説明

組立式キャビネット及びその組立方法

【課題】設置及び組立が容易であり台輪内部を収容空間として利用可能な組立式キャビネット及びその組立方法の提供。
【解決手段】平面視長方形の枠状に配設された背面板41、右側面板、左側面板、前面中央板、前面板の内側において間口方向に互いに隙間をおいて平行に架設された一対の板状の横架材51,52、及び横架材51,52の下側に着設されており、板を立てた向きで前面中央板と背面板41との間に奥行方向に架設され、横架材51,52の中間部を支持する梁部材を備える台輪2と、横架材51,52の隙間に嵌挿される前側ガイド用突出部が底面に設けられた直方体状を呈する機器用ボックス、一対の小収納ボックス、大収納ボックス14、及びもう1個の大収納ボックスとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台輪の上にボックスを配置して構成される組立式キャビネット及びその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、台輪上にユニット状の収納ボックスを載置して構成された組立式キャビネットがある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の組立式キャビネットは、枠状の台輪は上面が一様な高さとなっており、その上に複数の収納ボックスを載置し、天板を取り付けて構成されていた。
【0003】
また、従来、台輪の外枠の間で間口方向及び奥行方向のいずれか、または両方に板状の補強部材を架設して外枠の強度を増したり、上部に載置される収納ボックスの荷重を受けることができるようにしたものが知られている。例えば、図8に例示する従来の台輪102は、間口方向に向けて延びる補強部材151,152が外枠147の内側に架設されている。間口方向の補強部材151,152は長尺であり、上方から荷重を受けたときの反りの発生を抑制するために、板を立てた向きで架設されていた。さらに、間口方向の補強部材151,152に加えて奥行方向にも補強部材153〜156が架設されており、奥行方向の補強部材153〜156は、いずれも間口方向の補強部材151,152の上側に板を寝かせた向きで配設されていた。奥行方向の補強部材153〜156は、収納ボックスを上側に載置しやすくするために平面的に配設されており、間口方向の補強部材151,152は、収納ボックスの荷重を受ける奥行方向の補強部材153〜156を支持するものであった。
【0004】
【特許文献1】特公平6−87815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の組立式キャビネットは、複数の収納ボックスを台輪102に取り付けるときに夫々に位置決めが必要であり、組立作業が面倒であった。収納ボックスは台輪102に対して木ネジ等で固定されるが、固定の際には、間口方向の位置及び奥行方向の位置を合わせ、さら収納ボックスの向きが台輪102と合うように細かな調整が必要とされていた。そして、組立式キャビネットを構成するための収納ボックスは複数あり、全ての部材を正確に組み付ける作業には長い作業時間が必要とされ、その作業者には作業に対する熟練が要求されていた。
【0006】
また、従来の台輪102のように補強部材151,152が間口方向に配設されていて台輪102の内部が仕切られていると、台輪102の内部の空間を利用しづらかった。例えば、一般に機器類に接続する配線や配管は機器類の背面側に接続されるが、台輪102の補強部材152よりも奥のスペースに配管や配線を配設すると、機器類のメンテナンスや取換えを行うときには、収納ボックスを外したり台輪102ごと移動したりする必要があり作業が困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、設置及び組立が容易であって台輪内部を収容空間として利用しやすい組立式キャビネット及びその組立方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組立式キャビネットは、「前面板、背面板、及び一対の側面板によって四辺が構成されており、奥行方向よりも間口方向に長い平面視長方形の枠状を呈し、前記前面板の一部または全部が開閉自在に構成されている外枠、該外枠の高さ寸法よりも厚みが小さな長方形の板材であり、上面が前記外枠の上面と一致する高さで、前記外枠の左右の側面板の間に、前記外枠の背面板に平行に所定の間隔をおいて架設された一対の横架材、及び奥行方向に延び、少なくとも前記背面板に取着され前記横架材の底面を支持する梁部材を備え、前記横架材の底面と設置面との間に収容空間を有する台輪と、奥行寸法が前記外枠よりも大きな直方体状を呈し、前記一対の横架材の間に嵌挿可能であり、かつ突出量が前記横架材の高さ寸法以下であるガイド用突出部が底面に設けられ、前記台輪上で前記横架材に沿って前記間口方向に摺動可能に載置される複数の収納ボックスからなり、該複数の収納ボックスを前記間口方向に一列に並べて構成される収納部とを具備する」ことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「平面視長方形の枠状」とは、正投影図として平面図を描いた場合に中央部の空いた長方形の輪郭を呈する形状を示す。「平面視長方形の枠状」を呈するものとしては、例えば、四辺を長方形の板材で構成された枠体を挙げることができる。
【0010】
「設置面」とは、床面等、本発明の組立式キャビネットが載置される面を示す。
【0011】
「収納ボックス」とは、内部に収納空間を有する箱状の部材を示すものであり、前面が開放されているもの、前面に扉が設けられているもの、引出しを備えるものなど、各種の形態とすることができる。
【0012】
本発明によれば、収納ボックスの底面に設けられたガイド用突出部が、台輪に架設された一対の横架材の隙間に嵌挿されるので、収納ボックスの前後方向の位置決めを容易にすることができる。さらに、収納ボックスは、ガイド用突出部が一対の横架材の間に嵌挿されており、横架材の端面に沿って収納ボックスが間口方向に摺動可能となる。これにより、台輪上に一旦載置した収納ボックスを所定の位置まで摺動させて間口方向の位置決めをすることができる。台輪上に最初に載置した収納ボックスを、ガイド用突出部が台輪の側面板に当接するまで摺動させて位置決めした後に、残りの収納ボックスを順に台輪上で摺動させ、先に位置決めした収納ボックスに揃えて位置決めすることで、複数の収納ボックスを簡単かつ手早く正確な位置に配設することができ、組立式キャビネットを容易に組み立てることが可能となる。
【0013】
さらに、本発明によれば、台輪上で間口方向に摺動させて収納ボックスの位置を変えることができ、収納ボックスの配設位置が限定されないため、複数の収納ボックスの順番を変えて配置することができる。例えば、2個の木製扉付ボックスと、1個のガラス扉付ボックスとを組み合わせる場合に、中央にガラス扉付ボックスが位置し、その左右に木製扉付ボックスが位置するように配設することができるし、2個の木製扉付ボックスを隣接させて並べて、さらにその横にガラス扉付ボックスを配設することもできる。
【0014】
また、本発明によれば、外枠の側面板の間に、梁部材によって底面を支持された横架材が間口方向に2本架設されており、外枠の側面板、背面板及び横架材によって収納ボックスの重量を受けている。横架材は、梁部材によって支えられており、収納ボックスの荷重による横架材の反りなどの変形を抑制することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、横架材は構造材であるだけでなく、誘導レールとしての機能を兼ねるため、収納ボックスを間口方向に誘導するためにレール状の部材を設けずとも収納ボックスを間口方向に摺動可能とし、台輪の構成を簡素化することができる。また、梁部材は横架材の下側にあって横架材の底面に接しており、ガイド用突出部の突出量は前記横架材の高さ寸法以下であるので、収納ボックスを誘導する際に梁部材とガイド用突出部とが干渉することなく収納ボックスを摺動可能とすることができる。
【0016】
また、本発明によれば、横架材は横架材の上面が台輪の外枠の上面と一致する高さに架設されており、横架材の厚みは外枠の高さ寸法よりも小さいので、横架材の下方に空間的な余地があり、横架材によって台輪内の空間が奥行方向において区切られないようにすることができる。また、梁部材は奥行方向に延びるため、台輪内の空間に対して前方から到達する際に障害となる虞を抑制することができる。これにより、横架材の架設によって台輪の強度を高めながら、台輪内のスペースを収容空間として利用可能とすることができる。例えば、収納ボックス内にアンプやチューナー等の電気機器を設置すると、電源ケーブルやアンテナ用等の各種の信号線を組立式キャビネットの外部にある電源コンセントから電気機器の設置位置まで取り回す必要があるが、本発明によれば、台輪内にこれらの電気配線を通すことができる。台輪内の収容空間は、配管を通すことも可能であるし、物入れとすることも可能である。
【0017】
また、本発明によれば、前面板の一部または全部が開閉自在に構成されているので、組立式キャビネットを設置した状態で前面板を開けて内部の収容空間を利用することができる。
【0018】
また、本発明の組立式キャビネットは、「前記収納ボックスの後底面には切欠孔が穿設されており、前記横架材は、前記背面板との間に隙間を介して配設されている」構成とすることもできる。
【0019】
本構成によれば、背面板と横架材との隙間及び切欠孔を通して収納ボックスから台輪内部へと配線や配管を引き込んで配設することができ、台輪内部における配線や配管の取り回しには、台輪の前面板を開放して作業することができる。これにより、収納ボックス内に設置した機器類から台輪を経由して配線または配管を行う作業を容易にすることができる。特に、組立式キャビネットを設置した後に機器類を設置する場合には、組立式キャビネットを設置した状態で前方から配線や配管に関する作業が可能であるので、台輪ごと全体的に移動したり、収納ボックスを取り外したりする必要がなく、少人数で短時間に機器類の設置作業を行うことができる。
【0020】
また、本発明の組立式キャビネットの組立方法は、「前面板、背面板、及び一対の側面板によって四辺が構成されており、奥行方向よりも間口方向に長い平面視長方形の枠状を呈し、前記前面板の一部または全部が開閉自在に構成されている外枠、該外枠の高さ寸法よりも厚みが小さな長方形の板材であり、上面が前記外枠の上面と一致する高さで、前記外枠の左右の側面板の間に、前記外枠の背面板に平行に所定の間隔をおいて架設された一対の横架材、及び奥行方向に延び、少なくとも前記背面板に取着され前記横架材の底面を支持する梁部材を備え、前記横架材の底面と設置面との間に収容空間を有する台輪と、奥行寸法が前記外枠よりも大きな直方体状を呈し、前記一対の横架材の間に嵌挿可能であり、かつ突出量が前記横架材の高さ寸法以下であるガイド用突出部が底面に設けられた複数の収納ボックスとを備えてなる組立式キャビネットの組立方法であって、該複数の収納ボックスの内、最初に組み付ける収納ボックスを、前記ガイド用突出部を前記一対の横架材の隙間に嵌合させて前記台輪上に載せ、当該収納ボックスを間口方向に摺動させ、前記外枠の前記側面板に前記ガイド用突出部を当接させて位置決めする基準ボックス位置決め工程と、前記複数の収納ボックスの残りの収納ボックスを前記台輪上に順番に載置し、前記最初の収納ボックス側へと前記間口方向に摺動させて隙間なく並べて位置決めする収納ボックス配置工程と、位置決めされた前記複数の収納ボックスを夫々前記台輪に固定する収納ボックス固定工程とを有する」ことを特徴とするものである。
【0021】
本発明の組立式キャビネットの組立方法によれば、まず、基準ボックス位置決め工程において、最初に端に配設される収納ボックスが、ガイド用突出部が一対の横架材の隙間に嵌挿されて台輪上に載置される。このとき、ガイド用突出部は一対の横架材の隙間に嵌挿されるので、最初の収納ボックスの奥行方向の位置決めをすることができる。そして、最初の収納ボックスを配設予定である所定の位置まで間口方向に摺動させて位置合わせを行う。すなわち、最初の収納ボックスが所定の位置に到達すると、ガイド用突出部が台輪の側面板の内面側に当接して移動が制約される。すなわち、台輪上で最初の収納ボックスを摺動させると所定の位置に到達したところでガイド用突出部が側面板に当接して停止するので正確に位置決めすることができる。
【0022】
基準ボックス位置決め工程により、台輪上の端に位置する最初の収納ボックスが位置決めされた後、収納ボックス配置工程において、まだ配設されていない収納ボックスは、順番に台輪上に載置され、先に位置決めされた最初の収納ボックスの側に向けて摺動させられ、最初の収納ボックスに当接させられて位置決めされる。そして、収納ボックスが同じ要領で順番に配設され、全ての収納ボックスが所定の位置に配設される。これにより、収納ボックスを順番に台輪上に載置して摺動させてゆくだけで位置決めができるので、組立式キャビネットを容易に組み立てることが可能となる。
【0023】
基準ボックス位置決め工程及び収納ボックス配置工程によって全ての収納ボックスの位置決めが完了した後、収納ボックス固定工程において、夫々の収納ボックスを台輪に対して固定する。収納ボックスを台輪に固定する際には、夫々の収納ボックスのガイド用突出部は横架材の隙間に嵌挿されており、かつ夫々の収納ボックス本体は隣接する収納ボックスまたは台輪の側面板に当接しているので、固定作業中に収納ボックスの位置をずれにくくすることができる。
【0024】
このように、本発明の組立式キャビネットの組立方法によれば、収納ボックスを順に台輪上で摺動させて正確に位置決めし所定の位置に固定するまでの工程を1〜2人の少人数でも行うことができる。
【0025】
さらに、本発明の組立式キャビネットの組立方法によれば、複数の収納ボックスの配設位置及び配設順序は、特定の位置や順序に限定されないため、収納ボックスの配設順序を変えることで配設位置を変更することができる。例えば、2個の木製扉付ボックスと、1個のガラス扉付ボックスとを組み合わせる場合に、中央にガラス扉付ボックスが位置し、その左右に木製扉付ボックスが位置するように配設することができるし、2個の木製扉付ボックスを隣接させて並べて、さらにその横にガラス扉付ボックスを配設するようにすることもできる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明によれば、台輪の間口方向に架設された一対の横架材の間にガイド用突出部が嵌挿され、複数の収納ボックスを台輪上で間口方向に摺動させて位置決めができるので、簡素な構造でありながら設置及び組立を容易にすることができる。また、横架材の下方の梁部材で横架材の底面を支持するため、横架材の変形を抑制するとともに、梁部材と収納ボックスとが干渉することなく収納ボックスを摺動可能とすることができる。さらに、横架材の下方に収容空間があって、前面板が開放可能であるので台輪内の空間の利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態である組立式キャビネット1の構成について、図1乃至図4に基き説明する。図1は、本発明の一実施形態である組立式キャビネットを示す斜視図であり、図2は、組立式キャビネットの構成を示す分解斜視図であり、図3は、組立式キャビネットの台輪の構成を示す斜視図であり、図4は、組立式キャビネットの収納ボックスの構成を斜め下方から示す斜視図である。
【0028】
以下、図1及び図2に基き組立式キャビネット1の構成について詳細に説明する。組立式キャビネット1は、高さ方向及び奥行方向と比較して間口方向に長い形状を呈しており、収納部3が台輪2の上に設置され、収納部3の上に天板4が装着されて構成されている。
【0029】
台輪2は、間口方向に細長い枠状を呈する。天板4は、やはり間口方向に細長い平面視略長方形の1枚の板状を呈する部材であり、収納部3の上に装着されると上部に様々なものを載置して利用できる水平な棚面として機能する。収納部3は、機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、大収納ボックス14,15の5個のユニット化された収納ボックスが組み合わせられて構成されており、台輪2の上に固定されている。各収納ボックスの前面には開閉可能な扉が備えられており、収納ボックスの内部は収納空間として利用可能である。天板4の中央部の奥側には略長方形の切欠部34が設けられており、切欠部34に嵌込パネル31が装着されている。嵌込パネル31には、ルーバー状の通気孔33及び一対の開口32が設けられており、開口32に電気配線などを通すことが可能となっている。
【0030】
以下、図3に基き、台輪2の構成について説明する。台輪2は、主に背面板41、右側面板42、左側面板43、前面中央板44、前面板45,46、梁部材53〜56、横架材51,52から構成されている。台輪2の各部材は、いずれもパーティクルボード製であり略長方形板状を呈している。背面板41の両端には右側面板42及び左側面板43が取着されており、背面板41の前側の所定の位置に4本の梁部材53〜56が取着され、梁部材53〜56の前端部には前面中央板44が取着されており、右側面板42及び左側面板43の間には梁部材53〜56に底面を支持された横架材51,52が架設されている。ここで、右側面板42及び左側面板43が、本発明の側面板に相当し、前面中央板44及び前面板45,46を組み合わせたものが、本発明の前面板に相当し、背面板41、右側面板42、左側面板43、前面中央板44、及び前面板45,46を組み合わせたものが、本発明の外枠に相当する。
【0031】
横架材51,52は、平面視長方形の間口方向に延びる細長い板材であり、長尺側の両端において右側面板42及び左側面板43に対して着設されている。横架材51,52は、上面及び底面が平滑であり、台輪の外枠を構成する背面板41、右側面板42、左側面板43、前面中央板44、及び前面板45,46の上面47と同一の高さになる位置に着設されている。横架材51,52の前側及び後側の端面はいずれも平滑であり、一対の横架材51,52の向かい合う端面51a,52aは平行になっている。また、梁部材53〜56は、前面中央板44と背面板41との間に奥行き方向に架設され、横架材51,52の底面に着設されており、横架材51,52に対して上から加えられた荷重は、梁部材53〜56によって受けられる。梁部材53〜56は長方形の板材であり、端面を上下に向けて板材を立てた向きで配設されている。横架材51,52の上に収納部3が配設され、横架材51,52に対して下向きの力が加えられたとき、梁部材53〜56は端面で荷重を受けるため、より大きな荷重に耐えることができる。横架材51,52は寝かせた向きに配設されているが、横架材51,52の中間部は梁部材53〜56の端面で支持されているので、横架材51,52のたわみの発生を抑制することができる。また、横架材51,52の底面51b,52b(図5(a)参照)と、設置室の床Fとの間には空間が残される。横架材51は前縁が前面中央板44に接しており、横架材52は、背面板41との間に隙間を設けて配設されている。ここで、設置室の床Fが、本発明の設置面に相当する。
【0032】
右側面板42の内側には、右側面板42よりも高さ寸法の小さな補強材48が取着されており、梁部材53の右側には梁部材53と同寸法の補強材58が貼着されており、補強材48,58の前端部には夫々一片の面ファスナー90が取着されている。前面板45の背面側には、面ファスナー90と対応する位置に対になる面ファスナー(図示しない)が取着されており、前面板45は着脱自在に補強材48,58の前側に取着することができる。取着された状態で、前面板45の前面は、前面中央板44の前面と同一面状に揃う。前面板46についても、前面板45と同様に、梁部材54の左側には補強材50が貼着されており、左側面板43の内側には補強材57が貼着されており、補強材50,57の前端部と、前面板46の背面とに備えられた面ファスナー(図示しない)によって着脱自在に取着される。前面板45,46が取着され台輪2の前面が閉鎖されると、台輪2は、平面視長方形の枠状を呈する。
【0033】
また、梁部材53〜56は奥行方向に延びる向きに配設されているので、前面板45,46を取り外したときに、前方から台輪内の空間に容易に到達することができる。
【0034】
台輪2には、右側面板42及び補強材48を貫通して台輪側面開口59が穿設されており、台輪2の内部に配設された配管や配線を、台輪2の側面後部から外に引き出して壁付コンセント等に接続可能になっている。左側面板43及び補強材57にも同様に台輪側面開口59が穿設されている。
【0035】
以下、図4に基き、収納部3の構成について説明する。収納部3は、前記のように5個の収納ボックスから構成されている。中央部には機器用ボックス11が配設され、その左右両脇に小収納ボックス12,13が配設され、さらにその左右両脇に大収納ボックス14,15が、間口方向に一列に並べて配設されている。ここで、機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15が、本発明の収納ボックスに相当する。
【0036】
機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15は、いずれも台輪2を構成する各部材と同じ板厚のパーティクルボード製の板材からなる直方体の箱状を呈しており、高さ寸法が同一であるため、台輪2の上に並べた際にボックス天板11a〜15aは水平位置で揃う。
【0037】
また、機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15の各収納ボックスは奥行寸法においても同一であり、いずれも台輪2よりも大きく、設置時には台輪2の前縁及び後縁から夫々の収納ボックスが同じ突出量で突出するように配設され、各収納ボックスの前面および背面は同一面状に揃う。機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15の間口方向の寸法の和は、台輪2の間口方向の寸法よりも大きく、間口方向に並べて設置すると台輪2の左右に夫々大収納ボックス14,15の端部が突出する。各収納ボックスは、同一の高さ寸法と、同一の奥行寸法に形成されているが、間口方向の寸法は相違している。
【0038】
各収納ボックスの底面には、前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75が設けられている。前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75は、いずれも収納ボックス及び台輪2の各部材と同じ板厚のパーティクルボード製の長方形の板材であり、長尺方向を間口方向に向け、ボックス底面61〜65に対して貼着されている。前側ガイド用突出部81〜85の奥行寸法は、台輪2の横架材51,52の隙間に嵌挿する寸法であり、前側ガイド用突出部81〜85は、該隙間に合致する位置に貼着されている。後側ガイド用突出部71〜75は、対応する前側ガイド用突出部81〜85と夫々同形であり、前側ガイド用突出部81〜85に対して、横架材52の奥行寸法と略同寸法の隙間を設けて貼着されている。図4に示すように、各収納ボックスを、底面および背面を揃えるようにして間口方向に一列に並べると、前側ガイド用突出部81〜85と、後側ガイド用突出部71〜75とは互いに平行な二本の直線帯状に並ぶ。各収納ボックスが台輪2の上に配設される際に、前側ガイド用突出部81〜85は、横架材51,52の隙間に嵌挿され、横架材52は前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75の隙間に嵌挿される。横架材51,52と、前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75とは同じ板厚であるため、夫々の底面は同一平面的に同じ高さで揃う。このとき、横架材52と背面板41との隙間よりも後側ガイド用突出部71〜75の奥行寸法は小さく、背面板41と後側ガイド用突出部71〜75との間には隙間が残る。
【0039】
各収納ボックスの前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75は、大収納ボックス14が所定の位置に位置決めされた際に側面板の内面に当接するように設けられている。すなわち、大収納ボックス14が台輪2の左端より突出する突出量と左側面板43の厚みとの和に相当する寸法だけ、大収納ボックス14の左側面から内側にずれた位置に前側ガイド用突出部84の左端部が位置している。
【0040】
機器用ボックス11は、内部にDVDデッキやプリアンプ等の様々な機器を収納可能となっており、前面には上下に2段のガラス扉20,21を備えており、ガラス扉を閉じた状態で内部が視認可能となっている。ガラス扉20,21は扉の開放端側の所定箇所の押圧によって開放・閉鎖を交互に行うことが可能なプッシュラッチ式のロック機構を備えている(図示しない)。機器用ボックス11の内部には、引出式のトレー(図示しない)が配設されており、トレーを奥行方向にスライドさせて機器を操作しやすい位置まで引き出して使用することができるようになっている。
【0041】
小収納ボックス12,13及び大収納ボックス14,15は、いずれも木製の正面扉22〜25を備えており、正面扉22〜25を開くと、夫々内部には上下二段の引出しが備えられている(図6を参照)。すなわち、大収納ボックス14には引出し97,98が備えられており、小収納ボックス12には引出し87,88が備えられている(小収納ボックス13及び大収納ボックス15に関しては図示しない)。正面扉22〜25も、プッシュラッチ式のロック機構を備えている。
【0042】
図4に示すように、大収納ボックス15の側面には、電気配線等を通すことが可能な側面開口26が穿設されている。機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14の側面にも側面開口26と同様の側面開口が穿設されており(図示しない)、組みつけられた際に隣接する側面開口の位置は合致する。また、機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納収納ボックス14,15の底面には、夫々底面開口91〜95が穿設されている(図3参照)。機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15の内部に電気機器を設置した際には、電気機器に接続する各種の電気配線を側面開口26及び底面開口91〜95を通して配設することが可能である。ここで、底面開口91〜95が、本発明の切欠孔に相当する。
【0043】
以下、図5〜図7に基き、組立式キャビネット1の組立方法を説明する。図5(a),(b)は、大収納ボックスの位置決め方法を説明する縦断面図であり、図6は、図5(b)のA−A間の位置における断面を示す断面図であり、図7(a)〜(d)は、組立式キャビネット1の組立方法を模式的に説明する説明図である。
【0044】
図5(a),(b)に示すように、設置室の床Fの上に置かれた台輪2の上に、収納部3(図1参照)の左端に位置する大収納ボックス14を載置する。載置箇所は台輪2の左端ではなく、やや中央寄りの位置とし、載置する際に前側ガイド用突出部84が、横架材51の端面51aと横架材52の端面52aとの間に嵌挿されるように奥行方向の位置決めをして大収納ボックス14を載置する。これにより、図5(b)に示すように、大収納ボックス14は、前側ガイド用突出部84が横架材51,52の隙間に嵌挿され、底面64が横架材51,52及び台輪2の上面47に当接する。
【0045】
台輪2上に載置された大収納ボックス14は、図7(a)に示すように、左側へと間口方向に台輪2の上を摺動させられ、前側ガイド用突出部84が左側面板43の内面に当接させられて位置決めされる(図6参照)。このとき、大収納ボックス14は、横架材51,52に沿ってガイドされ、前後方向にずれることなく直線的に間口方向に摺動する。ここで、上記の大収納ボックス14の位置決めを行う工程が、本発明の基準ボックス位置決め工程に相当する。
【0046】
大収納ボックス14が位置決めされた後に、小収納ボックス12を、前側ガイド用突出部82が横架材51,52の隙間に嵌挿されるように奥行方向に位置決めし、同様に台輪上の空いている任意の位置に載置する。そして、大収納ボックス14に当接するまで左に向けて間口方向に小収納ボックス12を摺動させ、小収納ボックス12の位置決めを行う(図7(b)参照)。
【0047】
同様の要領で、機器用ボックス11及び小収納ボックス13の位置決めをした後に、台輪上の空いている右端の部分に大収納ボックス15を載置して位置決めする(図7(c)参照)。ここで、上記の小収納ボックス12,13、機器用ボックス11、大収納ボックス15の位置決めを行う工程が、本発明の収納ボックス配置工程に相当する。
【0048】
位置決めのなされた機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15を夫々に台輪2に対して木ネジで固定した後に、隣接する収納ボックス同士も収納ボックスの内部で木ネジで固定される。このとき、各収納ボックスに設けられたネジ穴は、内面側にのみ形成されており貫通していないため、木ネジが通されない限り外面側は平滑な面として美観を保つことができる。また、各収納ボックスは比較的柔らかい素材であるパーティクルボード製の部材で構成されているので、隣接する収納ボックス同士を木ネジで固定する際にネジ穴が厳密に揃っていなくても、木ネジを押し込んでいくと、板厚が薄くなっているネジ穴の部分に木ネジが貫通するので、ネジ穴同士を一致させて接合することができる。
【0049】
図5(b)に示すように、大収納ボックス14の底面後部には底面開口94が穿設されており、大収納ボックス14を台輪2の上に設置した際に、横架材52と背面板41との隙間に底面開口94が面し、大収納ボックス14の内部と台輪2の内部とが連通する。
【0050】
収納部3と台輪2とを固定した後に天板4を収納部3の上側に載置する。天板4には底面の四隅近傍に長円形のホゾ穴(図示しない)が設けられており、収納ボックスに適宜設けられたホゾ穴(図示しない)の内、全体の四隅近傍にあって天板4のホゾ穴と対応する位置にあるホゾ穴にホゾを挿入し、その後に天板4を載置すると、天板4のホゾ穴は長円形であるのでスムーズにホゾとホゾ穴とを合致させることができる。こうして天板4を位置決めして収納部3の上部を全体的に覆う位置に配設し、組立式キャビネット1を完成することができる。
【0051】
このように、本実施形態の組立式キャビネット1によれば、機器用ボックス11、小収納ボックス12,13、及び大収納ボックス14,15の夫々の底面に設けられた前側ガイド用突出部81〜85が、台輪2の内部に架設された一対の横架材51,52の隙間に嵌挿されるので各収納ボックスの前後方向の位置決めを容易にすることができる。さらに、各収納ボックスの間口方向の位置決めについては、前側ガイド用突出部81〜85が一対の横架材51,52の間に嵌挿されており、横架材の端面51a,52aに沿って各収納ボックスが間口方向に摺動可能となる。これにより、台輪2の上に載置した各収納ボックスを所定の位置まで摺動させて位置決めすることができる。台輪上に最初に載置した大収納ボックス14を、前側ガイド用突出部84が台輪2の左側面板43に当接するまで摺動させて位置決めした後に、残りの収納ボックスを配設する順に台輪上で摺動させ、先に位置決めした大収納ボックス14に小収納ボックス12を揃え、さらに順番に収納ボックスを載置して位置決めすることで、複数の収納ボックスを簡単かつ手早く正確な位置に配設することができ、組立式キャビネット1を容易に組み立てることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態の組立式キャビネット1によれば、右側面板42及び左側面板43の間に、梁部材53〜56によって底面を支持された横架材51,52が間口方向に架設されており、右側面板42、左側面板43、背面板41、前面中央板44及び横架材51,52等によって収納ボックスの重量を受けている。横架材51,52の底面51b,52bは、中間部において4本の梁部材53〜56によって支えられており、収納ボックスの荷重による横架材51,52に反りなどの変形が発生する虞を抑制することができる。
【0053】
また、台輪2の外寸よりも収納部3の奥行方向および間口方向の寸法が大きく、台輪2の外枠部分に収納部3が載っており、収納部3の荷重の多くを外枠部分で受けるため、横架材51,52に加わる荷重を軽減させ、変形の虞を抑制している。
【0054】
さらに、本実施形態の組立式キャビネット1によれば、横架材51,52は構造材であるだけでなく、収納ボックスのための誘導レールとしての機能を兼ねるため、レール状の部材を設けずとも収納ボックスを間口方向に摺動可能とし、台輪の構成を簡素化することができる。また、梁部材53〜56は横架材51,52の下側にあって横架材51,52の底面に対して着設されており、前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75は、板厚が横架材51,52と同じであって横架材の底面51b,52bよりも下方に突出する虞がないので、収納ボックスを摺動させる際に梁部材53〜56と前側ガイド用突出部81〜85及び後側ガイド用突出部71〜75とが干渉する虞を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の組立式キャビネット1によれば、背面板41と横架材52との隙間及び底面開口91〜95を通して収納ボックスから台輪2の内部へと配線や配管を配設することができ、さらに、台輪2の前面板45,46を開放して台輪2内の配線や配管等の作業をすることができる。これにより、収納ボックス内に設置した機器類から台輪2を経由して電源やアンテナ等の外部の設備に対して配線または配管を行う作業を容易にすることができる。特に、組立式キャビネット1を設置した状態で前方から配線や配管に関する作業が可能であるので、機器類を設置する場合に台輪2ごと全体的に移動したり、収納ボックスを取り外したりする必要がなく、少人数で短時間に機器類の設置作業を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態の組立式キャビネット1によれば、横架材51,52の上面が台輪の上面47と一致する高さに横架材51,52が架設されており、横架材51,52の底面51b,52bと床Fとの間の空間を収容空間として利用可能である。機器用ボックス11の中にDVDデッキやプリアンプ等の電気機器を設置すると、電源ケーブルやアンテナ用等の各種の信号線を組立式キャビネット1の外部にある電源コンセントやアンテナから電気機器の設置位置まで取り回す必要があるが、本発明によれば、電源ケーブル等の電気配線を収納ボックスから底面開口91〜95を通して台輪2の中に引き込んで、台輪2の内部にこれらの電気配線を取り回し、台輪側面開口59から外部に引き出すことができる。台輪2の内部の収容空間は、この他に配管を通すことも可能であるし、物入れとすることも可能である。
【0057】
さらに、本実施形態の組立式キャビネット1の組立方法によれば、まず、最初に端に配設される大収納ボックス14の前側ガイド用突出部84が一対の横架材51,52の隙間に嵌挿され、大収納ボックス14が台輪2の上に載置される。このとき、前側ガイド用突出部84は一対の横架材51,52の隙間に嵌挿されるので、載置した時点で大収納ボックス14の奥行方向の位置決めをすることができる。そして、大収納ボックス14を配設予定である左端の所定の位置まで間口方向に摺動させて位置合わせを行う。すなわち、大収納ボックス14が所定の位置に到達すると、前側ガイド用突出部84が台輪2の左側面板43の内面に当接して移動が制約される。すなわち、大収納ボックス14が所定の位置に到達したところで前側ガイド用突出部84が左側面板43に当接してそれ以上動かなくなるので、大収納ボックス14を簡単かつ正確に位置決めすることができる。
【0058】
本実施形態の組立式キャビネット1の組立方法によれば、台輪上の左端に位置する大収納ボックス14が位置決めされた後、まだ配設されていない収納ボックスは、順番に台輪2の上に載置され、先に位置決めされた大収納ボックス14の側に向けて摺動させられ、左隣に位置する収納ボックスに当接させられて位置決めされる。これにより、収納ボックスを順番に台輪2の上に載置して摺動させてゆくだけで位置決めができるので、組立式キャビネット1を容易に組み立てることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態の組立式キャビネット1の組立方法によれば、収納ボックスを台輪2に固定する際には、夫々の収納ボックスの前側ガイド用突出部81〜85は横架材51,52の隙間に嵌挿されており、かつ夫々の収納ボックスは隣接する収納ボックス、右側面板42、左側面板43のいずれかに対して当接しているので、固定作業中に収納ボックスの位置や向きが不用意にずれてしまう虞を抑制することができる。
【0060】
このように、本実施形態の組立式キャビネット1の組立方法によれば、収納ボックスを順に台輪2の上で摺動させて正確に位置決めし所定の位置に固定して組み上げるまでの工程を1〜2人の少人数でも容易に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態の組立式キャビネット1は、パーティクルボード製の部材は、全て同じ板厚であり、材料を共通化することでコストを低下させるとともに、部材の製造及び管理を容易化することができる。
【0062】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0063】
すなわち、上記の実施形態においては、収納ボックスを右から左に摺動させて位置決めするものを示したが、これに限定されるものではなく、左から右に摺動させるようにしてもよく、設置場所の壁面との位置関係など、周囲の条件に応じて作業しやすい方向に組み立てることができる。
【0064】
また、上記の実施形態においては、台輪2の側面に台輪側面開口59が設けられたものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば背面に同様の開口が設けられたものであってもよい。背面側に配線や配管を出して壁付の電源コンセント等の設備に接続するようにすると、配線をさらにすっきりさせることができる。
【0065】
また、上記の実施形態においては、5個の収納ボックスからなるものを示したが、収納ボックスの数は4個以下であってもよいし、6個以上であってもよい。
【0066】
さらに、上記の実施形態においては、前面板45,46が着脱可能となっているものを示したが、台輪の前面板が全体的に着脱可能となっているものであってもよいし、前面板がヒンジやその他のジョイントを介して装着されていて、前面板を取り外しすることなく開閉可能となっているものであってもよい。これによれば、前面板を取り外しする必要がなく、より手軽に台輪の前面を開閉して台輪内の収容空間を利用することができる。
【0067】
また、上記の実施形態においては、機器用ボックス11等に電気機器を収容可能としたものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば流し台を備えたカウンター状の組立式キャビネットであってもよい。流し台を備える場合には給排水の配管を収納ボックス及び台輪の中を通して配設することができる。
【0068】
さらに、上記の実施形態においては、後側ガイド突出部71〜75を備えたものを示したが、これに限定されるものではなく、後側ガイド突出部71〜75を備えていないものであってもよい。後側ガイド突出部71〜75を備えていると、収納ボックスを単体で床面等に載置した場合にも安定して載置することができるし、組立時に摺動方向をより安定させることができる。一方、後側ガイド突出部71〜75を省略すれば、構成をさらに簡素化してコストダウンを図ることができる。
【0069】
また、上記の実施形態においては、台輪2の上での収納ボックスの配設順序が限定されないため、収納ボックスの順番を変えて配置することも可能である。例えば、大収納ボックス14、機器用ボックス11、大収納ボックス15、小収納ボックス12,13の配設順序で台輪2の上に並べてもよいし、他の配設順序としてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態においては、隣接する収納ボックス同士を木ネジで固定するものを示したが、これに限定されるものではなく、隣接する収納ボックス同士を他の方法で固定するものであってもよいし、固定しないものであってもよい。隣接する収納ボックス同士を固定しない構成にすると、設置後に収納ボックスの配設順序を変更した場合にもネジ穴が外観的に露出することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態である組立式キャビネットを示す斜視図である。
【図2】組立式キャビネットの構成を示す分解斜視図である。
【図3】組立式キャビネットの台輪の構成を示す斜視図である。
【図4】組立式キャビネットの収納部の構成を右前下方から示す斜視図である。
【図5】大収納ボックスの位置決め方法を説明する断面図である。
【図6】図5のA−A間を示す断面図である。
【図7】組立式キャビネットの組立方法を模式的に示す説明図である。
【図8】従来の台輪の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
F 床(設置面)
1 組立式キャビネット
2 台輪
3 収納部
11 機器用ボックス(収納ボックス)
12,13 小収納ボックス(収納ボックス)
14,15 大収納ボックス(収納ボックス)
41 背面板(外枠)
42 右側面板(側面板、外枠)
43 左側面板(側面板、外枠)
44 前面中央板(前面板、外枠)
45,46 前面板(外枠)
47 上面
51,52 横架材
51b,52b 底面
53〜56 梁部材
81〜85 前側ガイド用突出部(ガイド用突出部)
91〜95 底面開口(切欠孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板、背面板、及び一対の側面板によって四辺が構成されており、奥行方向よりも間口方向に長い平面視長方形の枠状を呈し、前記前面板の一部または全部が開閉自在に構成されている外枠、
該外枠の高さ寸法よりも厚みが小さな長方形の板材であり、上面が前記外枠の上面と一致する高さで、前記外枠の左右の側面板の間に、前記外枠の背面板に平行に所定の間隔をおいて架設された一対の横架材、
及び奥行方向に延び、少なくとも前記背面板に取着され前記横架材の底面を支持する梁部材
を備え、前記横架材の底面と設置面との間に収容空間を有する台輪と、
奥行寸法が前記外枠よりも大きな直方体状を呈し、前記一対の横架材の間に嵌挿可能であり、かつ突出量が前記横架材の高さ寸法以下であるガイド用突出部が底面に設けられ、前記台輪上で前記横架材に沿って前記間口方向に摺動可能に載置される複数の収納ボックスからなり、該複数の収納ボックスを前記間口方向に一列に並べて構成される収納部と
を具備することを特徴とする組立式キャビネット。
【請求項2】
前記収納ボックスの後底面には切欠孔が穿設されており、前記横架材は、前記背面板との間に隙間を介して配設されていることを特徴とする請求項1に記載の組立式キャビネット。
【請求項3】
前面板、背面板、及び一対の側面板によって四辺が構成されており、奥行方向よりも間口方向に長い平面視長方形の枠状を呈し、前記前面板の一部または全部が開閉自在に構成されている外枠、
該外枠の高さ寸法よりも厚みが小さな長方形の板材であり、上面が前記外枠の上面と一致する高さで、前記外枠の左右の側面板の間に、前記外枠の背面板に平行に所定の間隔をおいて架設された一対の横架材、
及び奥行方向に延び、少なくとも前記背面板に取着され前記横架材の底面を支持する梁部材
を備え、前記横架材の底面と設置面との間に収容空間を有する台輪と、
奥行寸法が前記外枠よりも大きな直方体状を呈し、前記一対の横架材の間に嵌挿可能であり、かつ突出量が前記横架材の高さ寸法以下であるガイド用突出部が底面に設けられた複数の収納ボックスと
を備えてなる組立式キャビネットの組立方法であって、
該複数の収納ボックスの内、最初に組み付ける収納ボックスを、前記ガイド用突出部を前記一対の横架材の隙間に嵌合させて前記台輪上に載せ、当該収納ボックスを間口方向に摺動させ、前記外枠の前記側面板に前記ガイド用突出部を当接させて位置決めする基準ボックス位置決め工程と、
前記複数の収納ボックスの残りの収納ボックスを前記台輪上に順番に載置し、前記最初の収納ボックス側へと前記間口方向に摺動させて隙間なく並べて位置決めする収納ボックス配置工程と、
位置決めされた前記複数の収納ボックスを夫々前記台輪に固定する収納ボックス固定工程と
を有することを特徴とする組立式キャビネットの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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