説明

細胞画像表示装置およびコンピュータプログラム

【課題】簡便な作業にて細胞画像の編集を円滑に行うことができ、かつ、編集された細胞画像が効果的に表示され得る細胞画像表示装置およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】画像表示領域10に表示された細胞画像上に、表示の際の分岐点となるチェックポイントを設定することができる。表示時には、チェックポイント間において、細胞画像がスクロールされる。チェックポイントが設定されると、編集領域20の部分画像表示部21dに、チェックポイント近傍の部分画像が表示される。また、当該チェックポイントに表示が到達するまでに要される時間が、到達時間表示設定部21bに表示される。編集者は、到達時間表示設定部21bに表示された時間を見ることで、編集中の細胞画像の表示時間が、要求された時間内に収まるかを知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞画像を表示する細胞画像表示装置およびコンピュータに細胞画像を表示する機能を付与するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、認定血液検査技師の試験で使用される血液細胞を観察する動画像は、塗抹標本を光学顕微鏡で観察し、塗抹標本を移動させながら受験者に見せたい複数の細胞を順にビデオカメラで撮像することにより作成されていた。受験者は、再生された動画像を見て、患者の病状を解答する。この場合、患者の病状の把握には、病状把握に必要な複数の主要な細胞のみならず、その周辺の細胞の状況の把握も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−105695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記認定血液検査技師の試験に使用されている動画像の場合、決められた時間で病態の把握に必要な全ての主要な細胞並びにその周辺の画像を再生する必要がある。このためビデオカメラで顕微鏡を介して塗抹標本中の血液細胞を撮像する場合には、主要な細胞にピントを合わせて撮像し、顕微鏡で観察しながら塗抹標本を移動させることにより次の主要細胞まで移動させて撮像し、この主要細胞にピントを合わせ直して撮像する、といった作業を繰り返し行うことが必要になって非常に手間がかかり煩わしいものであった。また、ビデオカメラで撮像された動画像を最終的に試験問題として使用できるように、出題時間に合わせて編集する必要もあり、この編集作業も時間がかかり煩わしいものであった。
【0005】
本発明は、上記要求に鑑みてなされたものであり、所定の時間内に病態の把握に必要な複数の細胞を周辺の状況を含めて順番に表示可能な細胞画像を簡単に作成することのできる細胞画像表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明の他の目的は、所定の時間内に病態の把握に必要な複数の細胞を周辺の状況を含めて順番に表示可能な細胞画像表示装置およびコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る細胞画像表示装置は、表示部と、前記表示部に細胞画像を表示するとともに、操作入力に応じて前記細胞画像をスクロールさせる細胞画像表示手段と、前記表示部に表示された前記細胞画像上において指定位置の設定を受け付ける指定位置受付手段と、前記指定位置受付手段によって受け付けられた前記指定位置を遷移順に対応づけて保持する指定位置保持手段と、前記指定位置保持手段によって保持された最初の遷移順の前記指定位置から最後の遷移順の前記指定位置まで順次所定の速度で前記細胞画像を遷移させたときに、最後の遷移順の前記指定位置の細胞画像に遷移するまでに必要なトータル遷移時間を算出する遷移時間算出手段と、前記遷移時間算出手段によって算出された前記トータル遷移時間を表示する遷移時間表示手段とを備える。
【0008】
本態様に係る細胞画像表示装置によれば、表示された細胞画像上で指定位置を設定することにより、細胞画像を遷移させる際の分岐点を設定することができる。このとき、トータル遷移時間が表示されるため、編集の際、編集者は、細胞画像の総表示時間が、要求された時間内に収まるかを容易に確認することができる。
【0009】
第1の態様に係る細胞画像表示装置は、前記指定位置持手段に保持された前記指定位置の削除および遷移順の変更を受け付ける指定位置変更受付手段をさらに備える構成とされ得る。こうすると、細胞画像を遷移させる際の分岐点を容易に調整することができる。
【0010】
また、第1の態様に係る細胞画像表示装置は、前記遷移順に隣り合う2つの前記指定位置間において前記細胞画像を前記所定の速度で遷移させずに、これら2つの指定位置間において前記細胞画像を切り替えるための設定を受け付ける切替受付手段をさらに備える構成とされ得る。こうすると、編集者は、指定位置間において、細胞画像を遷移させるか、細胞画像を切り替えるかを選択できるため、より効果的な細胞画像の表示に繋がる編集を行うことができる。
【0011】
第1の態様に係る細胞画像表示装置において、前記遷移時間算出手段は、前記指定位置保持手段によって保持された最初の遷移順の前記指定位置から各遷移順の前記指定位置まで前記細胞画像をそれぞれ遷移させるに必要な指定位置遷移時間をさらに算出する構成とされ得る。このとき、前記遷移時間表示手段は、前記トータル遷移時間と前記指定位置遷移時間を、それぞれ対応する前記指定位置に関連づけて表示する。こうすると、編集者は、トータル遷移時間のほか、各指定位置の細胞画像が表示されるまでに要する時間を知ることができ、より円滑に編集作業を進めることができる。
【0012】
第1の態様に係る細胞画像表示装置において、細胞画像表示装置は、前記指定位置の周辺の部分画像を、対応する前記指定位置に関連づけて表示する部分画像表示手段をさらに備える構成とされ得る。この場合、前記部分画像と、前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間とが、対応する前記指定位置に関連付けて同時に表示されるようにするのが好ましい。これらの構成によれば、各指定位置に関連付けて、各指定位置周辺の部分画像が表示されるため、編集者は、各指定位置の設定状況を容易に把握することができる。
【0013】
第1の態様に係る細胞画像表示装置は、前記トータル遷移時間および前記指定位置遷移時間の修正を受け付ける遷移時間変更手段と、前記指定位置間における前記細胞画像の移動速度を、修正後の前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間に応じて変更する移動速度変更手段とをさらに備える構成とされ得る。この場合、前記移動速度変更手段は、前記修正が受けられた前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間に対応する前記指定位置と、この指定位置から遷移順が一つ前の前記指定位置との間の移動速度を、修正後の前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間に応じて変更するよう構成され得る。これらの構成によれば、編集者は、トータル遷移時間または指定位置遷移時間を、適宜、修正することにより、要求された時間内にトータル遷移時間を収めることができ、編集作業の簡便化を図ることができる。
【0014】
第1の態様に係る細胞画像表示装置は、前記指定位置における前記細胞画像の静止時間の設定を受け付ける静止時間受付手段をさらに備える構成とされ得る。こうすると、編集者は、長く見せたい細胞画像を所望の時間だけ静止させて表示させることができ、より効果的な細胞画像の表示に繋がる編集を行うことができる。
【0015】
第1の態様に係る細胞画像表示装置において、前記遷移時間算出手段は、前記指定位置保持手段によって保持された前記指定位置のうち遷移順が隣り合う2つの前記指定位置間の前記細胞画像の移動時間を算出する構成とされ得る。このとき、前記遷移時間表示手段は、前記移動時間を、それぞれ対応する前記指定位置に関連づけて表示する構成とされ得る。こうすると、編集者は、トータル遷移時間のほか、指定位置間を細胞画像が遷移するに要する時間を知ることができ、円滑に編集作業を進めることができる。
【0016】
本発明の第2の態様に係る細胞画像表示装置は、所定の広さの領域に亘って細胞画像を表示可能な細胞画像データと、前記領域上の複数のノード位置を、遷移順に対応づけて保持する表示設定テーブルとを格納した記憶部と、前記表示設定テーブルに保持された前記ノード位置の周辺の細胞画像を前記遷移順に従って表示するとともに、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像が所定の速度で遷移するよう、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示する画像表示手段とを含む。
【0017】
本態様に係る細胞画像表示装置によれば、各ノード位置を分岐点として細胞画像が動画として表示されるため、細胞画像を、所期の表示ルートに従って所定の時間内に効果的に表示させることができる。
【0018】
第2の態様に係る細胞画像表示装置において、前記表示設定テーブルは、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置間における前記細胞画像の遷移速度をさらに保持し、前記画像表示手段は、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像が、これら2つのノード位置間に設定された前記遷移速度で遷移するよう、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示するよう構成され得る。こうすると、細胞画像の遷移速度をノード位置間毎に変化させ得るため、細胞画像をより効果的に表示することができる。
【0019】
第2の態様に係る細胞画像表示装置において、前記表示設定テーブルは、前記ノード位置における前記細胞画像の静止時間をさらに保持し、前記画像表示手段は、前記ノード位置の周辺の前記細胞画像を、対応する静止時間だけ静止画として表示するよう構成され得る。こうすると、適宜、ノード位置において細胞画像が長く表示されるため、細胞画像を、より効果的に表示することができる。
【0020】
本発明の第3の態様は、コンピュータに細胞画像を表示するための機能を付与するコンピュータプログラムに関する。本態様に係るコンピュータプログラムは、所定の広さの領域に亘って細胞画像を表示可能な細胞画像データと、前記領域上の複数のノード位置を、遷移順に対応づけて保持する表示設定テーブルと、前記表示設定テーブルに保持された前記ノード位置の周辺の細胞画像を前記遷移順に従って表示するとともに、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像の表示を変化させる際、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示する細胞画像表示ステップとを含む。
【0021】
第3の態様に係るコンピュータプログラムにおいて、前記表示設定テーブルは、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置間の移動速度をさらに保持し、前記細胞画像表示ステップは、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像の表示を変化させる際、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を、これら2つのノード位置間の前記移動速度に応じた速度で変化する動画として表示するものとされ得る。
【0022】
また、第3の態様に係るコンピュータプログラムにおいて、前記表示設定テーブルは、前記ノード位置における前記細胞画像の静止時間をさらに保持し、前記細胞画像表示ステップは、前記ノード位置の周辺の前記細胞画像を、対応する静止時間だけ静止画として表示するものとされ得る。
【0023】
また、第3の態様に係るコンピュータプログラムによれば、第2の態様に係る細胞画像表示装置と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、所定の時間内に病態の把握に必要な複数の細胞を周辺の状況を含めて順番に表示可能な細胞画像を簡単に作成することのできる細胞画像表示装置を提供することができる。
【0025】
また、本発明によれば、所定の時間内に病態の把握に必要な複数の細胞を周辺の状況を含めて順番に表示可能な細胞画像表示装置およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係るバーチャルスライド作成装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るバーチャルスライド作成方法を説明する図である。
【図3】実施の形態に係る細胞画像表示装置の構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る細胞画像の編集画面の構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係る細胞画像の編集動作を説明する図である。
【図6】実施の形態に係る細胞画像の編集動作を説明する図である。
【図7】実施の形態に係る細胞画像の編集動作を説明する図である。
【図8】実施の形態に係る細胞画像の編集動作を説明する図である。
【図9】実施の形態に係る細胞画像の編集動作を説明する図である。
【図10】実施の形態に係る表示設定テーブルの構成を示す図である。
【図11】実施の形態に係るチェックポイント登録処理のフローチャートである。
【図12】実施の形態に係る表示設定テーブル変更処理のフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る表示設定テーブル変更処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る編集ファイルの格納に用いる画面を示す図である。
【図15】実施の形態に係るディスクに格納されたデータのファイル構造を説明する図である。
【図16】実施の形態に係る細胞画像の表示処理を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態に係る細胞画像の表示例を示す図である。
【図18】実施の形態に係る細胞画像の編集画面の変更例を示す図である。
【図19】実施の形態に係るチェックポイント登録処理の変更例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、実施の形態に係るバーチャルスライド作成装置の構成を示す図である。図示の如く、バーチャルスライド作成装置は、光学顕微鏡1と、コンピュータ2とを備えている。光学顕微鏡1は、対物レンズ101と、CCDカメラ102と、自動ステージ103と、コントロールユニット104を備えている。
【0030】
対物レンズ101は、スライド3に塗抹された血液細胞の拡大像を得るために設けられている。ここでは、倍率の異なる複数の対物レンズ101が配されている。CCDカメラ102は、対物レンズ101を介して、スライド3に塗抹された血液細胞の拡大像を撮像する。
【0031】
自動ステージ103は、スライド3を保持することが可能で、かつ、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向にスライド3を移動させ得るように構成されている。自動ステージ103にスライド3が保持された状態で、自動ステージ103をZ軸方向に移動させることにより、同一視野において、対物レンズ101による焦点位置が塗抹標本の深さ方向(Z軸方向)に変更される。これにより、同一視野で、且つ、異なる深さ位置の画像を、塗抹標本から、CCDカメラ102により撮像することができる。
【0032】
また、スライド3を保持した状態で自動ステージ103をX軸方向またはY軸方向に移動させることにより、塗抹標本に対する対物レンズ101の平面方向の視野が変更される。これにより、バーチャルスライド化しようとする平面方向全領域に亘って、対物レンズ101を介してCCDカメラ102により細胞画像を撮像することができる。
【0033】
コントロールユニット104は、自動ステージ103の位置制御を行うために設けられている。このコントロールユニット104は、ジョイスティック104aを含むとともに、ケーブルC3を介して自動ステージ103に接続されている。ジョイスティック104aが操作されることにより、自動ステージ103が、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動される。
【0034】
コンピュータ2は、ケーブルC2を介してコントロールユニット104に接続されているとともに、ケーブルC1を介してCCDカメラ102に接続されている。これ
により、コントロールユニット104を制御するための制御信号が、コンピュータ2 からケーブルC2を介してコントロールユニット104に伝送される。また、CCDカメラ102で撮像された画像のデータが、ケーブルC1を介してコンピュータ2 に伝送される。
【0035】
図3は、バーチャルスライドの作成方法を説明する概念図である。
【0036】
バーチャルスライドの作成時には、自動ステージ103に、塗抹標本がセットされる。塗抹標本には、スライドガラス表面上の所定領域に塗抹検体が塗り広げられている。次に、コンピュータ2に対し、各種パラメータの設定入力が行われる。ここでは、まず、バーチャルスライド化する範囲(標本検体エリア:X方向およびY方向の距離)が入力される。次に、コンピュータ2に対し、画像タイリングのための連続視野間の重なり率(図2の(2)の重なり部分の割合)が入力される。重なり率は、10〜40%の範囲で設定される。最後に、コンピュータ2に対し、フォーカス合成のための焦点幅(Z方向の距離)と刻み幅とが入力される。この焦点幅と刻み幅の設定により、同一視野で取り込む画像の枚数が決定される。
【0037】
こうして、事前処理が行われた後、バーチャルスライドの作成開始指示が入力されると、コンピュータ2による制御により、バーチャルスライドの作成処理が実行される。まず、図2の(1)に示すように、同一視野に対し、上記設定入力により決定された枚数分の画像が、焦点位置を深さ方向に変化させながら、CCDカメラ102により撮像され、コンピュータ2に取り込まれる。コンピュータ2は、取り込んだ画像をもとに、フォーカス合成画像を作成する。ここで、フォーカス合成とは、同一視野における焦点位置の異なる複数の画像について、各画像からピントの合っている画素を抽出し、これらを合成することにより、全体としてピントの合った1つの画像を作成する処理をいう。かかるフォーカス合成を、同一視野において取り込まれた全画像に対して行うことにより、たとえば、図2 に示すように、1360dot×1024dotの解像度のフォーカス合成画像が作成される。このフォーカス合成画像の画像フォーマットには、たとえばTIFF形式が用いられる。
【0038】
コンピュータ2は、自動ステージをX、Y方向に移動させて撮像視野を変えながら、以上の処理を繰り返すことで、上記設定入力により設定された範囲の全体についてフォーカス合成画像を作成する。
【0039】
こうして、設定範囲の全体についてフォーカス合成画像が作成されると、コンピュータ2は、図2の(2)に示すように、上記設定入力により設定された重なり率に従って、フォーカス合成画像間の画像タイリングを行う。このとき、コンピュータ2は、隣り合うフォーカス合成画像の重なり部分を、公知のパターンマッチング処理によって認識し、夫々の画像の重なり部分を互いに合致させる。これにより、つなぎ目が目立たないように両画像が合成される。こうして、全てのフォーカス合成画像について画像タイリングが行われることにより、バーチャルスライドが完成する。このバーチャルスライドの画像フォーマットとしては、たとえばBMP形式が用いられる。以上の処理で作成されたバーチャルスライドのサイズは、220,000dot×134,000dot程度である。
【0040】
こうして作成されたバーチャルスライドは、サーバ等に格納され、クライアントコンピュータ等の各種コンピュータにより読み出されて利用される。本実施の形態では、上記バーチャルスライドが、編集用のコンピュータ(請求項1〜10に記載の細胞画像表示装置に相当)に取り込まれ、認定血液検査技師の試験に用いられる細胞画像ファイルが作成される。
【0041】
図3は、編集用コンピュータ4の構成を示す図である。
【0042】
編集用コンピュータ4は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、ディスクドライブ装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410を有する。
【0043】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0044】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク404には、認定血液検査技師試験用の細胞画像ファイルを編集するためのプログラムがインストールされている。この他、編集用コンピュータには、細胞画像の編集に用いられるバーチャルスライドデータが、外部から取り込まれ、ハードディスク404に格納されている。
【0045】
ディスクドライブ装置405は、DVDドライブ等によって構成されており、記録媒体からコンピュータプログラムやデータを読み出すことができ、また、記録媒体からコンピュータプログラムやデータを書き込むことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部408が接続されており、操作者が入力部408を使用することにより、編集用コンピュータ4にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース410により、ネットワークに対してデータの送受信が可能となる。
【0046】
以下、図4〜図15を参照して、細胞画像の編集処理について説明する。
【0047】
図4は、編集画面の構成を示す図である。この編集画面は、上記ハードディスク404にインストールされた細胞画像編集用のプログラムを起動し、さらに、所望のバーチャルスライドデータを選択することにより表示される。
【0048】
同図(a)に示す如く、編集画面は、画像表示領域10と、編集領域20に大きく分けられている。画像表示領域10には、細胞画像が表示される。また、画像表示領域10には、現在表示中の細胞画像が、バーチャルスライドのどのあたりの部分を拡大表示したものであるかが分かるよう、ナビゲータ30が重ねて表示される。
【0049】
編集領域20は、細胞画像の編集に用いる領域である。この領域は、複数のチェックポイント表示領域(以下、「CP表示領域」という)21と、一つのチェックポイント統括領域(以下、「CP統括領域」という)22を備えている。
【0050】
CP表示領域21には、編集者によりチェックポイントが設定される毎に、上から順に、設定されたチェックポイントの内容が表示される。同図(a)では、CP表示領域21が5つ示されているが、6つ以上のチェックポイントを設定することも可能である。すなわち、5つ目のチェックポイントが設定されると、上から2段目〜5段目のCP表示領域21の表示が上に1段ずつスクロールし、最下段に空白のCP表示領域21が現れる。6つ目以降のチェックポイントを設定したときも、これと同様に、CP表示領域21がスクロールアップし、空白のCP表示領域21が現れる。
【0051】
CP表示領域21の構成は、同図(b)のようになっている。図示の如く、CP表示領域21は、移動/切替ボタン21aと、到達時間表示設定部21bと、待ち時間表示設定部21cと、部分画像表示部21dと、順位表示部21eとから構成されている。また、5つのCP表示領域21の横にスクロールバー21fが配されている。スクロールバー21fは、5つ以上のチェックポイントが設定された場合に、CP表示領域21を上下にスクロールするために用いられる。
【0052】
CP編集領域22の構成は、同図(c)のようになっている。図示の如く、CP編集領域22には、削除タブ22aと移動タブ22eが選択可能に設定されている。同図(c)には、削除タブ22aが選択されたときの構成が示されている。削除タブ22aには、選択削除ボタン22bと、削除範囲指定部22cと、一括削除ボタン22dが配されている。
【0053】
以下、図5〜図9を参照して実際の編集動作例を示しながら、画像表示領域10と編集領域20の機能について説明する。
【0054】
図5は、チェックポイント設定前の初期画面を示す図である。また、画像表示領域10に表示された細胞画像は、キーボード上の上下左右の矢印キーにより、上下左右にスクロールさせることができる。なお、図示の如く、ナビゲータ30には、バーチャルスライドの全検体領域31aと、全検体領域上における現在表示中の細胞画像の位置31bが示されている。
【0055】
図6は、最初にチェックポイントが設定されたときの画面を示す図である。編集者は、ポインタ40を移動させ、チェックポイントに設定したい位置にてマウスを右クリックする。これにより、この位置が第1チェックポイントに設定され、編集領域20の最上段のCP表示領域21に対応する表示が行われる。
【0056】
図9(a)は、第1チェックポイントが設定されたときのCP表示領域21の表示例を示す図である。図示の如く、最上段のCP表示領域21には、表示順位部21eに、最初の表示順を示す“1”が表示される。また、移動/切替ボタン21aは、“切替”に設定される。さらに、到達時間表示設定部21bは、“0”の状態でマスクされ、待ち時間表示設定部21cには“0”が設定される。また、部分画像表示部21dには、第1チェックポイント直近から切り出された部分画像が表示される。
【0057】
移動/切替ボタン21aは、一つ前のチェックポイントから当該チェックポイントへとどのような形態で表示を流すかを設定するためのボタンである。移動/切替ボタン21aが“移動”であると、一つ前のチェックポイントから当該チェックポイントへと細胞画像が所定の速度でスクロールされるよう表示される。移動/切替ボタン21aが“切替”であると、一つ前のチェックポイントから当該チェックポイントへと細胞画像が瞬時に切り替わるよう表示される。編集者は、“移動”と“切替”を任意に選択可能である。同図(a)では、一つ前のチェックポイントがないため、移動/切替ボタン21aは“切替”に設定される。
【0058】
到達時間表示設定21bは、最初に細胞画像が表示されてから、当該チェックポイントの細胞画像が表示されるまでに要する時間(以下、「CP到達時間」という)が表示される。編集者は、移動/切替ボタン21aが“移動”である場合に、CP到達時間を変更できる。CP到達時間が変更されると、それに応じて、一つ前のチェックポイントから当該チェックポイントへと細胞画像がスクロールされる速度が変更される。同図(a)では、最初のチェックポイントであるため、到達時間表示設定部21bは、“0”に状態でマスクされている。
【0059】
待ち時間表示設定部21cは、当該チェックポイントにおいて、細胞画像を静止画として表示させ続ける時間(以下、「CP待ち時間」という)が表示される。待ち時間表示設定部21cには、デフォルト値として“0”が設定される。編集者は、CP待ち時間を任意に変更可能である。同図(a)では、待ち時間表示設定部21cに、デフォルト値“0”が表示されている。
【0060】
図7は、2番目のチェックポイントが設定されたときの画面を示す図である。この画面では、図6の場合に比べ、画像表示領域10に表示される細胞画像が右上方向にややスクロールされている。編集者は、ポインタ40を、チェックポイントに設定したい位置に移動させ、マウスを右クリックする。これにより、この位置が第2チェックポイントに設定され、編集領域20の上から2段目のCP表示領域21に対応する表示が行われる。
【0061】
図9(b)は、第2チェックポイントが設定されたときのCP表示領域21の表示例を示す図である。図示の如く、上から2段目のCP表示領域21には、表示順位部21eに、2番目の表示順を示す“2”が表示される。また、移動/切替ボタン21aは、“移動”に設定される。さらに、到達時間表示設定部21bには、“4秒”が表示され、待ち時間表示設定部21cには“0”が設定される。また、部分画像表示部21dには、第2チェックポイント直近から切り出された部分画像が表示される。
【0062】
2番目以降のチェックポイントが設定されると、移動/切替ボタン21aは、デフォルトで“移動”に設定される。この場合、第1チェックポイントから当該第2チェックポイントへと細胞画像が所定の速度でスクロールされるよう表示される。第1チェックポイントから当該第2チェックポイントへと細胞画像が瞬時に切り替わるように表示させたい場合、編集者は、移動/切替ボタン21aを“切替”に変更する。
【0063】
図9(b)において、到達時間表示設定21bには、当該第2チェックポイントにおけるCP到達時間が“4秒”であることが表示される。編集者により、CP到達時間が変更されると、それに応じて、第1チェックポイントから第2チェックポイントへと細胞画像がスクロールされる速度が変更される。たとえば、第2チェックポイントのCP到達時間が“2秒”に変更されると、第1チェックポイントから第2チェックポイントへと細胞画像がスクロールされる速度が2倍になる。なお、CP到達時間および細胞画像をスクロールさせる速度の算出方法については、追って、図10を参照して説明する。
【0064】
図9(b)において、待ち時間表示設定部21cには、デフォルト値として“0”が設定される。この場合、次に第3チェックポイントが設定されると、第2チェックポイントの細胞画像が表示された後、即座に、第3チェックポイントに向けて細胞画像がスクロールされる。編集者は、CP待ち時間を任意に変更できる。たとえば、第2チェックポイントのCP待ち時間が“3秒”に変更されると、第2チェックポイントの細胞画像が静止画として3秒間表示された後に、第3チェックポイントに向けて細胞画像がスクロールされるようになる。
【0065】
図8は、3番目のチェックポイントが設定されたときの画面を示す図である。この画面では、図7の場合に比べ、画像表示領域10に表示される細胞画像が左方向に大きくスクロールされている。編集者は、ポインタ40を、チェックポイントに設定したい位置に移動させ、マウスを右クリックする。これにより、この位置が第3チェックポイントに設定され、編集領域20の上から3段目のCP表示領域21に対応する表示が行われる。
【0066】
図9(c)は、第3チェックポイントが設定されたときのCP表示領域21の表示例を示す図である。なお、ここでは、2段目のCP表示領域にフレームFが示されているが、第3チェックポイント設定時には、このフレームFは表示されない。
【0067】
図示の如く、上から3段目のCP表示領域21には、表示順位部21eに、3番目の表示順を示す“3”が表示される。また、移動/切替ボタン21aは、“移動”にデフォルト設定される。さらに、到達時間表示設定部21bには、“14秒”が表示され、待ち時間表示設定部21cには“0”が設定される。また、部分画像表示部21dには、第3チェックポイント直近から切り出された部分画像が表示される。
【0068】
ここでは、CP到達時間が“14秒”であるため、第2チェックポイントから第3チェックポイントへと細胞画像がスクロールされるのに10秒掛かることが分かる。編集者により、第3チェックポイントのCP到達時間が変更されると、それに応じて、第2チェックポイントから第3チェックポイントへと細胞画像がスクロールされる速度が変更される。
【0069】
なお、編集者は、既に設定したチェックポイントを削除し、または、チェックポイントの表示順を変更することができる。たとえば、図8に示す状態から、ポインタ40を上から2段目のCP表示領域21に移動させて、マウスを右クリックすると、上から2段目のCP表示領域21が編集候補に設定され、図9(c)に示すように、当該CP表示領域21にフレームが設定される。この状態で、図4(c)のCP編集領域22の選択削除ボタン22bが押されると、第2チェックポイントが表示対象から削除される。この場合、削除前に表示順が3番目であった第3チェックポイントの表示順が2番目に変更され、上から3段目にあったCP表示領域21が上から2段目に移動される。これに応じて、削除前に表示順が3番目であった第3チェックポイントのCP到達時間が更新され、到達時間表示設定部21bの表示が変更される。
【0070】
連続する複数のチェックポイントを削除したい場合、編集者は、削除したいチェックポイントの範囲を、図4の削除範囲指定部22cに入力して、一括削除ボタン22dを押す。これにより、選択された範囲のチェックポイントが削除される。たとえば、図8の状態で、削除範囲指定部22cに“2〜3”と入力された後、一括削除ボタン22dが押されると、表示順が2番目、3番目である第2および第3のチェックポイントが削除される。このとき、編集画面は、図6の状態になる。
【0071】
また、編集者は、チェックポイントの表示順を変更することもできる。たとえば、図9(c)の状態で、表示順が3番目のCP表示領域を選択した後、図4(c)の移動タブ22eを選択すると、CP編集領域22にアップ/ダウンキーが表示される。編集者は、表示されたアップ/ダウンキーをマウスにより操作することにより、3番目のチェックポイントの表示順を前後させることができる。これに応じて、上から3段目にあったCP表示領域21が上下に移動され、また、当該CP表示領域21の到達時間表示設定部21bに表示されているCP到達時間が、表示順の変更に伴って変更される。
【0072】
図10は、編集された細胞画像の表示を司る表示設定テーブルの構成を示す図である。表示設定テーブルは、チェックポイントの設定・変更に応じて更新される。
【0073】
図示の如く、表示設定テーブルには、表示順“i”と、位置“Xi”、“Yi”と、距離“Li”と、移動時間“Ti”と、移動速度“Si”と、表示時間“Di”と、到達時間“Ai”が、各チェックポイントに対応づけて保持されている。なお、ここでは、N個のチェックポイントが編集者により設定された状態が示されている。
【0074】
表示順iは、チェックポイントの表示順を示す。表示順iの内容は、図4(b)の表示順位部21eに表示される。位置Xi、Yiは、図5に示すバーチャルスライドの全検体領域31a上におけるチェックポイントの位置を示す。位置Xi、Yiは、全検体領域31aの左上隅を原点としたX−Y座標系の座標点として規定される。
【0075】
距離Liは、位置Xi−1、Yi−1と位置Xi、Yiとの距離を示す。編集用コンピュータ4は、チェックポイントの設定・変更時に、適宜、位置Xi−1、Yi−1と位置Xi、Yiとの距離を算出し、算出結果をLiに書き込む。
【0076】
移動時間Tiは、表示順がi−1番目のチェックポイントからi番目のチェックポイントまで細胞画像をスクロールされるのに要する時間である。移動時間Tiは、距離Liを移動速度Siで割ることにより求められる。移動速度Siは、表示順がi−1番目のチェックポイントからi番目のチェックポイントまで細胞画像をスクロールさせる速度である。チェックポイント設定時、移動速度Siにはデフォルト値が設定される。
【0077】
表示時間Diは、表示順がi番目のチェックポイントの細胞画像を静止画像として表示させる時間である。表示時間Diの内容は、表示順がi番目のチェックポイントに対応するCP表示領域21の待ち時間表示設定部21c(図4(b)参照)に、CP待ち時間として表示される。チェックポイント設定時、表示時間Diにはデフォルト値“0”が設定される。
【0078】
到達時間Aiは、表示順が1番目のチェックポイントの細胞画像が表示されてから表示順がi番目のチェックポイントの細胞画像が表示されるまでに要する時間である。到達時間Aiは、到達時間Ai−1に、表示時間Di−1と移動時間Tiを加算することにより求められる。到達時間Aiの内容は、表示順がi番目のチェックポイントに対応するCP表示領域21の到達時間表示設定部21b(図4(b)参照)に、CP到達時間として表示される。
【0079】
なお、移動/切替ボタン21aが“切替”に設定されたチェックポイントの移動時間Tiは“0”に設定され、移動速度Siは“NULL”に設定される。
【0080】
また、到達時間表示設定部21bの内容が編集者により書き換えられて、i番目のチェックポイントの到達時間Aiが変更されると、当該チェックポイントの移動時間Tiと移動速度Siが書き換えられる。すなわち、到達時間Aiが時間Δtだけ減じられると、移動時間TiがΔtだけ減じられてTi−Δtとなる。そして、移動速度Siが、距離LiとTi−Δtにより、Si=Li/(Ti−Δt)により求められて、書き換えられる。また、同時に、到達時間Aiの変更に応じて、表示順がi+1番目以降のチェックポイントの到達時間Ai+1〜Anが変更される。
【0081】
また、待ち時間表示設定部21cの内容が編集者により書き換えられて、i番目のチェックポイントの表示時間Diが変更されると、その次のチェックポイントの到達時間Ai+1が書き換えられる。すなわち、表示時間Diが時間Δtだけ増加されてDi+Δtとなると、到達時間Ai+1が、Ai+1=Ai+(Ti+1)+(Di+Δt)により求められて、書き換えられる。また、同時に、到達時間Ai+1の変更に応じて、表示順がi+2番目以降のチェックポイントの到達時間Ai+1〜Anが変更される。
【0082】
図11は、チェックポイント登録時の処理フローチャートである。
【0083】
編集処理が開始されると、図5に示すように、細胞画像を含む編集画面が、編集用コンピュータ4の表示部409に表示され(S101)、さらに、変数iに1がセットされる(S102)。しかる後、キーボードの矢印キーが操作されて細胞画面の移動指示が入力されると(S103)、それに応じて、図5の画像表示領域10に表示された細胞画像がスクロールされる(S104)。その後、細胞画像上の編集者の所望の位置にポインタ40が移動されてマウスが右クリックされると(S105:YES)、ポインタ40により指示された位置がチェックポイントに設定され、その位置の座標値Xi、Yiが取得される。そして、取得された座標値Xi、Yiが、図10に示す座標設定テーブルの表示順iが番目の欄に登録される(S106)。
【0084】
こうして、i番目(ここでは、i=1)のチェックポイントが設定されると、図10の表示設定テーブルの移動速度Siと表示時間Diにデフォルト値が登録される。そして、変数iが1であり(S108:NO)、今回のチェックポイントの設定が第1回目であれば、距離Li、移動時間Ti、到達時間Aiに“0”が登録される。
【0085】
このようにして、第1回目のチェックポインについて、表示設定テーブルへの登録が終了すると、表示設定テーブルに登録されたi番目(ここでは、i=1)の表示時間Diと到達時間Aiが、それぞれ、表示順がi番目(ここでは、i=1)のCP表示領域21に表示される。さらに、座標値Xi、Yiの近傍領域を切りだした部分画像が、表示順がi番目のCP表示領域21に併せて表示される。
【0086】
しかる後、編集処理の確定指示が入力されなければ(S115:NO)、変数iに1が加算され(S116)、S103に戻って、次のチェックポイントの設定処理を待つ。その後、たとえば、図7の編集画面上において、編集者がチェックポイントを設定すると(S105:YES)、上記と同様、S106、S107において、今回のチェックポイントに関する位置Xi、Yiが表示設定テーブルに登録され、表示設定テーブルの移動速度Siと表示時間Diにデフォルト値が登録される。
【0087】
しかる後、変数iが1を超えているかが判別される(S108)。今回のチェックポイントの設定は2回目であるので、ここでは、処理がS110へと進められる。S110では、上記のとおり、位置Xi−1、Yi−1と位置Xi、Yiとの距離が求められ、求めた値が、表示設定テーブルの距離Liに登録される。また、この距離Liと、移動速度Siをもとに、Li/Siの演算が求められ、演算結果が、表示設定テーブルの移動時間Tiに登録される。さらに、表示順が一つ前のチェックポイントの到達時間Ai−1および表示時間Di−1と、今回設定されたチェックポイントの移動時間Tiとに基づいて、(Ai−1)+Ti+Di−1の演算が行われ、演算結果が、表示設定テーブルの到達時間Aiに登録される。
【0088】
このようにして、第2回目のチェックポインについて、表示設定テーブルへの登録が終了すると、表示設定テーブルに登録されたi番目(ここでは、i=2)の表示時間Diと到達時間Aiが、それぞれ、表示順がi番目(ここでは、i=2)のCP表示領域21に表示される。さらに、座標値Xi、Yiの近傍領域を切りだした部分画像が、表示順がi番目のCP表示領域21に併せて表示される。
【0089】
当該2回目のチェックポイントに対する処理と同様の処理が、編集処理の確定指示が入力されるまでの間、チェックポイントの設定の都度、繰り返し実行される。こうして、設定されたチェックポイントの数だけ、表示設定テーブルに、各種データの登録が行われる。
【0090】
次に、図12および図13を参照して、設定されたチェックポイントを修正する際の処理について説明する。なお、図12、図13の処理は、図11の処理に並行して行われる。
【0091】
図12(a)は、到達時間表示設定部21b(図4(b)参照)に表示されているCP到達時間が編集者により変更されたときの処理を示す図である。
【0092】
表示順がk番目のチェックポイントのCP到達時間が編集者により変更されて、到達時間Akの変更が受け付けられると(S201:YES)、この変更に応じて、表示設定テーブルの到達時間Akが書き換えられ、変更後の到達時間Akが到達時間表示設定部21cに表示される(S202)。そして、変更された到達時間Akをもとに移動時間Tkが変更され(S203)、さらに、変更された移動時間Tkをもとに移動速度Skが変更される(S204)。たとえば、編集者による操作により、到達時間Akが時間Δtだけ減じられると、移動時間TkがΔtだけ減じられてTk−Δtとなる。そして、移動速度Skが、距離LkとTk−Δtにより、Sk=Lk/(Tk−Δt)により求められて、書き換えられる。
【0093】
さらに、到達時間Akの変更に応じて、表示順がk+1番目から最後(n番目)のチェックポイントの到達時間Ak+1〜Anが変更される(S205)。しかる後、変更された到達時間Ak+1〜Anに対応するCP到達時間の表示が、対応するCP表示領域21において変更される(S206)。
【0094】
図12(b)は、待ち時間表示設定部21c(図4(b)参照)に表示されているCP待ち時間が編集者により変更されたときの処理を示す図である。
【0095】
表示順がk番目のチェックポイントのCP待ち時間が編集者により変更されて、表示時間Dkの変更が受け付けられると(S211:YES)、この変更に応じて、表示設定テーブルの表示時間Dkが書き換えられ、変更後の表示時間Dkが、待ち時間表示設定部21cに表示される(S212)。そして、変更された表示時間Dkをもとに到達時間Ak+1が変更される(S213)。たとえば、編集者による操作により、表示時間Dkが時間Δtだけ増加されてDk+Δtとなると、到達時間Ak+1が、Ak+1=Ak+(Tk+1)+(Dk+Δt)により求められて、書き換えられる。
【0096】
さらに、到達時間Ak+1の変更に応じて、表示順がk+2番目から最後(n番目)のチェックポイントの到達時間Ak+2〜Anが変更される(S214)。しかる後、変更された到達時間Ak+1〜Anに対応するCP到達時間の表示が、対応するCP表示領域21において変更される(S215)。
【0097】
図13(a)は、CP編集領域22(図4(c)参照)に対する操作により、チェックポイントが削除され、あるいは、チェックポイントの表示順が変更されたときの処理を示す図である。
【0098】
編集者からの操作により、チェックポイントの削除が受け付けられ(S221:YES)、あるいは、チェックポイントの表示順の変更が受け付けられると(S222:YES)、これに応じて、表示設定テーブルにおける各チェックポイントの順位が調整される(S223)。
【0099】
すなわち、表示順がk番目のチェックポイントが削除されると、表示順がk+1番目〜n番目のチェックポイントに対応づけられたデータが、それぞれ1つずつ、表示順が早い方向に繰り上げられる。なお、この際、同時に、図11の処理フローにおける変数iの値が、1つ減じられる。また、表示順がk番目〜k+2番目のチェックポイントが一括削除されると、表示設定テーブルにおいて、表示順がk+3番目〜n番目のチェックポイントに対応づけられたデータが、それぞれ3つずつ、表示順が早い方向に繰り上げられる。なお、この際、同時に、図11の処理フローにおける変数iの値が、3つ減じられる。
【0100】
また、表示順がk番目のチェックポイントの表示順を一つ早める操作が編集者によりなされると、表示設定テーブルにおいて、表示順がk番目のチェックポイントに対応づけられたデータが、1つだけ、表示順が早い方向に繰り上げられ、表示順がk−1番目のチェックポイントに対応づけられたデータが、1つだけ、表示順が遅い方向に繰り下げられる。また、表示順がk番目のチェックポイントの表示順を一つ遅らせる操作が編集者によりなされると、表示設定テーブルにおいて、表示順がk番目のチェックポイントに対応づけられたデータが、1つだけ、表示順が遅い方向に繰り上げられ、表示順がk+1番目のチェックポイントに対応づけられたデータが、1つだけ、表示順が早い方向に繰り上げられる。
【0101】
こうして、表示設定テーブルの調整が行われた後、調整後の表示設定テーブルに保持された全てのチェックポイントについて、距離Lk、移動時間Tk、到達時間Akの更新が行われる(S224)。そして、更新後の到達時間Akが、対応する到達時間表示設定部21b(図4(b)参照)に表示され(S225)、さらに、各CP表示領域21の部分画像表示部21dに表示される部分画像の更新が行われる(S226)。
【0102】
図13(b)は、移動/切替ボタン21a(図4(b)参照)が、“移動”から“切替”に変更されたときの処理を示す図である。
【0103】
編集者からの操作により、表示順がk番目のチェックポイントについて、移動/切替ボタン21aが“移動”から“切替”に変更されると(S231:YES)、これに応じて、表示設定テーブルにおける移動時間Tkが“0”に変更され、移動速度Skが“NULL”に変更される(S232)。そして、移動時間Tkが“0”に変更されたことに基づき、移動設定テーブル上の到達時間Akが書き換えられる(S232)。
【0104】
さらに、到達時間Akの変更に応じて、表示順がk+1番目から最後(n番目)のチェックポイントの到達時間Ak+1〜Anが変更される(S234)。しかる後、変更された到達時間Ak〜Anに対応するCP到達時間の表示が、対応するCP表示領域21において変更される(S235)。
【0105】
図13(c)は、移動/切替ボタン21a(図4(b)参照)が、“切替”から“移動”に変更されたときの処理を示す図である。
【0106】
編集者からの操作により、表示順がk番目のチェックポイントについて、移動/切替ボタン21aが“切替”から“移動”に変更されると(S241:YES)、これに応じて、表示設定テーブルにおける移動速度Skにデフォルト値が設定される(242)。さらに、設定された移動速度Skと距離Tiに基づいて、移動時間Tkが、Tk=Ti/Siの演算により求められ、求めた移動時間Tkが移動設定テーブルに登録される(S243)。そして、移動時間Tkが変更されたことに基づき、移動設定テーブル上の到達時間Akが書き換えられる(S244)。
【0107】
さらに、到達時間Akの変更に応じて、表示順がk+1番目から最後(n番目)のチェックポイントの到達時間Ak+1〜Anが変更される(S245)。しかる後、変更された到達時間Ak〜Anに対応するCP到達時間の表示が、対応するCP表示領域21において変更される(S245)。
【0108】
以上のように、チェックポイントの設定・削除・変更と、各チェックポイントにおけるCP到達時間の修正を行うことにより、編集者は、細胞画像の総表示時間が、所望の時間内に収まるように、細胞画像の編集を行うことができる。ここで、細胞画像の総表示時間は、画像編集領域20の最後の表示順のCP表示領域21において、到達時間表示設定部21bに表示された時間(CP到達時間)を見ることにより知ることができる。たとえば、図9(c)の場合、画像細胞の総表示時間は、最下段のCP表示領域21の到達時間表示設定部21bに表示された“0分14秒”である。
【0109】
また、編集者は、表示開始から各チェックポインの細胞画像が表示されるまでに要する時間を、対応するCP表示領域21中の到達時間表示設定部21bに表示された時間(CP到達時間)を見ることにより知ることができる。また、チェックポイント間の移動時間についても、対応する2つのCP表示領域21中の到達時間表示設定部21bに表示された時間(CP到達時間)を減算することにより、容易に知ることができる。そして、編集者は、所定のチェックポイントの表示に到達するまでの時間を変えたい場合には、そのチェックポイントに対応するCP表示領域21中の到達時間表示設定部21bに表示された時間を適宜修正すれば良い。この修正により、編集者は、細胞画像の総表示時間を所望の時間内に収めることができる。
【0110】
また、このように、所定のチェックポイントについて、CP到達時間を修正すると、そのチェックポイントと、これより一つ表示順が早いチェックポイントとの間の細胞画像のスクロール時間を、修正した時間に応じて変えることができる。よって、編集者は、チェックポイント間の細胞画像の遷移をゆっくり見せたいか、早く見せたいかに応じて、対応するチェックポイントのCP到達時間を調整すれば良い。
【0111】
また、チェックポイント間の細胞画像の遷移を見せる必要がないときは、移動/切替ボタン21aを“切替”に設定すれば良く、また、あるチェックポイントの細胞画像を静止画として長く見せたい場合は、対応するチェックポイントの待ち時間表示設定部21cに所望の時間を入力すれば良い。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、簡便な作業により円滑に、細胞画像の編集を行うことができる。なお、細胞画像の編集を確定する後に、編集者は、所定の指示入力を行うことにより、現在編集中の細胞画像を画面上に再生させることができる。この場合、編集用コンピュータ2は、図16に示す処理フローに従った表示用プログラムを実行する(詳細は後述する)。これにより、編集者は、確定処理の前に、編集した細胞画像の出来栄えを確認することができる。
【0113】
以上のようにして、細胞画像の編集が行われた後、確定処理が行われると、編集に用いたバーチャルスライドデータ、移動設定テーブル、および、編集された細胞画像をバーチャルスライドデータと移動設定テーブルに基づいて表示するための表示用プログラムとを含む細胞画像ファイルが作成され、作成された細胞画像ファイルが編集用コンピュータ2のハードディスク404に格納される。
【0114】
編集者は、こうして、同一または異なるバーチャルスライドデータに基づいて、細胞画像ファイルを複数作成し、作成した細胞画像ファイルを、随時、編集用コンピュータ2のハードディスクに蓄積する。
【0115】
しかる後、編集者は、蓄積した細胞画像ファイルを適宜組み合わせて、一つの試験用のプレゼンテーションファイルを作成する。図14は、試験用のプレゼンテーションファイルの作成画面を示す図である。
【0116】
同図中、51は、ファイル設定領域である。編集者は、参照ボタン52を操作することにより、ファイル設定領域51に、所望のファイルを設定することができる。なお、ファイル設定領域51には、上記の編集作業により作成された細胞画像ファイルの他、試験の開始や問題文等を表示するための静止画ファイルを含めることができる。ファイル設定領域51に設定されたファイルは、プレゼンテーションの際、最上段に設定されたファイルから下方向へと順次再生され表示される。
【0117】
ファイル設定領域51に静止画ファイルが設定された場合、そのファイルの表示時間を、表示時間設定部53により設定することができる。設定されたファイルが細胞画像ファイルである場合、表示時間設定部53はマスクされる。また、表示時間設定部53に表示時間が設定されると、表示開始から、対応するファイルの表示が終了するまでの時間が、終了予定時間表示部54に表示される。
【0118】
設定されたファイルが静止画ファイルである場合、終了予定時間表示部54には、表示時間設定部53に設定された時間を累計した時間が表示される。設定されたファイルが上述の細胞画像ファイルである場合、終了予定時間表示部54には、その直前の終了予定時間に、当該細胞画像ファイルの総表示時間を加算した時間が表示される。ここで、細胞画像ファイルの総表示時間は、表示順が最後のチェックポイントにおけるCP到達時間に、当該チェックポイントにおけるCP待ち時間を加算した時間である。
【0119】
なお、同図には、ファイル設定領域51が5つだけ示されているが、6つ以上のファイルを設定することも可能である。すなわち、5つ目のファイルが設定されると、上から2段目から5段目の4つのファイル設定領域51の表示が上に1段ずつスクロールし、最下段に空白のファイル設定領域51が現れる。このとき同時に、対応する表示時間および終了予定時間が1段ずつスクロールアップする。6つ目以降のファイルが設定されたときも、これと同様に、ファイル設定領域51がスクロールアップし、空白のファイル設定領域51が現れる。5つ以上のファイルが設定された場合には、スクロールバー55により、ファイルと表示時間、終了予定時間を上下にスクロールさせることができる。
【0120】
設定された各ファイルは、対応するファイル設定領域51をダブルクリックすることにより、表示させることができる。これにより、編集者は、どのようなファイルが設定されているのかを、確認することができる。
【0121】
こうして、試験用のプレゼンテーションファイルに組み込むべきファイルの設定が完了すると、編集者は、編集用コンピュータ2のディスクドライブ装置405に記録可能なDVDをセットした後、開始ボタン57を操作する。これにより、ファイル設定領域51に設定されたファイルが、DVDに書き込まれる。
【0122】
図15は、DVD5に対するプレゼンテーションファイルの書き込みを示す概念図である。図示の如く、細胞画像ファイルは、バーチャルスライドデータと、表示設定テーブルと、表示用プログラムを含んでいる。各ファイルは、管理ファイルによって管理され、プレゼンテーション時には、ファイル1からファイルnへと順次再生され表示される。
【0123】
図15に示すDVD5が、試験提示用のクライアントコンピュータにロードされると、同図に示すプレゼンテーションファイル(試験提示用ソフトウエア)が、クライアントコンピュータのハードディスクにインストールされる。なお、クライアントコンピュータは、図3と同様の構成を有するパーソナルコンピュータとされる。
【0124】
こうしてインストールされた試験提示用ソフトウエアがクライアントコンピュータにより起動されると、所定の初期画面が、クライアントコンピュータの表示部に表示される。試験提供者は、この初期画面上において、再生指示を入力することで、プレゼンテーションファイルによるプレゼンテーションを実行することができる。この際、たとえば、クライアントコンピュータにプロジェクタを接続することにより、大画面によるプレゼンテーションを行える。プレゼンテーションは、図14にて説明したファイルの設定順序に従って行われる。
【0125】
図16は、細胞画像ファイルが再生される際の処理を示すフォローチャートである。この処理は、図15に示す表示用プログラムが、クライアントコンピュータにより実行されることによって行われる。
【0126】
細胞画像ファイルの再生が開始されると、変数iに1がセットされ(S301)、表示設定テーブルから、最初のチェックポイントの位置X1、Y1と、表示時間D1が読み出される(S302)。そして、バーチャルスライドデータから、位置X1、Y1を中心とする所定サイズの細胞画像のデータが取得され、取得された細胞画像データに基づく表示が行われる(S303)。かかる細胞画像の表示は、表示時間D1が経過するまで行われる(S304)。
【0127】
しかる後、変数iが、表示設定テーブルの最後の表示順であるnであるかが判別され(S305)、変数iがnでなければ(S305:NO)、変数iに1が加算され(S306)、表示設定テーブルから、次の表示順のチェックポイントの位置X2、Y2と、移動速度S2、表示時間D2が読み出される(S307)。そして、移動速度S2が“NULL”であるかが判別され(S308)、NULLであれば(S308:YES)、位置X2、Y2を中心とする所定サイズの細胞画像のデータが取得されて、その位置の細胞画像の表示に切り替えられる(S303)。かかる細胞画像の表示は、表示時間D2が経過するまで行われる(S304)。
【0128】
一方、移動速度S2がNULLでなければ(S308:NO)、位置X1、Y1から位置X2、Y2に向けて細胞画像をスクロールさせるためのバーチャルスライドデータが順次取得され、取得されたバーチャルスライドデータに基づいて、細胞画像を位置X1、X2へ向けて、移動速度S2でスクロールさせる表示が行われる(S309)。
【0129】
こうして、細胞画像のスクロールが終了すると、次のチェックポイントである位置X2、Y2の細胞画像が表示される(S303)。かかる細胞画像の表示は、表示時間D2が経過するまで行われる(S304)。
【0130】
以上のようにして、2番目のチェックポイントに対する細胞画像の表示が行われると、変数iが、表示設定テーブルの最後の表示順であるnであるかが判別される(S305)。そして、変数iがnでなければ(S305:NO)、変数iに1が加算され(S306)、3番目の表示順のチェックポイントに関する細胞画像の表示が、上記2番目の表示順のチェックポイントと同様に行われる。
【0131】
かかる細胞画像の表示は、S305において、変数iがi=nと判別されるまで、すなわち、表示設定テーブルに設定された最後のチェックポイントに対する細胞画像の表示が終了するまで行われる。そして、最後のチェックポイントに対する細胞画像の表示が終了すると(S305:YES)、当該細胞画像ファイルの表示処理が終了する。
【0132】
図17は、細胞画像ファイルを再生したときの表示例を示す図である。この表示例は、図9(c)の編集状態にて編集が確定されたときの表示に対応している。図17には、便宜上、チェックポイントCP1〜CP3と、細胞画像の移動方向を示す矢印が示されているが、実際の画面では、これらは表示されない。
【0133】
細胞画像ファイルが再生されると、まず、同図(a)に示すように、第1チェックポイントCP1を中心とする細胞画像が表示される。ここでは、表示時間D1(CP待ち時間)が0秒であるため、この細胞画像は、同図(b)に示すように、即座に、第2のチェックポイントCP2に向けてスクロールされる。そして、4秒間スクロールされた後、同図(c)に示すように、第2のチェックポイントを中心とする細胞画像が表示される。ここでも、表示時間D2(CP待ち時間)が0秒であるため、この細胞画像は、同図(c)に示すように、即座に、第3のチェックポイントCP3に向けてスクロールされる。そして、10秒間スクロールされた後、同図(d)に示すように、第3のチェックポイントを中心とする細胞画像が表示される。ここでもまた、表示時間D3(CP待ち時間)が0秒であるため、この細胞画像が表示されると、直ちに、当該細胞画像ファイルの表示が終了される。
【0134】
以上、本実施の形態によれば、画像表示領域10に表示された細胞画像上でチェックポイントを設定することにより、細胞画像を遷移させる際の分岐点を設定することができる。このとき、最後のチェックポイントに表示が到達するまでに要される時間が表示されるため、編集の際、編集者は、細胞画像の総表示時間が、要求された時間内に収まるかを容易に確認することができる。
【0135】
また、本実施の形態によれば、CP編集領域22を操作することにより、設定済みのチェックポイントを削除し、あるいは、表示順を変更できるので、細胞画像を遷移させる際の分岐点を容易に調整することができる。
【0136】
また、本実施の形態によれば、移動/切替ボタン21aを操作することにより、チェックポイント間において細胞画像をスクロールさせるか、細胞画像をスクロールさせずに直ちに切り替えるかを設定できるため、編集者は、簡便な操作により、より効果的な細胞画像の表示をさせるように編集を行うことができる。
【0137】
また、本実施の形態によれば、最後のチェックポイントに表示が到達するまでに要される時間の他に、各チェックポイントに表示が到達するまでに要される時間が表示されるため、編集者は、円滑に編集作業を進めることができる。
【0138】
また、本実施の形態によれば、各チェックポイントに関連づけて、部分画像表示部21dに、各チェックポイントの近傍を切り出した部分画像が表示されるため、編集者は、どのようなチェックポイントを設定したか、またどの順番でどの細胞画像を表示させるかを容易に把握することができ、編集作業を効率的に行うことができる。
【0139】
また、本実施の形態によれば、到達時間表示設定部21bを操作することにより、各チェックポイントに表示が到達するまでに要される時間を変更できるため、編集者は、要求された時間内に細胞画像の総表示時間を容易に収めることができ、編集作業の簡便化を図ることができる。
【0140】
また、本実施の形態によれば、待ち時間表示設定部21cを操作することにより、各チェックポイントにおける細胞画像の静止時間を設定できるため、編集者は、長く見せたい細胞画像を所望の時間だけ静止させて表示させることができ、より効果的な細胞画像の表示が可能な編集を行うことができる。
【0141】
また、本実施の形態によれば、再生表示の際、各チェックポイントを分岐点として細胞画像を自動的にスクロールさせることで動画として表示することができるので、チェックポイントにおける細胞画像の周辺細胞についても表示させることができる。
【0142】
また、本実施の形態によれば、再生表示の際、移動速度Siにより、細胞画像のスクロールの速度がチェックポイント間毎に変化可能である。これにより、受験者に詳細に観察してもらいたい細胞画像周辺において、スクロールの速度を低速にすることで、効果的に細胞画像を表示することができる。
【0143】
また、本実施の形態によれば、再生表示の際、表示速度Diにより、チェックポイントにおける細胞画像を静止画として所定時間表示させ得るため、詳細な観察を要する細胞画像については、細胞画像を静止画として長く表示させておくことができる。
【0144】
以上のように、本実施の形態によれば、簡便な作業にて細胞画像の編集を円滑に行うことができ、かつ、編集された細胞画像を効果的に表示させることができる。
【0145】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではない。また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0146】
たとえば、上記実施の形態では、CP表示領域21に、各チェックポイントまでに表示が到達するのに要される時間(CP到達時間)が表示されたが、たとえば、図18に示すように、到達時間表示設定部21bに替えて移動時間表示設定部21gを配し、この移動時間表示設定部21gに、一つ前のチェックポイントから当該チェックポイントに表示が到達するのに要する時間を表示しするようにしても良い。この場合、たとえば、CP編集領域22の下方に所要時間表示設定部23を配し、ここに、最後のチェックポイントに表示が到達するのに要する時間を表示しても良い。図11に示すフローチャートは、図19のように修正される。すなわち、図11のステップS113がS120に置き換えられ、移動時間表示設定部21gに、図10に示す表示設定テーブル中の移動時間Tiが表示される。また、最後のチェックポイントの到達時間Aiが、チェックポイントの設定の都度、所要時間表示設定部23に更新表示される。
【0147】
この場合も、上記と同様、編集者は、移動時間表示設定部21gに表示された時間と所要時間表示設定部23に表示された時間を修正でき、この修正に応じて、表示設定テーブルが書き換えられる。すなわち、編集者の操作により、表示設定テーブル中の移動時間Tiが修正されると、Si=Li/Tiにより、移動速度Siが修正される。また、移動時間Tiの修正に応じて到達時間Aiが修正され、これに伴い、最後のチェックポイントの到達時間Anが修正される。こうして到達時間Anが修正されると、所要時間表示設定部23の表示が修正される。また、編集者の操作により、最後のチェックポイントの到達時間Anが修正されると、これに伴い、移動時間Tiが修正され、移動時間表示設定部21gの表示が修正される。このとき、Si=Li/Tiにより、移動速度Siが修正される。
【0148】
この構成によれば、編集者は、最後のチェックポイントに表示が到達するまでに要される時間のほか、チェックポイント間を細胞画像がスクロールするのに要される時間を知ることができ、円滑に編集作業を進めることができる。
【0149】
また、本実施の形態では、図10に示す表示テーブル中の到達時間Akが、編集者の操作に応じて変更されると、移動時間Tkと移動速度Skのみが修正され書き換えられたが、移動時間T2〜Tkと、移動速度S2〜Skが、到達時間Akの修正に応じて一律に、あるいは、他の修正方法にて、修正されても良い。また、部分画像は、編集領域20に表示されずに、他の画面において、各チェックポイントに対応づけて表示されても良い。
【0150】
また、上記実施の形態では、編集用コンピュータで編集したファイルをクライアントコンピュータで表示するようにしたが、クライアントコンピュータで上記編集と表示の両方を行うようにしても良い。この場合、クライアントコンピュータに、上記編集用のプログラムがインストールされる。バーチャルスライドデータは、たとえば、ネットワークを介して、サーバからクライアントコンピュータに取得される。
【0151】
さらに、上記実施の形態では、認定血液検査技師の試験等の試験を想定して説明がなされたが、本発明に係る編集手法および表示手法は、これら試験以外の場面で細胞画像の表示を行う場合にも、適宜、用いることができる。また、血液以外の細胞画像を表示する場合にも適宜用いることができる。
【0152】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0153】
4 … 編集用コンピュータ
401 … CPU
405 … ディスクドライブ装置
408 … 入力部
409 … 表示部
10 … 画像表示領域
20 … 編集領域
21 … CP表示領域
21a … 移動/切替ボタン
21b … 到達時間表示設定部
21c … 待ち時間表示設定部
21d … 部分画像表示部
21e … 順位表示部
22 … CP編集領域
22a … 削除タブ
22b … 選択削除ボタン
22c … 削除範囲指定部
22d … 一括削除ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に細胞画像を表示するとともに、操作入力に応じて前記細胞画像をスクロールさせる細胞画像表示手段と、
前記表示部に表示された前記細胞画像上において指定位置の設定を受け付ける指定位置受付手段と、
前記指定位置受付手段によって受け付けられた前記指定位置を遷移順に対応づけて保持する指定位置保持手段と、
前記指定位置保持手段によって保持された最初の遷移順の前記指定位置から最後の遷移順の前記指定位置まで順次前記細胞画像を遷移させたときに、最後の遷移順の前記指定位置に遷移するまでに必要なトータル遷移時間を算出する遷移時間算出手段と、
前記遷移時間算出手段によって算出された前記トータル遷移時間を表示する遷移時間表示手段と、
を備える細胞画像表示装置。
【請求項2】
前記指定位置保持手段に保持された前記指定位置の削除および遷移順の変更を受け付ける指定位置変更受付手段をさらに備える、
請求項1記載の細胞画像表示装置。
【請求項3】
前記遷移順に隣り合う2つの前記指定位置間において前記細胞画像を前記所定の速度で遷移させずに、これら2つの指定位置間において前記細胞画像を切り替えるための設定を受け付ける切替受付手段をさらに備える、
請求項1または2に記載の細胞画像表示装置。
【請求項4】
前記遷移時間算出手段は、前記指定位置保持手段によって保持された最初の遷移順の前記指定位置から各遷移順の前記指定位置まで前記細胞画像をそれぞれ遷移させるのに必要な指定位置遷移時間をさらに算出し、
前記遷移時間表示手段は、前記トータル遷移時間と前記指定位置遷移時間を、それぞれ対応する前記指定位置に関連づけて表示する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の細胞画像表示装置。
【請求項5】
前記指定位置の周辺の部分画像を、対応する前記指定位置に関連づけて表示する部分画像表示手段をさらに備える、
請求項4記載の細胞画像表示装置。
【請求項6】
前記部分画像と、前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間とが、対応する前記指定位置に関連付けて同時に表示される、
請求項5記載の細胞画像表示装置。
【請求項7】
前記トータル遷移時間および前記指定位置遷移時間の修正を受け付ける遷移時間変更手段と、
前記指定位置間における前記細胞画像の移動速度を、修正後の前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間に応じて変更する移動速度変更手段と、をさらに備える、
請求項4〜6の何れか一項に記載の細胞画像表示装置。
【請求項8】
前記移動速度変更手段は、前記修正が受け付けられた前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間に対応する前記指定位置と、この指定位置から遷移順が一つ前の前記指定位置との間の移動速度を、修正後の前記トータル遷移時間または前記指定位置遷移時間に応じて変更する、
請求項7記載の細胞画像表示装置。
【請求項9】
前記指定位置における前記細胞画像の静止時間の設定を受け付ける静止時間受付手段をさらに備える、
請求項1〜8の何れか一項に記載の細胞画像表示装置。
【請求項10】
前記遷移時間算出手段は、前記指定位置保持手段によって保持された前記指定位置のうち遷移順が隣り合う2つの前記指定位置間の前記細胞画像の移動時間を算出し、
前記遷移時間表示手段は、前記移動時間を、それぞれ対応する前記指定位置に関連づけて表示する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の細胞画像表示装置。
【請求項11】
所定の広さの領域に亘って細胞画像を表示可能な細胞画像データと、前記領域上の複数のノード位置を、遷移順に対応づけて保持する表示設定テーブルとを格納した記憶部と、
前記表示設定テーブルに保持された前記ノード位置の周辺の細胞画像を前記遷移順に従って表示するとともに、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像が順次遷移するよう、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示する画像表示手段とを含む、
細胞画像表示装置。
【請求項12】
前記表示設定テーブルは、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置間における前記細胞画像の遷移速度をさらに保持し、
前記画像表示手段は、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像が、これら2つのノード位置間に設定された前記遷移速度で遷移するよう、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示する、
請求項11記載の細胞画像表示装置。
【請求項13】
前記表示設定テーブルは、前記ノード位置における前記細胞画像の静止時間をさらに保持し、
前記画像表示手段は、前記ノード位置の周辺の前記細胞画像を、対応する静止時間だけ静止画として表示する、
請求項11または12記載の細胞画像表示装置。
【請求項14】
コンピュータに細胞画像を表示するための機能を付与するコンピュータプログラムであって、
所定の広さの領域に亘って細胞画像を表示可能な細胞画像データと、
前記領域上の複数のノード位置を、遷移順に対応づけて保持する表示設定テーブルと、
前記表示設定テーブルに保持された前記ノード位置の周辺の細胞画像を前記遷移順に従って表示するとともに、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像が順次遷移するよう、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示する細胞画像表示ステップとを含む、
コンピュータプログラム。
【請求項15】
前記表示設定テーブルは、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置間における前記細胞画像の遷移速度をさらに保持し、
前記細胞画像表示ステップは、前記遷移順に隣り合う2つの前記ノード位置の間で前記細胞画像が、これら2つのノード位置間に設定された前記遷移速度で遷移するよう、これら2つのノード位置の間にある細胞画像を動画として表示する、
請求項14記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記表示設定テーブルは、前記ノード位置における前記細胞画像の静止時間をさらに保持し、
前記細胞画像表示ステップは、前記ノード位置の周辺の前記細胞画像を、対応する静止時間だけ静止画として表示する、
請求項14または15記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−64602(P2011−64602A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216271(P2009−216271)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】