組織締付具
【課題】2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの生体組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供すること。
【解決手段】2つの生体組織を密着させて締め付ける組織締付具の製造方法であって、以下の工程を含む。金属からなる線材の一端を軸体に固定し、前記線材の軸回りに前記線材をねじりつつ、前記軸体の外周に前記線材を巻いてコイルを成形する工程。前記線材に超弾性を付与する熱処理を行う工程。超弾性が付与された前記線材を、前記線材が弾性変形可能な範囲で変形させて、前記コイルの巻き方向を前記コイルを成形する工程で巻いた前記コイルの巻き方向と逆にする工程。この製造方法においては、前記コイルの巻き方向を逆にする工程の後に、前記コイルの圧縮方向への初張力が前記コイルに作用している。
【解決手段】2つの生体組織を密着させて締め付ける組織締付具の製造方法であって、以下の工程を含む。金属からなる線材の一端を軸体に固定し、前記線材の軸回りに前記線材をねじりつつ、前記軸体の外周に前記線材を巻いてコイルを成形する工程。前記線材に超弾性を付与する熱処理を行う工程。超弾性が付与された前記線材を、前記線材が弾性変形可能な範囲で変形させて、前記コイルの巻き方向を前記コイルを成形する工程で巻いた前記コイルの巻き方向と逆にする工程。この製造方法においては、前記コイルの巻き方向を逆にする工程の後に、前記コイルの圧縮方向への初張力が前記コイルに作用している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの生体組織を密着させて締め付ける組織締付具に関する。
本願は、2010年6月22日に、米国に出願された仮出願番号61/357,154 に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
人体の臓器などに対して処置を行う手法としては、経皮的に処置具を挿入する腹腔鏡手術が知られている。腹腔鏡手術によれば、腹部を切開する場合に比べて侵襲が少なくて済み、早期の回復が期待できる。
腹腔鏡手術に使用される処置具は、経皮的に体内に挿入される硬質のシャフトを有し、人体の臓器などに対して処置を行うためのたとえば鉗子などがシャフトの先端に設けられているのが一般的である。
【0003】
たとえば、日本国特開2005−193044号公報には、管腔組織を結合する用途に用いる管腔内吻合装置が開示されている。この管腔内吻合装置は、シャフトの先端に開閉自在な把持具が取り付けられており、シャフト内には締付具が挿入されている。この締付具は、形状記憶合金を平コイル形状で熱処理して製造されており、延ばした状態でシャフトに挿入されるものである。
【0004】
締付具は、管腔内吻合装置の手元側に設けられた突出機構によってシャフトの先端から押し出し可能である。締付具を使用するときは、突出機構によって締付具を押し出して体内に留置する。締付具は、体温で加熱されてコイル状に復元し、管腔組織を挟み込む。これにより、管腔組織が結合される。
【0005】
また、生体組織を締め付ける締付具を体内で供給する例として、国際公開第2002/019923号パンフレットに開示されている。国際公開第2002/019923号パンフレットには、締付具を針から押し出して組織に締付具を供給する供給装置が記載され、針を組織に刺入するときの深さと、締付具を組織に供給する量とをともに制御するストッパが設けられていることが記載されている。
【0006】
この供給装置を締付具とともに使用して処置を行うときは、締付具および針を収容した器具を組織に突き当て、針を前進させて組織に針を刺して挿入する。針を組織に挿入したら、ストッパで締付具の位置を固定して針を組織から引き抜く。ストッパが設けられているので、締付具の先端部分はストッパによって組織の内側に取り残される。器具を組織から外すと、締付具の残りの部分が組織の外側に残る。そして、締付具がコイル状に復元すると、組織が締め付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−193044号公報
【特許文献2】国際公開第2002/019923号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題の一つは、2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの生体組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、2つの生体組織を密着させて締め付けるばね性を有する組織締付具であって、2つの生体組織を密着させるためのコイル状の組織固定部と;前記組織固定部と連なり、前記組織固定部の第1のコイル径よりも大きい第2のコイル径を有するバネ部と;前記2つの生体組織の一方を押圧するために、前記バネ部と連なり、且つ前記バネ部の前記第2のコイル径よりも大きい第3のコイル径で少なくとも1巻き以上のコイル状に線材によって形成された組織押圧部と;を備え、前記組織押圧部は、前記組織固定部によって前記2つの生体組織を密着させたときに前記2つの生体組織の一方を押圧するように、前記バネ部側とは反対側に向いて形成された押圧面を有し、前記組織押圧部は、前記押圧面から前記組織押圧部の前記線材の端部に向かうにつれて前記押圧面から離間する方向に前記線材と交差するように曲げられた曲げ部を備え、前記組織押圧部の前記線材の前記端部は、前記押圧面よりも前記バネ部側の空間に配置される、組織締付具である。
【0010】
また、前記組織押圧部は、無負荷状態で隣り合う前記線材が互いに隙間を有する状態と、外力が作用している状態で隣り合う前記線材が互いに密着するように弾性変形した状態と、を有していてもよい。
【0011】
また、前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、前記線材の一端は、前記組織押圧部に含まれ、前記中心軸線の方向から見たときに前記組織押圧部の外形線よりも前記軸線に近い位置に配置されていてもよい。
なお、前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、前記中心軸線の方向から見たときに、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻きを超える部分の最大の外径は、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻き以下の部分における最大の外径以下であってもよい。
【0012】
また、前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、前記組織押圧部に含まれる前記線材の一端は、前記中心軸線に対して直交する方向から見たときに、前記組織押圧部および前記バネ部を構成する前記線材によって囲まれる円錐台形状の領域の内側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の組織締付具を示す斜視図である。
【図2】組織締付具を第一組織固定部側から第二組織固定部側へ向かってみた形状を示す平面図である。
【図3】組織締付具を示す側面図である。
【図4A】本実施形態の組織締付具の作用を説明するための説明図で、図2のA−A線における断面で示す図ある。
【図4B】本実施形態の組織締付具の作用を説明するための説明図で、図2のA−A線における断面で示す図ある。
【図5】従来の組織締付具の作用を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態の組織締付具の一部の構成を示す側面図である。
【図7A】本実施形態の組織締付具の使用時の一形態を説明するための説明図である。
【図7B】本実施形態の組織締付具の使用時の一形態を説明するための説明図である。
【図8】組織締付具の使用時の他の形態を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図10】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図11】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図12A】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図12B】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図13A】本実施形態の組織締付具を使用した手技に用いるアプリケータの一構成例を示す正面図である。
【図13B】図13AのB−B線における断面図である。
【図13C】アプリケータの使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図14】同アプリケータを使用した手技の一過程を示す説明図である。
【図15】同アプリケータを使用した手技の一過程を示す説明図である。
【図16】同アプリケータを使用した手技において針管から押し出される組織締付具の動作を説明するための動作説明図である。
【図17】同アプリケータを使用した手技の一過程を示す説明図である。
【図18】十二指腸と総胆管とをともに固定して生体内に留置された本実施形態の組織締付具を示す断面図である。
【図19】従来の組織締付具を図18に示すのと同様に生体内に留置した場合の従来の組織締付具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態の組織締付具1について説明する。
図1は、本実施形態の組織締付具1を示す斜視図である。図2は、組織締付具1を第一組織固定部2側から第二組織固定部3側へ向かってみた形状を示す平面図である。図3は、組織締付具1を示す側面図である。図4Aおよび図4Bは、本実施形態の組織締付具1の作用を説明するための説明図で、図2のA−A線における断面で示す図ある。図5Aおよび図5Bは、従来の組織締付具の作用を説明するための説明図である。図6は、本実施形態の組織締付具1の一部の構成を示す側面図である。図7は、本実施形態の組織締付具1の使用時の一形態を説明するための説明図である。図8は、組織締付具1の使用時の他の形態を説明するための説明図である。
【0016】
本実施形態の組織締付具1は、第一の生体組織と第二の生体組織とを一体に固定し、両組織が固定された部分に瘻孔を設けるためのものである。ここで、第一の生体組織と第二の生体組織とは、それぞれ別の器官を指すとは限らない。たとえば、ある器官のある領域を第一の生体組織とし、同じ器官の他の領域を第二の生体組織とする。そして、それぞれの生体組織に本実施形態の組織締付具1を掛けて留めることでこれら2つの領域を固定する場合も本実施形態における処置に含まれる。
【0017】
本実施形態では、第一の生体組織としての十二指腸に、第二の生体組織としての総胆管を固定し、両器官をつなぐ瘻孔を設ける処置を例にして本実施形態の組織締付具1を説明する。
【0018】
まず、本実施形態の組織締付具1の構成について説明する。
図1に示すように、組織締付具1は、コイル状に巻かれた一本の金属線材1aによって形成され、十二指腸に掛けて留められる第一組織固定部2と、十二指腸に隣接する総胆管に掛けて留められる第二組織固定部3と、第一組織固定部2に接続される外周ばね部4とを備えている。組織締付具1の金属線材1aの材料としては、超弾性を有する超弾性合金を挙げることができる。
【0019】
図1ないし図3に示すように、第一組織固定部2と第二組織固定部3とは、互いの同軸上に中心軸線が位置する円筒のコイル状に形成されている。また、第一組織固定部2と第二組織固定部3とのそれぞれのコイル径は互いに等しい。本実施形態では、第一組織固定部2および第二組織固定部3において、金属線材1aの巻き方向は右巻きである。
【0020】
ここで、右巻きとは、コイルの軸方向を上下方向にしたときに、手前に見える金属線材1aが左下から右上へと向かう巻き方である。すなわち、右巻きとは、右手の巻き方向であり、右ネジの巻き方向である、とも言える。あるいは、コイルの軸方向に進むに従って金属線材1aが右回りに進む、とも言える。
例えば、金属線材1aをコイルの軸方向に見て、金属線材1aの基端を手前に配置し、金属線材1aの先端を手前から奥へ右巻きに巻くことで右巻きのコイルが形成される。
【0021】
組織締付具1において、第一組織固定部2および第二組織固定部3には、初張力が作用している。第一組織固定部2および第二組織固定部3における初張力の強さは、第一組織固定部2と第二組織固定部3との間に2つの生体組織を挟み込んだときに生体組織における血流を阻害でき、且つ2つの生体組織を癒着させることができる程度の強さに設定されている。第一組織固定部2および第2組織固定部3における初張力の強さは、挟み込む対象となる生体組織の形状や種類に応じて調整されている。
【0022】
外周ばね部4は、第一組織固定部2の端部から延びるバネ部5と、バネ部5の端部から延びる組織押圧部6とを備える。本実施形態では、外周ばね部4において、金属線材1aの巻き方向は左巻きである。外周ばね部4のコイル径は、第一組織固定部2および第二組織固定部3のコイル径よりも大きい。
【0023】
ここで、左巻きとは、コイルの軸方向を上下方向にしたときに、手前に見える金属線材1aが右下から左上へと向かう巻き方である。すなわち、左巻きとは、右手と逆の巻き方向であり、右ネジと逆の巻き方向である、とも言える。あるいは、コイルの軸方向に進むに従って金属線材1aが左回りに進む巻き方である、とも言える。
例えば、金属線材1aをコイルの軸方向に見て、金属線材1aの基端を手前に配置し、金属線材1aの先端を手前から奥へ左巻きに巻くことで左巻きのコイルが形成される。
【0024】
バネ部5は、第一組織固定部2および第二組織固定部3のコイル径よりもコイル径が大きく、第一組織固定部2の端部から第二組織固定部3へ向かって延びている。さらにバネ部5のコイル径は、第二組織固定部3側に行くに従って徐々に大きくなっている。
【0025】
バネ部5は、金属線材1aの巻き数が一巻き以上の整数巻きとなるように形成されるのが好ましい。「一巻きの整数巻き」とは、組織締付具1を第一組織固定部2から第二組織固定部3へ向かってみたときに、バネ部5の第一組織固定部2側の端部と組織押圧部6側の端部とが、第一組織固定部2および第二組織固定部3の中心軸線と平行な直線上に位置することを指す。
【0026】
バネ部5が一巻き以上の整数巻きであると、組織締付具1を、第一組織固定部2および第二組織固定部3の中心を通る軸線の方向と平行な断面で見たときに、どのような断面をとっても第一組織固定部2および第二組織固定部3の径方向外側にバネ部5が均等に配分された状態となる。
【0027】
このため、組織締付具1が組織に留置された場合には、第一組織固定部2および第二組織固定部3に対して組織押圧部6が軸のずれを起こさずに、組織締付具1の形状を安定させることができる。本実施形態では一例としてバネ部5が一巻きに設定された状態を示しているが、整数巻きであれば、バネ部5が二巻き以上に設定されていても同様である。
【0028】
図3に示すように、組織押圧部6は、バネ部5と組織押圧部6との接続部から金属線材1aが疎巻き(loosely wound)にされ、バネ部5のコイル径よりも大きいコイル径の2巻きの円筒コイル状に延びて形成されている。組織押圧部6における2巻きの金属線材1aのコイル径は互いに等しい。
【0029】
なお、組織押圧部6の2巻き目のコイル径は、組織押圧部6の1巻き目のコイル径よりも小さくしてもよい。すなわち、中心軸線の方向から見たときに、組織押圧部6においてバネ部5の端部から測って金属線材1aの巻き数が一巻きを超える部分の最大の外径は、組織押圧部6においてバネ部5の端部から測って金属線材1aの巻き数が一巻き以下の部分における最大の外径以下であってもよい。
【0030】
この場合、組織押圧部6における金属線材1aの端部が1巻き目の金属線材1aの内側に位置する。したがって、組織締付具1を生体組織に留置したときに金属線材1aの端部6aが外部に露出せず、体壁に対して端部6aが引っかかることを防止できる。
【0031】
図4Aおよび図4Bに示すように、組織押圧部6に外力がかかっていない無負荷状態では、組織押圧部6の金属線材1aはいずれの位置においても一平面上にはない。すなわち、組織押圧部6において、金属線材1aは、螺旋状に巻かれている。換言すると、組織押圧部6において、金属線材1aは、2次元的な渦巻き状ではなく、3次元的な弦巻状に巻かれている。組織締付具1の使用時においては図4Bに示すように組織押圧部6の金属線材が互いに密着するようになっている。これは、たとえば図5に示す従来の組織締付具において、組織に接する金属線材(以下、「座巻(end turn)部6A、6B」と称する)が無負荷状態で一平面に沿って形成されているのとは異なる。
【0032】
図1および図3に示すように、組織押圧部6における金属線材1aの端部6aは、末端が半球形に形成されており、組織押圧部6のループから外れて第一組織固定部2および第二組織固定部3側へ向けて曲げられている。
【0033】
また、図6に示すように、組織押圧部6をコイルの中心軸線の方向へ圧縮変形させたときに、組織押圧部6の1巻き目と2巻き目との境界部分には、金属線材1aの外径寸法と等しい長さだけクランク形状に金属線材1aが折り曲げて形成された逃げ部7が設けられている。詳細は後述するが、組織締付具1の使用時には、組織押圧部6の1巻き目と2巻き目とが逃げ部7において交差することができるようになっている。
【0034】
これにより、組織押圧部6における金属線材1aが逃げ部7に接している状態では、金属線材1aの端部6aは組織押圧部6の1巻き目よりもバネ部5側に位置するように組織押圧部6の1巻き目に乗り上げることができる。これにより、組織押圧部6における金属線材1aの末端が生体組織に引っかかることを軽減できる。
【0035】
図6に示すように組織押圧部6の金属線材1aを逃げ部7において交差させる。すると、図7Aに示すように、組織押圧部6の1巻き目の金属線材1aは生体組織に接する最下層となる。また、組織押圧部6の1巻き目の金属線材1aの上に2巻き目の金属線材1aが乗り上げる。
【0036】
さらに、組織押圧部6における金属線材1aが逃げ部7において交差している状態では、図7Bに示すように、組織締付具1に外力がかかっていない状態においても交差した金属線材1aは交差したまま維持される。金属線材1aの端部6aは、組織締付具1の第一組織固定部2と組織押圧部6とによって形成される円錐台形状の領域(図7Aに符号X1で示し、図7Bに符号X2で示す領域)の内側に位置している。
【0037】
さらに、組織押圧部6における金属線材1aを逃げ部7において交差させた状態では、図7Bに示すように、バネ部5に対して外力がかかっていない状態においては、金属線材1aの端部3aと端部6aとが、組織締付具1の第一組織固定部2と組織押圧部6とによって形成される円錐台形状の領域(図7Aに符号X1で示し、図7Bに符号X2で示す領域)の内側にともに位置している。
【0038】
このため、組織押圧部6における金属線材1aを逃げ部7において交差させて配置することによって、金属線材1aの端部3aおよび端部6aが生体組織に接触することを抑制できる。
【0039】
また、図8に示すように、組織押圧部6の1巻き目と2巻き目とが交差していない状態で生体組織に組織締付具1が留置される場合もあり得る。この場合、組織押圧部6において生体組織に接触する2巻き目の金属線材1aよりもバネ部5側に金属線材1aの端部6aが向けられている。そのため、組織締付具1を生体組織に留置する時に金属線材1aの端部6aが生体組織に接触することを抑制できる。
【0040】
次に、本実施形態の組織締付具1の製造方法について説明する。
組織締付具1を製造するためには、図9に示すように、製造治具8を使用する。製造治具8は、互いに外径が異なる2つの円柱面8a、8bと、この円柱面の間をつなぐ螺旋状の螺旋面8cとを備え、これらが同軸上に中心軸線が位置するように組み合わされて形成されている。
【0041】
製造治具8において相対的に細い円柱面8aは、第一組織固定部2および第二組織固定部3のコイル径を規定する。円柱面8aは、第一組織固定部2および第二組織固定部3の内径と略同径の外径を有する円柱形状の軸体の外周面である。
【0042】
製造治具8の螺旋面8cは、バネ部5のコイル径を規定する。螺旋面8cは、円柱面8aから円柱面8bまで外径が漸次大きくなる螺旋形状に形成されている。
製造治具8において相対的に太い円柱面8bは、組織押圧部6のコイル径を規定する。円柱面8bは、組織押圧部6の内径と略同径の外径を有する円柱形状の軸体の外周面である。
【0043】
なお、製造治具8における2つの軸体の外径は、軸体の外周面8a、8bのそれぞれに巻かれる金属線材1aに対して熱処理を行うことを考慮して、適宜調整されている。具体的には、熱処理を行ったときに材料の種類や熱処理の温度に応じてコイル径が変化する。このことを考慮して、熱処理の後に金属線材1aが第一組織固定部2、第二組織固定部3、および組織押圧部6のコイル径となるように、製造治具8における2つの軸体の外径が適宜調整されている。
【0044】
上記の製造治具8を用いて組織締付具1を製造する方法を説明する。
まず、コイルを成形する工程(成形工程)S1において、図9に示すように、製造治具8の外面に沿って金属線材1aを巻く。
【0045】
この工程S1では、最初に、金属線材1aの一端を、円柱面8bの外面に固定する。製造治具8における2つの円柱面8a、8bのどちらに金属線材1aの一端を固定しても組織締付具1を製造することができる。本実施形態では、相対的に太い円柱面8bに金属線材1aの一端を固定する例を説明する。
【0046】
次に、金属線材1aを、製造治具8の中心軸線周りに円柱面8bに沿って左巻きに巻き、螺旋面8c側へ向かう左巻きの疎巻きコイルを形成する。具体的には、円柱面8bから円柱面8aへ向かってみたときに円柱面8bから円柱面8aへ向かうに従って金属線材1aが左周りに向かう巻き方向となるように、金属線材1aを巻く。すなわち、軸体の中心軸を上下方向にしたときに、手前に見える金属線材1aが右下から左上に向かうように、金属線材1aを軸体の外周に巻いていく。
【0047】
このとき、金属線材1aの中心軸回りにはねじり力をかけずに金属線材1aを円柱面8bに巻く。本実施形態では、金属線材1aを2巻き分だけ巻いたところで金属線材1aが螺旋面8cに到達するように金属線材1aのピッチを調整して金属線材1aを円柱面8bに巻く。
【0048】
次に、螺旋面8cに沿って金属線材1aを巻く。本実施形態では、螺旋面8cに沿って金属線材1aを巻くことで相対的に太い円柱面8bの外径から相対的に細い円柱面8aの外径まで漸次コイル径が小さくなる。本実施形態では、螺旋面8cに金属線材1aを1巻き分だけ巻いたところで金属線材1aが円柱面8aに到達するように金属線材1aのピッチを調整して金属線材1aを螺旋面8cに巻く。
【0049】
次に、円柱面8aに沿って製造治具8の中心軸線周りに金属線材1aを左巻に巻き、螺旋面8cから離れる方向へ向かう左巻きの密着巻きコイルを形成する。このとき、金属線材1aの中心軸線回りに金属線材1aをねじりながら円柱面8aの外面に金属線材1aを巻く。
【0050】
本実施形態では、製造治具8に固定された金属線材1aの一端と反対側の末端である金属線材1aの自由端側から、円柱面8aに巻かれたコイル側へ向かって金属線材1aの中心軸に沿って見たときに右回りに金属線材1aをねじる。すなわち、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体へ向かって見たときに、右回りにねじる。
【0051】
このように金属線材1aをねじることで、密着巻きコイルに初張力が付与される。本実施形態では、金属線材1aを上述のようにねじりながら製造治具8の円柱面8aに6巻き分だけ巻きつける。
製造治具8に金属線材1aが巻きつけられた状態では、図10に示すように、金属線材1aによって左巻のコイルC1が形成されている。
【0052】
金属線材1aが巻き終わったら、金属線材1aがコイル形状を保った状態で金属線材1aを製造治具8から取り外す。続いて、図11に示すように、円柱面8aに巻かれていた側の金属線材1aの端部3b(後に第二組織固定部3の端部3aとなる部分)を、コイルの内側へ向けて折り曲げる。このとき、金属線材1aの末端が金属線材1aの直径と等しいかそれよりも大きくコイルの内側に変位した位置に配置されるようにする。
【0053】
さらに、金属線材1aの円柱面8bに巻かれていた部分の端部6b(後に組織押圧部6の端部6aとなる部分)を、金属線材1aの末端がバネ部5の内側の領域に向くように折り曲げる。なお、金属線材1aの端部3bおよび端部6bの折り曲げは、後述する熱処理を行う工程S2の後に行ってもよい。
【0054】
これで工程S1は終了し、熱処理を行う工程(熱処理工程)S2へ進む。
この工程S2では、金属線材1aがコイル形状を保った状態で金属線材1aからなるコイルに対して熱処理を行う。本実施形態では、常温で金属線材1aが超弾性を有するように金属線材1に超弾性を付与する所定の温度にコイルを加熱した後にコイルを急冷する。これにより、コイルを成形する工程S1で成形されたコイルは超弾性を付与された超弾性コイルC2になる。
【0055】
これで工程S2は終了し、コイルを逆の方向に巻く工程(逆巻き工程)S3へ進む。
この工程S3では、図12Aおよび図12Bに示すように、超弾性が付与された超弾性コイルC2において、第一組織固定部2および第二組織固定部3となる金属線材1a(図12Aにおいて符号1−1ないし符号1−7に示す。)の巻き方向を外周ばね部4に対して逆にする。すなわち、金属線材1aを弾性変形が可能な範囲で変形させて、金属線材1aが、上から下へ1−1、1−2、…、1−7の順に配列された状態から、上から下へ1−7、1−6、…、1−1の順に配列された状態になるように入れ替える。これにより、第一組織固定部2および第二組織固定部3となる部分のコイルの巻き方向を、コイルを成形する工程S1で巻いたコイルの巻き方向と逆にする。
【0056】
このとき、金属線材1aを直線状態には戻さず、第一組織固定部2側あるいは第二組織固定部3側から1巻きずつ順にコイルの内側へ引き込んで金属線材1aをずらして金属線材1aの配列を入れ替えてゆく。これにより、超弾性コイルC2を塑性変形させずに配列を入れ替えることができる。その結果、超弾性コイルC2は、第一組織固定部2および第二組織固定部3が右巻きのコイルとなり、外周ばね部4が左巻きのコイルとなる二重コイルとなる。
【0057】
金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3において金属線材1aの配列が入れ替えられ、第一組織固定部2および第二組織固定部3には初張力が付与される。しかしながら、工程S3の前には第一組織固定部2および第二組織固定部3には初張力が付与されている。工程S3において巻き方向が逆となったため、工程S3の後では、コイルを成形する工程S1において金属線材1aをねじらずに製造治具8に金属線材1aを巻き、金属線材1aの巻き方向を逆にした場合と比較して、第一組織固定部2および第二組織固定部3の初張力は弱められている。
【0058】
本実施形態においては、金属線材1aをねじることによって初張力が付与された超弾性コイルC2の巻き方向を逆にしている。このようにすることで、金属線材1aをねじらずに超弾性コイルC2を成形してから巻き方向を逆にする場合とは異なる大きさの初張力を超弾性コイルC2に付与することができる。
【0059】
金属線材1aを巻いてコイルを形成する場合、金属線材1aをねじることによってコイルに初張力を付与することは知られている。しかしながら、金属線材1aをねじることによってコイルに初張力を付与する場合、金属線材1aがねじ切れるまで金属線材1aをねじるとコイルを形成することができない。そのため、金属線材1aをねじる量には上限がある。これにより、金属線材1aをねじることのみによってコイルに付与できる初張力には上限があった。
【0060】
また、初張力がかかっていないコイルにおいて、コイルの形成後に金属線材の巻き方向を逆にすると、初張力が異なるコイルとなることも知られている。そして、初張力がかかっていないコイルの巻き方向を逆にした場合、金属線材の巻き方向を逆にしたコイルの初張力はある一定以上の大きさとなり、設定可能な初張力には下限があった。
【0061】
このように、金属線材1aをねじることのみによって付与できる初張力の上限よりも大きく、且つコイルを逆巻きにすることのみによって付与できる初張力の下限よりも小さい範囲の初張力をコイルに付与することは困難であった。このため、従来の技術では、生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて両組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができない場合があった。
【0062】
これに対して、本実施形態では、コイルを成形する工程S1および熱処理を行う工程S2によってできる超弾性コイルC2の初張力の大きさは、金属線材1aをはじめに巻いたときの金属線材1aのねじり量および金属線材1aの巻きのピッチによって決まる。これにより、本実施形態では、金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3の前において、超弾性コイルC2には初張力が付与されている。
【0063】
本実施形態の組織締付具1の製造方法では、コイルの金属線材1aをねじることでコイルの初張力を高めた後にコイルの巻き方向を逆にしている。これにより、コイルの金属線材1aをねじることによって増えた初張力は、コイルを逆巻きにすることで逆にコイルの初張力を減少させるように作用する。本実施形態の組織締付具1の製造方法においては、コイルを逆巻きにすることのみによって付与できる初張力の下限よりも小さい初張力をコイルに付与することができる。
【0064】
その結果、本実施形態の組織締付具1の製造方法によれば、コイルをねじることのみによって得られる初張力の上限より大きく、且つコイルを逆巻きにすることのみによって得られる初張力の下限より小さい範囲の初張力をコイルに付与することができるという効果を奏する。また、本実施形態の組織締付具の製造方法によって製造された組織締付具1によれば、生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて両組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる。
【0065】
次に、本実施形態の組織締付具1を生体組織に留置するためのアプリケータ10の一構成例について説明する。
図13Aは、アプリケータ10の正面図である。図13Bは、図13AのB−B線における断面図である。図13Cはアプリケータ10の作用を説明するための説明図である。
【0066】
図13Aないし図13Cに示すように、アプリケータ10は、筒状であって先端が斜めに切断された形状をなして鋭利に形成された針管11と、針管11の内部に前進及び後退が可能に挿通されたプッシュロッド12とを備える。図示していないが、プッシュロッド12は、針管11の基端から突出しており、針管11の基端においてプッシュロッド12を針管11に対して前進及び後退させる操作をすることができるようになっている。
【0067】
針管11の内部には、組織締付具1を引き延ばした状態で挿入して保持することができるようになっている。針管11の外径は、たとえば後述する超音波内視鏡20の処置具チャンネル22(図14参照)に挿通することが可能な大きさとされている。また、鋭利に形成された針管11の先端から超音波内視鏡20の処置具チャンネル22の内壁を保護するために、アプリケータ10は針管11が挿通された外套管13(図14参照)を備えていてもよい。
【0068】
次に、本実施形態の組織締付具1と上記構成例のアプリケータ10を使用して十二指腸Ddと総胆管Cbとの間に瘻孔を設ける手技について説明する。本実施形態において瘻孔を設ける手技は、十二指腸Ddと総胆管Cbとを癒着させ、且つ癒着した部分に貫通孔を形成するものである。
【0069】
図14ないし図17は、本実施形態における手技の一過程を示す説明図である。図18は、十二指腸Ddと総胆管Cbとをともに固定して生体内に留置された本実施形態の組織締付具を示す断面図である。図19は、従来の組織締付具を図18に示すのと同様に生体内に留置した場合の従来の組織締付具を示す断面図である。
【0070】
本実施形態では、組織締付具1およびアプリケータ10は、たとえば鉗子チャンネルを有するリニア走査型の超音波内視鏡20とともに使用される。図14に示すように、超音波内視鏡20は、体内に挿入される可撓性の挿入部21と、挿入部21の内部に設けられた処置具チャンネル22と、挿入部21の先端に設けられた超音波観察部23と、挿入部21の基端に設けられた図示しない操作部とを備える。処置具チャンネル22は、針管11を前進及び後退が可能に挿通させて針管11を挿入部21の先端から露出させることができるようになっている。
【0071】
また、超音波観察部23は、図示しない超音波振動子によって超音波を挿入部21の先端から前方へ照射して、たとえば生体組織などから反射する反射波を受信して図示しないモニタなどへ信号を送信し、このモニタ上において画像を構成するようになっている。
【0072】
また、超音波内視鏡20における挿入部21の先端には、挿入部21の先端から前方に視野を有する図示しない光学的な観察手段が設けられている。本実施形態では、観察手段は、結像レンズ群と固体撮像素子とを挿入部21の先端の内部に有している。観察手段の固体撮像素子は上述のモニタまたは別に体外に設置されたモニタへ画像信号を送信するようになっている。
【0073】
なお、超音波内視鏡20の構成は超音波観察部23を備えるものに限られるものではなく、他のプローブ型の超音波装置を備えたものであってもよい。また、超音波内視鏡20に代えて、超音波以外の手段で観察を行う内視鏡を用いることもでき、この場合には体外で使用する超音波装置や、X線装置、磁気共鳴画像装置(MRI装置)、コンピュータ断層撮影装置(CT装置)などの装置を併用して体腔内を観察することが好ましい。
【0074】
以下では、上述の超音波内視鏡20に本実施形態のアプリケータ10および組織締付具1を組み合わせて処置を行う手技について、経十二指腸的胆管ドレナージの一例で、十二指腸Ddと総胆管Cbとを一体に固定して両者を連通させる貫通孔を設ける手技を例にして説明する。
【0075】
このような手技は、腫瘍による胆管閉塞などによって十二指腸乳頭から胆汁を排出することができなくなり、胆汁が血液に溶け込んで黄疸を起こす場合に実施される減黄術である。この手技は、総胆管Cbから十二指腸Ddへ直接に胆汁を排出することを目的とするものである。
【0076】
手技を開始する前に、上述の熱処理を行う工程S2が終了した時点でできる半完成品状態の組織締付具1、あるいは金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3まで終了した組織締付具1をアプリケータ10の針管11内に装填する。このとき、図13Bに示すように、組織締付具1を構成する金属線材1aの端部において組織押圧部6側の端部6aが針管11の基端側に位置し、第二組織固定部3側の端部3aが針管11の先端側に位置するように組織締付具1を引き延ばして針管11内に装填する。この状態でアプリケータ10を手技に供する。
【0077】
手技が開始すると、まず、超音波内視鏡20の挿入部21を先端から患者の体内へ術者の手作業によって挿入する。本実施形態では、超音波内視鏡20の挿入部21は患者の自然開口である口から上部消化管である十二指腸Ddへ挿入される。超音波内視鏡20の挿入部21が十二指腸Ddへ到達したら、超音波観察部23を用いて十二指腸Ddの管腔の外部の状態を観察し、瘻孔を設けるために適切な位置を、十二指腸乳頭よりも胃側の領域において総胆管Cbに近い位置に術者が決める。
【0078】
瘻孔を設けるための適切な位置が決まった後、術者は、超音波内視鏡20の処置具チャンネル22にアプリケータ10の針管11を先端から挿入し、超音波内視鏡20の挿入部21の先端から針管11の先端を露出させる。超音波内視鏡20の挿入部21の先端から露出した針管11は、光学的な観察手段を用いて観察することができる。
【0079】
続いて、術者は超音波内視鏡20に設けられた超音波観察部23を使用して十二指腸Dd越しに総胆管Cbを走査し、十二指腸Ddおよび総胆管Cbへ針管11を刺して挿入する位置を決める。
【0080】
針管11を刺して挿入する位置が決まったら、図14に示すように、超音波内視鏡20に対して針管11を前方へ押し出す。そして、針管11によって十二指腸Ddおよび総胆管Cbの管壁を貫通させて、針管11の先端を総胆管Cbの管腔内に位置させる。このとき、針管11を穿刺する長さを適切に調整するストッパなどを予めアプリケータ10に取り付けておいてもよい。アプリケータ10にストッパを設けておけば、針管11の穿刺量が過剰であったり不足したりすることを防止できる。
【0081】
図15に示すように、針管11の先端が総胆管Cbの内腔に配置されたら、術者は針管11に対してプッシュロッド12を前方へ移動させ、組織締付具1のうち第二組織固定部3を針管11の先端から押し出す。針管11の先端から押し出された第二組織固定部3は、自身の超弾性によってコイル形状に復元する。このとき、図16に示すように、第二組織固定部3における線材の端部3aにおいて折り曲げられた金属線材1aは、第一組織固定部2側へ向かって測って一巻き目の位置における金属線材1aの外面に接し、金属線材1aの端部3aは金属線材1aの外面に押し付けられる。
【0082】
すると、金属線材1aの端部3aは金属線材1aの外面に沿ってすべり、コイル状に復元した第二組織固定部3における金属線材1aの巻き方向が一意に決まる。本実施形態では、第一組織締付具1がコイル状に復元したときの金属線材1aの巻き方向は、組織締付具1の製造方法における成形工程S1で金属線材1aを製造治具8に巻いた巻き方向とは逆になる。
【0083】
すなわち、上述の製造方法における成形工程S1において左巻きに巻かれた第二組織固定部3は、針管11の先端から押し出されてコイル状に復元したときに右巻きのコイルとなる。このため、針管11に装填された組織締付具1が、金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3が行われていない半完成品であっても、針管11から第一組織固定部2が押し出されることによって第二組織固定部3に対する工程S3が行われる。
【0084】
針管11に装填される前に工程S3が済んでいる組織締付具1においても、組織締付具1は工程S3が終了した後の正しい形状に復元される。
【0085】
第二組織固定部3が総胆管Cbの内腔でコイル形状に復元したら、術者は超音波内視鏡20に対して針管11を後方へ引き戻す。すると、針管11は十二指腸Ddの管壁および総胆管Cbの管壁から引き抜かれ、第二組織固定部3のみが総胆管Cbの管腔内に配置される。
【0086】
さらに術者は、図17に示すように、針管11の先端が十二指腸Ddの管腔内に位置している状態で、針管11に対してプッシュロッド12を前方へ押し出し、第一組織固定部2および外周ばね部4を針管11の先端から押し出す。すると、第一組織固定部2は、第二組織固定部3において復元したコイルの巻き方向と同じ巻き方向のコイルに復元する。
【0087】
すなわち、針管11の先端から押し出された第一組織固定部2は、右巻きのコイルとなる。これにより、第一組織固定部2と第二組織固定部3における金属線材1aの巻き方向は上述のコイルを成形する工程S1における巻き方向である左巻きとは逆の右巻きとなり、第一組織固定部2および第二組織固定部3に対する工程S3が終了する。
【0088】
なお、組織締付具1の金属線材1aがコイル形状に復元するために、第一組織固定部2を針管11から押し出すときには、十二指腸Ddに近い部分から徐々に金属線材1aの形状を復元させてゆく。これにより、組織締付具1の金属線材1aが絡まることなく第二組織固定部3、バネ部5、および組織押圧部6が十二指腸Dd側に形成される。
【0089】
図18に示すように、針管11の先端から組織締付具1のすべての金属線材を押し出した後、組織締付具1における外周ばね部4の組織押圧部6は、自身の弾性およびバネ部5の弾性によって十二指腸Dd側から総胆管Cb側へ十二指腸Ddの管壁を押圧する。このとき、組織押圧部6における2巻き分の金属線材1aは互いに密着し、金属線材1aのそれぞれが十二指腸Dd側から総胆管Cb側へ十二指腸Ddの管壁を押圧している。
【0090】
図19は、上述したように座巻部が形成された従来の組織締付具によって十二指腸Ddと総胆管Cbとを固定した場合を示している。外周ばね部に座巻部が形成された従来の組織締付具では、バネ部から見て2巻き目の座巻部6Bは、十二指腸Ddの管壁によって押し返されることによって、1巻き目の座巻部6Aに対して十二指腸Ddの内腔側にわずかにずれた位置にある。2巻き目の座巻き部6Bにおけるずれ量は、座巻き部6Bにおける外周へ向かうに従って漸次大きくなる。
【0091】
このため、従来の構成における2巻き目の座巻部6Bは、十二指腸Ddと総胆管Cbとを固定するために十分な押圧力を十二指腸Ddの管壁にかけられない可能性が考えられる。この場合、十二指腸Ddと総胆管Cbとの間に隙間が生じる可能性があり、この隙間から胆汁が体腔内へ漏れ出すおそれがある。
【0092】
これに対して、本実施形態の組織締付具1では、外周ばね部4の組織押圧部6が、座巻きとは異なり金属線材1aが同一平面上にない円筒コイル状に形成されているので、組織押圧部6の1巻き目および2巻き目の金属線材1aがそれぞれ十二指腸Ddの管壁を押圧できる。このため、十二指腸Ddと総胆管Cbとの間に隙間が生じる可能性をより低減することができる。
【0093】
組織締付具1を留置した後、第一組織固定部2および第二組織固定部3内に位置する十二指腸Ddの腸壁および総胆管Cbの管壁は、第一組織固定部2と第二組織固定部3とによって締め付けられている。これにより、十二指腸Ddおよび総胆管Cbにおいて第一組織固定部2および第二組織固定部3の内側部分は血流が阻害されて圧迫壊死を起こす。さらに、第一組織固定部2および第二組織固定部3の周囲で、腸壁と管壁とが癒着して結合する。
【0094】
そして、壊死した組織および組織締付具1は、組織締付具1が留置された留置位置から脱落する。このとき、第一組織固定部2と第二組織固定部3とは外周ばね部4によって常に十二指腸Ddの内腔側へと付勢されている。また、外周ばね部4は瘻孔の内径よりも大きいので、外周ばね部4は瘻孔を通過することができない。
【0095】
これにより、組織締付具1が他の組織から脱落するとき、必ず十二指腸Ddの内腔側に脱落することになる。十二指腸Ddの内腔に脱落した組織締付具1は、小腸および大腸を通じて体外へ排泄される。このとき、外周ばね部4における金属線材1aの端部が組織締付具1のループの内側方向へ向かって延びているので、消化管内を組織締付具1が移動するときに金属線材1aの端部が組織に接触して組織を傷つけることはない。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0097】
たとえば、上述の組織締付具1の製造方法では金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3が終了した状態において第一組織固定部2および第二組織固定部3が右巻きのコイルであり、外周ばね部4が左巻コイルである例を示した。しかし、第一組織固定部2および第二組織固定部3が左巻きのコイルであり外周ばね部4が右巻きのコイルであるような組織締付具1を製造する場合もある。すなわち、製造治具8の形状を変更して上述の製造治具8と逆巻きの螺旋面8cを有するものとすれば、このような組織締結具1を容易に製造することができ、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0098】
また、上述の実施形態における組織締付具1の製造方法では、コイルを成形する工程S1において、後に第一組織固定部2および第二組織固定部3となる金属線材1aは密着巻きとした。しかし、これに限らず、工程S1において金属線材1aを疎巻きとしてもよい。さらに、疎巻きのコイルを工程S1において作るときにも金属線材1aをその中心軸線回りにねじりつつ製造治具8に巻きつけて行ってもよい。
【0099】
具体的には、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aの一端を軸体に固定し、隣り合う金属線材1aの間に隙間をあけつつ、軸体の外周に金属線材1aを巻いてもよい。
【0100】
金属線材1aの巻きピッチ、ねじり方向およびねじり量を適宜変更して成形工程S1を行うことによって、金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3が終了した後の第一組織固定部2および第二組織固定部3における初張力の設定が異なる組織締付具を適宜製造することができる。
【0101】
具体的には、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aを金属線材1aの軸回りにねじる方向を、工程S1において前記金属線材を前記軸体に巻く方向に応じて定めてもよい。
【0102】
すなわち、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aを右巻きに巻く場合には、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体へ向かって見たときに左回りにねじる。
【0103】
逆に、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aを左巻きに巻く場合には、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体に向かって見たときに右回りにねじる。
【0104】
なお、金属線材1aを右巻きに巻く場合に、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体へ向かって見たときに右回りにねじるようにしてもよい。
【0105】
また、第一組織固定部2と第二組織固定部3とのそれぞれにおいて上述のした上限と下限との間の初張力を得るために外周バネは必須ではない。外周ばね部4を備えない組織締付具1に対しても上述した製造方法を用いて同様に初張力を設定することができる。
【0106】
この他、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの生体組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供する。
【符号の説明】
【0108】
1 組織締結具
1a 金属線材(線材)
8 製造治具(軸体)
2 組織固定部
3 組織固定部
5 バネ部
6 組織押圧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの生体組織を密着させて締め付ける組織締付具に関する。
本願は、2010年6月22日に、米国に出願された仮出願番号61/357,154 に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
人体の臓器などに対して処置を行う手法としては、経皮的に処置具を挿入する腹腔鏡手術が知られている。腹腔鏡手術によれば、腹部を切開する場合に比べて侵襲が少なくて済み、早期の回復が期待できる。
腹腔鏡手術に使用される処置具は、経皮的に体内に挿入される硬質のシャフトを有し、人体の臓器などに対して処置を行うためのたとえば鉗子などがシャフトの先端に設けられているのが一般的である。
【0003】
たとえば、日本国特開2005−193044号公報には、管腔組織を結合する用途に用いる管腔内吻合装置が開示されている。この管腔内吻合装置は、シャフトの先端に開閉自在な把持具が取り付けられており、シャフト内には締付具が挿入されている。この締付具は、形状記憶合金を平コイル形状で熱処理して製造されており、延ばした状態でシャフトに挿入されるものである。
【0004】
締付具は、管腔内吻合装置の手元側に設けられた突出機構によってシャフトの先端から押し出し可能である。締付具を使用するときは、突出機構によって締付具を押し出して体内に留置する。締付具は、体温で加熱されてコイル状に復元し、管腔組織を挟み込む。これにより、管腔組織が結合される。
【0005】
また、生体組織を締め付ける締付具を体内で供給する例として、国際公開第2002/019923号パンフレットに開示されている。国際公開第2002/019923号パンフレットには、締付具を針から押し出して組織に締付具を供給する供給装置が記載され、針を組織に刺入するときの深さと、締付具を組織に供給する量とをともに制御するストッパが設けられていることが記載されている。
【0006】
この供給装置を締付具とともに使用して処置を行うときは、締付具および針を収容した器具を組織に突き当て、針を前進させて組織に針を刺して挿入する。針を組織に挿入したら、ストッパで締付具の位置を固定して針を組織から引き抜く。ストッパが設けられているので、締付具の先端部分はストッパによって組織の内側に取り残される。器具を組織から外すと、締付具の残りの部分が組織の外側に残る。そして、締付具がコイル状に復元すると、組織が締め付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−193044号公報
【特許文献2】国際公開第2002/019923号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題の一つは、2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの生体組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、2つの生体組織を密着させて締め付けるばね性を有する組織締付具であって、2つの生体組織を密着させるためのコイル状の組織固定部と;前記組織固定部と連なり、前記組織固定部の第1のコイル径よりも大きい第2のコイル径を有するバネ部と;前記2つの生体組織の一方を押圧するために、前記バネ部と連なり、且つ前記バネ部の前記第2のコイル径よりも大きい第3のコイル径で少なくとも1巻き以上のコイル状に線材によって形成された組織押圧部と;を備え、前記組織押圧部は、前記組織固定部によって前記2つの生体組織を密着させたときに前記2つの生体組織の一方を押圧するように、前記バネ部側とは反対側に向いて形成された押圧面を有し、前記組織押圧部は、前記押圧面から前記組織押圧部の前記線材の端部に向かうにつれて前記押圧面から離間する方向に前記線材と交差するように曲げられた曲げ部を備え、前記組織押圧部の前記線材の前記端部は、前記押圧面よりも前記バネ部側の空間に配置される、組織締付具である。
【0010】
また、前記組織押圧部は、無負荷状態で隣り合う前記線材が互いに隙間を有する状態と、外力が作用している状態で隣り合う前記線材が互いに密着するように弾性変形した状態と、を有していてもよい。
【0011】
また、前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、前記線材の一端は、前記組織押圧部に含まれ、前記中心軸線の方向から見たときに前記組織押圧部の外形線よりも前記軸線に近い位置に配置されていてもよい。
なお、前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、前記中心軸線の方向から見たときに、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻きを超える部分の最大の外径は、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻き以下の部分における最大の外径以下であってもよい。
【0012】
また、前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、前記組織押圧部に含まれる前記線材の一端は、前記中心軸線に対して直交する方向から見たときに、前記組織押圧部および前記バネ部を構成する前記線材によって囲まれる円錐台形状の領域の内側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の組織締付具を示す斜視図である。
【図2】組織締付具を第一組織固定部側から第二組織固定部側へ向かってみた形状を示す平面図である。
【図3】組織締付具を示す側面図である。
【図4A】本実施形態の組織締付具の作用を説明するための説明図で、図2のA−A線における断面で示す図ある。
【図4B】本実施形態の組織締付具の作用を説明するための説明図で、図2のA−A線における断面で示す図ある。
【図5】従来の組織締付具の作用を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態の組織締付具の一部の構成を示す側面図である。
【図7A】本実施形態の組織締付具の使用時の一形態を説明するための説明図である。
【図7B】本実施形態の組織締付具の使用時の一形態を説明するための説明図である。
【図8】組織締付具の使用時の他の形態を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図10】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図11】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図12A】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図12B】本実施形態の組織締付具の製造方法を示す工程説明図である。
【図13A】本実施形態の組織締付具を使用した手技に用いるアプリケータの一構成例を示す正面図である。
【図13B】図13AのB−B線における断面図である。
【図13C】アプリケータの使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図14】同アプリケータを使用した手技の一過程を示す説明図である。
【図15】同アプリケータを使用した手技の一過程を示す説明図である。
【図16】同アプリケータを使用した手技において針管から押し出される組織締付具の動作を説明するための動作説明図である。
【図17】同アプリケータを使用した手技の一過程を示す説明図である。
【図18】十二指腸と総胆管とをともに固定して生体内に留置された本実施形態の組織締付具を示す断面図である。
【図19】従来の組織締付具を図18に示すのと同様に生体内に留置した場合の従来の組織締付具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態の組織締付具1について説明する。
図1は、本実施形態の組織締付具1を示す斜視図である。図2は、組織締付具1を第一組織固定部2側から第二組織固定部3側へ向かってみた形状を示す平面図である。図3は、組織締付具1を示す側面図である。図4Aおよび図4Bは、本実施形態の組織締付具1の作用を説明するための説明図で、図2のA−A線における断面で示す図ある。図5Aおよび図5Bは、従来の組織締付具の作用を説明するための説明図である。図6は、本実施形態の組織締付具1の一部の構成を示す側面図である。図7は、本実施形態の組織締付具1の使用時の一形態を説明するための説明図である。図8は、組織締付具1の使用時の他の形態を説明するための説明図である。
【0016】
本実施形態の組織締付具1は、第一の生体組織と第二の生体組織とを一体に固定し、両組織が固定された部分に瘻孔を設けるためのものである。ここで、第一の生体組織と第二の生体組織とは、それぞれ別の器官を指すとは限らない。たとえば、ある器官のある領域を第一の生体組織とし、同じ器官の他の領域を第二の生体組織とする。そして、それぞれの生体組織に本実施形態の組織締付具1を掛けて留めることでこれら2つの領域を固定する場合も本実施形態における処置に含まれる。
【0017】
本実施形態では、第一の生体組織としての十二指腸に、第二の生体組織としての総胆管を固定し、両器官をつなぐ瘻孔を設ける処置を例にして本実施形態の組織締付具1を説明する。
【0018】
まず、本実施形態の組織締付具1の構成について説明する。
図1に示すように、組織締付具1は、コイル状に巻かれた一本の金属線材1aによって形成され、十二指腸に掛けて留められる第一組織固定部2と、十二指腸に隣接する総胆管に掛けて留められる第二組織固定部3と、第一組織固定部2に接続される外周ばね部4とを備えている。組織締付具1の金属線材1aの材料としては、超弾性を有する超弾性合金を挙げることができる。
【0019】
図1ないし図3に示すように、第一組織固定部2と第二組織固定部3とは、互いの同軸上に中心軸線が位置する円筒のコイル状に形成されている。また、第一組織固定部2と第二組織固定部3とのそれぞれのコイル径は互いに等しい。本実施形態では、第一組織固定部2および第二組織固定部3において、金属線材1aの巻き方向は右巻きである。
【0020】
ここで、右巻きとは、コイルの軸方向を上下方向にしたときに、手前に見える金属線材1aが左下から右上へと向かう巻き方である。すなわち、右巻きとは、右手の巻き方向であり、右ネジの巻き方向である、とも言える。あるいは、コイルの軸方向に進むに従って金属線材1aが右回りに進む、とも言える。
例えば、金属線材1aをコイルの軸方向に見て、金属線材1aの基端を手前に配置し、金属線材1aの先端を手前から奥へ右巻きに巻くことで右巻きのコイルが形成される。
【0021】
組織締付具1において、第一組織固定部2および第二組織固定部3には、初張力が作用している。第一組織固定部2および第二組織固定部3における初張力の強さは、第一組織固定部2と第二組織固定部3との間に2つの生体組織を挟み込んだときに生体組織における血流を阻害でき、且つ2つの生体組織を癒着させることができる程度の強さに設定されている。第一組織固定部2および第2組織固定部3における初張力の強さは、挟み込む対象となる生体組織の形状や種類に応じて調整されている。
【0022】
外周ばね部4は、第一組織固定部2の端部から延びるバネ部5と、バネ部5の端部から延びる組織押圧部6とを備える。本実施形態では、外周ばね部4において、金属線材1aの巻き方向は左巻きである。外周ばね部4のコイル径は、第一組織固定部2および第二組織固定部3のコイル径よりも大きい。
【0023】
ここで、左巻きとは、コイルの軸方向を上下方向にしたときに、手前に見える金属線材1aが右下から左上へと向かう巻き方である。すなわち、左巻きとは、右手と逆の巻き方向であり、右ネジと逆の巻き方向である、とも言える。あるいは、コイルの軸方向に進むに従って金属線材1aが左回りに進む巻き方である、とも言える。
例えば、金属線材1aをコイルの軸方向に見て、金属線材1aの基端を手前に配置し、金属線材1aの先端を手前から奥へ左巻きに巻くことで左巻きのコイルが形成される。
【0024】
バネ部5は、第一組織固定部2および第二組織固定部3のコイル径よりもコイル径が大きく、第一組織固定部2の端部から第二組織固定部3へ向かって延びている。さらにバネ部5のコイル径は、第二組織固定部3側に行くに従って徐々に大きくなっている。
【0025】
バネ部5は、金属線材1aの巻き数が一巻き以上の整数巻きとなるように形成されるのが好ましい。「一巻きの整数巻き」とは、組織締付具1を第一組織固定部2から第二組織固定部3へ向かってみたときに、バネ部5の第一組織固定部2側の端部と組織押圧部6側の端部とが、第一組織固定部2および第二組織固定部3の中心軸線と平行な直線上に位置することを指す。
【0026】
バネ部5が一巻き以上の整数巻きであると、組織締付具1を、第一組織固定部2および第二組織固定部3の中心を通る軸線の方向と平行な断面で見たときに、どのような断面をとっても第一組織固定部2および第二組織固定部3の径方向外側にバネ部5が均等に配分された状態となる。
【0027】
このため、組織締付具1が組織に留置された場合には、第一組織固定部2および第二組織固定部3に対して組織押圧部6が軸のずれを起こさずに、組織締付具1の形状を安定させることができる。本実施形態では一例としてバネ部5が一巻きに設定された状態を示しているが、整数巻きであれば、バネ部5が二巻き以上に設定されていても同様である。
【0028】
図3に示すように、組織押圧部6は、バネ部5と組織押圧部6との接続部から金属線材1aが疎巻き(loosely wound)にされ、バネ部5のコイル径よりも大きいコイル径の2巻きの円筒コイル状に延びて形成されている。組織押圧部6における2巻きの金属線材1aのコイル径は互いに等しい。
【0029】
なお、組織押圧部6の2巻き目のコイル径は、組織押圧部6の1巻き目のコイル径よりも小さくしてもよい。すなわち、中心軸線の方向から見たときに、組織押圧部6においてバネ部5の端部から測って金属線材1aの巻き数が一巻きを超える部分の最大の外径は、組織押圧部6においてバネ部5の端部から測って金属線材1aの巻き数が一巻き以下の部分における最大の外径以下であってもよい。
【0030】
この場合、組織押圧部6における金属線材1aの端部が1巻き目の金属線材1aの内側に位置する。したがって、組織締付具1を生体組織に留置したときに金属線材1aの端部6aが外部に露出せず、体壁に対して端部6aが引っかかることを防止できる。
【0031】
図4Aおよび図4Bに示すように、組織押圧部6に外力がかかっていない無負荷状態では、組織押圧部6の金属線材1aはいずれの位置においても一平面上にはない。すなわち、組織押圧部6において、金属線材1aは、螺旋状に巻かれている。換言すると、組織押圧部6において、金属線材1aは、2次元的な渦巻き状ではなく、3次元的な弦巻状に巻かれている。組織締付具1の使用時においては図4Bに示すように組織押圧部6の金属線材が互いに密着するようになっている。これは、たとえば図5に示す従来の組織締付具において、組織に接する金属線材(以下、「座巻(end turn)部6A、6B」と称する)が無負荷状態で一平面に沿って形成されているのとは異なる。
【0032】
図1および図3に示すように、組織押圧部6における金属線材1aの端部6aは、末端が半球形に形成されており、組織押圧部6のループから外れて第一組織固定部2および第二組織固定部3側へ向けて曲げられている。
【0033】
また、図6に示すように、組織押圧部6をコイルの中心軸線の方向へ圧縮変形させたときに、組織押圧部6の1巻き目と2巻き目との境界部分には、金属線材1aの外径寸法と等しい長さだけクランク形状に金属線材1aが折り曲げて形成された逃げ部7が設けられている。詳細は後述するが、組織締付具1の使用時には、組織押圧部6の1巻き目と2巻き目とが逃げ部7において交差することができるようになっている。
【0034】
これにより、組織押圧部6における金属線材1aが逃げ部7に接している状態では、金属線材1aの端部6aは組織押圧部6の1巻き目よりもバネ部5側に位置するように組織押圧部6の1巻き目に乗り上げることができる。これにより、組織押圧部6における金属線材1aの末端が生体組織に引っかかることを軽減できる。
【0035】
図6に示すように組織押圧部6の金属線材1aを逃げ部7において交差させる。すると、図7Aに示すように、組織押圧部6の1巻き目の金属線材1aは生体組織に接する最下層となる。また、組織押圧部6の1巻き目の金属線材1aの上に2巻き目の金属線材1aが乗り上げる。
【0036】
さらに、組織押圧部6における金属線材1aが逃げ部7において交差している状態では、図7Bに示すように、組織締付具1に外力がかかっていない状態においても交差した金属線材1aは交差したまま維持される。金属線材1aの端部6aは、組織締付具1の第一組織固定部2と組織押圧部6とによって形成される円錐台形状の領域(図7Aに符号X1で示し、図7Bに符号X2で示す領域)の内側に位置している。
【0037】
さらに、組織押圧部6における金属線材1aを逃げ部7において交差させた状態では、図7Bに示すように、バネ部5に対して外力がかかっていない状態においては、金属線材1aの端部3aと端部6aとが、組織締付具1の第一組織固定部2と組織押圧部6とによって形成される円錐台形状の領域(図7Aに符号X1で示し、図7Bに符号X2で示す領域)の内側にともに位置している。
【0038】
このため、組織押圧部6における金属線材1aを逃げ部7において交差させて配置することによって、金属線材1aの端部3aおよび端部6aが生体組織に接触することを抑制できる。
【0039】
また、図8に示すように、組織押圧部6の1巻き目と2巻き目とが交差していない状態で生体組織に組織締付具1が留置される場合もあり得る。この場合、組織押圧部6において生体組織に接触する2巻き目の金属線材1aよりもバネ部5側に金属線材1aの端部6aが向けられている。そのため、組織締付具1を生体組織に留置する時に金属線材1aの端部6aが生体組織に接触することを抑制できる。
【0040】
次に、本実施形態の組織締付具1の製造方法について説明する。
組織締付具1を製造するためには、図9に示すように、製造治具8を使用する。製造治具8は、互いに外径が異なる2つの円柱面8a、8bと、この円柱面の間をつなぐ螺旋状の螺旋面8cとを備え、これらが同軸上に中心軸線が位置するように組み合わされて形成されている。
【0041】
製造治具8において相対的に細い円柱面8aは、第一組織固定部2および第二組織固定部3のコイル径を規定する。円柱面8aは、第一組織固定部2および第二組織固定部3の内径と略同径の外径を有する円柱形状の軸体の外周面である。
【0042】
製造治具8の螺旋面8cは、バネ部5のコイル径を規定する。螺旋面8cは、円柱面8aから円柱面8bまで外径が漸次大きくなる螺旋形状に形成されている。
製造治具8において相対的に太い円柱面8bは、組織押圧部6のコイル径を規定する。円柱面8bは、組織押圧部6の内径と略同径の外径を有する円柱形状の軸体の外周面である。
【0043】
なお、製造治具8における2つの軸体の外径は、軸体の外周面8a、8bのそれぞれに巻かれる金属線材1aに対して熱処理を行うことを考慮して、適宜調整されている。具体的には、熱処理を行ったときに材料の種類や熱処理の温度に応じてコイル径が変化する。このことを考慮して、熱処理の後に金属線材1aが第一組織固定部2、第二組織固定部3、および組織押圧部6のコイル径となるように、製造治具8における2つの軸体の外径が適宜調整されている。
【0044】
上記の製造治具8を用いて組織締付具1を製造する方法を説明する。
まず、コイルを成形する工程(成形工程)S1において、図9に示すように、製造治具8の外面に沿って金属線材1aを巻く。
【0045】
この工程S1では、最初に、金属線材1aの一端を、円柱面8bの外面に固定する。製造治具8における2つの円柱面8a、8bのどちらに金属線材1aの一端を固定しても組織締付具1を製造することができる。本実施形態では、相対的に太い円柱面8bに金属線材1aの一端を固定する例を説明する。
【0046】
次に、金属線材1aを、製造治具8の中心軸線周りに円柱面8bに沿って左巻きに巻き、螺旋面8c側へ向かう左巻きの疎巻きコイルを形成する。具体的には、円柱面8bから円柱面8aへ向かってみたときに円柱面8bから円柱面8aへ向かうに従って金属線材1aが左周りに向かう巻き方向となるように、金属線材1aを巻く。すなわち、軸体の中心軸を上下方向にしたときに、手前に見える金属線材1aが右下から左上に向かうように、金属線材1aを軸体の外周に巻いていく。
【0047】
このとき、金属線材1aの中心軸回りにはねじり力をかけずに金属線材1aを円柱面8bに巻く。本実施形態では、金属線材1aを2巻き分だけ巻いたところで金属線材1aが螺旋面8cに到達するように金属線材1aのピッチを調整して金属線材1aを円柱面8bに巻く。
【0048】
次に、螺旋面8cに沿って金属線材1aを巻く。本実施形態では、螺旋面8cに沿って金属線材1aを巻くことで相対的に太い円柱面8bの外径から相対的に細い円柱面8aの外径まで漸次コイル径が小さくなる。本実施形態では、螺旋面8cに金属線材1aを1巻き分だけ巻いたところで金属線材1aが円柱面8aに到達するように金属線材1aのピッチを調整して金属線材1aを螺旋面8cに巻く。
【0049】
次に、円柱面8aに沿って製造治具8の中心軸線周りに金属線材1aを左巻に巻き、螺旋面8cから離れる方向へ向かう左巻きの密着巻きコイルを形成する。このとき、金属線材1aの中心軸線回りに金属線材1aをねじりながら円柱面8aの外面に金属線材1aを巻く。
【0050】
本実施形態では、製造治具8に固定された金属線材1aの一端と反対側の末端である金属線材1aの自由端側から、円柱面8aに巻かれたコイル側へ向かって金属線材1aの中心軸に沿って見たときに右回りに金属線材1aをねじる。すなわち、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体へ向かって見たときに、右回りにねじる。
【0051】
このように金属線材1aをねじることで、密着巻きコイルに初張力が付与される。本実施形態では、金属線材1aを上述のようにねじりながら製造治具8の円柱面8aに6巻き分だけ巻きつける。
製造治具8に金属線材1aが巻きつけられた状態では、図10に示すように、金属線材1aによって左巻のコイルC1が形成されている。
【0052】
金属線材1aが巻き終わったら、金属線材1aがコイル形状を保った状態で金属線材1aを製造治具8から取り外す。続いて、図11に示すように、円柱面8aに巻かれていた側の金属線材1aの端部3b(後に第二組織固定部3の端部3aとなる部分)を、コイルの内側へ向けて折り曲げる。このとき、金属線材1aの末端が金属線材1aの直径と等しいかそれよりも大きくコイルの内側に変位した位置に配置されるようにする。
【0053】
さらに、金属線材1aの円柱面8bに巻かれていた部分の端部6b(後に組織押圧部6の端部6aとなる部分)を、金属線材1aの末端がバネ部5の内側の領域に向くように折り曲げる。なお、金属線材1aの端部3bおよび端部6bの折り曲げは、後述する熱処理を行う工程S2の後に行ってもよい。
【0054】
これで工程S1は終了し、熱処理を行う工程(熱処理工程)S2へ進む。
この工程S2では、金属線材1aがコイル形状を保った状態で金属線材1aからなるコイルに対して熱処理を行う。本実施形態では、常温で金属線材1aが超弾性を有するように金属線材1に超弾性を付与する所定の温度にコイルを加熱した後にコイルを急冷する。これにより、コイルを成形する工程S1で成形されたコイルは超弾性を付与された超弾性コイルC2になる。
【0055】
これで工程S2は終了し、コイルを逆の方向に巻く工程(逆巻き工程)S3へ進む。
この工程S3では、図12Aおよび図12Bに示すように、超弾性が付与された超弾性コイルC2において、第一組織固定部2および第二組織固定部3となる金属線材1a(図12Aにおいて符号1−1ないし符号1−7に示す。)の巻き方向を外周ばね部4に対して逆にする。すなわち、金属線材1aを弾性変形が可能な範囲で変形させて、金属線材1aが、上から下へ1−1、1−2、…、1−7の順に配列された状態から、上から下へ1−7、1−6、…、1−1の順に配列された状態になるように入れ替える。これにより、第一組織固定部2および第二組織固定部3となる部分のコイルの巻き方向を、コイルを成形する工程S1で巻いたコイルの巻き方向と逆にする。
【0056】
このとき、金属線材1aを直線状態には戻さず、第一組織固定部2側あるいは第二組織固定部3側から1巻きずつ順にコイルの内側へ引き込んで金属線材1aをずらして金属線材1aの配列を入れ替えてゆく。これにより、超弾性コイルC2を塑性変形させずに配列を入れ替えることができる。その結果、超弾性コイルC2は、第一組織固定部2および第二組織固定部3が右巻きのコイルとなり、外周ばね部4が左巻きのコイルとなる二重コイルとなる。
【0057】
金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3において金属線材1aの配列が入れ替えられ、第一組織固定部2および第二組織固定部3には初張力が付与される。しかしながら、工程S3の前には第一組織固定部2および第二組織固定部3には初張力が付与されている。工程S3において巻き方向が逆となったため、工程S3の後では、コイルを成形する工程S1において金属線材1aをねじらずに製造治具8に金属線材1aを巻き、金属線材1aの巻き方向を逆にした場合と比較して、第一組織固定部2および第二組織固定部3の初張力は弱められている。
【0058】
本実施形態においては、金属線材1aをねじることによって初張力が付与された超弾性コイルC2の巻き方向を逆にしている。このようにすることで、金属線材1aをねじらずに超弾性コイルC2を成形してから巻き方向を逆にする場合とは異なる大きさの初張力を超弾性コイルC2に付与することができる。
【0059】
金属線材1aを巻いてコイルを形成する場合、金属線材1aをねじることによってコイルに初張力を付与することは知られている。しかしながら、金属線材1aをねじることによってコイルに初張力を付与する場合、金属線材1aがねじ切れるまで金属線材1aをねじるとコイルを形成することができない。そのため、金属線材1aをねじる量には上限がある。これにより、金属線材1aをねじることのみによってコイルに付与できる初張力には上限があった。
【0060】
また、初張力がかかっていないコイルにおいて、コイルの形成後に金属線材の巻き方向を逆にすると、初張力が異なるコイルとなることも知られている。そして、初張力がかかっていないコイルの巻き方向を逆にした場合、金属線材の巻き方向を逆にしたコイルの初張力はある一定以上の大きさとなり、設定可能な初張力には下限があった。
【0061】
このように、金属線材1aをねじることのみによって付与できる初張力の上限よりも大きく、且つコイルを逆巻きにすることのみによって付与できる初張力の下限よりも小さい範囲の初張力をコイルに付与することは困難であった。このため、従来の技術では、生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて両組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができない場合があった。
【0062】
これに対して、本実施形態では、コイルを成形する工程S1および熱処理を行う工程S2によってできる超弾性コイルC2の初張力の大きさは、金属線材1aをはじめに巻いたときの金属線材1aのねじり量および金属線材1aの巻きのピッチによって決まる。これにより、本実施形態では、金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3の前において、超弾性コイルC2には初張力が付与されている。
【0063】
本実施形態の組織締付具1の製造方法では、コイルの金属線材1aをねじることでコイルの初張力を高めた後にコイルの巻き方向を逆にしている。これにより、コイルの金属線材1aをねじることによって増えた初張力は、コイルを逆巻きにすることで逆にコイルの初張力を減少させるように作用する。本実施形態の組織締付具1の製造方法においては、コイルを逆巻きにすることのみによって付与できる初張力の下限よりも小さい初張力をコイルに付与することができる。
【0064】
その結果、本実施形態の組織締付具1の製造方法によれば、コイルをねじることのみによって得られる初張力の上限より大きく、且つコイルを逆巻きにすることのみによって得られる初張力の下限より小さい範囲の初張力をコイルに付与することができるという効果を奏する。また、本実施形態の組織締付具の製造方法によって製造された組織締付具1によれば、生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて両組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる。
【0065】
次に、本実施形態の組織締付具1を生体組織に留置するためのアプリケータ10の一構成例について説明する。
図13Aは、アプリケータ10の正面図である。図13Bは、図13AのB−B線における断面図である。図13Cはアプリケータ10の作用を説明するための説明図である。
【0066】
図13Aないし図13Cに示すように、アプリケータ10は、筒状であって先端が斜めに切断された形状をなして鋭利に形成された針管11と、針管11の内部に前進及び後退が可能に挿通されたプッシュロッド12とを備える。図示していないが、プッシュロッド12は、針管11の基端から突出しており、針管11の基端においてプッシュロッド12を針管11に対して前進及び後退させる操作をすることができるようになっている。
【0067】
針管11の内部には、組織締付具1を引き延ばした状態で挿入して保持することができるようになっている。針管11の外径は、たとえば後述する超音波内視鏡20の処置具チャンネル22(図14参照)に挿通することが可能な大きさとされている。また、鋭利に形成された針管11の先端から超音波内視鏡20の処置具チャンネル22の内壁を保護するために、アプリケータ10は針管11が挿通された外套管13(図14参照)を備えていてもよい。
【0068】
次に、本実施形態の組織締付具1と上記構成例のアプリケータ10を使用して十二指腸Ddと総胆管Cbとの間に瘻孔を設ける手技について説明する。本実施形態において瘻孔を設ける手技は、十二指腸Ddと総胆管Cbとを癒着させ、且つ癒着した部分に貫通孔を形成するものである。
【0069】
図14ないし図17は、本実施形態における手技の一過程を示す説明図である。図18は、十二指腸Ddと総胆管Cbとをともに固定して生体内に留置された本実施形態の組織締付具を示す断面図である。図19は、従来の組織締付具を図18に示すのと同様に生体内に留置した場合の従来の組織締付具を示す断面図である。
【0070】
本実施形態では、組織締付具1およびアプリケータ10は、たとえば鉗子チャンネルを有するリニア走査型の超音波内視鏡20とともに使用される。図14に示すように、超音波内視鏡20は、体内に挿入される可撓性の挿入部21と、挿入部21の内部に設けられた処置具チャンネル22と、挿入部21の先端に設けられた超音波観察部23と、挿入部21の基端に設けられた図示しない操作部とを備える。処置具チャンネル22は、針管11を前進及び後退が可能に挿通させて針管11を挿入部21の先端から露出させることができるようになっている。
【0071】
また、超音波観察部23は、図示しない超音波振動子によって超音波を挿入部21の先端から前方へ照射して、たとえば生体組織などから反射する反射波を受信して図示しないモニタなどへ信号を送信し、このモニタ上において画像を構成するようになっている。
【0072】
また、超音波内視鏡20における挿入部21の先端には、挿入部21の先端から前方に視野を有する図示しない光学的な観察手段が設けられている。本実施形態では、観察手段は、結像レンズ群と固体撮像素子とを挿入部21の先端の内部に有している。観察手段の固体撮像素子は上述のモニタまたは別に体外に設置されたモニタへ画像信号を送信するようになっている。
【0073】
なお、超音波内視鏡20の構成は超音波観察部23を備えるものに限られるものではなく、他のプローブ型の超音波装置を備えたものであってもよい。また、超音波内視鏡20に代えて、超音波以外の手段で観察を行う内視鏡を用いることもでき、この場合には体外で使用する超音波装置や、X線装置、磁気共鳴画像装置(MRI装置)、コンピュータ断層撮影装置(CT装置)などの装置を併用して体腔内を観察することが好ましい。
【0074】
以下では、上述の超音波内視鏡20に本実施形態のアプリケータ10および組織締付具1を組み合わせて処置を行う手技について、経十二指腸的胆管ドレナージの一例で、十二指腸Ddと総胆管Cbとを一体に固定して両者を連通させる貫通孔を設ける手技を例にして説明する。
【0075】
このような手技は、腫瘍による胆管閉塞などによって十二指腸乳頭から胆汁を排出することができなくなり、胆汁が血液に溶け込んで黄疸を起こす場合に実施される減黄術である。この手技は、総胆管Cbから十二指腸Ddへ直接に胆汁を排出することを目的とするものである。
【0076】
手技を開始する前に、上述の熱処理を行う工程S2が終了した時点でできる半完成品状態の組織締付具1、あるいは金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3まで終了した組織締付具1をアプリケータ10の針管11内に装填する。このとき、図13Bに示すように、組織締付具1を構成する金属線材1aの端部において組織押圧部6側の端部6aが針管11の基端側に位置し、第二組織固定部3側の端部3aが針管11の先端側に位置するように組織締付具1を引き延ばして針管11内に装填する。この状態でアプリケータ10を手技に供する。
【0077】
手技が開始すると、まず、超音波内視鏡20の挿入部21を先端から患者の体内へ術者の手作業によって挿入する。本実施形態では、超音波内視鏡20の挿入部21は患者の自然開口である口から上部消化管である十二指腸Ddへ挿入される。超音波内視鏡20の挿入部21が十二指腸Ddへ到達したら、超音波観察部23を用いて十二指腸Ddの管腔の外部の状態を観察し、瘻孔を設けるために適切な位置を、十二指腸乳頭よりも胃側の領域において総胆管Cbに近い位置に術者が決める。
【0078】
瘻孔を設けるための適切な位置が決まった後、術者は、超音波内視鏡20の処置具チャンネル22にアプリケータ10の針管11を先端から挿入し、超音波内視鏡20の挿入部21の先端から針管11の先端を露出させる。超音波内視鏡20の挿入部21の先端から露出した針管11は、光学的な観察手段を用いて観察することができる。
【0079】
続いて、術者は超音波内視鏡20に設けられた超音波観察部23を使用して十二指腸Dd越しに総胆管Cbを走査し、十二指腸Ddおよび総胆管Cbへ針管11を刺して挿入する位置を決める。
【0080】
針管11を刺して挿入する位置が決まったら、図14に示すように、超音波内視鏡20に対して針管11を前方へ押し出す。そして、針管11によって十二指腸Ddおよび総胆管Cbの管壁を貫通させて、針管11の先端を総胆管Cbの管腔内に位置させる。このとき、針管11を穿刺する長さを適切に調整するストッパなどを予めアプリケータ10に取り付けておいてもよい。アプリケータ10にストッパを設けておけば、針管11の穿刺量が過剰であったり不足したりすることを防止できる。
【0081】
図15に示すように、針管11の先端が総胆管Cbの内腔に配置されたら、術者は針管11に対してプッシュロッド12を前方へ移動させ、組織締付具1のうち第二組織固定部3を針管11の先端から押し出す。針管11の先端から押し出された第二組織固定部3は、自身の超弾性によってコイル形状に復元する。このとき、図16に示すように、第二組織固定部3における線材の端部3aにおいて折り曲げられた金属線材1aは、第一組織固定部2側へ向かって測って一巻き目の位置における金属線材1aの外面に接し、金属線材1aの端部3aは金属線材1aの外面に押し付けられる。
【0082】
すると、金属線材1aの端部3aは金属線材1aの外面に沿ってすべり、コイル状に復元した第二組織固定部3における金属線材1aの巻き方向が一意に決まる。本実施形態では、第一組織締付具1がコイル状に復元したときの金属線材1aの巻き方向は、組織締付具1の製造方法における成形工程S1で金属線材1aを製造治具8に巻いた巻き方向とは逆になる。
【0083】
すなわち、上述の製造方法における成形工程S1において左巻きに巻かれた第二組織固定部3は、針管11の先端から押し出されてコイル状に復元したときに右巻きのコイルとなる。このため、針管11に装填された組織締付具1が、金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3が行われていない半完成品であっても、針管11から第一組織固定部2が押し出されることによって第二組織固定部3に対する工程S3が行われる。
【0084】
針管11に装填される前に工程S3が済んでいる組織締付具1においても、組織締付具1は工程S3が終了した後の正しい形状に復元される。
【0085】
第二組織固定部3が総胆管Cbの内腔でコイル形状に復元したら、術者は超音波内視鏡20に対して針管11を後方へ引き戻す。すると、針管11は十二指腸Ddの管壁および総胆管Cbの管壁から引き抜かれ、第二組織固定部3のみが総胆管Cbの管腔内に配置される。
【0086】
さらに術者は、図17に示すように、針管11の先端が十二指腸Ddの管腔内に位置している状態で、針管11に対してプッシュロッド12を前方へ押し出し、第一組織固定部2および外周ばね部4を針管11の先端から押し出す。すると、第一組織固定部2は、第二組織固定部3において復元したコイルの巻き方向と同じ巻き方向のコイルに復元する。
【0087】
すなわち、針管11の先端から押し出された第一組織固定部2は、右巻きのコイルとなる。これにより、第一組織固定部2と第二組織固定部3における金属線材1aの巻き方向は上述のコイルを成形する工程S1における巻き方向である左巻きとは逆の右巻きとなり、第一組織固定部2および第二組織固定部3に対する工程S3が終了する。
【0088】
なお、組織締付具1の金属線材1aがコイル形状に復元するために、第一組織固定部2を針管11から押し出すときには、十二指腸Ddに近い部分から徐々に金属線材1aの形状を復元させてゆく。これにより、組織締付具1の金属線材1aが絡まることなく第二組織固定部3、バネ部5、および組織押圧部6が十二指腸Dd側に形成される。
【0089】
図18に示すように、針管11の先端から組織締付具1のすべての金属線材を押し出した後、組織締付具1における外周ばね部4の組織押圧部6は、自身の弾性およびバネ部5の弾性によって十二指腸Dd側から総胆管Cb側へ十二指腸Ddの管壁を押圧する。このとき、組織押圧部6における2巻き分の金属線材1aは互いに密着し、金属線材1aのそれぞれが十二指腸Dd側から総胆管Cb側へ十二指腸Ddの管壁を押圧している。
【0090】
図19は、上述したように座巻部が形成された従来の組織締付具によって十二指腸Ddと総胆管Cbとを固定した場合を示している。外周ばね部に座巻部が形成された従来の組織締付具では、バネ部から見て2巻き目の座巻部6Bは、十二指腸Ddの管壁によって押し返されることによって、1巻き目の座巻部6Aに対して十二指腸Ddの内腔側にわずかにずれた位置にある。2巻き目の座巻き部6Bにおけるずれ量は、座巻き部6Bにおける外周へ向かうに従って漸次大きくなる。
【0091】
このため、従来の構成における2巻き目の座巻部6Bは、十二指腸Ddと総胆管Cbとを固定するために十分な押圧力を十二指腸Ddの管壁にかけられない可能性が考えられる。この場合、十二指腸Ddと総胆管Cbとの間に隙間が生じる可能性があり、この隙間から胆汁が体腔内へ漏れ出すおそれがある。
【0092】
これに対して、本実施形態の組織締付具1では、外周ばね部4の組織押圧部6が、座巻きとは異なり金属線材1aが同一平面上にない円筒コイル状に形成されているので、組織押圧部6の1巻き目および2巻き目の金属線材1aがそれぞれ十二指腸Ddの管壁を押圧できる。このため、十二指腸Ddと総胆管Cbとの間に隙間が生じる可能性をより低減することができる。
【0093】
組織締付具1を留置した後、第一組織固定部2および第二組織固定部3内に位置する十二指腸Ddの腸壁および総胆管Cbの管壁は、第一組織固定部2と第二組織固定部3とによって締め付けられている。これにより、十二指腸Ddおよび総胆管Cbにおいて第一組織固定部2および第二組織固定部3の内側部分は血流が阻害されて圧迫壊死を起こす。さらに、第一組織固定部2および第二組織固定部3の周囲で、腸壁と管壁とが癒着して結合する。
【0094】
そして、壊死した組織および組織締付具1は、組織締付具1が留置された留置位置から脱落する。このとき、第一組織固定部2と第二組織固定部3とは外周ばね部4によって常に十二指腸Ddの内腔側へと付勢されている。また、外周ばね部4は瘻孔の内径よりも大きいので、外周ばね部4は瘻孔を通過することができない。
【0095】
これにより、組織締付具1が他の組織から脱落するとき、必ず十二指腸Ddの内腔側に脱落することになる。十二指腸Ddの内腔に脱落した組織締付具1は、小腸および大腸を通じて体外へ排泄される。このとき、外周ばね部4における金属線材1aの端部が組織締付具1のループの内側方向へ向かって延びているので、消化管内を組織締付具1が移動するときに金属線材1aの端部が組織に接触して組織を傷つけることはない。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0097】
たとえば、上述の組織締付具1の製造方法では金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3が終了した状態において第一組織固定部2および第二組織固定部3が右巻きのコイルであり、外周ばね部4が左巻コイルである例を示した。しかし、第一組織固定部2および第二組織固定部3が左巻きのコイルであり外周ばね部4が右巻きのコイルであるような組織締付具1を製造する場合もある。すなわち、製造治具8の形状を変更して上述の製造治具8と逆巻きの螺旋面8cを有するものとすれば、このような組織締結具1を容易に製造することができ、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0098】
また、上述の実施形態における組織締付具1の製造方法では、コイルを成形する工程S1において、後に第一組織固定部2および第二組織固定部3となる金属線材1aは密着巻きとした。しかし、これに限らず、工程S1において金属線材1aを疎巻きとしてもよい。さらに、疎巻きのコイルを工程S1において作るときにも金属線材1aをその中心軸線回りにねじりつつ製造治具8に巻きつけて行ってもよい。
【0099】
具体的には、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aの一端を軸体に固定し、隣り合う金属線材1aの間に隙間をあけつつ、軸体の外周に金属線材1aを巻いてもよい。
【0100】
金属線材1aの巻きピッチ、ねじり方向およびねじり量を適宜変更して成形工程S1を行うことによって、金属線材1aの巻き方向を逆にする工程S3が終了した後の第一組織固定部2および第二組織固定部3における初張力の設定が異なる組織締付具を適宜製造することができる。
【0101】
具体的には、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aを金属線材1aの軸回りにねじる方向を、工程S1において前記金属線材を前記軸体に巻く方向に応じて定めてもよい。
【0102】
すなわち、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aを右巻きに巻く場合には、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体へ向かって見たときに左回りにねじる。
【0103】
逆に、コイルを成形する工程S1において、金属線材1aを左巻きに巻く場合には、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体に向かって見たときに右回りにねじる。
【0104】
なお、金属線材1aを右巻きに巻く場合に、軸体に巻かれる前の金属線材1aを、金属線材1aの自由端側から軸体へ向かって見たときに右回りにねじるようにしてもよい。
【0105】
また、第一組織固定部2と第二組織固定部3とのそれぞれにおいて上述のした上限と下限との間の初張力を得るために外周バネは必須ではない。外周ばね部4を備えない組織締付具1に対しても上述した製造方法を用いて同様に初張力を設定することができる。
【0106】
この他、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
2つの生体組織を挟み込んで圧迫により生体組織を虚血壊死させて、これら2つの生体組織を癒着させるために最適な初張力をコイルに付与することができる組織締結具を提供する。
【符号の説明】
【0108】
1 組織締結具
1a 金属線材(線材)
8 製造治具(軸体)
2 組織固定部
3 組織固定部
5 バネ部
6 組織押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの生体組織を密着させて締め付けるばね性を有する組織締付具であって、
2つの生体組織を密着させるためのコイル状の組織固定部と;
前記組織固定部と連なり、前記組織固定部の第1のコイル径よりも大きい第2のコイル径を有するバネ部と;
前記2つの生体組織の一方を押圧するために、前記バネ部と連なり、且つ前記バネ部の前記第2のコイル径よりも大きい第3のコイル径で少なくとも1巻き以上のコイル状に線材によって形成された組織押圧部と;を備え、
前記組織押圧部は、前記組織固定部によって前記2つの生体組織を密着させたときに前記2つの生体組織の一方を押圧するように、前記バネ部側とは反対側に向いて形成された押圧面を有し、
前記組織押圧部は、前記押圧面から前記組織押圧部の前記線材の端部に向かうにつれて前記押圧面から離間する方向に前記線材と交差するように曲げられた曲げ部を備え、
前記組織押圧部の前記線材の前記端部は、前記押圧面よりも前記バネ部側の空間に配置される、
組織締付具。
【請求項2】
前記組織押圧部は、無負荷状態で隣り合う前記線材が互いに隙間を有する状態と、外力が作用している状態で隣り合う前記線材が互いに密着するように弾性変形した状態と、を有する請求項1に記載の組織締付具。
【請求項3】
前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、
前記線材の一端は、前記組織押圧部に含まれ、前記中心軸線の方向から見たときに前記組織押圧部の外形線よりも前記軸線に近い位置に配置されている請求項2に記載の組織締付具。
【請求項4】
前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、
前記中心軸線の方向から見たときに、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻きを超える部分の最大の外径は、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻き以下の部分における最大の外径以下である請求項2に記載の組織締付具。
【請求項5】
前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、
前記組織押圧部に含まれる前記線材の一端は、前記中心軸線に対して直交する方向から見たときに、前記組織押圧部および前記バネ部を構成する前記線材によって囲まれる円錐台形状の領域の内側に配置されている請求項2に記載の組織締付具。
【請求項1】
2つの生体組織を密着させて締め付けるばね性を有する組織締付具であって、
2つの生体組織を密着させるためのコイル状の組織固定部と;
前記組織固定部と連なり、前記組織固定部の第1のコイル径よりも大きい第2のコイル径を有するバネ部と;
前記2つの生体組織の一方を押圧するために、前記バネ部と連なり、且つ前記バネ部の前記第2のコイル径よりも大きい第3のコイル径で少なくとも1巻き以上のコイル状に線材によって形成された組織押圧部と;を備え、
前記組織押圧部は、前記組織固定部によって前記2つの生体組織を密着させたときに前記2つの生体組織の一方を押圧するように、前記バネ部側とは反対側に向いて形成された押圧面を有し、
前記組織押圧部は、前記押圧面から前記組織押圧部の前記線材の端部に向かうにつれて前記押圧面から離間する方向に前記線材と交差するように曲げられた曲げ部を備え、
前記組織押圧部の前記線材の前記端部は、前記押圧面よりも前記バネ部側の空間に配置される、
組織締付具。
【請求項2】
前記組織押圧部は、無負荷状態で隣り合う前記線材が互いに隙間を有する状態と、外力が作用している状態で隣り合う前記線材が互いに密着するように弾性変形した状態と、を有する請求項1に記載の組織締付具。
【請求項3】
前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、
前記線材の一端は、前記組織押圧部に含まれ、前記中心軸線の方向から見たときに前記組織押圧部の外形線よりも前記軸線に近い位置に配置されている請求項2に記載の組織締付具。
【請求項4】
前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、
前記中心軸線の方向から見たときに、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻きを超える部分の最大の外径は、前記組織押圧部において前記バネ部の端部から測って前記線材の巻き数が一巻き以下の部分における最大の外径以下である請求項2に記載の組織締付具。
【請求項5】
前記組織固定部、前記バネ部、および前記組織押圧部は、前記線材が同一の中心軸線の回りに巻かれることで形成されており、
前記組織押圧部に含まれる前記線材の一端は、前記中心軸線に対して直交する方向から見たときに、前記組織押圧部および前記バネ部を構成する前記線材によって囲まれる円錐台形状の領域の内側に配置されている請求項2に記載の組織締付具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−196584(P2012−196584A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167660(P2012−167660)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2011−552253(P2011−552253)の分割
【原出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2011−552253(P2011−552253)の分割
【原出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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