説明

給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】用紙束の用紙面における空気侵入量の分布の偏りが小さく、各用紙が良好にばらついて、用紙の重送が生じ難い給紙装置を提供する。
【解決手段】各吹出し口77a、78aが用紙束Wの両側端面waと平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれているため、各吹出し口77a、78aから吹出したそれぞれの空気Ka、Kbが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置に吹付けられる。このため、用紙束Wの各記録用紙Pa1、Pa2の隙間全体に空気が侵入して、各記録用紙Pa1、Pa2が良好に分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載台に積載された用紙束から用紙を引出して送り出す給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給紙装置としては、用紙束を積載した用紙積載台と、用紙積載台の上方に配置された用紙搬送ベルトと、空気を用紙搬送ベルトの通気孔を通じて吸引するファンとを備え、用紙搬送ベルトの通気孔を通じての空気の吸引により、用紙束の最上層の用紙を用紙搬送ベルトに吸着して搬送するというものがある。
【0003】
また、このような給紙装置においては、空気を用紙束の端面に吹付け、空気を用紙束の各用紙間に侵入させて、各用紙をばらつかせ、用紙束から用紙を1枚ずつ吸着して引出すことを容易にしている。
【0004】
例えば、特許文献1では、ファンから蛇腹ダクトへと空気を吹込んで、空気を蛇腹ダクトを通じて用紙束の側端面に吹付け、用紙束の各用紙をばらつかせている。
【0005】
また、特許文献2では、3つのファンから用紙束の両側端面及び後端面へと空気を吹付けて、用紙束の各用紙をばらつかせている。
【0006】
更に、特許文献3では、2つのファンから用紙束の両側端面へと空気を吹付けて、用紙束の各用紙をばらつかせている。また、各ファンによる空気の吹付け量を調節可能にしている。
【0007】
また、特許文献4では、2つのファンから吹出したそれぞれの空気を用紙束の両側端面から後端面へと斜め方向に吹付けて、用紙束の各用紙をばらつかせている。
【0008】
更に、特許文献5では、ファンからフィンを介して用紙束の側端面へと空気を吹付けて、用紙束の各用紙をばらつかせている。また、フィンにより空気の流れを乱して、空気を多方向から用紙束の各用紙の間へと侵入させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−335885号公報
【特許文献2】特開2008−87906号公報
【特許文献3】特開2010−202372号公報
【特許文献4】特開平7−277541号公報
【特許文献5】特開2008−30903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、5においては、用紙束の一側端面だけに空気を吹付けているため、用紙束の用紙面全体には空気が侵入し難い。また、特許文献2〜4のいずれにおいても、用紙束の両側端面の同一位置(用紙束の両側端面と平行な方向における同一位置)に空気を吹付けていることから、用紙束の用紙面において空気侵入量の分布に偏りが生じる。このため、用紙束の用紙面において空気の侵入量の多い部位では各用紙が良好にばらついても、空気の侵入量が少ない部位では各用紙がばらつかず、これが用紙の重送の原因となった。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、用紙束の用紙面における空気侵入量の分布の偏りが小さく、各用紙が良好にばらついて、用紙の重送が生じ難い給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、用紙束を積載する用紙積載台と、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して、前記用紙搬送部材により前記用紙を用紙搬送経路へと搬送する用紙搬送部とを備えた給紙装置であって、前記用紙束の両側端面に空気を吹付ける複数の空気吹付け部を備え、前記各空気吹付け部により空気が吹付けられる前記用紙束の両側端面のそれぞれの空気吹付け位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらしている。
【0013】
このような本発明では、用紙束の一方の側端面に対する空気吹付け位置と用紙束の他方の側端面に対する空気吹付け位置とを用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらしているので、用紙束の用紙面の異なる部位に空気が侵入して、用紙面における空気侵入量の分布の偏りが小さくなり、各用紙がばらつき易く、用紙の重送が生じ難い。
【0014】
また、本発明の給紙装置においては、前記各空気吹付け部は、空気を前記用紙束の両側端面に吹出す吹出し口をそれぞれ備え、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらしている。
【0015】
このように各吹出し口の位置を用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらすことにより、用紙束の両側端面に対するそれぞれの空気吹付け位置を用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらすことができる。
【0016】
更に、本発明の給紙装置においては、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に変位させる変位部を備えている。また、前記変位部は、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な同一方向に変位させる。あるいは、前記変位部は、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行であってかつ逆向きのそれぞれの方向に変位させる。
【0017】
このように各吹出し口の位置を用紙束の両側端面と平行な方向に変位させると、用紙束の用紙面のより広い範囲に空気を侵入させることができ、各用紙がよりばらつき易く、用紙の重送がより生じ難くなる。
【0018】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙積載台上で前記用紙束の両側端面と平行な方向に移動して、前記用紙束の後端面に当接し、前記用紙束を位置決めする当接部を備え、前記変位部は、前記用紙束の両側端面と平行な方向への前記当接部の移動に連動して、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に変位させている。
【0019】
当接部は、用紙束の後端面に当接するため、用紙束の用紙のサイズに応じた位置に位置決めされる。従って、各吹出し口の位置を当接部の移動に連動させると、各吹出し口の位置を用紙束の用紙のサイズに応じて適確に設定することができる。
【0020】
更に、本発明の給紙装置においては、前記各空気吹付け部は、空気を前記用紙束の両側端面に吹出す吹出し口をそれぞれ備え、前記各吹出し口からの空気の吹出し方向を前記各空気吹付け位置に向けている。
【0021】
このように各吹出し口からの空気の吹出し方向を各空気吹付け位置に向けてもよい。
【0022】
また、本発明の給紙装置においては、前記各吹出し口からの空気の吹出し方向を変位させる変位部を備えている。
【0023】
このように各吹出し口からの空気の吹出し方向を変位させると、用紙束の用紙面のより広い範囲に空気が侵入して、各用紙がよりばらつき易く、用紙の重送がより生じ難くなる。
【0024】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の給紙装置を備えている。
【0025】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の給紙装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0026】
このような本発明によれば、用紙束の一方の側端面に対する空気吹付け位置と用紙束の他方の側端面に対する空気吹付け位置とを用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらしているので、用紙束の用紙面の異なる部位に空気が侵入して、用紙面における空気侵入量の分布の偏りが小さくなり、各用紙がばらつき易く、用紙の重送が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の給紙装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の給紙装置を示す平面図である。
【図3】第1実施形態の給紙装置を示す正面図である。
【図4】用紙引出し部を取外した状態の第1実施形態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図5】第1実施形態の給紙装置の用紙引出し部を斜め上前方から見て示す斜視図である。
【図6】用紙引出し部を斜め上後方から見て示す斜視図である。
【図7】用紙引出し部を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【図8】第1実施形態の給紙装置を概略的に示す断面図である。
【図9】(a)は第1実施形態の給紙装置における空気の吹出し口と用紙束の位置関係を概略的に示す平面図であり、(b)は用紙束の各記録用紙の隙間全体に空気が侵入した状態を示す側面図である。
【図10】(a)は従来装置における空気の吹出し口と用紙束の位置関係を概略的に示す平面図であり、(b)は用紙束の各記録用紙の隙間の特定部位に空気が侵入した状態を示す側面図である。
【図11】第1実施形態の給紙装置の変形例を概略的に示す平面図である。
【図12】用紙引出し部を取外した状態の第2実施形態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図13】第2実施形態の給紙装置におけるアシストダクトを示す断面図である。
【図14】第2実施形態の給紙装置のアシストダクトを示す斜視図である。
【図15】第2実施形態の給紙装置における空気の吹出し口の移動と用紙束の位置関係を概略的に示す平面図である。
【図16】第2実施形態の給紙装置の変形例を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図17】給紙装置の変形例における空気の吹出し口の移動と用紙束の位置関係を概略的に示す平面図である。
【図18】空気の吹出し口の変形例を概略的に示す図である。
【図19】用紙引出し部を取外した状態の第3実施形態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図20】第3実施形態の給紙装置における空気の吹出し口の向きと用紙束の位置関係を概略的に示す平面図である。
【図21】第4実施形態の給紙装置を概略的に示す平面図である。
【図22】(a)は第4実施形態の給紙装置における空気の吹出し方向の変更例と用紙束の位置関係を概略的に示す平面図であり、(b)は空気の吹出し方向の他の変更例と用紙束の位置関係を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の給紙装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
【0030】
印刷部11においては、クリーニング装置26により感光体ドラム21表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置22により感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0031】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成しており、用紙搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置27の加熱ローラ28と加圧ローラ29間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0032】
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の用紙搬送経路33へと送り出す。
【0033】
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の用紙搬送経路33に送り出す。
【0034】
この記録用紙は、用紙搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由し、用紙排紙ローラ36を介して用紙排紙トレイ37に排出される。この用紙搬送経路33には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ32、記録用紙の搬送を促す搬送ローラ31、用紙排紙ローラ36等が配置されている。
【0035】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、分岐爪35の位置を切換えて、記録用紙を用紙排紙ローラ36から反転経路34へと逆方向に搬送し、記録用紙の表裏を反転させて、記録用紙をレジストローラ32へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ37に排出する。
【0036】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
【0037】
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿用紙の画像が読取られる。
【0038】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により原稿用紙の画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
【0039】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
【0040】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、画像形成装置1のレーザ露光装置23に入力され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0041】
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている第1実施形態の給紙装置71の構成を詳しく説明する。この給紙装置71は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
【0042】
図2、図3は、第1実施形態の給紙装置71を示す平面図及び正面図である。図2、図3に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
【0043】
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
【0044】
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、底板73の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように移動されるか又は互に離間するように連動して移動される。
【0045】
また、用紙積載台74の各凹所74bは、用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれおり、各アシストダクト77、78も引出し方向Eと平行な方向に互いにずれている。
【0046】
用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹出される。
【0047】
図4は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図4に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80の排気口が接続されている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aから外側枠体72の内側に吹出される。
【0048】
また、先に述べたように各アシストダクト77、78が用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれているだけではなく、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aも引出し方向Eと平行な方向に互いにずれて対向してはいない。
【0049】
また、図2及び図4に示すように用紙後端ガイド76は、記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能であり、引出し方向Eにおける任意の位置で位置決めされる。更に、図2及び図4に示すように各アシストダクト77、78は、引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能であり、引出し方向Eと直交する方向における任意の位置で位置決めされる。
【0050】
ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
【0051】
また、図4に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー87が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー87が複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され巻取りプーリ89に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー87が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー87が他の複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ89に接続されている。各巻取りプーリ89は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が回転し、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られたり各巻取りプーリ89から繰り出されたりする。
【0052】
パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ89の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
【0053】
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図5は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図6は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図7は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0054】
図5、図6、図7に示すように用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。
【0055】
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向に長い空気吸引経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の空気吸引経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
【0056】
また、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支され、前方のローラ82の軸に搬送モータ93の出力軸が接続されている。各用紙搬送ベルト81は、各ローラ82、83間に架け渡されて、吸気ダクト85の上面85bからは僅かに離間し、吸気ダクト85の下面85gには接する。
【0057】
更に、吸気ダクト85の下面85gには、用紙搬送ベルト81毎に、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる空気吸引口94(図8に示す)が設けられている。
【0058】
ここで、搬送モータ93により前方のローラ82が矢印方向Dに回転駆動され、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。また、吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引され、空気が吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94(図8に示す)及び用紙搬送ベルト81の各通気孔81aへと流入し、記録用紙が各用紙搬送ベルト81の表面に吸着され、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が搬送される。
【0059】
一方、排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0060】
また、排気ダクト86の内側壁86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる各排気口86bが形成されている。この排気ダクト86の内側壁86dが外側枠体72の当接板72b(図4に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口86bが外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側を臨んでいる。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口86bから外側枠体72の内側後方へと吹出される。
【0061】
更に、吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86が一体化されている。
【0062】
このような構成の給紙装置71において、図8の概略的な断面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ92により各巻取りプーリ89を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さに位置決めする。
【0063】
また、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面の上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。
【0064】
また、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込み、空気を各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の両側端面の上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。このとき、図4に示すように各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aが用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれて対向していないため、用紙積載台74上の用紙束の用紙面における一方の吹出し口77aからの空気の侵入部位と他方の排気口78aからの空気の侵入部位が用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれ、各記録用紙間の広い範囲に空気が侵入して、用紙束の用紙面における空気侵入量の分布の偏りが小さくなり、各記録用紙が良好にばらつく。
【0065】
図9(a)は、各吹出し口77a、78aと用紙束の位置関係を概略的に示している。図9(a)に示すように各吹出し口77a、78aが用紙束Wの両側端面waと平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれて対向していないことから、各吹出し口77a、78aから吹出したそれぞれの空気Ka、Kbが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置に吹付けられる。このため、図9(b)に示すように用紙束Wの各記録用紙Pa1、Pa2の隙間全体に空気が侵入して、各記録用紙Pa1、Pa2が良好に分離する。
【0066】
これに対して従来は、図10(a)に示すように用紙束Wの両側端面waの同一位置(用紙束Wの両側端面waと平行な方向における同一位置)に空気を吹付けていたことから、用紙束Wの用紙面において空気侵入量の分布に偏りが生じた。このため、図10(b)に示すように用紙束Wの各記録用紙Pa1、Pa2間の特定部位に空気が集中的に侵入して、各記録用紙Pa1、Pa2がその特定部位で分離しても、各記録用紙Pa1、Pa2がそれらの端部で密接したままとなり、これが記録用紙の重送の原因になった。
【0067】
こうして排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面の上層に空気を吹付け、また各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aから用紙束の両側端面の互いに異なるそれぞれの位置へと空気を吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙を良好にばらつかせる。
【0068】
この状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸引して、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94を通じて吸い込みつつ、各ローラ82、83を間欠的に回転させて、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させると、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて画像形成装置1の搬送ローラ対31へと搬送され、記録用紙が用紙搬送経路33を通じて搬送され、引き続いて各用紙搬送ベルト81の表面に次の記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送ローラ対31へと搬送され、以降同様に各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送されて行く。
【0069】
このように第1実施形態では、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aが用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれて対向していないため、用紙束の両側端面の互いに異なるそれぞれの位置へと空気が吹付けられ、各記録用紙間の広い範囲に空気が侵入して、用紙束の用紙面における空気侵入量の分布の偏りが小さくなり、各記録用紙が良好にばらつき、記録用紙の重送を効果的に防止することができる。
【0070】
また、排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面の上層にも空気が吹付けられられるので、各記録用紙がより良好にばらつき、記録用紙の重送をより効果的に防止することができる。
【0071】
尚、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aを用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に多数並べて形成すれば、用紙束の両側端面の広い範囲に空気を吹付けることができるが、この場合は、吹出し口からの風量及び風速が低下して、空気が各記録用紙間に侵入し難くなる。あるいは、各アシストファン79、80を大型化する必要があり、延いては給紙装置71や画像形成装置1が大型化することになる。これに対して第1実施形態では、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aの数を抑えているので、各吹出し口77a、78aからの風量及び風速が低下することはなく、また各アシストファン79、80を大型化させる必要もない。
【0072】
次に、第1実施形態の給紙装置の変形例について説明する。図11は、第1実施形態の給紙装置の変形例を概略的に示す平面図である。
【0073】
この変形例では、各アシストダクト77、78を用紙後端ガイド76の柱部76aに連動して引出し方向Eと平行な方向に移動するようにしている。具体的には、底板73の下面側において、各アシストダクト77、78の下端にそれぞれのラックギア114を接続して、各ラックギア114をピニオンギア115に歯合させ、各アシストダクト77、78を互に接近又は離間するように連動させ、また各アシストダクト77、78、各ラックギア114、及びピニオンギア115を用紙後端ガイド76の柱部76aと共に同一フレーム116上に支持して、フレーム116を引出し方向Eと平行な方向に移動可能に支持し、これにより各アシストダクト77、78が用紙後端ガイド76に連動して引出し方向Eと平行な方向に移動するようにしている。この場合は、用紙後端ガイド76が用紙束の後端面に当接して記録用紙のサイズに応じた位置に位置決めされると、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aの位置も記録用紙のサイズに応じて適確に設定される。
【0074】
次に、第2実施形態の給紙装置について説明する。図12は、用紙引出し部75を取外した状態の第2実施形態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。尚、図12において、図4と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0075】
第2実施形態の給紙装置は、第1実施形態の給紙装置71と比較して、図4の各アシストダクト77、78の代りに、各アシストダクト101、102を適用している点が異なり、他の構成は第1実施形態の給紙装置71と同様である。
【0076】
各アシストダクト101、102は、それぞれの下側台部101a、102a、及びそれぞれの上側ダクト本体101b、102bを有している。各下側台部101a、102aは、用紙積載台74の両側の各凹所74bに配置され、底板73の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持され、互に接近するように又は離間するように連動して移動され、各上側ダクト本体101b、102bもそれぞれの下側台部101a、102aと共に移動される。従って、各アシストダクト101、102の間に用紙束の両端を挟み込んで位置決めすることが可能である。
【0077】
また、各上側ダクト本体101b、102bは、各下側台部101a、102aに対して用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に移動可能に支持されている。図13の断面図に示すように各下側台部101a、102aの上端面に台形溝(アリミゾ)103を形成し、各上側ダクト本体101b、102bの下端面に台形桟(アリガタ)104を形成し、各上側ダクト本体101b、102bの台形桟104を各下側台部101a、102aの台形溝103に移動自在に挿入している。また、各上側ダクト本体101b、102bの台形桟104の下面にラックギア(図示せず)を形成し、各下側台部101a、102aの側壁に各モータ105を設け、各モータ105の出力軸を各下側台部101a、102aの内部に導入して、各モータ105の出力軸のピニオンギア106を各上側ダクト本体101b、102bの台形桟104のラックギアに歯合させている。各モータ105が回転駆動されると、それぞれのピニオンギア106が回転し、各上側ダクト本体101b、102bの台形桟104のラックギアが用紙束の両側端面と平行な方向に往復移動して、図14に示すように各上側ダクト本体101b、102bが各下側台部101a、102a上で往復移動する。
【0078】
また、各上側ダクト本体101b、102bは、中空体であって、その内部に通気経路を有し、各アシストファン79、80の排気口が接続されている。各アシストファン79、80により吸引された空気が各上側ダクト本体101b、102bの通気経路に送り込まれ、この空気が各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cから外側枠体72の内側へと吹出される。
【0079】
ここで、図12に示すように各上側ダクト本体101b、102bが各下側台部101a、102aに調度重なった状態では、各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cが用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれて対向してはいない。
【0080】
この状態で、各アシストファン79、80から各上側ダクト本体101b、102bの通気経路へと空気を送り込み、空気を各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cから用紙積載台74上の用紙束の両側端面の上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。
【0081】
また、各アシストファン79、80による空気の送り込みと同時に、各モータ105を回転駆動して、各上側ダクト本体101b、102bを各下側台部101a、102a上で用紙束の両側端面と平行な方向に同一速度で同一方向に往復移動させる。これにより、図15に示すように各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cが互いにずれたまま往復移動し、各吹出し口101c、102cから吹出したそれぞれの空気Ka、Kbが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置にかつ広い範囲に吹付けられる。このため、用紙束Wの各記録用紙の隙間全体に空気が速やかに侵入して、各記録用紙がより良好に分離する。
【0082】
次に、第2実施形態の給紙装置の変形例について説明する。図16は、第2実施形態の給紙装置の変形例を斜め後方から見て示す斜視図である。尚、図16において、図12と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0083】
この変形例では、各上側ダクト本体101b、102bの内側壁の中央にそれぞれの吹出し口101c、102cを形成し、各上側ダクト本体101b、102bの位置を用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずらして、各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cを互いにずらしている。
【0084】
また、各アシストファン79、80による空気の送り込みと同時に、各モータ105を回転駆動して、各上側ダクト本体101b、102bを各下側台部101a、102a上で用紙束の両側端面と平行な方向に同一速度でかつ逆方向に往復移動させる。この場合は、図17に示すように各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cが互いに繰り返し対向してすれ違うが、このすれ違いのとき以外では、各吹出し口101c、102cが用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に互いにずれて、各吹出し口101c、102cから吹出したそれぞれの空気Ka、Kbが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置にかつ広い範囲に吹付けられる。このため、用紙束Wの各記録用紙の隙間全体に空気が速やかに侵入して、各記録用紙がより良好に分離する。
【0085】
尚、上記第2実施形態及び変形例では、各アシストダクト101、102の上側ダクト本体101b、102bを用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に移動させて、各上側ダクト本体101b、102bの吹出し口101c、102cを移動させているが、他の構成を用いて、吹出し口を移動させても構わない。例えば、図18に示すようにアシストダクトの内側壁に複数の空気吹出し口117を用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)に並べて形成し、各空気吹出し口117のいずれからも空気の吹出しが可能なようにしておく。そして、スライド板118をアシストダクトの内側壁面に摺接させつつ用紙束の両側端面と平行な方向に往復移動させて、スライド板118の開口部118aを各空気吹出し口117に順次重ねて、各空気吹出し口117を選択的に開放し、開放された空気吹出し口117だけから空気を吹出させる。これにより、空気を用紙束の側端面の広い範囲に吹付けることができる。
【0086】
また、各アシストダクト101、102を省略し、各アシストファン79、80の排気口(吹出し口)を用紙束の両側端面に向けた状態で、各アシストファン79、80を用紙束の両側端面と平行な方向に往復移動させてもよい。
【0087】
また、各アシストダクト101、102の一方又は各アシストファン79、80の一方だけを移動させ、他方を固定しても構わない。あるいは、各アシストダクト101、102又は各アシストファン79、80の移動速度を異ならせてもよい。
【0088】
次に、第3実施形態の給紙装置について説明する。図19は、用紙引出し部75を取外した状態の第3実施形態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。尚、図19において、図4と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0089】
第3実施形態の給紙装置は、第1実施形態の給紙装置71と比較して、図4の各アシストダクト77、78の代りに、各アシストダクト121、122及び各固定ルーバー123、124を適用している点が異なり、他の構成は第1実施形態の給紙装置71と同様である。
【0090】
各アシストダクト121、122は、各アシストダクト77、78と同様に、底板73の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように移動されるか又は離間するように連動して移動され、用紙束の両端を挟み込んで位置決めする。
【0091】
また、各アシストダクト121、122には、それぞれの空気吹出し口121a、122aが形成されており、各空気吹出し口121a、122aに各固定ルーバー123、124が設けられている。更に、各アシストダクト121、122には、各アシストファン79、80の排気口が接続されている。
【0092】
各アシストダクト121、122の空気吹出し口121a、122aは、用紙束の両側端面と平行な方向(引出し方向Eと平行な方向)で同一位置にあって互いに対向している。一方の固定ルーバー123の各羽板は、斜め後方(後方は引出し方向Eと逆の方向)に沿うように向けられて平行配置されており、一方のアシストファン79の排気口からアシストダクト121の通気経路に空気が送り込まれると、この空気が空気吹出し口121aの固定ルーバー123により斜め後方にガイドされて吹出す。また、他方の固定ルーバー124の各羽板は、斜め前方(前方は引出し方向E)に沿うように向けられて平行配置されており、他方のアシストファン79の排気口からアシストダクト122の通気経路に空気が送り込まれると、この空気が空気吹出し口122aの固定ルーバー124により斜め前方にガイドされて吹出す。
【0093】
このため、図20に示すように一方の固定ルーバー123にガイドされて斜め後方に吹出した空気Kaと他方の固定ルーバー124にガイドされて斜め前方に吹出した空気Kbとが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置に吹付けられ、用紙束Wの各記録用紙の隙間全体に空気が侵入して、各記録用紙が良好に分離する。
【0094】
次に、第4実施形態の給紙装置について説明する。図21は、第4実施形態の給紙装置を概略的に示す平面図である。尚、図21において、図19と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0095】
第4実施形態の給紙装置は、第3実施形態の給紙装置と比較して、図19の各固定ルーバー123、124の代りに、各可動ルーバー131、132を適用している点が異なる。
【0096】
各可動ルーバー131、132は、各羽板を回転自在に軸支して、各羽板をリンク機構により連結したものであり、それぞれのモータ(図示せず)によりリンク機構が変位されると、各羽板がそれらの軸を中心にして同一の向きに連動回転する。
【0097】
例えば、図22(a)に示すように各可動ルーバー131、132の各羽板を同一速度で同一方向に往復回転させて、各アシストファン79、80の排気口から吹出したそれぞれの空気Ka、Kbの向きを変更する。この場合は、各空気Ka、Kbの向きが互いに繰り返し一時的に対向するが、この対向のとき以外では、各空気Ka、Kbの向きが互いにずれて、各空気Ka、Kbが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置にかつ広い範囲に吹付けられる。このため、用紙束Wの各記録用紙の隙間全体に空気が速やかに侵入して、各記録用紙が良好に分離する。
【0098】
あるいは、図22(b)に示すように各可動ルーバー131、132の各羽板を同一速度で互いに逆方向に往復回転させて、各アシストファン79、80の排気口から吹出されたそれぞれの空気Ka、Kbの向きを変更してもよい。この場合も、各空気Ka、Kbの向きが互いに繰り返し対向してすれ違うが、このすれ違いのとき以外では、各空気Ka、Kbの向きが互いにずれて、各空気Ka、Kbが用紙束Wの両側端面waの互いに異なる位置にかつ広い範囲に吹付けられ、用紙束Wの各記録用紙が良好に分離する。
【0099】
尚、各可動ルーバー131、132を用いずに、各アシストファン79、80を垂直軸周りに往復旋回させて、各アシストファン79、80の排気口(吹出し口)の向きを変更し、各アシストファン79、80の排気口から吹出したそれぞれの空気の向きを変更してもよい。
【0100】
また、各可動ルーバー131、132のいずれか一方を固定ルーバーに置き換えてもよい。あるいは、各可動ルーバー131、132の各羽板の回転速度を異ならせても構わない。
【0101】
また、上記各実施形態及び変形例を適宜に組み合わせて、空気の吹出し口の位置及び吹出した空気の向きを共に変更してもよい。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0103】
1 画像形成装置
2 原稿読取り装置
11 印刷部
12 用紙搬送部
13 用紙供給部
14 大容量給紙カセット(LCC)
33 用紙搬送経路
71 給紙装置
72 外側枠体
73 底板
74 用紙積載台
75 用紙引出し部(用紙搬送部)
76 用紙後端ガイド(当接部)
77、78、101、102、121、122 アシストダクト(空気吹付け部)
77a、78a、101c、102c、121a、122a 吹出し口
79、80 アシストファン
81 用紙搬送ベルト(用紙搬送部材)
82、83 ローラ
84 吸排気ファン
85 吸気ダクト
86 排気ダクト
103 台形溝(変位部)
104 台形桟(変位部)
105 モータ(変位部)
106 ピニオンギア(変位部)
123、124 固定ルーバー
131、132 可動ルーバー(変位部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束を積載する用紙積載台と、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して、前記用紙搬送部材により前記用紙を用紙搬送経路へと搬送する用紙搬送部とを備えた給紙装置であって、
前記用紙束の両側端面に空気を吹付ける複数の空気吹付け部を備え、
前記各空気吹付け部により空気が吹付けられる前記用紙束の両側端面のそれぞれの空気吹付け位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらしたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記各空気吹付け部は、空気を前記用紙束の側端面に吹出す吹出し口をそれぞれ備え、
前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に互いにずらしたことを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙装置であって、
前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に変位させる変位部を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給紙装置であって、
前記変位部は、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な同一方向に変位させることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項3に記載の給紙装置であって、
前記変位部は、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行であってかつ逆向きのそれぞれの方向に変位させることを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙積載台上で前記用紙束の両側端面と平行な方向に移動して、前記用紙束の後端面に当接し、前記用紙束を位置決めする当接部を備え、
前記変位部は、前記用紙束の両側端面と平行な方向への前記当接部の移動に連動して、前記各吹出し口の位置を前記用紙束の両側端面と平行な方向に変位させることを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記各空気吹付け部は、空気を前記用紙束の側端面に吹出す吹出し口をそれぞれ備え、
前記各吹出し口からの空気の吹出し方向を前記各空気吹付け位置に向けたことを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項7に記載の給紙装置であって、
前記各吹出し口からの空気の吹出し方向を変位させる変位部を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の給紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−91550(P2013−91550A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234920(P2011−234920)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】