固体表面に供給することを備えることができる。該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。更に、方向付けることは2つ以上の放射線パルスを、例えば約102から104Hzの割合で固体表面に供給することを備えることができる。また、方向付けることは、電磁放射線の2つ以上のパルスを固体表面にパルスの目的パターンに従って供給することを備えることができる。さらに、少なくとも二つの電離放射線パルスをパルスの目的パターン内で単一のパルスの目的物に指向させることができる。
【0019】
電磁放射線を、例えば持続波レーザー、パルスレーザー、持続ランプ、閃光灯等のようなエネルギー源から発することができる。
【0020】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば大体約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続時間を有する。該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する。
【0021】
電磁放射線を固体表面上の所定領域に指向させることができ、該所定領域は例えば少なくとも0.0001 、0.0003 、 0.001 、 0.003 、 0.01 、0.03、0.1、 0.3、1、3、 10、30、100、200、300、及び400平方センチメートルの領域を有することができる。該領域は、個々に又は組み合わせた上記領域のサブセット、及び上記領域の任意の範囲である。例えば、電磁放射線を固体表面上の所定領域に指向させることができ、該所定領域を約0.0001から約10cm2の領域とすることができる。また、電磁放射線を所定領域のほぼ全体へ同時に指向させることができる。
【0022】
電磁放射線の経路は、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅がある。また、この幅は個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線の経路は、約10μmから約1000μmの幅を有することができる。
【0023】
固体表面は、例えば電磁放射線に対しほぼ透明とすることができる。また、固体表面は例えばポリマー材料、ガラス材料などを備えることができる。
【0024】
本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にする装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が実質的に静止し、所定容量内に含まれており、該所定容量内での細胞の特定の座標が不明で、所定容量を部分的に固体表面により境界づけることができ、b)所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、ここで細胞を電磁放射線の経路に一致させることができ、所定容量内の電磁放射線が固体表面上で少なくとも約6Jのエネルギー密度を有することができ、及び付加的にc)固体表面を備えることができる。
【0025】
所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で例えばせいぜい約 0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、 0.1、0.2、0.3、0.6、 1、2、3、4 、 及び5μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。また、該エネルギー密度は、個々に又は組み合わせた上記密度のサブセット、及び上記密度の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で約0.001から0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。
【0026】
方向付け装置は、所定容量に例えばパルスの目的パターンに従って電磁放射線のパルスを指向させることができる。また、電磁放射線の少なくとも2つのパルスをパルスの目的パターン内の単一パルスの目的物に指向させることができる。電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒の持続時間を有することができる。また、持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、持続時間は約10秒から約100ピコ秒にすることができる。
【0027】
電磁放射線の経路は、例えば少なくとも約10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅を有することができる。また、この幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲である。例えば、幅は約10μmから約1000μmにすることができる。
【0028】
また本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が所定容量内に含まれる実質的に静止した細胞とすることができ、所定容量内の細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるための命令、c)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を備えることができる。
【0029】
前記命令は、例えばパルスの目的パターンに従って電磁放射線のパルスを指向させるための命令を備えることができる。また、電磁放射線の少なくとも2つのパルスを、例えばパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる。電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続時間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から10秒の持続時間を有することができる。
【0030】
所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で例えば大体約 0.001、 0.002、0.003、0.006、0.01、0 02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1,2、3、4、5、及び6μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。また、該エネルギー密度は、個々に又は組み合わせた上記エネルギー密度のサブセット、及び上記密度の任意の範囲である。例えば、所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で0.001から0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。
【0031】
更に、所定容量内での電磁放射線の瞬時の経路は、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅がある。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲である。例えば、幅は約10から約1000μmにすることができる。
【0032】
本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にする装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞とすることができ、所定容量内での細胞の特定の座標が不明であり、所定容量を一部固体表面により境界付けしてあり、b)所定容量のほぼ全体に電磁放射線のパルスを指向させるように構成した方向付け装置、及び付加的にc)固体表面を備えることができる。
【0033】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続期間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射腺パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から10秒の持続時間を有することができる。
【0034】
更に、電磁放射線の少なくとも2パルスをパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させることができる。所定容量内での電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×1040μmの幅を有することができる。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内での電磁放射線パルスの個々のパルスは、約10から1000μmの幅を有することができる。
【0035】
本発明の他の実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するのに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞が所定容量内に含まれ実質的に静止した細胞とすることができ、所定容量内での細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量のほぼ全体にパルスの目的パターンに従って電磁放射線のパルスを指向させるための命令、及びc)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を含む。
【0036】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、1アット秒程度の持続期間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射腺パルスの個々のパルスは、約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有することができる。
【0037】
電磁放射線の少なくとも2つのパルスを、パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させることができる。所定容量内で電磁放射線パルスの個々のパルスは、例えば少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmの幅を有することができる。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内での電磁放射腺パルスの個々のパルスは、約10μmから約1000μmの幅を有することができる。
【0038】
本発明の更なる実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための方法に関する。この方法は、例えばa)細胞を所定容量内で実質的に静止した位置に維持し、ここで所定容量を一部固体表面により境界付け、更に固体表面から有効な距離により境界付け、及びb)細胞膜の一時的な透過化を誘導するに十分な電磁線を所定容量のほぼ全体へ指向させることを備えることができる。
【0039】
所定容量内の電磁放射線は、例えば固体表面上で大体約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0. 3、 0.6、1,2、3、4、5、6μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。また、該エネルギー密度は、個々に又は組み合わせた上記密度のサブセット、及び上記密度の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内の電磁放射線は、固体表面上で約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有することができる。
【0040】
有効な距離は、例えば約1000μm未満、 600μm、300μm、200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、及び1μmとすることができる。また、該有効な距離は、個々に又は組み合わせた上記距離のサブセット、及び上記距離の任意の範囲とすることができる。例えば、有効な距離は約1μmから約20μmとすることができる。
【0041】
細胞を電磁放射線に、例えば多くて約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度の期間暴露することができる。また、該期間は、個々に又は組み合わせた上記時間のサブセット、及び上記時間の任意の範囲とすることができる。例えば、細胞を電磁放射線に約100ピコ秒から約10秒の間暴露することができる。
【0042】
方向付けは、例えば放射線のパルスを所定容量に供給し、また放射線のビームを経路のパターンに従って所定容量に通過させることを備えることができる。
【0043】
上記方法は更に、細胞内の一時的透過化を例えば少なくとも10、30、100、300、1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、240, 000, 000細胞/秒の割合で誘導することを備えることができる。また、該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。例えば、細胞内の一時的な透過化を約300から約10,000, 000細胞/秒の割合で誘導することができる。
【0044】
透過処理後の細胞の生存確率を、例えば少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、及び99%の値で維持することができる。また、この値は、個々に又は組み合わせた上記値のサブセット、及び上記値の任意の範囲とすることができる。例えば、透過処理後の細胞の生存確率を、少なくとも約50%から90%の値で維持することができる。
【0045】
上記方法は更に、細胞を不等張媒体に接触させることを備えることができる。該方法は、細胞と接触する際細胞の透過膜を通過し得る物質を含む水性媒体を備えることができる。
【0046】
前記物質は、例えばイオン、有機分子、無機分子、多糖類、ペプチド、タンパク質、コロイド粒子、核酸、変性核酸などとすることができる。該物質は、透過膜を介して細胞を出し入れすることができる。
【0047】
一時的な透過膜は、例えば大体約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、及び30分の時間内に実質的に非透過状態に回復できる。また、該回復時間は、個々に又は組み合わせた上記回復時間のサブセット、及び上記回復時間の任意の範囲とすることができる。例えば、一時的な透過膜は、実質的に非透過状態に約1秒から約1分の時間内に回復することができる。
【0048】
電磁放射線を、例えば少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1,3、10、30、 100、200、300、及び400cm2/秒の割合で固体表面の領域に指向させることができる。また、該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のサブセット、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線を約0.0003から10平方センチメートル/秒の割合で固体表面に指向させることができる。
【0049】
電磁放射線は、所定容量内で例えば6×107未満、3×107、2×107、l×107、6×106、3×106、2×106、l×106、6×105、3×105、2×105、l×105、6×104、3×104、2×104、1×I04W/cm2の出力密度を有することができる。また、該出力密度は、個々に又は組み合わせた上記出力密度のサブセット、及び上記出力密度の任意の範囲とすることができる。
【0050】
方向付けは、例えば少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzの割合で所定容量に2つ以上の放射線のパルスを供給することをそなえることができる。また、該割合は、個々に又は組み合わせた上記割合のさぶせっと、及び上記割合の任意の範囲とすることができる。例えば、方向付けは、2つ以上の放射線パルスを所定容量に102から104Hzの割合で供給することを含む。該方向付けは、2つ以上の電磁放射線パルスを、パルスの目的パターンに従って所定領域に供給することを備えることができる。
【0051】
電磁放射線はエネルギー源、例えば持続波レーザー、パルスレーザー、持続性ランプ、フラッシュランプなどから発することができる。
【0052】
電磁放射線パルスの個々のパルスは、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度の群から選択される持続時間を有することができる。また、該持続時間は、個々に又は組み合わせた上記持続時間のサブセット、及び上記持続時間の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線パルスの個々のパルスは約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有することができる。また、電磁放射線の少なくとも2つのパルスを、パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる。
【0053】
電磁放射線を固体表面の所定領域に指向させ、該所定領域が例えば、少なくとも約0.0001、0.0003、 0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400cm2の領域にすることができる。また、所定領域は、個々に又は組み合わせた上記領域のサブセット、及び上記領域の任意の範囲とすることができる。例えば、電磁放射線を固体表面の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10cm2の領域にすることができる。また、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に同時に施行させることができる。
【0054】
所定容量内の電磁放射線の経路は、例えば少なくとも約10、12、14、16、18、20、25,30、35、40、50、60、70、80、90、100、300、1×103、2×103、3×103、4×103、 5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及びl×104マイクロメートルの幅を有することができる。また、該幅は、個々に又は組み合わせた上記幅のサブセット、及び上記幅の任意の範囲とすることができる。例えば、所定容量内の電磁放射線の幅は約10マイクロメートルから約1000マイクロメートルにすることができる。
【0055】
更に、本発明の実施態様は、細胞を一時的に透過性にする更なる装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞を実質的に静止し、所定容量に含まれることができ、所定容量内の細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量内の複数個の位置の特徴に関係なく、該複数個の位置に電磁放射線を指向させるための命令、及びc)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を備えることができる。
【0056】
本発明の他の実施態様は、細胞を一時的に透過性にするための装置に関する。該装置は、例えばa)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで細胞を実質的に静止し、所定容量に含まれることができ、所定容量内の細胞の特定の座標が不明であり、b)所定容量内の複数個の位置の特徴に関係なく、該複数個の位置に電磁放射線を指向させるための命令、ここで所定容量内の電磁放射線が固体表面で大体6μJ/μm2のエネルギー密度を有することができ、並びにc)該命令に応じて電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置を備えることができる。
【0057】
本発明の実施態様は、一連の指令を備えることができる記憶システムに関し、かかる指令を実行すると、コンピューターが実質的に静止した細胞膜の透過化を誘導するに十分な電離放射線を、該細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく、固体表面に指向させる動作を実行し、ここで細胞を電離放射線の経路と一致させることができる。
【0058】
上述したあらゆる実施態様における細胞は、原核及び真核細胞、哺乳類の細胞及び哺乳類由来でない細胞、幹細胞、実験動物の細胞、植物の細胞、バクテリア、菌類、及びウイルスなどを含むすべての細胞とすることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施態様は以下の段落に記載する:
1.一つ以上の細胞を一時的に透過性にするに当たり、
a)上記一つ以上の細胞を固体表面から有効な距離内の実質的に静止した位置に維持し、及び
b)前記固体表面に、上記一つ以上の細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく、該一つ以上の細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を指向させ、ここで前記一つ以上の細胞を電磁放射線の経路に一致させることを備える細胞を一時的に透過性にする方法。
2.前記電磁放射線が前記の固体表面で多くても約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5、6μJ/μm2を含む群より選択されるエネルギー密度を有する段落1の方法。
3.前記電磁放射線が前記固体表面で約0.001から約0.3pJ/μm2のエネルギー密度を有する段落1の方法。
4.前記有効距離が約1000μm未満、600μm、 300μm、 200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、1μmからなる郡より選択される段落1の方法。
5.前記有効距離が約1μmから約20μmである段落1の方法。
6.前記電磁放射線を前記一つ以上の細胞に、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度の群より選択される期間指向させる段落1の方法。
7.前記一つ以上の細胞を電磁放射線に約100ピコ秒から約10秒の期間暴露する段落1の方法。
8.前記方向付けが前記固体表面に放射線のパルスを供給することからなる段落1の方法。
9.前記方向付けが放射線のビームを経路のパターンに従って前記固体表面に通すことからなる段落1の方法。
10.前記一つ以上の細胞の膜の透過化を、少なくとも10、30、 100、300、1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、240, 000, 000細胞/秒の郡より選択される割合で誘導することを更に備える段落1の方法。
11.前記一つ以上の細胞の膜の透過化を、約300から約10,000,000細胞/秒の割合で誘導することを更に備える段落1の方法。
12.前記一つ以上の細胞の膜の透過化後の細胞の生存確率を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%からなる郡より選択される割合で維持する段落1の方法。
13.前記透過化後の一つ以上の細胞の生存確率を、少なくとも50%から少なくとも90%の値で維持する段落1の方法。
14.前記一つ以上の細胞を非等張水性媒体と接触させることを更に備える段落1の方法。
15.前記透過膜内の物質が前記透過膜を通過できるように前記一つ以上の細胞を水性媒体と接触させることを更に備える段落1の方法。
16.前記一つ以上の細胞を透過膜を介して出て行くことができる物質を含む水性媒体に前記一つ以上の細胞を接触させる段落1の方法。
17.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、及びコロイド粒子からなる郡より選択される段落16の方法。
18.前記物質が多糖類、ペプチド、たんぱく質、核酸、及び変性核酸からなる郡より選択される段落16の方法。
19.前記物質が透過膜を通して前記一つ以上の細胞を取り込む段落16の方法。
20.前記透過膜が、大体約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、30分からなる郡より選択される時間内に実質的に非透過性状態に回復する段落19の方法。
21.前記透過膜が約1秒間から約1分間の時間内に実質的に非透過性状態に回復する段落19の方法。
22.前記電磁放射線を前記固体表面の領域に少なくとも約0.0001, 0.0003, 0.001, 0.003, 0.01, 0.03, 0.1, 0.3, 1,3, 10,30, 100,200, 300及び400cm2/秒からなる群から選択される割合で指向させる段落1の方法。
23.前記電磁放射線を前記固体表面表面の領域に約0.0003から約10平方センチメートル/秒の割合で指向させる段落1の方法。
24.前記電磁放射線が前記固体表面で約1×104W/cm2未満の出力密度を有する段落1の方法。
25.前記電磁放射線が前記固体表面で約1×104から約6×107W/cm2の出力密度を有する段落1の方法。
26.前記方向付けが、前記固体表面に放射線の2つ以上のパルスを少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzからなる群より選択される割合で供給することを備える段落1の方法。
27.前記方向付けが、前記固体表面に約102から約104Hzの割合で2つ以上の放射線のパルスを供給することを備える段落1の方法。
28.前記電磁放射線が、連続波レーザー、パルスレーザー、連続ランプ、及びフラッシュランプからなる群から選択されるエネルギー源から生ずる段落1の方法。
29.前記方向付けが、2つ以上の電磁放射線のパルスを前記固体表面にパルスの目的パターンに従って供給することを備える段落1の方法。
30.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落29の方法。
31.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落29の方法。
32.電磁放射線の少なくとも2つのパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落29の方法。
33.前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートルからなる群から選択される領域を有する段落1の方法。
34.前記電磁放射線を前期固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10cm2の領域を有する段落1の方法。
35.前記電磁放射線を前記所定領域のほぼ全体に同時に指向させる段落1の方法。
36.前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、 14、16、 18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、 100、300、l×103、2×103、 3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する段落1の方法。
37.前記電磁放射線の経路が約10から約1000μmの幅を有する段落1の方法。
38.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源、ここで前記細胞が実質的に静止して所定容量に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が不明であり、前記所定容量を一部固体表面により境界付けし、
b)前記所定容量のほぼ全体に前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路と一致させ、該所定容量内の電磁放射線が前記固体表面でたかだか約6μJ/μm2のエネルギー密度を有し、及び
c)前記固体表面
を備える装置。
39.前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、及び5μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する段落38の装置。
40.前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、多くとも約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する段落38の装置。
41.前記方向付け装置が、電磁放射線のパルスを前記所定容量にパルスの目的パターンに従って指向させる段落38の装置。
42.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落40の装置。
43.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10秒から約100ピコ秒の持続時間を有する段落40の装置。
44.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落40の装置。
45.前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルからなる群より選択される幅を有する段落38の装置。
46.前記電磁放射線の経路が約10マイクロメートルから約1000マイクロメートルの幅を有する段落38の装置。
47.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源、ここで前記細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞で、前記所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるための命令、及び
c)前記命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、
を備える装置。
48.前記命令が電磁放射線のパルスをパルスの目的パターンに従って指向させるための命令からなる段落47の装置。
49、前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落48の装置。
50.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落48の装置。
51.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落48の装置。
52.前記所定容量内の電磁放射線が前記固体表面上で、多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、及び5μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する段落47の装置。
53.前記所定容量内の電磁放射線が前記固体表面上で、多くとも約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する段落47の装置。
54.前記所定容量内の電磁放射線の瞬時の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する段落47の装置。
55.前記所定容量内の電磁放射線の瞬時の経路が約10から約1000μmの幅を有する段落47の装置。
56.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞で、前記所定容量内の細胞の特定の座標が未知で、前記所定容量を固体表面により部分的に境界付けし、
b)前記所定容量のほぼ全体に前記電磁放射線のパルスをパルスの目的パターンに従って指向させるように構成した方向付け装置、及び
c)前記の固体表面、
を備える装置。
57.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落56の装置。
58.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落56の装置。
59.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記のパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落56の装置。
60.前記の所定容量内での前記電磁放射線パルスの個々のパルスが少なくとも約10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する段落56の装置。
61.前記所定容量内の前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10から約1000μmの幅を有する段落56の装置。
62.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞が所定容量に含まれる実質的に静止した細胞で、前記所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量のほぼ全体に電磁放射線のパルスをパルスの目的パターンに従って指向させるための命令、及び
c)前記命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置
を備える装置。
63.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落62の装置。
64.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落62の装置。
65.少なくとも2つの電磁放射線のパルスをパルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落62の装置。
66.前記所定容量内の前記電磁放射線パルスの個々のパルスが少なくとも約10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルからなる群より選択される幅を有する段落62の装置。
67.前記所定容量内の前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10から約1000μmの幅を有する段落62の装置。
68.細胞を一時的に透過性にするに当たり、
a)前記細胞を所定容量内で実質的に静止した位置に維持し、ここで前記所定容量を固体表面により部分的に境界付けし、更に固体表面から有効な距離により境界付けし、
b)細胞膜の一時的な透過化を誘導するに十分な電磁放射線を前記所定容量のほぼ全体に指向させることを備える細胞を一時的に透過性にする方法。
69.前記所定容量内の前記電磁放射線が固体表面上で多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5、及び6μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する段落の68の方法。
70.前記所定容量内の前記電磁放射線が固体表面上で多くとも約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する段落68の方法。
71.前記有効な距離が1000μm、600μm、300μm、200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、及び1μmからなる群より選択される段落68の方法。
72.前記有効な距離が約1μmから約20μmである段落68の方法。
73.前記細胞を前記電磁放射線に多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される期間暴露する段落68の方法。
74.前記細胞を前記電磁放射線に約100ピコ秒から約10秒の期間暴露する段落68の方法。
75.前記方向付けが、前記所定容量に放射線のパルスを供給することを備える段落68の方法。
76.前記方向付けが、放射線のビームを経路のパターンに従って前記所定容量に通すことを備える段落68の方法。
77. 細胞の透過化を少なくとも 10、30、100、300、1000、3000、10,000、30,000、 100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、 10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、及び240,000, 000細胞/秒からなる群より選択される割合で誘導することを更に備える段落68の方法。
78.細胞の透過化を約300から約10,000, 000細胞/秒の割合で誘導することを備える段落68の方法。
79.前記透過化後の細胞の生存確率を少なくとも50%、 60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、及び99%からなる群より選択される値で維持する段落68の方法。
80.前記透過化後の細胞の生存確率を少なくとも約50%から約90%の値で維持する段落68の方法。
81.前記細胞を非等張水性媒体に接触させることを更に備える段落68の方法。
82.前記細胞を透過膜を介して通過し得る物質を含む水性媒体と接触させる段落68の方法。
83.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、多糖類、ペプチド、たんぱく質、コロイド粒子、核酸、及び変性核酸からなる群より選択される段落82の方法。
84.前記物質が透過膜を介して前記細胞を取り込む段落82の方法。
85.前記透過膜が実質的に非透過性状態に大体0.3 m秒、1m秒、3m秒、10m秒、30m秒、100m秒、300 m秒、1秒、3秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、6分、10分、20分、及び30分からなる群より選択される時間内で回復する段落84の方法。
86.前記透過膜が実質的に非透過性状態に約1秒から約1分の時間内で回復する段落84の方法。
87.前記電磁放射線を前記固体表面の領域に少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1,3、10、30、100、200、300、及び400cm2/秒からなる群より選択される割合で指向させる段落68の方法。
88.前記電磁放射線を前記固体表面の領域に約0.0003から約10平方センチメートル/秒の割合で指向させる段落68の方法。
89.前記電磁放射線が前記所定容量内で約6×107未満、3×107、2×107、l×107、6×106、3×106、2×106、l×106、6×105、3×105、2×105、l×105、6×104、3×104、2×104、及び1×104 W/cm2からなる群より選択される出力密度を有する段落68の方法。
90.前記方向付けが、前記所定容量に2つ以上の放射線のパルスを少なくとも1、10、100、103、104、105、 106、107、108、及び109 Hzからなる群より選択される割合で供給することを備える段落68の方法。
91.前記方向付けが、前記所定容量に2つ以上の放射線のパルスを約102から約104の割合で供給することを備える段落68の方法。
92.前記電磁放射線が、持続波レーザー、パルスレーザー、持続ランプ、及び閃光灯からなる群より選択されるエネルギー源から発する段落68の方法。
93.2つ以上の電磁放射線のパルスを前記所定容量にパルスの目的パターンに従って供給することを備える段落68の方法。
94.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒程度からなる群より選択される持続時間を有する段落93の方法。
95.前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する段落93の方法。
96.少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる段落93の方法。
97.前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1,3、10、30、100、200、300,及び400平方センチメートルからなる群より選択される領域である段落68の方法。
98.前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10平方センチメートルの領域である段落68の方法。
99.前記電磁放射線を前記所定容量のほぼ全体に同時に施行させる段落68の方法。
100.前記所定容量内の前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルからなる群より選択される幅を有する段落68の方法。
101.前記所定容量内の前記電磁放射線の経路が約10から約1000マイクロメートルの幅を有する段落68の方法。
102.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞を実質的に静止し所定容量に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量内の複数の位置に、該複数の位置の特徴によらず前記電磁放射線を指向させるための命令、及び該命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置
とを備える装置。
103.細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を発するエネルギー源で、ここで前記細胞を実質的に静止し所定容量に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が未知で、
b)前記所定容量内の複数の位置に、該複数の位置の特徴によらず前記電磁放射線を指向させるための命令で、ここで前記所定容量内の前記電磁放射線が固体表面上で大体6μJ/μm2のエネルギー密度を有し、及び
c)前記の命令に応じて前記電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置
を備える装置。
104. 一連の指令を備える記憶システムで、該指令を実行すると、コンピュータが実質的に静止した細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を該細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく固体表面に指向させることを備える動作を実行し、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路に一致させる記憶システム。
105.前記一つ以上の細胞を、物質を含まないか又は該一つ以上の細胞内の物質の濃度より低い濃度で前記物質を含む水性媒体と、前記一つ以上の細胞内の物質が一時的な透過膜を介して該一つ以上の細胞を出し得るように接触させる請求項1の方法。
106.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸、及び変性核酸からなる群より選択される請求項105の方法。
107.前記一つ以上の細胞を水性媒体と、該水性媒体内の物質が一時的な透過膜を介して前期一つ以上の細胞を取り込み得るように接触させる請求項1の方法。
108.前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸、及び変性核酸からなる群より選択される請求項107の方法。
109.前記一時的な透過膜が、大体約0.3ミリ秒、1ミリ秒、3ミリ秒、10ミリ秒、30ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、30分からなる郡より選択される時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項107の方法。
110.前記一時的な透過膜が約1秒間から約1分の時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項107の方法。
【発明の詳細な記述】
【0060】
本発明の実施態様は、透過性の一時的な状態を誘導する目的のために電磁放射線を細胞に非特異的に照射する方法及び装置に関する。一時的な透過性の状態は、細胞に様々な物質が入るもしくは装填する(細胞へのローディング)、もしくは細胞から出て行くこと(細胞へのアンローディング)を可能にする一方、細胞が実質的な非透過性状態にローディング/アンローディング後の細胞の連続的な生存を招く時間内で回復することが可能にするので有用である。
【0061】
オプトインジェクションとオプトポレーションの一般的な議論は次の参考文献に見られ、これらのそれぞれ全体をここに引用して援用する。Guo, Y. , Liang, H. , & Berns, M. W. 1995. レーザーを介したコメへの遺伝子導入、Physio. Plant, 93: 19-24; Shirahata, Y., Ohkohchi, N. , Itagak, H. , & Satomi, S. 2001. レーザー照射を用いた遺伝子導入の新技術、J. Invest. Med., 49: 184-190; Tao, W., Willcinson, J. , Stanbridge, E. J. , & Bems, M. W. 1987. 細胞膜へのレーザーによる微穿刺によって促進するヒト培養細胞への直接的遺伝子運搬法、PNAS, 84: 4180-4184; Tirlapur, U. K. & Konig, K. 2002. フェムト秒のレーザーを使用した目標への遺伝子導入、Nature, 418: 290-291; Kurata, S. , Tsukakoshi, M., Kasuya, T., & Ilcawa, Y. 1986. 外来DNAを培養細胞に効果的に導入するためのレーザー法、Exp. Cell Res., 162: 372-378; Koller, M. R. , Hanania, E. G. , Eisfeld, T. M. , & Palsson, B. O., 米国特許出願公開番号第20020076744号、2002年6月20日公開、タイトル名「オプトインジェクション法」米国特許出願第09/961,691 号、2001年9月21日申請; Palsson, B. O., 米国特許出願第 10/359, 483号、2003年2月4日申請、タイトル名「細胞集団中の特定の細胞への選択的ターゲッティングのための方法と装置」; Krasieava, T. B. , Chapman, C. F. , LaMorte, V. J. , Venugopalan, V., Berns, M. W. , & Tromberg, B. J. 1998.レーザーのマイクロ照射による細胞透過処理の機構 Proc.SPIE, 3260: 38-44;及び Tsukakoshi, M. , Kurata, S., Nominya, Y. , Ikawa, Y. , & Kasuya, T. 1984. レーザーマイクロビームの細胞手術による新規DNAトランスフェクション法。Appl. Phvs., 35: 135-140.
【0062】
ここに記載する方法と装置は、一時的な透過性の状態を誘導するために細胞の特定の3次元的な位置を認識する必要がない。その代わりに、一時的に透過性とすべき細胞が所定容量内に存在することができ、該所定容量が空間内での容積と位置を識別する。好ましくは、細胞が所定容量内で実質的に静止しており、ここで実質的に静止しているとは、照射過程中細胞が所定容量の境界を横断していないことを意味する(所定容量内に入るか又はそれから出て行く)。所定容量を固体表面上の所定領域によって部分的に境界付けし、この所定領域が固体表面上で容積と位置を識別する。所定領域は種々の有用な大きさ及び/もしくは境界(例えば、マルチウェルの組織培養ディッシュの単一ウェルの内側底部表面の領域、もしくは組織培養フラスコの内側底部表面の領域)を有し、本発明の適用に依存し、特に限定しないが少なくとも 0.0001、 0.0003、 0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、 1,3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートルを含む。更に、所定容量を所定領域から直角に離れて見積もられた有効な距離により境界付けることができ、ここで有効な距離とは細胞に一時的な透過性の状態を誘導する目的に効果的であると知られている電磁放射線内の所定距離である(図1)。ここで用いる「直角に」とは直交又は直角に位置するとして定義されている直交の副詞形である。一時的な透過性の状態は、細胞膜の透過化を誘導するに十分な質及び量の電磁放射線を所定容量に指向させることにより細胞中に誘導することができる。照射された所定容量内に含まれる細胞を電磁放射線の経路と一致させ、これによりかかる細胞が透過化を誘導する電磁放射線の線量を受ける。細胞が電磁放射線の経路と一致している時、少なくとも細胞の一部及び少なくとも電磁放射線の一部が同時に空間の同じ領域を占めていることを意味している。
【0063】
本発明のいくつかの実施態様における装置は、細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射かるエネルギー源を備えることができる。かかるエネルギー源の一般的な形式は、特に限定しないが、持続波レーザー、パルスレーザー、持続ランプ、及びフラッシュランプを含む。このエネルギー源の特定の形式は、特に限定しないが、フィルター付又はフィルター無しのアーク灯(例えば、水銀、キセノン、金属ハロゲン、など)、光発光ダイオード(LED);色素レーザー;ガスレーザー:固体状態レーザー;Qスイッチレーザーなどを含む。電離放射線が所定容量内をある瞬間に通過する経路(例えば、所定容量内の電磁放射線の瞬時の経路)が、例えば少なくとも10、12、 14、16、 18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、 100、300、l×103、2×103、 3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104マイクロメートルの有用な幅を有することができる。この群内の幅における特定の幅範囲も有用である。例えば、幅は約10マイクロメートルから約1000マイクロメートルとすることができる。細胞より大きい幅は、1つ以上の細胞を同時に照射するうえで有利となることがある。多くの実施態様において、電磁放射線の光学経路(エネルギー源から所定容量に伝わる)に電磁放射線を所定容量内で有用なビーム幅範囲内のビームにする光学素子を備えることも有用である。
【0064】
本発明のいくつかの実施態様における装置は、電磁放射線を所定容量に指向させて該電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影するように構成した方向付け装置を更に備えることができる。一度電磁放射線がエネルギー源を離れると、細胞膜の透過化を誘導するに十分な質と量で所定容量に指向させるために少なくとも1つ以上の素子を必要とする。エネルギー源から所定容量への電磁放射線の軌道を指向させる素子の例は、特に限定しないが、反射素子(例えば鏡)、屈折素子(例えばプリズムもしくは光ファイバー)、回折素子、検流素子、圧電傾斜台、及び音響光学偏向器を含む。
【0065】
電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる一例は、電磁放射線のビームの幾何学的輪郭を光学デザインの技術において既知の光学素子で形成することにある。幾何学的輪郭は、限定しないが、所定容量内の収束/発散角度、所定容量内でのビームの直径、所定容量内でのビームウエストの直径、ビーム内の放射状エネルギー分布などを含む。電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる他の例は、電離放射線の個々のパルスの持続時間を制御することにあり、ここで個々のパルスが約1アット秒から約1000秒の間の持続時間(すなわちパルス幅)を有することが有用である。かかる制御は、例えば機械的シャッター、光学的シャッター、個々の明確なパルスを発生させるためのエネルギー源の電気的制御等によって達成することができる。電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる更なる例は、所定容量内の同じ場所に指向させた連続パルスの周波数を制御(例えば、機械シャッター、光学シャッター、個々の明確なパルスを発生させるためのエネルギー源の電気的制御等による)することにあり、かかるパルス周波数の例として、限定しないが、少なくとも1Hzから109Hzの範囲の周波数がある。また、電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる例は、例えば1つ以上のフィルターによって電磁放射線の波長を制御することにある。
【0066】
電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる例は、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影させながら、エネルギー平面密度、すなわち固体表面上の所定領域に投影した単位面積あたりのエネルギーを制御することにある。これは、例えば放射線ビームのエネルギーを所定ビーム直径内に集中させるか、レーザービームの収束角度を所定容量内に制御することによってレーザービームウエストを形成するか、放射線ビームのエネルギーをフィルターで減衰させるか、パルス幅を制御することにより所定容量内での放射線ビームの照射持続時間を制限するか、所定容量内の特定の位置へ指向するパルスの数を制御することにより放射線ビームの照射累積持続時間を制限するか、又は所定領域より小さい断面積を有する放射線ビームを所定領域内の複数の場所に指向させて該所定領域全体が実質的に均一な累積エネルギー平面密度を受けることを備えることができる。更に、放射線ビームが連続的(例えば一瞬のもしくはパルス状ではない)とすることができ、また所定領域より小さい断面積を有することができる。所定容量の全体は、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影しながら、ビームを累積エネルギー平面密度の許容限界内に重なる経路の量を制御する経路パターンで所定領域に通すことによるほぼ均一な累積エネルギー平面密度を受けることができる。研究者達は、電磁放射線を細胞膜の小部分に局所的に(細胞の直径より小さい放射線スポットで)指向させ、7μ(マイクロ)J/μ(マイクロ)m2以上のエネルギー密度を利用することにより細胞を透過処理してきた(Tao, W., Wilkinson, J. , Stanbridge, E. J. , & Berns, M. W. 1987. 細胞膜をレーザーマイクロパンクチャーによるヒト培養細胞への直接遺伝子導入、 PNAS, 84: 4180-4184, 約7から21μJ/μm2; Palumbo G, Caruso M,Crescenzi E, Tecce MF, Roberti G, Colasanti A. 1996,色素を用いたレーザーオプトポレーションによる真核細胞への標的遺伝子の導入、J Photochem Photobiol B. 36(1) : 41-6;約1.6×105μJ/μm2; Guo, Y. , Liang, H. , & Berns, M. W. 1995,コメへのレーザーによる遺伝子導入、Physio. Plant, 93: 19-24,約2.5×102から1.3×103μJ/μm2; これら文献のそれぞれをここに引用して援用する)。しかしながら、本発明のいくつかの実施態様では、細胞を一時的に透過化するため、特に細胞全体に照射(膜の一部分のみに放射線を局所的に照射するのと反対に)する場合、もしくはエネルギーを非常に短い時間(例えばマイクロ秒未満、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒、もしくはアット秒の時間内)で供給する場合に6以下、1、0.1、0.01もしくは0.001μJ/μm2のエネルギー密度を用いることが好ましい。
【0067】
一時的な透過化を誘導するのに有効なエネルギー密度を達成するために、細胞に電磁放射線をエネルギー源の性質及び所定容量内で達成される出力密度に応じた種々の時間で照射することが有用である。例えば、比較的低出力のエネルギー源(例えば、持続ランプ)は、一時的な透過化の十分な程度を誘導をするために約1000秒を要するかもしれない。更なる例では、非常に高出力のパルスを供給するエネルギー源(例えばフラッシュランプもしくはパルスレーザー)は、一時的な透過化の十分な程度を誘導するために、約マイクロ秒、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒、もしくはアット秒の照射時間を可能にする放射線の単一パルスのみを要するかもしれない。
【0068】
電磁放射線を十分な質で所定容量に指向させる別の例では、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に投影しながら、出力平面密度、すなわち固体表面上の所定領域に投影される単位面積あたりの出力を制御することにある。例えば、これは放射線ビームの出力を所定ビーム直径内に集中させるか、レーザービームの収束角度を所定容量内に制御することによりレーザービームウエストを形成するか、又は放射線ビームの出力をフィルターで減衰させることを備えてもよい。ここで、方向付けは所定容量内での電磁放射線の軌道を制御すること以上のことを備えることができる。というのも、所定容量内での電磁放射線の質と量をエネルギー源の性質及び生物学的用途の要求に応じて制御することも備えることができる。
【0069】
固体表面を、特に限定しないが、標準組織培養用マルチウェルプレート(例えば6−ウェル、12−ウェル、24−ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、1536ウェルのプレート);ペトリディッシュ;顕微鏡用スライド;プラスチック製の袋;細胞培養用フラスコ;及び組織培養用ボトルを含む種々の細胞封じ込め装置に存在させることができる。一般に、かかる細胞封じ込め装置の固体表面は水性の細胞媒体と接触している。いくつかの実施態様では、エネルギー源から所定容量までの電磁放射線の光学経路は、固体表面を形成する固体材料を含んでも含まなくてもよい。それによって少なくとも2種類の大きく異なった光学経路配置を可能にし、それぞれが特徴的な利点を有する。
【0070】
一つの形式の光学経路配置では、光学経路が細胞を含む固体表面(すなわち細胞空間)の側から所定容量に近づいていく。この形式の光学経路配置の一例では、細胞と該細胞が接触している水性媒体とを封じ込め装置内に含め、ここで封じ込め装置が水平な固形床、固体の壁、及び開放頂部もしくは電磁放射線に対し実質的に透明な頂部部材を有している。電磁放射線は封じ込め装置内で該封じ込め装置上から所定容量に近づき、開放頂部又はほぼ透明な頂部部材、上方液界面、水性媒体を経て所定容量の頂部境界に入り、所定容量を介して固形床表面上の所定領域に通って該所定容量内の細胞を照射する。この形式の光学経路配置では、固体表面を形成する固体材料が所定領域に入射する電磁放射線に対し透明である必要はない。それは電磁放射線が所定領域に入射する時までに所定容量をすでに通過しているからである。この形式の光学経路配置の明確な利点は、特別な透明材料を固体表面を形成する固体材料に必要としないため、細胞封じ込め装置をより簡単に且つ安く製造できることにある。
【0071】
別の形式の光学経路配置では、光学経路が固体材料を含む固体表面の側から所定容量に近づいていく。この形式の光学経路配置の一例では、細胞と該細胞と接触している水性媒体とを封じ込め装置内に含まれ、ここで封じ込め装置が壁と、実質的に電磁放射線に対し透明な材料からなる水平に配置した固形の床を有する。電磁放射線は封じ込め装置内の所定容量に該封じ込め装置の下から近づき、実質的に透明な固形の床の底部、固形の床、固形の床表面上の所定領域、所定容量を通過して、所定容量内に含まれる細胞を照射する。この形式の光学経路配置では、固体表面を形成する固体材料は電磁放射線に対し実質的に透明でなければならない。それは、電磁放射線が固体材料を通過して所定容量に到達しなければならないからである。この形式の光学経路配置の利点は、特に限定しないが、a)実質的に透明な床を有する封じ込め装置が細胞の高分解能の画像化を可能にする、及びb)水性細胞媒体を通る光学経路を最小化して水性相の光学特性に付随するばらつきを最小にすることである。更に、本発明の適用及び特定の実施態様に依存して、固体表面は、特に限定しないが、ポリマー及びガラスを含む種々の材料を備えることができる。
【0072】
また、上記装置は、電磁放射線を所定容量のほぼ全体に指向させるための命令を備えることができる。ある所定の瞬間では、所定容量に指向する電磁放射線が所定容量全体を含むまで該所定容量の一部分と交差する。所定瞬間に電離放射線が交差する所定容量の部分を、ここで交差容量と称する。交差容量が所定容量全体よりも少ない場合、所定容量の全体を照射するのを確実にするために、上記命令が電磁放射線を多重交差容量に指向させるか、もしくは空間中の経路を通して交差容量を一掃する必要がある。所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるために有用な命令の例は、特に限定しないが、電磁放射線の個々のパルスに対するパルス目的物のパターン(すなわちパルスの目的パターン)に従って電磁放射線を指向させるための命令、ここで個々のパルスの目的物が1つ、2つ、もしくはそれ以上のパルスを受け取り得る;電磁放射線の個々のパルスに対するパルス目的物のグリッドパターン(例えば、2次元直交のグリッドパターン、もしくは3次元直交のグリッドパターン)に従って電磁放射線を指向させるための命令;放射線の持続ビームに対する一掃パターンに従って電磁放射線を指向させるための命令、ここで一掃パターンがビームが重なり合う量をほぼ0から100%とするを可能にし;電磁放射線の単一パルスに関する命令;電磁放射線の多重パルスに関する命令;所定容量へある期間指向させるべき電磁放射線の持続ビームに関する命令;エネルギー源をオンにする、すなわち照射を開始するための命令;エネルギー源をオフにする、すなわち照射を停止するための命令;シャッターを開閉するための命令;及び鏡もしくはレンズをある位置に移動させるための命令を含む。例えば、パルスレーザーエネルギー源の個々のパルスの交差容量が所定容量全体の10%のみとする場合、各レーザーパルスが特異な交差容量を有する少なくとも10レーザーパルスのシリーズを発生させるよう命令することにより電磁放射線を所定容量のほぼ全体に指向させることができ、この10の特異な交差容量の重なり合った容量を最小化し(例えば、重なり合いが0パーセントであれば、所定容量全体の10パーセントである10パルスが所定容量全体の100パーセントとなる);かかる10パルスのシリーズを、例えば2パルス目的物×5パルス目的物の直交グリッドからなるパルスの目的パターンに従って所定容量に指向させることができ、ここで電磁放射線をパルスの目的物に指向させる場合に個々のパルスの目的物が特異な交差容量を生じ、10の特異な交差容量を集めると、所定容量のほぼ全体になる。第2の例として、持続レーザーエネルギー源からの電磁放射線ビームがあらゆる所定瞬間で所定容量全体のただ1%とし、約1ミリ秒の放射線照射が所定容量内の細胞膜の透過化を誘導するに十分なエネルギー線量である場合、約1ミリ秒の点特異的な滞留時間を含み所定容量内で経路の重なりあいが実質的にない経路パターンに従って所定容量全体を介してビームを一掃するように命令することによりに約100ミリ秒の期間内に所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させることができる。例えば、命令をコンピューターもしくは他の電子制御により自動的に、もしくはヒトの操作者の制御により手動的に発生させることができる。また、かかる命令を特徴とする装置に対し、該命令に応じて電磁放射線を所定容量に指向させるように構成した方向付け装置を特徴づけることも有用である。かかる電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置は、特に限定しないが、反射素子、屈折素子、回折素子、電流測定素子、圧電傾斜台、音響光学偏向器、シャッター及びフィルターを備えることができる。更に、電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置は、かかる命令に対応する電気的もしくは機械的な作動装置を備えることができる。
【0073】
所定容量よりも小さい交差容量で該所定容量と交差する電磁放射線のビームは、所定容量全体が電磁放射線のほぼ均一な線量を受けるように、多重交差容量に指向させることを必要とすることがある。ここで、ほぼ均一な線量は該線量が定量値の所定範囲内にあることを意味する。電磁放射腺の線量を、エネルギー平面密度、出力平面密度、エネルギー容積密度、出力容積密度、エネルギー束及びその他の工学及び光学的研究分野で既知の電磁放射線定量化基準のような種々の方法で定量化することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施態様では、所定容量内に位置する種々の材料及び対象物によりはっきりと吸収、拡散、屈折又は反射し得る電磁放射線の波長を利用する。かかる材料及び対象物は、特に限定しないが、生細胞、死細胞、細胞残渣、及び水性媒体とすることができる。かかる実施態様の設計は、様々な材料及び対象物が所定容量全体にわたり電磁放射線を透過する効果を考慮することができる。細胞を一時的に透過性にするために有用な電磁放射線の波長は、およそ300ナノメートルから3000ナノメートルの範囲てあり、電磁スペクトルの可視部の波長(約400ナノメートルから700ナノメートル)が特に有用である。細胞を一時的に透過性にするために有用な近紫外の波長を含む波長範囲の一例は、330ナノメートルから400ナノメートルである。細胞を一時的に透過性にするために有用な近赤外の波長を含む波長範囲の一例は、700ナノメートルから1100ナノメートルである。
【0075】
所定容量内での吸収、拡散、屈折、もしくは反射のような光学現象の好ましくない影響は、かかる好ましくない影響を無力化するに十分な電磁放射線の線量を使用することによって対応することができる。また、所定容量を境界付ける固体表面からの有効距離を制限することができ、これにより放射線の拡散、屈折、反射、及び吸収を考慮に入れると、細胞を細胞膜の一時的な透過化の誘導に十分有効な距離に位置させることができる所定容量を限定する。例えば、有効な距離を固体表面に被着した単一の細胞の厚み(例えば約1マイクロメートル)から約1000マイクロメートルまでの範囲とすることができる。約1000マイクロメートル以上の距離は、電磁放射線のエネルギー又は出力密度の著しい減衰に直面する。望ましくない影響に対応する他の方法は、特に限定しないが、電磁放射線の吸収による所定容量内の温度上昇を減じながら、所望の全エネルギー線量を維持するように低出力を長時間にわたって使用するか;所定表面上で電磁放射線の多重入射角を利用することを含む。
【0076】
細胞の透過化割合を、様々な方法で制御することができる。電磁放射線線量の方法及びその量を、所定容量内の特定の細胞密度範囲で特定の種類の細胞に透過化を誘導するために設計できる。この設計の情報を用いて、適切なエネルギー源及び設計した線量を供給するための方向付け装置を選択もしくは設計することができる。細胞を所定容量内に広範囲の細胞密度、例えば所定容量あたり単一の細胞から生きている動物組織で見られる細胞密度(例えば、1立方センチあたり108細胞)の範囲で置くことができる。また、エネルギー源が十分な出力を有し、方向付け装置が電磁放射線を所定領域に1秒当たり400平方センチメートルまでの割合で指向させることができる場合、細胞透過化の割合が所定容量内の細胞密度及び所定領域の照射割合(これにより所定容量が所定領域を照射している間に実質的に照射される)の関数である。高出力細胞透過化装置の一例は、それぞれ約8.5cm×12.7cmを測定する4つの標準マルチウェルプレートまでの全体を同時に照射するようなフラッシュランプ及び方向付け装置を備える装置で、フラッシュランプからの放射線の単一パルスが1秒未満の持続期間で、1秒あたり400平方センチメートルにわたって照射する;この例では、所定容量が全てのプレートに含まれる全てのウェルからなる。例えば、各標準マルチウェルプレートが少なくとも6000万個の細胞を含有する場合、1秒あたり2400万個の細胞を照射することができる。他の装置と方法の実施態様は、広範囲の有用な細胞透過割合を生ずるこれらの原理に基づいて製作できる。ある種の実施態様では、ある領域の照射が少なくとも 0.0001、 0.0003、 0.001、 0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400平方センチメートル/秒、より好ましくは約0.0003から約10平方センチメートル/秒の割合で進めることができる。ある種の実施態様では、細胞の透過化が少なくとも10、30、100、300, 1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、もしくは240,000, 000細胞/秒の割合、より具体的に言うと少なくとも約300から少なくとも約10,000, 000細胞/秒で進めることができる。
【0077】
一時的な透過化状態が、細胞に様々な物質をローディング又はアンローディングするために有用で、ローディング後の細胞の継続生存を導く期間内に、細胞が実質的に非透過性状態に回復するのを可能にする。例えば、ある物質が細胞膜外で見られる一層高い濃度で細胞膜内に存在している場合に、該物質が高濃度の場所から低濃度の場所へ抜け出ると、アンローディングが起こり得る。一時的に透過性にした細胞に物質をローディングすることを可能にするために、前記物質を所定容量内の細胞を取り囲んでいる水性媒体に含ませることができる。かかる物質は、特に限定しないが、イオン、有機分子、無機分子(例えば、量子ドット、Han, M. , Gao, X. , Su, J. Z. , & Nie, S. 2001. 生体分子を光学的に多重コードするための量子ドットタグのマイクロビーズ。Nat. Biotech., 19: 631-635、その全体を本願に引用して援用する)、多糖類、ペプチド、タンパク質、コロイド粒子、核酸(例えばオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、及びプラスミド)及び変性核酸(例えばペプチド核酸)を含む。核酸は、用途に応じて、1本鎖もしくは2本鎖のDNAもしくはRNAとすることができる。オリゴヌクレオチドはホスホジエステル結合によって結合された約20までのヌクレオチド配列である。一般に、ポリヌクレオチドは約20以上のヌクレオチド配列である。イオンの例は、限定しないが、亜鉛イオン、カルシウムイオンを含む。無機分子の例は、限定しないが、半導体ナノ結晶(量子ドットとしても既知)を含む。一時的な透過状態の間に、かかる物質が透過膜を介して細胞内に入ることができる。
【0078】
電磁放射線の線量を適切に制御する場合、物質が十分な量の物質の細胞へのローディングと、ローディング後の細胞の継続生存との両方を導く期間内に透過膜は非透過状態に回復できる。有用な一時的な透過性期間は、イオン(Nilius B, Hess P, Lansman JB, Tsien RW)、心室細胞の新しいタイプの心臓のカルシウムチャンネル、Nature. 1985 Aug 1-7; 316 (6027): 443-6;この全体を本願に引用して援用する)及びその他の低分子に対して0.3ミリ秒未満のように短かくすることができる。一般に、約30分を越える一時的な透過性期間が、細胞の生存率を低くする。負荷された物質は、膜が実質的に非透過性状態に回復した後、特定細胞内で物質の運命に応じて細胞内変化する期間その原型を保持することができる。例えば、物質を直ちに加水分解するか、リン酸化するか、酵素的に開裂するか、もしくは細胞のゲノムに組み込むことができる。一般に、ローディング後の細胞の生存率を少なくとも50%、 60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%以上に維持するように電磁放射線の線量(量、質、及び投与方法)を調整することが望ましい。好ましくは、この生存率は少なくとも約50%から約90%である。
【0079】
ローディング後の細胞の生存率を決定する様々な時間点を選択することができ、その適切性が特定の用途に依存する。例えば、時間点は、物質が細胞に入ったことを決定することができる時間、物質が細胞の代謝又は遺伝回路網に影響を与える時間、もしくは24時間のような固定ローディング後の時間とすることができる。
【0080】
ある実施態様では、高レベルの細胞生存率を許容的に維持するために、電磁放射線の線量は一般に1×1013W/cm2未満の出力密度を有する。Tirlapur et al.(Nature, Vol. 418,18 July 2002, p. 290-1)は単一パルス中の1019W/cm2のピーク密度に匹敵する1012W/cm2の 平均出力密度の使用を開示し、Tao et al. (Proc. Natl. Acad.Sci. USA, Vol. 84, p. 4180-4184, June 1987)は約7.3×1010から2.1×1011W/cm2、Palumbo et al. (J.of Photochem. Photobio. B: Biology 36,1996, p. 41-46) は約6.4×107W/cm2、及びGuo et al. (Physiologia Plantarum 93, p. 19-24,1995)は約7×1012から8.5×1012W/cm2を開示している。 Tirlapur etal., Tao etal., and Palumbo etal.はそれぞれ本願に引用し援用する。例えば、いくつかの実施態様において、照射時間が十分に短いか、もしくは細胞生存率の要求が比較的低い場合、約1×1013以上、2×1013、3×1013、6×1013、1×1014、2×1014、3×1014、6×1014、1×1015、2×1015、3×1015、6×1015、1×1016、2×1016、3×1016、6×1016、及び1×1017W/cm2の出力密度を利用することができる。加えて、例えば別の実施態様においては、照射時間が十分に長く、照射領域が十減可能な細胞透過化割合に順応するに十分大きい場合、約6×107未満、3×107、2×107、1×107、6×106、3×106、2×106、1×106、6×105、3×105、2×105、1×105、6×104、3×104、2×104、1×104 W/cm2の出力密度を使用することができる。
【0081】
細胞中への物質負荷割合の更なる増強は、細胞の一時的な透過状態の誘導に関連した非等張水性媒体を使用することによって達成することができる。物質の負荷割合の増強を達成するためには、細胞を電磁放射線によって誘導する透過化の前、その間、もしくはその後に非等張水性媒体にさらすことができる。かかる割合は、様々な用語で表現することができ、特に限定しないが、細胞当たりの物質の負荷量、単位時間当たり単位細胞当たりの物質の負荷量、もしくは物質の閾値でうまく負荷される所定容量内の全細胞の画分(もしくは百分率)を含む。有用な低張の水性媒体の一例は、25mM KCl、0.3mM KH2PO4及び90mOsm/Kg ミオイノシトールからなる溶液で、該溶液を標準的な等張リン酸緩衝食塩水(PBS)と1:1の割合で混合して穏やかな浸透圧の低張媒体を作ることができる。有用な高張の水性媒体の一例は、25mM KCl、0.3mM KH2PO4及び400mOsm/Kg ミオイノシトールからなる溶液で、該溶液を標準的な等張PBS溶液と1:1の割合で混合してより穏やかな浸透圧の高張の媒体を作ることができる。当業者は、物質の負荷割合を増強するのに有用とし得る他の非等張水性媒体組成を認識するであろう。
【0082】
図2は一時的に細胞を透過化する及び/又は物質を細胞に負荷するのに使用することができる装置10の一つの実施態様の図解である。この装置10は内部構成部品を格納するハウジング15を含む。ハウジングは、使用者の安全を保障するレーザー安全連動装置を備え、また外的な影響(例えば、周辺光、埃など)による干渉を制限する。ハウジング15の上部に、プロセス情報を表示するための表示装置20を位置させる。キーボード25及びマウス30を用いてデータを入力し、装置10を制御する。点検口35は細胞の容器を保持する可動台へのアクセスを提供する。
【0083】
装置10の内部図を図3に示す。図示とおり、装置10は該装置の内部構成部品を保持する上部受け皿200及び下部受け皿210を備える。上部受け皿200は装置10内部に吸い込まれる外気をろ過する一対の吸気フィルター215A、Bを備える。点検口35の下方に光学サブアセンブリ(図示せず)がある。該光学サブアセンブリを上部受け皿200に取り付け、図4−7に関して詳細に記述する。
【0084】
下部受け皿210上にはコンピューター225があり、これは装置10を作動させるソフトウエアプログラム、命令及び指示を保存している。加えて、コンピューター225は、レーザーエネルギー源から電磁放射線を指向させるために、電気的な信号結線を介して制御信号を処理装置に供給する。
【0085】
ここで用いる「コンピューター」は、限定しないが、パソコン、ワークステーション、サーバー、クライアント、小型コンピューター、大型汎用機、ラップトップコンピューター、個々のコンピューターのネットワーク、携帯端末機、パームトップ型コンピューター、ハンドヘルドコンピューター、テレビ用セットトップボックス、双方向テレビ、双方向公衆電話、パーソナルデジタルアシスタント、双方向無線通信の装置、携帯ブラウザー、もしくはこれらの組み合わせのようなあらゆる超小型演算装置もしくは演算制御装置とすることができる。更に、コンピューターはキーボード、マウス、タッチパッド、ジョイスティック、ペン入力パッドのような入力デバイス、並びにコンピュータースクリーン及びスピーカーのような出力デバイスを有することができる。これらコンピューターはユニプロセッサーもしくはマルチプロセッサーでもよい。
【0086】
さらに、これらのコンピューターはランダムアクセスメモリー(RAM)、電気的に消去可能なプログラムできる読み取り専用メモリ(EEPROM)、プログラムできる読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラムできる読み取り専用メモリ(EPROM)、ハードディスク、フレキシブルディスク、レーザーディスクプレーヤー、デジタルビデオデバイス、コンパクトディスク、ビデオテープ、オーディオテープ、磁気記録トラック、電子ネットワーク、及び電子的コンテンツ、一例としてはプログラム及びデータのような電子的コンテンツを伝送もしくは貯蔵する他の技術のような指定可能なメモリもしくはストレージメディア又はコンピューターで利用可能なメディアを備えることができる。いくつかの実施態様では、コンピューターはネットワーク通信媒体に接続するのに適したネットワークインターフェイスカード、モデム、もしくは他のネットワーク関連装置のようなネットワーク通信装置を備えることができる。
【0087】
図示するように、一連の電源装置230A、B、Cが装置10内の様々な電気的構成部品に電力を供給する。加えて、無停電電源装置235を組み込んでは短い外部の停電の間も装置を作動し続けるようにできる。
【0088】
図4は、装置10の実施態様内の光学サブアセンブリデザイン300の一例レイアウトを提供している。細胞を照射するためのレーザー400が存在する。図示した通り、レーザー400はシャッター410を通過する523nmのエネルギービームを出力する。模範的なレーザーは523nmの波長を有するエネルギービームを出力するが、他の波長でエネルギーを発生させる他の源も本発明の範囲内にある。
【0089】
レーザーエネルギービームがシャッター410を通過すると、該ビームはエネルギービームの直径を固体表面の平面での適切な大きさに調節するビーム拡大器(スペシャル オプティクス、ワートン、NJ)415に入る。ビーム拡大基415に続いてビームの分極を制御する半波長板420がある。次いで、レーザーエネルギービームが鏡425で反射され、キューブビームスプリッター350に入る。レーザーエネルギービームはキューブビームスプリッター350内で90度だけ反射される。キューブビームスプリッター350からのレーザービームは長波パスミラー355で反射し、ガルバノメータ360に導かれ、その後走査レンズ365に入り、最後に所定容量内に集中される。
【0090】
Nd:YLFの2 逓倍固体レーザー(スペクトラ フィジクス、マウンテンビュー、CA)を、安定でファイアリングの繰り返し率が高く長期間保守を必要としないため使用する。また、ナノレーザー(JDS ユニフェーズ、サンノゼ、CA)Nd:YAG第一高調波(1064nm)Nd:YAG第二高調波(532nm)、及びNd:YAG第三高調波(355nm)を含む他の類似のレーザーを本装置に使用できる。
【0091】
図5に光学サブアセンブリの実施態様の斜視図が図解してある。図5の斜視図に図解してあるとおり、レーザー400はシャッター410を介してビーム拡大器415にエネルギーを伝達する。レーザー400からのエネルギーがビーム拡大器415を通過し、半波長板420を通過して折り鏡425にぶつかり、キューブビームスプリッター350に入り、ここで長波パスミラー355の方に90度反射され、そこからコンピューターで制御されたガルバノメータ鏡360に反射される。走査レンズ365を介してガルバノメータ鏡360に進められた後、レーザーエネルギービームは所定容量内に存在するあらゆる細胞の透過化を誘導するために該所定容量にぶつかる。
【0092】
処理すべき試料の極めて大きな表面積を収納するために、前記装置は、走査レンズに対し試料容器を機械的に動かす可動台を備えている。すなわち、固体表面の特定領域を処理すると、可動台が走査レンズの視界内の別の固体表面の領域に移動する。図6に示すように、コンピューター制御の可動台500は処理すべき容器(図示せず)を保持する。可動台500をコンピューター制御のサーボモーターにより二つの軸に沿って移動させて、試料容器を装置の光学構成部品に関連して移動させることができる。所定経路に沿った台の移動を、装置の別の操作と整合させる。加えて、特定の座標を、可動台の所定位置への復帰ができるように、呼び出し及び保存することができる。x軸とy軸の移動のエンコーダーが、台の位置に関する閉回路のフィードバック制御を提供する。
【0093】
フラットフィールド(F−シータ)走査レンズ365を可動台の下に取り付ける。レンズ365をステッピングモーターに取り付けて、システムを所定容量に集中させるために該レンズ365を自動的に昇降(Z軸に沿って)させるようにする。
【0094】
図8に可動台500の上面図を示す。図示するように、容器を可動台500に取り付る。容器505を、可動台500に対し前後方向に移動するように設計された上方軸ネストプレート510上に置く。ステッピングモーター(図示せず)を上方軸ネストプレート510及びコンピューターシステムに接続するので、コンピューターからの命令が試料容器505の前後移動を生ずる。
【0095】
また、可動台500を、一対ベアリングトラック525A,525Bに沿って可動台500の両側移動を付与するタイミングベルト515に接続する。タイミングベルト515をプーリーカバー530の下部に収容されているプーリー(図示せず)に取り付ける。プーリーをステッピングモーター535に接続して、可動台500の両側移動になるようにタイミングベルト515を駆動にする。ステッピングモーター535をコンピューターシステムに電気的に接続するので、コンピューターシステム内の命令が可動台500の両側移動を生ずる。移動限界センサー540をコンピューターシステムに接続し、可動台が所定の横方向距離以上に移動したら警報を発する。
【0096】
一対の加速度計545A、545Bをこの台上に組み込んで装置の操作と干渉し得る過度な衝突もしくは振動を記録するのが好ましい。加えて、2軸傾斜計550を可動台に組み込み、容器が水平になるようにして容器内で重力による運動の可能性を減じることを確実にするのが好ましい。
【0097】
チャンバーは、容器上の凝結を排除するためのダクトを有する送風機と、該チャンバーが許容温度範囲内にあるかどうかを決定するための熱電対とを有する。別の送風機を設けて電子部品によって発生した熱を放出し、適切なフィルターを空気取り入れ口215A、Bに用いる。
【0098】
コンピューターシステム225は上記の様々な電子ハードウエアの操作と同期性を制御する。コンピューターシステムは、ハードウエアとインターフェイスで連結し得るあらゆる市販のコンピューターとすることができる。コンピューターは、特に限定しないが、例えばリナックス、ユニックス、マイクロソフト(R)ウインドウズ(R)、アップル(R)MacOS(R),及びIBM(R)OS/2(R)を含むあらゆる適切なオペレーティングシステムを使用することができる。かかるコンピューターシステムの一例として、マイクロソフトウインドウズ(R)NTオペレーティングシステムを実行するインテルペンティアム(登録商標)IIに基づくコンピューターがある。コンピューターシステムの別の例として、マイクロソフトウインドウズ(R)XPオペレーティングシステムを実行するインテルペンティアムIIIもしくはIVプロセッサがある。ソフトウエアを用いて様々な装置と情報伝達し、後述する方法で操作を制御する。
【0099】
容器を可動台の上に置き、ドアを閉じると、コンピューターが信号を台に送り、該台を定位置に動かす。送風機を初期化して容器の暖め及び防曇を始める。この間中、容器内の細胞を固体表面に置くようにすることができる。加えて、この間に前記装置は、容器を適当に負荷し、光学系の集束範囲内にあることを確実にする命令を実行することができる。例えば、特定の表示を容器上に位置させ、前記光学系によって集中させて、走査レンズを容器の底に適切に集中させるのを確実にすることができる。適当な時間の後、コンピューターがファンを切り処理中の余分な振動を防ぎ、処理が開始する。
【0100】
操作者は、キーボードとマウスを介して、例えば容器のどの領域に電磁放射線を照射するかを選択することにより装置の操作を命令することができる。次いで、コンピューターは可動台を走査レンズ上に位置するように命令するので、照射されるべき容器の第一の領域が直接走査レンズの視野内にあるようにする。レーザーが所定割合で発火を始め、各レーザーパルスをガルバノメータ鏡の移動により異なった所定容量に指向させる。レーザー及びガルバノメータの速度によって、数千のパルスを一秒あたり数千の所定容量に指向させて細胞膜の高出力透過化を行うことができる。ガルバノメータの銘柄の一つは、ケンブリッジテクノロジーの型番6860である(ケンブリッジ、MA)である。このガルバノメータはミリ秒内で極めて正確に元に戻って適当な時間内に広い領域の処理を行うことができる。ガルバノメータ制御盤により連続的に発生する誤信号をコンピューターによって監視して、鏡が所定位置にし、レーザーを発火する前に閉ループ方法において安定であることを確実にする。
【0101】
図2から8に描画したシステムを修正し得ることに注目及び理解すべきである。例えば、本発明の方法及び装置は、上述した実施態様で用いることができるが、カメラ及び照明源のような光学部品の幾つかを必要としない。
【0102】
本発明の他の実施態様は、記憶装置を有するシステムに関し、該記憶装置が一連の指令を備えている。これら指令を実行すると、コンピューターが動作を実行させることができる。かかる動作は、実質的に静止した細胞膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を固体表面に、該細胞の特定の3次元的な位置は前もって認識することなく指向させることを備え、ここで細胞を電磁放射線の経路と一致させる。また、前記動作は、電磁放射線を所定容量内のある位置に、該位置の特徴づけに関わらず指向させることを備えることができる。ここに位置の特徴づけという事は、位置の特定は、例えば位置の視覚化、位置の色、位置の蛍光、光の透過率等に基づいて細胞が特定の位置にあるかどうかの知識を含めることができる。これは、蛍光ラベル、視覚映像、色素等に基づいて特定位置に放射線を指向させるシステムと著しく異なっている。電磁放射線の量は、該電磁放射線と一致する細胞の膜の透過化を誘導するに十分なものとすることができる。
【0103】
記憶装置は上述したものを含むあらゆる適当なメモリとすることができる。一連の指令は、C++のコード、その他のコード、初期化したファイル、類似の回路等とすることができる。コンピューターはウインドウズXPオペレーティングシステムを含むあらゆるオペレーティングシステムを用いる上述したものを備える任意のコンピューターとすることができる。
【0104】
以下の実施例は、上述した方法及び装置の種々の用途への使用について説明する。
【実施例】
【0105】
実施例1:細胞への核酸の負荷
哺乳動物細胞におけるRNA干渉(RNAi)を介した効果的な遺伝子抑制に関する最近の発見以降(Elbashir.,S. M. , Harborth, J. , Lendeckel, W. , Yalcin, A., Weber, K. , & Tuschl, T. 2001. 哺乳動物の培養細胞における、2本鎖の21ヌクレオチドのRNAを介したRNA干渉。Nature, 411: 494-498;この全文を引用し本願に援用する)、学術研究者及び企業研究者の両方によって、発見及び治療への応用の両方に関して有意義な検証が行われ、関心が持たれてきている。RNAiは従来の遺伝子抑制に関するアンチセンス技術よりも多くの利点があり、これは多くの有用なモデル系に関する近年の多くの報告をもたらしている。しかし、核酸は完全な生きた細胞の膜を容易に通過しないので、これまでの報告のほとんどはRNAiを導入するために既存の細胞への遺伝子導入法を使用することに関する限界について述べている。RNAiは潜在的に非常に強力な手段であるけれども、高効率で高生存率の利用可能な遺伝子導入法がない。レーザーを介したオプトインジェクションが他の技術に付随する多くの限界を乗り越える可能性を具備している。
【0106】
この実施例において、センス及びアンチセンスRNAi鎖をコードするDNAをアレルバイオテクノロジー(Allele Biotechnology)(サンディアゴ、CA)より購入した。この研究方法は、U6RNA系ポリメラーゼIIIプロモーター及び変性ターミネーターを細胞内での高レベルで特異的なRNAiの発現に用いるRNAiカセットに基づいている。DNAテンプレート及び上流プライマーをキットにより提供する。センス及びアンチセンスの両方の下流GFP特異的プライマーを用い、製造者の推奨する条件(ラインサイレンス(R)キット、アレルバイオテクノロジー、サンディアゴ、CA)を用いるPCRによりセンス及びアンチセンスの短鎖干渉RNA(siRNA)転写物を生成する。下記の54塩基のDNA配列はターミネーター、遺伝子特異的下流配列及び鋳型適合領域を示す。
【0107】
5'-caaaaactgtaaa AA GAACGGCATCAAGGTGAAC ggtgtttcgtcctttccaca-3' (配列識別番号 NO : 1)
【0108】
5'-caaaaactgtaaa AA GTTCACCTTGATGCCGTTC ggtgtttcgtcctttccaca-3' (配列識別番号 NO : 2)
【0109】
次いで、PCR生成物を精製し、アニールし、オプティインジェクション研究に用いてGFPレポーター遺伝子の遺伝子抑制を達成する。
【0110】
10%FBS及び0.2mg/mlのG418を含むRPMI 1640中で成長させた293T−GFP細胞(ATCC(マナッサス、VA)より得、phrGFP−1(ストラタジーン、ラホヤ、CA)を遺伝子導入した293T)をトリプシン処理し、384のウェルプレートに塗付した。これら細胞を培養し、24時間付着し、そのままPBSで一回洗浄し、次いで5μl(マイクロリットル)の透過性促進バッファー(ブリンクマン、ウエストバレー、NY)中のセンス及びアンチセンスのPCRオリゴ(10−25ng)を添加することにより処理した。ウェルの領域を、照射前に標的細胞の場所知る必要がない所定のグリッドパターンのレーザーショットに暴露した。参考のためにだけ、この領域の周囲(約0.0001平方センチメートル)を図9に点線の四角で示す。これら細胞が固体表面に付着して成育するので、有効な距離は数マイクロメートルである。10μ(マイクロ)J/パルス及びパルス幅10ナノ秒である523nm波長のパルス化レーザービームを直径30μ(マイクロ)m(1パルスあたり0.007μJ/μm2のエネルギー密度と、7×107W/cm2のピーク出力密度とを生じ、試料中の所定容量への伝達効率が50%であると考えられている)に焦点を合わせ、所定のグリッドパターン内の隣接ショット間の距離がx及びy方向の両方とも20μmであるようにパルスを連続的に発火し、導いた。レーザーパルスを1秒あたり300回の割合で発火して所定容量全体に10分の1秒未満で照射した。この方法により、細胞の位置を前もって知ることなく所定容量内の全ての細胞に照射した。図9に示した画像は、単に参照するためのもので、細胞もしくは領域を標的するために使用していない。レーザー処理後すぐに、バッファーを取り除き成長媒体と交換し、プレートを直接培養器に入れた。48時間後、ヨウ化プロピジウムを使用して細胞の生存率が70%より大きいことを確認し、蛍光像を用いて四角内の細胞中のGFP遺伝子の抑制を確認した。所定容量外のウェルの制御領域(レーザーが照射されていないが、同様の試薬にはさらされている)においては、ほとんどの細胞がGFPを発現していた。所定容量内では、全ての細胞(全部で約30)でGFPの発現が著しく減少していた。この結果は、所定容量内の細胞が首尾よく透過化し、DNAで負荷されてGFPの遺伝子抑制になることを示す。
【0111】
実施例2:細胞へのsiRNAの負荷
この実施例では、SU−DHL−6細胞内でのbcl−2/IgH遺伝子抑制をsiRNAのオプトインジェクションで達成して細胞の増殖を抑制(図10)し、これは細胞機能に影響する機能的なsiRNAの供給を明確に示す。細胞をRPMI1640及び10%FBSを有する384ウェルプレート中一ウェル当たり500細胞で成育させた。bcl−2をコードするsiRNAを1%のHSAをふくむPBS中に10nMの濃度で加えた。この実施例では、所定容量がウェルの全面積(約0.03平方センチメートル)と、約10−20マイクロメートルの有効な距離とを備える。これはSU−DHL−6細胞が固体表面に付着して成長しないからである。25μm直径ビームの532nmの光のショットを25マイクロメートル間隔のグリッドパターンにおいて1パルスあたり10μJ及び0.5ナノ秒のパルス幅(1パルスあたり0.01μJ/μm2のエネルギー密度と、2×109W/cm2のピーク出力密度とを生じ、試料中の所定容量への伝達効率が50%であると考えられている)で用いて細胞のオプトインジェクションを行った。この実施例では、所定容量を約4秒で照射するように、パルスを1秒あたり1200回の割合で発火した。オプティインジェクションの後直ちに細胞を洗浄し、成育媒体を加え、次いで細胞を培養した。24時間後、細胞の生存率は50%より大きかった。細胞を全10日間培養し、細胞数を2、4、6、8、及び10日目に数えた。効果的な細胞の透過化、ローディング、遺伝子抑制に加えて、これらのデータはsiRNAの存在無しでもしくは無関係の目標(すなわちGFP)に対するsiRNAでのオプトインジェクション後の通常の細胞の成育を示す。
【0112】
この細胞への遺伝子導入の方法は、非常に簡単、迅速、及び穏やか(90%より大きい生存率、細胞の増殖速度は変化しない)であり、並びに広範囲の試薬(例えば、プラスミド、オリゴヌクレオチド、有機小分子、イオンなど)に適用される。
【0113】
実施例3:細胞への亜鉛の負荷
細胞外の媒体からのイオンを細胞に負荷しうることを実証するために、極めて低い細胞内量を有するZn2+をオプトインジェクション用に選択した。まず、NIH―3T3細胞を、バッファーとして[Zn2+]0=1mMを有するPBSを使用してZn2+感受性の指示薬(RhodZin−1;モレキュラープローブス社、ユージーン、OR)で染色した。所定領域の周囲(約0.001平方センチメートル)が図11中で明確に視認できる。これらの細胞が固体表面に付着して増殖するので、有効な距離は数マイクロメートルである。2μJ/pulse及び10ナノ秒パルス幅である523nmの波長のパルス化レーザービームを直径30μm(1パルスあたり0.001μJ/μm2のエネルギー密度と、1×107W/cm2のピーク出力密度とを生じ、、試料の所定容量に対する伝達効率は50%と考えられる)に集中させ、所定のグリッドパターン内の隣接ショット間の距離がx及びy方向の両方とも50μmであるようにパルスを連続的に発火、導いた。図11は530nmで励起し590nmで発光を検出した蛍光画像を示す。パネルAは、約0の基底[Zn2+]iでの細胞が極めて低い蛍光強度を有することを示す。パネルBは、オプトインジェクション後の細胞を示し、ここで所定容量内の細胞(すなわち左下の隅)が[Zn2+]iの増加により増大したRhodZin−1の蛍光強度を有する。これら条件下での細胞の生存率が90%より大きいことを確認した。この結果は、高[Zn2+]0存在下で所定容量内の細胞へのレーザー照射が[Zn2+]iの増加を生ずることを実証する。この実験は、細胞基質へのイオンの流入が細胞内の貯蔵よりもむしろ細胞外の媒体からであることを更に示す。
【0114】
本発明の特徴をここで例示した特定の実施態様によって記述したが、本発明はこれに限定するものではない。
【0115】
(引用文献)
以下に引用した全ての文献についてその全体を本願に引用して援用する。
【0116】
Elbashir, S. M. , Harborth, J. , Lendeckel, W. , Yalcin, A. , Weber, K. , & Tuschl, T. 2001.哺乳動物の培養細胞における、2本鎖の21ヌクレオチドのRNAを介したRNA干渉。 Nature, 411: 494-498.
【0117】
Guo, Y. , Liang, H. , & Berns, M. W. 1995. コメへのレーザーを介した遺伝子導入。 Physio. Plant, 93: 19-24.
【0118】
Han, M. , Gao, X. , Su, J. Z. , & Nie, S. 2001. 生体分子を光学的に多重コードするためのクオンタムドット(quantum dots)タグのマイクロビーズ。Nat. Biotech., 19: 631-635.
【0119】
Koller, M. R. , Hanania, E. G. , Eisfeld, T. M. , & Palsson, B. O., 米国特許出願公開番号第20020076744号、2002年6月20日公開、題名「オプトインジェクション法」、米国特許出願第09/961,691号、2001年9月21日出願。
【0120】
Krasieva, T. B. , Chapman, C. F. , LaMorte, V. J. , Venugopalan, V., Berns, M. W. , & Tromberg, B. J. 1998. レーザーの微細照射による細胞透過処理の機構。
Proc.SPIE, 3260 : 38-44.
【0121】
Kurata, S., Tsukakoshi, M. , Kasuya, T. , & Ikawa, Y. 1986. 培養細胞への効果的な外来遺伝子導入のためのレーザー法。 Exp. Cell Res., 162: 372-378.
【0122】
Palsson, B.O., 米国特許出願第10/359,483号、2003年2月4日出願。タイトル名「細胞集団内の特定の細胞を選択的にターゲティングするための方法及び装置」
【0123】
Palumbo G, Caruso M, Crescenzi E, Tecce MF, Roberti G, Colasanti A. 1996 色素を用いたレーザーオプトポレーションによる真核細胞への標的遺伝子の導入。J Photochem Photobiol B. 36(1) : 41-6.
【0124】
Shirahata, Y. , Ohkohchi, N., Itagak, H. , & Satomi, S. 2001. レーザー照射を用いた遺伝子導入の新技術。 J. Invest. Med., 49: 184-190.
【0125】
Soughayer, J. S., Krasieva, T. , Jacobson, S. C. , Ramsey, J. M. , Tromberg, B. J., & Allbritton, N. L. 2000. 距離による細胞オプトポレーションの特徴付け。Anal. Chem., 72: 1342-1347.
【0126】
Tao, W. , Wilkinson, J. , Stanbridge, E. J. , & Berns, M. W. 1987. 細胞膜のレーザーによる微穿刺によって促進する、ヒト培養細胞への直接的遺伝子運搬法。PNAS, 84: 4180-4184.
【0127】
Tirlapur, U. K. & Konig, K. 2002.フェムト秒のレーザーを使用した目標への遺伝子導入。 Nature, 418: 290-291.
【0128】
Tsukakoshi, M. , Kurata, S. , Nominya, Y., Ikawa, Y. , & Kasuya, T. 1984. レーザーマイクロビームの細胞手術による新規DNA遺伝子導入法。 Appl. Phys., 35: 135-140.
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は所定容量(V,x×y×dで測定する)の斜視図であり、固体表面(S)上の所定領域(A、x×yで測定する)及び所定領域から垂直方向に突出した有効な距離(d)を描画している。また、所定容量内に存在する数個の細胞と、固体表面を形成する実質的に透明な固体材料(M)を示す。
【図2】図2は細胞処理装置の一実施態様の斜視図で、ハウジングと表示部の外部図案を示す。
【図3】図3は外部ハウジングを取り除き、内部の構成部材を示す細胞処理装置の一実施態様の斜視図である。
【図4】図4は細胞処理装置の一実施態様における光学サブアセンブリ図案のブロック図である。
【図5】図5は細胞処理装置の一実施態様における光学サブアセンブリの一実施態様の斜視図である。
【図6】図6は走査レンズ及び可動台の配置を示す光学サブアセンブリの一実施態様の側面図である。
【図7】図7は光学サブアセンブリの一実施態様の底面斜視図である。
【図8】図8は細胞処理装置の可動台の上面斜視図である。
【図9】図9は48時間後の蛍光によって決定したsiRNAをコードするDNAのオプトインジェクションによるGFP発現の抑制を示す写真である。
【図10】図10はSU−DHL−6細胞へのsiRNAのオプトインジェクション後の細胞増殖を示すグラフである。
【図11】図11は一分後のZn2+指示薬RhodZin−1の蛍光によって決定したNIH−3T3細胞のZn2+負荷を示す写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)一つ以上の細胞を固体表面から有効な距離内の実質的に静止した位置に維持し、及び
b)前記固体表面に、上記一つ以上の特定の3次元的な位置は前もって認識することなく、該一つ以上の細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を指向させ、ここで前記一つ以上の細胞を前記電磁放射線の経路に一致させることを備える
ことを特徴とする一つ以上の細胞を一時的に透過性にする方法。
【請求項2】
前記電磁放射線が前記固体表面で多くても約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5、及び6μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電磁放射線が前記固体表面で約0.001から約0.3pJ/μm2のエネルギー密度を有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記有効な距離が約1000μm未満、600μm、 300μm、 200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、及び1μmからなる郡より選択される請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記有効な距離が約1μmから約20μmである請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記電磁放射線を前記一つ以上の細胞に多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒からなる群より選択される期間指向させる請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記一つ以上の細胞に前記電磁放射線を約100ピコ秒から約10秒の期間照射する請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記方向付けが、固体表面に放射線のパルスを供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記方向付けが放射線のビームを経路のパターンに従って前記の固体表面に通すことを備える請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記一つ以上の細胞の膜の一時的透過化を、少なくとも10、30、 100、300、1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、240, 000, 000細胞/秒からなる郡より選択される割合で誘導することを更に備える請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記一つ以上の細胞の膜の一時的透過化を、約300から約10,000,000細胞/秒の割合で誘導することを更に備える請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記一つ以上の細胞の膜の一時的透過化後の細胞の生存確率を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%からなる郡より選択される割合で維持する請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記一時的透過化後の前記一つ以上の細胞の生存確率を、少なくとも50%から少なくとも90%の値で維持する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記一つ以上の細胞を非等張水性媒体と接触させることを更に備える請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記一つ以上の細胞が、物質の無い又は前記一つ以上の細胞内の物質の濃度よりも低い濃度で該物質を含む水性媒体と、前記一つ以上の細胞内の物質が一時的透過膜を介して一つ以上の細胞を出すことができるように接触する請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、たんぱく質、核酸及び変性核酸からなる郡より選択される請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記一つ以上の細胞が水性媒体と、該水性媒体内の物質が一時的透過膜を介して前記一つ以上の細胞を取り込み得るように接触する請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸及び変性核酸からなる群より選択される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記一時的透過膜が、大体約0.3m秒、1m秒、3m秒、10m秒、30m秒、100m秒、300m秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、30分からなる郡より選択される時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記一時的透過膜が、約1秒間から約1分間の時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記電磁放射線を前記固体表面の領域に少なくとも約0.0001, 0.0003, 0.001, 0.003, 0.01, 0.03, 0.1, 0.3, 1,3, 10,30, 100,200, 300及び400cm2/秒からなる群から選択される割合で指向させる請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記電磁放射線を前記固体表面の領域に約0.0003から約10cm2/秒の割合で指向させる請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記方向付けが、前記固体表面に2つ以上の放射線のパルスを上から少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzからなる群より選択される割合で供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記方向付けが、前記固体表面に2つ以上の放射線のパルスを約102から約104Hzの割合で供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記電磁放射線が、連続波レーザー、パルスレーザー、連続ランプ、及びフラッシュランプからなる群から選択したエネルギー源から生ずる請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記方向付けが、2つ以上の電磁放射線のパルスを前記固体表面にパルスの目的パターンに従って供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒からなる群より選択される持続時間を有する請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記電磁放射線の少なくとも2つのパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400cm2からなる群から選択される領域を有する請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10cm2の領域を有する請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記電磁放射線を前記所定領域のほぼ全体に同時に指向させる請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、 14、16、 18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、 100、300、l×103、2×103、 3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記電磁放射線の経路が約10から約1000μmの幅を有する請求項1記載の方法。
【請求項35】
細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の一時的透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源で、ここで前記細胞が実質的に静止して所定容量内に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が未知であり、前記所定容量を固体表面によって部分的に境界付けし、
b)前記所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路と一致させ、該所定容量内の電磁放射線が前記の固体表面で多くとも約6μJ/μm2のエネルギー密度を有し、及び
c)前記固体表面
を備える装置。
【請求項36】
前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、及び5μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する請求項35記載の装置。
【請求項37】
前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する請求項35記載の装置。
【請求項38】
前記方向付け装置が、電磁放射線のパルスを前記所定容量にパルスの目的パターンに従って指向させる請求項35記載の装置。
【請求項39】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒からなる群より選択される持続時間を有する請求項37記載の装置。
【請求項40】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10秒から約100ピコ秒の持続時間を有する請求項37記載の装置。
【請求項41】
少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる請求項37記載の装置。
【請求項42】
前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する請求項35記載の装置。
【請求項43】
前記電磁放射線の経路が約10から約1000μmの幅を有する請求項35記載の装置。
【請求項44】
一連の指令を備える記憶システムで、該指令を実行すると、コンピュータが実質的に静止した細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を該細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく固体表面に指向させることを備える動作を実行し、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路に一致させる記憶システム。
【請求項1】
a)一つ以上の細胞を固体表面から有効な距離内の実質的に静止した位置に維持し、及び
b)前記固体表面に、上記一つ以上の特定の3次元的な位置は前もって認識することなく、該一つ以上の細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を指向させ、ここで前記一つ以上の細胞を前記電磁放射線の経路に一致させることを備える
ことを特徴とする一つ以上の細胞を一時的に透過性にする方法。
【請求項2】
前記電磁放射線が前記固体表面で多くても約0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、5、及び6μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電磁放射線が前記固体表面で約0.001から約0.3pJ/μm2のエネルギー密度を有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記有効な距離が約1000μm未満、600μm、 300μm、 200μm、100μm、60μm、30μm、20μm、10μm、6μm、3μm、2μm、及び1μmからなる郡より選択される請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記有効な距離が約1μmから約20μmである請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記電磁放射線を前記一つ以上の細胞に多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒からなる群より選択される期間指向させる請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記一つ以上の細胞に前記電磁放射線を約100ピコ秒から約10秒の期間照射する請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記方向付けが、固体表面に放射線のパルスを供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記方向付けが放射線のビームを経路のパターンに従って前記の固体表面に通すことを備える請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記一つ以上の細胞の膜の一時的透過化を、少なくとも10、30、 100、300、1000、3000、10,000、30,000、100,000、300,000、1,000, 000、3, 000,000、10,000, 000、30, 000,000、100,000, 000、240, 000, 000細胞/秒からなる郡より選択される割合で誘導することを更に備える請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記一つ以上の細胞の膜の一時的透過化を、約300から約10,000,000細胞/秒の割合で誘導することを更に備える請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記一つ以上の細胞の膜の一時的透過化後の細胞の生存確率を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%からなる郡より選択される割合で維持する請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記一時的透過化後の前記一つ以上の細胞の生存確率を、少なくとも50%から少なくとも90%の値で維持する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記一つ以上の細胞を非等張水性媒体と接触させることを更に備える請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記一つ以上の細胞が、物質の無い又は前記一つ以上の細胞内の物質の濃度よりも低い濃度で該物質を含む水性媒体と、前記一つ以上の細胞内の物質が一時的透過膜を介して一つ以上の細胞を出すことができるように接触する請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、たんぱく質、核酸及び変性核酸からなる郡より選択される請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記一つ以上の細胞が水性媒体と、該水性媒体内の物質が一時的透過膜を介して前記一つ以上の細胞を取り込み得るように接触する請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記物質がイオン、有機分子、無機分子、コロイド粒子、多糖類、ペプチド、タンパク質、核酸及び変性核酸からなる群より選択される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記一時的透過膜が、大体約0.3m秒、1m秒、3m秒、10m秒、30m秒、100m秒、300m秒、1秒、 3秒、10秒、30秒、1分、2分、3 分、6分、10分、20分、30分からなる郡より選択される時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記一時的透過膜が、約1秒間から約1分間の時間内に実質的に非透過性状態に回復する請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記電磁放射線を前記固体表面の領域に少なくとも約0.0001, 0.0003, 0.001, 0.003, 0.01, 0.03, 0.1, 0.3, 1,3, 10,30, 100,200, 300及び400cm2/秒からなる群から選択される割合で指向させる請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記電磁放射線を前記固体表面の領域に約0.0003から約10cm2/秒の割合で指向させる請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記方向付けが、前記固体表面に2つ以上の放射線のパルスを上から少なくとも1、10、100、103、104、105、106、107、108、及び109Hzからなる群より選択される割合で供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記方向付けが、前記固体表面に2つ以上の放射線のパルスを約102から約104Hzの割合で供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記電磁放射線が、連続波レーザー、パルスレーザー、連続ランプ、及びフラッシュランプからなる群から選択したエネルギー源から生ずる請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記方向付けが、2つ以上の電磁放射線のパルスを前記固体表面にパルスの目的パターンに従って供給することを備える請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが、多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒からなる群より選択される持続時間を有する請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約100ピコ秒から約10秒の持続時間を有する請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記電磁放射線の少なくとも2つのパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が少なくとも0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、200、300、及び400cm2からなる群から選択される領域を有する請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記電磁放射線を前記固体表面上の所定領域に指向させ、該所定領域が約0.0001から約10cm2の領域を有する請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記電磁放射線を前記所定領域のほぼ全体に同時に指向させる請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、 14、16、 18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、 100、300、l×103、2×103、 3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記電磁放射線の経路が約10から約1000μmの幅を有する請求項1記載の方法。
【請求項35】
細胞を一時的に透過性にするための装置で、
a)細胞膜の一時的透過化を誘導するに十分な電磁放射線を放射するエネルギー源で、ここで前記細胞が実質的に静止して所定容量内に含まれ、該所定容量内での細胞の特定の座標が未知であり、前記所定容量を固体表面によって部分的に境界付けし、
b)前記所定容量のほぼ全体に電磁放射線を指向させるように構成した方向付け装置、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路と一致させ、該所定容量内の電磁放射線が前記の固体表面で多くとも約6μJ/μm2のエネルギー密度を有し、及び
c)前記固体表面
を備える装置。
【請求項36】
前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、多くとも約0.001、0.002、 0.003、0.006、 0.01、 0.02、 0.03、0.06、0.1、0.2、0.3、0.6、1、2、3、4、及び5μJ/μm2からなる群より選択されるエネルギー密度を有する請求項35記載の装置。
【請求項37】
前記所定容量内の電磁放射線が固体表面上で、約0.001から約0.3μJ/μm2のエネルギー密度を有する請求項35記載の装置。
【請求項38】
前記方向付け装置が、電磁放射線のパルスを前記所定容量にパルスの目的パターンに従って指向させる請求項35記載の装置。
【請求項39】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが多くても約1000秒、100秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒、1ミリ秒、100マイクロ秒、10マイクロ秒、1 マイクロ秒、100ナノ秒、10ナノ秒、1ナノ秒、100ピコ秒、10ピコ秒、1ピコ秒、100フェムト秒、10フェムト秒、1フェムト秒、100アット秒、 10アット秒、及び1アット秒からなる群より選択される持続時間を有する請求項37記載の装置。
【請求項40】
前記電磁放射線パルスの個々のパルスが約10秒から約100ピコ秒の持続時間を有する請求項37記載の装置。
【請求項41】
少なくとも2つの電磁放射線のパルスを前記パルスの目的パターン内の単一のパルスの目的物に指向させる請求項37記載の装置。
【請求項42】
前記電磁放射線の経路が少なくとも10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、 90、100、300、l×103、2×103、 3×103、 4×103、 5×103、 6×103、7×103、 8×103、9×103、及び1×104μmからなる群より選択される幅を有する請求項35記載の装置。
【請求項43】
前記電磁放射線の経路が約10から約1000μmの幅を有する請求項35記載の装置。
【請求項44】
一連の指令を備える記憶システムで、該指令を実行すると、コンピュータが実質的に静止した細胞の膜の透過化を誘導するに十分な電磁放射線を該細胞の特定の3次元的な位置を前もって認識することなく固体表面に指向させることを備える動作を実行し、ここで前記細胞を前記電磁放射線の経路に一致させる記憶システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−514407(P2007−514407A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538243(P2006−538243)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/035803
【国際公開番号】WO2005/044367
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
2.リナックス
【出願人】(506149922)シンテレクト インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/035803
【国際公開番号】WO2005/044367
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
2.リナックス
【出願人】(506149922)シンテレクト インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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