説明

細胞学的懸濁液を調製するためのフラスコ

本発明は、フィクサーをベースとする細胞学的懸濁液を調製するためのフラスコであって、前記懸濁液に少なくとも部分的に浸漬された濾過手段(4)を装備するフラスコにおいて、前記濾過手段(4)は濾過器を構成する濾過材料から成るウェブの形態をしており、前記濾過手段(4)の周辺部(5)は前記フラスコに固定され、かつ前記濾過手段(4)の中心(6)は前記フラスコの開口(2)に向かって延在し、前記フラスコの所定位置に保持するための手段(8)と協働し、及び、ピペットを通じて前記懸濁液を抜き取り可能に構成されたチューブ(7)に連結されていることを特徴とするフラスコに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィクサーをベースとする細胞学的懸濁液を調製するためのフラスコに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのフラスコが、分析等のための細胞学的懸濁液、特に頸部又は膣の細胞学的懸濁液を調製するための現状技術で使用されている。
【0003】
サンプル、特に頸部又は膣のサンプルは、例えば、解放可能に、手動ハンドルに固定された特殊なブラシを用いて開業医によって採取される。
【0004】
一旦、サンプルが採取されると、開業医はブラシをフラスコ内に突っ込んで、サンプル採取された細胞がフィクサー内に置かれることを可能にするようにハンドルからサンプル採取された細胞を分離する。
【0005】
しかしながら、サンプリング採取の間にブラシによってピックアップされた漂積物(粘液、集積物等)、あるいは、特にハンドル等からこれらの漂積物又は皮膚スケールを取り払うためにブラシを取り扱う間に、フラスコ内に置かれた開業医からの皮膚スケールのような望ましくない成分もフィクサー内に置き得る。
【0006】
これらの成分は、懸濁液の引き続く分析の間、非常に不都合であり得る。
【0007】
出願人は、これらの課題を解決しようとするために、特別なフラスコ構造体を既に提案している。
【0008】
このフラスコは、特許文献1に記載されている。
【0009】
この文献によると、フラスコは、手動操作可能なハンドルに解法可能に故知された細胞学的サンプリング・ブラシを受容するための開口を有しており、フラスコの開口は、ブラシがフラスコ内で捕捉されて、ハンドルから分離されることを可能にする、ブラシのための当接手段、および注入操作の間に懸濁液を濾過するための穿孔されたウェブの少なくとも1つの部分を備えることを特徴とする。
【0010】
しかしながら、使用中に、このタイプのフラスコは、上述の成分によって穿孔された懸濁液の一部の詰まりに関して、特に若干の不利な点も示してきた。
【特許文献1】仏国特許公開第2792331号公報明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従って、これらの調製フラスコを更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明の主題は、フィクサーをベースとする細胞学的懸濁液を調製するためのフラスコであって、前記懸濁液に少なくとも部分的に浸漬された濾過手段を装備するフラスコにおいて、前記濾過手段は濾過器を構成する濾過材料から成るウェブの形態をしており、前記濾過手段の周辺部は前記フラスコに固定され、かつ前記濾過手段の中心は前記フラスコの開口に向かって延在し、自身を前記フラスコの所定位置に保持するための手段と協働し、及び、ピペットを通じて前記懸濁液を抜き取り可能に構成されたチューブに連結されていることを特徴とするフラスコを提供することである。
【0013】
本発明の更なる特徴により:
前記フラスコの上部はカバーを受けるように構成されており、
カバーおよびフラスコの対応する部分は相補ねじ手段から成り、
カバーは、前記チューブの対応する端部に面して、少なくとも1つの貫通可能且つ自己密封部分を備え、前記部分を通じて抜き取りをする前記ピペットが貫通し得るものであり、かつ、前記部分は、前記チューブと前記フラスコの残部との間の液密性を保証するために、前記チューブの端部を支持するように構成されており、
フラスコの下部は、デカンテーション円錐を構成する手段から成り、
フラスコのチューブを保持するための手段は、フラスコおよびチューブとの間に延在する位置保持アームを備え、
アームの1つは、サンプリング・ブラシが濾過器内に落下するように該ブラシが手動操作ハンドルから着脱可能にするための当接手段から成り、及び
アームの1つは、要素をサンプル収集させ、これにより濾過器内に落下させるためにサンプリング・ブラシを組み合わせるために突起(barbs)を備える。
【0014】
本発明は添付の図面を参照した実施形態によってのみ与えられる以下の説明を読めば更に良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明によるフラスコの実施形態は、実際、図1及び図2に例示されている。
【0016】
このフラスコは、フィクサーをベースとする細胞懸濁液を調製するためのフラスコである。
【0017】
このフラスコは、全体的に参照符号1で示されており、全体的に参照符号2で示されている開口を備え、この開口を通じて細胞サンプリング・ブラシが貫通し得る。
【0018】
フラスコは、少なくとも部分的に懸濁液に浸漬された濾過手段を備えている。
【0019】
濾過手段は図面では全体的に参照符号3で示されており、かつ、本発明によれば、全体的に参照符号4で示されている濾過器を構成する濾過材料から成るウェブの形態をしており、濾過手段の外周5がフラスコに固定されており、及び濾過手段の中心6はフラスコの開口2に向かって延在するチューブ7に連結されている、このチューブ7は、該チューブを例えばフラスコの中心位置のような所定位置に保持するために、全体的に参照符号8で示されている手段と協働し、かつピペットによって懸濁液を抜き取ることを可能にするように構成されている。
【0020】
図1で全体的に参照符号9で示されているフラスコの上部は全体的に参照符号10で示されているカバーを受けるように構成されている。
【0021】
捕捉ねじ手段のような固定手段を、フラスコの上部9とカバー10との間に設け得る。
【0022】
このために、フラスコの上部にねじが付されている一方で、カバー10の対応する部分はタップが付されており、カバーをフラスコの対応する端部上にねじ込むことを可能にしている。
【0023】
チューブ7の開放端部はこのように保護されている。
【0024】
さらにまた、フラスコの下部は、全体的に参照符号11で示すように、デカンテーション円錐を成している。
【0025】
チューブ7をフラスコの所定位置に保持するための、全体的に参照符号8で示した、手段は、図2に詳細に示されている。
【0026】
実際、これらの保持手段は、フラスコ1とチューブ7との間に延在する位置保持アームを備え得る。
【0027】
例示した実施形態では、略120度離隔配置された、3つの位置保持アームが示されている。
【0028】
当然、他の形状構成も設け得る。
【0029】
例えば、アーム12のようなアームの1つには、濾過材料から成る濾過器を構成するウェブ内にブラシを落下させるために、該アームの手動操作ハンドルから慣用の態様でサンプリング・ブラシが着脱されることを可能にするための当接手段を設け得る。
【0030】
これらの当接手段は、例えば、アームの凹んだ部分13によって構成されている。
【0031】
ブラシを濾過器構成手段に置くことが所望されない場合は、要素をサンプル収集させ、かつ、濾過器状濾過手段内に落下させるためにブラシに保持するために、アーム及びこの凹んだ部分には、同様にして、サンプル収集ブラシを組み立てるための手段を構成する突起を設け得る。
【0032】
この場合、懸濁液は、例えば、濾過手段とデカンテーション円錐との間の懸濁液の異なる水準の補償を可能にする、チューブ7内に導かれた抜取りピペットによって、抜取り得ることが考えられる。
【0033】
当然、他の実施形態も考え得る。
【0034】
このように、例えば、フラスコの変形実施形態は図3に示されている。
【0035】
全体的に参照符号1で示されているフラスコと、全体的に参照符号7で示されている該フラスコのチューブと、は、実際、図3に見得る。
【0036】
フラスコ1の対応する端部上にねじ込まれるように構成された、全体的に参照符号10で示されているカバーはこの図3にも見得る。
【0037】
図3に示す実施形態によれば、カバー10は、チューブの対応する端部に面する、少なくとも1つの、貫通可能であり、かつ、抜取りピペットが貫通し得る、自己密封領域又は部分を備える。
【0038】
例示された実施形態では、このカバーは、例えば、該カバー10の中心に設けられた、全体的に参照符号10aで示されたこうした領域を備え、ピペット又は何れか他の抜取り手段を貫通可能にする。
【0039】
このタイプの貫通可能であり、かつ、自己密封な領域は特に従来技術で既に知られている。
【0040】
従って、これらは以下に詳細に説明しない。
【0041】
チューブ7とフラスコの残部との間の最適な漏れ密を保証して、かくして、何れの汚染をも防止するために、この領域が、カバーをフラスコ1の残部上にねじ込む間に対応するチューブ7の端部を支持するようになるように構成されることが同様に留意される。
【0042】
当然、さらに他の実施形態を想定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による準備フラスコの断面で示した概略側面図である。
【図2】上から見たこうしたフラスコの部分的概略図である。
【図3】本発明による準備フラスコの部分的に断面とした概略側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 フラスコ
2 開口
3 濾過手段
4 ウェブ
5 外周部
6 濾過手段の中心
7 チューブ
8 フラスコを所定位置に保持するための手段
9 フラスコの上部
10 カバー
10a 領域
11 フラスコの下部
12 アーム
13 凹んだ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィクサーをベースとする細胞学的懸濁液を調製するためのフラスコであって、前記懸濁液に少なくとも部分的に浸漬された濾過手段(4)を装備するフラスコにおいて、
前記濾過手段(4)は濾過器を構成する過材料から成るウェブの形態をしており、
前記濾過手段(4)の周辺部(5)は前記フラスコに固定され、かつ前記濾過手段(4)の中心(6)は前記フラスコの開口(2)に向かって延在し、該濾過手段(4)を前記フラスコの所定位置に保持するための手段(8)と協働し、及び、ピペットを通じて前記懸濁液を抜き取り可能に構成されたチューブ(7)に連結されていることを特徴とするフラスコ。
【請求項2】
前記フラスコ(1)の前記上部(9)は、カバーを受容するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフラスコ。
【請求項3】
前記カバー(10)及び前記フラスコ(1)の対応する部分(9)は、相補ねじ手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載のフラスコ。
【請求項4】
前記カバー(10)は、前記チューブ(7)の対応する端部に面して、少なくとも1つの貫通可能且つ自己密封性部分(10a)を備え、
前記貫通可能且つ自己密封部分(10a)は、該部分を通じて抜き取りをする前記ピペットが貫通し得るものであるとともに、前記チューブ(7)と前記フラスコ(1)の残部との間の液密性を保証するために、前記チューブ(7)の端部を支持するように構成されていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のフラスコ。
【請求項5】
前記フラスコ(1)の前記下部はデカンテーション円錐を構成する手段(11)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項にフラスコ。
【請求項6】
前記フラスコに前記チューブ(7)を保持するための前記手段(8)が、前記フラスコ(1)と前記チューブ(7)との間に延在する位置保持アームを備えることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のフラスコ。
【請求項7】
前記アームの1つ(12)が、サンプリング・ブラシを前記濾過器内に落下させるために、手動操作ハンドルから前記サンプリング・ブラシを分離可能にするための当接手段(13)を備えることを特徴とする、請求項6に記載のフラスコ。
【請求項8】
前記アームの1つ(12)は、要素をサンプル採取させ、これにより、前記濾過器内に落下させるために、サンプリング・ブラシを組み立てるための突起を備えることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフラスコ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−521394(P2008−521394A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542052(P2007−542052)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002953
【国際公開番号】WO2006/058989
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507176459)
【Fターム(参考)】