説明

給湯器

【課題】停電時にバッテリーに蓄えられた電力を用いて作動する給湯器を提供する。
【解決手段】給湯ユニット15と、バッテリー11及びバッテリー11からの直流電力を交流電力に変換して給湯ユニット15に出力するインバータ12を備えた電源ユニット13と、通常時、給湯ユニット15から電力供給を受け、給湯ユニット15に指令信号を送信可能な状態を保持する操作リモコン16とを有する給湯器10であって、電源ユニット13に、停電開始によりスイッチ25によって操作リモコン16に接続されて、操作リモコン16から指令信号を受信可能な状態となる監視回路23が設けられ、停電時、監視回路23が操作リモコン16から給湯開始指令信号を受信すると、監視回路23は、停止していたインバータ12を作動させて給湯ユニット15に対する交流電力の出力を開始させ、スイッチ25は、操作リモコン16を給湯ユニット15に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して湯を供給する給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナーの熱を利用して水を加熱し、給湯栓(蛇口やシャワー)に湯を供給する給湯器は、バーナーに空気を供給するファンや、操作リモコン等、電力が供給されて作動する電動機器を多く備えている(例えば、特許文献1参照)。
給湯器は、商用電源からの電力によって、これらの電動機器を作動させ、給湯栓に対して所定温度の湯を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−163711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商用電源からの電力供給は、災害、事故等によって停止することがあり、従来の給湯器では、商用電源からの電力供給が停止した際に、給湯栓に湯を供給することができないという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、バッテリー(二次電池)を備え、停電時にはバッテリーに蓄えられた電力を用いて作動し湯を供給する給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る給湯器は、通常時に商用電源からの電力供給によって作動し給湯を行う給湯ユニットと、前記商用電源からの電力供給によって充電されるバッテリー及び該バッテリーからの直流電力を交流電力に変換して前記給湯ユニットに出力するインバータを備えた電源ユニットと、通常時、前記給湯ユニットに接続されて、該給湯ユニットから電力供給を受け、該給湯ユニットに指令信号を送信可能な状態を保持する操作リモコンとを有する給湯器であって、前記電源ユニットには、停電開始により前記操作リモコンの接続先を切り替えるスイッチと、停電開始により前記スイッチによって前記操作リモコンに接続されて、該操作リモコンへ前記バッテリーからの電力を供給し、該操作リモコンから指令信号を受信可能な状態となる監視回路とが設けられ、停電時、前記監視回路が前記操作リモコンから給湯開始指令信号を受信すると、前記監視回路は、停止していた前記インバータを作動させて前記給湯ユニットに対する交流電力の出力を開始させ、前記スイッチは、前記操作リモコンを前記給湯ユニットに接続する。
【0006】
本発明に係る給湯器において、前記監視回路は、前記給湯ユニット及び前記スイッチに接続され、停電時、該監視回路は、前記バッテリーから電力を供給されている該給湯ユニットが前記操作リモコンから給湯終了指令信号を受信したのを検出すると、前記インバータを停止させ、前記スイッチを作動して、前記操作リモコンの接続先を前記給湯ユニットから前記監視回路に切り替えるのが好ましい。
【0007】
本発明に係る給湯器において、停電時、前記バッテリーから電力を供給されている前記給湯ユニットが、給湯を行っていない状態を所定時間継続した際には、前記監視回路は、前記インバータを停止させ、前記スイッチは、前記操作リモコンの接続先を前記給湯ユニットから前記監視回路に切り替えるのが好ましい。
【0008】
本発明に係る給湯器において、前記電源ユニットは、前記バッテリー、前記インバータ、前記スイッチ及び前記監視回路を収容する筺体と、前記筺体内を空冷するファンとを備えるのが好ましい。
【0009】
本発明に係る給湯器において、前記電源ユニットは、前記筐体内の温度を計測する温度センサを備え、前記ファン及び該温度センサは、直流仕様であって、前記バッテリーから直流電力を供給されて作動するのが好ましい。
【0010】
本発明に係る給湯器において、前記ファンは、通常時、連続して作動し、停電時は、前記温度センサの計測温度が所定温度以上になったのを条件に作動を開始するのが好ましい。
【0011】
本発明に係る給湯器において、前記バッテリーは、前記給湯ユニットに電力を供給する主二次電池と、前記監視回路に電力を供給する補助二次電池とに分かれているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る給湯器は、バッテリーからの直流電力を交流電力に変換して給湯ユニットに出力するインバータを有し、停電時、監視回路が操作リモコンから給湯開始指令信号を受信すると、監視回路が、停止していたインバータを作動させて給湯ユニットに対する交流電力の出力を開始させるので、停電時にはバッテリーに蓄えられた電力を用いて作動し湯を供給することが可能である。更に、停電時は、監視回路が操作リモコンから給湯開始指令信号を受信するまで、インバータは停止状態にあり、停電時のバッテリーの電力消費を抑制でき、停電持の給湯時間の延長化を図ることが可能である。
【0013】
また、電源ユニットに、停電開始により操作リモコンの接続先を切り替えるスイッチと、停電開始によりスイッチによって操作リモコンに接続されて、操作リモコンへバッテリーからの電力を供給し、操作リモコンから指令信号を受信可能な状態となる監視回路とが設けられ、停電時、監視回路が操作リモコンから給湯開始指令信号を受信すると、スイッチが、操作リモコンを給湯ユニットに接続する。従って、給湯ユニットが停止状態でも、操作リモコンからの給湯開始指令信号の送信先と操作リモコンの電力供給元を確実に確保することができる。
【0014】
本発明に係る給湯器において、監視回路が、給湯ユニット及びスイッチに接続され、停電時、監視回路が、給湯ユニットが操作リモコンから給湯終了指令信号を受信したのを検出すると、インバータを停止させ、スイッチを作動して、操作リモコンの接続先を給湯ユニットから監視回路に切り替える場合、停電時に、操作リモコンから給湯終了指令信号が送信されることによって、インバータは電力消費を止め、監視回路は操作リモコンからの給湯開始指令信号を受信可能な状態を確実に保持することができる。
【0015】
本発明に係る給湯器において、停電時、バッテリーから電力供給を受けている給湯ユニットが、給湯を行っていない状態を所定時間継続した際に、監視回路が、インバータを停止させ、スイッチが、操作リモコンの接続先を給湯ユニットから監視回路に切り替える場合、停電時に給湯が所定時間以上行われていないにも関わらずインバータを作動してバッテリーの電力を消費することを回避し、バッテリーの電力消費を抑制することが可能であり、また、給湯ユニットが停止状態となった際に、操作リモコンからの指令信号を監視回路が受信可能な状態を確実に構築することができる。
【0016】
本発明に係る給湯器において、電源ユニットが、筺体内を空冷する場合、バッテリーの温度上昇を抑えてバッテリーの寿命を延ばすことが可能である。
【0017】
本発明に係る給湯器において、ファン及び温度センサが、直流仕様であって、バッテリーから直流電力を供給されて作動する場合、ファン及び温度センサに電力供給を行うに当たってインバータを設ける必要がなく、インバータの作動による電力消費を回避することができ、停電時のファン及び温度センサの作動時間の延長化を図ることが可能である。
【0018】
本発明に係る給湯器において、ファンが、通常時、連続して作動し、停電時、温度センサの計測温度が所定温度以上になったのを条件に作動を開始する場合、ファンが停止している時間を停電時に設けることができ、ファンの作動による電力消費量を抑制することが可能である。
【0019】
本発明に係る給湯器において、バッテリーが、給湯ユニットに電力を供給する主二次電池と、監視回路に直流電力を供給する補助二次電池とに分かれている場合、停電時、主二次電池内の電力は、監視回路によって消費されず、停電時の電源ユニットの作動時間の延長化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給湯器の説明図である。
【図2】同給湯器の給湯ユニットの説明図である。
【図3】変形例に係る給湯器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る給湯器10は、通常時に商用電源14からの電力供給によって作動し給湯を行う給湯ユニット15と、主二次電池11及び主二次電池11からの直流電力を交流電力に変換して給湯ユニット15に出力するインバータ12を備えた電源ユニット13と、通常時、給湯ユニット15に接続される給湯リモコン(操作リモコンの一例)16とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0022】
電源ユニット13は、図1に示すように、商用電源14からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ17と、コンバータ17に接続された主二次電池11と、主二次電池11から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ12を備えている。インバータ12には、電力出力側に、給湯ユニット15の電力供給元を切り替えるスイッチ18が接続されている。
インバータ12は、商用電源14から交流電力が出力されている時(以下、「通常時」ともいう)に停止し、商用電源14から交流電力が出力されていない状態で、給湯ユニット15に主二次電池11からの電力を供給する際に作動する。
スイッチ18は、通常時、商用電源14と給湯ユニット15を直接接続し、商用電源14からの交流電力が、スイッチ18を介して給湯ユニット15に供給されるようにする。通常時、商用電源14からの交流電力はコンバータ17にも供給され、コンバータ17は主二次電池11に対して直流電力を出力する。従って、主二次電池11は、通常時に商用電源14からの電力供給によって充電される。
【0023】
電源ユニット13には、主二次電池11に加えて、補助二次電池19が設けられている。補助二次電池19は、コンバータ17に接続され、通常時、コンバータ17から出力される直流電力によって充電される。
補助二次電池19は、ファン20及び温度センサ21が接続された入出力制御回路22に接続され、入出力制御回路22には、インバータ12の作動、停止を制御する監視回路23が接続されている。
【0024】
入出力制御回路22は、通常時及び停電時に補助二次電池19から直流電力を与えられて作動し、ファン20及び温度センサ21への直流電力の出力制御と、温度センサ21からの温度情報の取得を行う。ここで、停電時とは、商用電源14から交流電力が出力されていない時を意味する。
ファン20及び温度センサ21は、直流仕様であって、補助二次電池19から出力される直流電力が入出力制御回路22を介して供給されることによって作動する。
監視回路23には、補助二次電池19から出力される直流電力が入出力制御回路22を介して供給される。
【0025】
このように電源ユニット13に、主二次電池11に加えて補助二次電池19を設けているのは、停電時に入出力制御回路22、監視回路23、ファン20及び温度センサ21によって主二次電池11内の電力が消費されないようにし、停電時の給湯ユニット15の作動時間を延長するためである。
本実施の形態では、バッテリーが、主二次電池11及び補助二次電池19によって構成され、バッテリーは、主二次電池11と補助二次電池19とに分れている。
主二次電池11、補助二次電池19としては、鉛蓄電池、リチウムイオン電池等を採用することができる。
【0026】
監視回路23は、インバータ12に信号接続され、インバータ12に対して作動開始信号及び停止信号を送信してインバータ12の制御を行う。なお、図1では、監視回路23とインバータ12の接続が省略されている。
監視回路23は、スイッチ25に接続され、スイッチ25の切り替え制御が可能である。
監視回路23には、通常時及び停電時に補助二次電池19から直流電力が供給されている。
【0027】
電源ユニット13は、給湯リモコン16の接続先を切り替えるスイッチ25を備え、スイッチ25は、給湯リモコン16を監視回路23又は給湯ユニット15のいずれか一方に接続する。
通常時、給湯リモコン16は、スイッチ25によって給湯ユニット15に接続され、通電中の給湯ユニット15から電力供給を受け、給湯ユニット15に指令信号を送信可能な状態を保持する。
【0028】
電源ユニット13は、筺体26を備え、この筺体26内に、主二次電池11、インバータ12、コンバータ17、スイッチ18、25、補助二次電池19、ファン20、温度センサ21、入出力制御回路22及び監視回路23が収容されている。
ファン20は、作動して筺体26内を空冷し、入出力制御回路22及び監視回路23等の回路群と共に主二次電池11及び補助二次電池19の温度上昇を抑制する。一般的に二次電池は温度上昇によって寿命が短くなるので、ファン20による空冷は、主二次電池11及び補助二次電池19の寿命を長くするのに有効である。
【0029】
また、温度センサ21は、筺体26内の温度を計測するために設けられたものである。
入出力制御回路22は、通常時、ファン20を連続して作動させ、停電時には、温度センサ21の計測温度が所定温度(本実施の形態では、30〜40℃の範囲で予め定められた温度)以上になったのを条件にファン20の作動を開始する。
停電時に作動を開始したファン20は、予め定められた時間(本実施の形態では、5〜15分)作動を行った後に停止し、温度センサ21の計測温度が所定温度以上になった際に再び作動を始める。
【0030】
停電開始によって、スイッチ25は給湯リモコン16の接続先を切り替えて、給湯リモコン16を監視回路23に接続する。
給湯リモコン16に接続された監視回路23は、給湯リモコン16へ補助二次電池19からの電力を供給し、給湯リモコン16から指令信号を受信可能な状態となる。
スイッチ18は、停電開始のタイミングで切り替え動作をせず、商用電源14を直接給湯ユニット15に接続した状態を保持する。
【0031】
停電時に給湯リモコン16で給湯開始操作が行われると、給湯リモコン16は、監視回路23に給湯開始指令信号を送信する。監視回路23が給湯リモコン16から給湯開始指令信号を受信すると、監視回路23は、停止していたインバータ12に対して作動開始信号を送信し、スイッチ18は切り替え動作を行って、インバータ12と給湯ユニット15を接続する。これによって、インバータ12は、主二次電池11から供給される直流電力を交流電力へ変換し、スイッチ18を介して給湯ユニット15に対する交流電力の出力を開始する。
【0032】
給湯ユニット15は、スイッチ18及びインバータ12を介して主二次電池11から電力供給を受けて作動する。
給湯ユニット15は、監視回路23に接続されているので、給湯ユニット15が通電中、監視回路23から送信される情報を給湯リモコン16に表示可能である。給湯リモコン16は、停電開始後、給湯リモコン16で給湯開始操作がなされるまで、給湯開始操作待ち状態であることを表示する。この表示は、現在の給湯器10の状態、即ち給湯開始操作待ち状態を示すと共に、電源ユニット13が正常に動作していることを示すためのものである。給湯開始操作待ち状態になるべきときに、給湯リモコン16に給湯開始操作待ち状態が表示されない場合、電源ユニット13が正常に動作していない可能性がある。
【0033】
スイッチ25は、監視回路23が給湯リモコン16から給湯開始指令信号を受信すると、給湯リモコン16の接続先を切り替えて、給湯リモコン16を給湯ユニット15に接続する。これによって、給湯リモコン16は、給湯ユニット15から電力を供給され、給湯ユニット15に指令信号(例えば、設定温度変更のための指令信号)を送信可能な状態となる。
【0034】
そして、停電時に給湯ユニット15が主二次電池11から電力を供給されている状態で、給湯リモコン16において給湯終了操作がなされると、給湯リモコン16は、給湯ユニット15に給湯終了指令信号を送信する。監視回路23と給湯ユニット15は接続されており、監視回路23は常に給湯ユニット15と通信可能な状態が保持されている。これは、給湯リモコン16から直接信号を受信できない監視回路23が、給湯リモコン16から給湯終了指令信号が発信された旨を、給湯ユニット15を介して検知可能にするためである。
監視回路23は、給湯ユニット15が給湯終了指令信号を受信したのを検出すると、スイッチ25を作動して、給湯リモコン16の接続先を給湯ユニット15から監視回路23に切り替える。
監視回路23は、給湯リモコン16に接続されて、給湯リモコン16からの指令信号を受信可能な状態になる。このとき、補助二次電池19からの直流電力が、入出力制御回路22、監視回路23及びスイッチ25を介して給湯リモコン16に供給される。
【0035】
また、監視回路23は、給湯ユニット15が給湯終了指令信号を受信したのを検出すると、インバータ12に停止信号を送信して、給湯ユニット15に対する交流電力の出力を停止させる。スイッチ18は、インバータ12を給湯ユニット15から切り離し、商用電源14を直接、給湯ユニット15に接続する。
従って、給湯リモコン16で給湯終了操作が行われた後は、給湯ユニット15に加えてインバータ12も電力を消費しない状態となり、主二次電池11に蓄えられていた電力が減少するのを抑制することができる。
なお、給湯開始指令信号及び給湯終了指令信号は、給湯リモコン16が、給湯リモコン16に設けられた特定の操作ボタンを操作されることによって送信する指令信号である。
【0036】
停電時、インバータ12からの交流電力を受けている給湯ユニット15が、給湯を行っていない状態を所定時間(本実施の形態では、5〜15分の範囲で予め定められた時間)継続した際には、給湯ユニット15が給湯リモコン16から給湯終了指令信号を受信しなくとも、監視回路23は、スイッチ25を作動して、給湯リモコン16の接続先を給湯ユニット15から監視回路23に切り替え、更にインバータ12を停止させる。これによって、監視回路23は給湯リモコン16からの指令信号を受信可能な状態になる。
このとき、スイッチ18は、切り替え動作を行って、商用電源14を給湯ユニット15に直接接続し、インバータ12と給湯ユニット15を非接続状態にする。
【0037】
本実施の形態では、常時商用給電方式を採用しているが、他の方式、例えば、ラインインタラクティブ方式や、常時インバータ給電方式を採用することも可能である。
常時商用給電方式及びラインインタラクティブ方式では、通常時にインバータが停止状態を保持し、常時インバータ給電方式では、通常時にインバータが作動状態を保持するという点で、常時商用給電方式及びラインインタラクティブ方式と常時インバータ給電方式とは異なっている。
これに対し、停電時のインバータの制御は、常時商用給電方式、ラインインタラクティブ方式及び常時インバータ給電方式において共通しており、インバータは、停電開始から給湯リモコンで給湯開始操作がなされるまで停止している。そして、いずれの方式の場合も、インバータは監視回路から送信される信号によって作動を開始し、あるいは停止する。
なお、常時商用給電方式及びラインインタラクティブ方式では、インバータと給湯ユニットの間にスイッチが配置されるが、常時インバータ方式では、インバータと給湯ユニットの間のスイッチは省略可能である。
【0038】
給湯ユニット15は、図2に示すように、給水管28から水が供給される熱交換器29と、熱交換器29を通過する水を加熱するバーナー30とを備えている。
熱交換器29の下流側には、混合弁31が連結され、混合弁31は、熱交換器29から送られる湯に給水管28からの水を混合し、混合弁31の下流側に設けられたシャワー32及び蛇口33に設定温度の湯を供給する。
【0039】
給水管28には、給水管28内の水の温度を計測する温度センサ34が設けられている。そして、熱交換器29と混合弁31の間には、熱交換器29から送り出される湯の温度を計測する温度センサ35が設けられ、混合弁31の下流側には、混合弁31から出湯される湯の温度を計測する温度センサ36が設けられている。
バーナー30、混合弁31及び温度センサ34、35、36には、スイッチ25及び監視回路23に接続された制御回路37が信号接続されている。
【0040】
制御回路37は、設定温度を記憶しており、温度センサ34、35、36の計測温度を基にして、混合弁31の湯と水の混合比を決定する。
混合弁31と温度センサ36の間には、制御回路37に信号接続された比例弁38が配置され、混合弁31から送り出される湯の流量はこの比例弁38によって調整される。
シャワー32及び蛇口33と混合弁31とを接続する配管39には、温度センサ36の下流側に、浴槽40に湯を送る配管41が連結されている。配管41には、制御回路37に信号接続された開閉弁43が取付けられ、開閉弁43は、浴槽40への湯張りを行う際に開かれ、浴槽40への湯張りが終了すると閉じられる。
【0041】
給湯ユニット15は、筺体42を備え、熱交換器29、バーナー30、混合弁31、温度センサ34、35、36、制御回路37、比例弁38及び開閉弁43は、筺体42内に収容されている。
なお、配管41には、浴槽40内の湯が逆流するのを防止する図示しない逆流防止手段が設けられている。
【0042】
制御回路37には、浴槽40への湯張り開始操作等がなされる浴室リモコン44が接続されている。
給湯リモコン16がリビングやダイニングに設置されるのに対し、浴室リモコン44は、浴室内に設置され、一般的に給湯リモコン16に比べて表示画面が大きく消費電力も大きい。
このため、浴室リモコン44は、給湯リモコン16と異なり、停電時には電力が供給されず、通常時のみ給湯ユニット15から直流電力が供給されて作動する。これは、停電時に、電力消費量を抑制するためである。
【0043】
また、本実施の形態では、電源ユニット13が補助二次電池19を備えているが、補助二次電池を備えない電源ユニット50を採用することもできる。
以下、電源ユニット50を備えた給湯器51について説明する。なお、給湯器10と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
電源ユニット50にはバッテリーの一例である二次電池52が設けられ、この二次電池52には、図3に示すように、コンバータ17及びインバータ12に加えて、入出力制御回路53が接続されている。
二次電池52は、通常時、商用電源14からの電力供給によって充電を行うと共に、入出力制御回路53を介して、ファン20に直流電力を供給してファン20を作動させる。
停電時、ファン20、温度センサ21及び監視回路23には、二次電池52から入出力制御回路53を介して直流電力が供給される。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、給湯ユニットには貯湯タンクを設けてもよい。
また、停電時、給湯リモコンに加えて、浴室リモコンにもバッテリー(二次電池)からの電力供給がなされる設計を採用することもできる。
そして、停電時に作動を開始したファンは、筺体内の温度を計測する温度センサの計測温度が予め定められた温度に下がったことを条件に停止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10:給湯器、11:主二次電池、12:インバータ、13:電源ユニット、14:商用電源、15:給湯ユニット、16:給湯リモコン(操作リモコン)、17:コンバータ、18:スイッチ、19:補助二次電池、20:ファン、21:温度センサ、22:入出力制御回路、23:監視回路、25:スイッチ、26:筺体、28:給水管、29:熱交換器、30:バーナー、31:混合弁、32:シャワー、33:蛇口、34〜36:温度センサ、37:制御回路、38:比例弁、39:配管、40:浴槽、41:配管、42:筺体、43:開閉弁、44:浴室リモコン、50:電源ユニット、51:給湯器、52:二次電池、53:入出力制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時に商用電源からの電力供給によって作動し給湯を行う給湯ユニットと、前記商用電源からの電力供給によって充電されるバッテリー及び該バッテリーからの直流電力を交流電力に変換して前記給湯ユニットに出力するインバータを備えた電源ユニットと、通常時、前記給湯ユニットに接続されて、該給湯ユニットから電力供給を受け、該給湯ユニットに指令信号を送信可能な状態を保持する操作リモコンとを有する給湯器であって、
前記電源ユニットには、停電開始により前記操作リモコンの接続先を切り替えるスイッチと、停電開始により前記スイッチによって前記操作リモコンに接続されて、該操作リモコンへ前記バッテリーからの電力を供給し、該操作リモコンから指令信号を受信可能な状態となる監視回路とが設けられ、
停電時、前記監視回路が前記操作リモコンから給湯開始指令信号を受信すると、前記監視回路は、停止していた前記インバータを作動させて前記給湯ユニットに対する交流電力の出力を開始させ、前記スイッチは、前記操作リモコンを前記給湯ユニットに接続することを特徴とする給湯器。
【請求項2】
請求項1記載の給湯器において、前記監視回路は、前記給湯ユニット及び前記スイッチに接続され、停電時、該監視回路は、前記バッテリーから電力を供給されている該給湯ユニットが前記操作リモコンから給湯終了指令信号を受信したのを検出すると、前記インバータを停止させ、前記スイッチを作動して、前記操作リモコンの接続先を前記給湯ユニットから前記監視回路に切り替えることを特徴とする給湯器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の給湯器において、停電時、前記バッテリーから電力を供給されている前記給湯ユニットが、給湯を行っていない状態を所定時間継続した際には、前記監視回路は、前記インバータを停止させ、前記スイッチは、前記操作リモコンの接続先を前記給湯ユニットから前記監視回路に切り替えることを特徴とする給湯器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯器において、前記電源ユニットは、前記バッテリー、前記インバータ、前記スイッチ及び前記監視回路を収容する筺体と、前記筺体内を空冷するファンとを備えることを特徴とする給湯器。
【請求項5】
請求項4記載の給湯器において、前記電源ユニットは、前記筐体内の温度を計測する温度センサを備え、前記ファン及び該温度センサは、直流仕様であって、前記バッテリーから直流電力を供給されて作動することを特徴とする給湯器。
【請求項6】
請求項5記載の給湯器において、前記ファンは、通常時、連続して作動し、停電時は、前記温度センサの計測温度が所定温度以上になったのを条件に作動を開始することを特徴とする給湯器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の給湯器において、前記バッテリーは、前記給湯ユニットに電力を供給する主二次電池と、前記監視回路に電力を供給する補助二次電池とに分かれていることを特徴とする給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100968(P2013−100968A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245781(P2011−245781)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)