説明

組合せ計量装置

【課題】オペレータなどの人が、適切な重量になっている物品の組合せを従来よりも効率よく把握できる組合せ計量装置を得る。
【解決手段】計量中の計量部によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように、計量中の全計量部から適切な計量部の組合せを選択する処理を行う。続いて、ステップS4において、選択された組合せに係る各計量部に対応している表示部を点灯させ、選択された計量部の組合せの1組目を識別表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の計量手段によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように選択して、前記組合せごとに識別表示する組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、組合せ計量は公知となっている。例えば、下記特許文献1に、所定回数連続して組合せ不良となった場合に適切な処理を行うことにより、全体の稼動率が低下しないように構成した組合せ計量または計数方法が開示されており、この組合せ計量または計数方法を用いた組合せ計量装置は公知であると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−63816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の組合せ計量または計数方法を用いた場合の組合せ計量装置においては、オペレータなどに、計量後の適切な物品の組合せを、該物品の組合せに応じて明確に報知するのが困難なものであり、適切な重量になっている物品の組合せを従来よりも効率よく把握できるというものではなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、オペレータなどの人が、適切な重量になっている物品の組合せを従来よりも効率よく把握できる組合せ計量装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、物品の重量を計量する複数の計量手段と、計量中の前記計量手段によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように、前記計量手段の組合せを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記計量手段の組合せを識別表示する表示手段とを備え、前記表示手段によって識別表示された前記計量手段のそれぞれから物品を人が取り除く組合せ計量装置であって、前記表示手段が、前記選択された前記計量手段の組合せに応じて異なる識別表示を行うものである。
【0007】
上記(1)の構成によれば、識別表示された前記計量手段で計量された物品の組合せ重量が、目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなっていることを、前記計量手段の組合せに応じてオペレータなどの人に明確に報知できる。その結果として、オペレータなどの人が、適切な重量になっている物品の組合せを従来よりも効率よく把握できる組合せ計量装置を提供できる。
【0008】
(2) 上記(1)の組合せ計量装置においては、前記表示手段が、複数の前記識別表示を並列表示するものであることが好ましい。
【0009】
上記(2)の構成によれば、オペレータなどの人が、適切な重量になっている物品の組合せをより効率よく把握できる組合せ計量装置を提供できる。特に、オペレータなどの人が複数いる場合、前記選択された前記計量手段の組合せごとに異なる識別表示を並列表示し、色ごとに担当を分けて対応すれば、より効率よく適切な組合せの物品を取り分けることができる。
【0010】
(3) 上記(1)又は(2)の組合せ計量装置においては、前記物品を取り除く人の数を検出する検出手段と、前記表示手段が、前記検出手段で検出された人の数と少なくとも同数の種類の前記識別表示を行うものであることが好ましい。
【0011】
上記(3)の構成によれば、オペレータなどの人数が1人の場合、前記計量手段の組合せごとに少なくとも1種類の識別表示を行うことができ、また、2人以上の場合であれば、前記計量手段の組合せごとに異なる識別表示とすることもできる。すわなち、オペレータなどの人数に合わせて、組合せごとに異なるように識別表示でき、適切な重量になっている物品の組合せを、より容易且つより明確に外部に報知できる組合せ計量装置を提供できる。
【0012】
(4) 上記(1)〜(3)の組合せ計量装置においては、前記選択手段が、前記計量手段の組合せの選択ごとに非同期で前記組合せ演算を行うものであることが好ましい。
【0013】
上記(4)の構成によれば、前記計量手段の組合せの選択ごとに非同期で前記組合せ演算を行うので、オペレータの作業進度に合わせて識別表示できるだけでなく、1組目を選択した後、該1組目を除いて2組目の計量手段の組合せが選択することも可能である。また、同様に、3組目以降も先の組合せを除いて選択されることになる。これらの結果として、適切な前記計量手段の組合せを効率よく選択することができる組合せ計量装置を提供できる。
【0014】
(5) 上記(1)〜(4)の組合せ計量装置においては、前記複数の計量手段がX行Y列(X、Yは、ともに2以上の任意の整数)の形態で並設されているものであり、前記選択手段が、さらに下記(a)及び(b)のうち少なくともいずれか一つを行うものであることが好ましい。
【0015】
(a)予め、前記複数の計量手段の各設置位置を座標(x、y)(x、yは、ともに自然数)の情報に変換しておいて、前記許容範囲内の前記計量手段の組合せを複数得た後に、前記複数の計量手段それぞれの座標(x、y)の情報と、前記許容範囲内の前記計量手段の組合せの情報とに基づいて、各前記計量手段の組合せの密集度を演算し、最も密集度の高い前記計量手段の組合せを優先して選択。
(b)前記検出手段が前記人の位置する場所をも検出するものであり、前記検出手段によって検出された前記場所に最も近い前記計量手段の組合せを優先して選択。
【0016】
上記(5)の構成によれば、オペレータなどの人が、適切な物品の組合せを素早く取り除くことが可能な組合せ計量装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る組合せ計量装置を示した概略斜視図である。
【図2】図1に示した組合せ計量装置の概略構成を示したバス配線図である。
【図3】図1に示した組合せ計量装置における主要部の上視図である。
【図4】図1に示した組合せ計量装置における組合せ選択処理のフロー図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る組合せ計量装置における組合せ選択処理のフロー図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る組合せ計量装置における組合せ選択処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る組合せ計量装置を説明する。
【0019】
図1及び図2に示したように、組合せ計量装置10は、本体1と、物品を計量する複数の計量部2(計量手段)と、後述する制御部5により、目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとして選択された計量部2の組合せを識別表示する複数の表示部3(表示手段)と、各種情報を画面上に表示可能なタッチパネル4と、各構成を制御する制御部5とを備えているものである。なお、図示していないが、各構成は、インターフェースなどを介して接続されている。
【0020】
複数の計量部2は、計量部2−1〜2−12からなり(図3参照)、本体1上において2行6列の形態で設けられている。各計量部2−1〜2−12の上部に設けられている各皿2a上に物品が載置されることにより、ロードセルのような重量検出器(図示せず)によって各物品の重量を計量できるようになっている。なお、計量された物品の重量データは、図示しないインターフェースなどを介して、制御部5へと送信されるようになっている。
【0021】
表示部3は、複数種の色表示が可能なLEDなどの発光部からなり、複数の計量部2の計量部2−1〜2−12のそれぞれに一つずつ対応するように本体1に設けられている。また、表示部3は、制御部5の命令に従って、目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなっている計量部2の組合せに応じて、異なる識別表示を行うことができるものである。
【0022】
タッチパネル4は、液晶パネルであり、制御部5による制御に従って各種情報を画面に表示するとともに、操作者が画面の所定位置に触れることによって、所定の情報を入力することができるように構成されている。
【0023】
制御部5は、プログラムに従って動作することにより各種データの演算を行うCPU6と、プログラムを記憶するROM7と、各種データを記憶するRAM8と、を有しているものである。
【0024】
CPU6は、タッチパネル4から入力された目標重量又は許容範囲内の目標重量に近い重量などの入力データ、複数の計量部2から入力された重量データなどの各種入力データを処理する入力処理、種々の情報をタッチパネル4へ出力する表示処理、及び、計量中の計量部2によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように、計量部2の組合せを選択する組合せ選択処理、該組合せ選択処理によって選択された計量部2の組合せを表示部3に識別表示させる識別表示処理等を行うものである。
【0025】
ROM7には、上述したCPU6の処理制御用の各種プログラム、即ち、入力処理プログラム、表示処理プログラム、及び、組合せ選択処理プログラム(CPU6とともに選択手段の一部を構成)、識別表示処理プログラム(CPU6、表示部3とともに表示手段の一部を構成)等が格納されている。
【0026】
RAM8は、例えば、計量部2によって計測された重量のデータと、該データが得られた複数の計量部2のうちいずれの計量部2であるかとを一組ずつ記憶できるとともに、演算した結果なども記憶できる記憶部を備えている。なお、上述の組合せ選択処理は、RAM8に記憶された物品の重量データなどを読み出して行うことができる。
【0027】
次に、図4の処理フロー図を参照しつつ、組合せ計量装置10の動作について説明する。まず、運転中の組合せ計量装置10における複数の計量部2(計量部2−1〜2−12)の各皿2a上に計量したい物品をそれぞれ載置し、各計量部2−1〜2−12にて、各物品の重量を計量する(ステップS1)。なお、各物品の重量データはRAM8に送信し、記憶させておく。次に、ステップS2において、所定数の計量部が物品を計量中であるかどうかを判定する。ここで、「所定数の計量部」における「所定数」は予め設定できるものであるが、例えば、2つの物品でワンパックの商品を生産する場合においては、「所定数」は該2つの物品それぞれが計量されている必要があるので「2」ということになるし、3つの物品でワンパックの商品を生産する場合においては、「所定数」は該2つの物品それぞれが計量されている必要があるので「3」ということになる。したがって、何個でワンパックとするかによって、適宜、「所定数」は設定変更される。なお、この「所定数」に関しては、後述する実施形態及び変形例についても同様である。
【0028】
所定数の計量部が物品を計量中でない場合(ステップS2:NO)は、パック詰めなどするのに必要な数の物品が計量されていないことを示しているので、終了する。所定数の計量部が物品を計量中である場合(ステップS2:YES)には、ステップS3において、計量中の計量部によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せとなるように、計量中の全計量部から適切な計量部の組合せを選択する処理を行う。なお、一変形例として、得られた組合せ重量を目標重量に等しい組合せとする代わりに、得られた組合せ重量が許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように、計量中の全計量部から適切な計量部の組合せを選択する処理を行うこととしてもよい。後述する他の実施形態及び変形例においても同様である。
【0029】
続いて、ステップS4において、選択された組合せに係る各計量部に対応している表示部3を点灯させ、選択された計量部の組合せの1組目を識別表示する。例えば、ワンパック当たり3つの物品からなる商品であれば、選択された組合せに係る計量部2の数は3つであるので、選択された組合せに係る計量部のそれぞれに対応する3つの表示部3が点灯することになる。
【0030】
続いて、ステップS5において、選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれたかどうかを判定する。この計量部から物品が取り除かれたかどうかの判定は、計量部での物品の計量値が0になった場合を「計量部から物品が取り除かれた」とし、計量部で物品が計量中である場合(計量部の皿上に物品が載置されている状態である場合)を「取り除かれていない」として行う。後述する他の実施形態及び変形例においても同様である。
【0031】
選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれていない場合(ステップS5:NO)には、再度、ステップS5に戻る。選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれた場合(ステップS5:YES)には、ステップS6において、表示部3での識別表示を初期化して、表示部3の発光を消灯する。そして、ステップS2に戻り、所定数の計量部が物品を計量中である場合(ステップS2:YES)には、ステップS3において、すでに物品が取り除かれた計量部を除いて、まだ計量中である全計量部から適切な計量部の組合せの2組目を選択し、上記と同様の各処理を行う。すなわち、計量部2の組合せの選択ごとに非同期で組合せ演算を行うことになる。これらの一連の処理は、所定数の計量部が物品を計量中でない場合(ステップS2:NO)となって終了するまで繰り返し行う。
【0032】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様、識別表示された計量部2で計量された物品の組合せ重量が、目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなっていることを、計量部2の組合せに応じてオペレータなどの人に明確に報知できる。その結果として、オペレータなどの人が、適切な重量になっている物品の組合せを従来よりも効率よく把握できる組合せ計量装置10を提供できる。
【0033】
また、計量部2の組合せの選択ごとに非同期で組合せ演算を行うので、1組目を選択した後、該1組目を除いて2組目の計量手段の組合せが選択される。同様に、3組目以降も先の組合せを除いて選択されることになる。その結果として、適切な計量部2の組合せを効率よく選択できる組合せ計量装置10を提供できる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る組合せ計量装置を説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る組合せ計量装置における組合せ選択処理のフロー図である。なお、上記実施形態と異なる部分についてのみ説明し、同様の部分に関しては、説明を省略することがある。
【0035】
第2実施形態に係る組合せ計量装置は、第1実施形態で示した組合せ計量装置10のROM7に格納されている組合せ選択処理プログラムの代わりに、下記処理を行う組合せ選択処理プログラムが用いられている点で、第1実施形態と異なっているだけで、他の構成は同様である。以下、図5のフロー図を用いて、第2実施形態に係る組合せ計量装置の動作について説明する。
【0036】
まず、運転中の組合せ計量装置における複数の計量部の各皿上に計量したい物品をそれぞれ載置し、各計量部にて、各物品の重量を計量する(ステップA1)。なお、各物品の重量データはRAMに送信し、記憶させておく。次に、ステップA2において、所定数の計量部が物品を計量中であるかどうかを判定する。
【0037】
所定数の計量部が物品を計量中でない場合(ステップA2:NO)は、パック詰めなどするのに必要な数の物品が計量されていないことを示しているので、終了する。所定数の計量部が物品を計量中である場合(ステップA2:YES)には、ステップA3において、第1実施形態と同様、計量中の全計量部から適切な計量部の組合せを選択する処理を行う。続いて、ステップA4において、選択された組合せに係る各計量部に対応している表示部を点灯させ、選択された計量部の組合せの1組目を識別表示する。例えば、ワンパック当たり3つの物品からなる商品であれば、選択された組合せに係る計量部の数は3つであるので、選択された組合せに係る計量部のそれぞれに対応する3つの表示部が点灯することになる。このとき、選択された組合せに係る計量部のそれぞれに対応する各表示部には、例えば、緑色を点灯させる。
【0038】
続いて、ステップA5において、所定数の計量部が物品を計量中であるかどうかを判定する。所定数の計量部が物品を計量中でない場合(ステップA5:NO)は、パック詰めなどするのに必要な数の物品が計量されていないことを示しているので、終了する。所定数の計量部が物品を計量中である場合(ステップA5:YES)には、ステップA6において、計量中の全計量部から適切な計量部の組合せを選択する処理を行う。すなわち、計量部2の組合せの選択ごとに非同期で組合せ演算を行うことになる。続いて、ステップA7において、選択された組合せに係る各計量部に対応している表示部を点灯させ、選択された計量部の組合せの2組目を、上記1組目の組合せと同様に識別表示する。このとき、ステップA6において選択された組合せに係る計量部のそれぞれに対応する各表示部には、例えば、赤色を点灯させ、1組目の組合せとは異なる組合せであることを強調表示する。
【0039】
続いて、ステップA9において、選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれたかどうかを判定する。選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれていない場合(ステップA8:NO)には、再度、ステップA8に戻る。選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれた場合(ステップA8:YES)には、ステップA9において、各表示部での識別表示を初期化して、各表示部の発光を消灯する。そして、ステップA2に戻り、これらの一連の処理を、所定数の計量部が物品を計量中でない場合(ステップA2:NO)となって終了するまで繰り返し行う。
【0040】
本実施形態によれば、オペレータなどの人が、適切な重量になっている物品の組合せをより効率よく把握できる組合せ計量装置を提供できる。特に、オペレータなどの人が複数いる場合、選択された計量部の組合せごとに異なる識別表示(上述の例では、1組目の計量部の組合せについて緑表示、2組目の計量部の組合せについて赤表示)を並列表示し、色ごとに担当を分けて対応すれば、より効率よく適切な組合せの物品を取り分けることができる。
【0041】
また、計量部の組合せの選択ごとに非同期で組合せ演算を行うので、1組目を選択した後、該1組目を除いて2組目の計量手段の組合せが選択される。同様に、3組目以降も先の組合せを除いて選択されることになる。その結果として、適切な計量部の組合せを効率よく選択できる組合せ計量装置を提供できる。
【0042】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る組合せ計量装置を説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る組合せ計量装置における組合せ選択処理のフロー図である。なお、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、同様の部分に関しては、説明を省略することがある。
【0043】
第3実施形態に係る組合せ計量装置は、第1実施形態で示した組合せ計量装置10のROM7に格納されている組合せ選択処理プログラムの代わりに、下記処理を行う組合せ選択処理プログラムが用いられている点、制御部5に通信可能に接続され、オペレータの人数を検出する検出部(図示せず)が設けられている点、該検出部で検出された人数のデータを入力処理するプログラムがROM7に格納されている点で、第1実施形態と異なっているだけで、他の構成は同様である。なお、上記検出部の例としては、CCDカメラと、CCDカメラでとらえた画像から、オペレータの人数を割り出す画像認識プログラムとを有した構成が挙げられる。また、上記検出部の別例として、オペレータがタッチパネルにおいて制御部内のRAMに入力した人数のデータを、CPUとROMに格納されている検出プログラムとによって検出するという構成のものなどであってもよい。以下、図6のフロー図を用いて、第3実施形態に係る組合せ計量装置の動作について説明する。
【0044】
まず、検出部において、オペレータの人数を検出する(ステップB1)。次に、運転中の組合せ計量装置における複数の計量部の各皿上に計量したい物品をそれぞれ載置し、各計量部にて、各物品の重量を計量する(ステップB2)。なお、各物品の重量データはRAMに送信し、記憶させておく。次に、ステップB3において、所定数の計量部が物品を計量中であるかどうかを判定する。
【0045】
所定数の計量部が物品を計量中でない場合(ステップB3:NO)は、パック詰めなどするのに必要な数の物品が計量されていないことを示しているので、終了する。所定数の計量部が物品を計量中である場合(ステップB3:YES)には、ステップB4において、計量中の全計量部から適切な計量部の組合せを全て選択する処理を行う。すなわち、同期で計量部2の組合せを選択する演算をすることになる。
【0046】
続いて、ステップB5において、選択された計量部の組合せが、検出部において検出された人数と同数以上あるかどうか判定する。選択された計量部の組合せが、検出部において検出された人数と同数以上ある場合(ステップB5:YES)、計量部の組合せを人数と同数、ランダムに選択し、該組合せごとに対応した表示部で異なる種類の識別表示を行う(ステップB6)。具体的には、例えば、人数分の異なる色を該組合せごとに対応した表示部において点灯させ、識別表示する。これにより、各人に一色ずつ割り当て、割り当てられた色が表示された表示部に対応する計量部から、各人が各物品を取り除いて、商品のパック詰めなどを行うことなどが可能となる。
【0047】
これに対し、選択された計量部の組合せが、検出部において検出された人数と同数以上ない場合(ステップB5:NO)には、計量部の組合せごとに、表示部において、計量部の組合せ数と同数の異なる識別表示を行う(ステップB7)。具体的には、例えば、計量部の組合せ数分の異なる色を該組合せごとに対応した表示部において点灯させ、識別表示する。これにより、各人に一色ずつ割り当てられていた場合、割り当てられた色が表示された表示部の担当者が、該表示部に対応する計量部から各物品を取り除いて、商品のパック詰めなどを行うことなどが可能となる。
【0048】
続いて、ステップB8において、選択された計量部から物品が取り除かれたかどうかを判定する。選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれていない場合(ステップB8:NO)には、再度、ステップB8に戻る。選択された組合せに係る各計量部から物品が取り除かれた場合(ステップB8:YES)には、ステップB9において、各表示部での識別表示を初期化して、各表示部の発光を消灯する。
【0049】
続いて、ステップB10において、識別表示されていない計量部の組合せが残っているかどうかを判定する。これは、ステップB5において、選択された計量部の組合せが、検出部において検出された人数と同数以上あると判定された場合、ステップB6において、計量部の組合せを人数と同数、ランダムに選択し、該組合せごとに対応した表示部で異なる識別表示を行っているので、まだ識別表示されていない計量部の組合せが残っている可能性があるためである。
【0050】
識別表示されていない計量部の組合せが残っていない場合(ステップB10:NO)は、終了する。識別表示されていない計量部の組合せが残っている場合(ステップB10:YES)は、ステップB6に戻り、これらの一連の処理を、識別表示されていない計量部の組合せが残っていない場合(ステップB10:NO)となって終了するまで繰り返し行う。
【0051】
本実施形態によれば、オペレータなどの人数が1人の場合、計量部の組合せごとに少なくとも1種類の識別表示を行うことができ、また、2人以上の場合であれば、計量部の組合せごとに異なる識別表示とすることもできる。すなわち、オペレータなどの人数に合わせて、組合せごとに異なるように識別表示でき、適切な重量になっている物品の組合せを、より容易且つより明確に外部に報知できる物品組合せ計量装置を提供できる。
【0052】
<変形例>
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態などに限定されるものではない。例えば、第1実施形態におけるステップS3(図4参照)における計量部の組合せを選択する処理において、該組合せの候補が複数ある場合は、さらに、下記の条件にしたがって処理するものであってもよい。なお、第2実施形態におけるステップA3,A6(図5参照)、第3実施形態におけるステップB4(図6参照)、及び各変形例における計量部の組合せを選択する処理においても同様である。
【0053】
(a)予め、複数の計量部2の各設置位置を座標(x、y)(x、yは、ともに自然数)の情報に変換しておく。すなわち、図3における計量部2−1については座標(1、1)、計量部2−2については座標(1、2)、計量部2−3については座標(1、3)、計量部2−3については座標(1、4)、計量部2−3については座標(1、5)、計量部2−6については座標(1、6)、計量部2−7については座標(2、1)、計量部2−8については座標(2、2)、計量部2−9については座標(2、3)、計量部2−10については座標(2、4)、計量部2−11については座標(2、5)、計量部2−12については座標(2、6)とする。そして、組合せ演算によって得られた物品の組合せ重量が許容範囲内になっている計量部2の組合せを複数得た後に、複数の計量部2それぞれの座標(x、y)の情報と、前記許容範囲内の組合せ重量に係る計量部2の組合せの情報とに基づいて、各計量部2の組合せの密集度を演算し、最も密集度の高い計量部2の組合せを優先して選択する。これにより、オペレータなどの人が適切な物品の組合せを素早く取り除くことができる組合せ計量装置を提供できる。ここで、上記密集度の演算について説明する。
【0054】
まず、前記許容範囲内の組合せ重量に係る計量部2の組合せ候補が2つ以上ある場合において、選択された計量部の各組合せに係る各計量部の座標を読み出す。次に、選択された計量部の組合せごとに、座標(1、1)の計量部が含まれている場合には座標(1、1)を、座標(1、1)の計量部が含まれていない場合には、座標が(1、1)の計量部に最も近接している計量部の座標(x、y)を基点として、該基点と他の計量部の各座標(x、y)との差(a、b)を算出する。このようにして得た値(a、b)と(am+1、bm+1)とを加算して、比較用の値(A、B)を選択された計量部の組合せごとに算出する。選択された計量部の組合せごとに算出された(A、B)を比較して、より小さい値の計量部の組合せを最も密集度が高いとして優先的に選択する。ここで、n、m、pは自然数である。
【0055】
なお、上記密集度の演算の具体例を挙げると、以下のとおりである。3つの物品の組合せを最終的に得たい場合であって、前記許容範囲内の組合せ重量に係る計量部2の組合せ候補として、図3に示した計量部2−2、2−3、2−8の第1組と、計量部2−3、2−4、2−12の第2組とが選択された場合について説明する。計量部2−2、2−3、2−8における各座標は(1、2)、(1、3)、(2、2)であるから、(1、1)に最も近い(1、2)を基点とすると、(1、2)と(1、3)との差(a、b)は(0、1)、(1、2)と(2、2)との差(a、b)は(1、0)である。したがって、(0、1)と(1、0)とを加算して得た(A、B)は(1、1)である。次に、計量部2−3、2−4、2−12における各座標は(1、3)、(1、4)、(2、6)であるから、(1、1)に最も近い(1、3)を基点とすると、(1、3)と(1、4)との差(a、b)は(0、1)、(1、3)と(2、6)との差(a、b)は(1、3)である。したがって、(0、1)と(1、3)とを加算して得た(A、B)は(1、4)である。ここで、(A、B)と(A、B)とを比較し、第1組の(A、B)の方が小さい値であると判断されるので、第1組の計量部2−2、2−3、2−8の組合せを選択する。これにより、オペレータなどの人が適切な物品の組合せを素早く取り除くことが可能な組合せ計量装置を提供できる。
【0056】
ここで、上記密集度の演算の一変形例として、CCDカメラと画像認識処理とによって、各計量部の位置を把握し、各計量部の間隔が最も狭いものを密集度が高いとして演算し、選択するようにしてもよい。
【0057】
また、第3実施形態におけるステップB4(図6参照)及び第3実施形態の変形例における計量部の組合せを選択する処理においては、前記検出部(図示せず)がオペレータなどの人の位置する場所をも検出するものであり、前記検出部によって検出されたオペレータなどの人の位置する場所に最も近い計量部の組合せを優先して選択するようにしておいてもよい。
【0058】
また、上記各実施形態及び各変形例における計量部の組合せを選択する処理において、図3に示したように、1行目に位置する計量部2−1〜2−6から組合せが優先的に選択される、又は、2行目に位置する計量部2−7〜2−12から組合せが優先的に選択されるようになっていてもよい。これにより、オペレータなどの人が適切な物品の組合せを素早く取り除くことが可能な組合せ計量装置を提供できる。
【0059】
また、上記各実施形態及び各変形例においては、順に計量部の組合せを一つずつ選択する、又は、一度に計量部の組合せを全て選択するものであったが、これらの代わりに、計量部の組合せが表示部によって識別表示され、各オペレータの物品の除去対応が終了するごとに、新たな計量部の組合せをそれぞれ演算し、識別表示することとしてもよい。すなわち、各オペレータの作業進度に合わせて、取り除く物品の組合せについての識別表示ができるので、より効率のよい組合せ計量装置を提供できる。
【0060】
また、上記各実施形態及び各変形例においては、計量部の組合せの選択処理が一旦終了するまで、新たな物品を各計量部の皿上に載置しないものであったが、選択処理の合間に、新たな物品を各計量部の皿上に載置し、これら載置された物品を加えて計量部の組合せの選択処理を行ってもよい。
【0061】
また、上記各実施形態及び各変形例においては、計量部を2行6列の構成で並設したものであるが、これに限られず、X行Y列(X、Yは、ともに2以上の任意の整数)の形態であって、オペレータなどが作業する際、無理なく対応できるように構成されていればよい。
【0062】
また、第1実施形態において、計量部の組合せを識別表示する際の表示部の色を、毎回異なる色表示としてもよい。また、第2実施形態においては、2組ずつ計量部の組合せを選択処理するものであったが、3組以上選択処理するものであってもよい。その際、さらに別の色表示を加えて、明確に各計量部の組合せが異なっていることを示して、オペレータが適切且つ容易に多数の適切な物品の組合せがあることを把握できるようにしておいてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態及び各変形例においては、計量中の計量部によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように、計量部の組合せを選択するが、前記組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せにならない場合、前記目標重量に最も近似する組合せを選択する近似組合せ選択処理を行うものであってもよい。なお、この近似組合せ選択処理については、例えば、目標の組合せ重量に対して、最大許容範囲を第1上限、最大近似範囲を第2上限として設け、近似組合せを第1上限から第2上限の範囲内で行う。ここで、近似組合せが可能な範囲を外れた際(第2上限を超えた際)には、物品の載せ換え指示をタッチパネル又は表示部において自動表示するように構成していてもよい。これにより、予め設定した重量範囲に対してある程度の誤差が許される物品の組合せを、オペレータなどが効率よく把握できる組合せ計量装置を提供できる。
【0064】
また、上記各実施形態及び各変形例において、計量中である時間が所定時間経過している計量部の物品は、適切な物品の組合せとして選択される可能性が低いので、該物品を入れ替える指示をタッチパネル又は表示部において自動表示するように構成していてもよい。また、最も長く計量中となっている物品から、数番目に長く計量中となっている物品についてまで、各物品を入れ替える指示をタッチパネル又は表示部において自動表示するように構成していてもよい。これにより、商品品質の向上及び装置の稼働率の向上を達成できる。
【0065】
また、上記各実施形態及び各変形例における組合せ選択処理において、前記組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せにならない場合、オペレータに対して物品の入れ替えを指示するように構成しておいてもよい。なお、物品の入れ替えの指示としては、例えば、(1)全計量部の中から最も重量の重い値を示している計量部の皿上に載っている物品について入れ替え指示、(2)全計量部の中から重い順に数番目までの各物品について入れ替え指示、(3)前記組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せになっていない組合せの中で、最も重い物品について入れ替え指示、(4)前記組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せになっていない組合せの中で、最も重い物品から数番目までの各物品について入れ替え指示など、適宜、設定した条件に従って入れ替え指示を行うことができるようにしておいてもよい。これにより、商品品質の向上及び装置の稼働率の向上を達成できる。
【0066】
また、上記各実施形態及び各変形例における組合せ選択処理において、物品が計量中である時間の長さと、物品の重量とを考慮して、物品の入れ替え指示を行ってもよい。このとき、例えば、(物品が計量中である時間の長さ)×(物品の重量)が所定の数値を上回った場合に、入れ替え指示を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 本体
2 計量部
2a 皿
3 表示部
4 タッチパネル
5 制御部
6 CPU
7 ROM
8 RAM
10 計量装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の重量を計量する複数の計量手段と、計量中の前記計量手段によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に等しい組合せ又は許容範囲内で前記目標重量に近い組合せとなるように、前記計量手段の組合せを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記計量手段の組合せを識別表示する表示手段とを備え、前記表示手段によって識別表示された前記計量手段のそれぞれから物品を人が取り除く組合せ計量装置であって、
前記表示手段が、前記選択された前記計量手段の組合せに応じて異なる識別表示を行うものであることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項2】
前記表示手段が、複数の前記識別表示を並列表示するものであることを特徴とする請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記物品を取り除く人の数を検出する検出手段と、
前記表示手段が、前記検出手段で検出された人の数と少なくとも同数の種類の前記識別表示を行うものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記選択手段が、前記計量手段の組合せの選択ごとに非同期で前記組合せ演算を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記複数の計量手段がX行Y列(X、Yは、ともに2以上の任意の整数)の形態で並設されているものであり、
前記選択手段が、さらに下記(a)及び(b)のうち少なくともいずれか一つを行うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
(a)予め、前記複数の計量手段の各設置位置を座標(x、y)(x、yは、ともに自然数)の情報に変換しておいて、前記許容範囲内の前記計量手段の組合せを複数得た後に、前記複数の計量手段それぞれの座標(x、y)の情報と、前記許容範囲内の前記計量手段の組合せの情報とに基づいて、各前記計量手段の組合せの密集度を演算し、最も密集度の高い前記計量手段の組合せを優先して選択。
(b)前記検出手段が前記人の位置する場所をも検出するものであり、前記検出手段によって検出された前記場所に最も近い前記計量手段の組合せを優先して選択。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−249592(P2010−249592A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97736(P2009−97736)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)