説明

給水ユニットの凍結防止方法、および給水ユニット

【課題】不要な電力消費を低減した給水ユニットの凍結防止方法を提供する。
【解決手段】給水ユニットは、通水管内の送水流量を流量検出手段で検出し、流量検出手段が検出した給水流量に基づき、給水ポンプを制御して所定の給水を行う。また給水ユニットには温度検出手段が設けてあり、温度検出手段が検出した温度が第1設定温度以下で、かつ流量検出手段が検出した給水流量が第1設定流量以下である状態が所定時間継続したと制御手段が判断すると、保温用加熱手段に通電を行わせ、凍結が想定される箇所を所定温度に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水ポンプを備え、需要に応じて給水ポンプを駆動させて井戸水などを給水する給水ユニットの凍結防止方法、および給水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
給水ポンプで井戸水や水道水を送水する給水ユニットは、通年を通して運転されており、地域によって凍結のおそれがある場合には、給水ポンプのケーシングや給水管に保温用の加熱装置(保温用ヒータ)を設け、給水ユニット内部での水の凍結を防止している。保温用ヒータは、例えばサーモスタットを接続させ、温度変化によりサーモスタットをオンオフさせて通電を制御するのが、簡易で安価なため広く用いられている。
【0003】
一方サーモスタットは、バイメタルの変形を利用してスイッチをオンオフしているためあまり高い精度が望めず、温度検出誤差を予め考慮する必要がある。またサーモスタットは、設定温度付近でスイッチの切り替えが頻繁に繰り返されるのを防止するため、ヒステリシスを適当に設定する必要があった。
【0004】
凍結防止用に用いられるサーモスタットとしては、例えば次のようなものが知られている。スイッチがオンする温度が5℃であり、オフする温度が10℃であるとし、ヒステリシスを5℃確保してオンオフの頻繁な繰り返しを防止し、かつ精度のバラツキによりオンする温度が仮に低くなっても、凍結が開始される以前にはスイッチがオンしてヒータに通電がなされるようにしている。
【0005】
また井戸水を飲料用水として給水する給水ユニットには、濾過材などを有する濾過装置と除菌器が設けられることがある。除菌器は、濾過装置の上流に設けられ、薬液として次亜塩素酸ナトリウムを井戸水中に注入し井戸水を除菌する。濾過装置は、セラミック製の濾過材と除マンガン用の濾過材などを有し、セラミック製の濾過材で井戸水中の浮遊物を濾過するとともに、次亜塩素酸ナトリウムにより鉄イオンを酸化させて不水溶性の水酸化第二鉄にして濾過したり、除マンガン用の濾過材に井戸水中のマンガンイオンを凝着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−299868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記のようなサーモスタットでは、暖かく凍結することのない水が給水ユニット内を流れていても、5℃以下になるとスイッチがオンし保温用ヒータに通電がなされる。また10℃を超えなければスイッチがオフされず、例えば最高気温が9℃では、一度スイッチがオンされると凍結のおそれがないにもかかわらず保温用ヒータに通電がなされたままとなり、電力の無駄が極めて大きくなっていた。
【0008】
一方、サーミスタや温度ICなどの電子式温度検出部を給水ユニットの制御部に設け、例えば3℃で通電をオンさせ、5℃でオフさせるなど、狭い温度幅で保温用ヒータをオンオフ制御することも考えられる。しかしながら温度幅を狭く設定するには、正確な温度を検出するため水温を直接検出する必要がある。そのため耐圧、水密構造を有する温度センサのケースなどが必要となり、製品コストを上昇させることとなっていた。
【0009】
また水温は、温度検出器に接した水の温度であり、逆止弁などで遮断された箇所の温度は検出できず、温度範囲が限定される。そのため、ポンプケーシングの各部に加え、温度検出器を複数の箇所に設置して各所の温度を検出する必要が生じ、現実的ではなかった。
【0010】
更に井戸水は、年間を通して水温が16〜20℃と比較的安定しているので、逆洗処理を行うことにより濾過装置内部の凍結を防止することができる。ところが除菌器は、濾過装置より上流に設けられているため、濾過装置に行った逆洗処理の井戸水は除菌器に流通せず、逆洗処理では凍結防止はできなかった。そのため除菌器には、従来同様サーモスタットを用いた保温用ヒータを設置し、凍結防止を行うことから電力の消費量が大きかった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決し、凍結防止用に設けられた加熱器への無駄な通電を防止し、電力消費量を低減させた給水ユニットの凍結防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、凍結防止方法を備えた給水ユニットを次のように構成した。
【0013】
給水ユニットは、通水管内の送水流量を流量検出手段で検出し、流量検出手段が検出した給水流量に基づき、給水ポンプを制御して所定の給水を行う。また給水ユニットには温度検出手段が設けてあり、温度検出手段が検出した温度が第1設定温度以下で、かつ流量検出手段が検出した給水流量が第1設定流量以下である状態が所定時間継続したと制御手段が判断すると、保温用加熱手段に通電を行わせ、凍結が想定される箇所を所定温度に加熱させることとした。
【0014】
更に保温用加熱手段への通電により、検出温度が第2設定温度以上となったり、あるいは通水管の流量が所定時間第2設定流量以上の状態が継続したとき、保温用加熱手段への通電を停止させることとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる凍結防止方法、およびそれを備えた給水ユニットは、次の効果を有する。
【0016】
給水ユニットの流量が、所定時間継続して第1設定流量以下にならなければ、保温用加熱装置に通電がなされない。したがって比較的水温が高い井戸水などが給水ユニット内を所定量流通している場合は、温度検出手段が検出した温度が低い状態であっても給水ユニット内で凍結が生じることがなく、第1設定温度を低くし、保温用加熱装置への通電時期を給水ユニット内で凍結が開始される直前まで遅らせ、不要な電力消費を低減できる。
【0017】
検出温度が第2設定温度を超えていなくとも、給水ユニット内の流量が第2設定流量を超えた場合、保温用加熱装置への通電がオフされるので不必要な電力消費を防止できる。
【0018】
第2設定温度が、第1設定温度よりわずかに高い温度に設定したことにより、保温用加熱装置への通電を速やかに遮断し、不必要な電力消費を防止できる。水温を直接検出せず、温度検出手段を給水ユニットの外表面に取り付けて構成でき、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態である凍結防止方法を実施する給水ユニットの構成図である。
【図2】同給水ユニットに備えられた注入ポンプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかる給水ユニットの凍結防止方法の一実施形態について説明する。
【0021】
図1に、本発明にかかる凍結防止方法を実施する給水ユニット10を示す。給水ユニット10は、給水ポンプ12と、通水管14と、除菌器16と、濾過装置18と、制御装置20などから構成されている。
【0022】
給水ポンプ12には、通水管14が連結されている。給水ポンプ12は、アクチュエータ(図示せず。)を介して制御装置20に接続され、アクチュエータから送られる電力により駆動する。給水ポンプ12は、井戸水を吸水して、吸水した井戸水を任意の流量で通水管14を通して送水する。
【0023】
通水管14には、温度検出手段としての温度センサ22と、流量検出手段としての流量センサ24が取り付けてあり、信号線23、25を介して制御装置20に接続している。温度センサ22は、通水管14の外面に取り付けてあり、取り付け部周辺の温度を検出し、検出結果を信号線23を介して制御装置20に送出する。流量センサ24は、通水管14内に設けられ、通水管14内の流量を検出し、検出結果を信号線25を介して制御装置20に送出する。
【0024】
温度センサ22の近傍には、加熱手段としての保温用ヒータ28が設けられている。保温用ヒータ28は、電熱器等からなる加熱機器であり、駆動部31を介して電源200に接続している。駆動部31は、制御装置20と信号線33を介して接続され、信号線33を介して送信される制御装置20からの指示に従い作動する。保温用ヒータ28は、通電されると発熱し、保温用ヒータ28が取り付けられた周辺箇所を加熱(加温)する。
【0025】
尚、温度センサ22と保温用ヒータ28は、一箇所のみでなく給水ポンプ12と通水管14の任意の箇所に設けられていてもよい。また温度センサ22は、温度センサ22の周辺の外気温を検出する温度センサであってもよい。更に保温用ヒータ28や駆動部31は、温度調整が可能な構成であってもよい。
【0026】
濾過装置18は、セラミック製の濾過材や除マンガン用の濾過材(いずれも図示せず。)などを内装し、流量センサ24の下流に設けられている。セラミック製の濾過材は、鉄イオンを、除菌器16から注入された次亜塩素酸ナトリウムが酸化して不水溶性になった水酸化第二鉄として濾過し、除マンガン用の濾過材は、井戸水中に含まれるマンガンイオンを、濾過材の自触媒作用により接触酸化させ、水和二酸化マンガンとして表面に凝着させる。
【0027】
除菌器16は、注入ポンプ30と、薬液としての除菌剤を貯留する貯留槽32と、電源装置34などから構成されている。注入ポンプ30の一例を、図2に示す。注入ポンプ30は、ケース本体36と、ソレノイド38と、プランジャ40と、ダイヤフラム42などから構成されている。以下基本的に、ソレノイド38側から見て、ダイヤフラム42側を前方とし、その逆を後方として説明する。図2は、ダイヤフラム42が後退している状態である。
【0028】
ケース本体36は、円筒状で、金属材料、あるいは樹脂材などから形成されている。ケース本体36の内部には、ソレノイド38が固定されている。ケース本体36の後方には、裏蓋44が固定されている。ケース本体36の前方には、ポンプ本体46が液密に取り付けられている。
【0029】
ソレノイド38は円筒状のコイルで、中心にはプランジャ40が前後方向に沿って移動自在に設けられている。ソレノイド38の入力端子(図示せず。)には、制御装置20からの電力線39が接続している。
【0030】
プランジャ40は、ソレノイド38の中心に設けられた孔48内に摺動自在に設けられている。プランジャ40は、所定位置まで前進すると、ソレノイド38の後面50に当接し前進動作が停止される。
【0031】
またソレノイド38には、戻しばね52が設けてあり、プランジャ40を所定のばね力で後方に付勢している。プランジャ40は、後退すると、調整ねじ54の前端に当接し、後退動作が停止される。調整ねじ54は、裏蓋44に対して回転させることにより、前端を任意の位置に設定できる。
【0032】
ダイヤフラム42は、弾性材料からなる板状部材で、ポンプ本体46に形成された圧送室56に臨ませて取り付けられている。ダイヤフラム42は、中心部分が軸58の先端に組み付けられ、外周部分がケース本体36の前端縁とポンプ本体46との間に液密に固定されている。ダイヤフラム42の形状、材質は特に問わない。
【0033】
ポンプ本体46は、圧送室56がほぼ中央に形成してあり、圧送室56の下方に流入口60が、上方に流出口62が設けられている。流入口60には流入用一方向ボール弁64が、また流出口62には流出用一方向ボール弁66がそれぞれ設けられている。
【0034】
流入口60には、貯留槽32(図1参照。)からの吸引管70が連結している。また流出口62には、注入管72が連結している。注入管72の他端は、通水管14(図1参照。)の混入部74に延びている。混入部74は、注入管72から送られてきた除菌剤を、通水管14内を流れる井戸水内に流出し混入させる。混入部74の下流側は、濾過装置18を介して、家庭用の蛇口など需要者に接続されている。
【0035】
次に、制御装置20の構成について説明する。
【0036】
制御装置20には、記憶部76、入力部78、および計時部80が接続されている。記憶部76には、閾値として、第1設定温度、第2設定温度、第1設定流量、第2設定流量がそれぞれ記憶されている。入力部78は、例えばタッチパネル式の入力装置であり、各種閾値、希望流量等を入力する。計時部80は、制御装置20からの指示に従い時間を計測し、その結果を制御装置20に送る。
【0037】
制御装置20は、信号線25を介して流量センサ24から送られる水量に応じて、給水ポンプ12のアクチュエータに指示信号を送り出す。アクチュエータは、制御装置20からの指示に従い、給水ポンプ12へ所定の駆動電力を送り出し、給水ポンプ12による送水量を所定値とする。
【0038】
また制御装置20は、信号線23を介して温度センサ22から送られる検出温度を受け取り、検出温度を第1設定温度などの各閾値と比較する。第1設定温度は例えば3℃で、第1設定温度より高い温度域から低い温度域へ温度が変化したとき、給水ユニット10に保温用の加温を行うことが必要とされる閾値である。制御装置20は、第1設定温度より高い温度域から低い温度域へ温度が変化したことを感知したときには、温度センサ22に対応した保温用ヒータ28の駆動部26に通電を行わせる指示を出す。尚、設定温度、および以下に述べる流量、所定時間等は、記載されている数値に限らず状況、例えば地域や配管の径、設置位置などに応じて適宜変更可能である。
【0039】
第2設定温度は例えば5℃で、第2設定温度より低い温度域から高い温度域に温度変化が生じたとき、給水ユニット10による加温が不必要であるとされる閾値である。制御装置20は、その変化を感知したときには、温度センサ22に対応した駆動部26に通電を停止する指示を出す。
【0040】
第1設定流量は例えば8(リットル/分)で、流量センサ24により検出された流量が第1設定流量以下の流量となった場合、給水ユニット10内で凍結が発生するするおそれが高いと判断される値である。具体的には、温度センサ22により検出された温度が第1設定温度以下であり、流量センサ24により検出された流量が、所定時間第1設定流量以下の状態で継続されたとき、制御装置20は駆動部26に通電を行わせるように指示を出す。継続される所定時間とは例えば30分で、第1設定温度以下で第1設定流量以下の状態において、凍結が発生すると仮定される時間より短い時間である。
【0041】
第2設定流量は例えば12(リットル/分)で、通水管14内での流量が第2設定流量以上となった場合、井戸水を給水しているときには、給水ユニット10内で凍結がほとんど発生しないと判断される値である。具体的には、給水ユニット10で所定時間第2設定流量以上になったとき、温度センサ22による検出温度が第1設定温度以下となっていても、駆動部31に通電を遮断させる指示を出す。
【0042】
次に、給水ユニット10の作用について説明する。
【0043】
給水ユニット10では、流量センサ24が、通水管14内を流れる井戸水の流量を検出し、その検出結果を信号線25を通して制御装置20に送り出す。制御装置20は、検出された流量に応じて給水ポンプ12の作動を制御し、所望の流量の井戸水を需要者に給水する。
【0044】
温度センサ22は、取り付けられた箇所の温度を検出し、信号線23を通して検出結果を制御装置20に送出する。制御装置20は、温度センサ22が検出した結果と閾値とを比較する。そして制御装置20は、温度センサ22の検出温度が第1設定温度を下回っていると判断すると、流量センサ24の検出結果を取り入れる。そして、温度が第1設定温度を下回っている状態で、流量が第1設定流量以下になっているか否か判定し、流量が第1設定流量以下になったとき、計時部80により時間の計測を開始させる。
【0045】
制御装置20は、計測中に上記各センサによる検出温度と検出流量のいずれかの値が、第1設定温度や第1設定流量を上回ったときは、計時部80による時間計測を終了させ、時間の計測値を0に戻すこととし、計時部80よる計測時間が所定時間継続したか否かを判定する。
【0046】
制御装置20は、計時部80による計測時間が、閾値である所定時間を経過したと判断すると、駆動部31に保温用ヒータ28に通電する旨の指示を送り出し、保温用ヒータ28への通電を開始させる。保温用ヒータ28は、通電がなされると周辺を加熱し、凍結を防止する。尚、温度センサ22および保温用ヒータ28がそれぞれ複数台設置されている場合は、第1設定温度を下回る値を検出した温度センサ22に対応した保温用ヒータ28に通電を行う。
【0047】
また保温用ヒータ28への通電により温度が上昇し、温度センサ22の値が第2設定温度の値を超えたと制御装置20が判断すると、駆動部31に、保温用ヒータ28に通電を停止させる旨の指示を送り、保温用ヒータ28による加熱を停止させる。
【0048】
更に制御装置20が、流量センサ24で検出された流量が第2設定流量を超えたと判断すると、温度センサ22の検出温度にかかわらず、駆動部31に、保温用ヒータ28に通電を遮断する旨の指示を送り出す。
【0049】
したがって給水ユニット10は、検出流量が第1設定流量以上のときは、検出温度が第1設定温度以下となっていても、保温用ヒータ28への通電がなされない。そのため、保温用ヒータ28への加熱のための電力消費を削減できる。また、流量が第1設定流量以下であることの条件を加えて第1設定温度を設定しているので、第1設定温度を凍結が開始される直前の値に設定でき、加熱のための電力消費量を低減できる。
【0050】
また、検出流量が第2設定流量以上となると、温度が第1設定温度以下であっても、保温用ヒータ28への通電が遮断される。そのため、加熱のための電力消費を削減できる。
【0051】
次に、給水ユニットの凍結防止方法の他の例について説明する。これは、井戸水内に除菌剤などを注入する除菌器16にかかる凍結防止方法である。
【0052】
上記除菌器16の混入部74には、感温制御手段としてのサーモスタット52と加熱手段としての保温用ヒータ54が設けられている。サーモスタット52は、例えばバイメタル式で、第3設定温度としての5℃でスイッチ部が閉じ(オン)、5℃のヒステリシスをもって第4設定温度である10℃でスイッチ部が開く(オフ)ように設定されている。サーモスタット52は、基本的に外周壁に取り付けられ、取り付け箇所の温度によりスイッチ部が作動する。
【0053】
保温用ヒータ54は、サーモスタット52と電気的に直列に接続してあり、サーモスタット52と駆動部55を介して電源200に接続されている。保温用ヒータ54は、サーモスタット52が設置されている箇所の近傍に取り付けてあり、通電されると発熱し、取り付け箇所近傍を加熱する。駆動部55は、制御装置20に信号線57で接続され、制御装置20から指示に従い作動する。
【0054】
制御装置20は、通水管14内を流れる流量に対応して注入ポンプ30を適宜作動させ、通水管14内に所定量の除菌剤を注入する。記憶部76には、第3設定流量と第4設定流量とが記憶されている。制御装置20は、流量センサ24からの検出結果と閾値とを比較し、流量が第3設定流量を下回ったと判断されたとき、駆動部55に通電する指示を送出する。第3設定流量は例えば1(リットル/分)で、第3設定温度以下の温度であり、通水管14内の井戸水等の流量が第3設定流量以下であるときは、凍結が発生すると判定できる流量である。
【0055】
第4設定流量は、流量が第4設定流量を超えたと判断されたとき、駆動部55に通電を遮断する指示を送出する。第4設定流量は例えば2(リットル/分)で、通水管14内を井戸水等が第4設定流量以上の流量で通水しているときは、凍結は発生しないと判定できる流量である。
【0056】
次に、上記他の例にかかる凍結防止方法の作動について説明する。
【0057】
給水ユニット10は、制御装置20からの指示に従い給水ポンプ12が作動し、所定量の井戸水を需要者に給水する。またその際除菌器16が井戸水の流量に対応して作動し、所定量の薬液が井戸水内に注入される。
【0058】
給水ユニット10や除菌器16の温度が低下し、サーモスタット52の作動温度である5℃を下回ると、サーモスタット52のスイッチ部がオンされる。また制御装置20は、流量センサ24からの検出流量が第3設定流量を下回ったと判断すると、駆動部55に通電をオンさせる指示を送る。
【0059】
したがって、給水ユニット10では、サーモスタット52の温度が第3設定温度である5℃を下回ると、サーモスタット52のスイッチ部がオンされ、かつ通水管14内の流量が第3設定流量を下回ると、サーモスタット52および駆動部55がともにオン状態となり、電源200から保温用ヒータ54に通電され、保温用ヒータ54の周辺が加温される。
【0060】
そして、サーモスタット52の温度が10℃を上回ると、サーモスタット52のスイッチ部がオフし、保温用ヒータ54への通電が遮断される。更に、流量センサ24が検出した流量が第3設定流量を上回ると、駆動部55に通電をオフさせる指示を送り、駆動部55の通電をオフさせる。
【0061】
これにより給水ユニット10では、通水管14内の流量が第3設定流量を上回っていると凍結は発生しないと判断され、たとえサーモスタット52の温度が第3設定温度、つまり5℃を下回っていても、保温用ヒータ54への通電がなされず、無駄な電力の消費を防止することができる。
【0062】
また通水管14内の流量が第3設定流量を上回っていると凍結は発生しないと判断され、サーモスタット52の温度が第4設定温度の10℃を上回らなくとも、保温用ヒータ54への通電が遮断され、無駄な電力の消費を防止することができる。
【0063】
また給水ユニット10の濾過装置18に逆洗処理を行い凍結を防止しても、かかる方法では凍結を防止できなかった除菌器16の混入部74を、簡易な構成のサーモスタット52を用いて凍結防止が可能となり、除菌器16を備えた給水ユニット10のコストを低減できる。
【0064】
尚、上記サーモスタット52および保温用ヒータ54からなる加熱装置を、除菌器16を備えていない給水ユニットに用いて凍結を防止するようにしてもよい。また、閾値としての温度や流量などは、上記例に限るものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
給水ポンプを用いて井戸水などを給水する給水ユニットに利用できる。
【符号の説明】
【0066】
10…給水ユニット 12…給水ポンプ 14…通水管 16…除菌器 18…濾過装置 20…制御装置 22…温度センサ 24…流量センサ 26…駆動部 28…保温用ヒータ 30…注入ポンプ 34…電源装置 40…プランジャ 42…ダイヤフラム 46…ポンプ本体 52…サーモスタット 54…保温用ヒータ 55…駆動部 70…吸引管 72…注入管 74…混入部 76…記憶部 78…入力部 80…計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水ポンプによる流量を流量検出手段で検出し、前記流量検出手段が検出した給水流量に基づき、前記給水ポンプの作動を制御する給水ユニットにおいて、
前記給水ユニットに設けられた温度検出手段が検出した温度が第1設定温度以下で、かつ前記流量検出手段が検出した流量が第1設定流量以下で、かつこれら各状態が同時に所定時間継続したとき、制御手段により、前記給水ユニットに設けられた加熱手段を作動させ、
その後、前記温度検出手段が検出した温度が第2設定温度以上であり、あるいは前記流量検出手段が検出した流量が第2設定流量以上の状態が所定時間継続したとき、前記加熱手段の作動を停止させることを特徴とした給水ユニットの凍結防止方法。
【請求項2】
給水ポンプによる流量を流量検出手段で検出し、前記流量検出手段が検出した給水流量に基づき、前記給水ポンプの作動を制御する給水ユニットにおいて、
前記給水ユニットに設けられた加熱手段に、温度に応じて通電を制御する感温制御手段を直列に接続させ、
前記感温制御手段は、該感温制御手段の温度が第1設定温度以上の温度から第1設定温度以下の温度に変化すると前記加熱手段へ通電を行い、第2設定温度以下の温度から第2設定温度以上の温度に変化すると前記加熱手段への通電を遮断し、
更に制御装置により、前記給水流量が第1設定流量以下である状態が所定時間継続したとき前記感温制御手段への通電を行わせ、前記給水流量が第2設定流量を超えたとき、前記感温制御手段への通電を遮断することを特徴とした給水ユニットの凍結防止方法。
【請求項3】
前記給水ユニット内に所定の薬液を注入する除菌器を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の給水ユニットの凍結防止方法。
【請求項4】
給水ポンプと、流量を検出する流量検出手段と、制御装置とを備え、前記流量検出手段が検出した給水流量に基づき、前記給水ポンプの作動を制御する給水ユニットにおいて、
前記給水ユニットに設けられた加熱手段と、
前記給水ユニットの温度を検出する温度検出手段を有し、
前記制御手段は、前記温度検出手段が検出した温度が第1設定温度以下で、かつ前記流量検出手段により検出された流量が第1設定流量以下の状態が、所定時間継続されたと判断したとき前記加熱手段を作動させ、
更に、前記温度検出手段が検出した温度が第2設定温度以上となり、あるいは前記流量検出手段が検出した給水流量が第2設定流量以上で所定時間継続したとき、前記加熱手段の作動を停止させることを特徴とした給水ユニット。
【請求項5】
給水ポンプと、
前記給水ポンプによる給水流量を検出する流量検出手段と、
凍結想定箇所に設けられた加熱手段と、
制御手段とを備え、
前記流量検出手段が検出した給水流量に基づき、該給水ポンプの作動を制御する給水ユニットであり、
前記凍結想定箇所近傍の温度を検出し、検出温度が第1設定温度以上から以下に変化すると前記加熱手段への通電をオンさせ、第2設定温度以下から以上の状態に変化すると前記加熱手段への通電を遮断させる感温制御手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段が検出した温度が第1設定温度以下であり、かつ前記流量検出手段が検出した流量が第1設定流量以下である状態が所定時間継続したと判断したとき、前記加熱手段を作動させ、
更に前記制御手段は、前記温度検出手段が検出した温度が第2設定温度以上、あるいは前記流量検出手段により検出された流量が第2設定流量以上である状態が所定時間継続したと判断したとき、前記加熱手段の作動を停止させることを特徴とした給水ユニット。
【請求項6】
前記給水ユニット内に、所定の薬液を注入する除菌器を備えていることを特徴とした請求項4または5に記載の給水ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−172644(P2012−172644A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38323(P2011−38323)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】