説明

結束部品

【課題】緊迫係合作用により緊密な結束が行え、且つ結束の緊縛度を調整できる結束部品の提供。
【解決手段】一体成形された結束部品の表面に一体に二組以上のラチェット歯セットが設けられ、区画塊により区画された2辺の長尺状体に分配され、各長尺状体のラチェット歯セットが二つ以上のラチェット歯で構成され、物品結束時には二つの部分に分けられ、第1部分は物品に繞設される繞設部分で、第2部分は該繞設部分より突伸する突伸部分であり、該突伸部分がさらに二つの支部に分離され、各支部の該繞設部分に対応し緊迫係合するラチェット歯の係合歯面がいずれも該繞設部分に対向し、ゆえに該繞設部分の充当する係止爪とラチェット作用を形成し、結束時に該突伸部分の退出を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の結束部品に係り、特に表面に一体に二組以上のラチェット歯セットが形成され、区画塊で区画された二つの長尺状体に分配され、各長尺状体のラチェット歯セットが二つ以上のラチェット歯で構成され、物品に対して結束する時、物品に繞設される繞設部分と該繞設部分より突伸する突伸部分を形成し、該突伸部分が二つの支部に分けられ、各支部の該繞設部分に対応して緊迫係合するラチェット歯の係合歯面が該繞設部分の充当する係止爪とラチェット歯の係合作用を形成し、緊密な結束と結束の緊縛度を調整できる作用を達成する、結束部品に関する。
【背景技術】
【0002】
袋口例えば食品を入れた後の袋の口を束ねるための結束部品としては、輪ゴムが最もよく使用されている。周知の結束部品1の立体外観図は図1のようであり、それは軟質ゴムで製造され、平時は輪状とされる。その結束方式は図2、3に示されるようであり、それ自身の弾性作用により、まず引き伸ばされてから、さらに袋2の口に繞設され、その後、1端をもう一端のループに通し、通した一端を引き絞り、袋2を結束部品1により緊密に結束する。これは一般の人が日常生活で経験していることであろう。
【0003】
図2、3に示されるように、結束部品1で物品を結束した後、該結束部品1は二つの部分に分けられる。第1部分は該物品に繞設される繞設部分11であり、それは端部111を有する。第2部分は該繞設部分11の端部111より突伸する突伸部分12であり、該突伸部分12は明らかに二つの支部121、122に分けられる。この繞設部分11、端部111、突伸部分12、及び支部121、122の画定は、それぞれの使用の状態によって、現出される異なる作用位置により画定される。使用状態が解除されて図1に示される輪状の結束部品1に戻る時、上述のような繞設部分11と端部111、突伸部分12と支部121、122の区別はなくなる。しかし、再度使用する時、繞設部分11と端部111、突伸部分12と支部121、122が区分される。
【0004】
周知の結束部品1は昔からあり且つ大衆に広く使用されている。しかし、実際の使用上、大きな欠点がある。すなわち、結束部品1は弾性を有し、且つ表面が平坦で逆止め部分がないため、使用時に結束部品1がその弾性によりゆっくりと自然に解けて脱落する可能性がある(図4の如し)。図3、4の状態を比較すると、図3中の突伸部分12の長さは比較的長いが、図4では突伸部分12の後部が次第に端部111内に縮入し、繞設部分11のいつ部分となっており、ゆえに該突伸部分12が短くなり繞設部分11は緩くなり、このため袋2が緊密に結束された状態ではなくなり、袋2内の食品が痛んだり、袋2内の物品が脱出しやすくなったりし、これは周知の結束部品1自身の構造の克服不能な厳重な欠点であった。ゆえに、図4のような結束部品の脱落現象を防止するため、結束完成時に、突伸部分を結び、結束部分が緩まないようにしている。しかし、そうすると、解くときには手間取ることになり、時には切断するか、或いは強く引っ張って破壊して解かねばならず、不便であるのみならず、結束部品を再使用できなくなる欠点がある。
【0005】
上述の構造の、いわゆる「輪ゴム」のほか、一般に袋口を結束するにはプラスチック結束帯がよく使用されている。早期のプラスチック結束帯は帯状に短く切り取られており、結束に用いるときには一回結び、再度開けることを考えない場合、或いは緊密に結束したい場合は、より多く結ぶ。その欠点は一回結んだだけでは徐々に解けてくる可能性があることであり、固結びした場合は、前述の従来の技術と同様に解くのに苦労することになる。何度も結んだ場合は、切断して結束を解除するしかなく、その使用は理想的とは言い難かった。後に、輪状のプラスチック結束部品が製造され、使用時には輪ゴムと同様に一端に一端を通す方法が用いられるが、その結束の緊縛度は不良で輪ゴムより劣り、プラスチック結束部品の張力のために自然にゆっくりと解け、多回結んで結束を強めると、解きにくくなる欠点があり、使用上の欠点があった。しかし、それ以上に良好な結束部品が出現していない状況で、現在、輪ゴム及び輪状のプラスチック結束部品が一般に使用されている。
【0006】
輪ゴム及び輪状のプラスチック結束部品のいずれも、その実際の表面は顕微下では完全な平坦面ではないが、使用状態では、引っ張り或いは繞設部分11の張力の作用を受け、突伸部分12が連続して端部111を通過可能であり(図3、4の如し)、並びに逆止めの作用を受けることがない。このため周知の結束部品の本体表面は使用状態時に客観的にみて連続性のある平坦面とみなすことができ、これが周知の結束部品の構造の共通点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
周知の結束部品の使用上の欠点に対して、本発明は、緊縛と弛緩の操作が簡単である結束部品を提供する。
【0008】
ゆえに、本発明の主要な目的は、結束部品の結束動作が簡単で緊密な結束効果が得られ、且つ随時便利に結束解除操作が行える結束部品を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、結束動作を行う時、結束の緊縛度を調整でき、異なる結束範囲の使用に対応できる結束部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の結束部品は一体成形されて物品の結束に用いられ、結束部品の表面には一体に二組以上のラチェット歯セットが設けられ、該ラチェット歯セットが区画塊により区画された2辺の長尺状体に分配され、各長尺状体のラチェット歯セットが二つ以上のラチェット歯で構成され、該結束部品が水平線材状に形成される時、各長尺状体上の同一のラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面が同一区画塊に対向し、物品結束時には二つの部分に分けられ、第1部分は物品に繞設される繞設部分で、第2部分は該繞設部分より突伸する突伸部分であり、該突伸部分がさらに二つの支部に分離され、各支部の該繞設部分に対応し緊迫係合するラチェット歯の係合歯面がいずれも該繞設部分に対向し、ゆえに該繞設部分が充当する係止爪とラチェット作用を形成し、該突伸部分の退出を防止する。
【0011】
上述の発明中、該結束部品は輪状に成形され得る。
【0012】
上述の発明中、該結束部品が輪状に成形された時、該区画塊で区画された各辺の少なくとも一つの長尺状体が該区画塊で接続され、且つ区画塊からの施力によりこれら長尺状体が並列設置される時、これら長尺状体上のラチェット歯セットのラチェット歯の配列方式は、各長尺状体上の同一ラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面が同一の区画塊に対向し、且つこれら長尺状体上の同側に位置するラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面が同一の区画塊に対向する。
【0013】
上述の発明中、該結束部品は長尺状に形成され得る。
【0014】
上述の発明中、該結束部品が長尺状に形成された時、これら区画塊で区画された二辺の各辺の少なくとも一つの長尺状体上のラチェット歯セットのラチェット歯の配列方式は、各長尺状体上の各ラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面がいずれも同一の区画塊に対向し、且つ該区画塊が異なる辺の長尺状体のラチェット歯セットの間に位置する。
【0015】
上述の発明中、該結束部品の物品に繞設される繞設部分の、少なくとも二つの支部上の対応するラチェット歯の係合歯面との緊迫係合に供される局部が係止爪とされ、該係止爪は任意の角度に回転させられた後、係止爪に充当された場合の機能は不変である。
【0016】
上述の発明中、結束部品の水平線材状の本体の中心線とラチェット歯歯面との夾角は、あるものは≦90゜で、別のものは>90゜。
【発明の効果】
【0017】
本発明の結束部品は緊迫係合作用により緊密な結束が行え、且つ結束の緊縛度を調整できる。本発明は緊縛と弛緩の操作が簡単であり、結束部品の結束動作が簡単で緊密な結束効果が得られ、且つ随時便利に結束解除操作が行え、結束動作を行う時、結束の緊縛度を調整でき、異なる結束範囲の使用に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図5は本発明の第1実施例の結束部品3を示し、それは一体成形されて輪状を呈し(輪状は円形或いは矩形或いはその他の任意の幾何形状とされ得る)、軟質ゴムで弾性を具備するように製造されるのがよい。ただし、その他の材料或いは複合材料、例えば、繊維、樹脂材料、或いは不織布材料により製造され得る。或いは、金属材料を主材料とする複合材料により製造して撓み性を具備し、並びに僅かな弾性回復能力を具備する結束部品とされ得る。結束部品3は本体の外側に列を成すように配列されてなるラチェット歯セット31、32を有する。該ラチェット歯セット31、32はそれぞれ複数の、連続配列されたラチェット歯311、321を有し、且つラチェット歯セット31、32間はラチェット歯とは明らかに異なる形状の区画塊33で区画されている。該結束部品3は製造後、独立放置して外力を加えない状況で、図5に示されるように、自然に輪状を呈する。図から明らかに分かるように、ラチェット歯セット31の存在する本体は長尺状体とされ、ラチェット歯セット32の存在する本体は別の長尺状体であり、二つの長尺状体は明らかに二つの区画塊33により接続及び区画されている。言い換えると、二つの長尺状体は任意の区画塊33により区画された2辺に位置し、且つ任意の区画塊33で区画された2辺に少なくとも一つの長尺状体が設けられている。これにより、もし手で二つの区画塊33を保持し並びに外向きに引っ張って2辺の長尺状体を並列設置すると、全体の結束部品3は図6に示される並列設置形態となり、その後、手を緩めれば、図5に示される輪状形態に戻る。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲中、ラチェット歯に係る若干のパラメータについて予め以下のように定義する。もし、図6中のラチェット歯セット31、32の任意の一つのセクションを拡大すると図7のようになる。そのうち、結束部品3上の水平線材状とされた本体はMBとされ、該本体の中心線はBLとされる。すなわち、中心線BLを基準とし、各ラチェット歯311、321がいずれも、傾斜度を有する係合歯面TF1と該係合歯面TF1よりも傾斜度が小さい摺動歯面TF2を有し、且つ中心線BLと係合歯面TF1の間の夾角AN1は≦90゜でなくてはならず(鋭角あるいは直角)、中心線BLと摺動歯面TF2の間の夾角AN2は>90゜(鈍角)。該係合歯面TF1は繞設部分の充当する係止爪と効果的な係合作用を形成し、ゆえに、「係合歯面」と称し、摺動歯面TF2は結束動作時に結束部品を順調に通過させる部分であるため、「摺動歯面」と称する。
【0020】
結束部品3が施力を受けて図6に示される態様とされる時、任意の区画塊33を端部とし、並列に置かれたラチェット歯セット31と32はそれぞれ区画塊33で区画された2つの長尺状体上にあり列をなすラチェット歯の形態とされ、且つラチェット歯セット31、32のラチェット歯311、321上の係合歯面TF1はいずれも同一の区画塊33に対向している。結束部品3を使用する時は、まず図6のような並列設置形態となし、さらに物品に対して結束操作を行なう。その操作方式は、両手でそれぞれこれら区画塊33を保持し、さらに現在使用されている周知の輪ゴムと同じ、一端を別端の輪に通す方法を採用し、左端の区画塊33(図6による)を持ち上げ、さらに右に回して右端の区画塊33の下に形成される環体に通し、並びに僅かに長尺状体を捩じり、ラチェット歯セット31、32の該環体に対応するラチェット歯311、321の係合歯面TF1を該環体に対向させ、さらに引き絞ればよい。
【0021】
結束部品3の結束動作完成後には、図8と図19(実物サンプルの写真)に示されるように、結束(緊縛)状態の結束部品3は二つの部分に分かれ、第1部分は物品に繞設される繞設部分Aであり、区画塊33が該繞設部分Aの端部A1を形成し、第2部分は該繞設部分Aの端部A1より突伸する突伸部分Bである。該突伸部分Bは明らかに二つの支部B1、B2に分かれ、並びにもう一つの区画塊33により区画されている。そのうち、支部B1、B2にはラチェット歯セット31、32のラチェット歯311、321がある。突伸部分Bに属さないその他のラチェット歯311、321は該繞設部分Aの本体あるいは一部とされる。該突伸部分Bの支部B1、B2の最も遠端は区画塊33で連接されている。且つラチェット歯セット31、32の突伸部分Bに属するラチェット歯311、321の係合歯面TF1は該繞設部分Aの端部A1(即ち一方の区画塊33)に対向し、ゆえに、該端部A1はラチェット歯セット31、32上の端部A1に対応するラチェット歯311、321の係合歯面TF1と係合逆止め作用を形成する係止爪を形成する。厳格に言うと、端部A1上の、ラチェット歯311、321に対して緊迫逆止め作用を形成する係止点は二カ所あり、且つこの二カ所の係止点は結束の緊縛程度により僅かに変動し、即ち、係止爪に充当されるのは固定点ではなく、変動可能な区域範囲である。このような緊迫逆止めの作用は単一方向に形成され、なぜなら緊縛動作時には各ラチェット歯311、321の摺動歯面TF2は端部A1に対向し、摺動歯面TF2は端部A1と係合不能で、ゆえに引張り作用を受けて各摺動歯面TF2はいずれも端部A1を通過し、単一方向の緊縛の作用を形成する。且つ必要な緊縛度が達成された時に手を離せば、必ず一組のラチェット歯311、321の係合歯面TF1が係止爪に充当される端部A1と迅速に係合して逆止め作用を形成し、緊縛状態を確保する。当然緊縛度が異なれば、端部A1と係合するラチェット歯311、321も変更される。
【0022】
結束部品3は捩じ曲げられた後、弾性回復する材料で形成されるため、使用上、任意に捩じ曲げられ、且つ各ラチェット歯セット31、32はいずれも二つ以上のラチェット歯311、321が配列されてなり、ゆえに結束動作時に、物品に繞設された繞設部分Aが緊縛により発生する張力により該突伸部分Bが引っ張られて該繞設部分Aより退出する傾向を有するが、該突伸部分Bの二つの支部B1、B2の対応するラチェット歯311、321の係合歯面TF1はいずれも端部A1(即ち繞設部分Aの局部)の充当する係止爪に係止されて退出不能であり、並びに繞設部分Aの摺動歯面TF2が容易に端部A1を通過し、且つ通過後に係合歯面TF1が係止されて退出不能であるため、単一方向のみにますます緊縛され、結束の作用を達成する。結束解除する場合は、ただ結束部分の係止爪に充当されている部分(区画塊33あるいは繞設部分Aの一部分とされ得る)を引っ張るか揺らし、この係止爪に充当されている部分とそれに係合しているラチェット歯311、321の間の係合逆止め作用を解除すれば、結束作用が完全に解除される。
【0023】
係止爪作用に充当されるのは必ずしも区画塊33でもなくともよく、結束後にラチェット歯セット31、32の対応するラチェット歯311、321の係合歯面TF1に対向して係合逆止め作用を形成できる部位であれば、係止爪に充当できる。したがって、該繞設部分Aの局部でもよく、即ち係止爪に充当できるのはある区域範囲とされ、固定点ではない。さらに、係止爪は固定角度でなくとも充当でき、これは結束部品3がフレキシブル材料で製造されるため、操作過程中、繞設部分Aがある角度捩じられた後にさらに結束動作を進行でき、必ずある局部が突伸部分Bの二つの支部B1、B2の対応するラチェット歯311、321の係合歯面TF1に対向し、この局部が係止爪に充当される。言い換えると、ただ突伸部分Bの二つの支部B1、B2の対応するラチェット歯311、321の係合歯面TF1に対して逆止め作用を形成できる局部であれば、係止爪とされ得る。
【0024】
図5に示される輪状の結束部品3は多くの変化を有し得て、いずれも本発明の特許請求範囲に属する。例えば、図9乃至図13に示される変化例がある。図9は本体上に、連続配列され且つ明らかにセット分けされてなるラチェット歯セットを有し、それぞれ、本体上側のラチェット歯セット34、34’と本体下側のラチェット歯セット35、35’とされる。そのうち、本体上側に位置するラチェット歯セット34、34’間はラチェット歯とは明らかに異なる形状の区画塊33で区画され、且つ各ラチェット歯セット34、34’はそれぞれが、複数の、連続配列されたラチェット歯341、341’を有する。本体下側に位置するラチェット歯セット35、35’も同様に区画塊33により区画され、且つ各ラチェット歯セット35、35’はそれぞれ複数の、連続配列されたラチェット歯351、351’を有する。図9の結束部品3は独立して放置され外力を印加されない状態で、自然に輪状形態を呈する。このとき、ラチェット歯セット34、35の存在する本体は一つの長尺状体とされ、ラチェット歯セット34’、35’の存在する本体はもう一つの長尺状体とされ、且つこれら二つの長尺状体は二つの区画塊33で連接及び区画されている。
【0025】
これら二つの区画塊33を手で保持し並びに外向きに引張り、二つの長尺状体を並列設置する時、全体の結束部品3は図10に示される形態を形成し、この時、区画塊33は端部とされ、いずれも上側に位置し隣り合うラチェット歯セット34及び34’はいずれも列を成すラチェット歯の構造態様とされ、各自が区画塊33により区画された二辺の長尺状体上に存在し、且つラチェット歯セット34、34’上のラチェット歯341、341’は同じ方向に配列され、その係合歯面TF1は同一の区画塊33に対向する。同様に、下側に位置し隣り合うラチェット歯セット35、35’も列を成すラチェット歯の構造態様とされ、各自が区画塊33により区画された二辺の長尺状体上に存在し、且つラチェット歯セット35、35’上のラチェット歯351、351’は同じ方向に配列され、その係合歯面TF1はもう一つの区画塊33に対向する。同じ長尺状体の上下側(即ち異なる側)に位置するラチェット歯セット34、35のラチェット歯341、351の配列方向は異なり、異なる区画塊33に対向する。同様に、同じ長尺状体の上下側(即ち異なる側)に位置するラチェット歯セット34’、35’のラチェット歯341’、351’の配列方向は異なり、異なる区画塊33に対向する。結束作用が発生する時、その突伸部分の二つの支部上にも同様に、繞設部分の端部(係止爪に充当する)に対応し係合するラチェット歯が出現し、且つこれらラチェット歯の係合歯面TF1は繞設部分の端部に対向し、逆止め作用を形成する。図9の結束部品3が結束作用を発生する時、そのラチェット歯セットの配列方向については、同一の長尺状体上の、係止爪に係止するラチェット歯と結束される物品に接触するラチェット歯セットはそれぞれ結束部品3の上下側に分布し、ゆえにそのラチェット歯の配列方向は反対であり、これにより物品に接触するラチェット歯の係合歯面TF1は物品に対向する。ただし、これは緊縛操作に影響を与えず、それは突伸部分が引き出されて結束作用が更に強められる時、その引張り力は突伸部分の二つの支部を同時に引き上げて係止爪方向に押し付ける(物品方向に押し付けるのではない)ため、すなわち、二つの長尺状体が係止爪付近で物品より引き離され、このため、もともと物品に接触していた長尺状体の係合歯面TF1は物品に対向するが、引き上げられる時(緊縛時)、もともと物品に接触していたラチェット歯はそれに伴い上に移動し、物品の障害を回避し並びに外向きに(突伸部分に向けて)移動し、ゆえに、完全に緊縛作用の操作に影響が生じないのである。
【0026】
図11は上側のラチェット歯セット34、34’を保留し(引張り後にその係合歯面TF1は同一の区画塊33に対向する)、下側にはラチェット歯セットを設けていない。図12は下側のラチェット歯セット35、35’を保留し(引張り後にその係合歯面TF1は同一の区画塊33に対向する)、上側にはラチェット歯セットを設けていない。図13は輪状の結束部品えの内側面に列をなし且つ明らかにセットに分けられてなるラチェット歯セット36、36’が設けられ、各ラチェット歯セット36、36’は複数の連続配列されたラチェット歯361、361’を有し、ラチェット歯とは異なる形状の区画塊33によりラチェット歯セット36、36’間が連接及び区画されている。図13に示されるのは、もともと輪状の結束部品3が二つの区画塊33部分で外向きに引っ張られて、二つ以上のラチェット歯セット36、36’が並列設置された状態である。二つ以上のラチェット歯セット36、36’はいずれも結束部品3の内側表面に位置し、且つそのラチェット歯361、361’の係合歯面TF1は同一区画塊33に対向し、これにより物品結束時に図6に示されるものと同様に、わずかに突伸部分の二つの支部をねじってそのラチェット歯361、361’を並列設置し、且つ係合歯面TF1を繞設部分に対向させれば、ラチェット歯361、361’の係合歯面TF1と係止爪が係合し逆止め作用を形成して結束を完成する。これから分かるように、図9乃至図13に挙げられた四種類の変化例の、物品結束時に達成する機能は図5に示されるものと完全に同じである。
【0027】
図8中の突伸部分Bの最も遠端の区画塊33を切り離せば、図14に示される二つの支部B1、B2の遠端の未連接の状態が形成される。図14に示されるようにその結束作用は図8のものと完全に同じである(即ち結束作用は改変されない)。ただし、図14に示される結束状態を解除すると、図15に示される本発明の第2実施例の帯状結束部品4となり、それは同様に各種材料を単独あるいは複合使用して形成され、且つ成形後に撓み性と弾性回復特性を有する。結束部品4の中央には区画塊43があり、さらに左右2辺(異なる辺)に向けてそれぞれ長尺状体が延伸され、その後、2辺の長尺状体の同側が区画塊43により区画されて異なる方向に配列されたラチェット歯セット41、42が区画され(いずれも列をなすラチェット歯の構造形態とされる)、各ラチェット歯セット41、42は複数の、連続状に配列されたラチェット歯411、421を有し、これらラチェット歯411、421の係合歯面TF1(その定義は図7と同じ)はいずれも同一の区画塊43に対向する。
【0028】
図15に示される帯状結束部品4は結束に用いられる時、二種類の操作方式がある。第一種は、帯状結束部品4が該区画塊43部分で折り曲げられ、2辺の長尺状体が隣接するように並列に置かれ、その後、第1実施例と同じ結束操作が行われ、図14と図20(実物サンプルの写真)に示される結束状態を完成する。第2種は、帯状結束部品4を結束部分に繞設し、結んで緊縛し、図16と図21(実物サンプルの写真)に示される結束状態を完成する。図16から分かるように、結ばれた結束部品4は二つの部分に分けられ、第1部分は物品に繞設される繞設部分A(区画塊43は繞設部分Aに属する)であり、第2部分は該繞設部分Aより突伸する突伸部分Bである。該突伸部分Bは二つの支部B1、B2に分けられ、且つ二つの支部B1、B2は異なる方向に突伸し、且つ該二つの支部B1、B2は分かれており、接続されていない。
【0029】
結束部品4を緊縛する時、該繞設部分Aは緊縛により張力を受け、且つ該結束部品4は弾性を有するため、自然に現状に回復する力を発生し、これにより該二つの支部B1、B2はいずれも物品を結束する方向に弾性回復する力を有するが、二つの支部B1、B2上の各二つの対応するラチェット歯411、421の係合歯面TF1はいずれも繞設部分Aに対向し、これにより該二つの支部B1、B2が退出しようとする時、対応するラチェット歯411、421の係合歯面TF1が該繞設部分Aの局部が係止爪となることで、該局部により係止され、こうして結束作用を達成する。且つ長期に使用しても緩むことがない。もし、結束部品4をさらに緊縛する時は、係止爪が対向するのはラチェット歯の摺動歯面TF2(その定義は図7と同じである)であるため、繞設部分Aの接続部分はラチェット歯の摺動歯面TF2を摺動通過させ、ゆえに二つの支部B1、B2上の逆止めを形成するラチェット歯411、421が改変される。当然、その対応する係止爪位置もこれに伴い改変し、緊縛度あるいは緊縛範囲調整の効果を有する。結束動作停止時には、係止爪が即刻ラチェット歯の係合歯面TF1に対して緊迫係合作用を形成し、逆止め作用を発揮する。
【0030】
該結束部品4の繞設部分A上と突伸部分Bの二つの支部B1、B2上のラチェット歯セット41、42のラチェット歯411、421の対応し接触する局部はいずれも係止爪に充当され得て、すなわち、係止爪に充当されるのは区域範囲とされ得て、固定点ではない。並びに結束部品4は撓み性を有し、結束操作時に、対応するラチェット歯411、421と係合する局部は各種の捩れを発生し得る。ただし各部分のある角度に捩じられた局部はいずれも係止爪に充当され得て、ラチェット歯411、421に逆止めの作用を発生させる。言い換えると、係止爪に充当される局部は、ある角度捩じられた後に係止爪の作用を形成する。
【0031】
物品のサイズが変動する時、結束後の結束部品4の係合するラチェット歯411、421及び係止爪の位置も変動し得る。例えば、もともと繞設部分Aの局部に属していたラチェット歯411、421は更に緊縛の必要がある時、二つの支部B1、B2が外向きに引っ張られ、これにより.二つの支部B1、B2上と範囲縮小後の繞設部分Aの対応係合するラチェット歯411、421へと変成する。或いは、もともと二つの支部B1、B2上に属していたラチェット歯411、421は、より広い状態に結束する必要がある時(例えば物品を増やす時)、繞設部分Aの範囲内に退出し、これにより、範囲拡大後の繞設部分Aの局部に変成する。こうして結束される物品のサイズにより調整して結束作用を完成するのに便利である。結束部品4の結束を解除する時は、逆止めされている結束作用を徐々に解消して緩め、その後、結んだ部分を解けばよい。このように使用上、非常に便利である。
【0032】
図15に示される帯状の結束部品4はまた図17、図18の変化例が可能である。そのうち、図17は異なる辺の長尺状体の上下側にそれぞれラチェット歯セット41、42、41’、42’が設けられている。図18は異なる辺の長尺状体上の異なる側(上側、下側にそれぞれ位置する)ラチェット歯セット41、42’(或いは42、41’)が保留され、このような二種類の変化例の物品結束の操作及び達成する機能は図14乃至図16に示されるものと完全に同じである。
【0033】
以上の説明から分かるように、本発明の結束部品は図5、6及び図9乃至図13に示される輪状、或いは図15、17、18に示される帯状のもののいずれも、その採用する材質は、成形後に撓み性を有し、且つ曲げた後に弾性を有する材料であればよい。構造上の特徴は、結束部品は線材状本体の表面に一体に二組以上のラチェット歯セットが設けられ、区画塊で区画された2辺の長尺状体に該ラチェット歯セットが分配され、各ラチェット歯セットが二つ以上のラチェット歯で構成され、結束の緊縛度の調整が行える。結束部品が水平線材状に形成される時、各長尺状体上の同一のラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面は同一の区画塊に対向する。結束作用発生時には、結束部品は二つの部分に分けられ、第1部分は物品に繞設される繞設部分で、第2部分は該繞設部分より突伸する突伸部分であり、該突伸部分が二つの支部に分かれ、各支部が該繞設部分に対応するラチェット歯を有し、その係合歯面が該繞設部分に対向する。該結束部品の該繞設部分の局部は対応するラチェット歯の結束時の係止爪に充当され得て、且つその係止爪に充当される局部は捩じられた後に係止爪としての機能は変わらず、結束操作に便利である。且つ該結束部品の水平線材状の本体の中心線とラチェット歯歯面の夾角は、一方が≦90゜(鋭角或いは直角)で、もう一方が>90゜(鈍角)である。
【0034】
総合すると、本発明に記載の技術手段及び構造特徴はこの技術の属する分野において周知ではなく、且つ確実に予期された発明の目的と使用効果を達成し、完全に特許の要件に符合する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】周知の結束部品の外観立体図である。
【図2】周知の結束部品の袋上の立体表示図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】周知の結束部品が袋を結束後に自然に緩む立体表示図である。
【図5】本発明の第1実施例の外観立体図である。
【図6】本発明の第1実施例の引っ張られて並列設置された時の平面図である。
【図7】本発明の各実施例の関係パラメータの定義表示図である。
【図8】本発明の第1実施例の使用状態表示図である。
【図9】本発明の第1実施例の第1種の変化例の外観立体図である。
【図10】図9の結束部品の引っ張られて並列設置された時の外観立体図である。
【図11】本発明の第1実施例の第2種の変化例の外観立体図である。
【図12】本発明の第1実施例の第3種の変化例の外観立体図である。
【図13】本発明の第1実施例の第4種の変化例の外観平面図である。
【図14】本発明の第2実施例の第1種の使用状態表示図である。
【図15】本発明の第2実施例の外観立体図である。
【図16】本発明の第2実施例の第2種の使用状態表示図である。
【図17】本発明の第2実施例の第1種の変化例の側面図である。
【図18】本発明の第2実施例の第2種の変化例の側面図である。
【図19】図8の実物サンプルで結束を行う写真である。
【図20】図14の実物サンプルで結束を行う写真である。
【図21】図16の実物サンプルで結束を行う写真である。
【符号の説明】
【0036】
1 結束部品 11 繞設部分 111 端部
12 突伸部分 121、122 支部 2 袋
3、4 結束部品 33、43 区画塊
31、32、34、34’、35、35’、36、36’、41、41’、42、42’ ラチェット歯セット
311、321、341、341’、351、351’、361、361’、411、421 ラチェット歯
MB 本体
BL 中心線 TF1 係合歯面 TF2 摺動歯面
AN1 (BLとTF1の間の)夾角
AN2 (BLとTF2の間の)夾角
A 繞設部分 A1 端部 B 突伸部分
B1、B2 支部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の結束に用いられる結束部品において、撓み性を有し、湾曲後に弾性を具備し、該結束部品は表面に一体に二組以上のラチェット歯セットが設けられ、該ラチェット歯セットが区画塊で区画された2辺の長尺状体上に分配され、各該長尺状体のラチェット歯セットが二つ以上のラチェット歯で構成され、該結束部品が水平線材状に形成される時、各長尺状体上の同一のラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面は同一の区画塊に対向することを特徴とする、結束部品。
【請求項2】
請求項1記載の結束部品において、該結束部品が輪状に形成されたことを特徴とする、結束部品。
【請求項3】
請求項2記載の結束部品において、該結束部品が輪状に形成されて、該区画塊により区画された2辺の長尺状体が該区画塊で連接され、該区画塊より施力されてこれら長尺状体が並列設置される時、これら長尺状体上の各ラチェット歯セットのラチェット歯の配列方式は、各長尺状体の同一のラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面が同一の区画塊に対向し、かつこれら長尺状体上の同側のラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面が同一の区画塊に対向することを特徴とする、結束部品。
【請求項4】
請求項1記載の結束部品において、該結束部品が帯状に形成されたことを特徴とする、結束部品。
【請求項5】
請求項4記載の結束部品において、該結束部品が帯状に形成されて、該区画塊により区画された2辺の長尺状体上の各ラチェット歯セットのラチェット歯の配列方式は、各長尺状体の同一のラチェット歯セットのラチェット歯の係合歯面がいずれも同一の区画塊に対向し、且つ該区画塊が異なる辺の長尺状体のラチェット歯セット間に位置することを特徴とする、結束部品。
【請求項6】
請求項1記載の結束部品において、結束時に、該結束部品が二つの部分に分けられ、第1部分は物品に繞設される繞設部分であり、第2部分は該繞設部分より突伸する突伸部分であり、該突伸部分が更に二つの支部に分けられ、各支部上の該繞設部分と対応し係合するラチェット歯の係合歯面が該繞設部分に対向し、並びに該繞設部分の局部により充当される係止爪とラチェット歯の係合を形成し、結束逆止めを形成することを特徴とする、結束部品。
【請求項7】
請求項6記載の結束部品において、該結束部品の、結束時に物品に繞設される繞設部分の、該繞設部分より突伸する突伸部分の二つの支部上の対応するラチェット歯の係合歯面との係合に供される局部が係止爪とされることを特徴とする、結束部品。
【請求項8】
請求項7記載の結束部品において、該係止爪が任意の角度捩じられた後に係止爪に充当された時の機能が不変であることを特徴とする、結束部品。
【請求項9】
請求項1記載の結束部品において、該結束部品の、水平線材状の本体の中心線とラチェット歯歯面の夾角は、一方が≦90゜で、もう一方が>90゜ことを特徴とする、結束部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−137655(P2009−137655A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312001(P2008−312001)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(593158881)
【出願人】(508361542)
【Fターム(参考)】