組立式台船
【課題】水上での安定性を向上し、組み立ておよび分解作業性を向上するとともに、安全性を向上した組立式台船を提供する。
【解決手段】外周を囲繞する複数の側面部14a〜14dを有する多角柱形状をなす複数のフロータ11A、11Bを、水上で分離可能に連結する組立式台船であって、一端に被装着部26を有し、他端に被連結部28を有する連結部材25を設けるとともに、フロータ11A、11Bの側面部14a〜14dのうち少なくとも第1および第2側面部14a,14cに、軸線に沿って上下方向に延び内向きに窪む溝部16を設け、第1側面部14aの溝部16に、この溝部16から被連結部28が突出するように連結部材25の被装着部26を着脱可能に装着する装着部18を設けるとともに、第2側面部14cの溝部16に、連結部材25の被連結部28を離脱可能に連結する連結部21a,21bを設けた構成とする。
【解決手段】外周を囲繞する複数の側面部14a〜14dを有する多角柱形状をなす複数のフロータ11A、11Bを、水上で分離可能に連結する組立式台船であって、一端に被装着部26を有し、他端に被連結部28を有する連結部材25を設けるとともに、フロータ11A、11Bの側面部14a〜14dのうち少なくとも第1および第2側面部14a,14cに、軸線に沿って上下方向に延び内向きに窪む溝部16を設け、第1側面部14aの溝部16に、この溝部16から被連結部28が突出するように連結部材25の被装着部26を着脱可能に装着する装着部18を設けるとともに、第2側面部14cの溝部16に、連結部材25の被連結部28を離脱可能に連結する連結部21a,21bを設けた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のフロータを連結してなる組立式台船に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設のダムの擁壁や橋等を工事する際には、水上に足場となる台船を浮設し、この台船上に重機等が設置される。この台船は、工事を行う時だけ水上に浮設され、工事が完了すると撤去される。そのため、台船は、トラックで輸送可能な四角柱(直方体)形状のフロータとして分割して形成され、現場にて所定数のフロータを連結して組み立てて構成される。
【0003】
この組立式台船が特許文献1に記載されている。この組立式台船は、フロータの4面の側面部のうち、隣接する一対の側面部に水平方向に突出するオス型連結部が突設されている。また、残りの隣接する一対の側面部には、オス型連結部を連結可能なメス型連結部が設けられている。このメス型連結部は、オス型連結部を貫通可能な挿通孔を有し、この挿通孔を挿通したオス型連結部の先端部に係合部材を係合させて連結する。
【0004】
しかしながら、特許文献1の組立式台船は、1個のフロータの横幅が小さいため、水上での組立(連結)時および分解時に安定せず、作業性が悪いという不都合がある。即ち、組立式台船は、幅が狭い道を通る必要がある現場で使用することを考慮して、フロータを4tトラックや15tトラックの荷台に積載可能な大きさで形成する必要がある。そして、各フロータは、側面部からオス型連結部が突出しているため、その分、横幅が小さくなる。横幅が小さくなっても全高を高くすることにより、十分な浮力を得るための容積は確保できる。しかし、全高が高いフロータは、水に浮かせた状態で横転し易く、安定性が悪い。
【0005】
また、特許文献1の組立式台船は、組立状態でも外周部からオス型連結部が突出した状態をなす。そのため、接岸した際に岸壁との間に広い隙間が生じる。そのため、重機の乗降に支障をきたすだけでなく、誤って作業者の脚が入り込むと怪我する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−280375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、水上での安定性を向上し、組み立ておよび分解作業性を向上するとともに、安全性を向上できる組立式台船を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の組立式台船は、外周を囲繞する複数の側面部を有する多角柱形状をなす複数のフロータを、水上で分離可能に連結する組立式台船であって、一端に被装着部を有し、他端に被連結部を有する連結部材を設けるとともに、前記フロータの側面部のうち少なくとも第1および第2側面部に、軸線に沿って上下方向に延び内向きに窪む溝部を設け、前記第1側面部の溝部に、この溝部から前記被連結部が突出するように前記連結部材の被装着部を着脱可能に装着する装着部を設けるとともに、前記第2側面部の溝部に、前記連結部材の被連結部を離脱可能に連結する連結部を設けた構成としている。
【0009】
この組立式台船は、各フロータを連結するために別体の連結部材を着脱可能に装着するため、フロータの横幅を、限られたスペースに積載可能な範囲で最大限に大きく形成することができる。その結果、各フロータの全高を低くすることができるため、水上での安定性を向上できる。よって、複数のフロータを水上で組み立てる際や、分解する際の作業性を向上できる。
【0010】
また、このフロータを用いた組立式台船は、連結したフロータ間の隙間を小さくすることができる。しかも、組立式台船の外周部には、連結のための部材が突出しない状態とすることができる。その結果、接岸時に岸壁との隙間を小さくすることができる。よって、重機の走行や乗降に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。
【0011】
この組立式台船では、前記連結部は、前記連結部材の被連結部を貫通可能な挿通孔を有し、この挿通孔を挿通した前記連結部材の被連結部を係合部材によって係合するもので、
前記装着部および連結部を、前記溝部の上下方向に所定間隔をもって2以上設け、下側に位置する前記連結部を、下端を開放した略逆U字形状の挿通溝孔により構成することが好ましい。この組立式台船を分解して撤去する際には、係合部材の係合を解除し、隣接するフロータの上側連結部だけ挿通孔から連結部材の被連結部を離脱させる。この状態で、フロータを上向きに引き上げることにより、下側の連結部材の被連結部を連結部の挿通溝孔から離脱させることができる。よって、分解作業性を大幅に向上できる。
【0012】
また、前記装着部は、前記連結部材の被装着部を内装可能な装着穴を有するとともに、略垂直方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔に対して上側から装着ピンを貫通させることにより前記連結部材を個別に装着することが好ましい。このようにすれば、水上で装着部から連結部材が脱落しないように確実に装着することを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組立式台船では、各フロータを連結するために別体の連結部材を着脱可能に装着するため、フロータの横幅を最大限に大きく形成することができる。よって、各フロータの全高を低くすることができ、水上での安定性を向上できる。その結果、組立時および分解時の作業性を向上できる。また、組み立てた組立式台船は、フロータ間の隙間を小さくできるうえ、外周部から連結部材が突出しないため接岸時に岸壁との隙間を小さくすることができる。よって、重機の走行や乗降に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の組立式台船を示す斜視図である。
【図2】フロータの連結構造を示す分解斜視図である。
【図3】図2の要部拡大斜視図である。
【図4A】台船の組立工程を示す断面図である。
【図4B】台船の他の組立工程を示す断面図である。
【図4C】台船の他の組立工程を示す断面図である。
【図4D】台船の組立状態を示す断面図である。
【図5A】台船の分解工程を示す断面図である。
【図5B】台船の他の分解工程を示す断面図である。
【図6A】台船の使用方法の一例を示す断面図である。
【図6B】台船の使用方法の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る組立式台船(以下「台船」と略する。)10を示す。この台船10は、全て同一構造の四角柱形状をなす多数(本実施形態では10個)のフロータ11A〜11Jを連結することにより構成されるものである。
【0017】
図2および図4Aに示すように、各フロータ11A〜11Jは、矩形状をなす金属板からなる上面部12と下面部13と4面の側面部14a〜14dを有し、これらを接合により密閉した箱体として形成している。上面部12には、メンテナンス等によって内部へ出入りするための開口部が設けられ、この開口部が蓋15によって密閉されている。但し、この上面部12の開口部および蓋15は、その形成位置は希望に応じて変更が可能である。また、上面部12は、開口部および蓋15を設けない平坦な板状としてもよい。下面部13は、平坦な板状のものである。
【0018】
側面部14a〜14dのうち、長尺な側面部14a,14cは、短尺な側面部14b,14dの2倍の寸法で形成されている。また、これら側面部14a〜14dには、垂直方向の軸線に沿って上下方向に延び、内向きに窪む溝部16が設けられている。側面部14a,14cの溝部16は、両側縁から所定間隔をあけた2カ所と、中央から所定間隔をあけた2カ所の合計で4カ所に設けられている。また、側面部14b,14dの溝部16は、両側縁から所定間隔をあけた2カ所に設けられている。これにより、図1に示すように、側面部14aの溝部16と側面部14cの溝部16とは、横方向に一致する。また、側面部14bの溝部16と側面部14dの溝部16とは、縦方向に一致する。そして、一対のフロータ(例えば11E,11F参照)を横方向に連結した状態で、側面部14b,14dの溝部16と側面部14a,14cの溝部16とが一致するように構成している。
【0019】
また、各側面部14a〜14dの溝部16には、平面視凹字形状をなす溝形鋼17が配設されている。この溝形鋼17内には、連結部材25を介して各フロータ11A〜11Jを離脱可能に連結するための各一対の装着部18,18および連結部21a,21bが設けられている。本実施形態では、装着部18は、隣接する一対の第1の側面部14a,14bの溝部16に、上下方向に所定間隔をもって設けられている。また、連結部21a,21bは、側面部14a,14bと対向するとともに隣接する他の第2の側面部14c,14dの溝部16に、上下方向に所定間隔をもって設けられている。
【0020】
図3に示すように、装着部18は、溝形鋼17から水平方向に僅かに突出するように、溝形鋼17内に接合した矩形状ブロックからなる。この装着部18の突出寸法は、製造誤差や熱膨張によって、連結するフロータ11A〜11Jの側面部14a〜14dが干渉することを防止できる程度の小さいものである。この装着部18には、水平方向に延び、連結部材25の被装着部26を内装可能な円形状の装着穴19が設けられている。また、装着部18には、装着穴19の軸線と直交するように垂直方向に延びる貫通孔20が設けられている。
【0021】
連結部21a,21bは、溝形鋼17から水平方向に僅かに突出するように、溝形鋼17の開口端に接合した板状のものである。この連結部21a,21bの突出寸法は、装着部18と同様に、連結するフロータ11A〜11Jの側面部14a〜14dが干渉することを防止できる程度の小さいものである。溝形鋼17の上側に配設する連結部21aには、連結部材25の被連結部28を貫通可能な円形状の挿通孔22が設けられている。また、溝形鋼17の下側に配設する連結部21bは、連結部材25の被連結部28を貫通可能で、かつ、下端を開放した略逆U字形状の挿通溝孔23が設けられている。さらに、本実施形態では、連結部21a,21bを配設する溝部16の中間位置に、下側の連結部21bへ係合部材31を案内するガイド24が設けられている。
【0022】
連結部材25は、一端に装着部18に着脱可能に装着される被装着部26が形成され、他端に連結部21a,21bに離脱可能に連結される被連結部28が形成された円柱状のものである。被装着部26には、装着部18に内装した状態で貫通孔20に一致するように、径方向に貫通する貫通孔部27が設けられている。被連結部28は、連結部21a,21bに対して挿通し易くなるように、前端部が先細に面取りされている。この被連結部28には、装着部18と連結部21a,21bの端面を当接させた状態で、挿通孔22および挿通溝孔23を挿通した部分(溝形鋼17内)に位置するように、係合溝29が設けられている。この係合溝29は、貫通孔部27の軸線に対して平行に延びるように設けられている。これにより、装着部18に装着した状態で、係合溝29が上下方向に延びるように構成されている。また、係合溝29は、連結部21a,21bの側に位置する側面が垂直に延び、溝形鋼17の底の側に位置する側面が上側から下側に向けて溝幅が次第に狭くなるように傾斜して延びる、略直角台形状に形成されている。
【0023】
この連結部材25は、被装着部26を装着部18に内装した状態で、装着部18の貫通孔20に対して上側から装着ピン30を貫通させることにより、個別に装着される。この装着状態では、各溝部16から被連結部28が水平方向に突出した状態をなす。そして、被連結部28は、各連結部21a,21bに対して挿通された後、係合溝29に対して1個の係合部材31が係合されることにより、離脱可能に連結される。
【0024】
係合部材31は、溝形鋼17内に挿入可能な幅で、肉厚が係合溝29の溝幅より大きい金属板からなる。この係合部材31の全長は、溝形鋼17の全高より僅かに小さい。そして、係合部材31の上端部には、係脱作業用の作業孔32が設けられている。この作業孔32の下部には、上側の連結部21aを挿通した連結部材25の被連結部28の係合溝29に係合する係合孔部33が設けられている。また、係合部材31の下端部には、下側の連結部21bを挿通した連結部材25の被連結部28の係合溝29に係合する係合溝部34が設けられている。係合部材31は、係合孔部33および係合溝部34を形成した部分の肉厚が、上側から下側へ向けて次第に薄くなる傾斜面35とされている。係合孔部33は、被連結部28が挿通可能な略矩形状の挿通部33aと、この挿通部33aから上向きに延びて被連結部28の係合溝29に係合される係合部33bとを有する。係合溝部34は、被連結部28の係合溝29に係合される逆U字形状の溝からなる。この係合溝部34の下端は、溝幅が次第に広くなるように面取りされている。また、係合孔部33と係合溝部34の間には、肉抜部36が設けられている。
【0025】
このように、各フロータ11A〜11Jは、連結するために別体の連結部材25を着脱可能に装着するように構成している。そのため、各フロータ11A〜11Jの横幅(側面部14b,14dの幅)は、限られたスペースに積載可能な範囲で最大限に大きく形成することができる。具体的には、本発明のフロータ11A〜11Jの横幅は、従来のフロータが約2.1mであったのに対して、約2.4mに広げることができる。その結果、同一の浮力とする場合には、各フロータ11A〜11Jの全高を低くすることができる。また、横幅を広くしているため、水上での安定性を向上できる。よって、複数のフロータ11A〜11Jを水上で組み立てる際や、分解する際の作業性を向上できる。
【0026】
具体的には、フロータ11A〜11Jを用いて台船10を組み立てる場合には、所定の側面部14a,14bに連結部材25を装着し、側面部14aと側面部14c、側面部14bと側面部14d、側面部14aと一対の側面部14d,14d、および、側面部14cと一対の側面部14b,14bを対向させて連結することにより、1個の台船10を形成することができる。
【0027】
具体的には、図4Aに示すように、装着部18に対して連結部材25の被装着部26を挿入させる。そして、図4Bに示すように、装着部18の貫通孔20と連結部材25の貫通孔部27の軸線を一致させ、上側から装着ピン30を貫通させる。また、図示のように、係合部材31を連結部21a,21bの溝部16内に配置し、所定の治具によって仮止めしておく。
【0028】
この状態で、フロータ11A〜11Jをクレーンによって吊り上げ、水上に配置する。そして、水上に浮かべたフロータ11A〜11Jの上に作業者が乗り、組み付けるフロータ11A〜11Jを接近させて、連結部21a,21bに連結部材25の被連結部28を連結する。例えば、フロータ11A,11Bにそれぞれ作業者が乗り、互いにロープを持って引き合うことにより、図4Cに示すように、フロータ11Aの側面部14aをフロータ11Bの側面部14cに接近させる。そして、フロータ11Aの装着部18に装着した連結部材25の被連結部28を、フロータ11Bの連結部21a,21bに挿通させる。その後、図4Dに示すように、係合部材31を下向きに押し込み、被連結部28の係合溝29に係合部材31を係合させる。
【0029】
このようにして、希望の側面部14a,14bおよび側面部14c,14dを近接させて連結部材25および係合部材31によって連結することにより、図1に示す多数のフロータ11A〜11Jからなる台船10を希望の形状および面積で組み立てる。
【0030】
この台船10は、第1のフロータ11Aの側面部14a,14bから突出する連結部材25を、第2のフロータ11Bの側面部14c,14dの連結部21a,21bに貫通させて連結するため、隣接するフロータ11A,11B間の隙間を小さくすることができる。そのため、台船10上を重機が走行する際に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。また、連結部材25は、連結する側面部14a,14bだけに連結すればよいため、外周部から連結のための部材が突出しない状態とすることができる。その結果、接岸時に岸壁との隙間を小さくすることができる。よって、重機の乗降に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。
【0031】
また、連結部材25は、装着部18に対して上側から装着ピン30を貫通させることにより装着されるため、水に浮かせた状態で、装着部18から連結部材25が脱落しないように確実に装着することを防止できる。
【0032】
一方、工事が完了して台船10を撤去する際には、まず、係合部材31を上向きに引き上げることにより、連結部材25の被連結部28との係合を解除する。そして、フロータ11A〜11Jの間にバール等を差し込み、図5Aに示すように、隣接するフロータ11A〜11Jの上側の連結部21aだけ、挿通孔22から連結部材25の被連結部28を離脱させる。この状態で、連結部21a,21bの側のフロータ11A〜11Jを上向きに引き上げる。これにより、図5Bに示すように、下側の連結部材25の被連結部28を連結部21bの挿通溝孔23から離脱させることができる。
【0033】
このように、本発明の台船10は、フロータ11A〜11Jの下側に位置する連結部21bを、下端を開放した挿通溝部としているため、分解作業性を大幅に向上できる。そして、全てのフロータ11A〜11Jを陸上に引き上げた後に、装着ピン30を取り外して装着部18から連結部材25を離脱させる。
【0034】
なお、本実施形態の台船10は、連結部材25を連結する側面部14a,14bだけに装着するものであるため、外周部に位置する側面部14a,14bの装着部18を有効的に活用することができる。例えば図6Aに示すように、装着部18に緩衝用のゴムバッファ37を装着し、接岸時に台船10が直接干渉することを防止できるようにする。また、図6Bに示すように、装着部18に目印となるブイ38を装着してもよい。
【0035】
また、本発明の組立式台船は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、前記実施形態では、溝部16を側面部14a〜14dの上下端にかけて延びるように設けたが、上下端の中間部分だけに設ける構成としてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、溝部16に対して装着部18および連結部21a,21bを上下方向に所定間隔をあけて2カ所に設けたが、3カ所以上設けてもよい。この場合、最上部に位置する連結部21aを除く下側の連結部は、下端を開放した挿通溝孔23とすることが好ましい。しかも、装着部18、連結部21a,21bおよび連結部材25の形状および連結構造は、希望に応じて変更が可能である。
【0038】
さらに、前記実施形態では、フロータ11A〜11Jを四角柱状に形成したが、多角柱形状であればよい。但し、組立状態で隙間が生じないようにするためには、偶数角の多角柱状とすることが好ましい。
【0039】
そして、前記実施形態では、全ての側面部14a〜14dに溝部16を設け、装着部18,18または連結部21a,21bを設けたが、所定の側面部14a〜14dだけに溝部16を設けて、装着部18,18または連結部21a,21bを設けてもよい。但し、この場合には、対向面にだけ溝部16を設け、一方に装着部18,18を設け、他方に連結部21a,21bを設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
10…台船
11A〜11J…フロータ
14a,14b…第1側面部
14c,14d…第2側面部
16…溝部
18…装着部
19…装着穴
20…貫通孔
21a,21b…連結部
22…挿通孔
23…挿通溝孔
25…連結部材
26…被装着部
28…被連結部
30…装着ピン
31…係合部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のフロータを連結してなる組立式台船に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設のダムの擁壁や橋等を工事する際には、水上に足場となる台船を浮設し、この台船上に重機等が設置される。この台船は、工事を行う時だけ水上に浮設され、工事が完了すると撤去される。そのため、台船は、トラックで輸送可能な四角柱(直方体)形状のフロータとして分割して形成され、現場にて所定数のフロータを連結して組み立てて構成される。
【0003】
この組立式台船が特許文献1に記載されている。この組立式台船は、フロータの4面の側面部のうち、隣接する一対の側面部に水平方向に突出するオス型連結部が突設されている。また、残りの隣接する一対の側面部には、オス型連結部を連結可能なメス型連結部が設けられている。このメス型連結部は、オス型連結部を貫通可能な挿通孔を有し、この挿通孔を挿通したオス型連結部の先端部に係合部材を係合させて連結する。
【0004】
しかしながら、特許文献1の組立式台船は、1個のフロータの横幅が小さいため、水上での組立(連結)時および分解時に安定せず、作業性が悪いという不都合がある。即ち、組立式台船は、幅が狭い道を通る必要がある現場で使用することを考慮して、フロータを4tトラックや15tトラックの荷台に積載可能な大きさで形成する必要がある。そして、各フロータは、側面部からオス型連結部が突出しているため、その分、横幅が小さくなる。横幅が小さくなっても全高を高くすることにより、十分な浮力を得るための容積は確保できる。しかし、全高が高いフロータは、水に浮かせた状態で横転し易く、安定性が悪い。
【0005】
また、特許文献1の組立式台船は、組立状態でも外周部からオス型連結部が突出した状態をなす。そのため、接岸した際に岸壁との間に広い隙間が生じる。そのため、重機の乗降に支障をきたすだけでなく、誤って作業者の脚が入り込むと怪我する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−280375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、水上での安定性を向上し、組み立ておよび分解作業性を向上するとともに、安全性を向上できる組立式台船を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の組立式台船は、外周を囲繞する複数の側面部を有する多角柱形状をなす複数のフロータを、水上で分離可能に連結する組立式台船であって、一端に被装着部を有し、他端に被連結部を有する連結部材を設けるとともに、前記フロータの側面部のうち少なくとも第1および第2側面部に、軸線に沿って上下方向に延び内向きに窪む溝部を設け、前記第1側面部の溝部に、この溝部から前記被連結部が突出するように前記連結部材の被装着部を着脱可能に装着する装着部を設けるとともに、前記第2側面部の溝部に、前記連結部材の被連結部を離脱可能に連結する連結部を設けた構成としている。
【0009】
この組立式台船は、各フロータを連結するために別体の連結部材を着脱可能に装着するため、フロータの横幅を、限られたスペースに積載可能な範囲で最大限に大きく形成することができる。その結果、各フロータの全高を低くすることができるため、水上での安定性を向上できる。よって、複数のフロータを水上で組み立てる際や、分解する際の作業性を向上できる。
【0010】
また、このフロータを用いた組立式台船は、連結したフロータ間の隙間を小さくすることができる。しかも、組立式台船の外周部には、連結のための部材が突出しない状態とすることができる。その結果、接岸時に岸壁との隙間を小さくすることができる。よって、重機の走行や乗降に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。
【0011】
この組立式台船では、前記連結部は、前記連結部材の被連結部を貫通可能な挿通孔を有し、この挿通孔を挿通した前記連結部材の被連結部を係合部材によって係合するもので、
前記装着部および連結部を、前記溝部の上下方向に所定間隔をもって2以上設け、下側に位置する前記連結部を、下端を開放した略逆U字形状の挿通溝孔により構成することが好ましい。この組立式台船を分解して撤去する際には、係合部材の係合を解除し、隣接するフロータの上側連結部だけ挿通孔から連結部材の被連結部を離脱させる。この状態で、フロータを上向きに引き上げることにより、下側の連結部材の被連結部を連結部の挿通溝孔から離脱させることができる。よって、分解作業性を大幅に向上できる。
【0012】
また、前記装着部は、前記連結部材の被装着部を内装可能な装着穴を有するとともに、略垂直方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔に対して上側から装着ピンを貫通させることにより前記連結部材を個別に装着することが好ましい。このようにすれば、水上で装着部から連結部材が脱落しないように確実に装着することを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組立式台船では、各フロータを連結するために別体の連結部材を着脱可能に装着するため、フロータの横幅を最大限に大きく形成することができる。よって、各フロータの全高を低くすることができ、水上での安定性を向上できる。その結果、組立時および分解時の作業性を向上できる。また、組み立てた組立式台船は、フロータ間の隙間を小さくできるうえ、外周部から連結部材が突出しないため接岸時に岸壁との隙間を小さくすることができる。よって、重機の走行や乗降に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の組立式台船を示す斜視図である。
【図2】フロータの連結構造を示す分解斜視図である。
【図3】図2の要部拡大斜視図である。
【図4A】台船の組立工程を示す断面図である。
【図4B】台船の他の組立工程を示す断面図である。
【図4C】台船の他の組立工程を示す断面図である。
【図4D】台船の組立状態を示す断面図である。
【図5A】台船の分解工程を示す断面図である。
【図5B】台船の他の分解工程を示す断面図である。
【図6A】台船の使用方法の一例を示す断面図である。
【図6B】台船の使用方法の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る組立式台船(以下「台船」と略する。)10を示す。この台船10は、全て同一構造の四角柱形状をなす多数(本実施形態では10個)のフロータ11A〜11Jを連結することにより構成されるものである。
【0017】
図2および図4Aに示すように、各フロータ11A〜11Jは、矩形状をなす金属板からなる上面部12と下面部13と4面の側面部14a〜14dを有し、これらを接合により密閉した箱体として形成している。上面部12には、メンテナンス等によって内部へ出入りするための開口部が設けられ、この開口部が蓋15によって密閉されている。但し、この上面部12の開口部および蓋15は、その形成位置は希望に応じて変更が可能である。また、上面部12は、開口部および蓋15を設けない平坦な板状としてもよい。下面部13は、平坦な板状のものである。
【0018】
側面部14a〜14dのうち、長尺な側面部14a,14cは、短尺な側面部14b,14dの2倍の寸法で形成されている。また、これら側面部14a〜14dには、垂直方向の軸線に沿って上下方向に延び、内向きに窪む溝部16が設けられている。側面部14a,14cの溝部16は、両側縁から所定間隔をあけた2カ所と、中央から所定間隔をあけた2カ所の合計で4カ所に設けられている。また、側面部14b,14dの溝部16は、両側縁から所定間隔をあけた2カ所に設けられている。これにより、図1に示すように、側面部14aの溝部16と側面部14cの溝部16とは、横方向に一致する。また、側面部14bの溝部16と側面部14dの溝部16とは、縦方向に一致する。そして、一対のフロータ(例えば11E,11F参照)を横方向に連結した状態で、側面部14b,14dの溝部16と側面部14a,14cの溝部16とが一致するように構成している。
【0019】
また、各側面部14a〜14dの溝部16には、平面視凹字形状をなす溝形鋼17が配設されている。この溝形鋼17内には、連結部材25を介して各フロータ11A〜11Jを離脱可能に連結するための各一対の装着部18,18および連結部21a,21bが設けられている。本実施形態では、装着部18は、隣接する一対の第1の側面部14a,14bの溝部16に、上下方向に所定間隔をもって設けられている。また、連結部21a,21bは、側面部14a,14bと対向するとともに隣接する他の第2の側面部14c,14dの溝部16に、上下方向に所定間隔をもって設けられている。
【0020】
図3に示すように、装着部18は、溝形鋼17から水平方向に僅かに突出するように、溝形鋼17内に接合した矩形状ブロックからなる。この装着部18の突出寸法は、製造誤差や熱膨張によって、連結するフロータ11A〜11Jの側面部14a〜14dが干渉することを防止できる程度の小さいものである。この装着部18には、水平方向に延び、連結部材25の被装着部26を内装可能な円形状の装着穴19が設けられている。また、装着部18には、装着穴19の軸線と直交するように垂直方向に延びる貫通孔20が設けられている。
【0021】
連結部21a,21bは、溝形鋼17から水平方向に僅かに突出するように、溝形鋼17の開口端に接合した板状のものである。この連結部21a,21bの突出寸法は、装着部18と同様に、連結するフロータ11A〜11Jの側面部14a〜14dが干渉することを防止できる程度の小さいものである。溝形鋼17の上側に配設する連結部21aには、連結部材25の被連結部28を貫通可能な円形状の挿通孔22が設けられている。また、溝形鋼17の下側に配設する連結部21bは、連結部材25の被連結部28を貫通可能で、かつ、下端を開放した略逆U字形状の挿通溝孔23が設けられている。さらに、本実施形態では、連結部21a,21bを配設する溝部16の中間位置に、下側の連結部21bへ係合部材31を案内するガイド24が設けられている。
【0022】
連結部材25は、一端に装着部18に着脱可能に装着される被装着部26が形成され、他端に連結部21a,21bに離脱可能に連結される被連結部28が形成された円柱状のものである。被装着部26には、装着部18に内装した状態で貫通孔20に一致するように、径方向に貫通する貫通孔部27が設けられている。被連結部28は、連結部21a,21bに対して挿通し易くなるように、前端部が先細に面取りされている。この被連結部28には、装着部18と連結部21a,21bの端面を当接させた状態で、挿通孔22および挿通溝孔23を挿通した部分(溝形鋼17内)に位置するように、係合溝29が設けられている。この係合溝29は、貫通孔部27の軸線に対して平行に延びるように設けられている。これにより、装着部18に装着した状態で、係合溝29が上下方向に延びるように構成されている。また、係合溝29は、連結部21a,21bの側に位置する側面が垂直に延び、溝形鋼17の底の側に位置する側面が上側から下側に向けて溝幅が次第に狭くなるように傾斜して延びる、略直角台形状に形成されている。
【0023】
この連結部材25は、被装着部26を装着部18に内装した状態で、装着部18の貫通孔20に対して上側から装着ピン30を貫通させることにより、個別に装着される。この装着状態では、各溝部16から被連結部28が水平方向に突出した状態をなす。そして、被連結部28は、各連結部21a,21bに対して挿通された後、係合溝29に対して1個の係合部材31が係合されることにより、離脱可能に連結される。
【0024】
係合部材31は、溝形鋼17内に挿入可能な幅で、肉厚が係合溝29の溝幅より大きい金属板からなる。この係合部材31の全長は、溝形鋼17の全高より僅かに小さい。そして、係合部材31の上端部には、係脱作業用の作業孔32が設けられている。この作業孔32の下部には、上側の連結部21aを挿通した連結部材25の被連結部28の係合溝29に係合する係合孔部33が設けられている。また、係合部材31の下端部には、下側の連結部21bを挿通した連結部材25の被連結部28の係合溝29に係合する係合溝部34が設けられている。係合部材31は、係合孔部33および係合溝部34を形成した部分の肉厚が、上側から下側へ向けて次第に薄くなる傾斜面35とされている。係合孔部33は、被連結部28が挿通可能な略矩形状の挿通部33aと、この挿通部33aから上向きに延びて被連結部28の係合溝29に係合される係合部33bとを有する。係合溝部34は、被連結部28の係合溝29に係合される逆U字形状の溝からなる。この係合溝部34の下端は、溝幅が次第に広くなるように面取りされている。また、係合孔部33と係合溝部34の間には、肉抜部36が設けられている。
【0025】
このように、各フロータ11A〜11Jは、連結するために別体の連結部材25を着脱可能に装着するように構成している。そのため、各フロータ11A〜11Jの横幅(側面部14b,14dの幅)は、限られたスペースに積載可能な範囲で最大限に大きく形成することができる。具体的には、本発明のフロータ11A〜11Jの横幅は、従来のフロータが約2.1mであったのに対して、約2.4mに広げることができる。その結果、同一の浮力とする場合には、各フロータ11A〜11Jの全高を低くすることができる。また、横幅を広くしているため、水上での安定性を向上できる。よって、複数のフロータ11A〜11Jを水上で組み立てる際や、分解する際の作業性を向上できる。
【0026】
具体的には、フロータ11A〜11Jを用いて台船10を組み立てる場合には、所定の側面部14a,14bに連結部材25を装着し、側面部14aと側面部14c、側面部14bと側面部14d、側面部14aと一対の側面部14d,14d、および、側面部14cと一対の側面部14b,14bを対向させて連結することにより、1個の台船10を形成することができる。
【0027】
具体的には、図4Aに示すように、装着部18に対して連結部材25の被装着部26を挿入させる。そして、図4Bに示すように、装着部18の貫通孔20と連結部材25の貫通孔部27の軸線を一致させ、上側から装着ピン30を貫通させる。また、図示のように、係合部材31を連結部21a,21bの溝部16内に配置し、所定の治具によって仮止めしておく。
【0028】
この状態で、フロータ11A〜11Jをクレーンによって吊り上げ、水上に配置する。そして、水上に浮かべたフロータ11A〜11Jの上に作業者が乗り、組み付けるフロータ11A〜11Jを接近させて、連結部21a,21bに連結部材25の被連結部28を連結する。例えば、フロータ11A,11Bにそれぞれ作業者が乗り、互いにロープを持って引き合うことにより、図4Cに示すように、フロータ11Aの側面部14aをフロータ11Bの側面部14cに接近させる。そして、フロータ11Aの装着部18に装着した連結部材25の被連結部28を、フロータ11Bの連結部21a,21bに挿通させる。その後、図4Dに示すように、係合部材31を下向きに押し込み、被連結部28の係合溝29に係合部材31を係合させる。
【0029】
このようにして、希望の側面部14a,14bおよび側面部14c,14dを近接させて連結部材25および係合部材31によって連結することにより、図1に示す多数のフロータ11A〜11Jからなる台船10を希望の形状および面積で組み立てる。
【0030】
この台船10は、第1のフロータ11Aの側面部14a,14bから突出する連結部材25を、第2のフロータ11Bの側面部14c,14dの連結部21a,21bに貫通させて連結するため、隣接するフロータ11A,11B間の隙間を小さくすることができる。そのため、台船10上を重機が走行する際に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。また、連結部材25は、連結する側面部14a,14bだけに連結すればよいため、外周部から連結のための部材が突出しない状態とすることができる。その結果、接岸時に岸壁との隙間を小さくすることができる。よって、重機の乗降に支障をきたすことはないうえ、作業者の安全性も確保できる。
【0031】
また、連結部材25は、装着部18に対して上側から装着ピン30を貫通させることにより装着されるため、水に浮かせた状態で、装着部18から連結部材25が脱落しないように確実に装着することを防止できる。
【0032】
一方、工事が完了して台船10を撤去する際には、まず、係合部材31を上向きに引き上げることにより、連結部材25の被連結部28との係合を解除する。そして、フロータ11A〜11Jの間にバール等を差し込み、図5Aに示すように、隣接するフロータ11A〜11Jの上側の連結部21aだけ、挿通孔22から連結部材25の被連結部28を離脱させる。この状態で、連結部21a,21bの側のフロータ11A〜11Jを上向きに引き上げる。これにより、図5Bに示すように、下側の連結部材25の被連結部28を連結部21bの挿通溝孔23から離脱させることができる。
【0033】
このように、本発明の台船10は、フロータ11A〜11Jの下側に位置する連結部21bを、下端を開放した挿通溝部としているため、分解作業性を大幅に向上できる。そして、全てのフロータ11A〜11Jを陸上に引き上げた後に、装着ピン30を取り外して装着部18から連結部材25を離脱させる。
【0034】
なお、本実施形態の台船10は、連結部材25を連結する側面部14a,14bだけに装着するものであるため、外周部に位置する側面部14a,14bの装着部18を有効的に活用することができる。例えば図6Aに示すように、装着部18に緩衝用のゴムバッファ37を装着し、接岸時に台船10が直接干渉することを防止できるようにする。また、図6Bに示すように、装着部18に目印となるブイ38を装着してもよい。
【0035】
また、本発明の組立式台船は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、前記実施形態では、溝部16を側面部14a〜14dの上下端にかけて延びるように設けたが、上下端の中間部分だけに設ける構成としてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、溝部16に対して装着部18および連結部21a,21bを上下方向に所定間隔をあけて2カ所に設けたが、3カ所以上設けてもよい。この場合、最上部に位置する連結部21aを除く下側の連結部は、下端を開放した挿通溝孔23とすることが好ましい。しかも、装着部18、連結部21a,21bおよび連結部材25の形状および連結構造は、希望に応じて変更が可能である。
【0038】
さらに、前記実施形態では、フロータ11A〜11Jを四角柱状に形成したが、多角柱形状であればよい。但し、組立状態で隙間が生じないようにするためには、偶数角の多角柱状とすることが好ましい。
【0039】
そして、前記実施形態では、全ての側面部14a〜14dに溝部16を設け、装着部18,18または連結部21a,21bを設けたが、所定の側面部14a〜14dだけに溝部16を設けて、装着部18,18または連結部21a,21bを設けてもよい。但し、この場合には、対向面にだけ溝部16を設け、一方に装着部18,18を設け、他方に連結部21a,21bを設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
10…台船
11A〜11J…フロータ
14a,14b…第1側面部
14c,14d…第2側面部
16…溝部
18…装着部
19…装着穴
20…貫通孔
21a,21b…連結部
22…挿通孔
23…挿通溝孔
25…連結部材
26…被装着部
28…被連結部
30…装着ピン
31…係合部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周を囲繞する複数の側面部を有する多角柱形状をなす複数のフロータを、水上で分離可能に連結する組立式台船であって、
一端に被装着部を有し、他端に被連結部を有する連結部材を設けるとともに、
前記フロータの側面部のうち少なくとも第1および第2側面部に、軸線に沿って上下方向に延び内向きに窪む溝部を設け、
前記第1側面部の溝部に、この溝部から前記被連結部が突出するように前記連結部材の被装着部を着脱可能に装着する装着部を設けるとともに、前記第2側面部の溝部に、前記連結部材の被連結部を離脱可能に連結する連結部を設けたことを特徴とする組立式台船。
【請求項2】
前記連結部は、前記連結部材の被連結部を貫通可能な挿通孔を有し、この挿通孔を挿通した前記連結部材の被連結部を係合部材によって係合するもので、
前記装着部および連結部を、前記溝部の上下方向に所定間隔をもって2以上設け、下側に位置する前記連結部を、下端を開放した略逆U字形状の挿通溝孔により構成したことを特徴とする請求項1に記載の組立式台船。
【請求項3】
前記装着部は、前記連結部材の被装着部を内装可能な装着穴を有するとともに、略垂直方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔に対して上側から装着ピンを貫通させることにより前記連結部材を個別に装着するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組立式台船。
【請求項1】
外周を囲繞する複数の側面部を有する多角柱形状をなす複数のフロータを、水上で分離可能に連結する組立式台船であって、
一端に被装着部を有し、他端に被連結部を有する連結部材を設けるとともに、
前記フロータの側面部のうち少なくとも第1および第2側面部に、軸線に沿って上下方向に延び内向きに窪む溝部を設け、
前記第1側面部の溝部に、この溝部から前記被連結部が突出するように前記連結部材の被装着部を着脱可能に装着する装着部を設けるとともに、前記第2側面部の溝部に、前記連結部材の被連結部を離脱可能に連結する連結部を設けたことを特徴とする組立式台船。
【請求項2】
前記連結部は、前記連結部材の被連結部を貫通可能な挿通孔を有し、この挿通孔を挿通した前記連結部材の被連結部を係合部材によって係合するもので、
前記装着部および連結部を、前記溝部の上下方向に所定間隔をもって2以上設け、下側に位置する前記連結部を、下端を開放した略逆U字形状の挿通溝孔により構成したことを特徴とする請求項1に記載の組立式台船。
【請求項3】
前記装着部は、前記連結部材の被装着部を内装可能な装着穴を有するとともに、略垂直方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔に対して上側から装着ピンを貫通させることにより前記連結部材を個別に装着するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組立式台船。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【公開番号】特開2012−232651(P2012−232651A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101830(P2011−101830)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511107957)三国屋建設株式会社 (1)
【出願人】(594125576)協和機工株式会社 (3)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511107957)三国屋建設株式会社 (1)
【出願人】(594125576)協和機工株式会社 (3)
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