説明

組合せ計量装置

【課題】 計量皿の配列間隔を拡大することなく、大きな物品を載置可能で計量精度への影響を生じない組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】 水平方向において相互に間隔をもって配列される複数の計量皿と、前記計量皿を支持するするとともに、計量皿に載置される物品を重量計量する複数の計量手段と、計量手段による重量値に基づき、合計重量値が目標重量値となる複数の物品を組合せ選択する制御手段と、を備えてなり、前記計量皿は、載置される物品を立て掛けるための保持部材が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の計量皿に各々載置される複数物品を重量計量し、合計重量値が目標重量値となる物品の組合せを選択して、その組合せの計量皿を識別表示する組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットのバックヤード等で魚の干物や切身を組合せ計量する場合、いわゆる手載せタイプの組合せ計量装置を使用する(例えば、特許文献1参照。)。この組合せ計量装置は、水平方向に間隔をおいて例えば縦2列×横6列に整列される複数の計量皿と、各計量皿を支持してこれらに載置される物品を重量計量する複数の計量手段を備える。オペレータが各計量皿に物品を手で載置すると、当該物品を各計量手段で重量計量し、合計重量が目標重量となる複数物品の組合せを選択して、当該組合せの物品が載置されている計量皿をインジケータランプ等の表示手段で識別表示する。オペレータは、識別表示された計量皿の物品を手で回収した後、空きの計量皿に別の物品を載せて、新たな組合せ計量を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−10628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記組合せ計量装置において、計量皿に載置される物品が計量皿より大きい場合、物品がはみ出したり、垂れ下がったりして、他の計量皿や物品と干渉し、正確な計量ができなくなることがある。これに対応するため、計量皿の大きさに余裕を持たせて物品の垂れ下りや干渉を防止している。しかしながら、計量皿を大型化すると、その分、計量皿の配列間隔も大きくなり、オペレータが手で物品を載置及び回収する際に、左右方向に移動する必要が生じて作業効率が低下する。また、装置の大型化は、製作コストの上昇及び設置スペースの増大を招く。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みて、計量皿の配列間隔を拡大することなく、大きな物品を載置可能で計量精度への影響を生じない組合せ計量装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の組合せ計量装置は、
水平方向において相互に近接配置される複数の計量皿と、
前記計量皿を支持するとともに、前記計量皿に載置される物品を重量計量する複数の計量手段と、
前記計量手段による重量値に基づき、合計重量値が目標重量値となる複数の物品を組合せ選択する制御手段と、を備える組合せ計量装置であって、
前記計量皿は、載置される物品を立てた状態に保持するための保持部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の組合せ計量装置は、
請求項1記載の組合せ計量装置であって、
前記保持部材は、物品を側方から立てた状態に支えるために鉛直方向に対して傾斜させられている傾斜面を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の組合せ計量装置は、
請求項1又は2記載の組合せ計量装置であって、
前記計量皿は、立てた状態に載置された物品の下端に側方から当接するずれ止めを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の組合せ計量装置は、
請求項1乃至3の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記保持部材は、前記計量皿全体の重心位置が、前記計量手段のロードセルの変位中心の略鉛直上方となる位置及び角度に設定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の組合せ計量装置は、
請求項1乃至4の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記計量部には、前記計量皿を支持する支持部が設けられており、
前記計量皿には、その一側方に支持部の下面側に覆い被さって、前記計量皿が上方に離脱することを阻止するフックが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の組合せ計量装置は、
請求項1乃至5の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記計量部には、前記計量皿を支持する支持部が設けられており、
前記計量皿には、前記重心位置の下面側に差込ピンが立設されている一方、
前記支持部は、前記変位中心の略鉛直上方に前記差込ピンを差込む差込穴が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の組合せ計量装置は、
請求項1乃至6の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記計量皿は、物品を載置するオペレータが体を向ける作業方向に複数並ぶように配置され、
オペレータの手前側の計量皿は低く、奥側の計量皿は高くなるように配設したことを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の組合せ計量装置は、
請求項7記載の組合せ計量装置であって、
前記計量手段が設けられる装置本体において、前記手前側の計量皿と前記奥側の計量皿の間に、前記手前側よりも前記奥側を高くした傾斜面を形成し、
該傾斜面に前記組合せ選択された物品の計量皿を識別表示する複数のインジケータを配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、以下の優れた効果を奏する。計量皿が物品を立てた状態に保持する保持部材を備えるので、計量皿よりも幅の大きい物品を、計量皿の配列間隔を拡大することなく計量することが可能となり、作業効率低下や、装置の大型化による製作コスト上昇及び設置スペース増大を回避することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。保持部材は鉛直方向に対して傾斜する傾斜面を有してなるので、物品を傾斜面によって側方から支えるようにすることで、安定的に立てることができる。また、物品が姿勢を崩すことによる計量値の変動が防止され、オペレータも物品の置き方にあまり気を遣う必要が無くなり迅速に作業を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。ずれ止めが立てられた物品の下端に側方から当接するずれ止めを設けたので、載置後に物品の下端が側方にずれ動いて物品が落下することが防止される。
【0017】
請求項4の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。計量皿全体の重心位置を、計量手段のロードセルの変位中心の略鉛直上方に設定したので、ロードセルに縦方向の回転モーメントが加わって、計量精度を悪化させたり、計量値の安定に要する時間が長くなったりすることが防止される。
【0018】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。計量皿の一側方に、支持部の下面側に覆いかぶさって上方への離脱を阻止するフックを設けるので、計量皿が不意に外れて物品が落ちることが防止される。一方、計量皿においてフックが設けられている側方とは反対側を持ち上げることで簡単に取り外すことができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。計量皿の重心の下面側に差込ピンを立設する一方、これを受け入れる支持部側の差込穴をロードセルの変位中心の略鉛直上方に形成したので、計量皿上の物品が動いたときに発生する縦方向の回転モーメントは、変位中心を通る鉛直線上に加わることになり計量手段に与える影響が抑制される。
【0020】
請求項7の発明によれば、請求項1乃至6の何れかに記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。オペレータが向く作業方向の手前側にある計量皿は低く、奥側にある計量皿は高く設定したので、奥側の計量皿について物品を載置及び回収する際に、それより低い位置にある手前側の計量皿や物品が邪魔になることはなく、迅速円滑に作業を行える。
【0021】
請求項8の発明によれば、請求項7記載の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。組合せ選択された物品の計量皿を識別表示するインジケータを、前記手前側の計量皿と前記奥側の計量皿の間のオペレータに対向する傾斜面に設けたので、オペレータがインジケータを視認し易くなり作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る組合せ計量装置の平面図。
【図2】本実施形態に係る組合せ計量装置の物品載置状態を示す正面図。
【図3】本実施形態に係る組合せ計量装置の物品載置状態を示す側面図。
【図4】本実施形態に係る組合せ計量装置の計量部及び計量皿のみを示す(a)平面図、(b)正面図(物品載置状態)、及び(c)側面図。
【図5】オペレータによる作業の様子を示す図。
【図6】計量皿の(a)変形例、及び(b)(c)更に別の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(組合せ計量装置1)
本発明の実施形態に係る組合せ計量装置1は、図1乃至図4に示すように、箱型の装置本体2と、複数の計量部3と、各計量部3に支持されて物品Gが載置される複数の計量皿4と、組合せ選択された物品Gが載置されている計量皿4を識別表示する表示部5と、組合せ計量の目標重量、組合せ数、その他の設定をするための操作表示部6と、装置本体2に内蔵されて物品Gの組合せ選択及び表示部5に対する指示送信を行う制御部7(不図示)を備える。
【0024】
組合せ計量装置1の計量対象物となる物品Gは、図4(b)に示すような魚の切身等であって、その厚みTに対してそれと直交する方向の幅Wが大きく、この物品幅Wが、更に計量皿4の幅Wより大きいものである。そのため、物品Gを計量皿4上に水平に寝かせて置いた場合には、計量皿4から側方に大きくはみ出して、左右水平方向において近接する他の計量皿4及びそれに載置される物品と干渉する等してしまい正確な計量ができなくなる。本発明では、計量皿4に物品Gを立てた状態に保持する保持部材42を設けることにより、物品Gを立てた状態で載置できるようにして、重量計量時、すなわち計量皿4への載置時における物品Gの左右水平方向の幅Wを小さくし、隣接する物品同士の干渉及びそれによる計量不良を解消する。
【0025】
なお、本発明において「物品を立てた状態」とは、計量皿4への載置時における水平方向の物品幅Wが厚みTと一致するように直立させた状態のほか、物品幅Wが計量皿4の幅Wよりも狭くなるように斜めに立てた状態を含み、更に左右方向で隣接する計量皿4に載せられた物品G同士が干渉しない程度に立てた状態、あるいは計量皿4に対して物品Gを載置し回収するオペレータPの手が他の計量皿4に載置された物品に当たらない程度に立てた状態も含むものとする。すなわち、物品を立てた状態には、物品Gを水平に寝かせて置いた状態から直立させる方向に起こしたすべての角度位置における状態を含み得る。
【0026】
組合せ計量装置1は、図5に示すように、オペレータPが装置の前方正面と正対するように立って作業を行い、計量皿4に計量対象となる物品Gを手で載置して、各計量皿4を支持する計量部3によって各物品Gを重量計量し、その重量計量値に基づき制御部7により合計重量が目標重量となる複数の物品Gを組合せ選択し、当該組合せ選択された物品Gの計量皿4を表示部5により識別表示する。オペレータPが識別表示された計量皿4の物品Gを手作業で回収し、空いた計量皿4に新しい物品Gを載せると、それらの重量計量が行われ、組合せ選択及び識別表示が繰り返される。
【0027】
(装置本体2)
装置本体2は、図1乃至図3に示すように、平面視矩形状の箱型に形成されており、上面は、その前側2aが低く、後側2bが高くなる上下段違いの階段状に形成されている。更に、前側上面2aと後側上面2bの間には、図5に示すように、オペレータPの顔に対向するように傾斜する傾斜面2cが形成されている。また、装置本体2の前面2d及び後面2eには、それらから装置本体2の外部に突出する支持アーム32を覆うガードバー21,22が取り付けられている。
【0028】
(計量部3)
計量部3は、図1乃至図3に示すように、装置本体2に12台(複数台)配設されている。各計量部3は、装置本体2に内蔵されるロードセル31と、ロードセル31に連結されて外部に突出する側面視L字型の支持アーム32と、支持アーム32の上端に取り付けられて計量皿4を支持する支持部33と、を備えており、計量皿4に載置される物品Gを重量計量する。
【0029】
ロードセル31は、負荷された荷重を電気信号に変換して出力する荷重変換器であり、装置本体2の前後において、それぞれ6個ずつ同じ高さで左右横一列に所定間隔をおいて配設されている。但し、前列のロードセル群と後列のロードセル群とは、装置本体2の上面の高さ位置と同様に、上下段違いに配設されており、図3に示すように、後列のロードセル群は、前列のロードセル群より高い位置に設けられている。
【0030】
支持アーム32は、図3及び図4に示すように、ロードセル31と支持部33を連結させて、計量皿4に載置されて支持部33に作用する物品Gの荷重をロードセル31に伝達する。前列のロードセル31に連結される6本の支持アーム32は、前面2dから前方へ突出する一方、後列のロードセル31に連結される6本の支持アーム32は、後面2eから後方へ突出しており、これにより、装置の前後に6本ずつ左右横一列に並ぶ2つの支持アーム列を形成する。装置外部に突出する各支持アーム32は、L字形に屈曲して上方に延びており、それらのアーム上端は、同じ支持アーム列同士では同じ高さ位置に揃えられている一方、後列のアーム上端は、前列のアーム上端より高くなる上下段違いに設定されている。
【0031】
支持部33は、上述した支持アーム32のアーム上端にそれぞれ水平状態で固定される略矩形の板状部材であり、装置上方の前後に分かれて、それぞれ6枚ずつ左右水平方向に近接して横一列に同じ高さで、かつ、後列が前列より高くなる上下段違いに配列されている。支持部33は、後述する計量皿4の下面側の凹み41bと略同じ大きさ、形状に形成されており、該凹み41bに嵌り込むようにして計量皿4が水平方向に位置ずれしないように支持している。なお、支持部33の中心位置33は、図3及び図4に示すように、連結されるロードセル31の変位の中心を通る鉛直線C上に位置する。
【0032】
(計量皿4)
計量皿4は、図1乃至図4に示すように、上述した支持部33に一枚ずつ支持されることにより、装置上方に前後2列(複数列)をなすように、かつ、前後各列6枚(複数枚)が左右水平方向に横一列に同じ高さで計12枚配列されており、更に後列の皿が前列よりも高くなる上下段違いとされている。各計量皿4は、上述したように、それぞれ物品Gを立てた状態に保持することにより、載置時における当該物品Gの水平方向の幅を小さくして、近接配置される他の計量皿4やそれに載置される物品Gとの干渉を防止する。
【0033】
ここで、前後異なる列の計量皿4同士は、相互に離間するとともに上下段違いに配設されているため、載置される物品同士が干渉等することはまず無い。その一方で、前後同じ列内で隣接配置されている計量皿4同士は、上下方向で同じ高さ位置にあり、左右水平方向において相互に近接しているため、載置される物品が左右方向にはみ出す等して相互に干渉することがある。そのため、本実施形態では、同じ列内に属する計量皿4同士が隣接する左右水平方向における物品幅Wを小さくすべく、各計量皿4は、物品Gを左右方向に起こした状態で立てるように構成されている。
【0034】
計量皿4は、図4に示すように、各計量部3の支持部33の上面に載せられる台座41と、台座41の上面側に鉛直方向に対して左右方向に傾斜した状態で固定される保持部材42と、保持部材42の下端側に連続一体的に湾曲形成されるずれ止め43と、台座41の上面に立設されて保持部材42を動かないように受止支持する受止部材44と、を備えている。
【0035】
台座41は、前後方向の寸法が大きく、左右方向の寸法が小さい略矩形の板状体であって、その外周縁から下方へ僅かに突出するように全周に亘って形成される周壁41aを備えており、この周壁41aで形成される凹み41bにこれと略同形同大の支持部33を嵌り込ませて、中心位置が支持部33の中心位置33と一致するように取り付けられることで、計量皿4を支持部33に安定的に支持させる。
【0036】
台座41は、その周壁41aが支持部33の外周縁と相互に当接しており、側方にずれ動いて脱落するようなことは無いが、上下方向の外れ止めとなるロック部材等を備えておらず、支持部33に対して取り付け又は取り外しするときは、上下方向に載せ降ろしするだけで済む。その一方、計量皿4に物品Gが載置されて重心位置が高くなると、手当たり等によって台座41の幅が狭い左右方向への回転モーメントが作用したときに転倒する危険性があるため、計量皿4に物品Gを載置したときの重心位置を台座41の左右方向の中心に設定して、当該危険性を緩和している。
【0037】
保持部材42は、図4(b)に示すように、計量皿4に載置される物品Gを側方から支えることにより立てた状態に保持する部材であり、物品Gを右方向(横方向)から支えるようにもたれかけさせるため、鉛直方向に対して右方向(横方向)に傾斜する傾斜面42aを有している。物品Gを傾斜面42aにもたれかけさせて立てた状態にすることで、物品Gの左右方向の幅が小さくなるようにして、左右方向において近接する計量皿4同士の干渉を防止することは勿論、計量皿4の上で物品Gを安定した姿勢に維持することができ、物品Gが載置後に姿勢を崩して脱落することが防止される。
【0038】
保持部材42は、物品Gを載置していないときは勿論、物品Gを載置したときにおいても、計量皿4の水平方向における重心位置が台座41の中心位置と概ね一致するように位置及び角度が設定されている。これにより、計量皿4が不意に転倒して支持部33から脱落することが防止されるほか、物品載置時における計量皿4の重心位置がロードセル31の変位の中心の略鉛直上方に位置することになり、ロードセル31に縦方向の回転モーメントが加わって、計量精度を悪化させたり、計量値の安定に要する時間が長くなったりすることが防止される。
【0039】
ずれ止め43は、図4(b)に示すように、保持部材42の下端側に連続一体的に湾曲形成され、傾斜面42aの上面側に回り込んで傾斜面42aに対向することにより、保持部材42とともに断面U字形をなす。これにより、傾斜面42aによって側方から支持される物品Gの下端に上側方から押さえ込むように当接するので、図4(b)に矢印Yで示すように、当該下端が側方にずれ動いて物品が落下することを防止する。受止部材44は、保持部材42の下面側を支持する柱状体又は壁状体であり、保持部材42を傾斜状態で動かないように受止支持する。
【0040】
なお、保持部材42には、その前後端、特に前端側(オペレータP側)に上面側へ突出する壁面等の凸部がなく、前後方向において素通し状に形成されている。そのため、オペレータPは、物品Gを持ち上げることなく、前後方向にスライド移動させるような感覚で保持部材42に対する物品Gの載置回収作業を行うことができて作業負担が軽減される。また、オペレータPが体を向ける作業方向において、手前側(前側)の列より奥側(後側)の列の計量皿4の方が高い位置(上方)にあるため、奥側の計量皿4に対する物品Gの載置回収作業において、手前側の計量皿4やその上の物品が邪魔になることはなく、上記素通し形状と相俟って作業効率を向上させることができる。
【0041】
(表示部5)
表示部5は、各計量皿4の近傍に一つずつ設けられる12個(複数個)のインジケータ51で構成されており、制御部7(不図示)が計量部3による重量計量値に基づき合計重量値が目標重量値となるように組合せ選択した物品Gが載置されている計量皿4を、それに対応するインジケータ51を点灯させることで識別表示して、オペレータPに回収すべき物品Gがどれであるかを知らせる。各インジケータ51は、LED(発光ダイオード)等の発光体で形成されており、図1に示すように、前後配列される計量皿4の間に形成される傾斜面2c上に集約されており、各々対応する計量皿4の前方側又は後方側の近傍に位置するように前後2列×左右6列で配設されている。インジケータ51が、オペレータPの顔に対向する傾斜面2cにまとめて設けられていることにより、オペレータPは視線を大きく動かすことなく回収対象となる物品Gの計量皿4を認識することができる。
【0042】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態において、計量皿4には、台座41に支持部33からの外れ止めとなるロック部材等を設けないこととしたが、台座41の左右方向の一側端に支持部33の下面側に回り込むようにして覆い被さり、計量皿4の上方への離脱を阻止するフックを設けることとしても良い。計量皿4に対して加わる外力としては、保持部材42に物品を置くときに傾斜面42aに手当りするなどして、図6(a)に示す矢印R1方向への押圧力がかかることが多いと考えられるが、保持部材42の下端側に近い側端辺にフック41cを設けることで、矢印R1方向への外力(回転モーメント)が作用してもフック41cが引っ掛かって、計量皿4が持ち上がらないようにすることができる。その一方、矢印R2方向には持ち上げることができ、更に矢印X方向にスライドさせることで簡単に取り外すことができる。フック41cは、台座41の一側端辺の全長に亘って設けるレール状のものでも良いし、部分的に設けるものでも良い。なお、計量皿4の重心位置は、上記実施形態と同様にロードセル31の変位中心を通る鉛直線C上に設定することとしても良いが、計量皿4を持ち上げる回転モーメントの作用点であるフック41cから遠ざけた位置に設定することにより計量皿4を転倒し難くするようにしても良い。
【0043】
上記変形例では、計量皿4に計量部3からの外れ止めとして、図6(a)に示すようなフック41cを設けることとしたが、図6(b)及び(c)に示すように、計量皿4の重心となる台座41の中心に差込ピン41dを立設する一方、支持部33においてロードセル31の変位の中心の鉛直上方位置に差込ピン41dを差込むための差込穴33aを形成することとしても良い。これにより、台座41が支持部33に対して水平方向にずれることがなくなるため、支持部33を、台座41の凹み41bに丁度嵌り込むような大きさや形状とする必要がなくなり、図6(c)に示すように、台座41に対して大きさや形状が異なるものを採用することができる。特に、差込ピン41dと差込穴33aの外径及び内径を両者の間にガタが生じない程度の寸法関係としておくことで、計量皿4に矢印R3で示すような回転モーメントが作用しても差込ピン41dが引っ掛かるために、計量皿4が容易に外れたり転倒したりすることは無い。また、差込ピン41dをロードセル31の変位中心の鉛直上方に設けたので、計量皿4に矢印R3で示すような回転モーメントが発生してもロードセル31における計量値の変動は小さく抑えられる。
【0044】
上記実施形態及び上記変形例では、物品を立てた状態に保持する保持部材42を、受止部材44を介して台座41に固定したが、保持部材42を台座41に対して直接固定することとしても良いし、保持部材42と台座41を一体形成することとしても良い。また、上記実施形態及び上記変形例では、保持部材42は、矩形状板を傾斜した状態で固定することにより形成したが、物品Gを立てた状態に保持できるものであれば、矩形状である必要はなく、また板状体ではなく、例えば網状体で形成したり、断面三角形の柱状体を横倒しにした状態で固定したりすることにより傾斜面を形成しても良い。
【0045】
上記実施形態及び上記変形例では、ずれ止め43を保持部材42と一体的に形成することとしたが、保持部材と分離して形成し、台座に直接固定することとしても良い。上記実施形態及び上記変形例では、計量部3の高さ位置を変えることにより、前後方向に配置される計量皿4の保持部材42(物品載置部)を上下段違いに配置することとしたが、計量部の高さを前列と後列で異ならせるのではなく、例えば台座の高さ寸法や保持部材を支持する受止部材の高さ寸法を異ならせるなど、計量皿自体の高さを前後列間で異ならせることにより、計量皿(物品載置部)の上下段差を設けるようにしても良い。これによれば、ゼロ点を変更する必要はあるが、既存の計量装置を流用することが可能となる。
【0046】
本発明に係る組合せ計量装置は、上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更を加え得る。
【符号の説明】
【0047】
1 組合せ計量装置
2 装置本体
2c 傾斜面
3 計量部
31 ロードセル
32 支持アーム
33 支持部
4 計量皿
42 保持部材
43 ずれ止め
5 表示部
51 インジケータ
6 操作表示部
G 物品
P オペレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向において相互に近接配置される複数の計量皿と、
前記計量皿を支持するとともに、前記計量皿に載置される物品を重量計量する複数の計量手段と、
前記計量手段による重量値に基づき、合計重量値が目標重量値となる複数の物品を組合せ選択する制御手段と、を備える組合せ計量装置であって、
前記計量皿は、載置される物品を立てた状態に保持するための保持部材が設けられていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項2】
請求項1記載の組合せ計量装置であって、
前記保持部材は、物品を側方から立てた状態に支えるために鉛直方向に対して傾斜させられている傾斜面を有することを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の組合せ計量装置であって、
前記計量皿は、立てた状態に載置された物品の下端に側方から当接するずれ止めを備えることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記保持部材は、前記計量皿全体の重心位置が、前記計量手段のロードセルの変位中心の略鉛直上方となる位置及び角度に設定されていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記計量部には、前記計量皿を支持する支持部が設けられており、
前記計量皿には、その一側方に支持部の下面側に覆い被さって、前記計量皿が上方に離脱することを阻止するフックが設けられていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記計量部には、前記計量皿を支持する支持部が設けられており、
前記計量皿には、前記重心位置の下面側に差込ピンが立設されている一方、
前記支持部は、前記変位中心の略鉛直上方に前記差込ピンを差込む差込穴が形成されていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項7】
請求項7記載の組合せ計量装置は、
請求項1乃至6の何れかに記載の組合せ計量装置であって、
前記計量皿は、物品を載置するオペレータが体を向ける作業方向に複数並ぶように配置され、
オペレータの手前側の計量皿は低く、奥側の計量皿は高くなるように配設したことを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項8】
請求項7記載の組合せ計量装置であって、
前記計量手段が設けられる装置本体において、前記手前側の計量皿と前記奥側の計量皿の間に、前記手前側よりも前記奥側を高くした傾斜面を形成し、
該傾斜面に前記組合せ選択された物品の計量皿を識別表示する複数のインジケータを配設したことを特徴とする組合せ計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−112473(P2011−112473A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268303(P2009−268303)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)