組立て式箱状体と板材連結構造
【課題】
分解と組立てに係わる作業を簡単自在に行うことができる箱状体と、それに適する新規な板材連結構造を提供すること。
【解決手段】
【請求項1】
正面視四角形の板材11a等によって四面が形成された上方視矩形の枠体部1(又は10)と、この枠体部1の設置面2aを有し、該設置面2aに前記枠体部1を構成する前記板材をそれぞれ支持するガイド21等が設けられたベース部2と、を有している。前記枠体部1の角部に位置する第1連結部111と第2連結部122(又は、第1連結部121と第2連結部112)は、着脱自在な係止構造となっている。この係止構造は、連結されたいずれか一方の板材を、前記板材連結部を軸として所定角度以上傾倒させることによって、二枚の板材が分離される構成となっている。
分解と組立てに係わる作業を簡単自在に行うことができる箱状体と、それに適する新規な板材連結構造を提供すること。
【解決手段】
【請求項1】
正面視四角形の板材11a等によって四面が形成された上方視矩形の枠体部1(又は10)と、この枠体部1の設置面2aを有し、該設置面2aに前記枠体部1を構成する前記板材をそれぞれ支持するガイド21等が設けられたベース部2と、を有している。前記枠体部1の角部に位置する第1連結部111と第2連結部122(又は、第1連結部121と第2連結部112)は、着脱自在な係止構造となっている。この係止構造は、連結されたいずれか一方の板材を、前記板材連結部を軸として所定角度以上傾倒させることによって、二枚の板材が分離される構成となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解と組立てが自在な箱状体とその板材連結構造に関する。より詳しくは、板材を所定角度以上傾倒させるだけの簡易な作業で各板材に分解可能であるとともに、組立てた時にはその箱状形態が確実に維持されるように工夫された箱状体、並びにこれを実現可能な板材連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、物流の遠距離化、国際化が進み、さらには輸送物品の大型化、高精密化が進展している。周知の通り、様々な物流過程において、目的の物品を収容した状態で輸送に供されるケースやコンテナが利用されている。その代表的なものは、紙製ダンボール箱であるが、近年では、合成樹脂製ダンボールなどの板材が用いられたケース又はコンテナが使用される場合が増加している。
【0003】
合成樹脂製のケースやコンテナの普及は、繰り返し使用することのコストメリットや環境負荷軽減、耐久性や耐候性の向上、耐久強度の向上、原料リサイクル化、帯電防止性や抗菌性などの機能性付与が可能であることなどを技術的に追究し易いことが主な理由となっている。
【0004】
現在、この種の輸送用のケースやコンテナでは、物品輸送後に繰り返し使用するとき(即ち、通い箱として使用するとき)の嵩張りを少なくする目的から、折り畳み可能な構造を有するものが各種提案されている(特許文献1,2参照)。また、板材単位に分離して、パレット上に板材を積層できるように構成された組立て式コンテナも提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】実開平4−214738号公報。
【特許文献2】特開平6−211240号公報。
【特許文献3】特開2002−255165号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、上掲したような組立て式箱状体の分野では、種々の物品の輸送に機能面で適合するとともに、より簡略な構造であり、組立てと分解に手間がかからない構成を有するものが益々要求されていくものと考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、分解と組立てに係わる作業を簡単自在に行うことができる箱状体と、それに適する新規な板材連結構造を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明で提供する組立て式箱状体は、正面視四角形の板材によって四面が形成される上方視矩形の枠体部と、この枠体部の設置面を有し、該設置面に前記枠体部を構成する前記板材をそれぞれ支持するガイドが設けられたベース部と、を有している。そして、前記枠体部の角部に位置する板材連結部は、着脱自在な係止構造となっている。この係止構造は、連結されているいずれか一方の板材を、前記板材連結部を軸として所定角度以上、好適には、5°以上傾倒させることにより、二枚の板材が分離される構成となっている。なお、分離時に要求される最低傾倒角度が5°未満であると、上記枠体部が過剰に分離され易くなるので、枠体形態の維持という点においてあまり好ましくない。
【0008】
また、本発明に係る組立て式箱状体においては、分解された板材(例えば、四枚)を前記ベース部の設置面に積層した状態で、該ベース部に固定可能な所定の蓋部材で閉塞できるように工夫する。このような形態は嵩張らないので、物品収容現場へ戻すときの輸送効率(輸送時のスペース効率)が良い。
【0009】
本発明に係る組立て式箱状体に用いられる板材の材料、サイズ、厚み、構造などは特に限定されない。また、同組立て式箱状体は、ケースやコンテナなどの概念を広く含み、とりわけ物品を輸送するときのコンテナとして有用であり、上記ベース部をフォークリフト用のパレットとして使用するのも自由である。
【0010】
次に、本発明では、次の板材連結構造を提供する。まず、二枚の板材の端辺部を着脱自在に係止して連結する構造であって、一方の板材の端辺部に沿って設けられた第1連結部と、他方の板材の端辺部に沿って設けられ、前記第1連結部に係止可能な第2連結部と、からなる。そして、前記第1連結部は、先頭部と、該先頭部の端部から所定距離位置に形成された凹条溝と、を備えている。また、前記第2連結部は、前記先頭部を内包可能な空間と、前記凹条溝に嵌入するL字爪部と、を備えている。連結されているいずれか一方の板材を、当該連結部を軸として所定角度以上傾倒させることにより、二枚の板材を分離可能とする。
【0011】
ここで、前記した第1連結部や第2連結部は、板材と一体に成形してもよいが、これらの構造部と板材とを別体に形成して、板材の端辺部にそれぞれ好適な手段で取り付けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る組立て式箱状体やその板材連結構造によれば、板材を所定角度以上傾倒させるだけの簡易な作業で各板材に分解可能であるとともに、板材の連結作業も簡単であり、さらに、組立て時にはその箱状の形態が確実に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0014】
まず、図1は、本発明に係る組立て式箱状体を構成する枠体部の一実施形態例を上方から視たとき(上方視したときの)平面図である。
【0015】
この図1中に符号1で示された上方視四角形の枠体部は、箱状体を構成する四面側壁部として機能する部分であり、計四枚の板材11a,11b,12a,12bから構成されている(図1参照)。なお、該枠体部1の内側には、目的の物品を収容可能な容積に設計された空間Sが形成されている(図1参照)。
【0016】
本発明で利用できる板材11a,11b,12a,12bのサイズ、厚み、材料、構造等は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設計すればよい。例えば、材料は、木製、金属製、合成樹脂製などの材料を広く利用することができ、その構造は、内実体構造、発泡構造、多孔質構造、中芯構造(リブ構造)を有するものなどを広く利用できる。なお、ダンボールの中芯構造(図示せず。)を、上下方向に配置することによって、枠体部1に対する上方からの荷重に対する強度を向上できる。
【0017】
枠体部1の対向する一組の板材11a,11bはそれぞれ、第1連結部111が設けられている端辺部と、この第1連結部に係止する第2連結部112が設けられた逆側の端辺部と、を有している。また、この枠体部1を構成する長手方向の板材12aは、その両端辺部に(前記第1連結部111と同様の形状の)第1連結部121が設けられており、一方の板材12bの両端辺部には(前記第2連結部112と同様の形状の)第2連結部122が設けられている(図1参照)。
【0018】
ここで、図1中に符号Xで示された角部に位置する連結部の構造について、当該部分の拡大図である図2を参照しながら説明する。この連結部Xは、板材11aの一端辺部に設けられた第1連結部111と、板材12bの一端辺部に設けられた第2連結部122と、が係止状態で連結された構造となっている。
【0019】
第1連結部111は、所定形状の先頭部1111と、該先頭部1111の端部1111aから所定距離位置の外面部位に形成された凹条溝1112と、を備えている。一方の第2連結部122は、前記先頭部1111を内包可能な空間1221と、前記凹条溝1112に嵌入する先端屈曲部1222aを有するL字爪部1222と、を備えている。
【0020】
図2の(I)は、板材11aと12bが直交し、第1連結部111と第2連結部122が係止固定されている状態を示している。一方、図2の(II)は、第1連結部111を有する板材11aを空間S側(図2矢印A方向)へ角度αだけ傾倒した状態が示されている。この傾倒状態では、第2連結部122の先端屈曲部1222aが第1連結部111の凹条溝1112から抜け切って係止状態が解除されている(図2(II)参照)。このため、簡単に板材11aを図2矢印B方向にスライドさせると、該板材11aを一方の板材12bから分離することができる。
【0021】
次に、図1中に符号Yで示された角部に位置する連結部の構造について、当該部分の拡大図である図3を参照しながら説明する。この連結部Yは、板材12aの一端辺部に設けられた第1連結部121と、板材11bの一端辺部に設けられた第2連結部112と、が係止状態で連結された構造となっている。
【0022】
第1連結部121は、所定形状の先頭部1211と、該先頭部1211の端部1211aから所定距離位置の外面部位に形成された凹条溝1212と、を備えている。一方の第2連結部112は、前記先頭部1211を内包可能な空間1121と、前記凹条溝1212に嵌入する先端屈曲部1222aを有するL字爪部1122と、を備えている。
【0023】
図3の(I)は、板材12aと11bが直交し、第1連結部121と第2連結部112が係止固定されている状態を示している。一方、図3の(II)は、第2連結部112を有する板材11bを空間S側(図3の矢印C方向)へ角度βだけ傾倒した状態が示されている。この傾倒状態では、第2連結部112の先端屈曲部1122aが第1連結部121の凹条溝1212から抜け切って係止状態が解除されている(図3(II)参照)。このため、板材11bを、例えば、図3矢印D方向へスライドさせると、該板材11bを一方の板材12aから簡単に分離することができる。
【0024】
ここで、図2に示されている(板材11aの)傾倒角度αや図3に示されている(板材11bの)傾倒角度βは、これらの角度が5°以上、より好ましくは6°以上となったときに、第2連結部の先端屈曲部1222a(図2),1122a(図3)が、それぞれ凹条溝1112,1212から抜け切って、係止状態が解除されるように工夫するとよい。なお、分離時に要求される最低傾倒角度αやβが5°未満であると、上記枠体部1が過剰に分離されて形態が解体され易くなるので、枠体形態の維持という点においてあまり好ましくない。
【0025】
第1連結部111,121や第2連結部112,122は、板材と一体に成形してもよいが、板材の性質上、この一体成形が困難な場合は、図4に示すような実施形態を採用し得る。図4の実施形態例では、板材11aの端辺部11a1や板材12bの端辺部12b1に、板材とは別体に形成された合成樹脂製や金属製などの連結具13,14を嵌め込み、ボルト等の固定具15で固定している。なお、連結具13,14の固定方法は、適宜選択可能であり、特に限定されない。
【0026】
連結具13は、上記した第1連結部111,121と同様の形態構成であり、連結具14は、上記した第2連結部112,122と同様の形態構成を備えている。したがって、連結具13,と14の係止構造も同様であるので、ここでは、係止構造の説明を割愛する。
【0027】
続いて、図5は、上記枠体部1の変形形態の一例を示す上方視平面図である。この図5に示された枠体部10の計四箇所の角部における板材連結構造については、上記枠体部1と同様である(説明省略)。上記枠体部1と異なる点は、所定間隔で板材下端部近傍に棒状の突起部113,113が設けられた板材11cと、同様の突起部114,114が設けられた板材11dと、を採用していることである。なお、長手方向の板材12a,12bは、枠体部1と共通である。
【0028】
図6は、上記枠体部1や枠体部10を設置するためのベース部の実施形態の一例を示す図である。特に、図6に符号2で示されたベース部は、枠体部10(図5参照)に適合するように工夫されたものである。以下、枠体部10が採用されたものとして説明する。
【0029】
このベース部2の上面2aは、枠体部10の設置面として機能する。この設置面2aに対して起立状態で枠体部10が設置されたとき、当該設置面2aは箱状体の底面として機能する。単に、設置面2aに枠体部10を載置しただけでは、位置決めがされないし、外力が加わると、枠体部10の枠体形態を維持することも困難となる。
【0030】
そこで、本ベース部2では、設置面2aを四方向から取り囲むように、縦断面L字状をなす所定長のガイド21,22,23,24を配置している(図6参照)。ガイド21〜24は、いずれも設置面2aに固定されている。ガイド21〜24の固定手段は、特に限定されず、また、材料も木製、金属製、合成樹脂製などを含み、狭く限定されない。
【0031】
ガイド21〜24は、枠体部10を構成する計四面の板材11c,11d,12a,12bをそれぞれの下端部(設置面2a側の端部)において支持し、枠体形態の維持に寄与する。なお、ベース部2の側面に形成された矩形孔25,25は、該ベース部2をパレットとして機能させるときに使用するフォークリフト車のフォーク挿入用の孔である。
【0032】
ガイド21の起立板部21aには、所定間隔で二つの孔211,211が形成されている。このガイド21に対向する側に配置されたガイド22の起立板部22aにも、同様の孔221,221が形成されている。ガイド21の孔211,211には、板材11c(図5参照)の下端部に形成された突起部113,113が挿入され、ガイド22の孔221,221には、板材11d(図5参照)の下端部に形成された突起部114,114が挿入される。
【0033】
ここで、図7は、ベース部2のガイド22の内側に板材11dのみが設置されたときの該ガイド22周辺の部分斜視図である。この図7に示されているように、板材11dは、起立状態でベース部2の設置面2aに載置されている。該板材11dの外面Fの下端部は、ガイド22の起立板部22aの内側面に接した状態とされている(図7参照)。このため、板材11dは、外側方向へのズレが防止された状態で支持されている。このような構成は、反対側のガイド21と板材11c(図5参照)の関係においても同様であり、さらに他の板材12a、12bでも同様である。
【0034】
続いて、図8は、ベース部2に枠体部10が設置された状態を上方視したときの平面図に基づいて、枠体部10の分解工程を五段階(a〜e)で示す図である。図9は、同分解工程を五段階(a〜e)で示す斜視図である。なお、図8と図9の分解段階はすべて対応している。図8のガイド21〜24は、視覚的便宜上、すべて仮想線で示している。以下、図8、図9を同時に参照しながら、分解工程を順次説明する。
【0035】
(a)工程。
この工程段階では、長手方向に位置する板材12bを上方側へ引き抜く(図9(a)の矢印E参照)。なお、板材12bと板材11c、11dの連結部は、上記したような係止構造となっているのみであるので、板材12bは、板材11c,11dに対して上下にスライド自在になっている。
【0036】
(b)工程。
図8、図9の(b)では、枠体部10から板材12bが引き抜かれた後の上方視「コ」の字状に残る三枚の板材11c,11d,12aが、いまだ連結されて起立している状態が示されている。なお、この一方向開口する形態では、開口部26(図9参照)から空間S内へ、物品の出し入れを行うことができる
【0037】
この(b)形態では、開口部26の入り口に位置する板材11c,11dの端辺部(板材12bと連結していた部分)が、いずれも第一連結部111,111となっているため、空間Sに対する突起障害物がない。このため、物品の出し入れ作業をスムーズに行うことができる。仮に、板材11c,11dの前記端辺部が第2連結部112であると、そのL字爪部1122(例えば、図7参照)が空間Sへ突出するので、物品の出し入れ作業の障害となるおそれがある。したがって、枠体部10のような形態では、最初に引き抜く板材は、板材12aではなく、符号12bの板材であることが望ましい。
【0038】
(c)工程。
この工程では、幅方向に位置する板材11dを所定角度以上、空間S側へ傾倒する(図8、図9の矢印G参照)。この過程で、突起部114,114がガイド22の孔221,221から抜け切る。続いて、板材11dを上方へ引き抜く動作を行いながら、板材12aから分離する。
【0039】
(d)工程。
次に、もう一方の幅方向に位置する板材11cを所定角度以上、空間S側へ傾倒する(図8、図9の矢印H参照)。この過程で、突起部113,113(図5参照)がガイド21の孔211,211から抜け切る。続いて、板材11dを上方へ引き抜く動作を行いながら、板材12aから分離する。
【0040】
(e)工程。
図8、図9の(e)では、枠体部10から板材12b,板材11d,板材11cが分離された後に、設置面2aに残った最後の一枚の板材12aのみが起立状態で示されている(分解工程完了)。
【0041】
図10は、上記(c)工程をより詳しく説明するための図であり、図8の符号Zで示した部分の拡大図である。この図10では、板材12aに対して板材11dが内側(空間S側)へ所定角度以上(例えば5°以上)傾倒されており、このとき、板材11dの外面Fから突出する突起部114が隣接するガイド22の起立板部22aの孔221から抜け切っている。また同時に、板材11dの第2連結部121の先端屈曲部1122aは、板材12aの第1連結部121の凹条溝1212から抜け切っている。この状態になったとき、板材11dは、板材12aから簡易な引き抜き作業により分離可能となる。
【0042】
図11では、すべての分解工程が完了した後に、分離された四枚の板材11c,11d,12a,12bをベース部2の設置面2aに積層し、上方から蓋部材3を、設置面2aを覆うように被せて閉塞する作業の様子を示している。これにより、板材11c,11d,12a,12bは蓋部材3によって閉塞された状態で、再び物品収容現場へ返送される。
【0043】
なお、蓋部材3を構成する四方壁の各内壁面は、ベース部2の設置面2aに形成されているガイド21〜24の起立板部の外壁面に近接して対向する配置関係とされて閉塞される。また、蓋部材3のはずれを防止するため、蓋部材3とベース部2を固定する手段、例えば、ベルト固定手段等(図示せず。)を設けるのが好適である。
【0044】
次に、図12〜図14は、枠体部1(図1参照)を採用した場合の分解工程の一例を示す図である。本分解工程では、まず、図12(I)に示すように、板材12a,12bを、ガイド23,24の起立板部の上端部に乗り上げ可能な位置まで引き上げる(矢印K参照。なお、全部引き抜かない)。
【0045】
続いて、図12(II)に示すように、板材11a,11bを矢印L,L方向へスライドさせて、枠体部1を上方視平行四辺形になるように変形させる。このとき、引き上げた板材12a,12bは、ガイド23,24にそれぞれ乗り上げた状態とする。
【0046】
図13は、板材11a,11bのスライドに係わる好適な板材及びガイド間の構造を示す図である。板材11bを例とすると、該板材11bが支持されているガイド22の起立板部の左右端部近傍にそれぞれ長孔22b,22bを形成しておき、一方の板材11bの対応する位置にボルト16,16を突設させておく。
【0047】
ボルト16,16は、所定のスライド位置において(図13参照)、前記長孔22b,22bの一部に形成された大孔部22c,22cに挿入可能とされ、その逆方向にスライドさせると、ボルト16,16は、長孔22b,22bの狭小孔部22d,22dに位置へスライド移動して、ボルト16,16の傘状頭部161,161がストッパーとなって、引き抜き不可能な状態となる。
【0048】
上記した構成を前提として、以下、ベース部2上で行われる枠体部1の分解工程を図14に従って説明する。
【0049】
(a)工程。図14の(a)の状態は、上記した図12の(II)の状態から開始された状態に対応している。即ち、既に、長手方向に位置する板材12a,12bは、それぞれが対応するガイド23,24に乗り上げ、枠体部1が上方視平行四辺形とされている。この状態から、板材11bを内側方向(図14の矢印M方向)へ傾倒させた後に分離する。
【0050】
(b)工程。続いて、図14の(b)の段階では、板材12aを外側方向(図14の矢印N方向)へ傾倒させた後に分離する。
【0051】
(c)工程。この段階では、前工程の板材12aに引き続いて、同長手方向の板材12bを外側方向(図14の矢印O方向)へ傾倒した後に分離する。
【0052】
(d)工程。この工程段階では、板材11aのみがベース部2の設置面2aに起立状態で残っている。
【0053】
(e)工程。この工程段階は、分離されたすべての板材11a,11b,12a,12bがベース部2上に再度集められてきた段階である。
【0054】
(f)工程。この工程段階は、すべての板材11a,11b,12a,12bがベース部2の設置面2aに積層された段階である。なお、この段階に続いて、図11と同様に、蓋部材3を上方から被せて、設置面2aに積層された板材11a,11b,12a,12bを閉塞する(図11参照)。
【0055】
以上、図1〜図14を参照しながら、本発明の構成を実施形態例に基づいて説明してきた。物品を収容して輸送するときは、ベース部2上に起立状態にある枠体部1や10に対して蓋部材3(図11参照)を被せた形態とすることで、空間S(図1等参照)を、上方、四方、底面において閉塞した状態で行うようにする。なお、このとき、枠体部1又は10と蓋部材3とを固定できるように工夫する。一例を挙げると、いずれかの板材(少なくとも対向する一対の板材)の外面所定箇所に固定具を設けておき、この固定具に蓋部材3の対応する位置に設けられたベルトをはめ込んで固定するようにする。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、物品の輸送又は保管に適するケースやコンテナとして利用することができる。特に、物品収容現場と物品の輸送目的地との間を行き来する、いわゆる通い箱として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る組立て式箱状体を構成する枠体部の一実施形態例を上方から視たとき(上方視したときの)平面図である。
【図2】図1のX部分の拡大図である(連結構造を示す)。
【図3】図1のY部分の拡大図である(連結構造を示す)。
【図4】板材と別体に形成された第1連結部と第2連結部を用いる実施形態を示す図である。
【図5】枠体部の変形実施形態例を示す上方視平面図である。
【図6】枠体部(1,10)を設置するためのベース部(2)の実施形態の一例を示す図である。
【図7】ベース部(2)のガイド(22)の内側に、一つの板材(11d)のみが設置されたときの該ガイド(22)周辺の部分斜視図である。
【図8】ベース部(2)に枠体部(10)が設置された状態を上方視したときの平面図を用いて、枠体部(10)の分解工程を五段階(a〜e)で示す図である。
【図9】同分解工程を五段階(a〜e)で示す斜視図である。
【図10】分解工程の(c)工程段階をより詳しく説明するための図であり、図8の符号Zで示した部分の拡大図である。
【図11】すべての分解工程が完了した後に、分離された四枚の板材(11c,11d,12a,12b)をベース部(2)の設置面(2a)に積層し、上方から蓋部材(3)を、設置面2aを覆うように閉塞した状態を示す図である。
【図12】枠体部(1)の分解工程の初期段階を説明するための図である。
【図13】枠体部(1)を構成する板材(11b)のスライド作業に係わる構成を説明するための図である。
【図14】枠体部(1)の分解工程段階を、順を追って説明するための図である
【符号の説明】
【0058】
1,10 枠体部
2 ベース部
3 蓋部材
11a,11b,11c,11d (幅方向の)板材
12a,12b (長手方向の)板材
111,121 第1連結部
112,122 第2連結部
1111,1211 (第1連結部の)先頭部
1112,1212 (第1連結部の)凹条溝
1121,1221 (先頭部1111を内包可能な)空間
1122,1222 (第2連結部の)L字爪部
α,β 板材を傾倒する必要角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解と組立てが自在な箱状体とその板材連結構造に関する。より詳しくは、板材を所定角度以上傾倒させるだけの簡易な作業で各板材に分解可能であるとともに、組立てた時にはその箱状形態が確実に維持されるように工夫された箱状体、並びにこれを実現可能な板材連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、物流の遠距離化、国際化が進み、さらには輸送物品の大型化、高精密化が進展している。周知の通り、様々な物流過程において、目的の物品を収容した状態で輸送に供されるケースやコンテナが利用されている。その代表的なものは、紙製ダンボール箱であるが、近年では、合成樹脂製ダンボールなどの板材が用いられたケース又はコンテナが使用される場合が増加している。
【0003】
合成樹脂製のケースやコンテナの普及は、繰り返し使用することのコストメリットや環境負荷軽減、耐久性や耐候性の向上、耐久強度の向上、原料リサイクル化、帯電防止性や抗菌性などの機能性付与が可能であることなどを技術的に追究し易いことが主な理由となっている。
【0004】
現在、この種の輸送用のケースやコンテナでは、物品輸送後に繰り返し使用するとき(即ち、通い箱として使用するとき)の嵩張りを少なくする目的から、折り畳み可能な構造を有するものが各種提案されている(特許文献1,2参照)。また、板材単位に分離して、パレット上に板材を積層できるように構成された組立て式コンテナも提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】実開平4−214738号公報。
【特許文献2】特開平6−211240号公報。
【特許文献3】特開2002−255165号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、上掲したような組立て式箱状体の分野では、種々の物品の輸送に機能面で適合するとともに、より簡略な構造であり、組立てと分解に手間がかからない構成を有するものが益々要求されていくものと考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、分解と組立てに係わる作業を簡単自在に行うことができる箱状体と、それに適する新規な板材連結構造を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明で提供する組立て式箱状体は、正面視四角形の板材によって四面が形成される上方視矩形の枠体部と、この枠体部の設置面を有し、該設置面に前記枠体部を構成する前記板材をそれぞれ支持するガイドが設けられたベース部と、を有している。そして、前記枠体部の角部に位置する板材連結部は、着脱自在な係止構造となっている。この係止構造は、連結されているいずれか一方の板材を、前記板材連結部を軸として所定角度以上、好適には、5°以上傾倒させることにより、二枚の板材が分離される構成となっている。なお、分離時に要求される最低傾倒角度が5°未満であると、上記枠体部が過剰に分離され易くなるので、枠体形態の維持という点においてあまり好ましくない。
【0008】
また、本発明に係る組立て式箱状体においては、分解された板材(例えば、四枚)を前記ベース部の設置面に積層した状態で、該ベース部に固定可能な所定の蓋部材で閉塞できるように工夫する。このような形態は嵩張らないので、物品収容現場へ戻すときの輸送効率(輸送時のスペース効率)が良い。
【0009】
本発明に係る組立て式箱状体に用いられる板材の材料、サイズ、厚み、構造などは特に限定されない。また、同組立て式箱状体は、ケースやコンテナなどの概念を広く含み、とりわけ物品を輸送するときのコンテナとして有用であり、上記ベース部をフォークリフト用のパレットとして使用するのも自由である。
【0010】
次に、本発明では、次の板材連結構造を提供する。まず、二枚の板材の端辺部を着脱自在に係止して連結する構造であって、一方の板材の端辺部に沿って設けられた第1連結部と、他方の板材の端辺部に沿って設けられ、前記第1連結部に係止可能な第2連結部と、からなる。そして、前記第1連結部は、先頭部と、該先頭部の端部から所定距離位置に形成された凹条溝と、を備えている。また、前記第2連結部は、前記先頭部を内包可能な空間と、前記凹条溝に嵌入するL字爪部と、を備えている。連結されているいずれか一方の板材を、当該連結部を軸として所定角度以上傾倒させることにより、二枚の板材を分離可能とする。
【0011】
ここで、前記した第1連結部や第2連結部は、板材と一体に成形してもよいが、これらの構造部と板材とを別体に形成して、板材の端辺部にそれぞれ好適な手段で取り付けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る組立て式箱状体やその板材連結構造によれば、板材を所定角度以上傾倒させるだけの簡易な作業で各板材に分解可能であるとともに、板材の連結作業も簡単であり、さらに、組立て時にはその箱状の形態が確実に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0014】
まず、図1は、本発明に係る組立て式箱状体を構成する枠体部の一実施形態例を上方から視たとき(上方視したときの)平面図である。
【0015】
この図1中に符号1で示された上方視四角形の枠体部は、箱状体を構成する四面側壁部として機能する部分であり、計四枚の板材11a,11b,12a,12bから構成されている(図1参照)。なお、該枠体部1の内側には、目的の物品を収容可能な容積に設計された空間Sが形成されている(図1参照)。
【0016】
本発明で利用できる板材11a,11b,12a,12bのサイズ、厚み、材料、構造等は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設計すればよい。例えば、材料は、木製、金属製、合成樹脂製などの材料を広く利用することができ、その構造は、内実体構造、発泡構造、多孔質構造、中芯構造(リブ構造)を有するものなどを広く利用できる。なお、ダンボールの中芯構造(図示せず。)を、上下方向に配置することによって、枠体部1に対する上方からの荷重に対する強度を向上できる。
【0017】
枠体部1の対向する一組の板材11a,11bはそれぞれ、第1連結部111が設けられている端辺部と、この第1連結部に係止する第2連結部112が設けられた逆側の端辺部と、を有している。また、この枠体部1を構成する長手方向の板材12aは、その両端辺部に(前記第1連結部111と同様の形状の)第1連結部121が設けられており、一方の板材12bの両端辺部には(前記第2連結部112と同様の形状の)第2連結部122が設けられている(図1参照)。
【0018】
ここで、図1中に符号Xで示された角部に位置する連結部の構造について、当該部分の拡大図である図2を参照しながら説明する。この連結部Xは、板材11aの一端辺部に設けられた第1連結部111と、板材12bの一端辺部に設けられた第2連結部122と、が係止状態で連結された構造となっている。
【0019】
第1連結部111は、所定形状の先頭部1111と、該先頭部1111の端部1111aから所定距離位置の外面部位に形成された凹条溝1112と、を備えている。一方の第2連結部122は、前記先頭部1111を内包可能な空間1221と、前記凹条溝1112に嵌入する先端屈曲部1222aを有するL字爪部1222と、を備えている。
【0020】
図2の(I)は、板材11aと12bが直交し、第1連結部111と第2連結部122が係止固定されている状態を示している。一方、図2の(II)は、第1連結部111を有する板材11aを空間S側(図2矢印A方向)へ角度αだけ傾倒した状態が示されている。この傾倒状態では、第2連結部122の先端屈曲部1222aが第1連結部111の凹条溝1112から抜け切って係止状態が解除されている(図2(II)参照)。このため、簡単に板材11aを図2矢印B方向にスライドさせると、該板材11aを一方の板材12bから分離することができる。
【0021】
次に、図1中に符号Yで示された角部に位置する連結部の構造について、当該部分の拡大図である図3を参照しながら説明する。この連結部Yは、板材12aの一端辺部に設けられた第1連結部121と、板材11bの一端辺部に設けられた第2連結部112と、が係止状態で連結された構造となっている。
【0022】
第1連結部121は、所定形状の先頭部1211と、該先頭部1211の端部1211aから所定距離位置の外面部位に形成された凹条溝1212と、を備えている。一方の第2連結部112は、前記先頭部1211を内包可能な空間1121と、前記凹条溝1212に嵌入する先端屈曲部1222aを有するL字爪部1122と、を備えている。
【0023】
図3の(I)は、板材12aと11bが直交し、第1連結部121と第2連結部112が係止固定されている状態を示している。一方、図3の(II)は、第2連結部112を有する板材11bを空間S側(図3の矢印C方向)へ角度βだけ傾倒した状態が示されている。この傾倒状態では、第2連結部112の先端屈曲部1122aが第1連結部121の凹条溝1212から抜け切って係止状態が解除されている(図3(II)参照)。このため、板材11bを、例えば、図3矢印D方向へスライドさせると、該板材11bを一方の板材12aから簡単に分離することができる。
【0024】
ここで、図2に示されている(板材11aの)傾倒角度αや図3に示されている(板材11bの)傾倒角度βは、これらの角度が5°以上、より好ましくは6°以上となったときに、第2連結部の先端屈曲部1222a(図2),1122a(図3)が、それぞれ凹条溝1112,1212から抜け切って、係止状態が解除されるように工夫するとよい。なお、分離時に要求される最低傾倒角度αやβが5°未満であると、上記枠体部1が過剰に分離されて形態が解体され易くなるので、枠体形態の維持という点においてあまり好ましくない。
【0025】
第1連結部111,121や第2連結部112,122は、板材と一体に成形してもよいが、板材の性質上、この一体成形が困難な場合は、図4に示すような実施形態を採用し得る。図4の実施形態例では、板材11aの端辺部11a1や板材12bの端辺部12b1に、板材とは別体に形成された合成樹脂製や金属製などの連結具13,14を嵌め込み、ボルト等の固定具15で固定している。なお、連結具13,14の固定方法は、適宜選択可能であり、特に限定されない。
【0026】
連結具13は、上記した第1連結部111,121と同様の形態構成であり、連結具14は、上記した第2連結部112,122と同様の形態構成を備えている。したがって、連結具13,と14の係止構造も同様であるので、ここでは、係止構造の説明を割愛する。
【0027】
続いて、図5は、上記枠体部1の変形形態の一例を示す上方視平面図である。この図5に示された枠体部10の計四箇所の角部における板材連結構造については、上記枠体部1と同様である(説明省略)。上記枠体部1と異なる点は、所定間隔で板材下端部近傍に棒状の突起部113,113が設けられた板材11cと、同様の突起部114,114が設けられた板材11dと、を採用していることである。なお、長手方向の板材12a,12bは、枠体部1と共通である。
【0028】
図6は、上記枠体部1や枠体部10を設置するためのベース部の実施形態の一例を示す図である。特に、図6に符号2で示されたベース部は、枠体部10(図5参照)に適合するように工夫されたものである。以下、枠体部10が採用されたものとして説明する。
【0029】
このベース部2の上面2aは、枠体部10の設置面として機能する。この設置面2aに対して起立状態で枠体部10が設置されたとき、当該設置面2aは箱状体の底面として機能する。単に、設置面2aに枠体部10を載置しただけでは、位置決めがされないし、外力が加わると、枠体部10の枠体形態を維持することも困難となる。
【0030】
そこで、本ベース部2では、設置面2aを四方向から取り囲むように、縦断面L字状をなす所定長のガイド21,22,23,24を配置している(図6参照)。ガイド21〜24は、いずれも設置面2aに固定されている。ガイド21〜24の固定手段は、特に限定されず、また、材料も木製、金属製、合成樹脂製などを含み、狭く限定されない。
【0031】
ガイド21〜24は、枠体部10を構成する計四面の板材11c,11d,12a,12bをそれぞれの下端部(設置面2a側の端部)において支持し、枠体形態の維持に寄与する。なお、ベース部2の側面に形成された矩形孔25,25は、該ベース部2をパレットとして機能させるときに使用するフォークリフト車のフォーク挿入用の孔である。
【0032】
ガイド21の起立板部21aには、所定間隔で二つの孔211,211が形成されている。このガイド21に対向する側に配置されたガイド22の起立板部22aにも、同様の孔221,221が形成されている。ガイド21の孔211,211には、板材11c(図5参照)の下端部に形成された突起部113,113が挿入され、ガイド22の孔221,221には、板材11d(図5参照)の下端部に形成された突起部114,114が挿入される。
【0033】
ここで、図7は、ベース部2のガイド22の内側に板材11dのみが設置されたときの該ガイド22周辺の部分斜視図である。この図7に示されているように、板材11dは、起立状態でベース部2の設置面2aに載置されている。該板材11dの外面Fの下端部は、ガイド22の起立板部22aの内側面に接した状態とされている(図7参照)。このため、板材11dは、外側方向へのズレが防止された状態で支持されている。このような構成は、反対側のガイド21と板材11c(図5参照)の関係においても同様であり、さらに他の板材12a、12bでも同様である。
【0034】
続いて、図8は、ベース部2に枠体部10が設置された状態を上方視したときの平面図に基づいて、枠体部10の分解工程を五段階(a〜e)で示す図である。図9は、同分解工程を五段階(a〜e)で示す斜視図である。なお、図8と図9の分解段階はすべて対応している。図8のガイド21〜24は、視覚的便宜上、すべて仮想線で示している。以下、図8、図9を同時に参照しながら、分解工程を順次説明する。
【0035】
(a)工程。
この工程段階では、長手方向に位置する板材12bを上方側へ引き抜く(図9(a)の矢印E参照)。なお、板材12bと板材11c、11dの連結部は、上記したような係止構造となっているのみであるので、板材12bは、板材11c,11dに対して上下にスライド自在になっている。
【0036】
(b)工程。
図8、図9の(b)では、枠体部10から板材12bが引き抜かれた後の上方視「コ」の字状に残る三枚の板材11c,11d,12aが、いまだ連結されて起立している状態が示されている。なお、この一方向開口する形態では、開口部26(図9参照)から空間S内へ、物品の出し入れを行うことができる
【0037】
この(b)形態では、開口部26の入り口に位置する板材11c,11dの端辺部(板材12bと連結していた部分)が、いずれも第一連結部111,111となっているため、空間Sに対する突起障害物がない。このため、物品の出し入れ作業をスムーズに行うことができる。仮に、板材11c,11dの前記端辺部が第2連結部112であると、そのL字爪部1122(例えば、図7参照)が空間Sへ突出するので、物品の出し入れ作業の障害となるおそれがある。したがって、枠体部10のような形態では、最初に引き抜く板材は、板材12aではなく、符号12bの板材であることが望ましい。
【0038】
(c)工程。
この工程では、幅方向に位置する板材11dを所定角度以上、空間S側へ傾倒する(図8、図9の矢印G参照)。この過程で、突起部114,114がガイド22の孔221,221から抜け切る。続いて、板材11dを上方へ引き抜く動作を行いながら、板材12aから分離する。
【0039】
(d)工程。
次に、もう一方の幅方向に位置する板材11cを所定角度以上、空間S側へ傾倒する(図8、図9の矢印H参照)。この過程で、突起部113,113(図5参照)がガイド21の孔211,211から抜け切る。続いて、板材11dを上方へ引き抜く動作を行いながら、板材12aから分離する。
【0040】
(e)工程。
図8、図9の(e)では、枠体部10から板材12b,板材11d,板材11cが分離された後に、設置面2aに残った最後の一枚の板材12aのみが起立状態で示されている(分解工程完了)。
【0041】
図10は、上記(c)工程をより詳しく説明するための図であり、図8の符号Zで示した部分の拡大図である。この図10では、板材12aに対して板材11dが内側(空間S側)へ所定角度以上(例えば5°以上)傾倒されており、このとき、板材11dの外面Fから突出する突起部114が隣接するガイド22の起立板部22aの孔221から抜け切っている。また同時に、板材11dの第2連結部121の先端屈曲部1122aは、板材12aの第1連結部121の凹条溝1212から抜け切っている。この状態になったとき、板材11dは、板材12aから簡易な引き抜き作業により分離可能となる。
【0042】
図11では、すべての分解工程が完了した後に、分離された四枚の板材11c,11d,12a,12bをベース部2の設置面2aに積層し、上方から蓋部材3を、設置面2aを覆うように被せて閉塞する作業の様子を示している。これにより、板材11c,11d,12a,12bは蓋部材3によって閉塞された状態で、再び物品収容現場へ返送される。
【0043】
なお、蓋部材3を構成する四方壁の各内壁面は、ベース部2の設置面2aに形成されているガイド21〜24の起立板部の外壁面に近接して対向する配置関係とされて閉塞される。また、蓋部材3のはずれを防止するため、蓋部材3とベース部2を固定する手段、例えば、ベルト固定手段等(図示せず。)を設けるのが好適である。
【0044】
次に、図12〜図14は、枠体部1(図1参照)を採用した場合の分解工程の一例を示す図である。本分解工程では、まず、図12(I)に示すように、板材12a,12bを、ガイド23,24の起立板部の上端部に乗り上げ可能な位置まで引き上げる(矢印K参照。なお、全部引き抜かない)。
【0045】
続いて、図12(II)に示すように、板材11a,11bを矢印L,L方向へスライドさせて、枠体部1を上方視平行四辺形になるように変形させる。このとき、引き上げた板材12a,12bは、ガイド23,24にそれぞれ乗り上げた状態とする。
【0046】
図13は、板材11a,11bのスライドに係わる好適な板材及びガイド間の構造を示す図である。板材11bを例とすると、該板材11bが支持されているガイド22の起立板部の左右端部近傍にそれぞれ長孔22b,22bを形成しておき、一方の板材11bの対応する位置にボルト16,16を突設させておく。
【0047】
ボルト16,16は、所定のスライド位置において(図13参照)、前記長孔22b,22bの一部に形成された大孔部22c,22cに挿入可能とされ、その逆方向にスライドさせると、ボルト16,16は、長孔22b,22bの狭小孔部22d,22dに位置へスライド移動して、ボルト16,16の傘状頭部161,161がストッパーとなって、引き抜き不可能な状態となる。
【0048】
上記した構成を前提として、以下、ベース部2上で行われる枠体部1の分解工程を図14に従って説明する。
【0049】
(a)工程。図14の(a)の状態は、上記した図12の(II)の状態から開始された状態に対応している。即ち、既に、長手方向に位置する板材12a,12bは、それぞれが対応するガイド23,24に乗り上げ、枠体部1が上方視平行四辺形とされている。この状態から、板材11bを内側方向(図14の矢印M方向)へ傾倒させた後に分離する。
【0050】
(b)工程。続いて、図14の(b)の段階では、板材12aを外側方向(図14の矢印N方向)へ傾倒させた後に分離する。
【0051】
(c)工程。この段階では、前工程の板材12aに引き続いて、同長手方向の板材12bを外側方向(図14の矢印O方向)へ傾倒した後に分離する。
【0052】
(d)工程。この工程段階では、板材11aのみがベース部2の設置面2aに起立状態で残っている。
【0053】
(e)工程。この工程段階は、分離されたすべての板材11a,11b,12a,12bがベース部2上に再度集められてきた段階である。
【0054】
(f)工程。この工程段階は、すべての板材11a,11b,12a,12bがベース部2の設置面2aに積層された段階である。なお、この段階に続いて、図11と同様に、蓋部材3を上方から被せて、設置面2aに積層された板材11a,11b,12a,12bを閉塞する(図11参照)。
【0055】
以上、図1〜図14を参照しながら、本発明の構成を実施形態例に基づいて説明してきた。物品を収容して輸送するときは、ベース部2上に起立状態にある枠体部1や10に対して蓋部材3(図11参照)を被せた形態とすることで、空間S(図1等参照)を、上方、四方、底面において閉塞した状態で行うようにする。なお、このとき、枠体部1又は10と蓋部材3とを固定できるように工夫する。一例を挙げると、いずれかの板材(少なくとも対向する一対の板材)の外面所定箇所に固定具を設けておき、この固定具に蓋部材3の対応する位置に設けられたベルトをはめ込んで固定するようにする。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、物品の輸送又は保管に適するケースやコンテナとして利用することができる。特に、物品収容現場と物品の輸送目的地との間を行き来する、いわゆる通い箱として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る組立て式箱状体を構成する枠体部の一実施形態例を上方から視たとき(上方視したときの)平面図である。
【図2】図1のX部分の拡大図である(連結構造を示す)。
【図3】図1のY部分の拡大図である(連結構造を示す)。
【図4】板材と別体に形成された第1連結部と第2連結部を用いる実施形態を示す図である。
【図5】枠体部の変形実施形態例を示す上方視平面図である。
【図6】枠体部(1,10)を設置するためのベース部(2)の実施形態の一例を示す図である。
【図7】ベース部(2)のガイド(22)の内側に、一つの板材(11d)のみが設置されたときの該ガイド(22)周辺の部分斜視図である。
【図8】ベース部(2)に枠体部(10)が設置された状態を上方視したときの平面図を用いて、枠体部(10)の分解工程を五段階(a〜e)で示す図である。
【図9】同分解工程を五段階(a〜e)で示す斜視図である。
【図10】分解工程の(c)工程段階をより詳しく説明するための図であり、図8の符号Zで示した部分の拡大図である。
【図11】すべての分解工程が完了した後に、分離された四枚の板材(11c,11d,12a,12b)をベース部(2)の設置面(2a)に積層し、上方から蓋部材(3)を、設置面2aを覆うように閉塞した状態を示す図である。
【図12】枠体部(1)の分解工程の初期段階を説明するための図である。
【図13】枠体部(1)を構成する板材(11b)のスライド作業に係わる構成を説明するための図である。
【図14】枠体部(1)の分解工程段階を、順を追って説明するための図である
【符号の説明】
【0058】
1,10 枠体部
2 ベース部
3 蓋部材
11a,11b,11c,11d (幅方向の)板材
12a,12b (長手方向の)板材
111,121 第1連結部
112,122 第2連結部
1111,1211 (第1連結部の)先頭部
1112,1212 (第1連結部の)凹条溝
1121,1221 (先頭部1111を内包可能な)空間
1122,1222 (第2連結部の)L字爪部
α,β 板材を傾倒する必要角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視四角形の板材によって四面が形成された上方視矩形の枠体部と、
前記枠体部の設置面を有し、該設置面に前記枠体部を構成する前記板材をそれぞれ支持するガイドが設けられたベース部と、を有し、
前記枠体部の角部に位置する板材連結部は着脱自在な係止構造であって、
該係止構造は、連結されたいずれか一方の板材を、前記板材連結部を軸として所定角度以上傾倒させることにより、二枚の板材が分離される構成であることを特徴とする請求項1記載の組立て式箱状体。
【請求項2】
前記所定角度は、5°以上であることを特徴とする請求項1記載の組立て式箱状体。
【請求項3】
分解された板材が前記ベース部の設置面に積層された状態で、前記ベース部に固定可能な蓋部材で閉塞されることを特徴とする請求項1記載の組立て式箱状体。
【請求項4】
物品輸送用のコンテナ又はケースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立て式箱状体。
【請求項5】
二枚の板材の端辺部を着脱自在に係止して連結する構造であって、
一方の板材の端辺部に沿って設けられた第1連結部と、
他方の板材の端辺部に沿って設けられ、前記第1連結部に係止可能な第2連結部と、からなり、
前記第1連結部は、先頭部と、該先頭部の端部から所定距離位置に形成された凹条溝と、を備え、前記第2連結部は、前記先頭部を内包可能な空間と、前記凹条溝に嵌入するL字爪部と、を備えており、
いずれか一方の板材を、連結部を軸として所定角度以上傾倒させることにより、二枚の板材を分離可能とした板材連結構造。
【請求項6】
前記第1連結部と前記第2連結部は、板材とは別体に形成され、板材の端辺部にそれぞれ取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の板材連結構造。
【請求項1】
正面視四角形の板材によって四面が形成された上方視矩形の枠体部と、
前記枠体部の設置面を有し、該設置面に前記枠体部を構成する前記板材をそれぞれ支持するガイドが設けられたベース部と、を有し、
前記枠体部の角部に位置する板材連結部は着脱自在な係止構造であって、
該係止構造は、連結されたいずれか一方の板材を、前記板材連結部を軸として所定角度以上傾倒させることにより、二枚の板材が分離される構成であることを特徴とする請求項1記載の組立て式箱状体。
【請求項2】
前記所定角度は、5°以上であることを特徴とする請求項1記載の組立て式箱状体。
【請求項3】
分解された板材が前記ベース部の設置面に積層された状態で、前記ベース部に固定可能な蓋部材で閉塞されることを特徴とする請求項1記載の組立て式箱状体。
【請求項4】
物品輸送用のコンテナ又はケースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立て式箱状体。
【請求項5】
二枚の板材の端辺部を着脱自在に係止して連結する構造であって、
一方の板材の端辺部に沿って設けられた第1連結部と、
他方の板材の端辺部に沿って設けられ、前記第1連結部に係止可能な第2連結部と、からなり、
前記第1連結部は、先頭部と、該先頭部の端部から所定距離位置に形成された凹条溝と、を備え、前記第2連結部は、前記先頭部を内包可能な空間と、前記凹条溝に嵌入するL字爪部と、を備えており、
いずれか一方の板材を、連結部を軸として所定角度以上傾倒させることにより、二枚の板材を分離可能とした板材連結構造。
【請求項6】
前記第1連結部と前記第2連結部は、板材とは別体に形成され、板材の端辺部にそれぞれ取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の板材連結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−84087(P2007−84087A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273229(P2005−273229)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(502047257)中山産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(502047257)中山産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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