説明

給電装置、及び非接触給電システム

【課題】発振周波数を給電装置と受電装置との距離に応じて動的に制御することなく、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得ることのできる共鳴方式による給電システムを提供する。
【解決手段】受電装置及び給電装置の双方において整合条件の調整をする構成を追加することで、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得るものである。特に受電装置及び給電装置の双方に送受信回路及び整合回路を設け、共鳴用コイルを介して整合回路の調整のための無線信号の送受信を行うものである。これにより給電装置は発振周波数を調整することなく、受電装置へ電力を効率よく供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給電装置、及び当該給電装置を具備する非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な電子機器の普及が進み、多種多様な製品が市場に出荷されている。近年では、携帯電話及びデジタルビデオカメラ等の携帯型の電子機器の普及が顕著である。また電力を基に動力を得る電気自動車等の電気推進移動体も製品として市場に登場しつつある。
【0003】
携帯電話、デジタルビデオカメラまたは電気推進移動体には、蓄電手段であるバッテリーが内蔵されている。当該バッテリーの充電は、殆どが給電手段である家庭用交流電源より直接接続させて行われているのが現状である。またバッテリーを具備しない構成またはバッテリーに充電された電力を用いない構成では、家庭用交流電源から配線等を介して直接給電し動作させているのが現状である。
【0004】
一方、非接触でバッテリーの充電または負荷への給電を行う方式についての研究開発も進んでおり、代表的な方式として、電磁誘導方式(電磁結合方式ともいう)、電波方式(マイクロ波方式ともいう)、共鳴方式が挙げられる。電磁誘導方式については、小型家電機器等、普及が進んでいる電子機器もある。
【0005】
共鳴方式の非接触給電システムは、中長距離間での高い伝送効率が得られるため、注目されている。しかしながら共鳴方式の非接触給電システムは、電力を受ける側の装置(以下、受電装置)が有する共鳴用コイルと、電力を供給する側の装置(以下、給電装置)が有する共鳴用コイルとの距離により電力の伝送効率(送電効率)が極端に変化することが知られている。そのため、受電装置と給電装置との距離が変化しても高い伝送効率を維持できるようにする構成について、研究開発も活発である(例えば特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−252468号公報
【特許文献2】特開2010−239690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで共鳴方式の非接触給電システムについて模式図を用いて説明する。図8(A1)、(B1)、(C1)は、高周波電源900と負荷910との間にある、給電装置における第1のコイル901と第1の共鳴用コイル902、及び受電装置における第2のコイル903と第2の共鳴用コイル904の模式図について示している。なお図8(A1)、(B1)、(C1)では、給電装置における第1の共鳴用コイル902と、受電装置における第2の共鳴用コイル904との距離を模式的に表しており、図8(A1)が共鳴に最適な距離より近い距離にある様子、図8(B1)が共鳴に最適な距離にある様子、図8(C1)が共鳴に最適な距離より遠い距離にある様子、を表している。
【0008】
また図8(A2)、(B2)、(C2)は、図8(A1)、(B1)、(C1)に対応して、高周波電源900の発振周波数と、給電装置と受電装置との間の伝送効率の関係を示している。なおグラフ中で周波数f0は共鳴用コイルの共振周波数である。
【0009】
図8(B1)に示すように、第1の共鳴用コイル902と第2の共鳴用コイル904とが共鳴に最適な距離に設置された場合、図8(B2)に示すように周波数f0で電力の伝送効率は最大となる。図8(A1)に示すように、第1の共鳴用コイル902と第2の共鳴用コイル904との距離が共鳴に最適な距離より近い場合、図8(A2)に示すように、電力の伝送効率のピークにスプリットが発生し、ピークは周波数f0’のときである。なお図8(A2)での周波数f0においてはピークの谷となってしまうため、電力の伝送効率が低下してしまう。また、図8(C1)に示すように、第1の共鳴用コイル902と第2の共鳴用コイル904との距離が共鳴に最適な距離より離れている場合、図8(C2)においてピークスプリットは発生しないが共振周波数f0において、図8(B2)と比較して電力の伝送効率が低くなってしまう。
【0010】
従って図8(A1)乃至(C2)からわかるように、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得るためには、給電装置と受電装置間の距離に依存する、伝送効率が最大となる周波数に給電装置の高周波電源の発振周波数を合わせることが重要となってくる。しかしながら発振周波数を給電装置と受電装置との距離に応じて動的に制御するためには、高周波電源への追加の制御手段を要するものとなり、装置の大型化及びコストの増大を招いてしまう。
【0011】
そこで、本発明の一態様は、給電装置と受電装置との距離に応じて発振周波数を動的に制御することなく、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得ることのできる共鳴方式による給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、受電装置及び給電装置の双方において整合条件の調整をする構成を追加することで、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得るものである。特に本発明の一態様は、受電装置及び給電装置の双方に送受信回路及び整合回路を設け、共鳴用コイルを介して整合回路の調整のための無線信号の送受信を行うものである。これにより給電装置は発振周波数を調整することなく、受電装置へ電力を効率よく供給することができる。
【0013】
本発明の一態様は、受電装置における第2のコイルと電磁結合をする第2の共鳴用コイルと共鳴をする第1の共鳴用コイルと、第1の共鳴用コイルと電磁結合をする第1のコイルと、高周波電源から出力される交流信号にデータ信号を重畳するために変調をかけて第1の無線信号を生成するための変調回路、及び第1のコイルで受電装置より受信した第2の無線信号を復調するための復調回路を有する送受信回路と、高周波電源側と第1のコイル側とのインピーダンスの整合をとるための整合回路と、第1のコイルで受信した第2の無線信号における受電装置で検出された電力値に応じて整合回路の制御及び交流信号に重畳する第1の無線信号のデータ信号を生成するための制御回路と、を有する給電装置である。
【0014】
本発明の一態様は、第1の共鳴用コイルと、第1の共鳴用コイルと電磁結合をする第1のコイルと、高周波電源が出力する交流信号にデータ信号を重畳するために変調をかけて第1の無線信号を生成するための変調回路、及び第1のコイルで受電装置より受信した第2の無線信号を復調するための復調回路を有する第1の送受信回路と、高周波電源側と第1のコイル側とのインピーダンスの整合をとるための第1の整合回路と、第1のコイルで受信した第2の無線信号における受電装置で検出された電力値に応じて第1の整合回路の制御及び交流信号に重畳する第1の無線信号のデータ信号を生成するための第1の制御回路と、を有する給電装置と、第1の共鳴用コイルと共鳴をすることで給電装置より第1の無線信号を受信する第2の共鳴用コイルと、第2の共鳴用コイルと電磁結合をする第2のコイルと、第2の共鳴用コイルで受信した第1の無線信号を復調するための復調回路、及び第1の共鳴用コイルに送信する第2の無線信号を生成する変調回路を有する第2の送受信回路と、整流回路側と第2のコイル側とのインピーダンスの整合をとるための第2の整合回路と、第2のコイルで受信した第1の無線信号より得られる電力を検出するための受電電力検出回路と、第2のコイルで受信した第1の無線信号に重畳したデータ信号に応じて第2の整合回路の制御をし、且つ受電電力検出回路で検出される電力値に応じて第2の無線信号を生成するよう第2の送受信回路を制御するための第2の制御回路と、を有する受電装置と、を有する非接触給電システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様は、発振周波数を給電装置と受電装置との距離に応じて動的に制御することなく、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得ることのできる共鳴方式による給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図2】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図3】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図4】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図5】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図6】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図7】実施の形態2の構成を説明するための図。
【図8】課題を説明するための図。
【図9】実施の形態1の構成を説明するための図。
【図10】実施の形態1の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
【0018】
なお、各実施の形態の図面等において示す各構成の大きさ、層の厚さ、信号波形は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0019】
なお本明細書にて用いる第1乃至第n(nは自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様における共鳴方式による非接触給電を行う非接触給電システムについて説明する。
【0021】
図1は、給電装置及び受電装置のブロック図を示している。図1では、給電装置における第1の共鳴用コイルと受電装置における第2の共鳴用コイルとが共鳴することで電磁界による電力の伝送を行う様子を表している。なお、図1に示すブロック図では、給電装置及び受電装置内の回路を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示している。ただし、実際の給電装置及び受電装置の回路は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの回路が共通して複数の機能を有することもあり得る。また複数の回路で1つのブロックに対応した機能を実現する構成とすることもあり得る。
【0022】
給電装置110は、高周波電源111と、第1の整合回路112と、第1の送受信回路113と、第1のコイル114と、第1の制御回路115と、第1の共鳴用コイル116と、第1の共鳴用容量素子117と、を有する。
【0023】
また、受電装置120は、第2の共鳴用コイル121と、第2の共鳴用容量素子122と、第2のコイル123と、第2の送受信回路124と、第2の整合回路125と、整流回路126と、負荷127と、第2の制御回路128と、受電電力検出回路129と、を有する。
【0024】
高周波電源111は、給電装置と受電装置との間で共鳴方式によって給電を行うための周波数(第1の共鳴用コイルと第2の共鳴用コイルの共振周波数)による交流信号を出力するための電源回路である。
【0025】
本実施の形態における給電装置110の高周波電源111から出力される交流信号の周波数(発振周波数)に特に限定はなく、共鳴方式で給電装置110から受電装置120に電力が伝送できる発振周波数であればよい。共鳴方式の発振周波数は、例えば、数kHzの周波数帯から数GHzの周波数帯において利用可能である。
【0026】
第1の整合回路112は、第1の送受信回路113を介して高周波電源111に、及び第1のコイル114に接続されている。第1の整合回路112は、高周波電源111と直列及び/または並列に接続された少なくとも一つのインピーダンスの調整可能な素子を有する。なおインピーダンスの調整可能な素子とは、可変容量素子、可変コイルを指す。また第1の整合回路112は、入力側となる高周波電源111側と出力側となる第1のコイル114側とのインピーダンスの整合をとるように、動作を第1の制御回路115によって制御される。
【0027】
第1の送受信回路113は、高周波電源111及び第1のコイル114に接続されている。第1の送受信回路113は、高周波電源111から出力される交流信号を変調することで第1のコイル114から送信する第1の無線信号を生成する機能、第1のコイル114で受信する第2の無線信号を復調する機能を有する。変調する機能としては、ミキサー回路を高周波電源111側に設ける構成とすればよい。なおミキサー回路は、高周波電源から出力される交流信号に対し、当該交流信号の振幅、位相、周波数等をインベントリ信号、データ信号または受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号等に応じて変調させる回路である。復調する機能としては、検波回路、増幅回路及び整流回路を第1のコイル114側に設ける構成とすればよい。
【0028】
図1における第1の送受信回路113のブロックを具体的に示した図を図10(A)に示す。図10(A)において第1の送受信回路113は、高周波電源111側に変調回路となるミキサー回路501が設けられる。また図10(A)において第1の送受信回路113は、第1のコイル114側に復調回路となる検波回路502、増幅回路503及び整流回路504が設けられる。
【0029】
なお第1の無線信号は、給電装置110から受電装置120に送信される無線信号であり、給電のための交流信号を変調することで得られるものである。第1の無線信号は、受電装置120に応答を要求するインベントリ信号、受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号、またはデータ信号等、を重畳できる無線信号である。また第2の無線信号は、受電装置120から給電装置110に送信される無線信号であり、給電の交流信号に負荷変調をかけることで得られるものである。第2の無線信号は、給電装置110から送信されるインベントリ信号に応答するための信号、受電装置120で受け取る電力値に関する信号、または受電装置120でデータ信号を受信したことへの応答をするための信号等、を重畳できる無線信号である。なおインベントリ信号とは、給電装置110が受電装置120の存在を確認するための信号である。
【0030】
第1のコイル114は、第1の整合回路112及び第1の送受信回路113を介して高周波電源111に接続される。第1のコイル114は、第1の共鳴用コイル116と電磁結合をする構成とすることが好ましく、電線を巻いて形成したものを用いればよい。給電装置110における第1のコイル114は、給電装置110が受電装置120に比べて設置箇所に特に制約がない点を考えると、受電装置120における第2のコイル123より設計の自由度が高い。
【0031】
第1の制御回路115は、第1の送受信回路113で受信した第2の無線信号に重畳されている受電装置120で受け取る電力値に関する信号に応じた第1の整合回路112の制御、及び第1の送受信回路113から第1の無線信号に重畳して受電装置120に送信するデータ信号を出力するための回路である。なお第1の制御回路115は、図10(A)に示すように、受電装置120で受け取る電力値に応じた複数のデータ信号を記憶した記憶回路505に信号の入出力を行う構成とすればよい。
【0032】
第1の共鳴用コイル116は、第1の共鳴用容量素子117に接続される。第1の共鳴用コイル116は、第1のコイル114と電磁結合をし、且つ第2の共鳴用コイル121と共鳴する構成とすることが好ましく、電線を巻いて形成したものを用いればよい。特に形状は限定されないが、給電装置110における第1の共鳴用コイル116は、給電装置110が受電装置120に比べて設置箇所に特に制約がない点を考えると、受電装置120における第2の共鳴用コイル121より設計の自由度が高い。また第1の共鳴用コイル116では特にQ値が高いことが望ましく、100以上あることが望ましい。なお第1のコイル114と第1の共鳴用コイル116との間では、一例としては、第1の無線信号として、受電装置120に応答を要求するインベントリ信号、受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号、またはデータ信号等、第2の無線信号として、給電装置110より送信されるインベントリ信号に応答するための信号、受電装置120で受け取る電力値に関する信号、または受電装置120でデータ信号を受信したことの応答をするための信号等、の送受信が電磁結合による非接触で行われることとなる。また第1の共鳴用コイル116と第2の共鳴用コイル121との間では、一例としては、第1の無線信号として、受電装置120に応答を要求するインベントリ信号、受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号、またはデータ信号等、第2の無線信号として、給電装置110から送信されるインベントリ信号に応答するための信号、受電装置120で受け取る電力値に関する信号、または受電装置120でデータ信号を受信したことの応答をするための信号等、の送受信が磁界共鳴による非接触で行われることとなる。磁界共鳴方式は、非接触給電のうち共鳴方式によるものであり、同じコイル径の電磁誘導方式よりも遠距離に電力を伝送できる。
【0033】
第1の共鳴用容量素子117は、第1の共鳴用コイル116と対にして、所望の共振周波数となるよう設けられた容量素子である。なお第1の共鳴用容量素子117は第1の共鳴用コイル116と別に設ける必要はなく、第1の共鳴用コイル116における浮遊容量によって容量をまかなうことができれば必ずしも設ける必要はない。
【0034】
また第2の共鳴用コイル121は、第2の共鳴用容量素子122に接続される。第2の共鳴用コイル121は、第2のコイル123と電磁結合をし、且つ第1の共鳴用コイル116と共鳴する構成とすることが好ましく、電線を巻いて形成したものを用いればよい。特に形状は限定されないが、受電装置120における第2の共鳴用コイル121は、受電装置120が給電装置110に比べて小型化が求められる点を考えると、給電装置110における第1の共鳴用コイル116よりも小型化して設計することが好ましい。また第2の共鳴用コイル121では特にQ値が高いことが望ましく、100以上あることが望ましい。なお第2のコイル123と第2の共鳴用コイル121との間では、一例としては、第1の無線信号として、受電装置120に応答を要求するインベントリ信号、受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号、またはデータ信号等、第2の無線信号として、給電装置110より送信されるインベントリ信号に応答するための信号、受電装置120で受け取る電力値に関する信号、または受電装置120でデータ信号を受信したことの応答をするための信号等、の送受信が電磁結合による非接触で行われることとなる。
【0035】
第2のコイル123は、第2の送受信回路124、第2の整合回路125、整流回路126を介して負荷127に接続される。第2のコイル123は、第2の共鳴用コイル121と電磁結合をする構成とすることが好ましく、電線を巻いて形成したものを用いればよい。特に形状は限定されないが、受電装置120における第2のコイル123は、受電装置120が給電装置110に比べて小型化が求められる点を考えると、給電装置110における第1のコイル114よりも小型化して設計することが好ましい。
【0036】
第2の送受信回路124は、第2の整合回路125及び整流回路126を介して、負荷127及び第2のコイル123に接続されている。第2の送受信回路124は、給電装置110から送信される給電のための交流信号に負荷変調をかけることで、給電装置110から受け取る電力値に関する信号を重畳した第2の無線信号を生成する機能、給電装置110から受信する第1の無線信号を復調する機能を有する。変調する機能としては、負荷変調素子及び変調トランジスタを直列に接続した回路を第2のコイル123側に並列に設ける構成とすればよい。復調する機能としては、検波回路、増幅回路及び整流回路を第2のコイル123側に設ける構成とすればよい。
【0037】
図1における第2の送受信回路124のブロックを具体的に示した図を図10(B)に示す。図10(B)において第2の送受信回路124は、第2のコイル123側に変調回路となる負荷変調素子511及び変調トランジスタ512が設けられる。また図10(B)において第2の送受信回路124は、第2のコイル123側に復調回路となる検波回路513、増幅回路514及び整流回路515が設けられる。
【0038】
第2の整合回路125は整流回路126に、及び第2の送受信回路124を介して第2のコイル123に接続されている。第2の整合回路125は、負荷127と直列及び/または並列に接続された少なくとも一つのインピーダンスの調整可能な素子を有する。また第2の整合回路125は、入力側となる第2のコイル123側と出力側となる整流回路126側とのインピーダンスの整合をとるように、動作を第2の制御回路128によって制御される。
【0039】
なお第2の整合回路125は、第1の整合回路112と同じ構成を有する回路であることが好ましい。例えば、第1の整合回路112において、高周波電源111と直列に接続された素子が可変容量素子である場合には、第2の整合回路125において、可変容量素子であることが好ましい。可変容量素子に限らず、可変コイルの場合にも同様である。
【0040】
整流回路126は、第2のコイル123で受信した交流信号を直流信号に整流化するための回路である。整流回路126は、例えばダイオード素子を用いて構成すればよい。またダイオード素子を用いて構成される整流回路は、全波整流回路であっても半波整流回路であってもよく、ダイオードブリッジを用いた回路、トランスを用いた全波整流回路等で構成されればよい。
【0041】
負荷127は、非接触による給電を受けることで作用するものであればよい。一例としてはバッテリーや電動モータ等があり、具体的には携帯電話等のバッテリーで動作する電子機器、及び電気推進移動体が挙げられる。なお受電装置120において負荷127と整流回路126との間には、図10(B)に示すように、第2のコイル123で第1の無線信号を受信して得られる直流電圧を負荷127で用いる電圧値に変換するためのDCDCコンバータ516を有する構成であってもよい。
【0042】
第2の制御回路128は、第2の送受信回路124で受信した第1の無線信号に含まれているデータに応じて第2の整合回路125を制御するための回路である。また第2の制御回路128は、受電電力検出回路129で検出される給電装置110からの交流信号による電圧値と電流値との積、すなわち電力値に応じて第2の無線信号として送信する給電装置110から受け取る電力値に関する信号を、第2の送受信回路124から出力するための回路である。
【0043】
受電電力検出回路129は、給電装置110から受電装置120への電力の伝送効率について検出するための回路である。例えば、受電電力検出回路129は、A/D変換回路で構成し、受電装置120で受信した交流信号の電圧値及び電流値をモニターすることで給電装置110からの電力値を見積もる構成とすればよい。受電電力検出回路129で得られる電圧値は、アナログ信号からデジタル信号へ変換されて、第2の制御回路128で取得することができる。
【0044】
図2(A)乃至(D)には第1の整合回路112及び第2の整合回路125の回路構成の一例について示したものである。図2(A)乃至(D)では第1の整合回路112及び第2の整合回路125に適用可能な整合回路の構成について説明する。なお図2(A)乃至(D)では、第1の整合回路112及び第2の整合回路125を整合回路200で表し、高周波電源111等の入力側の回路を入力側回路241で表し、第1のコイル114等の出力側の回路を出力側回路242として表している。また、第1の制御回路115及び第2の制御回路128を制御回路203で表している。
【0045】
図2(A)は、整合回路200において、入力側回路241及び出力側回路242に並列に接続された可変容量素子201と、入力側回路241及び出力側回路242に直列に接続された容量素子202を示している。可変容量素子201は、制御回路203によって容量値が制御される。図2(B)は、整合回路200において、入力側回路241及び出力側回路242に並列に接続された可変容量素子201と、入力側回路241及び出力側回路242に直列に接続された可変容量素子212を示している。可変容量素子201及び可変容量素子212は、制御回路203によって容量値が制御される。
【0046】
図2(C)は、整合回路200において、入力側回路241及び出力側回路242に並列に接続された可変コイル221と、入力側回路241及び出力側回路242に直列に接続されたコイル222を示している。可変コイル221は、制御回路203によってインダクタンス値が制御される。図2(D)は、整合回路200において、入力側回路241及び出力側回路242に並列に接続された可変コイル221と、入力側回路241及び出力側回路242に直列に接続された可変コイル232を示している。可変コイル221及び可変コイル232は、制御回路203によってインダクタンス値が制御される。
【0047】
なお第1の整合回路112と第2の整合回路125は、同じ構成を有することが好ましい。例えば、第1の整合回路112において、高周波電源111と直列に接続された素子が可変容量素子である場合には、第2の整合回路125において、可変容量素子であることが好ましい。可変容量素子に限らず、可変コイルの場合にも同様である。
【0048】
なお図2(A)及び図2(B)に示す整合回路の構成は、可変容量素子を用いて静電容量を制御回路203で制御する構成について示している。ここで可変容量素子の具体的な構成について説明する。図9(A)では、図2(A)における可変容量素子201として可変容量ダイオード601A(バリキャップダイオードともいう)及び容量素子601Bを有する構成について示している。また図9(B)では、図2(B)における可変容量素子201及び可変容量素子212として可変容量ダイオード601A及び容量素子601B、並びに可変容量ダイオード602A及び容量素子602Bを有する構成について示している。なお可変容量ダイオードを有する可変容量素子は、制御回路からD/Aコンバータ603を介して制御されることとなる。なお可変容量素子としては、可変容量ダイオードを用いる構成の他にも、スイッチに接続された容量素子を複数並列に配置し、スイッチの開閉を制御することで静電容量値を制御する構成とすることも可能である。また可変容量素子としては、他にも電気モータ等を用いて回転式可変コンデンサを機械的に制御し、静電容量値を可変する構成としてもよい。
【0049】
なお図2(A)乃至図2(D)に示す整合回路の構成において、可変容量素子と可変コイルとを切り替えて静電容量を制御回路203によって制御する構成とすることもできる。図9(C)にスイッチ611を用いて可変容量素子612と可変コイル613とを切り替える構成について示す。図9(C)に示すようにスイッチ611を制御回路203によって切り替えることで、可変容量素子612の容量値または可変コイル613のインダクタンス値を切り替えて制御することも可能である。
【0050】
以下の本実施の形態の説明では、第1の整合回路112は高周波電源111と直列に接続された可変容量素子(Cs)と、高周波電源111と並列に接続された可変容量素子(Cp)とを有し、第2の整合回路125は負荷127と直列に接続された可変容量素子(Cs)と、負荷127と並列に接続された可変容量素子(Cp)とを有する場合について説明する。
【0051】
共鳴方式による非接触給電システムでは、給電装置110が有する第1の共鳴用コイル116と、受電装置120が有する第2の共鳴用コイル121との距離によって、電力の伝送効率が最大となる条件が異なる。したがって本実施の形態の構成では、第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータは、給電装置110と受電装置120との距離に応じて、電力の伝送効率が最大となるように変更する必要がある。なお電力の伝送効率が最大となる第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータのパラメータセットに関する信号が図1で説明したデータ信号に相当する。
【0052】
なお、第1の整合回路112のパラメータとは、第1の整合回路112が有する可変容量素子または可変コイルのそれぞれのインピーダンスを指し、第2の整合回路125のパラメータとは、第2の整合回路125が有する可変容量素子または可変コイルのそれぞれのインピーダンスを指す。なお、給電装置110と受電装置120との距離とは、第1の共鳴用コイル116と、第2の共鳴用コイル121との距離を指すものとする。
【0053】
給電装置110と受電装置120との距離毎に、電力の伝送効率が最大となる第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータが設定された表を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
なお表1に示すデータは、第1の制御回路115または第2の制御回路128によってデータ読み出し可能となるよう設ければよい。本明細書では、給電装置110における第1の制御回路115側に表1に関するデータを具備する構成として以下説明を行う。
【0056】
表1では、第1の整合回路112のパラメータと、第2の整合回路125のパラメータと、給電装置110と受電装置120の距離と、を一つのパラメータセットとし、パラメータセットに番号が付与されている。なお、No.0は、第1の整合回路112及び第2の整合回路125の初期状態を表す。
【0057】
図3に、給電装置110と受電装置120との距離と、受電電力との関係を示す。図3に示す実線曲線301は、パラメータセットがNo.jのときの給電装置110と受電装置120との距離と、伝送効率との関係を示すグラフである。また、図3に示す点線曲線302は、パラメータセットがNo.j+1のときの給電装置110と受電装置120との距離と、伝送効率との関係を示すグラフである。なお、伝送効率は給電装置と受電装置との間の電力の伝送効率であり、S21パラメータで表すことができる。
【0058】
例えば、表1に示すように、パラメータセットNo.jにおいて、第1の整合回路112のパラメータがCs0j、Cp0j及び第2の整合回路125のパラメータがCs1j、Cp1jと設定されている場合、電力の伝送効率が最大となるのは、給電装置110と受電装置120との距離がDjのときである(図3中、実線曲線301を参照)。つまり、給電装置110と受電装置120の距離がDjの場合、第1の整合回路112のパラメータがCs0j、Cp0j及び第2の整合回路125のパラメータがCs1j、Cp1jに設定されていないと、電力の伝送効率が最大とはならないともいえる。
【0059】
例えば、第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータが、Cs0j、Cp0j、Cs1j、Cp1jに設定されている場合、給電装置110と受電装置120との距離がDj+1であると、電力の伝送効率は最大にならない(図3中、点線曲線302を参照)。第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータを、Cs0j+1、Cp0j+1、Cs1j+1、Cp1j+1に設定することで、給電装置110と受電装置120との距離がDj+1において、電力の伝送効率も最大となる(図3中、点線曲線302を参照)。
【0060】
図6では、実際に第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータを、Csで0乃至1000pF、Cpで0乃至150pFとした際の給電装置110と受電装置120との距離と、伝送効率との関係を示す。また図6に対応して表2に、第1の整合回路112のパラメータ及び第2の整合回路125のパラメータと、電力の伝送効率が最大となる給電装置110と受電装置120との距離とが設定された表を示す。なお図6での各データは表2に対応するものである。
【0061】
【表2】

【0062】
図6及び表2に示すように、パラメータセットを設定することで給電装置と受電装置との距離に応じた伝送効率の最大化を図ることができる。特に近距離では、電力の伝送効率のピークにスプリットが生じたことに伴う伝送効率の低下を抑制することができる。
【0063】
次に、本発明の一態様に係る非接触給電システムにおける給電方法について説明する。図4は、非接触給電システムにおける給電方法の一例を示すフローチャートである。
【0064】
給電装置110は、高周波電源による交流信号に重畳して、間欠的に第1の無線信号としてインベントリ信号を送信する(図4に示すステップ401参照)。給電装置110は、受電装置120が任意の位置に設置されて第2の無線信号によるインベントリ信号に応答するための信号の受信があるまでインベントリ信号の送信を繰り返すこととなる(図4に示すステップ402参照)。受電装置120が送電可能な位置に設置されると判定された場合は、次のステップに進む。
【0065】
次いで、受電装置120が任意の位置に設置されると、高周波電源による交流信号によって連続的に、給電装置110は受電装置120へ無線での送電を開始する(図4に示すステップ403参照)。このとき、給電装置110の第1の整合回路112のパラメータ及び受電装置120の第2の整合回路125のパラメータは初期状態(例えば表1に示すNo.0のパラメータセット)であるため、この段階では伝送効率の高い送電が行われているとは限らない。なお、本実施の形態では、パラメータセットに付与した番号のNo.1からプラス方向にシフトさせる場合について説明する。
【0066】
給電装置110から受電装置120への送電が開始されると、給電装置110の第1の共鳴用コイル116から受電装置120の第2の共鳴用コイル121に、磁界共鳴によって交流信号が送信され、さらに、整流回路126によって直流信号に変換され、負荷127に印加される。このとき、受電装置120の第2の制御回路128は、給電装置110からの第1の無線信号である受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号に応じて、受電電力検出回路129によって受電装置120で受信した交流信号を整流した直流信号の電圧値及び電流値を取得する(図4に示すステップ404参照)。このときの電圧値及び電流値の積を電力値P0とする。取得した電圧値及び電流値の積(電力値P0)のデータは、給電装置110側の命令に応じて、受電装置120で給電装置110より受け取る電力値に関する信号として第2の無線信号により第1の制御回路115に送信される。なお取得した電圧値及び電流値の積(電力値P0)のデータは、一度、第2の制御回路128に接続された記憶装置(図示せず)に格納してもよい。
【0067】
次に、一定期間(例えば、300msec)のウェイト状態として、受電装置120の負荷127に充電(又は給電)を行う(図4に示すステップ405参照)。
【0068】
次に、第1の制御回路115は、負荷127の充電状態を元に、負荷127の充電を継続するか否かを判定する(図4に示すステップ406参照)。負荷127の充電を継続しないと判定された場合は、高周波電源111をオフすることで、充電を完了させる(図4に示すステップ407参照)。負荷127の充電を継続すると判定された場合は、次のステップに進む。
【0069】
次に、第1の制御回路115は、パラメータセットをプラス方向にシフトさせるか否かを判定する(図4に示すステップ408参照)。プラス方向にシフトさせないと判定された場合は、パラメータセットをマイナス方向にシフトさせる命令を第1の整合回路112及び第2の整合回路125に出力する(図4に示すステップ410参照)。プラス方向にシフトさせると判定された場合は、パラメータセットをプラス方向にシフトさせる命令を第1の整合回路112及び第2の整合回路125に出力する(図4に示すステップ409参照)。なお、第1の制御回路115から第2の整合回路125に命令を出力する場合は、第1の送受信回路113にデータ信号を出力し、第1の送受信回路113から第1の無線信号を受電装置120の第2の送受信回路124に送信し、第2の送受信回路124から第2の制御回路128を介して第2の整合回路125へ出力すればよい。なお受電装置120は第1の無線信号を受信した後、受電装置120側でデータ信号を受信したことの応答をするための信号を給電装置側に第2の無線信号として返信する。
【0070】
次に、第2の制御回路128は受電装置120が受け取る電力値を給電装置110に返信するよう受電装置120に要求する信号に応じて、パラメータセットをプラス方向又はマイナス方向にシフトした後の電圧値及び電流値を受電電力検出回路129で取得する(図4に示すステップ411参照)。このときの電圧値及び電流値の積を電力値P1とする。取得した電圧値及び電流値の積(電力値P1)のデータは、給電装置110側の命令に応じて、受電装置120で給電装置110から受け取る電力値に関する信号として第2の無線信号によって第1の制御回路115に送信される。取得した電圧値及び電流値の積(電力値P1)のデータは、一度、第2の制御回路128に接続された記憶装置(図示せず)に格納してもよい。
【0071】
次に、第1の制御回路115は、電力値P1が電力値P0よりも大きいか否かを判定する(図4に示すステップ412参照)。第1の制御回路115が、電力値P1が電力値P0よりも小さいと判定した場合は、パラメータセットのシフトの方向を反転させる命令を第1の制御回路115から第2の整合回路125に出力する(図4に示すステップ414参照)。第1の制御回路115が、電力値P1が電力値P0よりも大きいと判定した場合は、パラメータセットのシフトの方向を維持する命令を第1の整合回路112及び第2の整合回路125に出力する(図4に示すステップ413参照)。なお、第1の制御回路115から第2の整合回路125に命令を出力する場合は、第1の送受信回路113にデータ信号を出力し、第1の送受信回路113から第1の無線信号を受電装置120の第2の送受信回路124に送信し、第2の送受信回路124から第2の制御回路128を介して第2の整合回路125へ出力すればよい。なお受電装置120は第1の無線信号を受信した後、受電装置120側でデータ信号を受信したことの応答をするための信号を給電装置側に第2の無線信号として返信する。
【0072】
次に、第1の制御回路115は、電力値P1を電力値P0に代入する(図4に示すステップ415参照)。その後の処理は、ステップ405に戻され、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、負荷127の充電が完了するまで、ステップ405乃至415のループ処理が繰り返し実行される。
【0073】
例えば、ステップ405乃至415のループ処理が繰り返し実行され、第1の制御回路115は、パラメータセットのNo.j−1の電圧値及び電流値の積(P0=Wj−1)を取得した後、パラメータセットをプラス方向にシフトさせ、パラメータセットのNo.jの電圧値及び電流値の積(P1=Wj)を取得したとする(図4に示すステップ411参照)。
【0074】
次に、第1の制御回路115は、電力値P1が電力値P0よりも大きいか否かを判定し、P1がP0よりも大きい(Wj>Wj−1)と判定したとする(図4に示すステップ412参照)。この場合、パラメータセットのシフトの方向は維持されるという命令が、第1の制御回路115から第1の整合回路112及び第2の整合回路125に出力される(図4に示すステップ413参照)。
【0075】
次に、第1の制御回路115において、電力値P1が電力値P0に代入されるため(図4に示すステップ415参照)、P0=Wjとなり、一定期間、負荷127に充電が行われる(図4に示すステップ405参照)。
【0076】
次に、第1の制御回路115は、負荷127に充電を継続するか否かを判定し、充電を継続すると判定したとする(図4に示すステップ406)と、ステップ408に進む。
【0077】
次に、第1の制御回路115は、パラメータセットをプラス方向にシフトさせるか否かを判定する(図4に示すステップ408参照)。ここで、パラメータセットをNo.j−1からNo.jにプラス方向にシフトすることで、P0<P1となることが、ステップ411において判定されているため、第1の制御回路115は、パラメータセットをNo.jからNo.j+1にプラス方向にシフトさせる命令を第1の整合回路112及び第2の整合回路125に出力する(図4に示すステップ409参照)。
【0078】
次に、第2の制御回路128は、パラメータセットNo.j+1の電圧値及び電流値を取得する(図4に示すステップ411参照)。このときの電圧値及び電流値の積を電力値P1=Wj+1とする。
【0079】
次に、第1の制御回路115は、電力値P1が電力値P0よりも大きいか否かを判定し、P1がP0よりも小さい(Wj<Wj+1)と判定したとする(図4に示すステップ412参照)。この場合は、パラメータセットのシフト方向を反転する命令が第1の整合回路112及び第2の整合回路125に出力される(図4に示すステップ414参照)。
【0080】
次に、第1の制御回路115において、電力値P1が電力値P0に代入されるため、P0=Wj+1となり(図4に示すステップ415)、一定期間、負荷127に充電が行われる(図4に示すステップ405)。
【0081】
ここで、上述のパラメータセットのNo.と伝送効率との関係を図5に示す。図5に示すように、パラメータセットがNo.jのとき、伝送効率は極大値となり、給電装置110から受電装置120へ効率よく給電を行うことができる。負荷127の充電が完了するまで、パラメータセットのNo.j−1乃至No.j+1と、を繰り返すことにより、効率よく負荷127に充電を行うことができる。
【0082】
また、負荷127に充電を行っている途中で、給電装置110と受電装置120との距離が変わった場合であっても、負荷127の充電が完了するまで、パラメータセットのNo.を変更しつづければよいため、効率よく充電を行うことができる。
【0083】
図1に示す非接触給電システムにおいて、図4に示す給電方法を適用することで、給電装置110と受電装置120の配置に応じて、発振周波数を動的に制御することなく、給電装置と受電装置との間で高い電力の伝送効率を得ることができる。
【0084】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した非接触給電システムを適用できる用途について説明する。なお、本発明の一態様に係る非接触給電システムを適用できる用途としては、例えば携帯型の電子機器である、デジタルビデオカメラ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD))などが挙げられる。また、電力を基に動力を得る電気自動車等の電気推進移動体が挙げられる。以下、一例について図面を用いて説明する。
【0086】
図7(A)は携帯電話及び携帯情報端末を非接触給電システムの用途とする一例であり、給電装置701、受電装置703Aを有する携帯電話702A、受電装置703Bを有する携帯電話702Bによって構成されている。上記実施の形態で説明した非接触給電システムは、給電装置701と受電装置703Aとの間、及び給電装置701と受電装置703Bとの間で適用することができる。
【0087】
例えば、給電装置701には、実施の形態1に示す給電装置110の構成が適用でき、受電装置703A及び受電装置703Bには、実施の形態1に示す受電装置120の構成が適用できる。
【0088】
本発明の一態様に係る非接触給電システムを適用することにより、給電装置701と受電装置703Aとの配置、及び給電装置701と受電装置703Bとの配置に応じて、送電の効率を高めることができるため、給電装置701から受電装置703A及び受電装置703Bへ電力を効率よく供給することができる。
【0089】
図7(B)は電気推進移動体である電気自動車を非接触給電システムの用途とする一例であり、給電装置711、受電装置713を有する電気自動車712によって構成されている。上記実施の形態で説明した非接触給電システムは、給電装置711と受電装置713との間で適用することができる。
【0090】
例えば、給電装置711には、実施の形態1に示す給電装置110の構成が適用でき、受電装置713には、実施の形態1に示す受電装置120の構成が適用できる。
【0091】
本発明の一態様に係る非接触給電システムを適用することにより、給電装置711と受電装置713との配置に応じて、送電の効率を高めることができるため、給電装置711から受電装置713へ電力を効率よく供給することができる。
【0092】
以上、上記実施の形態で説明した非接触給電システムは電力をもって駆動させる物品であればどのようなものにでも設けて使用することができる。
【0093】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
110 給電装置
111 高周波電源
112 整合回路
113 第1の送受信回路
114 第1のコイル
115 第1の制御回路
116 第1の共鳴用コイル
117 第1の共鳴用容量素子
120 受電装置
121 第2の共鳴用コイル
122 第2の共鳴用容量素子
123 第2のコイル
124 第2の送受信回路
125 第2の整合回路
126 整流回路
127 負荷
128 第2の制御回路
129 受電電力検出回路
200 整合回路
201 可変容量素子
202 容量素子
203 制御回路
212 可変容量素子
221 可変コイル
222 コイル
232 可変コイル
241 入力側回路
242 出力側回路
301 実線曲線
302 点線曲線
401 ステップ
402 ステップ
403 ステップ
404 ステップ
405 ステップ
406 ステップ
407 ステップ
408 ステップ
409 ステップ
410 ステップ
411 ステップ
412 ステップ
413 ステップ
414 ステップ
415 ステップ
701 給電装置
711 給電装置
712 電気自動車
713 受電装置
900 高周波電源
901 第1のコイル
902 第1の共鳴用コイル
903 第2のコイル
904 第2の共鳴用コイル
910 負荷
601A 可変容量ダイオード
602A 可変容量ダイオード
601B 容量素子
602B 容量素子
603 D/Aコンバータ
611 スイッチ
612 可変容量素子
613 可変コイル
702A 携帯電話
702B 携帯電話
703A 受電装置
703B 受電装置
501 ミキサー回路
502 検波回路
503 増幅回路
504 整流回路
505 記憶回路
511 負荷変調素子
512 変調トランジスタ
513 検波回路
514 増幅回路
515 整流回路
516 DCDCコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置における第2のコイルと電磁結合をする第2の共鳴用コイルと共鳴をする第1の共鳴用コイルと、
前記第1の共鳴用コイルと電磁結合をする第1のコイルと、
高周波電源が出力する交流信号を変調してデータ信号を重畳し第1の無線信号を生成するための変調回路、及び前記第1のコイルで受電装置より受信した第2の無線信号を復調するための復調回路を有する送受信回路と、
前記高周波電源側と前記第1のコイル側とのインピーダンスの整合をとるための整合回路と、
前記第1のコイルで受信した前記第2の無線信号における前記受電装置で検出された電力値に応じて前記整合回路の制御及び前記交流信号に重畳するデータ信号を生成するための制御回路と、
を有する給電装置。
【請求項2】
請求項1において、前記整合回路は、前記制御回路に容量値が制御される可変容量素子を有する給電装置。
【請求項3】
第1の共鳴用コイルと、
前記第1の共鳴用コイルと電磁結合をする第1のコイルと、
高周波電源が出力する交流信号を変調してデータ信号を重畳し第1の無線信号を生成するための変調回路、及び前記第1のコイルで受電装置より受信した第2の無線信号を復調するための復調回路を有する第1の送受信回路と、
前記高周波電源側と前記第1のコイル側とのインピーダンスの整合をとるための第1の整合回路と、
前記第1のコイルで受信した前記第2の無線信号における前記受電装置で検出された電力値に応じて前記第1の整合回路の制御及び前記交流信号に重畳するデータ信号を生成するための第1の制御回路と、
を有する給電装置と、
前記第1の共鳴用コイルと共鳴をすることで前記給電装置より前記第1の無線信号を受信する第2の共鳴用コイルと、
前記第2の共鳴用コイルと電磁結合をする第2のコイルと、
前記第2の共鳴用コイルで受信した前記第1の無線信号を復調するための復調回路、及び前記第1の共鳴用コイルに送信する前記第2の無線信号を生成する変調回路を有する第2の送受信回路と、
前記整流回路側と前記第2のコイル側とのインピーダンスの整合をとるための第2の整合回路と、
前記第2のコイルで受信した前記第1の無線信号より得られる電力を検出するための受電電力検出回路と、
前記第2のコイルで受信した前記第1の無線信号に重畳した前記データ信号に応じて前記第2の整合回路の制御をし、且つ前記受電電力検出回路で検出される電力値に応じて前記第2の無線信号を生成するよう前記第2の送受信回路を制御するための第2の制御回路と、
を有する受電装置と、
を有する非接触給電システム。
【請求項4】
請求項3において、前記第1の整合回路及び前記第2の整合回路は、回路構成が同じである非接触給電システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、前記第1の整合回路及び前記第2の整合回路は、前記第1の制御回路及び前記第2の制御回路に容量値が制御される可変容量素子を有する非接触給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−165633(P2012−165633A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5992(P2012−5992)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)