説明

組立式の瓶セット

本発明は、クリーム状またはゲル状の堅さを有する染毛剤または強力カラー剤と、家庭用の顕色剤および手入れ製品とを充填および輸送するのに使用される組立式の瓶セットに関する。この組立式の瓶セットは、閉じることができ、かつ圧縮することができる顕色剤用の瓶(1)と、閉じることができる下側開口(8)および上側開口(9)とピストン(10)とを有し、染毛剤または強力カラー剤を収容する硬い容器(5)と、毛髪手入れ製品用の瓶(12)とを備える。瓶(1)の密閉手段(3,4)が取り外され、次いでキャップ(7)が取り外された後に、容器(5)の底部に配置された開口(8)を有するくびれ部を、瓶(1)のくびれ部の開口(2)に挿入することができ、充填されている瓶(12)によってピストン(10)を容器(5)の底部まで移動させて、染毛剤または強力カラー剤を、容器(5)から瓶(1)に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム状またはゲル状の堅さ(consistency)を有する染毛剤または強力カラー剤(intensive colourations)と、家庭用の顕色剤および手入れ製品とを充填および輸送するのに使用される組立式の瓶セットに関する。
【背景技術】
【0002】
既成の染毛剤あるいは強力カラー剤の販売用パッケージは公知である。これらの場合、顕色剤と染毛剤または強力カラー剤は、必ず個別に容器に充填されて、それぞれにおいて個別に輸送される。液体の染毛剤または強力カラー剤は、通常は瓶に充填され、その瓶から問題なく注ぐことができる。これに対して、粘性の高い(クリーム状または強いゲル状の堅さを持つ)染毛剤または強力カラー剤は、チューブに充填されて輸送され、使用するときにチューブから押し出すことができる。さらに、ほとんどの場合、パッケージには毛髪手入れ用の他の薬剤も備えられている。既成の染毛剤または強力カラー剤は、これらに含まれている酸化性の成分を酸素から保護する目的で、製造後にそのまま瓶またはチューブに充填される。使用者は、染毛剤または強力カラー剤を家庭で使用するためには、個別に備えられる染毛剤または強力カラー剤に顕色剤を加えてそれらを混合しなければならない。この場合、正確に対応する分量が入っている顕色剤と、染毛剤または強力カラー剤との2つの成分を完全に一緒にして慎重に混合しなければならない。
【特許文献1】独国特許出願公開DE 101 15 503 A11号
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は、顕色剤と染毛剤または強力カラー剤との特定かつ完全な混合が可能であり、混合するときに手および衣服の汚れが防止され、それにもかかわらず、顕色剤と染毛剤または強力カラー剤を一緒にした後に、これらの成分の簡単かつ完全な混合が達成されるような組立式の瓶セットを構成することである。
【0004】
この目的を解決するため、組立式の瓶セットは、圧縮することができ、かつ閉じることができる顕色剤用の瓶と、閉じることができる上側開口および下側開口とピストンとを有し、染毛剤または強力カラー剤を収容する硬い容器と、毛髪手入れ製品用の圧縮可能な瓶とを備え、顕色剤瓶の密閉手段が取り外され、次いで容器の下側開口のキャップが取り外された後に、容器の底部に位置しているくびれ部が顕色剤瓶のくびれ部に挿入され、容器の上側キャップが取り外された後、毛髪手入れ製品が充填されている瓶によってピストンを容器の底部まで移動させて、染毛剤を容器から瓶に排出することを提案する。
【0005】
このように構成されている組立式の瓶セットは、染毛剤または強力カラー剤を容器から顕色剤の瓶に完全に送り出すことができるという利点を有する。このことは、選択されている色合いを得るうえで重要である。顕色剤の瓶に送り出された染毛剤または強力カラー剤は、その後、瓶を振ることによって顕色剤と十分に混合する。このようにして、染毛剤が完全に混合し、かつ手などを汚さずに染毛剤を扱うことができる。ピストン棒として機能する瓶には、毛髪手入れ製品(例えば、コンディショナ)が充填されている。これら2本の瓶と容器とを組み合わせることによって、使用法が単純かつ実用的である。
【0006】
容器は、自動調合装置(例えば、特許文献1参照に記載されている調合装置)のホルダに懸架することができるように、その上側開口の下に環状カラー(circumferential collar)を有する。充填される染毛剤または強力カラー剤のさまざまな成分は、最後に、すなわち最上層として耐酸化性の成分が充填されるように、容器に注入される。これは、染毛剤または強力カラー剤が収容されているときに容器に残っている酸素による酸化が起こることを防ぐためである。さらに、染毛剤または強力カラー剤を入れる前に不活性ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)を充填することによっても、容器の内容物を酸化から保護することができる。
【0007】
容器自体は、PVCやガラスなどの酸素を浸透させない材料から成る。容器のキャップは、製造上の理由から、いずれも例えばPP(ポリプロピレン)によって作製されている。充填される薬剤を酸素の影響、すなわち酸化から保護する目的で、上側開口および下側開口と、ポリプロピレンによって作製されているそれぞれのキャップとの間に、空気を浸透させないシールが配置されている。このシールは、例えばPET(ポリエチレン)によって被覆されたアルミニウム円盤によって作製されている。
【0008】
毛髪手入れ製品用の瓶についても、ピストン棒として使用された後、瓶を圧縮することによって内容物を送り出すことができるように、可撓性の材料によって作製されている。この瓶は、ピストンが押し下げられたときに折り曲がらないように、充填された状態では硬い。
【0009】
以下では、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0010】
図1aは、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)によって作製されている圧縮可能な顕色剤瓶1を示している。その開口2には、2つの部品から成る密閉手段3,4がねじ込まれており、密閉手段3,4は、先端(tip)4を取り外す(回して外す、または切断する)ことによって、混合された染毛剤または強力カラー剤を塗布することができる。
【0011】
しかし、瓶1は、通常のキャップ(図示せず)によって閉じることもできる。その場合、染毛剤または強力カラー剤の塗布を容易にする図示した密閉手段3,4などのキャップは、顕色剤と染毛剤または強力カラー剤とを混合した後に初めて取り外される。瓶1は、容積が例えば200mlであり、顕色剤(例えば、過酸化水素)によって満たされている。充填量は、染毛剤の場合には例えば60mlであり、強力カラー剤の場合には約80mlである。瓶1の材料は、使用する化学物質に対する耐性を有する。
【0012】
容器5は、染毛剤または強力カラー剤を収容するために使用されており、底部および上部に開口8,9を有する。これら双方の開口は、両端部における容器の開栓を容易にするねじ式キャップ6,7を有する。底部に配置されている開口8の直径は、瓶1の開口2の内径よりもわずかに小さい。その結果、開口8を有する容器5の長さ約1.0cmのくびれ部(neck)を、瓶1の開口2に挿入することができる(図2を参照)。次いで、キャップ6を取り外すと、その下に位置しているピストン10が解放されて瓶11に挿入される。
【0013】
容器5は、PVCやガラスなどの酸素を浸透させない材料によって作製されている。容器5のキャップはいずれも、例えばPP(ポリプロピレン)のような、酸素が浸透する材料によって作製することができる。この種類の材料を使用する場合、酸素が浸透できないシール(図示せず)を挿入して、下側開口8および上側開口9を閉じる。このシールは、例えば、PET(ポリエチレン)によって被覆されたアルミニウム円盤によって作製することができる。この種類のシールを追加することによって、充填される染毛剤または強力カラー剤を収容しているときに、容器のキャップからの酸素の侵入が高い信頼性で防止される。したがって、染毛剤または強力カラー剤の保管寿命が向上する。
【0014】
容器5の内径Dは、開口9の内径Eと正確に一致している。これは、容器5の内径と開口9の内径が、その間になめらかに遷移している表面を有することを意味する。さらに、ピストン10として形成されている要素が、充填された要素の上に、最後の要素として容器に挿入される。このピストンは、瓶12と共に、染毛剤または強力カラー剤を瓶1に押し出す要素として使用される。ピストン10は内側のくぼみを有し、瓶12がピストンロッドとしてこのくぼみに挿入される。この瓶は、キャップが上にある状態で実用的にピストン10に挿入される。
【0015】
キャップ13を有する瓶12も、例えばHDPE(高密度ポリエチレン)などの圧縮可能な材料によって作製されている。瓶12は、例えばコンディショナのような毛髪手入れ製品によって満たされており、ねじ式キャップによって閉じられている。瓶12は、充填された状態ではピストン棒として使用できる硬さを持つ。
【0016】
容器5は、例えば40〜70mlの充填容積が形成されるように、さまざまなサイズで製作される。容器5は、例えば特許文献1に記載されている方法によって製造される染毛剤もしくは強力カラー剤、またはその個々の成分を充填するために使用される。
【0017】
容器5には、不活性ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)があらかじめ充填される。染毛剤または強力カラー剤の個々の成分が、底部が閉じられている容器5の開口9を通じて、上部から1層ずつ充填される。これは、最後に充填される層が、酸化されない成分であるように行われる。したがって、不活性ガスに加えて、その酸化されない成分によって、それより下の層に位置する他の成分が酸化から保護される。さらに、上述したシールを挿入することができる。充填処理の後、ピストン10が容器に挿入され、容器はキャップ6によって気密状態に閉じられる。
【0018】
瓶1、ピストン10を有する容器5、および瓶12は、充填して容器5を閉じた後に、1セットとしてパッケージングすることができる。この場合、瓶12があらかじめ充填された状態で提供するか、あるいは瓶12も自動調合装置によって充填するかは問わない。重要なことは、充填状態において瓶12を圧縮できないように、使用する前には瓶12がほぼ縁部まで充填されていることである。
【0019】
図2は、組立式の瓶セットの使用法を示している。まず瓶1の密閉手段3,4を取り外し、次いで容器5のキャップ7を取り外した後、容器5のくびれ部の開口8を、瓶1のくびれ部の開口2に挿入する。そして、容器5のキャップ6を取り外し、瓶12をピストン10に挿入する。その後、瓶12とピストン10とを一緒に容器5の底部まで押し、染毛剤または強力カラー剤を瓶1に押し込む。例えば瓶1を振ることによって、瓶1の中で、顕色剤と、染毛剤または強力カラー剤とが完全に混合すると、ただちに使用して毛髪に塗布できる染毛剤または強力カラー剤が形成される。
【0020】
染毛剤または強力カラー剤は、一般に、クリーム状あるいはゲル状の堅さの粘性を示すため、開いた容器5から自然には完全に流れ出ることができず、ピストン10によって容器5から押し出さなくてはならない。それによって、容器5の内容物が瓶1にほぼ完全に送り出される。染毛剤または強力カラー剤の無視できる量のみが、下側開口8の一部を形成している容器5のくびれ部に残る。この残留量は、多くてもくびれ部の容積に相当し、既知である。容器5の充填時、特に最上層の充填時に、酸化され得ない材料が加えられる。説明した方法では、染毛剤または強力カラー剤に対して常に正しい比率の顕色剤が混合される。なぜなら、押し出し時に容器5のくびれ部8に残るのは、そのほとんどが、充填処理の最後に加えられる付加的な物質だからである。
【0021】
瓶12に入っているコンディショナは、染毛剤または強力カラー剤を押し出した後に使用することができる。
【0022】
なお、説明した組立式の瓶セットは、顕色剤と染毛剤または強力カラー剤とを個別に収容しなければならないときに特に有利である。なぜなら、染毛剤または強力カラー剤は、製造後ただちに使用されるのではなく、例えば後から家庭で使用されるからである。
【0023】
容器5は、その上側開口9の下に環状カラー11を有する。このカラーは、充填処理において上から1層ずつ充填するときに、自動調合装置の保持装置に容器を配置する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1aは、顕色剤を収容し、染毛剤または強力カラー剤と混合するための圧縮可能な瓶と、2つの部品から成るねじ式の密閉手段である。この密閉手段は、顕色剤と染毛剤または強力カラー剤とが調合された混合物を毛髪に塗布するための注入装置(outflow device)としても機能する。図1bは、染毛剤または強力カラー剤用の硬い容器であり、ピストンと2つの開口とを備えている。図1cは、毛髪手入れ製品を収容する圧縮可能な瓶である。
【図2】図2は、動作状態における組立式の瓶セットである。
【符号の説明】
【0025】
1 瓶
2 くびれ部を持つ開口
3 注入機能を持つ密閉手段
4 キャップの先端
5 容器
6 上側キャップ
7 下側キャップ
8 くびれ部を持つ下側開口
9 上側開口
10 ピストン
11 カラー
12 瓶
13 キャップ
D 容器5の内径
E 容器5の開口9の内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーム状またはゲル状の堅さを有する染毛剤または強力カラー剤と、家庭用の顕色剤と、毛髪手入れ製品とを充填および輸送するのに使用される組立式の瓶セットにおいて、
圧縮することができ、かつ閉じることができる前記顕色剤用の瓶(1)と、
閉じることができる下側開口(8)および上側開口(9)とピストン(10)とを有し、前記染毛剤または前記強力カラー剤を収容する硬い容器(5)と、
毛髪手入れ製品用の瓶(12)とを備え、
前記瓶(1)の密閉手段(3,4)が取り外され、次いでキャップ(7)が取り外された後に、前記容器(5)の底部に配置された開口(8)を有するくびれ部を、前記瓶(1)のくびれ部の開口(2)に挿入することができ、上側キャップ(6)が取り外された後、前記充填されている瓶(12)によって前記ピストン(10)を前記容器(5)の底部まで移動させて、前記染毛剤または前記強力カラー剤を、前記容器(5)から前記瓶(1)に排出する、
ことを特徴とする組立式の瓶セット。
【請求項2】
前記瓶(1)が圧縮することができる材料から成る、
ことを特徴とする請求項1記載の組立式の瓶セット。
【請求項3】
前記硬い容器(5)が、酸素を浸透させない材料(例えば、PVCまたはガラス)から成り、その開口(9)の下に環状カラー(11)を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の組立式の瓶セット。
【請求項4】
前記容器(5)の上側キャップおよび下側キャップ(6,7)がPP(ポリプロピレン)から成り、PET(ポリエチレン)によって被覆されたアルミニウム円盤から成り、空気を浸透させないシールが、前記上側開口(9)および前記下側開口(8)と、それぞれに対応するキャップとの間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項3記載の組立式の瓶セット。
【請求項5】
前記染毛剤または前記強力カラー剤のさまざまな成分が、前記容器(5)に1層ずつ充填され、その最上層が酸素を浸透させず酸化され得ない、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の組立式の瓶セット。
【請求項6】
圧縮可能な材料から成る前記容器瓶(12)が、充填状態において、前記容器(5)の中で前記ピストン(10)をその底部まで押し込むことができるだけ十分に硬い、
ことを特徴とする請求項1記載の組立式の瓶セット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502390(P2008−502390A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515821(P2007−515821)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006058
【国際公開番号】WO2005/123538
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506415078)