説明

細胞培養装置および使用方法

【課題】 細胞培養装置および使用方法を提供することである。
【解決手段】 提供されるのは、細胞を培養し、且つオプションで、培養されることが所望される細胞の磁気的分離を行うための細胞培養装置(12)である。この細胞培養装置(12)は、好ましくは、フレーム(18)と、フレーム(18)およびそれとの間に培養チェンバー(40)を形成する際に剛性表面を含む対向する表面(32)に対して非漏洩シール状態に確実にシールされる少なくとも1つのガス透過性膜(31)と、物質が培養チェンバー(40)に導入されるかまたは培養チェンバー(40)から取り出されることを可能にする少なくとも1つの再シール可能な開口部(23)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年10月11日に出願された米国特許出願第09/975,889号、2000年11月28日に出願された米国特許出願第09/724,153号、2000年11月27日に出願された米国特許出願09/723,008号、2000年11月21日に出願された米国特許出願第09/717,651号の優先権を主張する、特許協力条約の下で米国受理官庁で受理された国際特許出願である。
【0002】
本発明は、おおむね細胞または組織培養物をインヴィトロ(in vitro)で生育させるための装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、細胞培養容器装置内に収容される細胞の環境と細胞培養装置がその中に保温されるインキュベーターの雰囲気との間での急速で且つ均一なガスの転移を可能とさせる少なくとも1つのガス透過性の膜を含む細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0003】
真核細胞の細胞培養システムにおいて、細胞の培養は、一般に、コントロールされた、pH、温度、湿度、オスモル濃度(osmolarity)、イオン濃度、およびガスの交換の条件下にある。最後のものに関し、酸素と二酸化炭素(CO)は、細胞の培養に対して特に重要なものである。一般的な真核細胞の細胞培養システムにおいて、当該インキュベーター内で約5%のCOの雰囲気を維持させるべくCOが導入されるインキュベーターが用意される。該COは、前記pHを生理的レベルに維持するために、組織培養基、特にそのバッファリングシステムと相互に作用する。従来の細胞培養容器は、組織培養フラスコ、組織培養ボトル、および組織培養プレートを含んでいる。インキュベーター雰囲気から組織培養プレートへのCOの入口は、概して、微粒子汚染物質がプレートチェンバーに入らないように除去するために、前記プレートに被さるように突出してゆるくフィット(適合)するカバーを含んでいるが、前記インキュベーター雰囲気と前記組織培養プレート内の雰囲気との間のガス交換を許容する。同様に、組織培養フラスコまたはボトルについては、ゆるくフィットするキャップが、前記フラスコまたはボトルのチェンバーに入らないように微粒子汚染物質を除去するが、前記インキュベーター雰囲気と前記フラスコまたはボトル内の雰囲気との間のガス交換を許容する。さらに最近では、キャップは、ガス透過性の膜またはフィルタが設けられていて、それによってきつくフィットするキャップによるガス交換を可能としている。
【0004】
COに加えて、細胞の培養は、細胞呼吸および代謝機能に必要とされる充分量の酸素を前記細胞に供給する能力に依存する。従来の細胞培養容器における細胞呼吸のための酸素の供給は、前記組織培養基の表面の上方にある前記容器のヘッダー空間、例えば該容器における中空空間、において行なわれる。培養される細胞への酸素濃度の増大への努力は、機械的な撹拌、培養基の散布またはエアレーション、酸素の局部圧力の増大、および/または大気圧の増大を含んでいる。それゆえ、従来の細胞培養容器においては、容器全体の容量または表面に比例するような、ガス交換のために提供される容量または表面は、いずれも、非能率的に用いられおよび/または結果としてガス交換のレートの制限またはガスの平衡に帰着する。このことは、細胞成長、細胞密度、および総細胞数のレートが、空間、表面積、およびガス交換制限に起因して、しばしば低い、小規模の培養(15mlまたはそれ以下)において、なお一層注目に値する。
【0005】
ガス透過性膜を横切るガス交換のレートは、「改善された」として記述されている。しかしながら、ガス透過性膜は、種々の理由により、細胞培養システムに用いるために好ましくないとして記述されている。例えば、米国特許第5,523,228号において、酸素毒性の境界レイヤーが、前記ガス透過性膜と組織培養基との間の界面に生じる。そしてさらに、前記毒性境界レイヤー内に入る細胞は、修復できないほど損傷を受けることが教示されている。さらに、米国特許第5,707,869号において、ガス透過性、液体非透過性物質の表面の化学的性質は、多くの細胞タイプと両立せず;そして加えて、非特異的なタンパク質結合を生じさせるそれらの性質に起因して、そのような物質は、溶解し得る成長因子の枯渇に導き得ることが教示されている。
【0006】
したがって、細胞培養装置には、従来の細胞培養容器に比較してガス交換のための増大された表面積を提供し得て、且つ比較的短い時間の期間に高い細胞密度を達成して高いレートの細胞成長を、そして付着面に沿って付着依存性細胞の分布さえもともなって提供する必要性がある。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、フレームと;ガス透過性である少なくとも1つの膜、且つ少なくとも1つの膜は、培養チェンバーを形成して、前記フレームに対して(非漏洩シール状態として)確実にシールされる、と;そして前記フレームを通り、物質が、前記培養チェンバー内に導入され、またはそこから引き抜かれる、ことを許容する少なくとも1つの再シール可能な開口部とを備える細胞培養装置を提供する。 1つの好ましい実施形態では、前記細胞培養装置は、その上にガス透過性膜が延ばされ、確実にそれに対してシールされ、それの間に培養チェンバーを形成する際に固定プラスティック表面を含む付加的表面を含むフレームを備えている。前記フレームは、本発明の前記細胞培養装置を組み立てるためのハウジングを提供すべく充分にリジッドである。前記膜は、前記チェンバー内における細胞成長に適合するために充分なガス透過性を提供し、且つ前記装置を取り扱うために充分な構造的完全性を提供すべく、適切な厚みからなる。さらに、前記膜は、前記細胞培養(例えば、組織培養基の色;および顕微鏡に観察され得るような、細胞の成長および形態のような細胞の特性)を観察するように充分な光学的透明性および明瞭性(clarity)からなる。前記フレームは、物質を細胞チェンバー内に導入し、またはそこから引き抜くことを可能とさせる、少なくとも1つの再シール可能な開口部、そして好ましくは少なくとも2つの再シール可能な開口部を、有する。各開口部は、その中で前記培養チェンバー内に物質を導入しまたは該培養チェンバーから物質を引き抜くための器具(例えば、針またはピペットまたはピペット先端)の一部が案内される通路として役立つフレームを通る開口を備えている。好ましい実施形態においては、前記器具の部分が、前記フレームの再シール可能な開口部を通して挿入されたときに、培養チェンバーの膜により形成される壁のいずれかに孔をあけるのを防止するために、前記フレームは充分な厚みからなり且つ前記開口部は充分に制限した直径からなる。
【0008】
前記細胞培養装置は、従来の細胞培養デバイスと比較して、ガス交換および平衡、前記装置内で培養される細胞の酸化、細胞培養および培養中の細胞特性を観察するための付加的な透明性および明瞭性、付着依存性細胞の分布さえも助長する取り付け面および状態、空間効率、多用途性、および比較的短い時間の期間における高い細胞密度を達成して高レートの細胞成長を助長し得る条件、を含む予期していない特徴の組み合わせを提供する。
【0009】
本発明の上述し且つ他の目的、特徴、および利点は、以下の発明の詳細な説明において、そこでは参照数字がいくつかの図解された図面および実施形態を通して同一または類似した部分を示す添付図面を関連させて読んだときに、明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な説明
定義
用語「ガス透過性膜」は、ここでより詳細に説明されるであろうように、ここでは、明細書および特許請求の範囲の目的のために、細胞培養チェンバー内へおよびその外部へのガスの転移を許可し得て、そして(例えば、孔サイズが、細胞培養の汚染に通例遭遇する微生物の通過を除外するために必要なほど充分に小さい)微生物汚染を除外し得て、そして細胞培養の(例えば、pHインジケーターを含む組織培養基の色の;並びに光顕微鏡により検出し得るような細胞の成長および形態のような培養される細胞の特性の)観察を許容するための光学的透明性および明瞭性を有する液体不浸透性の生体適合物質を意味すべく用いられている。前記ガス透過性膜の厚みは、それに限定されないが、構造的完全性、ガス透過性の度合い、およびガスの転送レートを含む所望される結果特性に依存するであろう。一般に、ガス透過性膜の厚みは、約0.00125インチ未満から約0.005インチまでの範囲とすることができる。好ましい実施形態においては、前記膜の厚みは、約0.002インチから約0.004インチまでの範囲内にあり、そしてより好ましい実施形態においては、0.004インチである。前記ガス透過性膜は、当該技術において知られる1つまたはそれ以上の膜からなっていてもよい。膜は、一般的には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、エチレンビニールアセテート、ポリプロピレン、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン、またはシリコーンコーポリマーを含む適切なポリマーからなる。前記ガス透過性膜の組成の選定は、培養されるべき細胞のタイプ(例えば、付着されて生育する(付着依存性)細胞、懸濁浮遊して生育する(付着非依存性)細胞、および付着されまたは懸濁浮遊して生育するであろう細胞)、ガス透過性の程度、ガスの転送のレート、並びに光学的透明性および明瞭性に依存するであろう。より好ましい実施形態においては、前記ガス透過性膜は、培養における付着依存性細胞の付着のための面として役立つであろう前記膜の一方の面上で、付着依存性細胞に対して該処理された膜面の粘着力を改善するためのイオン化により、処理された。前記膜のイオン化は、該処理された膜面をより親水性とし、且つプラズマ放電、コロナ放電、ガスプラズマ放電、イオン衝撃、イオン化放射、および高強度UV光を含む当該技術において知られた方法を用いて実行され得る。付着非依存性細胞の成長を助長するための好ましい実施形態においては、前記ガス透過性膜は、イオン化によって処理されることはない。好ましい実施形態においては、前記ガス透過性膜は、ポリスチレン、またはポリプロピレンからなる1つの膜であり、少なくとも1つの面上で、コロナ処理によって、処理され、そして約0.004インチである。好ましい実施形態において、本発明に従った前記細胞培養装置の少なくとも1つのガス透過性膜は、酸素および二酸化炭素ガスに対して下記のガス透過性特性を有し:Oに対し1気圧、37℃での透過性性能は、約15Barrersから約40Barrersまでの範囲内であり、そしてより好ましくは、約23Barrersであり;またCOに対し1気圧、37℃での透過性性能は、約80Barrersから約95Barrersまでの範囲内であり、そしてより好ましくは、約88Barrersである。
【0011】
用語「光学的透明性および明瞭性」は、ここでは、明細書および特許請求の範囲の目的のために、ガス透過性膜の特性に関し、そして本発明に従った前記細胞培養装置において培養される細胞の観察について、ガス透過性膜が明瞭であり、且つ透明であること、そしてより好ましくは、約250nmから約900nmまでのスペクトル範囲において透明であり;励起光が約260nmから約700nmまでの範囲のスペクトルを有するとき励起光のもとでは蛍光が十分でなく;そして従来のプラスチック組織培養フラスコ、または組織培養プレートの拡散イメージと比べてよりシャープな拡散イメージを有していることを意味するために用いられている。最後のものに関しては、消すことのできないブラックインクマーカーは、本発明に従った細胞培養装置の前記ガス透過性膜と組織培養フラスコの硬質プラスチック面との両面で幅が約1mmの線を引くのに使用された。20x対物レンズおよび標準の光顕微鏡を使用して、前記ガス透過性膜上で観察された線は、約1mmのはっきりした線であった。これに対し、前記線の拡散されたイメージは、前記組織培養フラスコ面で観察された;例えば、観察された前記線の幅はほぼ3mmであり、前記主要なラインは、コントラストが失われたダークシャドーによって囲まれていた。その結果、前記組織培養フラスコ面は、本発明に従った前記細胞培養装置の前記膜面について観察されたものよりも少なくとも100%大きい拡散イメージを表示した。
【0012】
用語「磁気シートアセンブリ」は、ここでは、明細書および特許請求の範囲の目的のために、構造上の順位で、磁気シート、永久接着剤、キャリアシート、および磁気分離の用途において本発明に従った前記細胞培養装置の面への即座の接着およびそれからの除去を可能とするように特に構成される非永久接着剤からなる組み立てられた組み合わせを意味するために用いられている。磁気シートアセンブリは、さらに、前記永久接着剤と対向する面上で前記磁気シートと接触した状態の層からなっていてもよく、前記層は、保護コーティング、ラベル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される物質であってもよい。磁気用の種々の保護コーティングは、それに限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンゴム化合物、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドなどを含むべく当該技術において知られており;そして、さらに、着色料からなってもよい。好ましい磁気シートアセンブリは、2000年11月27出願の米国特許出願番号09/723,008により詳細に説明されており、その開示は、ここに参照として含まれている。簡単に言えば、磁気シートは、下記の特性:(a)ガウスメーターによって測定されると、約250ガウスから約1500ガウスまでの範囲内にある、より好ましくは、約450ガウスから約1200ガウスまでの範囲内である電界強度を有する表面磁界;(b)アセンブリの一部分として、前記シートが、前記装置から該磁気シートを引張ることにより取り外し可能に接着される前記細胞培養装置から分離されることを可能とさせるために充分な柔軟性;(c)交互極性(alternating polarities)の磁極で磁化され、その極は、一般に、磁気分離効率を最大化するべく間隔が置かれる複数の並列に間隔が開けられたラインとして配置され(好ましい実施形態においては、1インチにつき7極から9極)、そして、さらに、磁気分離の効率を最大化するためにグリッドパターンを形成するにあたり、複数の並列に間隔が開けられたラインと複数の垂直に間隔が開けられたラインとの組合せを形成するように位置決めされる磁極からなってもよく(好ましい実施形態においては、1インチにつき14極から18極);および(d)一般に、寸法的に、前記磁気シートアセンブリが取り外し可能に接着される前記面と同一の広がりを持つ特性を有する少なくとも1つの実質的に平坦なシートからなっている。磁気シートは、それに限定されるわけではないが、熱可塑性バインダー内に添加されたバリウムフェライトのような微細な磁性粉末からなるシート、強磁性物質が注入されたプラスチックまたはビニール材料のシート;磁性粉末がその中に混入された構成樹脂材料のシート;一般的には0.7mmまたは0.030インチの厚みのポリマーシートに埋設された磁性粒子;それを通して分散された磁性物質を含むビニール材料;あるいはその意図された目的に適合性のある特性を有する他の適切な材料を含む。好ましい実施形態においては、前記磁気シートは、可撓性に富むバリウムフェライト磁性物質、可撓性に富むストロンチウムフェライト磁性物質、ネオジム、鉄、ボロン結合磁気材料、それらの組み合わせなどからなっている。当業者には明らかなように、前記磁気シートの厚みは、それに限定されるわけではないが、前記磁気シート材料の組成、前記磁気シートが1つまたはそれ以上のシートからなるかどうか、所望とされる磁界強度、および磁極の間隔を含むファクターに依存して変化されるであろう。それに関して、限定ではないが説明の目的のために、前記磁気シートの厚みは、約0.2mmから約5mmまでの範囲であってよい。約450ガウスから約1000ガウスの適切な商業的に購入可能な可撓性に富むストロンチウムフェライトベースの材料の好ましい厚みは、約0.03インチから約0.06インチまでの範囲内である。感圧永久接着剤は、前記磁気シートを、前記感圧永久接着剤、前記キャリアシート、および前記感圧非永久接着剤からなる前記感圧接着剤ラミネートに固定して結合されるために供される。従来の感圧永久接着剤は、当該技術において知られ、接着剤製造業者から商業的に購入可能であり、そしてそれに限定されるわけではないが、アクリルベース接着剤、ゴムベース接着剤、および類似したものを含む。前記感圧永久接着剤または前記感圧非永久接着剤の典型的な厚みは、約0.0003インチから約0.003インチまでの範囲にあり;より好ましくは約0.0005インチである。前記感圧永久接着剤および感圧非永久接着剤は、コーティング(例えば、ブラシコーティング、ナイフコーティング、トランスファコーティング、ロールコーティング、および類似したもの)、分散、スプレーなどのような当該技術において知られたあらゆる従来の方法で、両面感圧接着剤ラミネートを製造するにおいて、前記キャリアシートのそれぞれの独立した面に塗布されてよい。前記感圧非永久接着剤は、(a)磁気分離プロセスが開始されたり、完了されるのに必要な規定された時間の期間(一般に、約10分から約4時間までの範囲における時間)の間前記細胞培養装置の面に粘着接触した状態に前記磁気シートアセンブリを保持するべく充分な粘着であり;そして(b)前記磁気シートアセンブリが、近接して粘着接触した状態の前記細胞培養装置から持ち上げられるのを許容し得るべく、かすかな粘着性から適度の粘着性であり、前記非永久接着剤は、前記磁気シートアセンブリが取り外されるとき、前記細胞培養装置の面から、明瞭に(前記接着剤によってカバーされる面の0%から5%未満が、取り外し時になんらかの可視接着剤残留物を保有する)、解放する。特に、上記に概説されるような前記意図された目的に適する従来の感圧非永久接着剤は、当該技術において知られており、接着剤製造業者から商業的に購入可能であり、そしてそれに限定されないが、合成または天然ゴムベースの接着剤組成、アクリルベースの接着剤組成、および類似したものでもよい。前記キャリアシートは、感圧接着剤製品とともに使用するのに適切な種々のキャリアシート物質から選択されてもよい。前記キャリアシートシートは、一般に、薄くて、フレキシブルであり(可撓性であり)、そして、前記キャリアシートは、約0.03mmから約0.25mmまでの範囲における厚みを有すること好ましく、また、前記キャリアシートは、約0.002インチの厚みを有することがより好ましい。前記キャリアシート物質は、繊維質、非繊維質、またはそれらの組み合わせでもよい。前記キャリアシートは、適切なポリマーフィルム、ファブリック(例えば、ナイロン)、ペーパー、セルロース、および類似したものでもよく;そしてそれに限定されないが、好ましくは、ポリスチレン、アクリルポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ビニールポリマー(例えば、塩化ビニールまたはエステル、可塑化されたビニールポリマー、および類似したもの)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、酢酸セルロースを含むとよい。
【0013】
用語「隔膜」は、ここでは、明細書および特許請求の範囲の目的のために、前記隔膜を適合するように構成されるアクセスポートに挿入されるとき、中央に向けられた圧縮を生ずるような大きさにされるエラストマー物質からなるプレスリットされた隔膜を意味するために用いられ、すなわち、先端が、前記隔膜アクセスポートアセンブリの前記スリットに挿入され、そしてアクセスするとき、前記スリットは、非漏洩シールを維持するように、前記先端とスリットとの間の漏れを防止するべく、前記隔膜にアクセスする先端の外部面の周りを閉じて、そして密閉してそれを噛み合い、;そして前記隔膜が先端によって繰り返しアクセスされた後でさえ、前記スリットから前記先端の引抜き後それ自体を再シール(「再シール性」)するべく前記隔膜の能力を向上する。好ましい隔膜は、2000年11月7日出願の米国特許出願番号09/707,588により詳細に説明されており、その開示は参照としてここに含まれている。前記隔膜は、さらに、着色料、フィラーのような1つまたはそれ以上の接着剤からなってもよい。前記エラストマー物質は、天然または合成でよく、またそれに限定されないが、シリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、ブチルゴム、ポリクロロプレンゴム、シリコーンエラストマー複合材料、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴムの医療グレード、ポリイソプレン、合成イソプレンおよびそれらの組み合わせを含む物質でよい。前記エラストマー物質は、約30から約80までの範囲内のShoreAデュロメーターを有するように選択されてよい。
【0014】
好ましい実施形態においては、前記隔膜は、エラストマー物質および混合されて、そして前記エラストマー隔膜に形成される抗微生物剤からなり、前記抗微生物剤は、前記エラストマー隔膜に組み込まれ、そして前記エラストマー隔膜上に面コーティングを形成し、また前記抗微生物剤は、抗微生物剤の前記面コーティングが涸渇されるとき、前記エラストマー隔膜を通しての移動を示す。適切且つ例示的な広い隔膜抗微生物剤は、それに限定されないが、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’ヒドロキシジフェニルエーテル)、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、および2−2’−メチレン−ビス−4−クロロフェノール、3−(トリフルオメチル)−4,4’−ジクロロ’カルバニリドまたは塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを含んでもよい。
【0015】
用語「組織培養基」は、ここでは、明細書および特許請求の範囲の目的のために、充分な栄養分(例えば、ビタミン、アミノ酸、必須栄養分、塩、および類似したもの)および生存細胞(または組織中の生存細胞)を維持し且つそれらの成長をサポートするための特性(例えば、オスモル濃度、バッファリング)を供するために用いられる溶液を意味するために用いられている。商業的に入手可能な組織培養基は、当業者には既知である。
【0016】
実施例1
この実施例においては、本発明に従った細胞培養装置の種々の実施形態が説明されている。しかしながら、ここでこの実施例およびそれに続く実施例に説明される本発明に従った細胞培養装置の全ての実施形態において、必須の特徴は、そこに形成される培養チェンバーが、少なくとも1つのガス透過性膜からなることである。さて、図1から図7を参照すると、細胞培養装置12は、フレーム18を備えている。フレーム18は、それによってその意図される目的のために必要とされる構造の完全性を達成する、フレームワーク構造に製作され得る適切な可塑性の、熱可塑性の、合成の、または天然材料を含み得る基本的な生体適合性のある組成からなるであろう。フレーム18の形成および/製造に適する材料の選択において、広い選定の許容範囲が、行使し得ることは当業者にとっては明らかであるはずである。細胞培養装置12、およびフレーム18、の寸法は、それに限定されるわけではないが、そこに形成される培養チェンバーの所望の液体容量、および該培養チェンバーの寸法を含む1つまたはそれ以上のファクターに依存するであろう。好ましい実施形態においては、細胞培養装置12は、顕微鏡のための標準の機械的ステージ試料ホルダーによって、適合され、且つ実質的に適正位置に保持されることを可能とするために、一般的な形状およびサイズである。さらに好ましい実施形態においては、細胞培養装置12(およびフレーム18)は、約10cmから約13.5cmまでの範囲の長さ、約7cmから約9cmまでの範囲の幅、および約0.2cmから約2.0cmまでの範囲の高さ;またより好ましくは、約12.6cmの長さ×約8.4cmの幅×約0.5cmの高さであり、従来の細胞培養デバイスを用いて対応する成長レートまたは対応する細胞密度にて、細胞を培養するために必要とされるよりも少ないインキュベーター空間による細胞の培養を許容させる細胞培養装置を提供する。好ましい実施形態においては、および図1、および図4から図7を参照するにおいては、フレーム18の傾斜した部分は、少なくとも1つのガス透過性膜の平面に対して、角度で(例えば、約25゜から約40゜までの範囲の度合いで)傾いている。
【0017】
さて図1から図6を参照すると、フレーム18は、本発明の細胞培養装置12を組み立てるときに、そこに対するガス透過性膜31の位置合わせ、接触および固定(非漏洩シーリングによる)を適応させるべき形状とされたハウジングである。フレーム18は、さらにボックスのようなハウジングからなってもよい。さらに細胞培養チェンバー40の壁部を形成する別の表面32が提供されている。表面32は、1つのモールドオペレーションによってフレーム18の部分として形成されるのが好ましいリジッドな面であり、そしてそれに限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、または細胞培養適用に適切な他のプラスチックを含む高密度樹脂質材料からなることが好ましい。表面32は、液体不透過性およびガス不透過性である。膜31および32は、機械的手段、化学的手段(それに限定されないが、アクリル系感圧接着剤、ホットメルト接着剤、ゴムセメント、あるいは本発明に付随する目的のために有用な接着剤またはボンディング剤の他のいかなる形態も含む接着剤)または他の適切な手段を含み得る手段を用いて、非漏洩シーリングにてフレーム18に固定されるであろう。最後のものに関し、他の適切は手段は、それにおいて、前記膜がフレームの一体的な部分となる(例えば、押し出し成形)、熱ボンディング、音波ウェルディング、非漏洩シールを形成する加圧嵌合シーリング、およびモールドプロセスのうちの1つまたはそれ以上を含み得る。好ましい実施形態においては、膜31は、本発明に従った細胞培養装置を組み立てのプロセスにおいて、培養チェンバーの形成においてフレームに固定される膜の間に非漏洩シーリングを結果的に生じるような方法で前記フレームを切離すことと、実質的にフレームの切離し部分に膜をボンディング(溶融)することとを含む音波ウェルディングプロセスによってフレームに固定される。
【0018】
ここの記述から当業者には明らかとなるであろうように、膜31(またはその一部)は、本発明に従った細胞培養装置の培養チェンバーに培養される細胞のさらなる操作を容易にするためにフレーム18から取り外され得る。付着依存性細胞が培養されており、そしてそれに付着依存性細胞が付着される膜31は、該フレームからそれを切離しまたははぎ取ることによって、前記フレームから取り外される。代替的には、膜は、付着依存性細胞のための付着面として役立たない(例えば、表面32は付着面として役立つ)が、前記培養チェンバー4−およびそれに含有される細胞にアクセスするためにフレームから切り取られまたははぎ取られる。付着依存性細胞が前記膜に付着される場合、前記膜は、それから、標準染料または着色料、および当業者にとって既知の着色のための方法を用いて直接的に着色される。例えば、前記付着された細胞は、蛍光顕微鏡検査法、位相コントラスト顕微鏡検査法、ノーマースキー(Normarsky)コントラスト顕微鏡検査法、電子走査顕微鏡法、およびそれに関連するイメージング(例えば、写真またはディジタルイメージング)による分析のために着色されるであろう。代替的には、前記付着された細胞は、前記膜31または表面32から(前記付着面として役立つことに依存する)酵素処理(例えば、トリプシン処理)なしに細胞を採取することが望まれる状況においては、前記膜から静かに削り取られるであろう。そのような状況は、トリプシン感応性細胞面分子が、無傷であること;例えば、フロー血球計算分析における、または機能的バイオアッセイ(例えば、細胞毒性アッセイ)におけるような、直接的なさらなる分析が必要とされる場合、前記採取された細胞のさらなる使用または分析を含んでいてもよい。
【0019】
図1から図7に示されるように、フレーム18は、少なくとも1つの開口部23、そして好ましくは少なくとも2つの開口部、を有する。ここで、既に説明されたように、フレーム18の開口部23は、培養チェンバーに物質を導入し、または物質をそれから引抜き、またはそれから排出されるための器具をその中に案内される通路として役立っているであろう。それゆえ、各開口部23の直径は、培養チェンバーに物質を導入し、または物質をそれから引抜き、またはそれから排出されるその意図された目的のために必要とされる器具の該当部分(参照目的のためのみであり、以下、器具の「先端」と称する)の進入を許容させるのに充分である。当業者には、明らかであろうように、各開口部23の直径は、意図された目的のために用いられる器具のタイプ、および前記器具の先端のサイズ、に依存するであろう。例えば、前記器具が、シリンジおよび鈍い先端であれば、各開口部23の直径は先端をそこに通過させるのを許容するのに充分とする(例えば、直径で約1mmから約2mm)。前記器具の先端は、フレーム18の開口部23を通って案内され、そして培養チェンバー40内に導入される。好ましい実施形態においては、前記フレームは、充分な厚みからなり、そして1つまたはそれ以上の開口部23は、開口部23を通して挿入されたときに、前記器具の先端を、膜31および32によって形成されている培養チェンバー40の壁部のいずれかに接触し且つ孔をあけてしまうことを防止するために充分に制限された直径からなっている。前記少なくとも1つの開口部23は、当該技術において既知の適切な手段;例えば、カップ、プラグ、隔膜、または他の適切な手段;によって再シール可能である。図3から図6および図8を参照すれば、そして1つの好ましい実施形態において、開口部23は、隔膜36で、そしてさらに好ましくは、ここにさらに詳細に既に説明されたように、エラストマー材料および抗微生物剤からなる隔膜36で、実質的に(部分的にまたは完全に)満たされ且つシールされている。
【0020】
さて、ガス透過性膜に移り、前記ガス透過性膜は、本発明に従った細胞培養装置における培養チェンバーの壁部を形成する面の約10%から約100%までの範囲における部分を形成する。そのことについては、図1および図8が、培養チェンバー40を形成する壁部の全面からなるガス透過性膜を示している。図5および図6は、培養チェンバー40を形成する壁部の面の約10%および約60%をそれぞれに形成する1つのガス透過性膜を示している。図7は、培養チェンバー40を形成する壁部の面の約50%をともに形成する複数のガス透過性膜を図示している。本発明に従った細胞培養装置の培養チェンバーにおける実質的に付着面のすべてとしてのガス透過性膜の使用において、培養の間に、付着依存性細胞が、(チェンバーの縁部を含む)付着面全体にわたって相対的に均一に成長しがちであることが観察される。付着面全体にわたっての細胞付着および成長における顕著な多様性の不在は、本発明の1つの実施形態に従った細胞培養装置によって提供されるような培養チェンバーにおけるガス透過性膜の長さおよび幅を横切るガス(例えば、酸素および二酸化炭素)交換における多様性の相対的な不在に起因すると信じられている。したがって、本発明に従った細胞培養装置において、前記ガス透過性膜は、より高い、付着依存性細胞成長の密度、およびそのための空間効率に役立つ付着面を提供する。このことは、個々の付着面上における不均一ガス交換を示すために報告された従来の細胞培養容器;および、それゆえ、ガス交換の勾配に対するそれらの空間関係に依存して成長させるための細胞の能力における多様性に対して有利である。
【0021】
ここに含まれる記述から当業者には明らかであるように、膜31と表面32との間の距離は、フレーム18のサイズ(例えば、高さ)に依存する。培養チェンバー40の形状またはサイズのいずれかにおける一般的な相対制限は存在しないけれども、細胞の高密度を達成する培養のために好ましい実施形態においては、膜31と表面32との間の平均距離は、約0.05インチから約0.5インチまでの範囲内にある。より好ましい実施形態においては、膜31と表面32との間の平均距離は、約0.07インチから約0.08インチまでの範囲内の距離である。好ましい実施形態においては、付着依存性細胞は、それに前記付着依存性細胞が付着され、そして均一のガス交換を提供する面である面として膜31を有する細胞培養装置において培養される。膜31および表面32の両方を同時的に付着依存性細胞の付着のための面として役立たせることを許容させるために、本発明に従った細胞培養装置を回転することによって、空間効率、多用途性、および比較的短い時間の期間内における高い細胞密度を達成して高レートの細胞成長を助長し得る条件が提供される。例えば、付着依存性細胞が、細胞培養装置内に導入され、そして導入された細胞は、重力、およびガス透過性膜31に対する細胞の付着、によって定着するのを許容させるために、充分な時間(細胞タイプに依存する)保温される。前記細胞培養装置は、それから、培養において、膜31から懸垂されて、転移された細胞が生育されるように、180゜回転されるであろう。付加的な細胞は、それから、表面32に因子が供給される。好ましくは、膜31は、光学的に透明性および明瞭性である;例えば、細胞培養の間における、一般的に観察される培養基のpHインジケーターの色の、および細胞特性(例えば、顕微鏡検査によるように細胞の成長および形態)の、変化の観察を容易にする。
【0022】
付加的な実施形態においては、バイオリアクターは、複数の細胞培養装置の培養チェンバーを接続する液体通路を提供することによって適切に作用するようにリンクされた本発明に従った複数の細胞培養装置を備える。そのようなバイオリアクター環境における細胞の培養を容易にするために、前記複数の細胞培養装置の各々は当該通路を通り且つ相互接続された細胞培養装置の培養チェンバーの間の組織培養基の流れを可能とする接続通路によって他の細胞培養装置に相互接続されてもよい。バイオリアクターを形成するための第1の細胞培養装置を第2の細胞培養装置へと相互接続する1例は、2つのシリンジ針の間に介挿される1ピースの滅菌したチュービングの使用による。1つの針が、再シール可能な開口部23に挿入され、フレームを通って、そして第1の細胞培養装置の培養チェンバー内に至り;そして第2の針が、再シール可能開口部23に挿入され、フレームを通って、そして第2の細胞培養装置の培養チェンバー内に至る。1ピースのチュービングは、そこで、前記第1の針に適切に作用するように接続された1つの開口端を有し、そして該チュービングの逆側の開口端は、適切に作用するように前記第2の針に接続されているであろう。2つの針の間に配置され且つ適切に作用するようにそれらに接続されたチュービングは、前記第1の細胞培養装置の前記培養チェンバーと前記第2の細胞培養装置の前記培養チェンバーとの間に液体通路を提供する。同様な方法論および複数のチュービングを用いて、複数の前記細胞培養装置が適切に作用するように接続されて、バイオリアクターを形成する。
【0023】
実施例2
この実施例においては、細胞が個別の細胞であるか(組織のような構造を形成することとは独立に生育される細胞;実例となる実施例は細胞ラインである)、または組織を形成する細胞であるか(一般的には、構成されたまたは組織化された組織を形成するのにそれらの組織間物質を有する細胞のメッシュまたはネットワークである)、あるいはそれらの組み合わせであるのかの、細胞を培養するための本発明に従った細胞培養装置を用いる種々の実施形態が説明されている。細胞培養装置において培養され得る個別の細胞は、それに限定されるわけではないが、動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、人間細胞、トランスジェニック細胞、異電子工学による細胞、形質転換された細胞、細胞ライン、付着依存性細胞、および付着非依存性細胞、を含む1つまたはそれ以上の細胞タイプを有することは当業者には明らかであろう。培養において細胞により形成された組織も、本発明に従った細胞培養装置において培養され得ることも当業者には明らかであろう。本発明の細胞培養装置は、一般に、培養される特定のタイプの細胞にも、該培養基が、細胞成長を維持させ且つサポートするために充分な栄養分および特性(例えば、浸透圧)を提供する限り、細胞成長を維持させることの可能な組織培養基にも限定されないことは当業者にはさらに明らかであろう。さらに、細胞を培養するために使用する前に、滅菌された細胞培養装置は技術において従来の方法を用いることは当業者には明らかであろう。好ましい実施形態においては、前記細胞培養装置は、ガンマ放射線への露呈によって滅菌される。
【0024】
1つの実施形態においては、本発明に従った細胞培養装置において付着依存性細胞が培養される。付着依存性細胞を成長するために、膜31あるいは表面32のいずれか、または両方は、培養されることを所望する細胞の粘着力を促進するために充分な親水性を備える内側面(前記培養チェンバーの内側面を形成する)を有し;そしてそれゆえ、細胞がそれに付着し且つ成長し得る面として作用し得る。たとえば、前記少なくとも1つの膜は、そのような粘着力を促進する固有の化学的特性を有していてもよく、あるいは内側面がそのような粘着力を促進するように(例えば、電気的に、イオン的に、または化学的に)処理されていてもよい。そのような処理が、前記内側面の化学的エッチング、前記内側面のイオン化、または適切なコーティング反応物による前記内側面のコーティング、のうちの1つまたはそれ以上を含んでいてもよいことは、当業者には明らかとなるであろう。適切なコーティング反応物は、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、粘着プロテイン(粘着たんぱく質)、粘着ペプチド(例えば、PCT国際出願第PCT/US95/00817号参照)を含めて、当業者には知られている。
【0025】
本発明に従った細胞培養装置12を用いて細胞を培養する方法は、細胞の成長をサポートすべく、適切な量の組織培養基内に懸濁液を形成させるように、培養されるべき細胞(例えば、付着依存性細胞または付着非依存性細胞)を懸濁させることと;前記細胞培養装置12内に前記懸濁液を注入するための適切な器具(例えば、シリンジと鈍い先端との組み合わせ)内に前記懸濁液を導入することと;滅菌(無菌)技術を用い、そして再シール可能な開口部36(隔膜と開口部との組み合わせ)を通し、そして前記細胞培養装置12の前記細胞培養チェンバー40内に、前記器具の一部(例えば、針の先端)を挿入することと;前記器具から(例えば、シリンジのチェンバーからそして前記先端を通して)そして前記細胞培養チェンバー内に前記懸濁液を放出することと;前記細胞培養装置から前記先端を引き抜くことと;、培養基と細胞との前記懸濁液を収容する(例えば、適切な温度およびCO濃度を含む当該技術において知られているように細胞の成長に充分な細胞培養インキュベーターまたは条件にて)、前記細胞培養装置を保温することとを有している。細胞培養装置12の培養チェンバー40内に導入されるであろう物質は、組織培養基単独、細胞を含む組織培養基、生理学的なバッファー内に懸濁された細胞、および薬剤またはシトキンまたは成長因子または酵素(例えば、トリプシンの溶液)またはそこで培養される細胞を処理するための他の生物学上の反応物、のうちの1つまたはそれ以上を含むであろうことは、当業者には明らかであろう。
【0026】
好ましい実施形態においては、そして細胞の高い成長レートが好ましい応用のために、本発明にしたがった細胞培養装置12において細胞を培養する方法において、細胞培養チェンバー40は、成長させることが所望される細胞または組織を培養するための組織培養基または他の適切な成長媒体によって完全に充填される。当業者には、培養チェンバー手段を培養チェンバー内に上部空間(例えば、エアバブル)を実質的に残さないほど完全に充填することは明らかであろう。培養基とガス相(気相)との間の溶解されたCOの分布に主として起因する従来の細胞培養容器における最初の1ないし2時間以内の組織培養基のpHにおける初期上昇を急峻化し得ることが注目される。このpH変化は、細胞が顕著な量のCOを生成することが可能となるよりも充分に以前の、インキュベーションの主として最初の1時間以内に生じる。結果的なpH変化は、細胞が、細胞呼吸を通してCOを提供することにより、最適なCOレベルを回復させるのに充分な数になるまで、細胞成長のレートに否定的に作用する。しかしながら、前記従来の細胞培養容器とは異なり、本発明に従った細胞培養装置12は、実質的な上部空間が生じないような方法で充填され得る。本発明の細胞培養装置12は、1つまたはそれ以上のガス透過性膜31の使用および配置によって呈示される拡大されたガス交換に起因すると信じられているガス平衡のための予想外の容量を提供する。本発明に従った細胞培養装置12のこれらの特徴は、協力して、従来の細胞培養容器において観察されたような、初期pHにおける急峻な変化を防止する。培養基のpHにおけるそのような急峻な変化を防止することによって、初期培養条件は、最適な細胞成長に一層助けとなるpH平衡を達成する。それゆえ、本発明に従った細胞培養装置12とは逆に、従来の細胞培養容器の欠点は、前記従来の細胞培養容器が、前記容器の上部と前記組織培養培養基の表面との間の上部空間を必要とすることである。加えて、本発明に従った細胞培養装置12における細胞を培養する方法においては、前記培養チェンバー40が、実質的な上部空間がないような方法で充填され、前記細胞培養装置は、検出可能な泡沫形成または細胞外傷を生じることなく、そこに収容された前記培養基と細胞を混合させるべく傾斜されまたは静かに振動される。特に、前記少なくともガス透過性膜31は、前記膜が太鼓の皮のようにピンと張られて前記フレームに固定され、そしてそれによって、前記充填された培養チェンバーにおいて混合することを容易にする。
【0027】
本発明に従った細胞培養装置12を用いる細胞の培養方法の付加的な実施形態においては、該方法は、細胞の成長をサポートすべく、適切な量の組織培養基内に、懸濁液を形成して、培養されるべき付着依存性細胞を懸濁させることと;前記細胞培養装置12内に1つまたはそれ以上の再シール可能な開口部23を介して前記懸濁液を注入するために適切な器具内に前記懸濁液を導入することと;滅菌(無菌)手法を用い、且つ1つまたはそれ以上の再シール可能な開口部23を通し、そして前記細胞培養装置12の前記細胞培養チェンバー40内に、前記器具の先端を挿入することと;前記器具の前記先端を通し、そして前記細胞培養チェンバー40内に前記懸濁液を放出することと;前記細胞培養装置12から前記器具の前記先端を引き抜くことと;培養基と細胞との前記懸濁液を収容する前記細胞培養装置を、重力、並びに付着面として提供される膜に対して接触および付着により細胞が定着することを可能とするのに充分な時間(例えば、細胞タイプに依存して、30分から3時間)保温することとを有する。前記方法は、その後に前記細胞培養装置を180゜回転させることと、細胞が、培養チェンバー内において転移された態様で保温されるように、前記細胞培養装置をインキュベーター内に位置させることとをさらに有していてもよい;すなわち、前記細胞は、その上に細胞培養装置が載置されるインキュベーターシェルフに対して前記培養チェンバーの上側壁部として供する膜に付着される。それゆえ、この実施形態においては、細胞は前記培養チェンバー内に垂下され、そして上側膜の表面に沿って懸垂された状態で成長する。これは、細胞くずを重力により、懸垂された培養から下側の表面へ落下させ、そこでは、そのような分離された細胞くずが、吸引およびまたは洗浄ステップによって、容易に前記培養チェンバーから除去されるであろう。
【0028】
実施例3
前記細胞培養装置は、磁気分離アプリケーションのために使用してもよい。この実施例においては、細胞培養装置が、そこに脱離可能に固定された磁気シートをさらに備える種々の実施形態が説明されている。一つの実施形態においては、そして図8を参照すれば、磁気シートアセンブリ51は、該磁気シートが、前記細胞培養装置の前記少なくとも1つのガス透過性膜31の表面の実質的に全て(全てまたは培養チェンバー40の壁部を形成する部分)に粘着接触するような位置に配置されるように、対向して、細胞培養装置12上に延在され且つそれに離脱可能に固定される。前記磁気シートアセンブリ51は、培養チェンバー40内に配置される磁性粒子が、前記脱離可能に固定される磁気シートアセンブリ51の磁界強度によって吸引され、そして適正な位置(膜31の内面からなる培養チェンバー40の内壁に沿って)に保持されるような方法で、細胞培養装置12に脱離可能に固定されるであろう。好ましい実施形態において、磁気シートアセンブリ51は、それに粘着接触して配置される前記表面32とおおむね共通の寸法の形状を有している。磁気シートアセンブリ51が脱離可能に固定された細胞培養装置12を用いる磁気分離の方法において、そしてここに従前の実施例にて説明された方法を用いて、培養チェンバー内に導入されるのは;(a)対象細胞の集団(例えば、細胞タイプの混交集団(mixed population)を含む液体から隔離されることが所望される細胞タイプ)をその中に有する細胞の混交集団を含む液体;および(b)リガンドによってコーティングされた磁性粒子を有する磁気分離反応物であり、前記リガンドは、分離されることが所望される細胞についてのおよび磁気分離を達成するために充分な結合特異性および親和性を有する。磁気分離反応物と対象細胞の間の接触および結合の相互作用が生じるために充分な時間について内容を混合した後、前記磁気分離反応物は、前記リガンドコーティングを介して、合成物を形成して流体内に存在する対象細胞と接触し且つ結合する。細胞混交集団を含む流体、および磁気分離反応物は、まず混合され、そしてそれから該混合物が前記磁気分離を実行するために前記細胞培養装置に導入されることは当業者にとって明らかであろう。いずれの実施形態においても、形成された合成物が、(磁気吸引力によって)引きつけられ、そして、そこに前記磁気シートが脱離可能に固定されている細胞培養装置12の平面に沿って、膜の内面を含む培養チェンバー40の壁部に接触する。合成物が膜31に沿う適正位置に保持されるのを充分な時間について許容した後は、前記流体は、細胞培養装置から除去される。ネガティヴ選択の方法においては、特定の細胞集団が涸渇されているので前記除去された流体が利用される。ポジティヴ選択のプロセスにおいては、分離されることが所望されている細胞タイプが、磁気吸引力により且つ培養チェンバー内における合成物として適性位置に保持されるので、除去された流体は、前記混交細胞集団の実質的に全ての(不要な)残余を含んでいる。このポジティヴ選択プロセスにおいては、培養チェンバー40は、前記対象細胞が、磁気吸引力を介して、磁気分離反応物との合成物の一部として結合される場合、結合されずに残った細胞をも除去するために、溶液(例えば、組織培養基または生理的な溶液)によって洗浄されるであろう。ポジティヴに選択された細胞を培養することが所望される一つの実施形態においては、当該細胞タイプに関する適切な量およびタイプの組織培養基が、そこで培養チェンバー40内に導入されて;それから磁気シートアセンブリ51が、前記細胞培養装置12から(例えば、図8に図示されるように、引き出しまたは引きはがし動作によって)除去され、それによって細胞培養チェンバー40内で適正位置に前記合成物を保持する磁力を取り除き、且つそれによって該合成物を前記培養基内に解放して;そしてそれから前記細胞培養装置12が、細胞培養インキュベーター内に配置され且つ保温される。
【0029】
実施例4
本発明に従った細胞培養装置12は、組み換えDNA分子が培養される細胞に導入されたアプリケーションにも用いられてよい。この実施例においては、細胞培養装置12の培養チェンバー40内に収容された培養される細胞にベクターが接触するように(培養される細胞内への導入のために)有効な量のベクターが細胞培養装置12内に導入されることによってベクターが細胞内に導入された細胞培養装置12の使用が説明されている。細胞培養装置12内に物質を導入するための方法が、この中で実施例2において説明されたように、ベクターを細胞培養装置12内に導入するためにも用いられてよい。当業者には明らかであろうように、前記ベクターは、プラスミドベクター、ウィルス性ベクター、エクスプレッションベクター、またはそれらの組合せを含んでいてもよい。当業者には明らかなように、前記ベクターは、ベクターを含む細胞によって表現されるべく所望のDNA分子に、影響を及ぼすように(例えば、プロモーターに)リンクされたベクターを備える組み換えDNA分子を含んでいてもよい。分子生物学の技術における熟達者には知られているように、動物細胞(そしてより好ましくは、哺乳類細胞)または植物細胞は、細胞における遺伝子生成への所望の遺伝子の表現を助長するエクスプレッションベクターのような組み換えDNA分子がその中に導入されることが望まれる一般的な細胞である。
【0030】
例えば、細胞培養装置12内に収容された培養された細胞は、細胞内に導入されることが所望される一定量の組み換えDNA分子、およびトランスフェクション反応物を含む混合物と共に保温されてもよい。前記DNA分子は、トランスフェクション反応物と混合され、そして組織培養基、トランスフェクション反応物およびベクターを含む混合物は、前記開口部23を通して導入され且つ培養された細胞が粘着支持物に接触するように、培養チェンバー40内に放出される。細胞培養装置12は、それから、培養された細胞と(組織培養基とトランスフェクション反応物とベクターとからなる)混合物との間の接触が、ベクターの培養された細胞による摂取および該細胞内への導入を促進するために5%CO内で一晩中37℃に保温される。前記組織培養基は、それから細胞培養装置12から取り出され、そして新鮮な組織培養基と置き換えられる。それから、トランスフェクション効率は、技術において知られている従来の方法を用いてまたは使用されるベクターによって可能とされるように、決定される。当業者においては明らかであろうように、前記トランスフェクション効率は、それに限定されるわけではないが、その中にベクターを導入することが所望される細胞のタイプ、トランスフェクションのための条件の最適化(例えば、細胞数当たりのDNAの量、トランスフェクションのために使用された培養基、トランスフェクションプロセスの時間)、並びに使用されたトランスフェクション反応物のタイプおよび量、を含むファクターに依存して増大するであろう。また、同様のステップを用いてベクターも本発明に従った細胞培養装置12内で培養される付着依存性細胞内に導入されてもよいことは当業者には明らかであろう。
【0031】
本発明の特定の実施形態の先の記述は、説明のために詳細に記述されている。記述およびイラストレーションを考慮すれば、当該技術における他の熟達者は、最新の知識、を適用することによって、種々のアプリケーションのために、基本的なコンセプトから逸脱することなく本発明を容易に変更しおよび/または適合させることができ、そしてそれゆえ、そのような変更および/または適合は添付された特許請求の範囲の意味および視野の範囲内にあることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明における細胞培養装置の一つの実施形態の平面図である。
【図2】図1に示された細胞培養装置の線2−2についての断面図である。
【図3】本発明における細胞培養装置の一つの実施形態の側面図である。
【図4】サンプルが導入されるかまたは培養チェンバーから取り出される一つの実施形態を示す細胞培養装置の斜視図である。
【図5】本発明における細胞培養装置のその他の実施形態の斜視図である。
【図6】本発明における細胞培養装置のその他の実施形態の平面図である。
【図7】本発明における細胞培養装置のその他の実施形態の平面図である。
【図8】細胞培養装置に粘着接触で脱着可能に固定される磁気シートアセンブリの除去を示す細胞培養装置の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングおよびフレームを通る開口を含む少なくとも1つの開口部を含み、前記少なくとも1つの開口部の各開口が隔膜を含むフレーム、培養チェンバーの壁の一部を形成する際に前記フレームに非漏洩シール状態として確実にシールされる少なくとも1つのガス透過性膜と、前記少なくとも1つのガス透過性膜と剛性表面および前記膜との間で形成される前記培養チェンバーの壁を形成する剛性表面とを備え、前記少なくとも1つのガス透過性膜が光学的に透明であり、かつ明瞭である細胞培養装置。
【請求項2】
前記フレームは、2つまたはそれ以上の開口部を備えている請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記一部は、約10%から約100%までの範囲内の量である請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記一部は、約10%から約60%までの範囲内の量である請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガス透過性膜は、細胞付着を改善すべく処理された表面を備えている請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項6】
細胞は、個別の細胞、組織を形成する細胞およびそれからの組み合わせからなるグループから選択された請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項7】
前記隔膜は、さらに殺菌剤を備えている請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項8】
前記殺菌剤は、前記隔膜のエラストマー材料に組み込まれ、かつ前記隔膜上に表面コーティングを形成し、かつ前記殺菌剤は、殺菌剤の前記表面コーティングが激減されたとき前記エラストマー材料を通る移動を示す請求項7に記載の細胞培養装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのガス透過性膜および前記対向する剛性表面は、約0.1インチから約0.5インチまでの範囲内の距離だけ離隔されている請求項8に記載の細胞培養装置。
【請求項10】
前記フレームは、前記少なくとも1つのガス透過性膜の平面に対して傾斜している斜面部分を備える請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項11】
前記細胞培養装置は、それに脱離可能に固定される磁気シートアセンブリを備え、前記磁気シートアセンブリは、前記磁気シートアセンブリを前記細胞培養装置の前記細胞チェンバーを形成する少なくとも1つのガス透過性膜と粘着性接触することによって面と向かう方法で細胞培養装置の上に、かつ細胞培養装置に脱離可能に固定される請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項12】
流体通路は、複数の細胞培養装置間に設けられ、かつ前記流体通路は、前記流体通路によって結合される細胞培養装置の培養チェンバーの流体流伝達を可能にする請求項1に記載の複数の細胞培養装置を含むバイオリアクター。
【請求項13】
請求項1に記載の細胞培養装置で細胞を培養する方法であって、
(a)懸濁液を形成する際に細胞の成長を助けるために適切な量の組織細胞媒体で培養される細胞を懸濁し、
(b)前記懸濁液を前記細胞培養装置に注入する器具に前記懸濁液を導入し、
(c)前記器具の先端を前記隔膜および開口部を通して、かつ前記細胞培養装置の前記細胞培養チェンバーに挿入し、
(d)前記懸濁液を前記器具から、かつ前記細胞培養チェンバーの中に放出し、
(d)前記先端を前記細胞培養装置から引き抜き、
(e)培養基および細胞の前記懸濁液を含む前記細胞培養装置を保温することとを含む請求項1に記載の細胞培養装置で細胞を培養する方法。
【請求項14】
培養される前記細胞は、付着依存性細胞である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
培養される前記細胞は、付着非依存性細胞である請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記付着依存性細胞は、ステップ(f)で前記細胞培養装置の前記少なくとも1つのガス透過性膜に取り付けられた後、前記方法は、前記培養チェンバーで前記細胞を転位された態様で培養するときに前記細胞培養装置を180°回転させるさらなるステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記付着依存性細胞は、ステップ(f)で前記細胞培養装置の膜に取り付けられた後、前記方法は、
(g)前記細胞培養装置を180°回転させるステップと、
(h)ステップ(c)からステップ(f)を繰り返すステップとのさらなるステップを含み、
少なくとも1つのガス透過性膜および前記剛性表面が細胞が培養される付着面として役立つ請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項11に記載の前記細胞培養装置を使用する磁気装置の方法であって、
(a)磁気分離反応物と結合特異性を有するタイプの細胞との間に合成物を含む混合物を形成する際に、分離されることが望まれる細胞のタイプに対して結合特異性を有する磁気分離反応物とともに磁気分離によって隔離されるのが望まれる細胞のタイプの集団がある細胞の混交集団を含む液体を混合すること、
(b)前記混合物が磁気シートを脱離可能に固定される平面に沿って前記少なくとも1つのガス透過性膜によって形成される前記培養チェンバーの壁に接触するように前記細胞培養装置の前記培養チェンバーに前記混合物を導入すること、
及び
(c)前記合成物は、前記磁気シートの磁界強度に対する前記複合体の引力のために前記培養チェンバーの壁に沿って接触し、かつ所定の位置に保持されるのに十分な時間前記合成物を前記細胞培養装置で培養することとを含む請求項11に記載の前記細胞培養装置を使用する磁気装置の方法。
【請求項19】
前記培養チェンバーで未結合されたままである前記混合物を前記細胞培養装置から取り除くことをさらに含み、かつ前記取り除かれた混合物は、ネガティブ選択のプロセスによって分離された細胞を含む請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物を取り除かれた後、前記培養チェンバーで結合され、かつ前記細胞培養装置に残る前記混合物を含む前記細胞は、ポジティブ選択のプロセスによって分離される細胞を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに、組織培養基を前記培養チェンバーに導入し、前記磁気シートを前記細胞培養装置から取り除き、かつ前記ポジティブ選択のプロセスによって分離された前記細胞を培養する際に前記細胞培養装置を保温することとを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組み換えDNA分子を請求項1に記載の前記細胞培養装置で培養された細胞に導入する方法であって、
(a)前記組み換えDNA分子を含む混合物を形成する際にトランスフェクション反応物をベクターを含む前記組み換えDNA分子と混合すること、
(b)前記組み換えDNA分子を含む培養基を形成する際に前記組み換えDNA分子を含む前記混合物を組織培養基と混合すること、
(c)前記細胞培養装置で前記培養される細胞に接触するように前記組み換えDNA分子を含む前記培養基を前記培養チェンバーに導入すること、
(d)前記組み換え分子を前記培養チェンバーの培養細胞に導入することを推進する際に前記培養される細胞に接触している前記組み換えDNA分子を含む培養基を培養することとを含む組み換えDNA分子を請求項1に記載の前記細胞培養装置で培養された細胞に導入する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−295458(P2008−295458A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−208518(P2008−208518)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【分割の表示】特願2002−545125(P2002−545125)の分割
【原出願日】平成13年11月21日(2001.11.21)
【出願人】(500426560)バイオクリスタル・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BioCrystal Limited
【Fターム(参考)】