説明

給湯器

【課題】ポンプを駆動するモーター(振動発生源)の振動が、ポンプを介してアンダーパネルに伝わると共に、アンダーパネルを介して戻り配管及び行き配管に伝達される事を効果的に阻止出来る給湯器を提供することを目的とする。
【解決手段】浴槽内の水を戻り配管を介して熱交換機に供給すると共に、行き配管を介して前記熱交換機で温められた温水を前記浴槽内に供給するポンプがアンダーパネル側に固定保持された給湯器において、内部に流体流通路を備えると共に、その外周部が前記アンダーパネル側に保持された2本の略円筒状のゴム状弾性材製マウントであって、前記マウントの前記流体流通路の一端側には、前記ポンプ側から伸びる戻り配管と行き配管がそれぞれ固定保持され、前記流体流通路の他端側には前記アンダーパネルの外部に存在する戻り配管と行き配管がそれぞれ固定保持されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器に関する。
また、本発明は、浴槽内の水を吸い上げ、熱交換機を介して加熱した温水を浴槽に戻す機能を備えた給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器としては特許文献1に示す構造のものが知られている。
すなわち、給湯器の追焚き機能を使用する場合においては、浴槽内の水を、給湯器内のモーター及びポンプで戻り配管を介して吸い上げを行い、熱交換器にて水を温め、再度、ポンプを介して行き配管を介して浴槽内に温水を戻す構成となっている。
【0003】
そして、この様な構成の給湯器は、モーターにより駆動させられるポンプがアンダーパネル(ケースのベース部材)に直接設置されると共に、戻り配管及び行き配管も、ポンプに直接取り付けられると共に、アンダーパネルに直接固定保持される態様となっている。
このため、ポンプを駆動するモーター(振動発生源)内の波数に応じた回転変動の次数成分の振動が、ポンプを介してアンダーパネルに伝わると共に、アンダーパネルを介して戻り配管及び行き配管にも伝達される。
この結果、アンダーパネルや戻り配管及び行き配管から発生される振動音が問題となっていた。
【0004】
特に、この振動が、アンダーパネルや戻り配管及び行き配管、更には内部部品の固有振動数と一致すると、共振を起こし、それにより給湯器から発生する音がより大きくなってしまうという問題を惹起した。
また、この様な給湯器から発生する音が夜間の場合は、社会問題化する要因を含んでおり、その解決が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−81744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポンプを駆動するモーター(振動発生源)の振動が、ポンプを介してアンダーパネルに伝わると共に、アンダーパネルを介して戻り配管及び行き配管に伝達される事を効果的に阻止出来る給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給湯器は、浴槽内の水を戻り配管を介して熱交換機に供給すると共に、行き配管を介して前記熱交換機で温められた温水を前記浴槽内に供給するポンプがアンダーパネル側に固定保持された給湯器において、内部に流体流通路を備えると共に、その外周部が前記アンダーパネル側に保持された2本の略円筒状のゴム状弾性材製マウントであって、前記マウントの前記流体流通路の一端側には、前記ポンプ側から伸びる戻り配管と行き配管がそれぞれ固定保持され、前記流体流通路の他端側には前記アンダーパネルの外部に存在する戻り配管と行き配管がそれぞれ固定保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明の給湯器によれば、ポンプを駆動するモーター(振動発生源)の振動が、ポンプを介してアンダーパネルに伝わると共に、アンダーパネルを介して戻り配管及び行き配管に伝達される事を効果的に阻止出来る。
更に、請求項2記載の発明の給湯器によれば、配管の取り付け・取り外しが容易である。
【0009】
更に、請求項3記載の発明の給湯器によれば、配管が大径の場合に適している。
更に、請求項4記載の発明の給湯器によれば、配管が小径の場合に適している。
【0010】
更に、請求項5記載の発明の給湯器によれば、配管とマウントの締結が確実に行える。
更に、請求項6記載の発明の給湯器によれば、より効果的に振動を吸収出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る給湯器の第1の態様を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る給湯器の第2の態様を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための第1の態様について説明する。
図1に示される様に、本発明に係る給湯器の第1の態様は、浴槽内(図示せず)の水を戻り配管1を介して熱交換機に供給すると共に、行き配管2を介して熱交換機で温められた温水を浴槽内に供給するポンプ3がアンダーパネル4側に固定保持された基本的構成を備えている。
そして、2本の略円筒状のゴム状弾性材製マウント5、5が、ポンプ3、アンダーパネル4及び戻り配管1と行き配管2との間に介在する構成となっている。
【0013】
このマウント5、5は、内部に流体流通路51を備えると共に、その外周部52がアンダーパネル4側に保持され、マウント5、5の流体流通路51の一端側(図上上方)には、ポンプ3側から伸びる戻り配管11と行き配管21がそれぞれ挿入され、その外周側に設けた環状溝部53に装着されたステンレス材製のホースバンド7によりマウント5、5と共に締め付け固定されている。
この事により、ポンプ3は、マウント5、5を介してアンダーパネル4上に弾性的に固定保持される。
【0014】
また、流体流通路51の他端側(図上下方)内周面には、ステンレス材製の円筒状のインサート金具6、6が一体成形されており、このインサート金具6、6の外周面に設けたネジ部61にアンダーパネル4の外部に存在する戻り配管12と行き配管22がそれぞれ螺合している。
従って、戻り配管12と行き配管22の端部に設けたネジ部は、その内周面に設けた雌ネジである。
【0015】
マウント5、5の材質は、ブチルゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロロプレン等のゴム状弾性材や、ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性エラストマーから、適宜用途に合わせ選択して使用されるが、減衰効果の大きいブチルゴムが好ましい。
【0016】
インサート金具6、6の流体流通路51内に存在する長さは、ポンプ3側から伸びる戻り配管11と行き配管21と接触しない長さに設計されている。
【0017】
この様な構成とする事により、ポンプ3、アンダーパネル4及び戻り配管1と行き配管2とが相互に直接接する事が無い為、マウント5、5の減衰効果と相俟って、ポンプ3側の振動がアンダーパネル4及び戻り配管1と行き配管2に伝達される事を効果的に阻止出来る為、ポンプ3を駆動するモーター(振動発生源)の振動が、ポンプ3を介してアンダーパネル4に伝わると共に、アンダーパネル4を介して戻り配管1及び行き配管2に伝達されることによる共振を伴う振動音の発生を効果的に阻止出来る。
【0018】
ついで、図2に基づき、本発明を実施するための第2の態様について説明する。
第1の態様と相違する点は、流体流通路51の他端側(図上下方)内周面に一体成形されたステンレス材製の円筒状のインサート金具6、6の形状である。
【0019】
すなわち、インサート金具6、6は、マウント5、5の図上下端から突出する事無く、流体流通路51内に完全に収まる形状をしており、その内周面に雌ネジ部61が形成されており、この雌ネジ部61に戻り配管1及び行き配管2の端部外周面に設けた雄ネジ部61が螺合する構成となっている。
この様な構成とする事により、より小型の給湯器に適した構造とする事が出来る。
【0020】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係る給湯器は、家庭用自動給湯装置等に使用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 戻り配管
2 行き配管
3 ポンプ
4 アンダーパネル
5 マウント
6 インサート金具
7 ホースバンド
11 戻り配管
12 戻り配管
21 行き配管
22 行き配管
51 流体流通路
52 外周部
61 ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の水を戻り配管(1)を介して熱交換機に供給すると共に、行き配管(2)を介して前記熱交換機で温められた温水を前記浴槽内に供給するポンプ(3)がアンダーパネル(4)側に固定保持された給湯器において、
内部に流体流通路(51)を備えると共に、その外周部(52)が前記アンダーパネル(4)側に保持された2本の略円筒状のゴム状弾性材製マウント(5)、(5)であって、前記マウント(5)、(5)の前記流体流通路(51)の一端側には、前記ポンプ(3)側から伸びる戻り配管(11)と行き配管(21)がそれぞれ固定保持され、前記流体流通路(51)の他端側には前記アンダーパネル(4)の外部に存在する戻り配管(12)と行き配管(22)がそれぞれ固定保持されていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記マウント(5)、(5)の前記流体流通路(51)の他端側にはインサート金具(6)、(6)が一体成形されており、前記インサート金具(6)、(6)に設けたネジ部(61)に前記アンダーパネル(4)の外部に存在する戻り配管(12)と行き配管(22)がそれぞれ螺合していることを特徴とする請求項1記載の給湯器。
【請求項3】
前記インサート金具(6)、(6)に設けたネジ部(61)がその外周面に設けた雄ネジであることを特徴とする請求項2記載の給湯器。
【請求項4】
前記インサート金具(6)、(6)に設けたネジ部(61)がその内周面に設けた雌ネジであることを特徴とする請求項2記載の給湯器。
【請求項5】
前記ポンプ(3)側から伸びる戻り配管(11)と行き配管(21)は、前記流体流通路(51)内に挿入されると共に、その外周部側がホースバンド(7)により前記マウント(5)、(5)と共に締め付け固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の給湯器。
【請求項6】
前記マウント(5)、(5)が、ブチルゴム材製であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の給湯器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−44437(P2013−44437A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180084(P2011−180084)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】