説明

組み立て式雨水貯水槽

【課題】雨樋などを通して集めた雨水を溜めて、庭やプランターの植物栽培や打ち水などの散水に有効利用することを目的とした、庭の景観や街並に馴染む木製である、在庫や運搬が容易である、組立てや分解が容易である、比較的安価である、メンテナンスが容易である、組み立て式雨水貯水槽を提供する。
【解決手段】予め数珠繋ぎにした複数の短冊形側面木板と多角形状の底板から形成した筒状胴体部を外側バンドで緊縛し、筒状胴体部内に防水袋を収め、内側バンドを挿入して防水袋の開口部を形成するとともに筒状胴体部の内径を保持し、防水袋に設けた配管継手に雨水の導入出のための配管を行う。このような雨水貯水槽の組み立て部材を、折り畳み重ね合わせて嵩を減らした状態で在庫、運搬し、設置時に完成体に組み立てるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨樋などを通して集めた雨水を溜めて、庭やプランターの植物栽培や打ち水などの散水に有効利用することを目的とした、住宅などでの小規模な雨水利用に供するための組み立て式雨水貯水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
雨樋などを通して集めた雨水を溜めて、庭やプランターの植物栽培や打ち水などの散水に有効利用する家庭が増えている。従来、これらの目的には、容量100リットルから300リットルほどの容器が雨水貯水槽として供されている。
【0003】
上述の用途の雨水貯水槽では、プラスチック製のものが主流である。この他に金属製や、樽をはじめ木製のものもある。
【先行技術文献】

【実用新案文献】
【0004】
【実用新案文献1】
実用新案登録第3137040号
【0005】
【実用新案文献2】
実用新案登録第3147989号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べたプラスチック製や金属製の雨水貯水槽は、ゴミ箱やコンポストのように住宅の裏側に設置するものであり、庭の景観や街並に馴染むものは少ない。一方、樽をはじめ木製の雨水貯水槽には美しいものもあるが、重く嵩張るために運搬や設置に多くの労力が要る、組み立てに専門技術が要るなど、市場に広く流通するには問題が残る。
【0007】
そこで、本発明の目的は、庭の景観や街並に馴染む木製である、在庫や運搬が容易である、組立てや分解が容易である、比較的安価である、メンテナンスが容易である、などの要件を満たした、組み立て式雨水貯水槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明は、多角形状に形成された底板、この底板を嵌め込む内側溝を内面に有し、この内側溝に底板を嵌め込むことにより連なり筒状胴体部を形成する複数の短冊形側面木板、この短冊形側面木板の外側面に設けた凹溝に嵌め込まれ筒状胴体部の外周を緊縛する外側バンド、筒状胴体部内に収められ雨水を貯水する防水袋、この防水袋の開口縁部に設けられ防水袋の開口部を形成するとともに筒状胴体部の内径を保持するため筒状胴体部の内壁面に挿入する内側バンド、及び防水袋に設けられる配管継手とともに溜まった雨水を外部へ導出する開閉弁付配水管を備え、
前記外側バンドは、前記凹溝内に嵌め込まれ複数の短冊形側面木板を予め数珠繋ぎにする補助バンドと、締め付け具を有し前記凹溝の溝幅より大径な主バンドで構成され、
補助バンドを凹溝に嵌め込み複数の短冊形側面木板を数珠繋ぎにした後、底板の多角辺を内側溝に嵌め込むことにより筒状胴体部を形成し、さらに補助バンドが嵌め込まれた凹溝に主バンドを嵌め込み且つ締め付け具で締め付けて、凹溝の側壁上縁部を押圧した状態で筒状胴体の外周面を緊縛し、内側バンドで防水袋を筒状胴体部内に取り付けたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の組み立て式雨水貯水槽に、上枠と下枠を十字型に嵌め合わすことにより自立する脚部を備え、脚部の上部に設けた凹凸に筒状胴体部の底部を嵌め込んで据えることができるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から出る効果は、次の5点である。すなわち、1点目に、雨水貯水槽の外観の素材が木材であるため、庭の景観や街並に馴染むことである。2点目に、雨水貯水槽を、数珠繋ぎにした短冊形側面木板、底板、外側バンド、内側バンド、防水袋、開閉弁付配水管、等の部材に分割し、各々の部材を平たく広げたり折り畳み重ね合わせたりすることで嵩を著しく減らした状態で出荷し、設置時に完成体に組み立てることができるため、在庫や運搬が容易になることである。3点目に、雨水貯水槽を構成する数珠繋ぎにした短冊形側面木板、底板、外側バンド、内側バンド、防水袋、開閉弁付配水管、等の部材の組み立ては、専門的な技術や特殊な工具を使わずに容易に行うことができ、また、解体しても部材を損なうことがなく、移設も容易に行えることである。4点目に、雨水貯水槽の防水方法は、防水袋を筒状胴体部内に収めるだけなので、緻密な木材加工やコーキング加工を施す必要がなく、杉や桧の間伐材を用いることも可能であり、比較的安価な木製雨水貯水槽を提供できることである。5点目に、都市部の排気ガスによる油汚れが著しい場合は、防水袋を取出して洗浄あるいは交換することができ、ろ過装置を後付けすることもできるため、メンテナンスが容易なことである。
【0011】
請求項2から出る効果は、次の2点である。すなわち、1点目に、脚部は、上枠と下枠を十字型に嵌め合わすだけで自立し、脚部の上部に設けた凹凸に筒状胴体部の底部を嵌め込んで据えるだけで、容易に組み立てができることである。2点目に、脚部は、上枠と下枠に分けると平たくなるため、雨水貯水槽と同梱してもなお在庫や運搬が容易に行えることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示す雨水貯水槽の外観斜視図。
【図2】図1に示す雨水貯水槽を組み立て部材に分解した斜視図。
【図3】図1に示す雨水貯水槽を組み立て部材にして嵩を減らした状態を表す斜視図。
【図4】図1に示す雨水貯水槽の縦断面図。
【図5】図4に示す短冊形側面木板の凹溝と外側バンドの関係を表す縦断面部分拡大図。
【図6】図4に示す短冊形側面木板と主バンドの関係の変化を表す横断面部分拡大図。
【図7】図1に示す雨水貯水槽の別の作用を表した縦断面図。
【図8】図1に示す雨水貯水槽にろ過装置を取り付けた状態を表した縦断面図。
【図9】図1に示す雨水貯水槽の安全対策で蓋の開口制限の例を表した横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0014】
図1において、雨水貯水槽の外観を表している。木製の16角柱型の筒状胴体部5の外周を上下2ヶ所においてステンレス線材製の16角形の外枠(外側バンドの主バンド)6で緊縛し、蛇口(開閉弁付配水管)12を備え、ホース18を介して雨水集水装置19に接続し、開口部に16角形の木板の蓋16を嵌め落として封じ、ステンレス線材製の十字型の脚部14の上に据えて安全対策の脚部固定ネジ15で固定している。木部は、例えば、杉または桧の間伐材で防腐剤加圧注入材である。
【0015】
図2において、図1に示す雨水貯水槽を、数珠繋ぎにした短冊形側面木板3、底板4、外枠(外側バンドの主バンド)6、内枠(内側バンド)8、防水袋10、脚部14、等の組み立て部材に分解して表している。以下、個々の組み立て部材について説明する。
【0016】
数珠繋ぎにした短冊形側面木板3は、短冊形側面木板1の外側面に設けた上下2列の凹溝1bの内部に2本の紐(外側バンドの補助バンド)2をそれぞれ嵌め込むことによって、16枚の短冊形側面木板1を予め連ねたものである。凹溝1bの幅は紐(外側バンドの補助バンド)2が嵌まる幅で、凹溝1bの底に接着剤を入れた後に紐(外側バンドの補助バンド)2を底まで嵌め込む。紐(外側バンドの補助バンド)2は、例えばテトロンロープである。このように数珠繋ぎにした短冊形側面木板3は、平に広げることも、蛇腹状に折り曲げて自立させることもでき、また外側面と外側面を合わせて折り畳むこともできる。16枚の短冊形側面木板1の内側面下部には底板を嵌め込む内側溝1cが1列設けてある。16枚の短冊形側面木板1の内、筒状胴体部5の正面に当たる1枚には下方に、背面に当たる1枚には上方に、配管継手11を通すための貫通穴1dが開けてあり、貫通穴1dの内側面には溝1eがある。また、16枚の短冊形側面木板1の内、筒状胴体部5の右前、右奥、左前、左奥に当たる4枚の内側面上部には、内枠(内側バンド)8を受ける突起9をねじ込むための下穴1fが開けてあり、外側面下部には、脚部14を固定するためのネジ用下穴1gが開けてある。
【0017】
底板4は、16角形で、短冊形側面木板1の内側面下部の内側溝1cに嵌まる厚みで、外径寸法は、短冊形側面木板1の板目方向の収縮を考慮し、筒状胴体部5の内径寸法に内側溝1cの深さを足した寸法よりも小さく設定している。
【0018】
外枠(外側バンドの主バンド)6は2本ある。ステンレス線材製で、16角形の一辺の中央が開いた形状で、開いた線の両端部を鉤の手状に曲げ加工し、2つの同心の輪6bをそれぞれに設けている。一つの輪6bにはナット(締め付け具)6cを溶接し、もう一つの輪6bからボルト(締め付け具)7を通して締め、外枠(外側バンドの主バンド)6の径が調節できるようにしてある。外枠(外側バンドの主バンド)6の基準内径寸法は筒状胴体部5の外径寸法より小さく設定してあり、ボルト(締め付け具)7を緩めた外枠(外側バンドの主バンド)6を弾性により広げて筒状胴体部5にかぶせ、紐(外側バンドの補助バンド)2が嵌め込まれた凹溝1bに重ねて嵌めて係止させることができる。外枠(外側バンドの主バンド)6の径の調節範囲は、短冊形側面木板1の板目方向の収縮を考慮して十分に設けている。
【0019】
内枠(内側バンド)8は1本で、ステンレス線材製の閉じた16角形である。内枠(内側バンド)8の外径寸法は、短冊形側面木板1の板目方向の収縮を考慮し、筒状胴体部5の内径寸法よりも小さく設定している。
【0020】
防水袋10は、軟質樹脂製で、円形底まち付きの円筒形である。防水袋10の正面下方と背面上方の2カ所に配管継手用穴10bが開けてあり、回転止めの凸部11bの付いた配管継手11が取り付けてある。また、防水袋10の開口部付近の右前、右奥、左前、左奥に当たる側面には、短冊形側面木板1にねじ込む突起9に掛けるための小穴10cが等間隔で開けてある。
【0021】
脚部14は、ステンレス線材を曲げ加工した同形の2本の小枠14bを上部で溶接した上枠14dと、同じく2本の小枠14bを下部で溶接した下枠14eから成る。上枠14dと下枠14eはともに中間材を介して2本の小枠14bを溶接しているため、上枠14dには下端の開いたスリット14f、下枠14eには上端の開いたスリット14fがある。上枠14dと下枠14eのスリット14fを嵌め合わせて、十字型の脚部14に組み立てる。4本の小枠14bにはステンレス線材の一端を伸ばした凸部14cがあるため、十字型の脚部14に組み立てた時に4つの凸部14cが互いに突っ張りあって、上枠14dと下枠14eの交差角度を直角に保つことができる。脚部14の上部の凹凸14gは、筒状胴体部5の上げ底と嵌め合わさる形状であり、さらに安全対策として、ネジ取り付け部14hを介して脚部固定ネジ15で筒状胴体部5に留めることができる。
【0022】
蓋16は、16角形の木板で、外径寸法は、短冊形側面木板1の板目方向の収縮を考慮し、筒状胴体部5の内径寸法よりも小さく設定している。蓋の中央に貫通穴を開けて持ち手16bである紐を通し、蓋の裏には木の角材が反り止め材16cとして取り付けてある。
【0023】
図3において、図1に示す雨水貯水槽を、数珠繋ぎにした短冊形側面木板3、底板4、外枠(外側バンドの主バンド)6、内枠(内側バンド)8、防水袋10、脚部14、等の組み立て部材に分解し、嵩を減らして置いた状態を表している。数珠繋ぎにした短冊形側面木板3を平に広げ、傷防止のために外側面と外側面を合わせて4つに折り畳み、その上に、脚部14を上枠14dと下枠14eに分割して並べ置き、さらにその上に、2本の外枠(外側バンドの主バンド)6と内枠(内側バンド)8、蓋16、底板4を重ねて置き、諸部品を間隙に入れ、防水袋10と合わせている。図3の状態にすると、図1の状態に比べて3分の1以下の嵩に小さくすることができる。
【0024】
図4において、図1に示す雨水貯水槽の縦断面を表している。以下、図2、図3において示した分解した組み立て部材から雨水貯水槽を組み立てる方法と、図1に示す雨水貯水槽の作用を説明する。
【0025】
まず、数珠繋ぎにした短冊形側面木板3と底板4から16角柱型の筒状胴体部5を組み立て、外枠(外側バンドの主バンド)6で締め付ける方法を述べる。数珠繋ぎにした短冊形側面木板3を蛇腹状に折り曲げて自立させた上で、内側面下部の内側溝1cに底板4の多角辺を嵌め込みながら、数珠繋ぎにした短冊形側面木板3を底板4に巻いて、16角柱型の筒状胴体部5を形成する。この後、ボルト(締め付け具)7を緩めた2本の外枠(外側バンドの主バンド)6を弾性により広げて筒状胴体部5にかぶせ、紐(外側バンドの補助バンド)2が嵌め込まれた上下2列の凹溝1bにそれぞれ嵌め合わせ、ボルト(締め付け具)7を締めて仮組みする。
【0026】
次に、防水袋10を筒状胴体部5の内部に入れ、内枠(内側バンド)8で取り付ける方法を述べる。まず、筒状胴体部5の内側面上部にある4カ所の突起用下穴1fに、スペーサー9bとタッピンネジ9cから成る突起9をねじ込んでおく。防水袋10に取り付けた配管継手11と短冊形側面木板の配管継手用貫通穴1dの向きを合わせて、防水袋10を筒状胴体部5の内部に入れ、防水袋10の開口部付近の4カ所の突起用小穴10cをそれぞれ突起9に掛ける。内枠(内側バンド)8を、防水袋10の内側に入れて、突起9の上に水平に置き、防水袋10の開口部を形成するとともに筒状胴体部5の内径を保持する。
【0027】
その後、2本の外枠(外側バンドの主バンド)6のボルト(締め付け具)7を締め付けて、凹溝1bの側壁上縁部を押圧した状態で筒状胴体部5の外周面を緊縛する。
【0028】
3番目に、筒状胴体部5に配管継手11を取り付ける方法を述べる。角張っていない板などを使って防水袋10が筒状胴体部5の内側に沿うように均し、2カ所の配管継手11を短冊形側面木板の配管継手用貫通穴1dに挿入し、軽く押して回転止め凸部11bを貫通穴1dの溝1eに嵌め、筒状胴体部5の外側から蛇口(開閉弁付配水管)12とホースニップル13をそれぞれ取り付ける。
【0029】
4番目に、筒状胴体部5に脚部14を取り付ける方法を述べる。脚部の上枠14dと下枠14eを、スリット14fを嵌め合わせて十字型に組んで立てる。脚部のネジ取り付け部14hと短冊形側面木板の脚部固定ネジ用下穴1gの位置を合わせて、筒状胴体部5を脚部14の上に嵌め合わせ、4本の脚部固定ネジ15で固定する。
【0030】
最後に、筒状胴体部5の開口部に蓋16を嵌め落とし、設置場所に据え置き、雨水集水装置19とホースニップル13をホース18で繋ぐ。
【0031】
さらに、転倒防止策として、下記の2通りの策を用意している。
【0032】
一つは、上側の外枠用ボルト(締め付け具)7にワイヤー21を取り付けて柱などに繋ぐ方法である。もう一つは、アンカーボルト22と折れ金物23を使って脚部14の線材を挟み、地面に固定する方法である。
【0033】
図4に示す雨水貯水槽の作用は、下記の通りである。
【0034】
縦樋20を通り雨水集水装置19で分流した雨水を、ホース18を介して溜め、蛇口(開閉弁付配水管)12から導出して利用に供することである。雨水集水装置19にオーバーフロー機能が備わっている場合は、雨水貯水槽にオーバーフロー管を設ける必要はない。雨水集水装置19にオーバーフロー機能が備わっていない場合は、3カ所目の配管継手11を設け、オーバーフロー管24を配管し、浸透枡25等に溢れた雨水を導出することができる。
【0035】
図5において、図4に示す短冊形側面木板の外側面の凹溝1bと紐(外側バンドの補助バンド)2と外枠(外側バンドの主バンド)6の関係を拡大して表している。凹溝1bの幅は紐(外側バンドの補助バンド)2の太さとほぼ等しく、凹溝1bの深さは紐(外側バンドの補助バンド)2の太さよりも深い。そのため、筒状胴体部5の外径寸法より小さい内径寸法を持つ外枠(外側バンドの主バンド)6を、紐(外側バンドの補助バンド)2を嵌め入れた凹溝1bに重ねて嵌めて係止させることができる。さらに、外枠(外側バンドの主バンド)6を外枠用ボルト(締め付け具)7で締め付けて筒状胴体部5を緊縛すると、外枠(外側バンドの主バンド)6は凹溝1bの側壁上縁部を押圧した状態となり、外枠(外側バンドの主バンド)6が凹溝1bに嵌まり込む寸法はAとなる。
【0036】
図6において、図4に示す短冊形側面木板1と外枠(外側バンドの主バンド)6の関係の変化を拡大して表している。短冊形側面木板1が天然木であると、乾燥材であっても日射等によりさらに収縮する。図6(ア)は、短冊形側面木板1が収縮する前の状態であり、図6(イ)は2%収縮したときに外枠用ボルト(締め付け具)7でさらに締め付けた状態である。図5に示したように、収縮する以前において外枠(外側バンドの主バンド)6が凹溝1bにAの寸法で嵌まり込んでいるため、外枠(外側バンドの主バンド)6が締め付けにより変形して短冊形側面木板1と平行な位置関係を保たなくなっても、外観を損ねることがない。また、隣り合う短冊形側面木板1の間に生じる隙間に関しては、筒状胴体部5に防水袋10を内装しているため機能上の問題はなく、隙間による筒状胴体部5のぐらつきも内部に水を溜めることで水圧により解消する。
【0037】
図7において、図1に示す雨水貯水槽の別の作用を表している。配管継手11を筒状胴体部5の外周面だけでなく底部にも設けることができ、多様な使用方法を提供することができる。防水袋10の底面に取り付けた配管継手11を底板4の配管継手用貫通穴4bに通し、ホースニップル13とホース18を接続する。例えば、2カ所設けた配水管の内1本を遠隔の雨水集水装置に接続し、もう1本を自動灌水装置(開閉弁付配水管)27に接続すると、雨水貯水槽を縦樋から離れた任意の場所に設置でき、植物への水やりを自動的に行うことができる。また、2台以上の雨水貯水槽のホース18を接続して貯水量を増やすこともできる。さらに、雨水を導出する配管継手11の防水袋10内側に管26を接続して立て、沈下したごみを排水しないようにすることもできる。
【0038】
図8において、図1に示す雨水貯水槽にろ過装置28を取り付けた状態を表している。筒状胴体部5内の防水袋10の内側にろ過装置28を入れ、雨水を導入する配管継手11に接続する。ろ過装置28の内部には、例えば、ごみを沈殿させる砂利やフィルターが入っており、設置環境による雨水の汚れ具合に応じてろ過装置28を後付けすることができる。
【0039】
図9において、図1に示す雨水貯水槽の安全対策で蓋16の開口制限を行った例を表している。筒状胴体部5の内側面上部にある4カ所の突起用下穴1fに、スペーサー9bの付いたタッピンネジ9cの代わりに、スペーサー9bの付いたヒートン31をねじ込み、蓋の反り止め材16cの中央に貫通穴16dを開けて樹脂パイプ17を嵌め込んでおく。紐32を4カ所のヒートン31と樹脂パイプ17を経由してタスキ掛けになるように通し、紐32の両端にコードストッパー33を付ける。紐32の長さ調節で蓋16の持ち上げ高さを変えることができる。上記のような開口制限を設けることで、幼児の筒状胴体部5への転落を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0040】
1. 短冊形側面木板
1b. 短冊形側面木板の外側面の凹溝
1c. 短冊形側面木板の内側溝
1d. 短冊形側面木板の配管継手用貫通穴
1e. 短冊形側面木板の配管継手用貫通穴の溝
1f. 短冊形側面木板の突起用下穴
1g. 短冊形側面木板の脚部固定ネジ用下穴
2. 紐(外側バンドの補助バンド)
3. 数珠繋ぎにした短冊形側面木板
4. 底板
4b. 底板の配管継手用貫通穴
5. 筒状胴体部
6. 外枠(外側バンドの主バンド)
6b. 外枠の輪
6c. 外枠の溶接ナット(締め付け具)
7. 外枠用ボルト(締め付け具)
8. 内枠(内側バンド)
9. 突起
9b. スペーサー
9c. タッピンネジ
10. 防水袋
10b.防水袋の配管継手用穴
10c.防水袋の突起用小穴
11. 配管継手
11b.配管継手の回転止め凸部
12. 蛇口(開閉弁付配水管)
13. ホースニップル
14. 脚部
14b.脚部の小枠
14c.脚部の小枠の凸部
14d.脚部の上枠
14e.脚部の下枠
14f.脚部のスリット
14g.脚部の凹凸
14h.脚部のネジ取り付け部
15. 脚部固定ネジ
16. 蓋
16b.蓋の持ち手
16c.蓋の反り止め材
16d.蓋の反り止め材の貫通穴
17. 樹脂パイプ
18. ホース
19. 雨水集水装置
20. 縦樋
21. ワイヤー
22. アンカーボルト
23. 折れ金物
24. オーバーフロー管
25. 浸透枡
26. 管
27. 自動灌水装置(開閉弁付配水管)
28. ろ過装置
29. 砂利
30. フィルター
31. ヒートン
32. 紐
33. コードストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状に形成された底板、この底板を嵌め込む内側溝を内面に有し、この内側溝に底板を嵌め込むことにより連なり筒状胴体部を形成する複数の短冊形側面木板、この短冊形側面木板の外側面に設けた凹溝に嵌め込まれ筒状胴体部の外周を緊縛する外側バンド、筒状胴体部内に収められ雨水を貯水する防水袋、この防水袋の開口縁部に設けられ防水袋の開口部を形成するとともに筒状胴体部の内径を保持するため筒状胴体部の内壁面に挿入する内側バンド、及び防水袋に設けられた配管継手とともに溜まった雨水を外部へ導出する開閉弁付配水管を備え、
前記外側バンドは、前記凹溝内に嵌め込まれ複数の短冊形側面木板を予め数珠繋ぎにする補助バンドと、締め付け具を有し前記凹溝の溝幅より大径な主バンドで構成され、
補助バンドを凹溝に嵌め込み複数の短冊形側面木板を数珠繋ぎにした後、底板の多角辺を内側溝に嵌め込むことにより筒状胴体部を形成し、さらに補助バンドが嵌め込まれた凹溝に主バンドを嵌め込み且つ締め付け具で締め付けて、凹溝の側壁上縁部を押圧した状態で筒状胴体の外周面を緊縛し、内側バンドで防水袋を筒状胴体部内に取り付けたことを特徴とする組み立て式雨水貯水槽。
【請求項2】
上枠と下枠を十字型に嵌め合わすことにより自立する脚部を備え、脚部の上部に設けた凹凸に筒状胴体部の底部を嵌め込んで据えることができる、請求項1の組み立て式雨水貯水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−112225(P2012−112225A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274053(P2010−274053)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(507285784)有限会社風大地プロダクツ (1)