説明

結び目緩み防止具

【課題】 結び目を解こうとする、あるいは緩めようとする方向に力が働いていても、結び目を1回目の結びで締めた状態を維持したまま、2回目の結びに進むことが可能となり、また緩み防止にも有効な結び目緩み防止具を提供する。
【解決手段】 ひも通し穴20a,20bが左右対称に形成された左右一対のフラップ10a,10bと、前記左右のひも通し穴20a,20bに通されたひも30を備え、前記左右一対のフラップ10a,10bの間隔dは、前記ひも30の結び目31を締めると狭められ、前記左右のひも通し穴20a,20bは幅広部21a(21b)と幅狭部22a(22b)が形成され、前記ひも30の結び目31を締めると、前記ひも30は前記幅広部21a(21b)から前記幅狭部22a(22b)へ移動し前記幅狭部22a(22b)に押し付けられてロックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴ひも通し穴等の結び目緩み防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
靴ひも等を結ぶには、ひもを一度結んでから、その結び目に重ねて、再度結ぶことにより結び目を固定している。しかし、従来の靴ひも通し穴は、単なる丸穴であるので、図1の上図に示すように1回目の結び(第1段階)を行う際に、結び目を解こうとするAB方向の力が働いていると、図1の下図に示すような2回目の結び(第2段階)に進む前に、結び目が緩んでしまう。
【0003】
また、ウォーキングシューズやゴルフシューズのように、常に負荷の変動が生じるような靴は、二重に結んでいても時間の経過とともに、結び目が緩みやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、結び目を解こうとする、あるいは緩めようとする方向に力が働いていても、結び目を第1段階で締めた状態を維持したまま、第2段階へ進むことが可能となり、また緩み防止にも有効な結び目緩み防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために本発明の結び目緩み防止具は、ひも通し穴が左右対称に形成された左右一対のフラップと、前記左右のひも通し穴に通されたひもを備え、前記左右一対のフラップの間隔は、前記ひもの結び目を締めると狭められ、前記左右のひも通し穴は幅広部と幅狭部が形成され、前記ひもの結び目を締めると、前記ひもは前記幅広部から前記幅狭部へ移動し前記幅狭部に押し付けられてロックされることを特徴とする。そして、前記ひも通し穴の断面は、前記ひもの結び目側が狭く、結び目と反対側が広くなるようなテーパー状に形成されることが好ましい。
また、本発明の他の結び目緩み防止具は、ひも通し穴が左右対称に形成された左右一対のフラップと、前記左右のひも通し穴に通されたひもを備え、前記左右一対のフラップの間隔は、前記ひもの結び目を締めると狭められ、前記ひも通し穴は、フリー部とロック部が形成され、前記ひもの結び目を締めると、前記ひもは前記フリー部から前記ロック部へ移動し前記ロック部に押し付けられてロックされることを特徴とする。そして、前記ロック部は、一対の可撓性のツバからなり、前記一対のツバによりスリットが形成されることが好ましい。
そして、本発明の靴は、上記のいずれかに記載の結び目緩み防止具を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の結び目緩み防止具の左右のひも通し穴は、幅広部と幅狭部が形成され、前記ひもの結び目を締めると、前記ひもは前記幅広部から前記幅狭部へ移動し前記幅狭部に押し付けられてロックされ、又はフリー部とロック部が形成され、前記ひもの結び目を締めると、前記ひもは前記フリー部から前記ロック部へ移動し前記ロック部に押し付けられてロックされるので、ひもを締める時はロックされ、ひもを緩める時はほどいたひもを左右に引けば、前記幅広部又は前記ロック部へ移動するので、スムーズに緩めることができる。
【0007】
そして、上記結び目防止具を具備する靴、特に負荷の変動が生じやすいゴルフシューズでは、ひもの結び目が緩みが防止され、靴が常に足にフィットし、歩きやすく、かつプレーしやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態の一例を図面を参照して詳細に説明する。
図2は本発明の実施の形態に係る結び目緩み防止具の正面図及び平面図、図3はひもがひも通し穴を移動する状態を説明する図、図4(A)はフラップのひも通し穴部分の拡大断面図であり、(B)はひもを締める方向にひもを引いている状態の説明図、図5は本発明の他の実施の形態に係る結び目緩み防止具の正面図及び平面図である。
【0009】
左右一対のフラップ10a,10bには、ひも通し穴20a,20bが左右対称に形成されている。前記ひも通し穴20a,20bには、ひも30が通され、前記ひも30の結び目31を締めると前記フラップ10a,10bの間隔dは狭められるように結ばれている(図2参照)。
【0010】
前記ひも通し穴20a(20b)は幅広部21a(21b)と幅狭部22a(22b)が形成され(図3の平面図を参照)、前記ひも30の結び目31を締めると、前記ひも30は前記幅広部21a(21b)から前記幅狭部22a(22b)へ移動し前記幅狭部22a(22b)に押し付けられてロックされる(図3参照)。
【0011】
前記ひも通し穴20a(20b)の断面は、図5(A)に示すように前記ひも30の結び目31側(図4(A)の上側)が狭く、結び目31と反対側(図4(A)の下側)が広くなるようなテーパー状に形成される。これは、ひも30を締めた際に、ひものズレを生じにくくするためである。前記フラップ10a(10b)は、ポリエチレン等の粘りのある素材が適している。ポリエチレンのような柔軟で粘りのある素材を用いることで、図4(B)のように矢印の方向へひも30が引かれた時は、抵抗なくスムーズに移動するが、矢印と反対方向に引かれるとテーパーが付いているためにひも30をロックさせようとする抵抗が生じ、緩み防止機能が有効に働く。
【0012】
図5は本発明の他の実施の形態に係る結び目緩み防止具であり、フラップ110aには、ひも通し穴120aが左右対称に形成されている。前記ひも通し穴120aには、ひもが通され、このひもの結び目を締めると前記フラップ110aの間隔は狭められるように結ばれている
【0013】
前記ひも通し穴120aはフリー部121aとロック部122aが形成され、ひもの結びを締めると、ひもは前記フリー部121aから前記ロック部122aへ移動し前記ロック部122aに押し付けられてロックされる。前記ロック部122aは、一対の可撓性のツバからなり、前記一対のツバによりスリット123aが形成され、このスリット123aにひもがロックされる。また、前記ひも通し穴120aの周縁部124aは、厚みを持たせて繰り返しの使用による亀裂、破損等を生じにくくしている。
【0014】
図6は、図5で説明した実施形態に係る結び目緩み防止具を具備した靴Sの要部平面図である。左右一対のフラップ310a,310bには、結び目に対応する一番上のひも通し穴として前記ロック部を具備するひも通し穴320a,320bが左右対称に複数形成され、それより下のひも通し穴350,350は、ロック部なしの通常のひも通し穴が形成されている。前記ひも通し穴320a,320b及び通常のひも通し穴350,350には、ひも330が通され、前記ひも330を結ぶことにより前記フラップ310a,310bの間隔は狭められていく。そして、前記フラップ310a,310bの下には、舌革340が配設される。
【0015】
前記ひも通し穴320a,320bはフリー部とロック部が形成され、前記ひも330を互いに結び締めると、前記ひも330は前記フリー部から前記ロック部へ移動し前記ロック部に押し付けられてロックされ、靴ひもの緩みが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1回目(上図)と2回目(下図)の結び状態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る結び目緩み防止具の正面図及び平面図である。
【図3】ひもがひも通し穴を移動する状態を説明する図である。
【図4】(A)はフラップのひも通し穴部分の拡大断面図であり、(B)はひもを締める方向にひもを引いている状態の説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る結び目緩み防止具の正面図及び平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る結び目緩み防止具を具備した靴の要部平面図である。
【符号の説明】
【0017】
10a,10b,110a,310a,310b フラップ
20a,20b,120a,320a,320b ひも通し穴
21a,21b 幅広部
22a,22b 幅狭部
30,330 ひも
31 結び目
121a フリー部
122a ロック部
123a スリット
124a 周縁部
340 舌革
350 (通常の)ひも通し穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひも通し穴が左右対称に形成された左右一対のフラップと、前記左右のひも通し穴に通されたひもを備え、
前記左右一対のフラップの間隔は、前記ひもの結び目を締めると狭められ、
前記左右のひも通し穴は幅広部と幅狭部が形成され、前記ひもの結び目を締めると、前記ひもは前記幅広部から前記幅狭部へ移動し前記幅狭部に押し付けられてロックされることを特徴とする結び目緩み防止具。
【請求項2】
前記ひも通し穴の断面は、前記ひもの結び目側が狭く、結び目と反対側が広くなるようなテーパー状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の結び目緩み防止具。
【請求項3】
ひも通し穴が左右対称に形成された左右一対のフラップと、前記左右のひも通し穴に通されたひもを備え、
前記左右一対のフラップの間隔は、前記ひもの結び目を締めると狭められ、
前記ひも通し穴は、フリー部とロック部が形成され、前記ひもの結び目を締めると、前記ひもは前記フリー部から前記ロック部へ移動し前記ロック部に押し付けられてロックされることを特徴とする結び目緩み防止具。
【請求項4】
前記ロック部は、一対の可撓性のツバからなり、前記一対のツバによりスリットが形成されたことを特徴とする請求項3の結び目緩み防止具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の結び目緩み防止具を具備した靴。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−311928(P2006−311928A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135750(P2005−135750)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(505168115)
【Fターム(参考)】