説明

組合せ計量装置

【課題】不良品に関する種々の処理を行うことが可能な組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】決定部6は、複数の計量部2のうち一の計量部2に載置された複数の物品が作業者により各々当該計量部2から降ろされた際に、複数の物品の重量合計値が減算されることにより当該降ろされた物品の重量値を認識する。そして、決定部6は、認識した重量値に基づいて物品をランクに振り分けるために、降ろされた物品(良品)を載置すべき他の計量部2を決定する。また、物品が不良品として振り分けられるべきものである場合にも、決定部6は、当該物品(不良品)を載置すべき他の計量部2を決定する。区分け部7は、ランク(Lサイズ、Mサイズ、Sサイズ、不良品)に基づいて、複数の計量部2の各々を複数のグループに区分けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の計量部によって得られた各物品の重量により組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に近い組合せとなるように計量部の組合せを選択して、組合せごとに識別表示する組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ計量については公知となっている。例えば、特許文献1には計量装置が開示されている。当該計量装置においては、品物を計量器にて許容誤差外の誤差重量を有する物、プラス目の許容誤差内の誤差重量を有する物およびマイナス目の許容誤差内の誤差重量を有する物の3ランクに選別し、上記許容誤差内の誤差重量を有する品物の重量または誤差重量をシフトレジスターに振り分けて記憶し、当該記憶値の組合せ演算を行い、所定重量または所定重量に最も近い重量を得るようにする。
【0003】
また、特許文献2には、組合せ計量装置が開示されている。当該組合せ計量装置においては、取り出された物品は物品重量測定部においてその重量が測定され、作業指示部によって予め設定される組合せ個数nに対して物品収納部に収納されている物品個数がnより少ない物品収納部のうちから選択されて収納位置が決定される。
【0004】
そして、収納位置・重量管理部では、これらの物品重量情報と位置情報とを対応付けて、さらに次に取り出されて未収納状態にある物品の重量とともに管理する。演算部では物品収納部ごとの全体の物品重量と未収納状態にある物品の重量とを含めて予め設定された物品の組合せ重量mになるような物品収納部および未収納状態にある物品の組合せを決定する。
【0005】
さらに、特許文献3には、組合せによる定量計重方法とその装置が開示されている。当該組合せによる定量計重方法とその装置においては、計量部に載せられている被計量物を入れた容器の総重量が記憶され、そこから1個の被計量物を取り出すことでその重量値が算出される。また、予め各記憶保管場所に置かれた複数の容器内の各重量値とが演算制御部で組合せ演算され、予め設定された定量範囲と比較されて上記各記憶保管場所に設けられた容器指示ランプにより指示された容器に上記1個の被計量物を投入することにより、組合せによる定量範囲内で目標値に最も近い定量計重を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭50−50066号公報
【特許文献2】特開2005−249406号公報
【特許文献3】特開平8−240474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の各装置では、物品が不良品である場合の処理について開示されていない。すなわち、物品が不良品である場合に、当該不良品としての物品の数量または全体数に対する割合等を知ることはできない。このように、従来の各装置では、不良品に関する種々の処理を行うことができない。
【0008】
本発明の目的は、不良品に関する種々の処理を行うことが可能な組合せ計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)一の局面に従う組合せ計量装置は、計量皿に対して物品を手動で載降する組合せ計量装置であって、複数の計量皿上の物品の重量をそれぞれ計量する複数の計量部と、複数の計量部のうち少なくとも一の計量部に載置された複数の物品がそれぞれ当該計量部から降ろされた際に、当該複数の物品の重量合計値が減算されることにより当該降ろされた物品の重量値を認識し、当該重量値に基づいて、降ろされた物品を不良品として載置すべき他の計量部を決定する決定部と、を備えるものである。
【0010】
一の局面に従う組合せ計量装置においては、複数の計量皿上の物品の重量が複数の計量部によりそれぞれ計量される。複数の計量部のうち少なくとも一の計量部に載置された複数の物品がそれぞれ当該計量部から作業者によって降ろされた際に、当該複数の物品の重量合計値が減算されることにより当該降ろされた物品の重量値が決定部により認識され、当該重量値に基づいて、降ろされた物品を不良品として載置すべき他の計量部が決定される。
【0011】
この場合、作業者により計量部から物品が降ろされた際に、当該計量部の重量合計値が減算されることによって当該物品の重量値が認識できる。また、これらの物品は少なくとも一の計量部に載置されているので、例えば2以上の計量部に載置した場合には、多くの物品の重量値を簡単な方法で認識できる。
【0012】
また、上記のように物品の重量値の認識の際に、降ろされた物品を不良品として載置すべき他の計量部が決定されることによって、複数の物品のうち不良品を分別できる。これにより、商品出荷の前段階において不良品を確実に除外できる。
【0013】
(2)決定部は、降ろされた物品を良品として載置すべきさらに他の計量部を決定してもよい。
【0014】
この場合、降ろされた物品を良品として載置すべきさらに他の計量部、具体的には、物品の重量値に基づいて載置すべき、Lサイズ、MサイズおよびSサイズといったランクに区分けしたいずれかの計量部が決定部により決定される。それにより、複数の物品をサイズランクに基づいて仕分けすることができる。
【0015】
また、降ろされた物品の重量値が決定部により認識されるが、当該物品をさらに他の計量部に載置することによって、決定部により認識された重量値の適切性、すなわち重量検品を行うことができる。
【0016】
(3)組合せ計量装置は、決定部により決定された他の計量部およびさらに他の計量部の計量結果に基づいて、全体重量に対する各計量結果の割合および良品と不良品との割合を算出する算出部をさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、例えば、全体重量に対する各ランクに属する物品重量の割合および良品と不良品との割合を当該組合せ計量装置において算出することができ、一台の組合せ計量装置において種々の処理を行うことができる。また、良品と不良品との割合の情報を生産者にフィードバックすることで、当該生産者は例えば収穫作業における良品・不良品の選別に留意できる。
【0018】
(4)組合せ計量装置は、重量値に基づいて物品をサイズごとに仕分けするために、複数の計量部の各々を複数のグループに区分けする区分け部をさらに備え、決定部は、重量値に基づいて、区分け部により複数のグループに区分けされたいずれの計量部に物品を載置すべきかを決定してもよい。
【0019】
この場合、重量値に基づいて物品をサイズごとに仕分けするために、複数の計量部の各々が区分け部により複数のグループに区分けされる。また、重量値に基づいて、区分け部により複数のグループに区分けされたいずれの計量部に物品を載置すべきかが決定部により決定される。これにより、例えばサイズランクに基づいて区分けされた各計量部に物品を載置することで、当該物品をサイズランクごとに容易に仕分けすることができる。
【0020】
(5)組合せ計量装置は、計量部から降ろされた物品の重量値が決定部により認識された際に、当該物品をいずれのグループに属する計量部に載置すべきかについての旨を視覚的または聴覚的に報知する報知部をさらに備えてもよい。
【0021】
この場合、計量部から降ろされた物品の重量値が決定部により認識された際に、当該物品をいずれのグループに属する計量部に載置すべきかについて報知されるので、作業者の作業ミスを抑制または防止できる。
【0022】
(6)報知部は、各計量部にそれぞれ対応付けられ、それぞれ当該各計量部の近傍に設けられる複数の識別表示部を含んでもよい。
【0023】
この場合、作業者は、物品をいずれの計量部に載置すべきかについて、当該物品を載置すべき計量部の近傍に設けられた識別表示部により視覚的に明確に認識できるので、作業者は作業ミスを起こし難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る組合せ計量装置の概略的構成を示す斜視図である。
【図2】組合せ計量装置の構成を示すブロック図である。
【図3】組合せ計量装置における主要部の上視図である。
【図4】算出部により生成される算出データの一例を説明するための図である。
【図5】制御部による物品の仕分け処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本実施形態に係る組合せ計量装置100の概略的構成を示す斜視図であり、図2は組合せ計量装置100の構成を示すブロック図であり、図3は組合せ計量装置100における主要部の上視図である。
【0027】
図1に示すように、組合せ計量装置100は、物品の載置および降ろし(除去)を手動で行うものであって、本体1と、物品を計量する複数の計量部2と、計量部2から降ろされた物品の重量値が後述の決定部6により認識された際に、当該降ろされた物品をいずれの他の計量部2に載置すべきかについての識別表示を行う複数の識別表示部3と、種々のデータを表示するとともに作業者が操作するタッチパネル4と、各構成部を制御する制御部5とを主として備える。
【0028】
各計量部2の上部に設けられている各皿2a上に物品がそれぞれ載置されることにより、ロードセル等の重量検出器(図示せず)によって各物品の重量を計量できるようになっている。
【0029】
タッチパネル4は、液晶パネルであり、制御部5による制御に従って各種情報を画面に表示するとともに、作業者が画面の所定位置に触れることによって、所定の情報を入力することができるように構成されている。
【0030】
図2に示すように、制御部5は、決定部6、区分け部7、算出部8および判定部9を含む。制御部5は、図示しないCPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリーメモリ)等によって構成される。当該CPUがRAMまたはROMに格納されているプログラムを実行することによって、決定部6、区分け部7、算出部8および判定部9が機能的に実現されている。このようなプログラムは、当該プログラムが記録されたCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体および半導体メモリ等の記録媒体を含む可搬型の記録媒体からインストールすることが可能である。
【0031】
制御部5は、各構成部を制御する処理、例えば識別表示部3を表示させる処理および種々の情報をタッチパネル4へ出力する処理等を行う。
【0032】
図3に示すように、複数の計量部2は、計量部2−1〜2−12からなり、本体1上において2行6列の形態で設けられている。なお、各計量部2により計量された物品Wの重量データは、図示しないインターフェース等を介して、制御部5へと送信されるようになっている。
【0033】
識別表示部3は、複数種の色表示が可能なLEDなどの発光部からなり、計量部2−1〜2−12のそれぞれに一つずつ対応するように本体1に設けられている。また、タッチパネル4は、例えば、後述のグループG1〜G4に属する各計量部2の重量合計値等を表示する。
【0034】
ここで、本実施形態では、複数の物品WがトレーCに入れられ、当該トレーCが計量部2−7上に載置されている。トレーCには、重量値に基づいて例えばLサイズ、MサイズおよびSサイズのいずれかのランクに振り分けられる物品W1および不良品として振り分けられる物品W2が混入されている。なお、トレーCには不良品である物品W2が混入されていない場合もある。以下、物品Wと記載するときは、物品W1および物品W2を含むものとする。
【0035】
決定部6は、複数の計量部2のうち一の計量部である計量部2−7に載置された複数の物品Wが作業者により各々当該計量部2−7から降ろされた際に、複数の物品Wの重量合計値が減算されることにより当該降ろされた物品Wの重量値を認識する。
【0036】
また、決定部6は、認識した重量値に基づいて物品Wをランクに振り分けるために、降ろされた物品W(物品W1)を載置すべき他の計量部2を決定する。また、物品Wが不良品として振り分けられるべきものである場合にも、決定部6は、当該物品W(物品W2)を載置すべき他の計量部2を決定する。
【0037】
区分け部7は、ランク(本実施形態では、Lサイズ、Mサイズ、Sサイズ、不良品)に基づいて、複数の計量部2の各々を複数(本実施形態では4つ)のグループG1〜G4に区分けする。
【0038】
グループG1は、例えばLサイズの物品W1が分別されるためのグループであり、計量部2−1、2−2、2−8により構成される。グループG2は、例えばMサイズの物品W1が分別されるためのグループであり、計量部2−3、2−4、2−9、2−10により構成される。グループG3は、例えばSサイズの物品W1が分別されるためのグループであり、計量部2−5、2−11、2−12により構成される。グループG4は、不良品である物品W2が分別されるためのグループであり、計量部2−6により構成される。なお、図3においては、図面を見易くするため、各グループG1〜G4の図示を、対応する識別表示部3において行っている。
【0039】
識別表示部3は、対応付けされた計量部2がどのグループに属するかを示す識別表示を行う。当該識別表示は、単一色または同一色によって行われる。
【0040】
算出部8は、例えば、全体重量に対する各ランクに属する物品Wの重量の割合および良品(Lサイズ、Mサイズ、Sサイズ)と不良品との割合等を算出する。なお、詳細については後述する。
【0041】
判定部9は、複数の計量部2の各々による計量結果の変化を経時的に判定し、物品Wの載置または除去が行われるべきグループと異なるグループに属する計量部2による計量結果が変化した場合に異常と判定する。この場合、識別表示部3および音声出力装置11は、それぞれ当該異常を報知するための表示および音声出力を行う。それにより、作業者は作業ミスを確実に認識できる。
【0042】
高さ調整装置10は、次のように皿2aの高さを調整することができる。例えば、高さ調整装置10は、区分け部7によって区分けされたグループごとに当該グループ内の皿2aの高さを統一する。それにより、作業者は物品Wを載置すべきグループに属する計量部2を明確に認識でき、作業ミスをより一層減らすことができる。
【0043】
音声出力装置11は、上述したように、異常発生時に当該旨を音声で報知するとともに、計量部2−7から降ろされた物品Wをいずれのグループに属する計量部2に載置すべきかについて音声で報知する。この場合、音声出力装置11は、計量部2−7から降ろされた物品WがLサイズであるときには、音声で例えば「Lサイズ」と出力する。なお、このような音声出力とともに、Lサイズに属する計量部2−1、2−2、2−8にそれぞれ対応付けられた各識別表示部3による識別表示も行われる。
【0044】
本実施形態に係る組合せ計量装置100は、次の機能も有する。制御部5は、各計量部2によって得られた各物品Wの重量に基づいて組合せ演算を行い、得られた組合せ重量が目標重量に近い組合せとなるように、計量部2の組合せを選択する。
【0045】
例えば、1パック3個入りの明太子の商品を考える。各計量部2の皿2a上にそれぞれ明太子が載置される。目標重量は1パック3個入りで240gとする。
【0046】
制御部5により選択された3つの計量部2による各計量結果の合算値(組合せ重量)が240gであれば、これら3つの計量部2の組合せが目標重量に等しい組合せとなる。また、制御部5により選択された3つの計量部2による各計量結果の合算値(組合せ重量)が例えば235g〜245gであれば、これら3つの計量部2の組合せが目標重量に近い組合せとなる。この場合、識別表示部3は、目標重量に近い組合せとして制御部5により選択された各計量部2に関連付けされて、その旨を示す識別表示を行う。
【0047】
図4は算出部8により生成される算出データSDの一例を説明するための図である。図4に示すように、算出部8(図2)は、各計量部2の計量結果に基づいて算出データSDを生成する。当該算出データSDはタッチパネル4に表示される。
【0048】
算出データSDには、例えば、計量を行った全体個数、Lサイズ、Mサイズ、Sサイズといった各ランクの個数および不良品の個数、全体個数に対する各ランクおよび不良品の個数の割合(ランク比率)、ならびに良品と不良品との割合(良否比率)等が含まれる。
【0049】
図5は制御部5による物品Wの仕分け処理について示すフローチャートである。
【0050】
図5に示すように、制御部5は、最初に各グループに属する計量部2を割り当てる(ステップS1)。この場合、上述のように、制御部5は、計量部2−1、2−2、2−8をLサイズに対応するグループG1に属させ、計量部2−3、2−4、2−9、2−10をMサイズに対応するグループG2に属させ、計量部2−5、2−11、2−12をSサイズに対応するグループG3に属させ、計量部2−6を不良品に対応するグループG4に属させるよう決定する。なお、グループG1〜G4に属する各計量部2上には、物品W1または物品W2を収納するためのトレー(図示せず)が設けられている。
【0051】
続いて、作業者が計量部2−7に載置されている物品Wを一つ降ろした際に、制御部5は、計量部2−7の重量合計値からの減算に基づいて、当該降ろされた物品Wの重量を認識する(ステップS2)。この場合、計量部2−7に載置されている物品Wの当初重量合計値が例えば1000gであるときに、作業者が物品Wを一つ降ろした際の重量合計値が例えば980gとなれば、当該降ろされた物品Wの重量は20gとなる。
【0052】
次に、制御部5は、上記降ろされた物品Wの重量は20gであるので、当該物品W(物品W1)を例えばLサイズに対応するグループG1に属する計量部2−1、2−2、2−8に対応付けられた各識別表示部3を点灯させる(ステップS3)。これに伴って、音声出力装置11による所定の音声出力も行われる。この場合、作業者は、計量部2−7から降ろした物品W1を、計量部2−1、2−2、2−8のうちいずれかの計量部に載置すればよい。
【0053】
次いで、制御部5は、作業者が上記物品W1を載置した計量部2−1、2−2、2−8のいずれかによる計量結果を認識する(ステップS4)。なお、ステップS4における計量結果は累積される。
【0054】
次に、制御部5は、グループG1、G2、G3に属する各計量部2の計量合計値がそれぞれ所定重量に達したか否かを判別する(ステップS5)。グループG1、G2、G3に属する各計量部2のうち、計量合計値が所定重量に達した計量部2があれば(ステップS5においてYes)、制御部5は、所定重量に達した計量部2の対応付けられた識別表示部3に点灯表示させる(ステップS6)。これにより、作業者は、点灯されている識別表示部3を視認し、当該識別表示部3に対応する計量部2から物品W1を降ろし、次工程へ移送する。なお、上記の所定重量とは、Lサイズの場合、例えば300gである。
【0055】
これに対して、グループG1、G2、G3に属する各計量部2のうち、計量合計値が所定重量に達した計量部2が存在しなければ(ステップS5においてNo)、制御部5は上記ステップS2〜ステップS5の処理を繰り返す。
【0056】
計量合計値が所定重量に達した計量部2上の物品W1を収納するトレー(図示せず)は、その後、ラベル貼り付け装置等に移送され、ラベルが貼り付けられる。なお、計量部2−6に載置された不良品としての物品W2は、作業者により所定位置に移送されることにより処分等される。
【0057】
<本実施形態における効果>
本実施形態に係る組合せ計量装置100では、複数の計量部2のうち少なくとも一の計量部2(本実施形態では、計量部2−7)に載置された複数の物品Wがそれぞれ当該計量部2―7から作業者によって降ろされた際に、当該複数の物品Wの重量合計値が減算されることにより当該降ろされた物品Wの重量値が決定部6により認識され、当該重量値に基づいて、降ろされた物品Wを不良品として載置すべき他の計量部2が決定される。
【0058】
このように、物品Wの重量値の認識の際に、降ろされた物品Wを不良品として載置すべき他の計量部2が決定されることによって、複数の物品Wのうち不良品を分別できる。これにより、商品出荷の前段階において不良品を確実に除外できる。さらに、本実施形態では、これらの物品Wは少なくとも一の計量部2に載置されているので、例えば2以上の計量部2に載置した場合には、多くの物品Wの重量値を簡単な方法で認識できる。
【0059】
また、本実施形態では、計量部2−7から降ろされた物品Wを良品として載置すべき他の計量部2が決定部により決定される。具体的には、降ろされた物品Wの重量値に基づいて載置すべき、Lサイズ、MサイズおよびSサイズといったランクに区分けしたいずれかの計量部2が決定部6により決定される。それにより、複数の物品Wをサイズランクに基づいて容易に仕分けすることができる。
【0060】
さらに、降ろされた物品Wの重量値が決定部6により認識されるが、当該物品Wを他の計量部2に載置することによって、決定部6により認識された重量値の適切性、すなわち重量検品を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、決定部6により決定された他の計量部2の計量結果に基づいて、全体重量に対する各ランク結果の割合(ランク比率)および良品と不良品との割合(良否比率)等の情報を含む算出データSDが算出部8により生成される。それにより、一台の組合せ計量装置100において種々の処理を行うことができる。また、良否比率の情報を生産者にフィードバックすることで、当該生産者は例えば収穫作業における良品・不良品の選別に留意できる。
【0062】
また、本実施形態では、各計量部2にそれぞれ対応付けられ、それぞれ当該各計量部2の近傍に複数の識別表示部3が設けられていることにより、作業者は、物品Wをいずれの計量部2に載置すべきかについて、当該物品Wを載置すべき計量部2の近傍に設けられた識別表示部3の点灯動作等により明確に認識できる。それにより、作業者は作業ミスを起こし難くなる。
【0063】
さらに、本実施形態では、物品Wの載置または除去が行われるべきグループと異なるグループに属する計量部2による計量結果が変化した場合に、判定部9により異常が発生したと判定される。それにより、作業者が物品Wを載置すべき計量部2または物品Wを除去すべき計量部2を誤認した場合を確実に検知できる。
【0064】
<請求項の各構成要素と本実施形態の各構成部との対応関係>
上記実施形態においては、計量部2、2−1〜2−12が計量部に相当し、皿2aが計量皿に相当し、決定部6が決定部に相当し、物品W、W1、W2が物品に相当し、区分け部7が区分け部に相当し、識別表示部3が識別表示部に相当し、識別表示部3および音声出力装置11が報知部に相当し、組合せ計量装置100が組合せ計量装置に相当する。
【0065】
<変形例>
なお、上記実施形態では、複数の計量部2のうち一の計量部2−7に物品Wを載置することとしたが、これに限定されるものではなく、複数の計量部2に物品Wを載置してもよい。この場合、作業者が複数人いれば、物品Wが載置された各計量部2から物品Wを降ろす作業を分担することで、多くの物品Wの計量を効率よく行うことができる。
【0066】
また、上記実施形態では、良品としての物品W1を載置する構成部を計量部2としたが、これに限定されるものではなく、例えば番号を付して識別された単なる容器等に物品W1を載置することとしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、グループG1、G2、G3に属する計量部2をそれぞれ複数とし、グループG4に属する計量部2を単数としたが、これに限定されるものではなく、グループG1、G2、G3に属する計量部2を単数としてもよいし、グループG4に属する計量部2を複数としてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、物品WをLサイズ、MサイズおよびSサイズといったランクごとに仕分ける構成について説明したが、これに限定されるものではなく、上記実施形態に係る組合せ計量装置100において、物品Wを例えばA級およびB級のような等級ごとに仕分けてもよい。この場合、非破壊検査として画像認識処理を行うことで物品Wの等級を把握することができる。
【0069】
また、識別表示部3を、上述したように複数種の色表示が可能なLED等の発光部により構成してもよいし、発光部からの光をフィルム等を透過させることによって所定の色表示を行うこととしてもよい。
【0070】
また、識別表示部3の表示は、上記実施形態のように点灯により行ってもよいし、作業者が誤認しないのであれば点滅により行ってもよい。
【0071】
さらに、本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 本体
2、2−1〜2−12 計量部
2a 皿
3 識別表示部
4 タッチパネル
5 制御部
6 決定部
7 区分け部
8 算出部
9 判定部
11 音声出力装置
100 組合せ計量装置
G1〜G4 グループ
SD 算出データ
W、W1、W2 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量皿に対して物品を手動で載降する組合せ計量装置であって、
複数の前記計量皿上の物品の重量をそれぞれ計量する複数の計量部と、
前記複数の計量部のうち少なくとも一の計量部に載置された複数の前記物品がそれぞれ当該計量部から降ろされた際に、当該複数の物品の重量合計値が減算されることにより当該降ろされた物品の重量値を認識し、当該重量値に基づいて、前記降ろされた物品を不良品として載置すべき他の前記計量部を決定する決定部と、を備える、組合せ計量装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記降ろされた物品を良品として載置すべきさらに他の前記計量部を決定する、請求項1記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記決定部により決定された前記他の計量部およびさらに他の計量部の計量結果に基づいて、全体重量に対する各計量結果の割合および良品と不良品との割合を算出する算出部をさらに備える、請求項1または請求項2記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記重量値に基づいて前記物品をサイズごとに仕分けするために、前記複数の計量部の各々を複数のグループに区分けする区分け部をさらに備え、
前記決定部は、前記重量値に基づいて、前記区分け部により前記複数のグループに区分けされたいずれの前記計量部に前記物品を載置すべきかを決定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記計量部から降ろされた物品の重量値が前記決定部により認識された際に、当該物品をいずれの前記グループに属する前記計量部に載置すべきかについての旨を視覚的または聴覚的に報知する報知部をさらに備える、請求項4記載の組合せ計量装置。
【請求項6】
前記報知部は、各前記計量部にそれぞれ対応付けられ、それぞれ当該各計量部の近傍に設けられる複数の識別表示部を含む、請求項5記載の組合せ計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−133309(P2011−133309A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292246(P2009−292246)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)