説明

経皮貼り剤及びその製造方法

【課題】粉末状の経皮剤を飛散させることなく、粘着シートに簡単且つ安定させて貼り付けることのできる経皮貼り剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の孔部11を列状に形成した第1の剥離紙1と、上記孔部11よりも十分に大きい寸法に形成され、片面に粘着面21を形成した複数の基材片2と、上記第1の剥離紙1の裏面12に貼付けられる第2の剥離紙5とを組み合わせて構成され、上記第1の剥離紙1の表面13には、上記複数の基材片2を、それぞれが、上記孔部11を塞ぐようにして、上記の複数の基材片2の各々の粘着面21を貼着するとともに、かつ、上記第
1の剥離紙1の裏面12には、上記基材片2の粘着面21で、上記孔部11より露見する部分に、粉末状の経皮剤3を塗布されており、上記第2の剥離紙5は、上記孔部11より露見した粉末状の経皮剤3を塗布した部分を塞ぐようにして、第1の剥離紙1の裏面13に付着させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉の痛みなどを緩和すると共に簡易に製造できる経皮貼り剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筋肉の痛みなどを緩和するための経皮貼り剤として、粘着シートにペレット状の永久磁石などを取り付け、これを痛みのある部分に貼り付けて、前記永久磁石から放出される磁力線を、血液中に含まれる鉄分に作用させて血行を促進するものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、前記永久磁石は、硬質の磁鉄鋼材であるため、これを患部に貼り付けたときには、患者が違和感を感じてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、近年では、前記永久磁石に代えて、鎮痛作用を備えた粉末状の経皮剤を粘着シートに貼り付け、これを痛みのある部分に貼り付けて、患者の痛みを緩和せんとする経皮貼り剤も開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002−224228号
【特許文献2】特開2003−292446号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粉末状の経皮剤は飛散し易いため、この経皮剤を粘着シートに上手く貼り付けることは、製造上困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、粉末状の経皮剤に粘着剤を混入させた薬剤を、基材シートの裏面に塗布して製造することも考えたが、粘着剤を混練する手間を要するうえ、粘着剤を乾燥させる必要もあり、やはり、製造上の問題があった。
【0007】
また、鎮痛作用を備えた粉末状の経皮剤として、例えば、炭酸マグネシウム粉末が知られているが、この炭酸マグネシウム粉末は、高い鎮痛作用を備えている反面、その量が多すぎると、その貼り付けられた患部が部位によっては却って違和感を生じる場合があるため、鎮痛作用を備えた粉末状の経皮剤は、その量を一定量にして、粘着シートに貼り付けなければならず、上記問題に加え、その製造は、更に困難である。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするもので、粉末状の経皮剤を粘着剤に混練させることなく、粘着シートに簡単且つ安定させて貼り付けることのできる経皮貼り剤及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、
請求項1に係る経皮貼り剤は、複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙と、上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成され、片面に粘着面を形成した複数の基材片と、上記第1の剥離紙の裏面に貼付けられる第2の剥離紙とを組み合わせて構成され、上記複数の基材片は、それぞれが、上記第1の剥離紙の孔部を塞ぐようにして上記第1の剥離紙の表面に貼着され、かつ、上記粘着面のうち上記第1の剥離紙の裏面の孔部より露見した部分には粉末状の経皮剤が塗布されており、上記第2の剥離紙は、上記第1の剥離紙の上記孔部より露見した粉末状の経皮剤を塗布した部分を塞ぐようにして、第1の剥離紙の裏面に付着させてなる。
【0010】
このものでは、粘着剤を混練させずに、粉末状の経皮剤を第1の剥離紙の裏面の孔部より露見した粘着部分に塗布されるため、製造を容易にできる。
【0011】
また、粉末状の経皮剤は、第1の剥離紙の裏面の孔部に振り掛けてから、刷毛などで余剰分を除去するので、霧散されることもないうえ、孔部の容積に応じた定量分だけを貼着できる。
【0012】
請求項2に係る経皮貼り剤は、請求項1において、上記第1の剥離紙の孔部には、第1の剥離紙の側端から、孔部に至る切り込み形成している。
【0013】
このものでは、剥離紙の側端から、孔部に至る切り込みを形成しているので、剥離紙の周縁に爪を立てずに、切り込みをつねるだけで離型紙を容易に剥がすことができ、基材片の取り外しも容易にできる。
【0014】
請求項3に係る経皮貼り剤は、請求項1または2の何れかにおいて、上記粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末を主成分としている。
【0015】
このものでは、粉末状の経皮剤が炭酸マグネシウム粉末を主成分とし、この炭酸マグネシウム粉末が人体のツボなどの皮膚に接触されるので、高い鎮痛効果が得られる。
【0016】
ここで、マグネシウムは、末梢神経系において神経筋接合部の伝達を抑制する作用があり、その作用機序は主として神経末端に作用して神経伝達物質アセチルコリンの放出量を減少させる性質がある。また、酵素ATPアーゼを活性化させ、ATPアーゼがイオン輸送機構に作用して、筋肉の痛みに関係するカリウムイオン濃度の勾配を保つ働きがある。
【0017】
一方、人間の皮膚の侵害受容器の90%くらいは、機械的刺激、化学的刺激、熱刺激のいずれにも反応する多様式である。
【0018】
そのため、マグネシウムを皮膚損傷の起こりにくい粉末状態で皮膚に対する刺激として作用させるために、粉末状態でも安全な炭酸マグネシウム粉末を経皮剤の主成分にしている。
【0019】
請求項4に係る経皮貼り剤は、請求項1〜3の何れかにおいて、上記粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末に、銅、アルミニウム、銀、金の何れか1種以上の金属粉末を配合させている。
【0020】
このものでは、炭酸マグネシウム粉末による違和感を適切に緩和する効果がある。
【0021】
ここで、炭酸マグネシウム粉末は、鎮痛効果が強く作用するため、症状によっては、炭酸マグネシウム粉末だけでは、その作用が強過ぎる場合がある。
【0022】
そこで、人体に対して適度な刺激を作用させるために、炭酸マグネシウム粉末に対して、銅、アルミニウム、銀、金の何れか1種以上の金属粉末を混合させた配合にすることで、炭酸マグネシウム粉末による刺激を適切に緩和できる。
【0023】
ここで、何れか1種とは、銅、アルミニウム、銀、金の金属粉末を意味しており、これらの金属粉末を用途に応じて炭酸マグネシウム粉末に配合すれば、この炭酸マグネシウム粉末による刺激を適切に緩和できるうえ、用途に応じた効果を得られることが実験により判明できた。
【0024】
用途としては、現在のところ、一般的な筋肉痛の他、慢性痛、体の各部の弛み、内蔵の調整(痛み以外の調整)、関節痛などであり、これら各症状に効果的であることが判明しているが、これら以外の症状についても研究中である。
【0025】
なお、上記以外の金属粉末、例えば、チタニウムなどの金属粉末を配合することも可能であるが、これらの配合量や作用、効果などについては、現在実験中である。
【0026】
このように配合された金属粉末を皮膚に貼り付けると、発汗による水分とその中に含まれる塩分などの諸成分が一種の水性電解質として作用するので、イオン化傾向の異なる金属粉末の間に電位が生じ、無数の電池が形成され、これが人体のツボなどに刺激を与える結果、皮膚表面の血行が促進され、新陳代謝が良好となって、炭酸マグネシウムとの相乗効果により、痛みの原因を取り除くものと発明者等は考えている。
【0027】
また、ツボを刺激することで、当該ツボに関連する体の各部に作用し、例えば、耳のツボに貼ることで、顔の頬のたるみや皺、目の大きさ、バストアップ、腹部の引き締め、ヒップアップ等の効果を得ることができる。
【0028】
もっとも、個々の症状や効果に応じて、配合する金属粉末の種類、配合量を変えることもあるが、具体的には、マグネシウム粉末にアルミ、銅(又は金)の金属粉末を同比率で配合すれば、慢性痛の緩和、体の各部のシェイプアップに効果的であることが判明している。
【0029】
このようなシェイプアップの効果等が得られるので、本願の経皮貼り剤を美顔等のエステ系商品として使用することもできる。
【0030】
請求項5に係る経皮貼り剤の製造方法は、複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙に、片面に粘着面を形成し、かつ上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成された複数の基材片を、それぞれの基材片の粘着面が上記第1の剥離紙の表面に粘着し、上記孔部の一方を塞ぐようにして貼着させ、次いで、上記第1の剥離紙の裏面の孔部から露見した基材片の粘着面に粉末状の経皮剤を塗布させた後に、それらの孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて成る。
【0031】
この方法では、第1の剥離紙の孔部を塞ぐように、基材片を貼り付け、孔部の開口を露見させている第1の剥離紙の裏面に粉末状の経皮剤を塗布するので、粉末状の経皮剤を霧散させることなく、それぞれの孔部の開口から基材片の粘着面に安定して粘着できる。
【0032】
また、孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて。粉末状の経皮剤を塗布すれば、経皮貼り剤を簡易な設備下で簡易に量産できる。
【0033】
請求項6に係る経皮貼り剤の製造方法は、複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙に、片面に粘着面を形成し、かつ上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成された複数の基材片を、それぞれの基材片の粘着面が上記第1の剥離紙の表面に粘着し、上記孔部の一方を塞ぐようにして貼着させ、次いで、上記第1の剥離紙の裏面の孔部から露見した基材片の粘着面に、固形状に形成された経皮剤を貼着した後、それらの孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて成る。
【0034】
この方法では、第1の剥離紙の孔部を塞ぐように、基材片を貼り付け、孔部の開口を露見させている第1の剥離紙の裏面に、固形状の経皮剤を貼着するので、経皮剤を霧散させることなく、それぞれの孔部の開口から基材片の粘着面に安定して粘着できる。
【0035】
ここで、固形状の経皮剤は、例えば、粉末状の経皮剤にバインダーを含有させて所望の形状に加圧成形すれば簡易に製造でき、このような固形状の経皮剤で孔部を塞ぐようにして貼着すれば、経皮貼り剤を簡易な設備下で簡易に量産できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、次のような効果がある。
請求項1に係る経皮貼り剤によれば、粘着剤を混練させずに、粉末状の経皮剤を第1の剥離紙の裏面の孔部より露見した粘着部分に塗布されるため、製造を容易にできる。
【0037】
また、粉末状の経皮剤は、第1の剥離紙の裏面の孔部に振り掛けてから、刷毛などで余剰分を除去するので、霧散されることもないうえ、孔部の容積に応じた定量分だけを貼着できる。
【0038】
請求項2に係る経皮貼り剤によれば、剥離紙の側端から、孔部に至る切り込みを形成しているので、剥離紙の周縁に爪を立てずに、切り込みをつねるだけで離型紙を容易に剥がすことができ、基材片の取り外しも容易にできる。
【0039】
請求項3に係る経皮貼り剤によれば、粉末状の経皮剤が炭酸マグネシウム粉末を主成分とし、この炭酸マグネシウム粉末が人体のツボなどの皮膚に接触されるので、高い鎮痛効果が得られる。
【0040】
請求項4に係る経皮貼り剤によれば、粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末に、銅、アルミニウム、銀、金のいずれか1種以上の金属粉末を配合させているので、炭酸マグネシウム粉末による違和感を適切に緩和する効果がある。また、炭酸マグネシウム粉末の鎮痛作用と共に、配合された金属粉末の組み合わせの相乗効果を得ることができる。
【0041】
特に、本願の経皮貼り剤によってツボを刺激すれば、当該ツボに関連する体の各部に作用し、例えば、耳のツボに貼ることで、対応する部位の筋肉を活性化し、顔の頬のたるみや皺の改善、瞼のたるみ防止、バストアップ、腹部の引き締め、ヒップアップ等の効果を得ることができる。
【0042】
請求項5に係る経皮貼り剤の製造方法によれば、第1の剥離紙の孔部を塞ぐように、基材片を貼り付け、孔部の開口を露見させている第1の剥離紙の裏面に粉末状の経皮剤を塗布するので、粉末状の経皮剤を霧散させることなく、それぞれの孔部の開口から基材片の粘着面に安定して粘着できる。
【0043】
また、孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて。粉末状の経皮剤を塗布すれば、経皮貼り剤を簡易な設備下で簡易に量産できる。
【0044】
請求項6に係る経皮貼り剤の製造方法によれば、第1の剥離紙の孔部を塞ぐように、基材片を貼り付け、孔部の開口を露見させている第1の剥離紙の裏面に、固形状の経皮剤を貼着するので、経皮剤を霧散させることなく、それぞれの孔部の開口から基材片の粘着面に安定して粘着できる。
【0045】
また、固形状の経皮剤で孔部を塞ぐようにして貼着すれば、経皮貼り剤を簡易な設備下で簡易に量産できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係る経皮貼り剤Aを図面とともに説明する。
【実施例1】
【0047】
図1は、本発明に係る経皮貼り剤A及びその製造方法の一実施例を概略した斜視図であり、図2は、図1で示された経皮貼り剤Aの一部を部分拡大した要部斜視図、図3は、図1で示された経皮貼り剤Aの一部を部分拡大した断面図である。
【0048】
この経皮貼り剤Aは、先ず、複数の孔部11を列状に形成した第1の剥離紙1と、片面に粘着面21を形成し、かつ孔部11よりも十分に大きい寸法に形成された複数の基材片2とを用い、それぞれの基材片2を、粘着面21が、孔部11の一方を塞ぐようにして、第1の剥離紙1の表面12に貼着する。
【0049】
第1の剥離紙1は、矩形状に形成された薄膜の樹脂製シート或いは紙製シートを用いるが、その表面12は、少なくとも基材片2の粘着面21を貼着可能であって、且つ、この貼着後の基材片2が剥離可能な離型性を備えてなる。
【0050】
この第1の離型紙1には、円形の孔部11を等間隔に開設して、複数の孔部11を列状に形成する。なお、本実施例では、5列に並んだ孔部11が2段形成されたものを例示しているが、その列数や段数は、第1の剥離紙1の外形、或いは、基材片2の大きさに応じて適宜選択される。
【0051】
また、孔部11の形状は、円形、角形等、様々な形状に形成できるが、この孔部11の表面積は、当該孔部11に塗布される後述の粉末状の経皮剤成分に応じて選定される。
【0052】
基材片2は、不織布等の変形自在なシート材を孔部11よりも十分に大きな相似形に形成し、それぞれの基材片2を、図1の右図に示すように、粘着面21が、孔部11の一方を塞ぐようにして、第1の剥離紙1の表面12に貼着する。
【0053】
次いで、図1の左図に示すように、この第1の剥離紙1を裏返して、第1の剥離紙1の裏面13の孔部11より露見した部分、すなわち、基材片2の粘着面21の略中央部分に向けて、粉末状の経皮剤3を刷毛4等で塗布する。
【0054】
具体的には、孔部11に粉末状の経皮剤3を刷毛4等で埋設させたうえで、この刷毛4等で余分な粉末状の経皮剤3を掃い除けば、孔部11に一定量の粉末状の経皮剤3だけが粘着され、一定量の粉末状の経皮剤3を塗布できる。
【0055】
ここで、粉末状の経皮剤3は、炭酸マグネシウム粉末を主成分とするものであれば、高い鎮痛作用が得られるうえ、それぞれの孔部11の口径、深さに応じて基材片2の粘着面21に一定量を安定して塗布できる。
【0056】
また、炭酸マグネシウム粉末の鎮痛作用は、その塗布面積に比例するため、鎮痛作用の強弱は、孔部11の開口の大きさによって調整できる。
【0057】
更に、炭酸マグネシウム粉末の鎮痛作用を調整する手段として、本発明では、粉末状の経皮剤3として、炭酸マグネシウム粉末に、銅、アルミニウム、銀、金などのイオン化傾向の異なる何れか1種以上の金属粉末を配合させたものを使用している。
【0058】
これら銅、アルミニウム、銀、金の金属粉末の配合量、配合する金属粉末の種類等は、鎮痛作用を緩和させる程度、或いは、患部に作用させる効果、例えば、筋肉の緊張、ダイエット効果などに応じて選定される。
【0059】
ここで、本発明による実験結果の一例を示せば、炭酸マグネシウム粉末と同量の銅粉末及びアルミニウム粉末を配合すれば、炭酸マグネシウムの鎮痛作用が軽減されると共に、慢性痛と慢性症状の緩和、筋肉の緊張と緩和の効果を得ることができた。
【0060】
また、炭酸マグネシウム粉末と同量の金粉末及びアルミニウム粉末を配合したものでも、炭酸マグネシウムの鎮痛作用が軽減されると共に、慢性痛と慢性症状の緩和、筋肉の緊張と緩和の効果を得ることができた。
【0061】
更に、炭酸マグネシウム粉末と同量の銅粉末(又は金粉末)及びアルミニウム粉末を配合した経皮剤3を、耳のツボ又は刺激ポイントに貼ることにより、全身の引き締め効果があることが確認でき、特に、顔の頬のたるみや皺の改善、瞼のたるみ防止、バストアップ、腹部の引き締め、ヒップアップ等ダイエットにも効果的であることが確認できた。
【0062】
なお、銅粉末とアルミニウム粉末だけを配合すれば、内蔵の調整(痛み以外の調整)に効果的であることが判明したが、これ以外にも、炭酸マグネシウム粉末と同量の銀粉末及びアルミニウム粉末を配合したもの、或いは、炭酸マグネシウム粉末と同量の金粉末、銀粉末及びアルミニウム粉末を全て配合したもの、或いは、上記以外のチタニウム粉末などの金属粉末を配合したもの、更には、上記配合の比率を変化させた場合の各効果についても現在実験中である。
【0063】
また、孔部11に一定量の粉末状の経皮剤3を塗布する他の手段として、例えば、粉末状の経皮剤3を充填したスプレーガン(不図示)を用いて、粉末状の経皮剤3を孔部11に吹き付けた後、余分な粉末状の経皮剤3を掃い除いても良い。
【0064】
更に、複数の孔部11に向けて同時に粉末状の経皮剤3を吹き付け可能な器具(不図示)を用いれば、粉末状の経皮剤3を孔部11に塗布する作業時間を更に短縮できる。
【0065】
そして、全ての孔部11に一定量の粉末状の経皮剤3を塗布した後、それらの孔部11を塞ぐようにして、この第1の剥離紙1の裏面13に向けて第2の剥離紙5を貼付けて成る。
【0066】
また、他の方法として、第1の剥離紙1の裏面13の孔部11に向けて、固形状に形成された経皮剤3を貼着して、それらの孔部11を塞ぐようにすることも可能である。
【0067】
なお、固形状の経皮剤3は、例えば、粉末状の経皮剤3にバインダーを含有させたうえで、既存の成形機等で所望の形状に加圧成形すれば簡易に製造できる。
【0068】
このように予め固形状に形成した経皮材3を用いても、経皮剤3を霧散させることなく、それぞれの孔部11の開口から基材片2の粘着面に安定して粘着できる。
【0069】
第2の離型紙5は、孔部11より露見されている粉末状の経皮剤3に埃等が付着するのを防止するため、この露見されている粉末状の経皮剤3には粘着されず、且つ、第1の剥離紙の裏面13に付着させれば良く、例えば、透明な薄膜のフィルムシートを第1の離型紙1と同外形に形成し、このフィルムシートを第1の剥離紙の裏面13に貼り付けている。
【0070】
また、第2の離型紙5には、各基材片2に応じて分割可能なようにミシン目を形成しても良く、或いは、第2の離型紙5は、粉末状の経皮剤3の部分だけを保護するように個別に貼り付けたものであっても構わない。
【0071】
このように形成した本発明の経皮貼り剤Aは、以下の要領で使用する。
【0072】
先ず、第1の離型紙1の表面12から1つの基材片2を剥離し、この基材片2の粘着面21略中央に塗布された粉末状の経皮剤3を患者のツボ等に位置させながら、当該基材片2の粘着面21を患者の皮膚に押し当てて貼り付ける。
【0073】
同様にして、必要な枚数の基材片2を第1の離型紙1の表面12から順次剥離して、基材片2の粘着面21を患者の皮膚に押し当てて貼り付ける。
【0074】
このようにして、患者の皮膚に貼り付けられた基材片2の粉末状の経皮剤3によって、炭酸マグネシウム粉末による適度な鎮痛作用が患者に与えられ、又は、この鎮痛作用に加えて、配合された他の金属粉末の保有している種々の効果を同じに得ることができる。
【0075】
また、固形状の経皮剤3によれば、この固形状の経皮剤3が患者のツボを適度に刺激するうえ、上記粉末状の経皮剤3と同じ効果を得ることができる。
【0076】
なお、第1の剥離紙1の側端から、孔部11に至る切り込み6を形成しておけば、第1の離型紙1の表面12から基材片2を容易に剥離できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、粉末状の粉末状の経皮剤を飛散させることなく、粘着シートに簡単且つ安定させて貼り付けることのできる経皮貼り剤として有効に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る経皮貼り剤A及びその製造方法の一実施例を概略した斜視図である。
【図2】図1で示された経皮貼り剤Aの一部を部分拡大した要部斜視図である。
【図3】図1で示された経皮貼り剤Aの一部を部分拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0079】
A 経皮貼り剤
1 第1の剥離紙
11 孔部
12 (第1の剥離紙)表面
13 (第1の剥離紙)裏面
2 基材片
21 粘着面
3 (粉末状、固形状)経皮剤
5 第2の剥離紙
6 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙と、上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成され、片面に粘着面を形成した複数の基材片と、上記第1の剥離紙の裏面に貼付けられる第2の剥離紙とを組み合わせて構成され、
上記複数の基材片は、それぞれが、上記第1の剥離紙の孔部を塞ぐようにして上記第1の剥離紙の表面に貼着され、かつ、上記粘着面のうち上記第1の剥離紙の裏面の孔部より露見した部分には粉末状の経皮剤が塗布されており、上記第2の剥離紙は、上記第1の剥離紙の上記孔部より露見した粉末状の経皮剤を塗布した部分を塞ぐようにして、第1の剥離紙の裏面に付着させてなる経皮貼り剤。
【請求項2】
請求項1において、
第1の剥離紙には、その側端から孔部に至る切り込みを形成している経皮貼り剤。
【請求項3】
請求項1または2の何れかにおいて、
上記粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末を主成分としたものである経皮塗り剤。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、
上記粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末に、銅、アルミニウム、銀、金の何れか1種以上の金属粉末を配合させている経皮塗り剤。
【請求項5】
複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙に、片面に粘着面を形成し、かつ上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成された複数の基材片を、それぞれの基材片の粘着面が上記第1の剥離紙の表面に粘着し、上記孔部の一方を塞ぐようにして貼着させ、
次いで、上記第1の剥離紙の裏面の孔部から露見した基材片の粘着面に粉末状の経皮剤を塗布させた後に、それらの孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて成る経皮貼り剤の製造方法。
【請求項6】
複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙に、片面に粘着面を形成し、かつ上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成された複数の基材片を、それぞれの基材片の粘着面が上記第1の剥離紙の表面に粘着し、上記孔部の一方を塞ぐようにして貼着させ、
次いで、上記第1の剥離紙の裏面の孔部から露見した基材片の粘着面に、固形状に形成された経皮剤を貼着した後、それらの孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて成る経皮貼り剤の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙と、上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成され、片面に粘着面を形成した複数の基材片と、上記第1の剥離紙の裏面に貼付けられる第2の剥離紙とを組み合わせて構成され、
上記複数の基材片は、それぞれが、上記第1の剥離紙の孔部を塞ぐようにして上記第1の剥離紙の表面に貼着され、かつ、上記粘着面のうち上記第1の剥離紙の裏面の孔部より露見した部分には粉末状の経皮剤を、粘着剤で混練させずに塗布しており、上記第2の剥離紙は、上記第1の剥離紙の上記孔部より露見した粉末状の経皮剤を塗布した部分を塞ぐようにして、第1の剥離紙の裏面に付着させてなる経皮貼り剤。
【請求項2】
請求項1において、
第1の剥離紙には、その側端から孔部に至る切り込みを形成している経皮貼り剤。
【請求項3】
請求項1または2の何れかにおいて、
上記粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末を主成分としたものである経皮塗り剤。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、
上記粉末状の経皮剤が、炭酸マグネシウム粉末に、銅、アルミニウム、銀、金の何れか1種以上の金属粉末を配合させている経皮塗り剤。
【請求項5】
複数の孔部を列状に形成した第1の剥離紙に、片面に粘着面を形成し、かつ上記孔部よりも十分に大きい寸法に形成された複数の基材片を、それぞれの基材片の粘着面が上記第1の剥離紙の表面に粘着し、上記孔部の一方を塞ぐようにして貼着させ、
次いで、上記第1の剥離紙の裏面の孔部から露見した基材片の粘着面に粉末状の経皮剤を、粘着剤で混練させずに塗布した後、それらの孔部を塞ぐようにして、上記第1の剥離紙の裏面に、第2の剥離紙を貼付けて成る経皮貼り剤の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−182700(P2006−182700A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377776(P2004−377776)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(505002266)株式会社 アグル (1)
【Fターム(参考)】