説明

結合回路

【課題】連続的かつ広範囲に信号の位相を変えることができる移相器の機能と電力分配比を設定する機能とを併せ持つ結合回路を提供する。
【解決手段】誘電体基板上の入力側マイクロストリップ線路13および出力側マイクロストリップ線路19と、一端部に入力側マイクロストリップ線路13の一端部と結合する第1の結合部33を形成し、他端部に出力側マイクロストリップ線路19の円弧に沿った部位19aと結合する第2の結合部35を形成し、さらに4分の1波長変成器としての機能するインピーダンス変換部37を形成した回転結合導体31とを備える。回転結合導体31の第2の結合部35は、回転結合導体31の長手方向中心軸線を基準として出力側マイクロストリップ線路19の一端部側に位置する第1の部位の結合面積と他端部側に位置する第2の部位の結合面積とを相違させ、かつ第1の部位および第2の部位の突出長をそれぞれ0.2波長以下に設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合回路に関し、特に高周波信号の位相を連続的に変化させながら所望の電力分配比を設定することが可能な結合回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波信号の位相を連続的に変化させる機能を有した結合回路は、例えば、下記特許文献1、2によって提案されている。
この従来の結合回路は、回転結合導体の出力側端部におけるλg/4(λgは、回転結合導体上における使用周波数の波長)の部位に、4分の1波長変成器としての負荷インピーダンス回路を設けた構成を有する。この構成によれば、出力側結合部の大きさをλg/4より小さく設定することが可能になるので、回転可能範囲を広くすること、つまり、信号位相の可変範囲を大きくすることができる。また、アレーアンテナの各アンテナ素子への給電部に使用した場合には、出力端子から出力される信号の位相を連続的に変化して、上記アレーアンテナのメインビーム方向を連続的に変化させること、つまり、分配器の機能と移相器の機能を結合した機能を得ることができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特許第3095676号
【特許文献2】特許第3095677号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、移動体通信に用いるアレーアンテナは、指向性制御を行った場合に、個々のアンテナ素子に給電される電力の振幅が必ずしも均一にならない。それゆえ、このアレーアンテナに適用する結合回路は、各出力端子から所望の比率で分配した電力を取り出せるように構成することが望ましい。
しかし、上記従来の結合回路は、出力側ストリップ線路の両出力端子に等分の電力が分配されるため、上記アレーアンテナ等に有効に適用することができない等の実用上の不便があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、連続的かつ広範囲に信号の位相を変えることができる移相器としての機能と電力分配比を設定することが可能な機能とを併せ持つ結合回路を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、誘電体基板に形成された入力側マイクロストリップ線路と、前記誘電体基板に形成され、円弧に沿った部位を有する出力側マイクロストリップ線路と、前記円弧の中心を通る軸によって一端部が回転可能に支持され、その一端部に前記入力側マイクロストリップ線路の一端部と結合する第1の結合部を形成するとともに、その他端部に前記出力側マイクロストリップ線路の前記円弧に沿った部位と結合する第2の結合部をそれぞれ形成し、前記第2の結合部からλg/4(λgは、前記回転結合導体上における使用周波数の波長)だけ前記第1の結合部側に寄った箇所に至る部位に4分の1波長変成器としての機能を有する負荷インピーダンス回路を形成してなる回転結合導体と、を備え、前記入力側マイクロストリップ線路の他端部から電力を入力し、前記出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から所定の分配比で分配された電力をそれぞれ出力させる結合回路に係るものである。
この結合回路において、前記第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に対して前記出力側マイクロストリップ線路の一端部側に位置する第1の部位の結合面積と他端部側に位置する第2の部位の結合面積とを、前記所定の分配比が設定されるように互いに相違させ、かつ、前記第1の部位および第2の部位の前記長手方向中心軸線を基準とする突出長をそれぞれ0.2λ(λは、使用周波数の波長)以下に設定している。
【0006】
前記第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に直角な方向に向ってテーパ状に拡がる形状を有することができる。また、前記回転結合導体の第1の結合部および第2の結合部は、直接的な(機械的な)接触結合を回避するために、絶縁体を介して結合させることが望ましい。
【0007】
本発明は、誘電体基板に形成された入力側マイクロストリップ線路と、前記誘電体基板に形成され、異径かつ同心の複数の円弧に沿った部位をそれぞれ有する複数の出力側マイクロストリップ線路と、前記各円弧の中心を通る軸によって一端部が回転可能に支持され、その一端部に前記入力側マイクロストリップ線路の一端部と結合する第1の結合部を形成するとともに、その他端部側に前記複数の出力側マイクロストリップ線路の前記円弧に沿った部位とそれぞれ結合する複数の第2の結合部を形成し、前記複数の第2の結合部からλg/4(λgは、前記回転結合導体上における使用周波数の波長)だけ前記第1の結合部側に寄った箇所に至る各部位に4分の1波長変成器としての機能を有する負荷インピーダンス回路をそれぞれ形成してなる回転結合導体と、を備え、前記入力側マイクロストリップ線路の他端部から電力を入力し、前記複数の出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から所定の分配比で分配された電力をそれぞれ出力させる結合回路に係るものである。
この結合回路において、前記複数の第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に対して前記出力側マイクロストリップ線路の一端部側に位置する第1の部位の結合面積と他端部側に位置する第2の部位の結合面積とを、前記所定の分配比が設定されるように互いに相違させ、かつ、前記第1の部位および第2の部位の前記長手方向中心軸線を基準とする突出長をそれぞれ0.2λ(λは、使用周波数の波長)以下に設定している。
【0008】
この結合回路においても、前記第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に直角な方向に向ってテーパ状に拡がる形状を有することができる。また、前記回転結合導体の第1の結合部および第2の結合部は、直接的な接触結合を回避するために、絶縁体を介して結合させることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
(1)出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から出力される各電力の大きさが異なるようにそれらの電力の分配比を設定することができる。従って、例えば、アンテナの垂直面内指向性の指向性制御を行う上で有効である。
(2)出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から出力される信号の位相を運続的に変化させることができる。
(3) 出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から出力される信号の位相の変化量を比例させながら同時に変化させることができる。従って、アレーアンテナの各アンテナ素子への給電部に使用することにより、アレーアンテナからの放射のメインビームの方向を連続的に変化することができる。
(4)分配器と移相器を一体化することができるので、構造の簡単化と低コスト化を図ることができる。
(5)回転結合導体の回転範囲が広くとれるので、信号の位相変化範囲を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明に係る結合回路の実施の形態について説明する。
図1は、2GHz帯の周波数に適用し得るように、また、1:1.3の電力分配比が得られるように構成した本実施形態に係る結合回路の分解斜視図である。この結合回路は、誘電体基板1と、この誘電体基板1の中心を通る軸3を介して該誘電体基板1に回転可能に支持された誘電体基板5とを備えている。
誘電体基板1の上面には、入力側線路導体7および出力側線路導体9がそれぞれ金属箔によってプリント形成され、また、該誘電体基板10の下面全域には、金属箔からなる接地導体11がプリント形成されている。
【0011】
入力側線路導体7は、誘電体基板1の中心点から前端に向かって直線状に延び、接地導体11と共に入力側マイクロストリップ線路13を構成している。入力側マイクロストリップ線路13は、誘電体基板1の中心点の部位に円形の結合部15を有し、また、誘電体基板1の前端側に入力端子17を有している。
【0012】
出力側線路導体9は、上記軸3を中心とする円弧に沿った部位9aと、該部位9aの一端および他端からそれぞれ誘電体基板1の前端に向かって直線状に延びる導体部9bおよび9cとを備え、接地導体11と共に出力側マイクロストリップ線路19を構成している。
出力側マイクロストリップ線路19は、出力側線路導体9の円弧部位9aにおいて円弧状結合部19aを形成し、かつ、誘電体基板1の前端側に位置した一端部および他端部においてそれぞれ出力端子21および23を形成している。
なお、本実施形態では、出力側マイクロストリップ線路19の円弧状結合部19aの半径が0.35λ(λは、使用周波数の波長である)に設定され、また、上記入力側マイクロストリップ線路13および出力側マイクロストリップ線路19の特性インピーダンスが共に約50Ωに設定されている。
【0013】
誘電体基板5の下面には、回転結合導体31が金属箔によってプリント形成されている。回転結合導体31は、図2に拡大して示すように、前記入力側マイクロストリップ線路13の円形状結合部15上に重ね合わすことが可能な円形状結合部33と、前記出力側マイクロストリップ線路19の円弧状結合部19a上に重ね合わすことが可能な結合部35と、後述の負荷インピーダンス回路37とを備えている。
【0014】
本実施形態において、上記結合部35は、回転結合導体31の長手方向中心軸線に直角な方向に向ってテーパ状に拡がる形状を有している。図2から明らかなように、この結合部35においては、回転結合導体31の長手方向中心軸線の左側に位置した部位35aの結合面積が、右側に位置した部位35bの結合面積よりも大きい。そして、上記長手方向中心軸線を基準とする上記左側部位35aの突出長L1および上記右側部位35bの突出長L2は、それぞれ0.2λ(λは、使用周波数の波長)以下に設定されている。すなわち、本実施形態では、上記突出長L1が0.15λに、また、上記突出長L2が0.019λにそれぞれ設定されている。なお、テーパ状結合部35における最大拡大部の幅は、例えば、0.116λに設定される。
この結合部35は、図4に示す形態で誘電体基板5を誘電体基板1に組付けた場合に、出力側マイクロストリップ線路19の円弧状結合部19a上に位置される。そして、上記左側部位35aおよび上記右側部位35bは、回転結合導体31の長手方向中心軸線から見て、それぞれ出力端子21側および出力端子23側に位置されることになる。
上記結合部35は、円形状、方形状など他の様々な形状を持たせることができ、図3には、円形状に形成した例が示されている。
なお、本実施形態では、上記左側部位35aの結合面積と上記右側部位35bの結合面積との比が約2.8である。
【0015】
上記回転結合導体31においては、結合部35からλg/4(λgは、回転結合導体31上における使用周波数の波長)だけ結合部33側に寄った箇所に、方形状の幅広部39が形成されている。上記負荷インピーダンス回路37は、上記結合部35、幅広部39およびこれら間に介在する導体部分によって構成されており、周知の4分の1波長変成器としての機能を有する。
上記幅広部39の形状は、方形に限定されず、例えば図3に示すような円形であっても良い。
【0016】
なお、上記負荷インピーダンス回路37は、出力側マイクロストリップ線路19の円弧状結合部19aの寸法や、入力側マイクロストリップ線路13の円形状結合部15の寸法などのパラメータを考慮に入れて、4分の1波長変成器としての機能をもつように適宜設計すればよいので、本実施形態の構成に限定されない。例えば、上記結合部35からλg/4だけ結合部33側に寄った箇所に至る区間の線路幅を単に広くする等の手段によっても負荷インピーダンス回路37を構成することができる。
【0017】
誘電体基板5は、図4に示すように誘電体基板1上に重ね合わせ配置され、その円形状結合部33を貫通する軸3によって誘電体基板1に回転可能に支持される。
なお、本実施形態では、入力側マイクロストリップ線路13および出力側マイクロストリップ線路19に対する回転結合導体31の機械的接触をなくすため、該回転結合導体31が結合する上記両線路13、19の領域の上面(結合部15の上面および結合部19aの上面)を厚さ0.2mm程度の絶縁体被膜で被覆してある。したがって、上記機械的接触に起因した雑音の発生や相互変調の問題を回避することができる。もちろん、上記機械的接触を回避するために、回転結合導体31をフローティングさせて、上記領域の上面と回転結合導体31との間に微小なエアギャップを形成するようにしてもよい。
【0018】
次に、本実施形態に係る結合回路の動作について説明する。入力端子17に高周波電力を供給すると、この高周波電力は結合部15、33、35および19aを介して出力側マイクロストリップ線路19に流入した後、左側出力端子21および右側出力端子23に分配される。
前記したように、図2に示した結合部35においては、左側部位35aの結合面積が右側部位35bの結合面積よりも大きく設定されているので、出力側マイクロストリップ線路19に対する結合量は、左側部位35aの方が右側部位35bよりも大きい。それ故、左側出力端子21に分配される電力は、右側出力端子23に分配される電力よりも大きくなる。このように、本実施形態に係る結合回路は、左側出力端子21と右側出力端子23に大きさの異なる電力を分配する電力分配器としての機能を有している。
【0019】
ここで、出力側マイクロストリップ線路19の特性インピーダンスをZOUT、回転結合導体31の入力側の部分の特性インピーダンスをZINとすると、出力側マイクロストリップ線路19が回転結合導体31の出力側結合部35で左右に分岐していることから、該結合部35から出力側マイクロストリップ線路19側を見た負荷インピーダンスは略ZOUT/2になる。
OUT、ZINは、通常、50Ωであるので、このままでは整合がとれない。そこで、本実施形態では、前述したように、回転結合導体31に負荷インピーダンス回路37を設け、これによるインピーダンス変換によって整合をとるようにしている。
【0020】
電力分配器では、インピーダンスを整合しながら1:mの比率で電力を分配する手段として、主に4分の1波長変成器が用いられる。この4分の1波長変成器の特性インピーダンスZO1、ZO2は、電力分配比に応じて図5のように設計される。なお、4分の1波長変成器の作用は周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0021】
上記4分の1波長変成器と同様のインピーダンス変換機能を有する負荷インピーダンス回路37を回転結合導体31に設けた本実施形態の結合回路によれば、この負荷インピーダンス回路37によって上記インピーダンスZINとZOUT/2の整合をとるので、回転結合導体31の結合部35における前記左側部位35aおよび右側部位35bの長さL1およびL2(図2参照)を短くすることが可能である。そこで、本実施形態の結合回路では、上記長さL1およびL2を0.2λ(<λg/4)以下に設定している。
回転結合導体31の結合部35の長さを上記のように短く設定すれば、上記左側部位35aおよび右側部位35bの結合面積比の調整によって所望の電力分配比(1:1.8以下程度)を実現しながら、回転結合導体31の回転可能範囲を大きくすること、つまり、出力信号の位相可変範囲を大きくすることができる。
【0022】
図6は、本実施形態に係る結合回路において回転結合導体31の回転角θ(図1参照)を0°、−90°、+90°に設定した場合のVSWR(定在波比)特性をそれぞれ示す。ただし、周波数f0は2045MHzである。
図7(a)および(b)は、上記回転角θを0°に設定した場合の左側出力端子21および右側出力端子23での通過損失をそれぞれ示す。
図8は、上記回転角θを変化させた場合の周波数2045MHzでの電力分配比の変化を示す。この図8から明らかなように、本実施形態によれば、θの変化範囲−80°〜80°に対して安定した電力配分比(約1.3)を得ることができる。
図9は、上記回転角θを変化させた場合の周波数2045MHzでの位相変化量を示す。この図9から明らかなように、本実施形態によれば、左側出力端子21および右側出力端子23から出力される信号の位相を同時に連続かつ直線的に変化することが可能である。
図10は、上記回転角θを変化させた場合の周波数2045MHzでの損失を示す。
図11は、回転結合導体31の結合部35における左側部位35aの結合面積(左側出力端子側結合部の面積)と右側部位35bの結合面積(右側出力端子側結合部の面積)の比を変化させた場合の電力分配比の変化を示す。この図9から明らかなように、本実施形態によれば、電力分配比を1:1.8程度まで設定することが可能である。
【0023】
図12および図13は、それぞれ本発明に係る結合回路の他の実施形態を示している。
図12に示す実施形態は、誘電体基板10の上面に入力側マイクロストリップ線路130および出力側マイクロストリップ線路191,192を形成し、入力側マイクロストリップ線路130の円形状結合部150を通る軸30によって誘電体基板50を水平回転可能に支持した構成を有する。
出力側マイクロストリップ線路191および192は、図1に示す出力側マイクロストリップ線路19に対応するものであり、それぞれ異径の円弧状結合部191aおよび192aを備えている。
【0024】
誘電体基板50の下面には、図1に示す回転結合導体31に対応する回転結合導体310が形成されている。回転結合導体310は、一方の出力側マイクロストリップ線路191の円弧状結合部191a上に重ね合わすことが可能な結合部351と、他方の出力側マイクロストリップ線路192の円弧状結合部192a上に重ね合わすことが可能な結合部352と、結合部351および幅広部391を含む負荷インピーダンス回路371と、結合部352および幅広部392を含む負荷インピーダンス回路372とを備えている。
なお、結合部351、352は、図2に示す結合部35と同様にテーパ状に広がる形状を有している。また、負荷インピーダンス回路371,372は、図2に示した負荷インピーダンス回路37と同様に4分の1波長変成器の機能を有するように構成されている。
【0025】
本実施形態によれば、出力側マイクロストリップ線路191の各出力端子211、231から所定の分配比で分配された電力を出力させ、また、出力側マイクロストリップ線路192の各出力端子212、232から上記と同じまたは異なる分配比で分配された電力を出力させることができる。
そして、本実施形態に係る結合回路よっても、図6〜11に準じた動作特性を得ることができる。
【0026】
図13に示す実施形態は、回転結合導体310の結合部351、352の形状および幅広部391、392の形状が略円形状に形成されていることを除き図12の実施形態と同様の構成を有している。
なお、図12、13に示した実施形態では、2つの出力側マイクロストリップ線路191、192を形成しているが、もちろん、3以上の出力側マイクロストリップ線路を形成して、これらに対応する結合要素等を回転結合導体310に形成するように構成することも可能である。
【0027】
上記各実施形態に係る結合回路は、上記のように作用するので、アレーアンテナの各アンテナ素子の前段に配置して使用することにより、該アレーアンテナの給電信号の位相を連続的に変化させることが可能である。従って、このアレーアンテナからの放射のメインローブの方向を連続的に変化することができ、さらに、所望の垂直面内指向性を実現するためにアレーアンテナの給電信号の振幅を各アンテナ素子毎に任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る結合回路の第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】回転結合導体の形状構成を示す拡大平面図である。
【図3】回転結合導体の別の形状構成を示す平面図である。
【図4】回転結合導体を組み付けた状態を示す平面図である。
【図5】4分の1波長変成器の構成例を示す概念図である。
【図6】回転結合導体の回転角θを0°、−90°、+90°に設定した場合のVSWR(定在波比)特性をそれぞれ示すグラフである。
【図7】回転結合導体の回転角θを0°に設定した場合の通過損失特性を示すグラフである。
【図8】回転結合導体の回転角変化に対する周波数2045MHzでの電力分配比の変化特性を示すグラフである。
【図9】回転結合導体の回転角変化に対する周波数2045MHzでの位相変化量を示すグラフである。
【図10】回転結合導体の回転角変化に対する周波数2045MHzでの損失特性を示すグラフである。
【図11】回転結合導体の左側部位35aの結合面積と右側部位35bの結合面積の比を変化させた場合の電力分配比の変化を示すグラフである。
【図12】本発明に係る結合回路の第2の実施形態を示す分解斜視図である。
【図13】本発明に係る結合回路の第3の実施形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1、5、10、50 誘電体基板
3、30 軸
7 入力側線路導体
9 出力側線路導体
9a
11 接地導体
13、130 入力側マイクロストリップ線路
17、170 入力端子
19、191、192 出力側マイクロストリップ線路
21、23、211、231、212、232 出力端子
31、310 回転結合導体
35、351、352 結合部
37 371,372 インピーダンス変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板に形成された入力側マイクロストリップ線路と、
前記誘電体基板に形成され、円弧に沿った部位を有する出力側マイクロストリップ線路と、
前記円弧の中心を通る軸によって一端部が回転可能に支持され、その一端部に前記入力側マイクロストリップ線路の一端部と結合する第1の結合部を形成するとともに、その他端部に前記出力側マイクロストリップ線路の前記円弧に沿った部位と結合する第2の結合部をそれぞれ形成し、前記第2の結合部からλg/4(λgは、前記回転結合導体上における使用周波数の波長)だけ前記第1の結合部側に寄った箇所に至る部位に4分の1波長変成器としての機能を有する負荷インピーダンス回路を形成してなる回転結合導体と、を備え、
前記入力側マイクロストリップ線路の他端部から電力を入力し、前記出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から所定の分配比で分配された電力をそれぞれ出力させる結合回路であって、
前記第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に対して前記出力側マイクロストリップ線路の一端部側に位置する第1の部位の結合面積と他端部側に位置する第2の部位の結合面積とを、前記所定の分配比が設定されるように互いに相違させ、かつ、前記第1の部位および第2の部位の前記長手方向中心軸線を基準とする突出長をそれぞれ0.2λ(λは、使用周波数の波長)以下に設定したことを特徴とする結合回路。
【請求項2】
前記第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に直角な方向に向ってテーパ状に拡がる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の結合回路。
【請求項3】
前記回転結合導体の第1の結合部および第2の結合部は、それぞれ絶縁体を介して結合させたことを特徴とする請求項1に記載の結合回路。
【請求項4】
誘電体基板に形成された入力側マイクロストリップ線路と、
前記誘電体基板に形成され、異径かつ同心の複数の円弧に沿った部位をそれぞれ有する複数の出力側マイクロストリップ線路と、
前記各円弧の中心を通る軸によって一端部が回転可能に支持され、その一端部に前記入力側マイクロストリップ線路の一端部と結合する第1の結合部を形成するとともに、その他端部側に前記複数の出力側マイクロストリップ線路の前記円弧に沿った部位とそれぞれ結合する複数の第2の結合部を形成し、前記複数の第2の結合部からλg/4(λgは、前記回転結合導体上における使用周波数の波長)だけ前記第1の結合部側に寄った箇所に至る各部位に4分の1波長変成器としての機能を有する負荷インピーダンス回路をそれぞれ形成してなる回転結合導体と、を備え、
前記入力側マイクロストリップ線路の他端部から電力を入力し、前記複数の出力側マイクロストリップ線路の一端部および他端部から所定の分配比で分配された電力をそれぞれ出力させる結合回路であって、
前記複数の第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に対して前記出力側マイクロストリップ線路の一端部側に位置する第1の部位の結合面積と他端部側に位置する第2の部位の結合面積とを、前記所定の分配比が設定されるように互いに相違させ、かつ、前記第1の部位および第2の部位の前記長手方向中心軸線を基準とする突出長をそれぞれ0.2λ(λは、使用周波数の波長)以下に設定したことを特徴とする結合回路。
【請求項5】
前記第2の結合部は、前記回転結合導体の長手方向中心軸線に直角な方向に向ってテーパ状に拡がる形状を有することを特徴とする請求項4に記載の結合回路。
【請求項6】
前記回転結合導体の第1の結合部および複数の第2の結合部は、そいれぞれ絶縁体を介して結合させたことを特徴とする請求項4に記載の結合回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−301045(P2008−301045A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143305(P2007−143305)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000217653)電気興業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】